JP2014208931A - 塗工白板紙の製造方法とこの製造方法に使用する塗工白板紙の抄紙用ワイヤーおよび塗工白板紙 - Google Patents

塗工白板紙の製造方法とこの製造方法に使用する塗工白板紙の抄紙用ワイヤーおよび塗工白板紙 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、印刷面感が良好なオフセット、グラビア印刷共用の塗工白板紙を効率的に製造する技術を提供することである。
【解決手段】カーテン膜を形成させて原紙に塗工し、かつ原紙表層および表下層を形成する際に適切な抄紙用ワイヤーを使用することにより、オフセット印刷時において印刷ムラが少なく、グラビア印刷時において網点抜けが少ない、オフセット、グラビア印刷共用の塗工白板紙を効率的に製造することができる。

【選択図】 図1

Description

この発明は、オフセット印刷とグラビア印刷とのいずれの印刷によっても印刷面感が良好な塗工白板紙を製造するのに適した塗工白板紙の製造方法とこの製造方法に使用する塗工白板紙の抄造用ワイヤーおよびこの製造方法によって製造された塗工白板紙に関する。
塗工白板紙は、多層抄きの原紙の片面あるいは両面に塗工層が形成された板紙である。一般的には、高級白板紙と特殊白板紙、コート白ボールとに分類されている。前記高級白板紙は全層に化学パルプが使用され、両面に塗工層が設けられた白板紙であり、前記特殊白板紙は、表層および裏層には化学パルプが、それらより内側の層には古紙が利用され、両面あるいは片面に塗工層が設けられた白板紙であり、これら高級白板紙と特殊白板紙とをマニラボールと称している。また、前記コート白ボールは、表層には化学パルプが、裏層およびそれらより内側の層には古紙が用いられ、片面に塗工層が設けられた白板紙である。これら白板紙の用途は、メニュー、カード類、美術本などの厚手印刷物、または打抜きの小型印刷箱(医薬品、化粧品、洗剤、煙草、食料品)などがある。
上述のように、塗工白板紙は表面に印刷が施される場合がほとんどであることから、高い印刷品質が求められる。塗工白板紙の印刷方式としてはオフセット印刷方式が最も一般的であるが、近年、印刷作業の操業性を向上させるため、高速のグラビア印刷方式が採用されるようになってきており、オフセット、グラビア共用の塗工白板紙の開発が要望されている。
オフセット印刷において起こりやすい問題の一つとして印刷ムラが挙げられる。ここで印刷ムラとは、本来均一に見えるべき印刷面が不均一に見える現象のことを指す。ベタ部やシャドー部で起こる印刷ムラを特にモットリングと呼ぶ場合もあるが、ハーフトーンやハイライト部分においても印刷ムラは発生する。原因としては、紙表面の白色ムラ(白色度が不均一であること)が印刷面に残ることや、紙表面にインキ吸収ムラ(インキ吸収性が不均一であること)があることなどが挙げられる。このうち白色ムラについては、原紙の内側の層に古紙パルプを使用した特殊白板紙やコート白ボールの場合、原紙表層−内側層間の白色度差、および原紙表面−塗工層間の白色度差が大きいことにより高級白板紙に比べ顕著に発生する。一方、インキ吸収ムラについては、いずれの塗工白板紙でも同様に発生する。
また、グラビア印刷において起こりやすい問題として網点抜けが挙げられる。グラビア印刷では、印刷される部分が表面より凹んだ版全体にインキを与えた後、版画のインキをドクターで掻き取り、凹部に残ったインキを紙表面に直接転写させる方式であるが、このとき網点部分のインキが転写されない現象を網点抜け(ミスドット)と呼ぶ。原因としては、紙表面の平滑性が低いために、版と紙表面の間の密着性が不均一でないことなどが挙げられる。
したがって、オフセット印刷とグラビア印刷との共用の塗工白板紙には、これらの問題のいずれをも解決することが求められるが、従来の技術ではそれは困難であった。例えば、オフセット印刷時における印刷ムラを改善する方法として、塗工方式を一般的なブレード塗工方式からエアナイフ塗工方式やカーテン塗工方式などのいわゆる輪郭塗工方式へ変更する方法が知られている(特許文献1参照)。これは、ブレード塗工方式では原紙の表面の凹凸によって塗工量の多い部分と少ない部分が発生し、それにより紙表面の白色ムラやインキの吸収ムラが発生するのに対して、輪郭塗工方式では原紙の表面の凹凸によらず塗工量が均一になるために、そのような問題が発生しにくいからである。しかしながら、これら輪郭塗工方式では、一般にブレード塗工方式に比べ平滑性が劣るために、グラビア印刷において網点抜けが発生しやすい。
また、オフセット印刷時における印刷ムラを改善する他の方法として、酸化チタン、焼成カオリン、中空状のプラスチックピグメント等の比散乱係数の高い顔料を使用する方法が知られている(特許文献2、特許文献3参照)。しかしながら、これら方法では白色ムラの改善には効果があっても、インキの吸収ムラを改善することができないため、印刷ムラを十分に改善できない。またグラビア印刷時における網点抜けを改善することができない。
また、オフセット印刷時における印刷ムラを改善する別の方法として、多層抄きにおける表層、表下層の白色度の差を少なくする方法が知られている(特許文献4参照)。しかし、この方法では、原紙の白色ムラの改善には効果があっても、インキの吸収ムラを改善することができないため、印刷ムラを十分に改善できない。
他方、グラビア印刷時における網点抜けを改善する方法として、ガラス転移温度の低いラテックスを使用する、アスペクト比の高い扁平な顔料を使用することにより平滑性を改善する方法が知られている(特許文献5、特許文献6参照)。しかしながら、これらの方法では、網点抜けの改善には効果があっても、オフセット印刷時における印刷ムラを十分に改善することはできない。
特開2009−41131号公報 特開平6−166991号公報 特開2003−306892号公報 特開2005−298998号公報 特許第448655号公報 特開2002−363887号公報
前述のように、オフセット印刷とグラビア印刷との双方に適した塗工白板紙を抄造することが困難であったため、前記特許文献1〜6に開示された方法を適宜組み合わせて印刷適正を評価した。しかし、オフセット印刷時における印刷ムラ、およびグラビア印刷時における網点抜けの双方を改善する組合せを確認できなかった。
一方、グラビア印刷時における網点抜けを改善する他の方法として、塗工前あるいは後において高い線圧でカレンダー処理を行うことにより平滑性を改善する方法が知られている。しかしながら、この方法では網点抜けの改善には効果があっても、カレンダー処理により紙表面の白色ムラが悪化し、オフセット印刷時における印刷ムラが悪化する。
このため、発明者らは塗工液等の改良による塗工白板紙の紙質の向上を企図するだけでなく、塗工白板紙の原紙の抄造条件を変更して塗工白板紙の紙質の向上を図ることとした。その際、抄造された原紙に対する塗工方式についても前述した輪郭塗工方式に拘らずに検討した。
そこで、発明者らはオフセット印刷とグラビア印刷のいずれに対しても十分な印刷適正を備えた塗工白板紙の製造を目的として、抄造条件の変更と塗工方式の検討とを試行錯誤しながら繰り返した結果、十分に満足できる印刷適正を具備した塗工白板紙を得ることに成功した。
前述した試行錯誤の末に完成した本願発明に係る塗工白板紙の製造方法は、少なくとも1種類以上の塗工液を多層抄きの原紙上に塗工して塗工層を形成する塗工白板紙の製造方法であって、前記塗工白板紙の原紙を抄造するための抄紙用ワイヤーの織物を構成する縦糸または横糸のうち、該抄紙用ワイヤーの表面に露出する糸の線径が、0.10〜0.20mmの範囲であることを特徴としている。
すなわち、多層抄きの原紙を抄造する際の抄紙用ワイヤーの縦糸または横糸のうちのワイヤーの表面に露出する糸の線径を0.10〜0.20mmとしたものである。ワイヤーの線径が細くなれば、ワイヤー表面の平滑性が高くなり、抄造された原紙の層の平面性が高くなる。ワイヤーの線径は細いほど好ましいが、0.10mm以下では、ワイヤーの耐摩耗性が劣るため好ましくない。ワイヤーの表面に露出しない縦糸および横糸の線径は特に制限されないが、耐摩耗性を考慮して0.20mm以上であることが好ましい。
