JP2014237283A - 積層シートへの描画方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】漆喰層を描画層とする積層シートについて、インクジェットおよび筆による手描きによる描画において、凹凸感があり且つ耐光性を発揮することが可能な描画方法を提供する。【解決手段】漆喰層3に複数回に分けて着色材を塗布して描画像を形成するに当たり、最終回の塗布を漆喰層中の水酸化カルシウムの炭酸化率が80重量%を超える前に行う。最終回の塗布は筆による手描きが好ましく、その際の着色材は、グリセリン、水溶性ポリマー及び界面活性剤からなる群より選択された少なくとも一種の添加剤を水に対して0.1〜5.0重量%の量で含有している水に分散或いは溶解していること、および各塗布の間の積層シートの保管を炭酸ガス透過度が1,000cm3/cm2・24hrs・1atm以下のフィルム材料で形成された保管容器にて行う。【選択図】図1
Description
本発明は、積層シートへの描画方法に関するものであり、漆喰を含む漆喰層にインクジェットによる描画及び筆等による手書きによる描画が施される積層シートへの描画方法に関する。
パーソナルコンピュータやデジタルカメラの一般家庭への普及に伴い、鮮明なフルカラーの画像をプリントすることが可能なインクジェットプリンタが、価格が安価なこともあって、広く使用されている。インクジェットプリンタに用いる印刷用記録紙としては、通常の上質紙やコート紙では性能の点で使用困難であり、紙面に付着したインクが速やかに内部に吸収されること、紙面上でのインク滴の拡がりや滲みが抑制され、鮮明な画像が形成されること、得られる画像が長期にわたって色落ちなどを生じない堅牢性に優れていることなどの特性が要求される。
このような特性を印刷面(紙面)に付与するために、種々の無機固体物質を結着剤とともに紙面に塗布し或いは紙内に充填することが提案されている。例えば特許文献1には、無機固体物質として合成シリカ或いはその塩を用いること、特許文献2には、マグネシウムや亜鉛などの2価金属の弱酸塩や酸化物を被覆層として紙面に設けること、特許文献3には、天然または合成のゼオライト、ケイソウ土、合成雲母等を含有する被覆層を紙面に設けること、特許文献4,5には、クレー、タルク、炭酸カルシウム、カオリン、酸性白土、活性白土等の白色顔料によりインク吸収層を設けること、特許文献6には、多孔質球状ケイ酸塩粒子を充填することが提案されている。
しかしながら、上記のような従来公知の印刷用紙は、インクジェットプリンタ以外のレーザプリンタなどに使用されるものも含めて、いずれも得られる画像は、写真のようなフラットな画像であり、絵画調の深みのある画像を形成し得るものはなかった。
また、上記のような従来公知の印刷用紙に印刷した場合、紫外線やオゾンからインク成分を保護する機能は無く、長期間の保存には適していなかった。
ところで、本出願人は、基材シート上に形成される漆喰層に漆喰が配合されている印刷用シートを開発し、既に提案した(特許文献7)。
このような印刷用シートによれば、インクジェットプリンタを用いての印刷により、凹凸感があり、絵画調の深みがあり、堅牢で且つ鮮明な印刷画像を形成することができ、しかも、得られる印刷画像は、耐候性に極めて優れているという従来のインクジェット印刷用紙には見られない優れた利点を有する。
しかしながら、本出願人が開発した漆喰を含有した漆喰層を有する印刷用シートにおいても、未だ解決すべき課題が残されている。
即ち、漆喰とは消石灰(水酸化カルシウム)と水との混練物であり、この消石灰は、塗布され、乾燥すると、空気中の炭酸ガスと反応し、その炭酸化によって炭酸カルシウムを生成すると同時に固化するという特性(気硬性)を有する材料である。上記の漆喰層には、このような漆喰が完全に炭酸化する前の状態で保持されており、かかる漆喰含有漆喰層に画像を印刷するときには、漆喰層に形成される表面の凹凸が印刷画像に反映され、凹凸感があり深みのある印刷画像が形成されると共に、印刷画像が炭酸化カルシウムにより被覆され、堅牢性が付与されるばかりか、紫外線等の劣化要因から画像を形成しているインク成分を保護し、色あせなどが有効に防止され、優れた耐光性を示すのである。
しかるに、絵画の複製画の製造においてインクジェットにより絵画のデジタル画像データを用いて印刷する場合、原画と明確な差が生じることがある。即ち、水性インクを用いる一般的なインクジェットプリンタには白色のインクが搭載されていないため、白色部分は印刷がなされず、漆喰そのものの白色度と表面形状に依存し、原画における白色度の高い顔料で描かれた部分と比較した場合、漆喰の白色度を上回ることが困難である。また、インクジェットで描画された着色部分においては、原画における筆の筆跡(筆のタッチ)で表現されている部分と比較した場合、表現に乏しく平面的なものとなりやすいのが現状である。従って、絵画の複製画の製造においては、インクジェット印刷だけでは再現できない部分や表現に乏しい部分しか得られず、複製画の価値を損ねてしまうこととなるため、その解決方法が求められていた。
したがって、本発明の目的は、漆喰含有層が基材シート上に形成されている積層シートに描画する場合、インクジェット印刷だけでは表現できない色を加えたり、筆の筆跡の表現に乏しい部分において、立体的な表現を施すと同時に、漆喰の炭酸化による耐光性を発揮せしめることにある。
上記課題に鑑み、本発明者等は鋭意検討を行い、描画に際して大部分をインクジェット印刷により行い、上記課題がある部分については、別途の描画を行えばよい、即ち、複数回に分けて描画を行えばよいことに気づいた。そして、その描画のための着色材塗布の条件についてさらに検討を進め本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、基材シートと、該基材シートの上面に積層され且つ半固化状態の漆喰を含む漆喰層とを有する積層シートに、間隔を開けて複数回に分けて着色材料を塗布して描画を行う描画方法において、最後の塗布を漆喰層中の水酸化カルシウムの炭酸化率が80重量%を超える前に行うことを特徴とする漆喰層を有する積層シートへの描画方法が提供される。
