(発明の詳細な説明)
本発明の方法および組成物を記載する前に、本発明は、記載される特定の方法にも組成物にも限定されず、よって、当然のことながら、変動し得ることが理解されるべきである。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるので、本明細書で使用される用語法は、特定の実施形態を記載する目的に過ぎず、限定されることは意図していないことも理解されるべきである。
ある範囲の値が提供される場合、文脈が明らかに別のことを示さなければ、その範囲の上限と下限との間にある、下限の単位の1/10までの、間にある各値もまた、具体的に開示されていると理解される。示された範囲における任意の示される値もしくは間にある値と、その示された範囲における任意の他の示されるもしくは間にある値との間のより小さなそれぞれの範囲は、本発明内に包含される。これらのより小さな範囲の上限および下限は、独立して、上記範囲に含まれてもよいし、排除されてもよく、上記限界のいずれか一方か、いずれでもないか、もしくは両方の限界がより小さな範囲に含まれる各範囲もまた、上記示された範囲における任意の具体的に排除された限界を条件として、本発明内に包含される。上記示された範囲が上記限界のうちの一方もしくは両方を含む場合、その含められた限界のうちのいずれかもしくは両方を排除する範囲もまた、本発明に包含される。
別段定義されなければ、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものに類似もしくは等価な任意の方法および材料が、本発明の実施もしくは試験にあたって使用され得るが、いくつかの潜在的かつ好ましい方法および材料が、ここで記載される。本明細書で言及される全ての刊行物は、上記刊行物が引用されるものに関連して方法および/もしくは材料を開示および記載するために、本明細書に参考として援用される。本開示は、矛盾が存在する程度まで援用される刊行物の任意の開示に取って代わることが理解される。
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの、ある(a)」、「1つの、ある(an)」および「上記、この、その(the)」は、文脈が明らかに別のことを示さなければ、複数形の指示対象を含むことに注意しなければならない。従って、例えば、「1つの細胞」への言及は、このような複数の細胞を包含し、「上記ペプチド」への言及は、1種以上のペプチドおよびその等価物(例えば、当業者に公知の、ポリペプチドなど)への言及を包含する。
本明細書で考察される刊行物は、本願の出願日より前のそれらの開示を提供するに過ぎない。本発明が、先行発明によってこのような刊行物より前にある権利を与えられないということを認めるものとして解釈されるべきことは、本明細書には何もない。さらに、提供される刊行物の日付は、実際の刊行日とは異なる場合があり、独立して確認される必要があるかもしれない。
(定義)
ミニwnt組成物およびそれらの使用法が提供される。これら組成物および方法は、Wntレセプターを発現する細胞においてWntシグナル伝達を阻害することにおいて(例えば、異常な細胞増殖を阻害するために);治療部分を、Wntレセプターを発現する細胞に送達することにおいて;画像化部分を、Wntレセプターを発現する細胞に送達することにおいて;およびWnt特異的抗体を生成することにおいて特定の用途を見出す。本発明のこれらおよび他の目的、利点、および特徴は、以下でより十分に記載されるような、上記組成物および方法の詳細を読めば、当業者に明らかになる。
「Wntタンパク質」は、胚形成および成熟組織の両方において重要な役割を果たす高度に保存された分泌型シグナル伝達分子のファミリーのメンバーである。用語「Wnt」もしくは「Wnt遺伝子生成物」もしくは「Wntポリペプチド」は、本明細書で使用される場合、天然の配列のWntポリペプチド、Wntポリペプチド改変体、WntポリペプチドフラグメントおよびキメラWntポリペプチドを包含する。「ミニwntポリペプチド」は、その由来の上記全長Wntタンパク質が1種以上のWntレセプターに特異的に結合する能力を保持する、全長Wntタンパク質のフラグメントであるポリペプチドである。Wntレセプターへの上記ミニwntの結合は、上記Wntレセプターからのシグナル伝達が阻害されるという点において、ドミナントネガティブ効果を有し得る。
用語「天然配列のWntポリペプチド」とは、これらが天然において見いだされる場合の配列を含むWntポリペプチドをいう。例えば、本願における目的のヒトの天然配列のWntタンパク質は、以下を含む:
各メンバーは、上記ファミリーと種々の程度の配列同一性を有するが、全ては、23〜24個の保存されたシステイン残基を含む小さな(すなわち、39〜46kD)、アシル化され、パルミトイル化された、分泌型の糖タンパク質(その間隔は、高度に保存されている(McMahon, A P et al., Trends Genet. 1992;8: 236−242;Miller, J R. Genome Biol. 2002;3(1): 3001.1−3001.15))をコードする。本発明において目的の他の天然配列のWntポリペプチドは、任意の哺乳動物(飼い慣らされた動物および家畜、ならびに動物園動物、実験動物もしくはペット動物(例えば、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウサギ、ラット、マウス、カエル、ゼブラフィッシュ、ショウジョウバエ、蠕虫など)が挙げられる)に由来する上記のもののオルソログを含む。
「天然配列」のミニwntポリペプチドは、ある配列のWntポリペプチドのアミノ酸配列のフラグメントである。このような天然配列のポリペプチドは、内因性Wntタンパク質を生成する細胞から単離され得るか、または組換え手段もしくは合成手段によって生成され得る。従って、天然配列のミニwntポリペプチドは、例えば、天然に存在するヒトWntポリペプチド、マウスWntポリペプチド、または任意の他の哺乳動物種もしくは非哺乳動物種(例えば、Drosophila、C. elegansなど)に由来するポリペプチドによって含まれるアミノ酸配列を有し得る。
「改変」ミニwntポリペプチドは、そのフラグメントの長さにわたって、天然のWnt配列と100%未満の配列同一性を有する、以下に定義されるとおりの生物学的に活性なポリペプチドを意味する。このような改変体は、1もしくはそれより多くのアミノ酸残基が上記天然配列のN末端もしくはC末端において、または上記天然配列の中に付加されたポリペプチド;約1〜40個のアミノ酸残基が欠失され、必要に応じて、1もしくはそれより多くのアミノ酸残基によって置換されたポリペプチド;およびアミノ酸残基が、得られた生成物が天然に存在しないアミノ酸を有するように、共有結合で改変された上記ポリペプチドの誘導体を含む。通常、生物学的に活性な改変体は、天然配列のポリペプチドと少なくとも約75%の配列同一性、約80%の配列同一性、約85%のアミノ酸配列同一性、約90%のアミノ酸配列同一性(好ましくは、少なくとも約95%、より好ましくは、少なくとも約99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を有する。当該分野で公知の種々の方法は、このような改変ポリペプチドを開発するにあたって利用され得る。