また、請求項2の発明に係る塗工白板紙の製造方法は、少なくとも1種類以上の塗工液から1つのカーテン膜を形成させ、該カーテン膜に多層抄きの原紙を通して原紙上に塗工層を形成することを含む、塗工白板紙の製造方法であって、前記塗工白板紙の原紙を抄造するための抄紙用ワイヤーの織物を構成する縦糸または横糸のうち、該抄紙用ワイヤーの表面に露出する糸の線径が、0.10〜0.20mmの範囲であることを特徴としている。
塗工方式は、ブレード塗工方式に比べて輪郭塗工方式のほうが印刷ムラは改善されることは前述の通りであり、輪郭塗工方式のうちのカーテン塗工方式としたものである。塗工液は1種類以上のもので1つのカーテン膜を形成させ、前記多層抄きの原紙を該カーテン膜を通過させることによるものである。
また、請求項3の発明に係る塗工白板紙の製造方法は、前記抄紙用ワイヤーを、前記原紙を抄造する際に該原紙の表下層を形成する際に使用することを特徴としている。
塗工白板紙の原紙には多層抄きのものを使用するが、前記抄紙用ワイヤーは全ての層に用いることができる。しかし、少なくとも表下層を形成する抄紙用ワイヤーとして使用するようにしたものである。
また、請求項4の発明に係る塗工白板紙の製造方法は、前記抄紙用ワイヤーを、前記原紙を抄造する際に該原紙の表層と表下層とを形成する際に使用することを特徴としている。
すなわち、多層抄きの原紙の表層と表下層とのそれぞれを抄くための抄紙用ワイヤーとして前記抄紙用ワイヤーを用いるようにしたものである。
また、請求項5の発明に係る塗工白板紙の製造方法は、前記抄紙用ワイヤーの織物組織が3重織または2.5重織であることを特徴としている。
抄紙用ワイヤーは前述の通り織物であって、織物構造としては一重や多重織があり、本願発明では3重織または2.5重織のものを用いて塗工白板紙を製造することとしたものである。これは、3重織または2.5重織とすることが、縦糸、横糸ともに線径の太いものと細いものを併用できるためであり、平滑性と耐磨耗性を両立できる点から最も好ましい。表層または表下層以外のワイヤーについては特に制限されず、耐摩耗性および通気性(ろ水性)を考慮して自由に選択することで構わない。
また、請求項6の発明に係る塗工白板紙の抄紙用ワイヤーは、請求項1から請求項4までのいずれかに記載の抄紙用ワイヤーであって、該抄紙用ワイヤーの織物組織が3重織または2.5重織であることを特徴としている。
すなわち、縦糸と横糸に線径が異なるものを容易に併用できるためであり、表面の平滑性と耐摩耗性とを両立させることができる。
なお、織物構造としては、一重織と多重織があり、抄紙用ワイヤーに用いられるものに、1重織、1.5重織、2重織、2.5重織、3重織、3.5重織がある。1重織は最も基本的なものであり、縦糸、横糸各1種類を同一平面上に織ったものである。1.5重織は、横糸に線形の細い補助糸(浮糸)を使用することにより表面平滑性を改善したものである。2重織は、横糸を上下に配置したものであり、一般に上横糸には平滑性を考慮して線形の細いものを、下横糸には耐摩耗性を考慮して線形の太いものを使用する。2.5重織は、2重織の上横糸に1.5重織と同様に補助糸を使用し表面平滑性を改善したものである。そして、3重織は、1重織のワイヤー2枚を上下に重ね、接結糸にて固定したものである。一般に上側のワイヤーには平滑性を考慮して縦糸、横糸ともに線形の細いものを、下側のワイヤーには耐摩耗性を考慮して縦糸、横糸ともに線形の太いものを使用する。また、3.5重織は、2.5重織で上下に配置した横糸の中間にもう一本の横糸を配置し耐摩耗性を改善したものである。
また、抄紙用ワイヤーのシャフト構造(織組織の繰り返し単位)については、特に限定されないが、一般的な2シャフト(平織、綾織)、4シャフト(朱子織)、7あるいは8シャフト(サテン織)、14あるいは16シャフト(ロングナックル)、およびそれ以外の構造から自由に選択できる。
さらに、抄紙用ワイヤーの材質については、特に制限されないが、一般に縦糸には剛性に優れたポリエステルを、横糸にはポリエステルと耐磨耗性に優れたポリアミドを交織して使用することが多く、本発明においても同様の組合せで使用することが好ましい。加えて、本発明で使用する抄紙用ワイヤーは、縦糸と横糸がしっかり食い込み緩みのない構造にするためストレッチしながら適当な温度でヒートセットされた後、平滑性を高めるために、耐摩耗性を損なわない範囲で表面研磨を行ってもよい。
また、請求項7の発明に係る塗工白板紙は、請求項1から請求項5までのいずれかに記載の塗工白板紙の製造方法によって製造されたことを特徴としている。
この発明に係る製造方法により製造された塗工白板紙は、オフセット印刷とグラビア印刷のいずれに対しても印刷適正が良好であり、従来の塗工白板紙と十分に差別化できるものである。
また、請求項8の発明に係る原紙または塗工白板紙の評価方法は、原紙または塗工白板紙のサンプルの表面に斜光を照射し、撮影手段で該表面の画像を取得し、前記表面の撮影画像を二次元フーリエ変換してパワースペクトルを取得し、前記パワースペクトル上に現れる輝点のうち、0.2〜1.0mmの波長のパターンに相当する輝点の強度が、8ビット表示において0〜60の範囲内であれば、原紙または塗工白板紙の表面粗さが弱いと判定して該原紙または塗工白板紙の表面の平滑性が高いと判断することを特徴としている。
すなわち、原紙または塗工白板紙の平滑性によりその良否を評価するもので、塗工白板紙等の表面に斜光を照射し、CCDカメラ等の撮影手段によって表面画像を取得する。取得された表面画像を二次元フーリエ変換し、パワースペクトルを取得する。このパワースペクトル上に出現する輝点の強度の範囲によって塗工白板紙等の表面粗さの強弱を判定して、塗工白板紙等を評価するようにしたものである。
また、請求項9の発明に係る塗工白板紙は、前述の原紙または塗工白板紙の評価方法を実施する際に、前記表面の撮影画像を二次元フーリエ変換して取得した前記パワースペクトル上に現れる輝点のうち、0.2〜1.0mmの波長のパターンに相当する輝点の強度が、8ビット表示において0〜60の範囲であることを特徴とするものである。
すなわち、請求項1〜5の発明に係る製造方法により製造された塗工白板紙であれば、紙の表面画像の二次元フーリエ変換によるパワースペクトル上に現れる輝点に特徴があり、その特徴によって従来品等と識別することができる。
この発明に係る塗工白板紙の製造方法によれば、オフセット印刷時において印刷ムラが少なく、グラビア印刷時において網点抜けが少ないオフセット、グラビア印刷共用の塗工白板紙を効率的に製造することができる。
また、請求項7の発明に係る塗工白板紙によれば、塗工白板紙の白色ムラも抑制され、白紙面感が向上することにより、印刷適正を向上させることができる。
この発明に係る製造方法に使用する塗工白板紙の抄紙用ワイヤーを示す図で、3重織のものを例示してある。 この発明に係る製造方法により製造した実施例に係る塗工白板紙について行った試験結果を示す表であり、比較例と併せて示してある。 実施例に係る原紙と比較例に係る原紙のCCDカメラによる画像を示しており、(a)に比較例を、(b)に実施例をそれぞれ示してある。 図3に示す原紙の二次元フーリエ変換によるパワースペクトルを示しており、(a)に比較例を、(b)に実施例を示すと共に、(c)に実施例について異なる条件で観察した場合を示している。 実施例に係る塗工白板紙と比較例に係る塗工白板紙のCCDカメラによる画像を示しており、(a)に比較例を、(b)に実施例をそれぞれ示してある。 図5に示す塗工白板紙の二次元フーリエ変換によるパワースペクトルを示しており、(a)に比較例を、(b)に実施例を示すと共に、(c)に実施例について異なる条件で観察した場合を示している。 抄紙機のワイヤーパートの概略を示す図であり、多層抄きを説明するための図である。
以下、好ましい実施形態を示しながら、この発明を具体的に説明する。