本発明の漆喰層を有する積層シートへの描画方法においては、
(1)該漆喰層側への塗布のうち、最初がインクジェットによる色材塗布であり、最後が筆或いは刷毛による手描きによる色材塗布であること、
(2)筆或いは刷毛による手書きによる色材塗布において、着色材が、グリセリン、水溶性ポリマー及び界面活性剤からなる群より選択された少なくとも一種の添加剤を含有している水に、分散或いは溶解していることを特徴とすること、
(3)前記添加剤は、水に対して0.1〜5.0重量%の量で添加されていることを特徴とすること、
(4)各塗布の間の積層シートの保管を、炭酸ガス透過度が1,000cm3/cm2・24hrs・1atm以下の保管容器にて行うこと、
が好適である。
(1)該漆喰層側への塗布のうち、最初がインクジェットによる色材塗布であり、最後が筆或いは刷毛による手描きによる色材塗布であること、
(2)筆或いは刷毛による手書きによる色材塗布において、着色材が、グリセリン、水溶性ポリマー及び界面活性剤からなる群より選択された少なくとも一種の添加剤を含有している水に、分散或いは溶解していることを特徴とすること、
(3)前記添加剤は、水に対して0.1〜5.0重量%の量で添加されていることを特徴とすること、
(4)各塗布の間の積層シートの保管を、炭酸ガス透過度が1,000cm3/cm2・24hrs・1atm以下の保管容器にて行うこと、
が好適である。
本発明の漆喰層を有する積層シートへの描画方法においては、漆喰を含む漆喰層への塗布のうち、複数回に分けて行われる着色材塗布の最終回の塗布を、漆喰層中の水酸化カルシウムの炭酸化率が80重量%を超える前に行うため、塗布された着色材は強固に漆喰層に固定される。これにより、漆喰層に描かれた画像は耐候性に優れたものとなる。
さらに、少なくとも最後の1回を筆による手描きによる色材塗布を採用することにより、漆喰層の白色を超える白色を得ることや、筆致独特の質感を得ることが可能となり、深みのある魅力的な画像を得ることが可能となる。
また、グリセリン、水溶性ポリマー及び界面活性剤は、着色材を水中に均一に分散せしめる効果があるとともに、この着色材を含む着色液を用いて筆による手書きにより漆喰層表面に描画する際に、親水性の漆喰層に極めて親和性が高く描画性に優れることとなる。
さらに、このような添加剤の効果により、着色剤を含む着色液の親水性が高められているため、前述した描画性に優れるだけでなく、漆喰層中に浸透しやすい。その結果、漆喰層中に残存する水酸化カルシウムとの接触が増大し、該水酸化カルシウムの水への溶解を迅速に進行せしめることとなり、炭酸化により生成する炭酸カルシウムの量を増大させる効果を発揮するものと考えられる。
このような炭酸化の促進により、描画終了後の初期の状態から耐候性が向上する。さらには、より早く表面硬度が増大し、炭酸カルシウムの保護効果が発現することとなる。このため、描画された像が形成された漆喰面は、堅牢性が高く、初期段階から耐擦過性の高いものとなるわけである。
また、本発明の描画方法を採用すれば、本出願人が提案した特許文献7の印刷用シートに印刷した画像よりも、より立体感や深みのある絵画調のものとなり、壁画に近い感じとなり、一般の写真画像や絵画のプリントとは全く異質のものを得ることが可能となる。
本発明においては、基材シートと、該基材シートの上面に積層され且つ半固化状態の漆喰を含む漆喰層とを有する積層シートの漆喰層側に、間隔を開けて複数回に分けて着色材を塗布して描画を行う。
積層シートとしては、特許第5039701号に開示のものが好適に採用できる。当該積層シートを図1を参照してより詳しく説明すると、以下の通りである。
本発明における積層シートは、基材シート5と、その上に形成された半固化状態の漆喰を含む漆喰層3とから形成されており、さらに描画前には、必要により漆喰層3上に保護シート7が設けられている。即ち、この積層シートにおける漆喰層3は漆喰を含むものであり、必要により設けられる上記の保護シート7を引き剥がした後、露出した漆喰層3の表面に描画が施されるものである。以下、構成要素毎にさらに詳しく説明を行う。
<基材シート5>
基材シート5は、その表面に漆喰を含む漆喰層3が形成できるものであれば、特に制限されず、任意の材料で形成されていてよい。例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリ(メタ)アクリレート等のビニル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂などの各種の樹脂シート乃至樹脂フィルム、或いは紙などからなっていてもよいし、また、ガラス繊維、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、アクリル繊維、アラミド繊維、カーボン繊維等の繊維状物からなる織布または不織布であってもよく、さらには、これらの複合体、積層フィルムあるいはシートであってもよい。
基材シート5は、その表面に漆喰を含む漆喰層3が形成できるものであれば、特に制限されず、任意の材料で形成されていてよい。例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリ(メタ)アクリレート等のビニル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂などの各種の樹脂シート乃至樹脂フィルム、或いは紙などからなっていてもよいし、また、ガラス繊維、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、アクリル繊維、アラミド繊維、カーボン繊維等の繊維状物からなる織布または不織布であってもよく、さらには、これらの複合体、積層フィルムあるいはシートであってもよい。
但し、一般的には、基材シート5は可撓性を有しており、適度の腰の強さを有しているものであることが好ましい。このような基材シート5では、これを折り曲げても折り目が形成され難く、この基材シート5上に設けられる漆喰を含む漆喰層3に割れ目が形成されるなどの不都合を有効に抑制することができるからである。このような基材シート5の材質は、かなり制限されることとなるが、一般的には、ガラス繊維混抄紙が好適に使用される。