「キメラ」ミニwntポリペプチドは、異種ポリペプチドに融合もしくは結合体化されたミニwntポリペプチドを含むポリペプチドである。上記キメラミニwntポリペプチドは、一般に、少なくとも1つの生物学的特性を、上記最初のミニwntポリペプチドと共有する。キメラポリペプチドの例としては、1種もしくはそれより多くの機能部分(例えば、治療部分、画像化部分、エピトープタグ)に融合されたミニwntポリペプチドが挙げられる。代表的には、上記機能部分がポリペプチド部分である場合、上記部分は、ある機能(例えば、マルチマー化を促進する、細胞死を促進する、細胞機能を変化させる、蛍光シグナル、エピトープ配列など)を提供するために十分な残基を有するが、上記ミニwntポリペプチドの生物学的活性に干渉しないように十分に短い。エピトープとして使用するために適切なタグポリペプチドは、一般に、少なくとも6個のアミノ酸残基、および通常は、約6〜250個の間のアミノ酸残基を有する。
「水溶性」によって、界面活性剤の非存在下で水性緩衝液中に可溶性である(上記ポリペプチドの生物学的に有効な用量を提供する濃度において通常は可溶性である)組成物が意味される。水溶性である組成物は、出発物質(これから実質的に均質な組成物が精製される)のものの少なくとも約5%、通常は、上記出発物質のものの少なくとも約10%、20%、もしくは30%、より通常には、上記出発物質のものの約40%、50%、もしくは60%であり、そして約50%、約90%もしくはそれより大であり得る比活性を有する実質的に均質な組成物を形成する。本発明のミニwnt組成物は、代表的には、少なくとも25μMもしくはそれより大、例えば、少なくとも25μM、40μM、もしくは50μM、通常は、少なくとも60μM、70μM、80μM、もしくは90μM、ときおり、100μM、120μM、もしくは150μM程度の濃度において、実質的に均質な溶液を形成する。言い換えると、本発明のミニwnt組成物は、代表的には、約0.1mg/ml、約0.5mg/ml、もしくは約1mg/mlもしくはそれより大の濃度において実質的に均質な溶液を形成する。
「Wntタンパク質シグナル伝達」もしくは「Wntシグナル伝達」は、生物学的に活性なWntが、細胞に対してその効果を発揮して、細胞の活性を調節する機構に言及するために本明細書で使用される。Wntタンパク質は、Wntレセプター(Frizzled(Fz)ファミリーのタンパク質に由来するタンパク質、RORファミリーのタンパク質に由来するタンパク質、LRPファミリーのタンパク質に由来するタンパク質であるLRP5、LRP6、タンパク質FRL1/crypto、およびタンパク質Derailed/Rykが挙げられる)への結合によって細胞活性を調節する。Wnt結合によっていったん活性化されると、上記Wntレセプターは、1種以上の細胞内シグナル伝達カスケードを活性化する。これらとしては、標準のWntシグナル伝達経路;Wnt/平面内細胞極性(Wnt/PCP)経路;Wnt−カルシウム(Wnt/Ca2+)経路(Giles, RH et al. (2003) Biochim Biophys Acta 1653, 1−24;Peifer, M. et al. (1994) Development 120: 369−380;Papkoff, J. et al (1996) Mol. Cell Biol. 16: 2128−2134;Veeman, M. T. et al. (2003) Dev. Cell 5: 367−377);および当該分野で周知であるとおりの他のWntシグナル伝達経路が挙げられる。例えば、上記標準のWntシグナル伝達経路の活性化は、細胞内タンパク質β−カテニンのリン酸化の阻害を生じ、サイトゾル中のβ−カテニンの蓄積およびこれが転写因子(例えば、TCF/LEF)と相互作用して、標的遺伝子を活性化するところである核へのその後のその転位をもたらす。上記Wnt/PCP経路の活性化は、RhoA、c−Jun N末端キナーゼ(JNK)、およびnemo様キナーゼ(NLK)のシグナル伝達カスケードを活性化して、組織極性および細胞移動のような生物学的プロセスを制御する。(例えば、Wnt−4、Wnt−5AもしくはWnt−11の結合による)上記Wnt/Ca2+の活性化は、カルシウムイオンの細胞内放出を誘発し、このことは、プロテインキナーゼC(PKC)、カルシウム−カルモジュリン依存性キナーゼII(CamKII)もしくはカルシニューリン(CaCN)のようなカルシウム感受性酵素を活性化する。上記シグナル伝達経路の活性についてアッセイすることによって、Wnt組成物の生物学的活性は、容易に決定され得る。「生物学的に活性なミニwnt」は、インビトロもしくはインビボで細胞に提供される場合、すなわち、動物(例えば、哺乳動物)に投与される場合、Wntレセプターに特異的に結合し得、かつWntシグナル伝達を調節し得るミニwnt組成物である。頻繁には、ミニwntポリペプチドは、wntシグナル伝達のドミナントネガティブ(または競合性)インヒビターである。
用語「特異的結合」とは、共有結合的もしくは非共有結合的な相互作用、または共有結合的相互作用と非共有結合的相互作用との組み合わせによって媒介され得る、酵素/基質、レセプター/リガンド、抗体/抗原、およびレクチン/炭水化物のような対形成した種の間で起こる結合をいう。上記2種の相互作用が非共有結合的に結合した複合体を生成する場合、起こる結合は、代表的には、静電気的結合、水素結合、もしくは親油性相互作用の結果である。よって、「特異的結合」は、抗体/抗原相互作用もしくはリガンド/レセプター相互作用の特徴を有する結合した複合体を生成する、2種の間に相互作用が存在する、対形成した種の間で起こる。インビボでの投与後に、機能アッセイにおける活性(例えば、骨再生を遅らせること、幹細胞増殖のダウンレギュレーションなど)のレベルを決定すること、非機能アッセイ(例えば、免疫染色、ELISA、クーマシーもしくは銀染色したゲルでの定量など)に存在するミニwntタンパク質の量を定量すること、およびインビボで生物学的に活性なミニwntの総ミニwntに対する比を決定することによって、組成物中のミニwntタンパク質の生物学的活性が決定され得る。生物学的に活性であるミニwnt組成物は、Wntタンパク質の活性を、少なくとも約40%、約60%、より通常には、約70%、75%、もしくは80%、しばしば、約85%、90%、もしくは95%、ときおり100%という高さ(すなわち、Wntシグナル伝達の完全な排除)調節するものである。