図7は多層抄き用長網式抄紙機のワイヤーパート10を示しており、このワイヤーパートは3つのユニット10a、10b、10cにより構成されている。これらのユニット10a、10b、10cのそれぞれには、無端循環移動する抄紙用ワイヤー11a、11b、11cと該抄紙用ワイヤー11a、11b、11cに抄紙原料を供給するヘッドボックス12a、12b、12cとを備えている。抄紙用ワイヤー11a、11b、11cは、ヘッドボックス11a、11b、11cに臨んで配されているブレストロール13a、13b、13cとクーチロール14a、14b、14cとに掛け渡されて無端循環移動が案内され、クーチロール14a、14b、14cに巻回する際にガイドロール21a、21b、21cに案内されるフェルト20が重畳するようにしてある。フェルト20は第1ユニット10aから第2ユニット10b、第3ユニット10cを経由して第1ユニット10aに返戻するように無端循環移動しており、クーチロール14a、14b、14cに前記抄紙用ワイヤー11a、11b、11cと共に巻回した後には、紙層を載置して後続するユニット10b、10cに給送する。なお、第3ユニット10cからは後工程であるプレスパート30に搬送される。
前記第1ユニット10aではヘッドボックス12aからワイヤー11aの上面に供給された抄紙原料は第1抄紙用ワイヤー11a上に第1紙層を形成し、クーチロール14aに至ると該第1紙層はフェルト20と第1抄紙用ワイヤー11aとに挟持されて該クーチロール14aに巻回されて脱水される。クーチロール14aから離脱すると第1紙層はフェルト20によって第2ユニット10bのガイドロール21bへ搬送され、該ガイドロール21bからクーチロール14bに案内される。このクーチロール14bに案内される第2抄紙用ワイヤー11bにはヘッドボックス12bから供給された第2紙層が形成されているから、該クーチロール14bに巻回された際には、前記第1ユニット10aで形成された第1紙層に該第2紙層が重畳される。そして、クーチロール14bから離脱すると第1紙層と第2紙層との2層紙層がフェルト20に案内されて第3ユニット10cのガイドロール21cへ搬送され、クーチロール14cに案内される。第3ユニット10cの第3抄紙用ワイヤー11cにはヘッドボックス12cから供給された抄紙原料による第3紙層が形成されているから、クーチロール14cを巻回する際には、前記2層紙層とこの第3紙層とが重畳することになる。そして、クーチロール14cから離脱すると2層紙層と第3紙層との3層紙層がフェルト20に案内されてプレスパート30に搬送され、乾燥工程を経て塗工白板紙の原紙となる板紙が完成される。
すなわち、このワイヤーパート10では三層抄きで板紙が抄造されることになり、第3ユニット10cで形成された前記第3紙層が表層を形成し、第2ユニット10bで形成された第2紙層が表下層を形成する。本願発明に係る抄紙用ワイヤーは、これら表下層または表層を形成する際、すなわち、第2ユニット10bの第2抄紙用ワイヤー11bと第3ユニット10cの第3抄紙用ワイヤー11cに使用される。特に、表下層を形成する第2ユニット10bの第2抄紙用ワイヤー11bに使用する。この抄紙用ワイヤーは縦糸と横糸とからなる織物であって、一般に縦糸には剛性に優れたポリエステルを、横糸にはポリエステルと耐磨耗性に優れたポリアミドを交織して使用することが多く、本発明においても同様の組合せで使用することが好ましい。
以上は三層抄きの場合の例であるが、本願発明はこれに限定されることなく、二層以上の多層抄き原紙に適用することができる。例えば五層抄きの場合では、最表層を表層、表層に接する層を表下層、次いで中層、裏下層、裏層の積層構造となる。
図1は本願発明に係る抄紙用ワイヤー1の織物構造を示す一例であり、3重織を示している。なお、矢標MDで示す方向が抄紙機のマシン方向である。抄紙用ワイヤー1は、紙層に接触する上層側が縦糸2uと横糸3uとでサテン織りされて上層が形成されており、ワイヤードラム11bに接触する下層側が縦糸2dと横糸3dとで畝織りされて下層が形成されている。これら上層と下層とが、接結糸4によって接合されて1枚の抄紙用ワイヤー1とされている。上層が表面側であって抄紙原料が接触する面に形成されており、この上層に露出する縦糸と横糸の線径が0.10〜0.20mmのものを使用している。線径を細くすることによってワイヤーの表面平滑性が高められ、このワイヤーによって抄造される紙や多層抄きの層を構成する原紙の平滑性が高められ、多層抄きされた塗工白板紙の平滑性も高められる。その結果、グラビア印刷時における網点抜けを効果的に改善することができる。
なお、ワイヤーの線径は細いほど平滑性が向上するため、0.10〜0.15mmとすることがより好ましい。他方、0.10mm未満では、平滑性は高くなるがワイヤーの耐摩耗性が劣るため好ましくない。また、ワイヤーの表面に露出しない前記縦糸2d、および横糸3dの線径は特に制限されないが、耐摩耗性を考慮して0.20mm以上であることが好ましい。また、上層をサテン織りとすることによって、横糸2uが表面に露出する部分が極少となるため、横糸2uにも耐摩耗性から線径が0.20mm以上の糸を使用しても構わない。
前述したように、前記抄紙用ワイヤー1を、塗工白板紙の原紙を形成する紙層のうちの少なくとも表下層を形成する際に使用する。また、必要に応じて表層の紙層を抄造する際に使用することも効果的である。また、前記抄紙用ワイヤー1を複数の紙層の抄造に用いても良い。
この発明を実施することによって多層抄きによる塗工白板紙を製造する際に、紙層を形成する原紙については、そのパルプ配合を特に制限することがない。例えば、晒化学パルプ、未晒化学パルプ、古紙パルプなどを使用できる。古紙パルプとしては、脱墨してもしなくてもよく、脱墨パルプとしては、上質紙、中質紙、下級紙、新聞紙、チラシ、雑誌などの選別古紙やこれらが混合している無選別古紙を原料とする脱墨パルプなどを使用することができる。一般に塗工白板紙の原紙に使用されるものを例外なく使用でき、上記各種パルプを混合したものでも良いし、同一のパルプを用いたものでも良い。また、異なるパルプを1層以上重ねてもよい。例えば、中層に白色度の低いパルプを用いて、表層、裏層にそれより白色度の高いパルプを用いることもできるし、すべての層のパルプを同じものとして複数層重ねることもできる。また、原紙には公知の填料や紙力剤などの公知の添加剤を配合することができる。なお、原紙に配合する填料としては炭酸カルシウムが好ましい。
原紙の平滑性を高めるために、塗工前にカレンダー処理を行なってもよい。また、原紙の平滑性を改善する手段として、塗工前に澱粉を主成分としたクリア塗料または顔料を含んだ塗料を原紙に塗工することができる。このプレ塗工された原紙は、乾燥工程を経ないまま、すなわち原紙上の塗料が濡れた状態で、カーテン塗工に供してもよい。このように、カーテン塗工に供される前のプレ塗工後の原紙の状態は制限されない。
また、原紙の平滑性は、JIS P8151「紙及び板紙−表面粗さ及び平滑度試験方法(エア・リーク法)−プリント・サーフ試験機法」によって測定される、測定ヘッドの圧力差が19.6±0.1kPaである場合における平滑性が5.0μm以下であることが好ましく、3.5μm以下がより好ましく、2.5μm以下がさらに好ましい。5.0μmよりも大きいと、グラビア印刷時における網点抜けを十分に改善することができない。
この発明に係る塗工白板紙の製造方法では、前記抄紙用ワイヤー1によって抄造された紙層、特に表下層と必要な場合の表層とを備えた原紙に塗工を施すものである。塗工層は1層以上有していればよい。最外層の塗工方式としては種々のものがあるが、輪郭塗工方式であるカーテン塗工方式によるものが最も好ましい。但し、より高い平滑性を求める場合には、カーテン塗工を行った後に、最外層をロッド(またはバー)塗工やブレード塗工で設けることが好ましい。カーテン塗工とは、塗工液をカーテン状に流下させてカーテン膜を形成し、当該カーテン膜に原紙を通して原紙上に塗工層を設ける塗工方式である。なお、この発明では、塗工液に白色顔料を含ませてある。カーテン塗工は、原紙に沿って塗工層が形成される輪郭塗工であり、また、いわゆる前計量方式であるため塗工量の制御が容易であるという特徴を有する。
以下、最外層の塗工方式として、それぞれの塗工方式の違いを詳述するが、最外層以外の塗工層については、カーテン塗工方式も含めいずれの塗工方式を用いても良い。