ガラス繊維混抄紙は、木材パルプにガラス繊維を混合して抄紙したものであり、可撓性や曲げ強さを有し、しかも漆喰層3との密着性を良好なものとすることができる。さらに、このようなガラス繊維混抄紙以外にも、ポリ酢酸ビニル繊維、ポリエステル繊維、ビニロン繊維等の化学繊維をバインダー繊維として混抄された合成紙を使用することができる。本発明において、基材シート5として最も好適に使用されるガラス繊維混抄紙は、北越製紙株式会社より、「MPS−01」の商品名で市販されている。
また、基材シート5の表面は、漆喰を含む漆喰層3との密着性を高めるために、コロナ処理などを行って親水性を向上させてもよく、サンドブラスト処理などを行って密着面積を増やしてもよく、これにより、以下に述べる漆喰層3と基材シート5との接合強度を一層向上させることができる。
また、上記の基材シート5の厚みは、インクジェット印刷に用いるプリンタの仕様に応じて、この積層シートが容易にプリンタを通すことができるような厚みに設定される。
<漆喰層3>
本発明において、漆喰層3は、漆喰を含むものであり、消石灰(水酸化カルシウム)の粉末と水との混練物に有機バインダーを加えたものを、基材シート5の親水性の面にコーティングして形成される。
本発明において、漆喰層3は、漆喰を含むものであり、消石灰(水酸化カルシウム)の粉末と水との混練物に有機バインダーを加えたものを、基材シート5の親水性の面にコーティングして形成される。
即ち、この漆喰層3を空気中に放置した場合、消石灰が炭酸ガスと反応して炭酸カルシウムを生成することにより、さらに固化が進行し、その表面硬度が増大していくこととなり、一般的には、消石灰の90重量%以上が炭酸化した段階で表面硬度がほぼ最高値に到達する。
本発明の積層シートでは、炭酸化されていない消石灰が少なくとも80重量%残存している状態でインクジェット印刷および筆による手書き等による描画が行われ、描画後に炭酸化が進行することとなる。後述する添加剤が着色材を含む着色液に配合されることより、この漆喰層3のへの浸透が高められ、描画後の炭酸化が促進され、漆喰による特性がより短時間で発揮され、その耐候性や堅牢性が短時間で発揮されることとなる。即ち、描画された像は、光による色褪せなどが像形成の初期段階から有効に防止され、さらには、描画後の早い段階から高い表面硬度となり、優れた堅牢性を示し、描画像の傷付き等を有効に防止することができるわけである。
本発明において、漆喰層3は、水酸化カルシウム(消石灰)が少なくとも20重量%は炭酸化する前の段階にある必要がある。好ましくは、この漆喰前駆体中の水酸化カルシウムが、少なくとも40重量%、好ましくは60重量%以上に保持されている状態で本発明の描画方法に供されることが好ましい。即ち、水酸化カルシウムの含有量が上記範囲よりも少ないと、炭酸化により生成する炭酸カルシウムの量が不足し、その結果、画像の堅牢性が低下し、色落ちなどを生じ易くなる傾向がある。また、着色材を含む着色液を漆喰層3の表面に施して描画を行なったとき、該着色液中に溶出し表面に浮き上がる水酸化カルシウムの量が少なくなるため、炭酸化による描画された像の保護効果が低下し、紫外線等による像の劣化抑制効果が低下するおそれを生じる。さらには、水酸化カルシウム量が少ないと、漆喰層3の表面の親水性が低くなり、インクジェットおよび筆による手書きによる描画が滲んだりするなどの不具合が起きやすくなることもある。
前記漆喰層中の水酸化カルシウムは、上記目的を達成するために多いほどよいが、あまり多すぎると漆喰層3の靱性が不十分となり、描画工程中に漆喰層3の破損等を生じ易くなるため、漆喰層3中に、漆喰層3を構成する全成分中85重量%以下、好ましくは、80重量%以下の割合とすることが好ましい。
尚、漆喰層における水酸化カルシウムの割合は、強熱減量法あるいはX線回折により確認することができる。
本発明において、前記漆喰層3における水酸化カルシウムの含有量の調整は、漆喰層3の形成に用いる水酸化カルシウムの炭酸化率及び後述する有機バインダー、適宜配合される他の添加剤(無機細骨材、吸液性無機粉体など)の配合量によって調整することができる。
この炭酸化率は、前述したスラリーの調製に用いた消石灰の重量に対し、生成した炭酸化カルシウムの重量割合を示す
上記調整方法のうち、漆喰層3の形成に用いる水酸化カルシウムの炭酸化率を調整する方法を採用する場合、炭酸化率の上限は、70重量%、特に40重量%とすることが望ましい。即ち、炭酸化が過度に進みすぎた場合、漆喰層3の表面が緻密化され、印刷インクや着色材を含む着色液の漆喰層内部への浸透性が低下する傾向がある。
上記調整方法のうち、漆喰層3の形成に用いる水酸化カルシウムの炭酸化率を調整する方法を採用する場合、炭酸化率の上限は、70重量%、特に40重量%とすることが望ましい。即ち、炭酸化が過度に進みすぎた場合、漆喰層3の表面が緻密化され、印刷インクや着色材を含む着色液の漆喰層内部への浸透性が低下する傾向がある。
このような炭酸化による表面の緻密化の程度は、前述した特許文献7の実施例にも示されているように、漆喰層3表面の耐摩擦度によって判定することができ、対摩擦度が4級以下の状態で炭酸化を止めておくことが好適である。
本発明においては、描画後に漆喰層3を大気中に放置することにより、漆喰層3中の水酸化カルシウムが炭酸化して炭酸化カルシウムとなるわけであるが、このような漆喰層3の靭性等を向上させるために、漆喰層3には、有機バインダーが配合される。このような有機バインダーは、漆喰層3のマトリックスを形成するものであり、ポリマーのエマルジョン固形分の形で漆喰層3中に存在する。
このポリマーのエマルジョンは、水媒体中にモノマー、オリゴマー或いはこれらの重合体等が分散したものであり、例えば(メタ)アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、スチレン/アクリル樹脂、ポリウレタン、スチレン/ブタジエンゴム系等の重合体のエマルジョンが代表的である。