用語「Wntアンタゴニスト」、「Wntインヒビター」および「Wntシグナル伝達のインヒビター」は、細胞の活性のWnt調節を拮抗するか、阻害するか、もしくは負に調節する因子を意味するために、本明細書において交換可能に使用される。同様に、語句「Wntシグナル伝達を拮抗する」および「Wntシグナル伝達を阻害する」とは、細胞の活性のWnt調節を拮抗するか、阻害するか、または別の方法で負に調節することを意味するために、本明細書で交換可能に使用される。
「Fz」、「Fzタンパク質」および「Fzレセプター」とは、Frizzledレセプターファミリーのタンパク質をいうために、本明細書で使用される。これらタンパク質は、CRDドメインを含む7回膜貫通タンパク質である(Ingham, P. W. (1996) Trends Genet. 12: 382−384;Yang−Snyder, J. et al. (1996) Curr. Biol. 6: 1302−1306;Bhanot, P. et al. (1996) Nature 382: 225−230)。Fzファミリーには、10個の既知のメンバー(Fz1からFz10)があり、そのうちのいずれかは、Wntのレセプターとして働き得る。Fzレセプターは、多くのWnt生物学的活性を媒介し、上記活性としては、シナプス形成の調節が挙げられるが、これらに限定されない。
「LRP」、「LRPタンパク質」および「LRPレセプター」とは、低密度リポタンパク質レセプター関連タンパク質ファミリーのタンパク質をいうために、本明細書において使用される。これらレセプターは、レセプター媒介性エンドサイトーシスのプロセスにおいてリガンドを結合しかつインターナライズする1回貫通膜タンパク質である。LRPタンパク質であるLRP5(GenBank登録番号NM_002335.2)およびLRP6(GenBank登録番号NM_002336.2)は、上記Wntレセプター複合体に含まれる。
Ryk(そのDrosophilaホモログは、Derailedである)は、増殖因子レセプタープロテインチロシンキナーゼのファミリーの典型的でないメンバーであり、他のメンバーとは、活性化およびヌクレオチド結合ドメインにおける多くの保存された残基において異なる。上記Rykのタンパク質配列は、GenBank登録番号NM_001005861(アイソフォーム1)およびNM_002958.3(アイソフォーム2)において見いだされ得る。Rykは、Wntタンパク質のレセプターとして、通常、Fzの共レセプターとして機能し、Wnt生物学的活性(例えば、骨芽細胞分化、細胞移動、細胞運命決定、軸索誘導、および神経突起伸長の調節(運動ニューロン標的選択および神経筋結合部におけるシナプス形成が挙げられる))を媒介する。傷害による上記Wnt/Ryk経路の活性化は、軸索再生を阻害する。
「ROR」、「RORタンパク質」および「RORレセプター」とは、レセプターチロシンキナーゼ様オーファンレセプターファミリーのROR1タンパク質およびROR2タンパク質をいうために、本明細書において使用される。上記ROR1のタンパク質配列は、GenBank登録番号NM_005012.2(アイソフォーム1)およびNM_001083592.1(アイソフォーム2)において見いだされ得る。上記ROR2のタンパク質配列は、GenBank登録番号NM_004560.3において見いだされ得る。ROR1およびROR2は、Wntタンパク質のレセプターとして、通常は、Fzの共レセプターとして機能する。
「EGF−CFCタンパク質」および「EGF−CFCレセプター」とは、上皮増殖因子(EGF)−crypto、FRL−1、crypticファミリーによってコードされるタンパク質をいうために、本明細書において使用される。これらタンパク質は、Cripto(奇形がん腫由来増殖因子1、GenBank登録番号NM_003212.3(アイソフォーム1)およびNM_001174136.1(アイソフォーム2)については、「CR−1」および「Tdgf1」ともいわれる)およびCryptic(「CFC1」ともいわれる。GenBank登録番号NM_032545.2)を含む。EGF−CFCタンパク質は、改変EGF様モチーフ(保存されたシステインリッチドメイン)、およびC末端疎水性領域を共有する。これらタンパク質はWntレセプターであり、脊椎動物胚形成および腫瘍増殖の間の細胞間シグナル伝達経路において重要な役割を果たす。
「含む」とは、記載される要素が、上記組成物/方法/キットにおいて必要とされるが、他の要素が、特許請求の範囲内において上記組成物/方法/キットなどを形成するために含められ得ることを意味する。例えば、ミニwntポリペプチドを含む組成物は、当該分野で容易に理解されるように、何らかの否定形の但し書きによって包含される要素を除いて、ミニwntポリペプチドに加えて、他の要素(例えば、上記ミニwntポリペプチドに結合した(例えば、共有結合した)機能部分(例えば、ポリペプチド、低分子、もしくは核酸);上記ミニwnt組成物の安定性を促進する因子、上記ミニwnt組成物の溶解度を促進する因子、アジュバントなど)を含み得る組成物である。別の例として、例えば、ヒトWntの残基298〜370もしくは例えば、残基34〜247に対応するWntアミノ酸配列、を含むミニwntポリペプチドは、否定形の但し書きによって記載される任意の配列を除き、その配列に加えて、Wntアミノ酸配列を含み得る。
「〜から本質的になる」とは、本発明の基本的かつ新規な特徴に本質的に影響を及ぼさない、特定される材料もしくは工程に対して、記載される組成物もしくは方法の範囲の限定を意味する。例えば、開示される配列「から本質的になる」ミニwntポリペプチドは、上記開示されるアミノ酸配列±その由来の全長親Wnt配列に基づいて、上記配列の境界において約5アミノ酸残基を有する(例えば、上記記載される境界をなしているアミノ酸残基より約5残基、4残基、3残基、2残基もしくは約1残基少ない、または上記記載される境界をなしているアミノ酸残基より約1残基、2残基、3残基、4残基、もしくは5残基多い)。
「〜からなる」とは、上記組成物、方法、もしくはキットから、特許請求の範囲において特定されていないあらゆる要素、工程、もしくは成分を排除することを意味する。例えば、開示された配列「からなる」ミニwntポリペプチドは、上記開示されたアミノ酸配列のみからなる。
「機能部分」もしくは「FM」とは、組成物に対して機能活性を付与するポリペプチド、低分子もしくは核酸組成物を意味する。機能部分の例としては、治療部分、結合部分および画像化部分が挙げられるが、これらに限定されない。
「治療部分」もしくは「TM」とは、組成物に対して治療活性を付与するポリペプチド、低分子もしくは核酸組成物を意味する。治療部分の例としては、細胞に対して本質的に有害な細胞毒素(例えば、低分子化合物、タンパク質毒素、および放射線増感部分(すなわち、放射性核種など);細胞の活動を変化させる因子(例えば、低分子、ペプチド摸倣物、サイトカイン、ケモカイン);および細胞をADCC依存性死滅もしくはCDC依存性死滅の標的とする部分(例えば、免疫グロブリンのFc成分)が挙げられる。