顔料塗工紙の塗工方式としては、ブレード塗工方式が最も一般的であるが、その他にも、フィルム転写方式、あるいはエアナイフ塗工方式などが知られている。本発明においてはいずれの塗工方式による場合でも構わないが、特に、カーテン塗工方式を採用することにより高い要求品質をクリアしている。
なお、前述の通り、ブレード塗工方式では、原紙の表面の凹凸によって塗工量の多い部分と少ない部分が発生し、それにより紙表面の白色ムラやインキの吸収ムラが発生する。
また、フィルム転写方式は、アプリケーター上に塗工液のフィルムを計量し、それを原紙に転写して塗工層を設ける塗工方式である。ブレード塗工方式と比較すると塗工液の被覆性は良好であるが、それでも塗工液のフィルムを転写する際に原紙の平滑性や吸水性の影響により転写率にムラが生じ、塗工量の多い部分と少ない部分がある程度発生する。
エアナイフ塗工方式は、原紙に過剰の塗工液を付着した後、塗工面にエアナイフと呼ばれる圧力空気流を吹き付けて過剰分を掻き落とす塗工方式である。これは理想的な輪郭塗工に近いが、エアナイフコーターでは、空気流によって過剰の塗料を掻き取るため、粘度の低い塗工液しか使用できない。なぜならば、粘度が高いと気流の流速を高くする必要があるが、気流が高いと乱流渦が発生し、塗布面に塗布スジが発生するからである。塗工液の粘度を低くするために塗工液の固形分濃度を低くすると、乾燥中に塗工液が原紙へ過剰に浸透しやすくなるため、バインダーマイグレーションと呼ばれる、塗工液中の接着剤成分が塗工層から原紙層へ移動する現象が発生し、オフセット印刷時において接着不良による紙ムケが発生しやすい。
本発明に係る塗工白板紙は、原紙の両面ないし片面に、カーテン塗工で単層ないし多層塗工することによって製造することが好ましい。多層塗工においていずれかの層の塗工には、カーテン塗工装置以外の塗工装置の使用も可能であり、例えば、カーテン塗工装置による顔料塗工液の塗工をおこなった後、ブレード塗工装置による顔料塗工液の塗工を行ったり、ブレード塗工をおこなった後にカーテン塗工を行ったりしてもよい。また、下層塗工部を乾燥せずに上層塗工を行なうウェットオンウェット塗工を行ってもよい。また、2種類以上の塗工液から1つのカーテン膜を形成させることにより多層塗工を行ってもよい。
また、カーテン塗工装置は公知の装置を使用することができる。例えば、ダイから塗工液を下向きに吐出することにより直接カーテン膜を形成するスロット型カーテン塗工装置と、ダイから塗工液を上向きに吐出し、ダイ上の斜面で塗工液の膜を形成しつつ流動していき、その後ダイを離れて自由落下することによりカーテン膜を形成するスライド型カーテン塗工装置がある。また、カーテン塗工を適切に行うために必要な他の公知の装置を使用することができる。例えば、塗工液を送液するためのポンプ、塗工液を脱気するための脱泡装置等を用いることができる。
本発明において塗工層の全塗工量は、片面あたり乾燥重量で5〜50g/m2が好ましく、10〜40g/m2がより好ましい。複数の塗工方式を組み合わせる場合は、全ての塗工量が上記範囲になるように調整すればよい。塗工量が5g/m2未満では、塗工層が薄くなり、紙表面の白色ムラを十分に改善できない。一方、塗工量が50g/m2を越えると、バインダーマイグレーションによる印刷ムラの原因になるため好ましくない。
例えば、カーテン塗工により2層の塗工層を設ける場合は、隠蔽性と白色度を両立させるということから、乾燥重量で片面あたり、下塗り塗工層が10〜30g/m2、上塗り塗工層が1〜5g/m2の範囲とすることができる。
次に塗工液の調製について説明する。
塗工液は、少なくとも顔料と接着剤とを含む。顔料としては特に限定されず、通常製紙用に用いられているものであれば使用できる。例えば、カオリン、クレー、エンジニアードカオリン、デラミネーテッドクレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどの無機顔料および密実型、中空型、またはコアーシェル型などの有機顔料などを必要に応じて単独または2種類以上混合して使用することができる。
接着剤としては特に限定されず、通常製紙用に用いられているものであれば使用できる。例えば、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系、ブタジエン・メチルメタクリレート系、酢酸ビニル・ブチルアクリレート系等の各種共重合体、あるいはポリビニルアルコール、無水マレイン酸共重合体、アクリル酸・メチルメタクリレート系共重合体等の合成接着剤、カゼイン、大豆タンパク、合成タンパクなどのタンパク質類、酸化澱粉、カチオン化澱粉、尿素リン酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉などの澱粉類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体などの中から、1種以上を適宜選択して使用することができる。バインダーの好ましい配合部数は、印刷適性、表面強度、塗工適性等の観点から、顔料100重量部あたり10重量部以上100重量部以下である。
本発明の塗工液には、助剤として分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、染料、蛍光染料等の通常使用される各種助剤を使用することができる。
本発明において、塗工をカーテン塗工で行う場合は、以下に詳述する塗工液を用いることが好ましい。
前記カーテン膜は、単一のあるいは2種以上の塗工液からカーテン膜を形成させ、該カーテン膜に原紙を通して原紙上に1層以上のカーテン塗工層を形成する。
以下に2種類の塗工液から2層のカーテン塗工層を設ける場合について詳述する。当該カーテン塗工層は、塗工白板紙の最外層である最外塗工層を含む。当該最外塗工層を上塗り塗工層、当該上塗り塗工層を形成する塗工液を上塗り塗工液ともいう。また、上記最外層に隣接し、より原紙に近い層を下塗り塗工層、当該下塗り塗工層を形成する塗工液を下塗り塗工液ともいう。
カーテン塗工層を3層以上とする場合、上塗り塗工層と下塗り塗工層以外の層(便宜上「他塗工層」という)は、白色度、比散乱係数とも、上塗り塗工層および下塗り塗工層の中間とすることができる。例えば、他塗工層の白色度を、原紙の白色度より高くかつ上塗り塗工層の白色度より低くできる。また、他塗工層の比散乱係数は、下塗り塗工層の比散乱係数と同等以上とすることができる。
本発明では、水と必要な成分とを混合して塗工液を調製する。塗工液の調製においては、ミキサー等の通常の混合手段を用いてよい。各成分等について以下に説明する。
1.下塗り塗工液
1-1.下塗り塗工層の光散乱性
下塗り塗工層は、原紙をより効果的に隠蔽するために、光散乱性が高いことが好ましい。塗工層の光散乱性は、単位塗工量あたりの散乱性、すなわち比散乱係数を指標とすることができる。比散乱係数が高いほど、塗工層の隠蔽性が高い。
塗工層の比散乱係数は以下のように測定できる。
i)透明なポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ100μm、不透明度5%以下)上に、塗工液をメイヤーバーにより乾燥後の塗工層の重量が20g/m2前後になるように塗布し、塗工層の重量W[g/m2]を天秤により正確に測定する。乾燥は、100℃で30分以上、水分減少量の変動がなくなるまで行う。
ii)次に、この塗工したフィルムに黒色板を裏あてし、反射率計を用いて塗工層の反射率を測定し、反射率R0を得る。
iii)塗工液をオーブンを用いて100℃で30分以上、水分減少量の変動がなくなるまで乾燥し、透けない程度の十分な厚み(1mm以上)を有するペレットを得て、その反射率R∞を前述のとおり測定する。
iv)これらの値を用いて、TAPPI T425(ISO 9426)に規定される次式により、比散乱係数sを算出する。
a = 0.5 [(1/R∞)+ R∞] [数1]
b = 0.5 [(1/R∞) − R∞)] [数2]
X = [1 − aR0]/[bR0] [数3]
s = 1/W ×(0.5/b) ln[(X + 1)/(X − 1)] [数4]