このようなポリマーのエマルジョンは、乾燥工程で、媒体(水)が蒸発してエマルジョン中のポリマー成分が漆喰層3中に残存することとなる。即ち、このようなエマルジョンの固形分(即ちポリマー)が過度に存在すると、印刷インクや着色材を含む着色液の漆喰層3中への浸透性が低下する傾向がある。従って、漆喰層3の靭性を高め且つインクの浸透性を確保するために、一般に、漆喰層3における有機バインダー(ポリマーエマルジョン)の固形分は、5〜50重量%の範囲であることが好ましい。
本発明における漆喰層3中には、上記の有機バインダー以外にも、漆喰層3の物性を調整するための各種添加剤、例えば各種繊維材、無機細骨材、吸液性無機粉体等が配合されていてよい。これらの添加剤は、漆喰層3の強度等の物理特性を向上させるものである。
繊維材の例としては、ガラス繊維、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、アクリル繊維、アラミド繊維、カーボン繊維、金属繊維等を挙げることができる。また、繊維の形状としては短繊維、長繊維、織布、不織布等の形状のものが使用できるが、これらのうち短繊維は漆喰層3の靱性および切断加工性の向上に特に有効である。このような短繊維の長さおよび直径は特に制限されないが、長さは1mm〜10mm、特に2mm〜6mmであり、直径は5〜50μm、特に10〜30μmであることが、漆喰層3の靱性をより向上させ、場合によっては、切断加工性においても優れたものとするために好適である。
また、無機細骨材は、平均粒子径が0.01〜2mm程度の範囲内にある無機粒状物であり、この範囲内で、漆喰層3の厚みの1/2以下の平均粒子径を有するもの、具体的には、珪砂、寒水砂、マイカ、施釉珪砂、施釉マイカ、セラミックサンド、ガラスビーズ、パーライト、或いは炭酸カルシウムなどを挙げることができる。
また、本発明においては、漆喰層3にてポリマーエマルジョンを用いることによる親水性インクとの親和性の低下、漆喰層3の水酸化カルシウムの炭酸化の進行に伴い低下する吸液性を補うため、吸液性無機粉体を併用することもできる。この吸液性無機粉体は、多孔質であり、吸油量が100ml/100g以上と高い、微細な無機粉末、例えばレーザ回折散乱法で測定される体積換算での平均粒径(D50)が0.1μm以下のアルミナ粉末、ゼオライト粉末などである。
即ち、前述したポリマーエマルジョンは、靭性を向上させ、さらには基材シート5と漆喰層3との密着性(接合強度)を高めるためには有効であるが、反面、漆喰層3の親水性を低下させる。このため、例えば親水性インクなどを用いて印刷を行った場合、インクをはじいてしまい、印刷画像が滲んでしまうなどの不都合を生じることがある。しかるに、上述した吸液性無機粉体の使用は、印刷インクや着色剤を含む着色液の漆喰層への吸収性を向上させるため、上記の不都合を有効に防止し得る点で好適である。特に、この吸液性無機粉体は、1乃至10重量%程度の量で漆喰層3中に配合されていることが好ましい。
本発明において、漆喰層3中に配合され得る各種添加剤は、その目的に応じて、それぞれ1種単独でも、2種以上が配合されていてもよいが、何れにしろ、印刷インクの漆喰層3への浸透や固定が損なわず、且つ漆喰層3の表面の親水度が損なわれない程度の量で配合すべきであり、例えば、消石灰が炭酸化して形成される炭酸カルシウムの含有量(即ち、炭酸化率100重量%のときの炭酸カルシウム含有量)が50重量%以上に維持される範囲において、各種の添加剤が配合されることが望ましい。
上記のような漆喰層3の厚みは、印刷可能な適宜の範囲に設定されるが、一般的には、0.05乃至0.5mm、特に0.1乃至0.3mm程度の範囲が好適である。即ち、この厚みが過度に薄いと、描画したときに、印刷インクや着色材を含む着色液の浸透による画像固定性が低下したり、或いは凹凸などによって発現する画像の深みが損なわれたりするおそれがある。また、あまり厚いと経済的に不利となり、折り曲げによって折り目が形成され易くなるなど、描画に際して用いるインクジェットプリンタが制限されるおそれなどを生じるからである。
<保護シート7>
また、漆喰層3は、無機粒子(水酸化カルシウムや炭酸カルシウムの粒子)から形成されているため、比較的脆く、外部からの圧力によって傷が付いたりして商品価値が低下するおそれがある。従って、積層シートの製造直後から本発明の描画方法により描画を行うまでの間、漆喰層3の表面を保護するために、漆喰層3の上面に、保護シート7を設けておくこともできる。この保護シート5は、印刷時には引き剥がされるものであるが、引き剥がしに際して漆喰層3の表面の一部を脱落させて表面に顕著な凹凸を形成させるという機能を有するものであるため、例えば、200〜4000mN/25mm、特に、800〜2000mN/25mmの剥離強度で設けられているのがよい。即ち、剥離強度が過度に高いと、印刷時に保護シート7を引き剥がすことが困難となってしまい、また、剥離強度があまり低いと、保護シート7を剥がしたときに漆喰層3の表面に十分な大きさの凹凸を形成することが困難となるおそれがあるからである。
また、漆喰層3は、無機粒子(水酸化カルシウムや炭酸カルシウムの粒子)から形成されているため、比較的脆く、外部からの圧力によって傷が付いたりして商品価値が低下するおそれがある。従って、積層シートの製造直後から本発明の描画方法により描画を行うまでの間、漆喰層3の表面を保護するために、漆喰層3の上面に、保護シート7を設けておくこともできる。この保護シート5は、印刷時には引き剥がされるものであるが、引き剥がしに際して漆喰層3の表面の一部を脱落させて表面に顕著な凹凸を形成させるという機能を有するものであるため、例えば、200〜4000mN/25mm、特に、800〜2000mN/25mmの剥離強度で設けられているのがよい。即ち、剥離強度が過度に高いと、印刷時に保護シート7を引き剥がすことが困難となってしまい、また、剥離強度があまり低いと、保護シート7を剥がしたときに漆喰層3の表面に十分な大きさの凹凸を形成することが困難となるおそれがあるからである。
尚、前記剥離強度は、JIS−K6854−2の接着剤−剥離接着強さ試験方法−第2部:180度剥離に準じ、幅25mmの試験体を用い、引張速度300mm/分で引っ張ることにより測定した値である。