「画像化部分」もしくは「IM」とは、細胞(例えば、本出願の組成物によって標的とされた細胞)の位置を突き止め、必要に応じて、上記細胞を可視化するために使用され得る非細胞傷害性の因子を意味する。
オリゴマー化部分は、当該分野で公知であるように、上記ミニwntを、ホモダイマー、ホモトリマー、ホモテトラマーもしくはより高次のオリゴマーへと、またはヘテロダイマー、ヘテロトリマー、ヘテロテトラマーもしくはより高次のオリゴマーへと、例えば、ジッパー、もしくはFcポリペプチド、ビオチンおよびアビジン/ストレプトアビジン、または他のアビディティ増強化学物質もしくはタンパク質因子によってオリゴマー化することを誘導するポリペプチド、低分子もしくは核酸組成物である。
語句「Wnt媒介性状態」および「Wnt媒介性障害」は、異常なもしくは望ましくないWntシグナル伝達によって特徴付けられる状態、障害もしくは疾患状態を記載するために、本明細書において交換可能に使用される。具体的局面において、上記異常なWntシグナル伝達は、類似の非罹患細胞もしくは非罹患組織におけるWntシグナル伝達のレベルを超える、罹患していると疑われる細胞もしくは組織におけるWntシグナル伝達のレベルである。Wnt媒介性障害の例としては、異常な脈管形成と関連するもの(例えば、網膜症)、および異常な増殖と関連するもの(例えば、がん)が挙げられる。
用語「処置」、「処置する」などは、所望の薬理学的および/もしくは生理学的効果を得ることを一般に意味するために、本明細書において使用される。上記効果は、疾患もしくはその症状を完全にもしくは部分的に予防するという点から予防的であってもよいし、そして/または疾患および/もしくは上記疾患に原因があり得る有害な影響の部分的もしくは完全な治癒の点から治療的であってもよい。「処置」とは、本明細書で使用される場合、哺乳動物における疾患の任意の処置を網羅し、以下を含む:(a)上記疾患に対する素因があり得るが、上記疾患を有するとは未だ診断されていない被験体において上記疾患が起こるのを予防すること;(b)上記疾患を阻害すること(すなわち、その発達を阻止すること);または(c)上記疾患を軽減すること(すなわち、上記疾患の後退を引き起こすこと)。上記治療剤は、疾患もしくは傷害が始まる前、その間、もしくはその後に投与され得る。進行中の疾患の処置(ここで上記処置は、上記患者の望ましくない臨床的症状を安定化させるかもしくは低下させる)は、特に重要である。このような処置は、望ましくは、罹患組織における機能が完全に失われる前に行われる。本発明の治療は、望ましくは、上記疾患の症候性段階中に投与され、いくつかの場合においては、上記疾患の症候性段階の後に投与される。
用語「個体」、「被験体」、「宿主」および「患者」とは、本明細書において交換可能に使用され、診断、処置もしくは治療が望まれる任意の哺乳動物被験体(特に、ヒト)をいう。
分子生化学および細胞生化学における一般的方法は、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd Ed. (Sambrook et al., CSH Laboratory Press 2001);Short Protocols in Molecular Biology, 4th Ed. (Ausubel et al. eds., John Wiley & Sons 1999);Protein Methods (Bollag et al., John Wiley & Sons 1996);Nonviral Vectors for Gene Therapy (Wagner et al. eds., Academic Press 1999);Viral Vectors (Kaplift & Loewy eds., Academic Press 1995);Immunology Methods Manual (I. Lefkovits ed., Academic Press 1997);ならびにCell and Tissue Culture: Laboratory Procedures in Biotechnology (Doyle & Griffiths, John Wiley & Sons 1998)(これらの開示は、本明細書に参考として援用される)のような標準テキストにおいて見いだされ得る。本開示において言及される遺伝子操作の試薬、クローニングベクター、およびキットは、販売業者(例えば、BioRad、Stratagene、Invitrogen、Sigma−Aldrich、およびClonTech)から入手可能である。
(組成物)
ミニwnt組成物およびそれらの使用法が提供される。ミニwnt組成物は、ミニwntポリペプチドを含む組成物である。上記で考察されるように、ミニwntポリペプチドは、その由来の全長Wntタンパク質の、少なくとも1種のWntレセプターに特異的に結合する能力を保持する、全長Wntタンパク質のフラグメントであるポリペプチドである。全長Wntタンパク質(これは、2種の別個の共レセプターに同時に結合し得る)とは異なり、ミニwntは、代表的には、上記共レセプターのうちの一方にのみ結合する。ミニwntポリペプチドは、通常、少なくとも約40アミノ酸の長さ、通常は、少なくとも約50アミノ酸の長さ、および約120アミノ酸以下の長さ、通常は、約100アミノ酸以下の長さ、およびいくつかの実施形態においては、約80〜約100アミノ酸の長さである。
いくつかの実施形態において、上記ミニwntポリペプチドは、C末端ミニwntポリペプチド(本明細書において「C末端ミニwnt」もしくは「Cterm ミニwnt」ともいわれる)である。Cterm ミニwntは、Fz、ROR、および/もしくはRyk Wntレセプターに結合する、Wntタンパク質のC末端ドメインから誘導した(すなわち、上記C末端ドメインからの配列を含む)ポリペプチド組成物である。いくつかの実施形態において、上記Cterm ミニwntは、水溶性である。
Cterm ミニwntは、上記wntポリペプチドのカルボキシ末端ドメインを含むかもしくはこれからなり、アミノ末端ドメインのアミノ酸残基を含まない。上記カルボキシ末端ドメインの図は、(例えば、図6に示されるように)複数のヒトWntタンパク質とともに本明細書で例示され、上記図示されたドメインに示されるアミノ酸残基の実質的に全てからなってもよいし、上記図示されたドメインのアミノ末端もしくはカルボキシ末端のいずれかにおいて1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個またはそれより多くのアミノ酸残基が短縮されていてもよい。Cterm ミニwntはまた、本明細書で提供される配列とのアラインメントによって経験的に同定され得る。一例において、Cterm ミニwnt アミノ酸配列は、ヒトWnt1の298〜370位と保存された残基によって整列し、ヒトWnt1の1〜257残基と整列するアミノ酸配列を欠いているか、または上記で示されるように短縮され得る。いくつかの実施形態において、Cterm ミニwntは、上記で定義されるとおりの改変体もしくはアナログである。いくつかの実施形態において、上記バリエーション(すなわち変異)は、その同族レセプターに対する親和性;溶解度;および/もしくはその同族レセプターに対する特異性を変化させる。