下塗り塗工層の比散乱係数は80m2/kg以上であり、90m2/kg以上が好ましく、120m2/kg以上がより好ましい。比散乱係数が80m2/kgより低いと十分な隠蔽性を得られない。また、通常の白板紙の塗工層に用いられる成分を含有している場合、比散乱係数の上限は250m2/kg程度であると考えられる。
下塗り塗工層の白色度は、白色度の低い原紙を隠蔽し塗工後の白色度を高くするために、塗工する面の原紙の白色度よりも高いことが好ましい。下塗り塗工層の白色度の好ましい範囲は75〜95%であり、より好ましくは80〜95%である。
下塗り塗工層を原紙上に塗工した後に、塗工層側から測定した白色度は、上塗り塗工層の白色度よりも低い方が好ましい。具体的には、当該白色度は85%未満であることが好ましい。
1-2.下塗り塗工液の各成分
上記の性質を有する下塗り塗工層を得るために、下塗り塗工液は、特定の顔料と接着剤(バインダー)を含むことが好ましい。顔料としては、隠蔽性の高い顔料が好ましい。下塗り塗工液を上記の比散乱係数の範囲とするためには、粒子径の分布が狭く光散乱性の高い軽質炭酸カルシウムを主として用いることが好ましい。含有率は特に制限されないが、顔料100重量部中、軽質炭酸カルシウムの含有量が20〜100重量部、好ましくは50重量部以上であると隠蔽効果が顕著となる。軽質炭酸カルシウムの形状としては、立方体状、紡錘状、針状などがあり、いずれを使用してもよいが、紡錘状あるいは針状のものを使用した場合に特に隠蔽効果が高くなる。軽質炭酸カルシウムの粒子径としては、平均粒子径(D50)で0.2〜0.8μmが好ましく、0.2〜0.5μmがさらに好ましい。軽質炭酸カルシウムの代わりとして、粒度分布が狭くなるように制御したエンジニアード重質炭酸カルシウムやエンジニアードカオリンを含有させてもよいが、隠蔽性は軽質炭酸カルシウムよりも劣る。
また、顔料として粒子内に空隙を含むことにより高い光散乱性を有する焼成カオリンを一定量用いることが好ましい。焼成カオリンの粒子径としては、平均粒子径(D50)で1.0〜3.0μmが好ましく、1.5〜2.5μmがさらに好ましい。焼成カオリンの含有率は、顔料100重量部中、5〜20重量部が好ましい。当該量が5重量部より少ないと隠蔽効果が不十分となることがある。また、当該量が20重量部よりも多い場合は次の理由から、塗工液の固形分濃度を低下させる傾向にある。焼成カオリンは、他のカオリンと同様、塗工液に含有させる前に水中に分散させスラリーとする必要があるが、焼成カオリンの場合は粒子内に空隙を含む特徴のために、スラリーの固形分濃度を高くすることができない。したがって、そのようなスラリーを塗工液中に多く含有させると、塗工液の固形分濃度が低下する。焼成カオリンの代わりとして、屈折率が高いことにより高い光散乱性を有する二酸化チタンを使用してもよいが焼成カオリンに比べ接着剤の量を多く必要とするために表面強度が劣りやすい。また、二酸化チタンよりも、焼成カオリンの方が塗工白板紙の平滑性が向上するという利点もある。
また、上記の顔料に加えて、平均アスペクト比が30〜60の顔料、例えばデラミネーテッドカオリンを下塗り塗工層に併用することもできる。平均アスペクト比が30〜60の顔料は、白色ムラ、保水性をさらに向上させる。これは、顔料の隙間を扁平な顔料が埋めることにより脱水が抑制され保水性が良好になることによると推測される。平均アスペクト比が30〜60の顔料の量は特に制限されないが、全顔料中20〜100重量%とすることが好ましく、50重量%以上とすることがより好ましい。
1-3.下塗り塗工液の特性
下塗り塗工液の固形分濃度は、好ましくは40〜75重量%であり、より好ましくは50〜70重量%であり、さらに好ましくは60〜70重量%である。下塗り塗工液の固形分濃度が40重量%未満であると、塗工乾燥時における塗工層の体積変化が大きくなり、結果として塗工後の表面平滑性が低下することがある。また前記濃度が75重量%より多いと、塗工液の流動性が悪化し、均一なカーテン膜を形成することが難しくなることがある。
下塗り塗工液の30℃においてブルックフィールド形回転粘度計によって測定される、スピンドルの回転速度が60min−1における粘度(以下、B型粘度という)は、均一で安定したカーテン膜を形成するために、また塗工液を配送するのに適切となるよう、30℃において100〜2000mPa・sの範囲であることが好ましい。前記粘度が100mPa・s未満であると、塗料中の水分が原紙に過剰に染みこみ原紙が膨潤するため塗工後の表面平滑性が低下することがあり、さらには乾燥に必要なエネルギーも増加しがちである。また、前記粘度が2000mPa・sより大きいと、塗料の流動性が劣り、安定なカーテン膜を形成しにくくなる。
また、下塗り塗工液の塗工液の表面張力は、少ない流量においても均一で安定したカーテン膜を作成するために、40mN/m以下が好ましく、35mN/m以下がより好ましく、30mN/m以下であることがさらに好ましい。表面張力は、後述するとおり界面活性剤を添加することで調整できる。
2.上塗り塗工液
2-1.上塗り塗工層の白色度
本発明の上塗り塗工層の白色度は85%以上であり、90%以上であることが好ましい。下塗り層によって隠蔽され白色度が向上した表面の上に、当該上塗り層を設けることで、塗工白板紙の白色度をより一層高めることができる。上塗り塗工層の白色度は、後述する方法で求められる。
上塗り塗工層の隠蔽性は、本発明の白板紙の品質には影響しないため、下塗り塗工層ほど高い必要はなく特に限定されないが、通常の範囲において、70m2/kg以上であることが好ましい。
2-2.上塗り塗工液の成分
上塗り塗工液は顔料と接着剤を含んでなる。顔料としては白色度の高いものが好ましく、例えば重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、高白色カオリン、二酸化チタン、プラスチックピグメント等が挙げられる。これらの顔料は単独で使用できるが、必要に応じて二種以上を混合して使用してもよい。中でも、比較的安価である重質炭酸カルシウムあるいは軽質炭酸カルシウムを主成分とすることが好ましい。重質炭酸カルシウムの平均粒径(D50)は0.3〜2.0μmが好ましく、0.5〜1.0μmがさらに好ましい。重質炭酸カルシウムを用いた場合、比散乱係数は高くないが白色度が高くなる。さらに重質炭酸カルシウムは安価であるため、上塗り層に使用する顔料として好適である。軽質炭酸カルシウムについては既に述べたとおりである。重質炭酸カルシウムあるいは軽質炭酸カルシウムの含有率は特に制限されないが、顔料100重量部中、炭酸カルシウムの含有量が50重量部以上、好ましくは70重量部以上であると白色度向上の効果が顕著となる。
また、二酸化チタンは通常塗工液に用いられる顔料の中では最も高い白色度を有するので一定量含有させることが好ましい。二酸化チタンの含有量は、顔料100重量部中、5〜20重量部が好ましい。当該量が5重量部より少ないと塗工層の白色度の向上効果が十分でなく、20重量部より多いと接着剤の必要量が多くなるために、表面強度が低下することがある。
本発明の上塗りおよび下塗り塗工液は界面活性剤を用いて、塗工液の動的表面張力を調整できる。界面活性剤には、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤およびノニオン性界面活性剤が存在するが、本発明においてはアニオン性界面活性剤が好ましい。カチオン性界面活性剤は塗工液中の顔料を凝集させやすくなる。また、ノニオン性界面活性剤は塗工液に十分な濡れ性を与えにくい。アニオン性界面活性剤の例には、スルホン酸系界面活性剤、硫酸エステル系界面活性剤およびカルボン酸系界面活性剤が含まれる。これらの中でも、塗工液の濡れ性をより良好とできるため、スルホン酸系界面活性剤が好ましく、特にアルキルスルホコハク酸が好ましい。好ましい態様において、これらの界面活性剤は顔料100重量部当たり0.1〜2重量部、より好ましくは0.2〜1重量部程度の範囲で使用される。
本発明の上塗り、下塗り塗工液には、必要に応じて、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、着色剤等、通常の塗工紙用顔料に配合される各種助剤を適宜使用できる。
2-3.上塗り塗工液の特性