上記のような保護シート7は、保護機能を有し且つ上記のような剥離強度で漆喰層3上に設けることが可能である限り、任意の材料から形成されていてよいが、一般的には、ガラス繊維、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、アクリル繊維、アラミド繊維、カーボン繊維等の繊維状物からなる織布または不織布などが保護シート7として使用される。また、保護シート7として、非通気性のシート、例えばシリコンペーパーなどを用いて、漆喰層3の保護機能と同時に、印刷時までの間に漆喰層3の炭酸化を防止するという機能を持たせることも可能である。
保護シート7の厚みは、適度な保護機能が発現する程度のものであればよく、一般的には0.01乃至2.0mm程度である。
<描画方法>
本発明における描画方法は、上述した如き積層シートの漆喰層側に、間隔を開けて複数回に分けて着色材を塗布して行う。当該複数回の塗布のうち、最初の一回目の着色材塗布はインクジェット印刷によることが好ましい。また最後の着色材塗布は筆或いは刷毛による手描きによることが好ましい。インクジェット印刷によれば大画面に高速に描画することができ、色調や質感の異なる筆或いは刷毛による塗布を最後に行うことにより、意匠性の優れた描画が可能となる。
本発明における描画方法は、上述した如き積層シートの漆喰層側に、間隔を開けて複数回に分けて着色材を塗布して行う。当該複数回の塗布のうち、最初の一回目の着色材塗布はインクジェット印刷によることが好ましい。また最後の着色材塗布は筆或いは刷毛による手描きによることが好ましい。インクジェット印刷によれば大画面に高速に描画することができ、色調や質感の異なる筆或いは刷毛による塗布を最後に行うことにより、意匠性の優れた描画が可能となる。
また着色材塗布を三回以上行う場合における最初と最後以外の塗布は、インクジェット印刷によっても良いし、筆或いは刷毛によっても良いし、その他の公知の着色材による描画方法によってもよい。なお各着色材の塗布後、次の塗布までの間、必要に応じて5〜120分間インクを乾燥させる期間を設けることが好ましい。
本発明においては、上記複数回に渡って行われる着色材の塗布のうち、最後の塗布を漆喰層中の水酸化カルシウムの炭酸化率が80重量%を超える前に行うことを特徴とする。炭酸化率がこれを上回ると、着色材の耐久性が劣るものとなってしまう。通常、一回限りの描画に供される積層シートは炭酸化率が低く、着色材の乗りがよく耐久性に優れるが、本発明の如く間隔を開けて複数回に分けて着色材の塗布を行おうとする場合、該塗布と塗布の間に炭酸化が進行してしまう可能性がある。本発明においては十分な耐久性を得るために、炭酸化が80重量%以下、好ましくは70重量%以下、特に好ましくは50重量%以下となるように、塗布間隔を狭くするか、炭酸化が進まない条件で保管する。
例えば、上記複数回の塗布の間に漆喰層の炭酸化が進行してしまい炭酸化率が80重量%を超えないようにするために、塗布と塗布との間の保管を、炭酸ガス透過度が1,000cm3/cm2・24hrs・1atm以下、好ましくは500cm3/cm2・24hrs・1atm以下のフィルム材料で形成された保管容器で行うことが好ましい。
以下、インクジェット、筆或いは刷毛での着色材塗布の際に用いる着色材、保管容器について詳しく説明する。
<インクジェット>
本発明における描画は、好ましくは先ず、インクジェットにより施される。用いるインクとしては、インクジェット印刷に用いられる公知の着色材(インク)が使用出来るが、水溶性染料が溶解し或いは顔料が水(或いは水/アルコール混合溶媒など)に分散された親水性のインクが最も好適である。このような親水性のインクを用いた場合には、漆喰層3上に滲みがなく且つ安定に保持された鮮鋭な画像を形成することができる。特に、本発明においては、発色性および耐光性の観点から顔料を使用したインクが好適に使用される。用いる印刷機としては、公知のインクジェットプリンタが使用できる。インクジェットによる描画は、複数回行うことが可能である。
<筆或いは刷毛>
本発明において、筆或いは刷毛による手書きによる着色材塗布に使用される、着色材を含む着色液は、グリセリン、水溶性ポリマー及び界面活性剤からなる群より選択された少なくとも一種の添加剤を含有していることが好適である。これらの添加剤は、水に対して0.1〜5.0重量%の量で添加されていることが好ましい。即ち、添加剤の水に対する添加量が0.1重量%より少ないと、着色材を含む着色液の親水性が向上せず、筆或いは刷毛による手書きによる描画の際、漆喰層に浸透しにくく、その結果、漆喰層中の水酸化カルシウムの水への溶出が抑制されることとなり、その後の炭酸化による炭酸カルシウムの被覆効果が限定されてしまう。一方、添加剤の水に対する添加量が5.0重量%より多いと、筆による手書きによる描画の際、着色材を含む着色液の乾燥が遅くなり、描画に時間がかかりすぎて実用的ではない。また、平均分子量が高い水溶性ポリマーを添加剤とした場合、着色材を含む着色液の粘度が高くなりすぎて、筆或いは刷毛でうまく描ける範囲を逸脱してしまうことになる。
本発明における描画は、好ましくは先ず、インクジェットにより施される。用いるインクとしては、インクジェット印刷に用いられる公知の着色材(インク)が使用出来るが、水溶性染料が溶解し或いは顔料が水(或いは水/アルコール混合溶媒など)に分散された親水性のインクが最も好適である。このような親水性のインクを用いた場合には、漆喰層3上に滲みがなく且つ安定に保持された鮮鋭な画像を形成することができる。特に、本発明においては、発色性および耐光性の観点から顔料を使用したインクが好適に使用される。用いる印刷機としては、公知のインクジェットプリンタが使用できる。インクジェットによる描画は、複数回行うことが可能である。
<筆或いは刷毛>