いくつかの実施形態において、上記ミニwntポリペプチドは、N末端ミニwntポリペプチド(本明細書において「N末端ミニwnt」もしくは「Nterm ミニwnt」ともいわれる)である。Nterm ミニwntは、LRP5、LRP6、および/もしくはcryptoに結合するWntタンパク質のN末端ドメインから誘導された(すなわち、上記N末端ドメインに由来する配列からなる)ポリペプチド組成物である。いくつかの実施形態において、上記Nterm ミニwntは水溶性であり、他の実施形態において、上記Nterm ミニwntは、脂溶性である。
いくつかの実施形態において、N末端ミニwntポリペプチドは、wntポリペプチドのアミノ末端ドメインを含むかもしくは上記ドメインからなるポリペプチドであり、上記カルボキシ末端ドメインのアミノ酸残基を含まない。上記アミノ末端ドメインの図は、例えば、図8に示されるように、複数のヒトWntタンパク質とともに、本明細書で例示され、上記図示されたドメインにおいて示される実質的に全てのアミノ酸残基からなってもよいし、上記図示されたドメインのアミノ末端もしくはカルボキシ末端いずれかにおいて1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個またはそれより多くのアミノ酸残基が短縮されていてもよい。Nterm ミニwntはまた、本明細書で提供される配列とのアラインメントによって経験的に同定され得る。一例において、Nterm ミニwnt アミノ酸配列は、ヒトWnt1の34〜247位と保存された残基によって整列し、ヒトWnt1の残基288〜370に対応する残基と整列するアミノ酸配列を欠くか、または上記で示されるように短縮されていてもよい。Nterm ミニwntは、水溶性であってもよいし、脂溶性であってもよい。いくつかの実施形態において、Cterm ミニwntは、上記で定義されるとおりの改変体もしくはアナログである。いくつかの実施形態において、上記バリエーション(すなわち変異)は、その同族レセプターに体する親和性;溶解度;および/もしくはその同族レセプターに対する特異性を変化させる。いくつかのこのような実施形態において、アミノ酸置換は、ヒトWnt1の残基93および/もしくは残基224に整列される残基において行われ、その結果、ヒトWnt1の残基Cys55および/もしくはSer187に対応する上記残基は、ここでアラニンである。
任意の種の生物(例えば、マウス、ラット、ネコ、ニワトリ、ショウジョウバエ、カエル、ゼブラフィッシュ、イヌ、蠕虫など)に由来するWntタンパク質に対応するCterm ミニwntポリペプチドおよびNterm ミニwntポリペプチドは、本発明の組成物において用途を見いだす。このようなミニwntのポリペプチド配列は、当該分野で周知であるように、アラインメントソフトウェア(例えば、NCBI BLAST、ClustalW、もしくは他のソフトウェア)を使用して、上記目的のホモログもしくはオルソログと、図6および図8に示される提供されたWnt配列とのアラインメントを行うことによって、容易に決定され得る。ミニwntポリペプチドを含む組成物は、上記記載されるミニwntポリペプチドから除外されると本明細書で具体的に示される要素を除いて、種々の要素を含み得る。例えば、上記ミニwntは、外因性ポリペプチドに融合され得る。この融合物が作製される部位は、上記ポリペプチドの生物学的活性、分泌もしくは結合特徴を最適化するために選択され得る。上記最適な部位は、慣用的な実験によって決定される。
例えば、ミニwntポリペプチドを含む組成物は、必要に応じて、それらの溶解度をさらに増大させるために、上記ミニwntポリペプチドに融合されたポリペプチドを含む。上記ドメインは、規定されるプロテアーゼ切断部位(例えば、TEVプロテアーゼによって切断されるTEV配列)を介して上記ポリペプチドに連結され得る。上記リンカーはまた、1つ以上の可撓性配列を含み得る(例えば、1〜10個のグリシン残基)。いくつかの実施形態において、上記融合タンパク質の切断は、上記生成物の溶解度を維持する緩衝液中で、例えば、0.5〜2M 尿素の存在下で、溶解度を増大させるポリペプチドおよび/もしくはポリヌクレオチドの存在下などで、行われる。目的のドメインとしては、エンドソーム溶解(endosomolytic)ドメイン(例えば、インフルエンザHAドメイン);および生成を補助する他のポリペプチド(例えば、IF2ドメイン、GSTドメイン、GRPEドメインなど)が挙げられる。
別の例として、ミニwntポリペプチドを含む組成物は、必要に応じて、溶解度を改善するために上記ミニwntポリペプチドに体する改変を含み得る。例えば、上記ペプチドは、PEG化されてもよい。ここでポリエチレンオキシ基は、増大した血流中半減期を提供する。上記ポリペプチドは、インビボ安定性を増大させるために、別のポリペプチドに融合され得る。一般に、このような融合パートナーは、安定な血漿タンパク質であり、これは、例えば、融合物として存在する場合に、上記ポリペプチドのインビボ血漿半減期を延ばし得、特に、このような安定な血漿タンパク質は、免疫グロブリン定常ドメインである。上記安定な血漿タンパク質が通常マルチマー形態において見いだされる大部分の場合において(例えば、免疫グロブリンもしくはリポタンパク質(ここで同じもしくは異なるポリペプチド鎖は、通常、ジスルフィド結合および/もしくは非共有結合して、組み立てられた複数鎖のポリペプチドを形成する))、上記ポリペプチドを含む本明細書中の融合物はまた、上記安定な血漿タンパク質前駆体と実質的に同じ構造を有するマルチマーとして生成および使用される。これらマルチマーは、これらが含む上記ポリペプチド因子に関して均質であるか、またはそれらは、1種より多くのポリペプチド因子を含み得る。