上塗り塗工液の固形分濃度は、好ましくは40〜75重量%であり、より好ましくは50〜70重量%であり、さらに好ましくは60〜70重量%である。上塗り塗工液の固形分濃度が、40重量%未満であると、塗工乾燥時における塗工層の体積変化が大きくなり、結果として塗工後の表面平滑性が劣ることがある。また前記濃度が75重量%より多いと、塗工液の流動性が悪化し、均一なカーテン膜を形成することが難しくなることがある。
上塗り塗工液のB型粘度は、均一で安定したカーテン膜を形成するために、また塗工液を配送するのに適切となるよう、30℃において、100〜2000mPa・sの範囲であることが好ましい。100mPa・s未満であると、塗料中の水分が原紙に過剰に染みこみ、原紙が膨潤するため、塗工後の表面平滑性が低下することがある。また乾燥に必要なエネルギーも上昇する。また、2000mPa・sより大きいと、塗料の流動性が劣り、安定なカーテン膜を形成できないことがある。
塗工液の表面張力は、少ない流量においても均一で安定したカーテン膜を作成するために、40mN/m以下が好ましく、35mN/m以下がより好ましく、30mN/m以下であることがさらに好ましい。
また、上記の顔料に加えて、グラビア印刷時における網点抜けを効果的に抑制する観点から、平均アスペクト比が30〜60の顔料、例えばデラミネーテッドカオリンを下塗り塗工層に併用することもできる。使用量は特に制限されないが、40重量%以下が好ましい。
塗工液には接着剤が含まれ、上塗り、下塗り塗工液に使用する接着剤については、グラビア印刷時における網点抜けを効果的に抑制する観点から、ガラス転移温度(Tg)の低いラテックスを使用することが好ましい。具体的には−50〜−5℃であることが好ましく、−50〜−15℃であることがより好ましい。−5℃以上では抑制効果が十分でなく、−50℃より低い場合はオフセット印刷時において紙ムケが顕著に発生する。ラテックスの組成については特に制限されないが、例えば、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系、ブタジエン・メチルメタクリレート系、酢酸ビニル・ブチルアクリレート系等の各種共重合体を使用することができる。
また、前記上塗り、下塗り塗工液には、必要に応じて、界面活性剤、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、着色剤等、通常の塗工紙用顔料に配合される各種助剤を適宜使用できる。特に界面活性剤は、均一で安定したカーテン膜を作成するために一定量添加することが好ましい。界面活性剤の種類としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤およびノニオン性界面活性剤が存在するが、本発明においてはアニオン性界面活性剤が好ましい。界面活性剤の添加量は、塗工液中の全顔料固形分に対して、0.1〜1重量%が好ましい。添加量が0.1重量%より小さいと、塗工液の原紙への濡れ性が不十分となることがある。また前記添加量が1重量%より大きいと、塗工液の原紙への過剰な濡れ性により、塗工液が原紙に過剰に浸透し、塗工紙の品質が悪化することがある。これらの界面活性剤は単独で使用できるが、二種以上を併用してもよい。
塗工工程後の仕上げ処理については、原紙上に塗工層を設けた後、通常の乾燥工程を経て製造されるが、必要に応じて表面処理工程等で平滑化処理してもよい。平滑化処理には、通常のスーパーキャレンダ、グロスキャレンダ、ソフトキャレンダ、熱キャレンダ、シューキャレンダ等の平滑化処理装置を用いることができる。平滑化処理装置は、オンマシンやオフマシンで適宜用いられ、加圧装置の形態、加圧ニップの数、加温等も適宜調整される。
また、本発明においては、剛度およびカール抑制のために、カーテン塗工層を設けていない面にクリアもしくは顔料塗工層を設けてもよい。裏面塗工層を形成する塗工液には、必要に応じて、従来から公知公用の顔料やバインダー、および、分散剤、粘性改良剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、蛍光染料、着色染料、着色顔料、界面活性剤、pH調整剤、カチオン性樹脂、アニオン性樹脂、紫外線吸収剤、金属塩など、通常の塗工液に配合される各種助剤を適宜使用できる。
前記原紙裏面のクリアもしくは顔料塗工層の塗工量は、特に制限されないが、一般的に片面あたり固形分で0.1〜5g/m2程度である。また、裏面塗工層の塗工方法や乾燥させる方法は制限されない。例えば、公知のサイズプレス装置、例えば、2ロールタイプ、3ロールタイプ、ゲートロールタイプ、フィルム転写タイプ、カレンダータイプや、カーテンコーター、スプレーコーター、ブレードコーターなどのコーター(塗工機)を使用して塗布した後に、蒸気加熱シリンダ、加熱熱風エアードライヤー、ガスヒータードライヤ、電気ヒータードライヤ、赤外線ヒータードライヤ等各種の乾燥工程を単独、もしくは併用して用いてもよいし、乾燥工程を経なくてもよい。
製造された塗工白板紙は、JIS P8151「紙及び板紙−表面粗さ及び平滑度試験方法(エア・リーク法)−プリント・サーフ試験機法」によって測定される、測定ヘッドの圧力差が19.6±0.1kPaである場合における平滑性が1.5μm以下であることが好ましく、1.2μm以下であることがより好ましい。1.5μmよりも大きいと、グラビア印刷時における網点抜けを十分に改善することができない。また、本発明の塗工白板紙の坪量は、特に限定されないが、一般的にはJIS P 8124に準じて測定される坪量が150〜800g/m2程度である。
(実施例)
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例に限定されない。なお、特に断らない限り、本明細書において部および%はそれぞれ重量部および重量%を示し、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
(評価方法)
(1)白色度:JIS P8148「紙,板紙及びパルプ−ISO白色度(拡散青色光反射率)の測定方法」に準拠して測定した。塗工層の白色度については、塗工液をオーブンにより105℃で30分以上、水分減少量の変動がなくなるまで乾燥し、透けない程度の十分な厚み(1mm以上)を持ったペレット状にして測定した。
(2)平滑性(PPSラフネス):JIS P8151「紙及び板紙−表面粗さ及び平滑度試験方法(エア・リーク法)−プリント・サーフ試験機法」に準拠し、測定ヘッドの圧力差が19.6±0.1kPaである場合における平滑性を測定した。数値が少ない方が平滑性が高い。
(3)ヘリオテスト:ヘリオテスト試験機により、グラビア印刷適性を評価した。
測定原理:フランス、グルノーブルのCTPで開発されたテスト方法で、フランスのNF Q61−0002に準拠している。ヘリオテスト付属装置は、彫刻プリンティングディスク、ドクタリングシステム、非速乾性グラビアインキなどの特殊インキで構成されている。プリンティングディスクにインキ数滴供給後、余分なインキを除去し、セクターに設置した被印刷体に印刷を施す。
可変ハーフトーンスクリーン・エリアでは、印刷開始から20番目の網点抜けまでの距離を測定する。距離が長いほど紙表面が平滑であると言える。
(4)白紙面感:Aufinder TA(倉敷紡績株式会社製)を用いて、以下の測定条件で測定した。数値が少ない方が白紙面感は良好であり、ムラが少ない。
測定条件:
白紙サンプルの測定領域2000〜10000mm2において、画素サイズ4×4ピクセル(0.96mm×0.96mm)の微小領域に分割して濃淡ムラの平均偏差を測定。値が小さいほど良好とした。
測定原理:
白紙サンプルを装置のステージ上に平面状態を維持させて固定し、投光手段により測定光を照射しその反射散乱光の画像を撮影手段で撮影し、撮影画像から微小領域(一辺の長さが0.2〜3.8mmの正方形)の全ての濃淡ムラを測定し平均偏差を算出する。光学系は45/0(光源を双方向照射)、センサーは3板式XYZラインカメラ(三刺激直読計測)、光源は高周波電源・温調付きフラットライトを用いた。