本発明において、筆或いは刷毛による手書きによる着色材塗布に使用される、着色材を含む着色液は、グリセリン、水溶性ポリマー及び界面活性剤からなる群より選択された少なくとも一種の添加剤を含有していることが好適である。これらの添加剤は、水に対して0.1〜5.0重量%の量で添加されていることが好ましい。即ち、添加剤の水に対する添加量が0.1重量%より少ないと、着色材を含む着色液の親水性が向上せず、筆或いは刷毛による手書きによる描画の際、漆喰層に浸透しにくく、その結果、漆喰層中の水酸化カルシウムの水への溶出が抑制されることとなり、その後の炭酸化による炭酸カルシウムの被覆効果が限定されてしまう。一方、添加剤の水に対する添加量が5.0重量%より多いと、筆による手書きによる描画の際、着色材を含む着色液の乾燥が遅くなり、描画に時間がかかりすぎて実用的ではない。また、平均分子量が高い水溶性ポリマーを添加剤とした場合、着色材を含む着色液の粘度が高くなりすぎて、筆或いは刷毛でうまく描ける範囲を逸脱してしまうことになる。
このような添加剤としては、グリセリン、水溶性ポリマー及び界面活性剤が使用され、それぞれ、1種単独で或いは2種以上を組みあわせて使用することができる。
これらの内、水溶性ポリマーは、水に対する溶解度(25℃)が10質量%以上のポリマーであり、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンオキサイド、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコールポリアクリル酸ブロック共重合体、ポリビニルアルコールポリアクリル酸エステルブロック共重合体、ポリグリセリン等を例示することができる。
また、界面活性剤としては、HLBが10以上、特に12〜18の非イオン性界面活性剤が好適に使用される。例えば、HLBがかかる範囲であることを条件として、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテルのホルマリン縮合物、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリンエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミドなどが界面活性剤として好適に使用される。
本発明において、好適な添加剤は、グリセリン及び界面活性剤であり、最も好ましくは、グリセリンである。
また、本発明において用いられる着色材は、とくに制限がないが、耐光性の観点から無機顔料が好適に使用される。該無機顔料としては、その平均粒子径が0.05μm〜2.0μmのものが使用される。平均粒子径が小さすぎると、漆喰層への水の浸透に伴い、多くの無機顔料が連動して下地材方向へ移動し、漆喰層表面の組成において、該無機顔料の成分比率が低下するため、発色性が損なわれることになる。一方、平均粒子径が大きすぎると、塗膜から無機顔料粒子が剥がれやすくなり、耐久性に劣る。
本発明には、従来公知の無機顔料が使用される。例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、鉄黒、カドミウムイエロー、クロムバーミリオン、カドミウムオレンジ、弁柄、ファーストスカイブルー、紺青、群青、コバルトブルー、ピグメントグリーンB、ビリジアン、シェンナー、アンバー、硫化亜鉛、硫酸バリウム、酸化ジルコニウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、黄色酸化鉄、銅クロマイトブラック、酸化クロムグリーン、クロムグリーン、バイオレット、クロムイエロー、クロムグリーン、クロム酸鉛、モリブデン酸鉛、チタン酸カドミウム、ニッケルチタンイエロー、ウルトラマリーンブルー、ビスマスバナデート、カドミウムレッドなどの無機顔料、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウムなどの体質無機顔料、マイカの表面を金属酸化物で被覆した無機パール顔料などが使用できる。
これらの無機顔料は、1種単独でもよく、2種以上を適宣選択して組み合わせて用いることもできる。
本発明の顔料組成物を前述の漆喰層に塗布する場合、無機顔料の使用量は、無機顔料の種類や他の成分により異なるが、着色液の濃度として10〜90重量%が好ましく、30〜80重量%が特に好ましい。
本発明において、上記筆或いは刷毛による手書きによる描画は、先ず、親水性インクを用いたインクジェットで描画が施された後、続いて着色材を含む着色液を使用して、筆或いは刷毛による手書きにより描画が施されることが好ましい。用いる該着色液は、前述のごとく水と添加剤および着色材が混合された親水性のものが好適である。着色材と水および添加剤は、容器に所定量入れて撹拌することで得られる。容器への投入はどの順番でも差支えないが、一般的には、所定量の水を入れた容器にグリセリン、水溶性ポリマー及び界面活性剤からなる群より選択された少なくとも一種の添加剤を、水に対して0.1〜5.0重量%の濃度になるように投入し、均一に撹拌したのち着色剤を投入する方法が用いられる。
このようにして得られた着色剤を含む着色液を筆や刷毛にしみこませて、インクジェットによる描画が行われた像の上に直接描画が施されることになるが、当該描画は、該着色液を筆或いは刷毛などの公知の描画方法によって行われる。
このように着色剤を使用して筆による手書きにより描画する場合にも、1回或いは複数回に分けて描画することが可能である。筆による手書きによる描画の際に、色を重ねて描くなど1回の描画では技術的に描ききれない場合、或いは時間的な制限で2回以上の描画作業になる場合などが挙げられる。
<保管容器>
本発明においては着色材の複数回の塗布は間隔を開けて行われる。当該間隔は一般的には数分〜数ヶ月である。間隔が1時間程度までであれば、大気中で保管しても炭酸化が著しく進行してしまい80重量%を超えることは通常ないが、それ以上の間隔を設ける場合には、各塗布の間、積層シートの保管を、炭酸ガス透過度が1,000cm3/cm2・24hrs・1atm以下の保管容器にて行うことが好適である。当該保管容器の材質としては、樹脂、金属、ガラス等の公知の如何なる材質でもよいが、特に好ましくは、樹脂製のフィルムである。このようなフィルムとしては、特に制限されるものではなく、一般に包装用フィルムとして使用されているポリプロピレン、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンなどの各種樹脂フィルムが使用されるが、本発明においては、特に限定されるものではなく、さらに、これらの単層若しくは多層構造のフィルムを使用することもできる。例えば、ガスバリア性の高いナイロン、ポリエチレンテレフタレートに良好なシール特性を有するポリエチレンを積層することにより、低い炭酸ガス透過度とシール性を併せ持つフィルムを得ることができる。