安定な血漿タンパク質は、代表的には、それらの天然の環境において、循環中で延びた半減期(すなわち、約20時間より長い)を示すタンパク質である。適した安定な血漿タンパク質の例は、免疫グロブリン、アルブミン、リポタンパク質、アポリポタンパク質およびトランスフェリンである。上記ポリペプチド因子は、代表的には、上記ポリペプチドに対して延びた半減期を付与し得る上記血漿タンパク質もしくはそのフラグメントのN末端において上記血漿タンパク質(例えば、IgG)に融合される。上記ポリペプチドの血漿半減期に対して約100%より高い増大は、申し分ない。通常、上記ポリペプチドは、免疫グロブリンの可変領域の代わりに、その定常領域のN末端へとC末端が融合されるが、N末端融合もまた、用途を見いだし得る。代表的には、このような融合物は、免疫グロブリン重鎖の定常領域の少なくとも機能的に活性なヒンジ、CH2およびCH3ドメインを保持する。上記重鎖は、IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3、IgG4、IgA、IgM、IgE、およびIgDを含み得、通常、上記IgGクラスにおけるタンパク質のうちの1つもしくは組み合わせを含む。融合はまた、定常ドメインの上記Fc部分のC末端に、または上記重鎖のCH1の直ぐN末端に、または軽鎖の対応する領域に対して行われる。これは、通常、適切なDNA配列を構築し、これを組換え細胞培養物において発現させることによって達成される。あるいは、上記ポリペプチドは、公知の方法に従って合成され得る。
いくつかの実施形態において、上記ミニwntは、その配列を変化させることなく改変される。一次配列を変化させない目的の改変としては、ポリペプチドの化学的誘導体化(例えば、アシル化、アセチル化、カルボキシル化、アミド化など)が挙げられる。また、グリコシル化の改変(例えば、その合成およびプロセシング中に、またはさらなるプロセシング工程において、ポリペプチドのグリコシル化パターンを改変することによって行われるもの)が含まれる;例えば、上記ポリペプチドをグリコシル化に影響を及ぼす酵素(例えば、哺乳動物のグリコシル化酵素もしくは脱グリコシル化酵素)に曝すことによる。また、リン酸化アミノ酸残基(例えば、ホスホチロシン、ホスホセリン、もしくはホスホスレオニン)を有する配列が含まれる。
本発明の組成物および方法において使用するためのミニwntポリペプチドは、これらのタンパク質分解に対する耐性を改善するか、または溶解度特性を最適化するか、またはこれらを治療剤としてより適切にするように、通常の分子生物学的技術および合成化学を使用して改変され得る。このようなポリペプチドのアナログとしては、天然に存在するL−アミノ酸以外の残基(例えば、D−アミノ酸もしくは天然に存在しない合成アミノ酸)を含むものが挙げられる。D−アミノ酸は、上記アミノ酸残基のうちのいくつかもしくは全ての代わりに使用され得る。
上記ミニwntポリペプチドは、当該分野で公知の従来方法を使用して、インビトロ合成によって調製され得る。種々の市販の合成装置(例えば、Applied Biosystems, Inc.、Beckmanなどによる自動化合成機)が利用可能である。合成機を使用することによって、天然に存在するアミノ酸は、天然でないアミノ酸で置換され得る。特定の配列および調製様式は、便利さ、経済性、必要とされる純度などによって決定される。所望されれば、他の分子へのもしくは表面への連結を可能にする種々の基が合成の間にもしくは発現の間に上記ペプチドに導入され得る。従って、システインは、チオエーテルを作製するために使用され得、ヒスチジンは、金属イオン錯体へ連結するために使用され得、カルボキシル基は、アミドもしくはエステルを形成するために使用され得、アミノ基は、アミドを形成するために使用され得る、などである。
あるいは、上記ミニwntポリペプチドは、当該分野で公知の多くのシステムのうちのいずれか1つを使用して、細胞性もしくは無細胞性のポリペプチド合成システムにおける組換えDNA技術によって調製され得る。上記成分のうちの1種以上を含む適切なベクターの構築は、標準的な連結技術を使用する。単離されたプラスミドもしくはDNAフラグメントは切断され、調整され、そして所望の形態において再度連結されて、必要とされるプラスミドを生成する。構築されたプラスミド中の正確な配列を確認する分析に関しては、上記連結混合物は、宿主細胞を形質転換するために使用され、そして適切な場合、アンピシリン耐性もしくはテトラサイクリン耐性によって首尾良い形質転換体が選択される。上記形質転換体からプラスミドが調製され、制限エンドヌクレアーゼ消化によって分析され、そして/または配列決定される。
本明細書におけるベクターにおいて上記DNAをクローニングもしくは発現するために適した宿主細胞は、原核生物、酵母、もしくは高等真核生物の細胞であり、植物、哺乳動物、昆虫などの細胞が挙げられるが、これらに限定されない。この目的に適した原核生物としては、
原核生物に加えて、真核生物である微生物(例えば、糸状菌もしくは酵母)は、適切な発現宿主である。Saccharomyces cerevisiae、もしくは一般的な製パン酵母は、下等真核生物宿主微生物の中で最も一般的に使用される。しかし、多くの他の属、種、および株が、一般に利用可能であり、本明細書において有用である
適切な宿主細胞はまた、多細胞生物に由来し得る。このような宿主細胞は、複雑なプロセシングおよびグリコシル化活性が可能である。原則としては、脊椎動物の培養物に由来しようと、無脊椎動物の培養物に由来しようと、任意の高等真核生物細胞培養物が機能し得る。無脊椎動物細胞の例としては、植物細胞および昆虫細胞が挙げられる。多くのバキュロウイルス株および改変体、ならびに対応する許容昆虫宿主細胞(Spodoptera frugiperda(芋虫)、Aedes aegypti(蚊)、Aedes albopictus(蚊)、Drosophila melanogaster(ショウジョウバエ)、およびBombyx moriのような宿主に由来する)が同定された。トランスフェクションのための種々のウイルス株が、公に入手可能であり(例えば、Autographa california NPVのL−1改変体およびBombyx mori NPVのBm−5株)、このようなウイルスは、本発明にしたがって、本明細書においてウイルスとして、特に、Spodoptera frugiperda細胞のトランスフェクションのために使用され得る。
綿、トウモロコシ、ジャガイモ、ダイズ、ペチュニア、トマト、およびタバコの植物細胞培養物は、宿主として利用され得る。代表的には、植物細胞は、細菌Agrobacterium tumefaciensの特定の株とのインキュベーションによってトランスフェクトされる。上記植物細胞培養物のこのようなインキュベーション中に、DNAコード配列は、上記植物細胞宿主に移入され、その結果、トランスフェクトされ、適切な条件下で、上記DNAを発現する。さらに、植物細胞と適合性の調節配列およびシグナル配列(例えば、ノパリンシンターゼプロモーターおよびポリアデニル化シグナル配列)が利用可能である。
組換え合成によって調製される上記ミニwntポリペプチドは、代表的には、組換え合成の従来法に従って単離および精製される。上記発現宿主の溶解物が調製され得、上記溶解物は、HPLC、排除クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、アフィニティークロマトグラフィー、もしくは他の精製技術を使用して精製され得る。たいていは、使用される組成物は、上記生成物の調製およびその精製の方法に関連した夾雑物に関連して、少なくとも20重量%、より通常には、少なくとも約75重量%、好ましくは、少なくとも約95重量%、および治療目的では、通常は、少なくとも約99.5重量%の上記所望の生成物を含む。通常、パーセンテージは、総タンパク質に基づく。