(5)印刷ムラ:ローランド平判印刷機(4色)にて、印刷用インキ(東洋インキ製ハイユニティM)を用いて藍→紅→黄→墨の順に印刷速度8000枚/分で印刷し、得られた印刷物の特に2色(藍、紅)印刷部および藍単色ベタ印刷部およびハーフトーン(50%)印刷部の印刷面感(着肉ムラ、光沢度ムラなど)をAufinder TA(倉敷紡績株式会社製)を用いて、(4)白紙面感と同様の条件で測定した。数値が少ない方がムラは少ない。
(6)白色ムラ:製品を表面から目視により以下の基準で評価した。
◎:ムラが全く目立たない
○:軽度のムラが認められる
△:ムラが認められ、実用上問題となる可能性がある
×:顕著なムラが認められ、実用に適さない
(7)塗工層の比散乱係数:前述したとおり、TAPPI T425(ISO 9426)に規定される式に基づいて算出した。
実施例1
<原紙>
脱墨古紙100%の割合で配合したパルプを使用して白色度70%、米坪40g/m2の表層、脱墨しない雑誌古紙100%で配合したパルプを使用して白色度55%、米坪220g/m2の中層、中層と同様のパルプを使用して白色度45%、米坪40g/m2の裏層をそれぞれ抄造し抄き合わせ、プレス、乾燥処理を行い、米坪300g/m2の塗工白板紙原紙を得た。原紙の白色度は65%であった。抄紙速度は300m/分であった。
このとき、表層と表下層の抄紙用ワイヤーの線径は、0.15mmとし、織物組織は3重織とした。
<下塗り塗工液>
紡錘状軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業社製、TP−221−70GS、D50=0.5μm、D75/D25=2.5)75重量部、デラミネーテッドカオリン(Imerys社製、Contour 1500、平均アスペクト比50)15重量部、焼成カオリン(Imerys社製、Alphatex)10重量部からなる顔料スラリーを調製した後、顔料100部に対して、スチレン・ブタジエン共重合ラテックス(旭化成ケミカル社製、ALB1735)14重量部、PVA(クラレ社製ポリビニルアルコール、ポバール105)0.5重量部、界面活性剤(日本乳化剤社製、Newcol291−PG)0.5重量部を添加した。この混合物にさらに水を添加して、30℃、60rpmにおけるB型粘度が1000mPa・sになるように調製し、固形分濃度63%、静的表面張力30mN/mの下塗り塗工液を得た。
<上塗り塗工液>
重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製、FMT97、D50=0.7μm、D75/D25=3.8)95重量部、二酸化チタン(Dupont社製、RPS−V)5重量部からなる顔料スラリーを調製した後、顔料100重量部に対して、スチレン・ブタジエン共重合ラテックス(旭化成社ケミカル製、ALB1443)14重量部、界面活性剤(日本乳化剤社製、Newcol291−PG)0.5重量部を添加し、さらに水を添加して60rpmにおけるB型粘度が1000mPa・sになるように調製し、固形分濃度66%、静的表面張力30mN/mの上塗り塗工液を得た。
<カーテン塗工>
スライド型カーテン塗工装置を用いて、上記2つの塗工液から複数の層を有する1のカーテン膜を形成し、当該カーテン膜に原紙を通して同時2層塗工を行い、乾燥した。塗工量は、乾燥後の重量で下塗り塗工液が18g/m2、上塗り塗工液が4g/m2であった。得られた塗工白板紙の坪量は322g/m2であった。塗工速度は、オンマシンにより抄紙と一貫して行ったため、抄紙速度と同じく300m/分であった。
<仕上げ処理>
得られた塗工白板紙をカレンダー処理することにより、塗工白板紙を得た。処理速度は、オンマシンにより抄紙、塗工と一貫して行ったため、抄紙速度および塗工速度と同じく300m/分であった。
実施例2
<原紙>
広葉樹晒しパルプを使用して白色度85%、米坪40g/m2の表層、脱墨しない雑誌古紙100%で配合したパルプを使用して白色度55%、米坪220g/m2の中層、中層と同様のパルプを使用して白色度45%、米坪40g/m2の裏層をそれぞれ抄造し抄き合わせ、プレス、乾燥処理を行い、米坪300g/m2の塗工白板紙原紙を得た。原紙の白色度は73%であった。抄紙速度は300m/分であった。
このとき、表層の抄紙用ワイヤーの線径を0.2mm、表下層の抄紙用ワイヤーの線径は、0.15mmとし、織物組織はそれぞれ表層2.5重織、表下層3重織とした。
<下塗り塗工液>
デラミネーテッドカオリン(Imerys社製、Contour 1500、平均アスペクト比50)35重量部、紡錘状軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業社製、TP−221−70GS、D50=0.5μm、D75/D25=2.5)55重量部、2級カオリン(Imerys社製、KCS)10重量部からなる顔料スラリーを調製した後、顔料100部に対して、スチレン・ブタジエン共重合ラテックス11.5重量部、PVA(クラレ社製ポリビニルアルコール、ポバール105)0.5重量部、尿素燐酸エステル化澱粉(日本食品加工社製、MS4600)5重量部を添加した。この混合物にさらに水を添加して、固形分濃度61%の下塗り塗工液を得た。
<上塗り塗工液>
デラミネーテッドカオリン(Imerys社製、Contour 1500、平均アスペクト比50)25重量部、微粒カオリン(カオファイン)25重量部、重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製、FMT97、D50=0.7μm、D75/D25=3.8)5重量部、紡錘状軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業社製、TP−221−70GS、D50=0.5μm、D75/D25=2.5)38重量部、二酸化チタン7重量部からなる顔料スラリーを調製した後、顔料100重量部に対して、スチレン・ブタジエン共重合ラテックス13.5重量部、尿素燐酸エステル化澱粉(日本食品加工社製、MS4600)5重量部を添加し、さらに水を添加して、固形分濃度61%の上塗り塗工液を得た。
<塗工>
原紙上に、下塗り塗工液をロッド(バー)塗工方式で、上塗り塗工液をベントブレード塗工方式にて塗工し、乾燥した。塗工量は、乾燥後の重量で下塗り塗工液が12g/m2、上塗り塗工液が8g/m2であった。得られた塗工白板紙の坪量は320g/m2であった。塗工速度は、オンマシンにより抄紙と一貫して行ったため、抄紙速度と同じく300m/分であった。
<仕上げ処理>
得られた塗工白板紙をカレンダー処理することにより、塗工白板紙を得た。処理速度は、オンマシンにより抄紙、塗工と一貫して行ったため、抄紙速度および塗工速度と同じく300m/分であった。
比較例1
表層、表下層の抄紙用ワイヤーの線径を0.25mmとした以外は、実施例1と同様にして塗工白板紙を得た。
比較例2
表下層の抄紙用ワイヤーの線径を0.2mmとした以外は、実施例2と同様にして塗工白板紙を得た。
これら実施例と比較例とについて行った評価の結果を図2に示す。
[PPSラフネス]
塗工方法が同じであれば、比較例に対して実施例により得られた塗工白板紙の方が良好であった。また、実施例2から表下層のワイヤー径のみを変更しても平滑性が良好になることが分かる。
[ヘリオテスト]
塗工方法が同じであれば、比較例に対して実施例に係る塗工白板紙の方が良好な結果が得られた。
[白色ムラ]
カーテン塗工方式が良好な結果であり、さらにカーテン塗工同士であれば、比較例に対して実施例が良好な結果が得られた。
[印刷ムラ]
印刷ムラでは、比較例よりも実施例の方が良好な結果が得られた。カーテン塗工方式が良好な結果であった。
実施例と比較例とに対して行った試験の結果では、実施例によるものが、PPSラフネスとヘリオテストだけでなく、白色ムラと印刷ムラの良化した。その要因は、原紙の凹凸が少なくなることにより塗工層の厚みがより均一になったためと考えられる。また、実施例に係る原紙の白色ムラは比較例に係る原紙のものよりも良好であったことから、ワイヤーの変更により印刷適正が改善されていると判断できる。
次に、前記実施例と比較例のそれぞれに係る原紙について行ったパターン解析について説明する。パターンの測定方法は次の手順によって行った。