本発明においては着色材の複数回の塗布は間隔を開けて行われる。当該間隔は一般的には数分〜数ヶ月である。間隔が1時間程度までであれば、大気中で保管しても炭酸化が著しく進行してしまい80重量%を超えることは通常ないが、それ以上の間隔を設ける場合には、各塗布の間、積層シートの保管を、炭酸ガス透過度が1,000cm3/cm2・24hrs・1atm以下の保管容器にて行うことが好適である。当該保管容器の材質としては、樹脂、金属、ガラス等の公知の如何なる材質でもよいが、特に好ましくは、樹脂製のフィルムである。このようなフィルムとしては、特に制限されるものではなく、一般に包装用フィルムとして使用されているポリプロピレン、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンなどの各種樹脂フィルムが使用されるが、本発明においては、特に限定されるものではなく、さらに、これらの単層若しくは多層構造のフィルムを使用することもできる。例えば、ガスバリア性の高いナイロン、ポリエチレンテレフタレートに良好なシール特性を有するポリエチレンを積層することにより、低い炭酸ガス透過度とシール性を併せ持つフィルムを得ることができる。
上記のようにして描画が施された漆喰層3は、既に述べたように、これを大気中に放置することにより、迅速に、大気中の炭酸ガスを吸収し、残存する水酸化カルシウムの炭酸化が進行し、固化が進行し、例えば、描画後、120時間程度で、耐候性や堅牢性に優れた特性を示し、描画後のかなり早い初期段階から優れた特性が発揮され、これを擦ったりしても色落ち等を生じることがなく、また、紫外線等からインク成分や着色剤成分を保護することができ、長期間、安定に保持される。
また、得られる描画された像は、凹凸のある多孔質の漆喰に浸透して固定されて壁画調となり、一般的な写真画像やインクジェットのみによる印刷された画像などと比較すると、深みや立体感に富んだものとなる。
以下、本発明を実施例を用いてより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下に、実験例で用いた各試験方法および材料を示す。
(1)漆喰層の炭酸化率:
強熱減量法により、漆喰層中の水酸化カルシウムおよび炭酸カルシウムを定量し、水酸化カルシウムの炭酸カルシウムへの変化率を炭酸化率として算出した。
強熱減量法により、漆喰層中の水酸化カルシウムおよび炭酸カルシウムを定量し、水酸化カルシウムの炭酸カルシウムへの変化率を炭酸化率として算出した。
(2)漆喰面の表面硬度:
JIS K 5600−5−4に準拠した鉛筆引っかき硬度試験機「No.533−S」(安田精機製作所製)を用いて測定を行った。
JIS K 5600−5−4に準拠した鉛筆引っかき硬度試験機「No.533−S」(安田精機製作所製)を用いて測定を行った。
(3)耐候性試験:
各実施例及び比較例に示す条件で作製された積層シート(A4判)を用意した。その積層シートにインクジェットプリンタ(エプソン製PX−5500型、顔料が分散された水溶性インク使用)により、イエローを50%濃度で印刷したものを各シート2枚ずつ用意した。各々1枚ずつを紫外線照射用蛍光ランプ(三菱電機製、蛍光ランプ、型式:FL30SBL−360)により、500uW/cm2の強度の紫外線を照射し、残りの1枚ずつは、暗所に保存した。
各実施例及び比較例に示す条件で作製された積層シート(A4判)を用意した。その積層シートにインクジェットプリンタ(エプソン製PX−5500型、顔料が分散された水溶性インク使用)により、イエローを50%濃度で印刷したものを各シート2枚ずつ用意した。各々1枚ずつを紫外線照射用蛍光ランプ(三菱電機製、蛍光ランプ、型式:FL30SBL−360)により、500uW/cm2の強度の紫外線を照射し、残りの1枚ずつは、暗所に保存した。
一定時間、紫外線を照射した用紙と暗所に保存した用紙を取り出し、分光色差計(日本電色工業製、ハンディ型簡易分光色差計、型番:NF333)でイエローについて、JIS Z 8730に準じて、紫外線照射部分と未照射部分の各色のL*、a*、b*表色系における色差(△Ey)を求めた。
△Ey:イエローの領域における紫外線照射部分と未照射部分の色差
尚、色の変化が大きいとこの値が大きくなる。
尚、色の変化が大きいとこの値が大きくなる。
(4)インクジェットによる描画:
インクジェットプリンタ(エプソン製、型式:PX−5600、顔料が分散された水性インク使用)によりイエロー(濃度:40%)を描画した。
インクジェットプリンタ(エプソン製、型式:PX−5600、顔料が分散された水性インク使用)によりイエロー(濃度:40%)を描画した。
(5)筆による手書きによる描画:
山陽色素株式会社製 ピグメントイエロー(PY−74)を添加剤が所定量添加された水に10重量%の濃度になるように添加し、インクジェットによる描画の上に5g/m2の塗布量になるように筆による手描きにより均一に描画した。
山陽色素株式会社製 ピグメントイエロー(PY−74)を添加剤が所定量添加された水に10重量%の濃度になるように添加し、インクジェットによる描画の上に5g/m2の塗布量になるように筆による手描きにより均一に描画した。
(6)積層シートA:
基材シート:炭カル紙
漆喰層:水酸化カルシウム含有量65重量%、厚み140μm
炭酸化率35重量%
特許第5039701号(特許文献1)の製造例1と同様に作製されたものである。
基材シート:炭カル紙
漆喰層:水酸化カルシウム含有量65重量%、厚み140μm
炭酸化率35重量%
特許第5039701号(特許文献1)の製造例1と同様に作製されたものである。
(7)添加剤A:
グリセリン(和光純薬製)
(8)添加剤B:
ポリビニルピロリドン(和光純薬製、平均分子量:35,000)
(9)添加剤C:
ポリオキシエチレンラウリルエーテル(花王製「エマルゲン123P」、HLB:16.9)。