本発明のミニwntポリペプチドは、同族Wntレセプターへの結合において通常は生物学的に活性である。このような場合において、上記ミニwntは、Wntレセプターに特異的に結合し、上記レセプターを発現する細胞(通常は、一方に結合するが、両方にもWnt共レセプター対にも結合しない)を接触させる場合に、Wntシグナル伝達を阻害する。機能アッセイにおいて上記ミニwntによって阻害されるWnt活性(例えば、β−カテニンの不安定化、幹細胞の増殖の阻害など)の量を決定し、非機能アッセイ(例えば、免疫染色、ELISA、クーマシーもしくは銀染色したゲルでの定量など)によって存在するミニwntポリペプチドの量を定量し、そして生物学的に活性なミニwntの、総ミニwntに対する比を決定することによって、組成物中のミニwntポリペプチドの生物学的活性が決定され得る。ミニwntポリペプチド比活性の例示的アッセイは、細胞と、Wnt含有組成物(例えば、Wntタンパク質を発現する細胞からの培養培地)とを、β-カテニンを安定化するに十分な時間(通常は、少なくとも約1時間)にわたって接触させる工程を包含する。次いで、ミニwnt組成物を上記細胞に提供し、上記細胞を通常は、少なくとも約1時間インキュベートして、上記ミニwntポリペプチドが上記Wntタンパク質と競合的に置き換わるのを可能にする。次いで、上記細胞を溶解し、上記細胞溶解物をSDS PAGEによって分離し、次いで、ニトロセルロースに転写し、β−カテニンに特異的な抗体でプローブする。他のアッセイとしては、Xenopus動物極キャップアッセイにおけるC57MG形質転換および標的遺伝子の誘導が挙げられる。ミニwntポリペプチドの有効用量もしくは濃度は、(例えば、核β-カテニンの存在下によって実証される場合の)シグナル伝達を、上記ミニwntの非存在下でのシグナル伝達と比較して、25%、50%、75%、90%、95%もしくはそれより大きく低下させるものである。
ミニwntの結合活性の局面は、ミニwntを誘導した上記全長Wntタンパク質のレセプター特異性を決定する能力である。代表的には、このような方法において使用されるミニwntは、その対応する全長Wntタンパク質と実質的な配列同一性を有する。ここで上記ミニwntは、通常、少なくとも、50個、60個、70個、80個、90個もしくはそれより大きな連続するアミノ酸の拡がりにわたって、対応する全長Wntタンパク質に同一である。Wnt−Fz相互作用を確認することの主要な障害は、Frizzledレセプターへのそれらの結合を測定するためにWntを発現できないことであった。例えば、Kikuchi A, Yamet al. (2007) Cell Signal 19: 659−71;Logan and Nusse (2004) Annu Rev Cell Dev Biol 20: 781−810;およびWang et al. (2005) Mol Cell Biol 25: 5022−30を参照のこと。容易に組換え発現され、上記Fz−CRDに結合するミニWntとともに、上記結合試薬として上記ミニWntを使用して、FzレセプターとWntとを組み合わせることは、いまや直接的な方法において可能である。Wnt−Fz相互作用をこのようにしてデオーファナイズ(deorphanize)することは、発生生物学、ならびに再生生物学および薬物設計にとって変形させる力がある(transformative)。
Wntタンパク質の同族レセプターを決定するための方法において、候補Wntレセプターもしくはそのフラグメントは、天然のWntタンパク質であり得る目的の全長Wntタンパク質に対応するミニwntポリペプチドと接触させられ;上記候補レセプターへの上記ミニwntの結合を決定し、ここで特異的結合の存在は、上記全長Wntタンパク質が、上記候補レセプターのリガンドであることを示す。目的のレセプターとしては、Fzタンパク質、RORタンパク質、もしくはRykタンパク質(これらは、Cterm ミニwntと接触させられ得る);およびLRP5、LRP6、もしくはFRL1/crypto(これらは、Nterm ミニwntと接触させられ得る)が挙げられる。種々の結合アッセイは、例えば、上記候補レセプターを発現する細胞を利用する用途を見出すが、例えば、結合のために上記レセプターの可溶性フラグメントを利用して、溶液中で行われ得るアッセイが特に重要である(Fz−CRDポリペプチドと水溶性Cterm ミニwntとの間の相互作用が挙げられるが、これらに限定されない)。
いくつかの実施形態において、本発明のミニwntポリペプチドは、種々の機能部分(例えば、ポリペプチド、薬物、放射性ヌクレオチド、もしくは毒素)に結合体化される。言い換えると、本発明の組成物は、上記ミニwntポリペプチドに結合体化された機能部分を含む。例えば、PCT公報WO 92/08495;WO 91/14438;WO 89/12624;米国特許第5,314,995号;およびEP 396,387を参照のこと。
ミニwntポリペプチドに結合体化され得る機能部分の一例は、治療部分である。治療部分としては、細胞死を促進する部分、および細胞活性を変化させる部分が挙げられるが、これらに限定されない。
細胞死を促進する部分の例としては、細胞傷害性薬剤(すなわち、細胞毒素(例えば、細胞増殖抑制低分子もしくは細胞破壊性低分子))、ポリペプチド因子もしくは放射活性金属イオンが挙げられる。細胞毒素もしくは細胞毒性因子としては、細胞に対して有害な任意の因子が挙げられる。例としては、以下が挙げられる:パクリタキセル、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テニポシド(tenoposide)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラセンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、およびピューロマイシン、ならびにこれらのアナログもしくはホモログ。細胞傷害性薬剤としてはまた、以下が挙げられる:細胞傷害性の生物学的活性を有するタンパク質、ペプチド、もしくはポリペプチド(例えば、毒素(例えば、アブリン、リシンA、シュードモナス外毒素、コレラ毒素、およびジフテリア毒素))。細胞傷害性薬剤としてはまた、以下が挙げられる:放射活性金属イオン(すなわち、放射性核種(例えば、α放射体(例えば、ビスマス−213、ラジウム−226、鉛−212、アクチニウム−225、およびアスタチン−211)、およびβ放射体(例えば、ヨウ素−131、イットリウム−90、レニウム−188、ルテチウム−177、銅−67および銅−64)、ならびに放射性金属イオン(例えば、131In、131L、131Y、131Ho、131Sm)をポリペプチドもしくは前出で列挙されたもののうちのいずれかに結合体化するために有用な大環状キレート化剤。大環状キレート化剤は、リンカー分子を介して抗体に結合され得る(例えば、Denardo et al., 1998, Clin Cancer Res. 4(10):2483−90;Peterson et al., 1999, Bioconjug. Chem. 10(4):553−7;およびZimmerman et al., 1999, Nucl. Med. Biol. 26(8):943−50(各々、それらの全体において本明細書に参考として援用される)に記載されるとおり)。