(1) サンプル表面に斜光を照射し、撮影手段であるCCDカメラで画像を撮影する。この際の画像サイズは51mm×51mmとした。
(2) 前記取得した画像を二次元フーリエ変換してパワースペクトルを取得する。
(3) 前記パワースペクトルから強度の大きい輝点を抽出する。このとき、バンドパスフィルタによって0.2〜1.0mmの波長のパターンに相当する輝点のみを抽出する。
(4) 輝点の座標(中心からの距離=パターンの間隔、中心角=パターンの方向)と強度(パターンの強さ)を各サンプルで比較する。
パワースペクトルの取得に使用した機器装置は以下の通りである。
試料台および光照射装置:杉浦研究所株式会社製 SUGIURA SL MPS−11
蛍光灯:三菱電機株式会社製 色評価用蛍光灯 FL10N−EDL
光照射角度:75°で、片側からのみ照射
測定面積:350×350mm
画像解析ソフトウェア:MediaCybernetics社製 OPTIMAS
CCDカメラ:SONY社製 Progressive Camera module model XC-85000E
暗室で評価
図3に原紙表面のCCDによる撮影画像を示してあり、同図(a)は比較例に係る原紙を、同図(b)は実施例に係る原紙を、それぞれ示している。これら(a)、(b)を比較すると、比較例原紙に較べて実施例原紙の表面のパターンが顕著に少なかった。
前記CCD画像を二次元フーリエ変換することによって得られたパワースペクトルを図4に示してあり、同図(a)が比較例原紙を、同図(b)が実施例原紙をそれぞれ示しており、同図(c)には、実施例原紙について強度よりも低い輝点も表示されるよう観察条件を変更したパワースペクトルを示してある。同一の観察条件では、図(a)と図(b)の円形で囲まれた部分の輝点の有無が相違する。すなわち、比較例原紙では輝点が観察されるのに対して、実施例原紙では観察されない。なお、同図(c)に示すように観察条件を変更することによって実施例原紙の輝点も観察できるようになる。
図5は塗工白板紙のCCDによる撮影画像を示しており、同図(a)は比較例に係る塗工白板紙を、同図(b)は実施例に係る塗工白板紙を、それぞれ示している。これら(a)、(b)を比較すると、比較例塗工白板紙に較べて実施例塗工白板紙の表面のパターンがやや少なかった。
前記CCD画像の二次元フーリエ変換することによって得られたパワースペクトルを図6に示してあり、同図(a)が比較例塗工白板紙を、同図(b)が実施例塗工原紙をそれぞれ示しており、同図(c)には、実施例塗工白板紙について強度よりも低い輝点も表示されるよう観察条件を変更したパワースペクトルを示してある。原紙の場合と同様に、同一の観察条件では、図(a)と図(b)の円形で囲まれた部分の輝点の有無が相違する。すなわち、比較例白板紙では輝点が観察されるのに対して、実施例白板紙では観察されない。なお、同図(c)に示すように観察条件を変更することによって実施例白板紙の輝点も観察できるようになる。
前述したパワースペクトルを観察することによって、実施例に係る原紙および塗工白板紙を、比較例に係る原紙および塗工白板紙と比較することができる。すなわち、同じ条件によって観察した場合に、輝点を観察できない場合には観察できる場合に較べて、原紙および塗工白板紙の表面の粗さが弱くなったことを示しており、表面の平滑性が高いと判断できる。すなわち、同一の条件でパワースペクトルによる輝点の存否を、試料となる原紙または塗工白板紙と適宜なサンプルとなる原紙または塗工白板紙とについて確認する。サンプルで輝点を観察できて試料で輝点を観察できない場合には、当該試料がこの発明に係る方法によって製造された原紙または塗工白板紙であると判断できる。さらに、観察条件を変更することによって当該試料についても輝点を観察できるようになった場合には、当該試料に係る原紙または塗工白板紙が実施例に係るものと同等であり、本発明に係る方法により製造された原紙または塗工白板紙であると、より確実に判断できる。なお、例えば、比較例に示す仕様で抄造した資料用原紙と該原紙に塗工処理を行った資料用塗工白板紙とを予め比較対象として用意し、この資料用原紙または資料用塗工白板紙と試験対象となる対象原紙または対象塗工白板紙とに同一条件で検査試験を行うことで、対象原紙または対象塗工白板紙が本願発明に係る世方法によって製造されたものであるか否かを推測できる。
この発明に係る塗工白板紙の製造方法とこの製造方法に使用する塗工白板紙の抄紙用ワイヤーおよび塗工白板紙によれば、オフセット印刷とグラビア印刷のいずれに対しても印刷適正に優れた塗工白板紙を提供でき、印刷工程の円滑化を図ると共に、印刷製品の歩留まりの向上に寄与する。
MD マシン方向
1 抄紙用ワイヤー
2u (上層の)縦糸
2d (下層の)縦糸
3u (上層の)横糸
3d (下層の)横糸
10 ワイヤーパート
10a 第1ユニット
10b 第2ユニット
10c 第3ユニット
11a 第1抄紙用ワイヤー
11b 第2抄紙用ワイヤー
11c 第3抄紙用ワイヤー
12a、12b、12c ヘッドボックス
13a、13b、13c ブレストロール
14a、14b、14c クーチロール
20 フェルト
21a、21b、21c ガイドロール
30 プレスパート

Claims (9)

  1. 少なくとも1種類以上の塗工液を多層抄きの原紙上に塗工して塗工層を形成する塗工白板紙の製造方法であって、
    前記塗工白板紙の原紙を抄造するための抄紙用ワイヤーの織物を構成する縦糸または横糸のうち、該抄紙用ワイヤーの表面に露出する糸の線径が、0.10〜0.20mmの範囲であることを特徴とする塗工白板紙の製造方法。
  2. 少なくとも1種類以上の塗工液から1つのカーテン膜を形成させ、該カーテン膜に多層抄きの原紙を通して原紙上に塗工層を形成することを含む、塗工白板紙の製造方法であって、
    前記塗工白板紙の原紙を抄造するための抄紙用ワイヤーの織物を構成する縦糸または横糸のうち、該抄紙用ワイヤーの表面に露出する糸の線径が、0.10〜0.20mmの範囲であることを特徴とする塗工白板紙の製造方法。
  3. 前記抄紙用ワイヤーを、前記原紙を抄造する際に該原紙の表下層を形成する際に使用することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の塗工白板紙の製造方法。
  4. 前記抄紙用ワイヤーを、前記原紙を抄造する際に該原紙の表層と表下層とを形成する際に使用することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の塗工白板紙の製造方法。
  5. 前記抄紙用ワイヤーの織物組織が3重織または2.5重織であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載された塗工白板紙の製造方法。
  6. 請求項1から請求項4までのいずれかに記載の抄紙用ワイヤーであって、該抄紙用ワイヤーの織物組織が3重織または2.5重織であることを特徴とする塗工白板紙の抄紙用ワイヤー。
  7. 請求項1から請求項5までのいずれかに記載の塗工白板紙の製造方法によって製造されたことを特徴とする塗工白板紙。
  8. 原紙または塗工白板紙のサンプルの表面に斜光を照射し、撮影手段で該表面の画像を取得し、
    前記表面の撮影画像を二次元フーリエ変換してパワースペクトルを取得し、
    前記パワースペクトル上に現れる輝点のうち、0.2〜1.0mmの波長のパターンに相当する輝点の強度が、8ビット表示において0〜60の範囲内であれば、原紙または塗工白板紙の表面粗さが弱いと判定して該原紙または塗工白板紙の表面の平滑性が高いと判断することを特徴とする原紙または塗工白板紙の評価方法。
  9. 請求項8に記載の原紙または塗工白板紙の評価方法を実施する際に、前記表面の撮影画像を二次元フーリエ変換して取得した前記パワースペクトル上に現れる輝点のうち、0.2〜1.0mmの波長のパターンに相当する輝点の強度が、8ビット表示において0〜60の範囲であることを特徴とする塗工白板紙。
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