グリセリン(和光純薬製)
(8)添加剤B:
ポリビニルピロリドン(和光純薬製、平均分子量:35,000)
(9)添加剤C:
ポリオキシエチレンラウリルエーテル(花王製「エマルゲン123P」、HLB:16.9)。
<実施例1〜3>
210mm×300mmの積層シートAの漆喰層表面にインクジェットでイエローを描画し、空気中で15分間乾燥させた。つづいて、炭酸ガス透過度が400cm3/cm2・24hrs・1atmで厚さが25μmのポリエチレンテレフタレート製の保管袋に15日間保管した。保管後の炭酸化率は41重量%であった。
210mm×300mmの積層シートAの漆喰層表面にインクジェットでイエローを描画し、空気中で15分間乾燥させた。つづいて、炭酸ガス透過度が400cm3/cm2・24hrs・1atmで厚さが25μmのポリエチレンテレフタレート製の保管袋に15日間保管した。保管後の炭酸化率は41重量%であった。
次に保管袋からインクジェットにより描画が施された積層シートを取り出し、表1の着色液を用いて、インクジェットにより描画が施された上に筆による手書きによる描画を行い、30分間乾燥させ試験体を得た。この時の試験体の表面硬度および炭酸化率を表2に示す。
つづいてこの試験体を常温で20日間放置し、炭酸化させた。この時の試験体の表面硬度および炭酸化率を表2に示す。また、耐光性試験の結果も表1に示す。
<実施例4>
210mm×300mmの積層シートAの漆喰層表面にインクジェットでイエローを描画し、空気中で15分間乾燥させた。つづいて、炭酸ガス透過度が400cm3/cm2・24hrs・1atmで厚さが25μmのポリエチレンテレフタレート製の保管袋に15日間保管した。
210mm×300mmの積層シートAの漆喰層表面にインクジェットでイエローを描画し、空気中で15分間乾燥させた。つづいて、炭酸ガス透過度が400cm3/cm2・24hrs・1atmで厚さが25μmのポリエチレンテレフタレート製の保管袋に15日間保管した。
次に保管袋からインクジェットにより描画が施された積層シートを取り出し、表1の着色液を用いた以外は、実施例と同様の操作を行った。この時の試験体の表面硬度および炭酸化率を表2に示す。また、20日間放置した後の試験体の表面硬度、炭酸化率および耐光性試験の結果を表2に示す。
<実施例5>
210mm×300mmの積層シートAを室温にて30日間放置し、漆喰層を炭酸化させた積層シートを得た。
210mm×300mmの積層シートAを室温にて30日間放置し、漆喰層を炭酸化させた積層シートを得た。
次に、この積層シートAの炭酸化された漆喰層表面にインクジェットでイエローを描画し、空気中で15分間乾燥させた。つづいて、炭酸ガス透過度が400cm3/cm2・24hrs・1atmで厚さが25μmのポリエチレンテレフタレート製の保管袋に15日間保管した。
次に保管袋からインクジェットにより描画が施された積層シートを取り出し、表1の着色液を用いた以外は、実施例と同様の操作を行った。この時の試験体の表面硬度および炭酸化率を表2に示す。また、20日間放置した後の試験体の表面硬度、炭酸化率および耐光性試験の結果を表2に示す。
着色液は、漆喰層中への浸透が困難であった。
<実施例6>
210mm×300mmの積層シートAを漆喰層表面にインクジェットでイエローを描画し、空気中で15分間乾燥させた。つづいて、炭酸ガス透過度が5,000cm3/cm2・24hrs・1atmで厚さが20μmの二軸延伸ポリプロピレン製の保管袋に15日間保管した。
210mm×300mmの積層シートAを漆喰層表面にインクジェットでイエローを描画し、空気中で15分間乾燥させた。つづいて、炭酸ガス透過度が5,000cm3/cm2・24hrs・1atmで厚さが20μmの二軸延伸ポリプロピレン製の保管袋に15日間保管した。
次に保管袋からインクジェットにより描画が施された積層シートを取り出し、実施例と同様の操作を行った。この時の試験体の表面硬度および炭酸化率を表2に示す。また、20日間放置した後の試験体の表面硬度、炭酸化率および耐光性試験の結果を表2に示す。
着色液は、漆喰層への均一な塗布が困難であり、漆喰層中への浸透が困難であった。
<比較例1>
インクジェット描画後の15日間の保管を大気中で保管した以外は実施例1と同様の操作を行った。この保管後の炭酸化率は90重量%であり、80重量%を大きく超えていた。その結果、筆により描画された部分の耐光性試験実施した結果、色差(△Ey)が10.7となり、著しく劣っていた。
インクジェット描画後の15日間の保管を大気中で保管した以外は実施例1と同様の操作を行った。この保管後の炭酸化率は90重量%であり、80重量%を大きく超えていた。その結果、筆により描画された部分の耐光性試験実施した結果、色差(△Ey)が10.7となり、著しく劣っていた。
1:積層シート
3:漆喰層
5:基材シート
7:保護シート
3:漆喰層
5:基材シート
7:保護シート
Claims (5)
- 基材シートと、該基材シートの上面に積層され且つ半固化状態の漆喰を含む漆喰層とを有する積層シートの漆喰層側に、間隔を開けて複数回に分けて着色材料を塗布して描画を行う描画方法において、最終回の着色材塗布を、漆喰層中の水酸化カルシウムの炭酸化率が80重量%を超える前に行うことを特徴とする漆喰層を有する積層シートへの描画方法。
- 該漆喰層側への描画において、最初の着色材塗布がインクジェットによるものであり、最後が筆或いは刷毛による手描きによる着色材塗布である請求項1記載の描画方法。
- 筆或いは刷毛による手書きによる着色材塗布において、着色材が、グリセリン、水溶性ポリマー及び界面活性剤からなる群より選択された少なくとも一種の添加剤を含有している水に、分散或いは溶解していることを特徴とする請求項2に記載の描画方法。
- 前記添加剤は、水に対して0.1〜5.0重量%の量で添加されていることを特徴とする請求項3に記載の描画方法。
- 各塗布の間の積層シートの保管を、炭酸ガス透過度が1,000cm3/cm2・24hrs・1atm以下の保管容器にて行う請求項1乃至4に記載の描画方法。
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