細胞死を促進する部分はまた、細胞を抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)、抗体依存性細胞媒介性ファゴサイトーシス(ADCP)、もしくは補体依存性細胞傷害性(CDC(補体媒介性細胞溶解、もしくはCMCとしても公知))の標的とする部分(例えば、免疫グロブリンのFc成分)を含む。例えば、Raghavan et al., 1996, Annu Rev Cell Dev Biol 12:181−220;Ghetie et al., 2000, Annu Rev Immunol 18:739−766;Ravetch et al., 2001, Annu Rev Immunol 19:275−290)を参照のこと。目的の分子のADCC活性を評価するために、インビトロADCCアッセイが行われ得る。このようなアッセイに有用なエフェクター細胞としては、末梢血単核細胞(PBMC)およびナチュラル・キラー(NK)細胞が挙げられる。代わりに、もしくはさらに、上記目的の分子のADCC活性は、インビボで、例えば、Clynes et al. PNAS (USA) 95:652−656 (1998)において開示されるもののような動物モデルにおいて評価され得る。全てのFcγRは、Cγ2ドメインのN末端およびその前にあるヒンジにおいてFcの同じ領域に結合し、この領域は、本発明の目的のために機能部分として利用され得る。Fcの重なり合っているが別個の部位は、補体タンパク質C1qの接点として働く。そのFc/FcγR結合がADCCおよびADCPを媒介するのと同じようにして、Fc/C1q結合は、補体依存性細胞傷害性(CDC)を媒介する。上記Cγ2ドメインとCγ3ドメインとの間にあるFcの部位は、新生仔型レセプターFcRnとの相互作用を媒介し、その結合は、エンドサイトーシスされた抗体をエンドソームから血流へと戻してリサイクルする。
本明細書において使用される場合、Fc融合物は、当該分野において使用されるように、用語「イムノアドヘシン」、「Ig融合物」、「Igキメラ」、および「レセプターグロブリン」の類義語である(Chamow et al., 1996, Trends Biotechnol 14:52−60;Ashkenazi et al., 1997, Curr Opin Immunol 9:195−200)。Fc融合物は、例えば、免疫グロブリンのFc領域と、上記CtermもしくはNtermのミニwntとを併せ持つ。例えば、米国特許第5,766,883号および同第5,876,969号(ともに、明示的に参考として援用される)を参照のこと。
細胞死を促進するもの以外の治療部分としては、細胞の活性を変化させる因子が挙げられる。このような治療因子としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:サイトカイン、ケモカイン、代謝拮抗物質(例えば、メトトレキサート、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、5−フルオロウラシル、デカルバジン(decarbazine))、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオテパ、クロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)およびロムスチン(CCNU))、シクロホスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、およびシス−ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(以前は、ダウノマイシン)およびドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(以前は、アクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、およびアントラマイシン(AMC))、ならびに抗有糸分裂因子(例えば、ビンクリスチンおよびビンブラスチン)。
本出願のミニwntへの結合体化に適した他の機能部分としては、画像化部分が挙げられる。上記で考察されるように、画像化部分は、細胞(例えば、本出願の組成物によって標的とされた細胞)の位置を突き止めるために、および必要に応じて、細胞を可視化するために使用され得る非細胞傷害性因子である。例えば、蛍光色素は、画像化部分として使用され得る。別の例において、非細胞傷害性である放射活性因子はまた、画像化部分であり得る。画像化部分は、検出のための基質の添加を要し得る(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼなど)。あるいは、画像化部分(例えば、発蛍光団もしくは発色団色素(例えば、Alexa Fluor 488(登録商標)もしくはAlexa Fluor 647(登録商標))、または発蛍光団もしくは発色団を含むタンパク質(例えば、GFP、RFP、dsRED、phiYFPなど)およびこれらの変異体)は、検出のために基質の添加を要しない検出可能なシグナルを提供し得る。
2種以上のミニwnt(min−wnt)のマルチマーを誘導する機能部分もまた、重要であり、例えば、当該分野で公知であるように、高親和性を有する結合対(例えば、ビオチンおよびアビジン/ストレプトアビジン、ジッパードメインのようなペプチド配列など)が挙げられる。
ポリペプチドへ機能部分を結合体化するための技術は、当該分野で周知である。
を参照のこと。
機能部分は、代表的には、共有結合的相互作用によって、本発明の組成物の上記ミニwntポリペプチドに結合している。いくつかの実施形態において、リンカーが使用され得、ここで上記リンカーは、上記ミニwntポリペプチドを上記機能部分へ連結するために使用され得る任意の部分であり得る。いくつかの実施形態において、上記リンカーは、切断可能なリンカーである。切断可能なリンカーを使用すると、上記細胞によっていったん吸収されると、上記ミニwntポリペプチドに連結された部分が、上記ミニwntポリペプチドから放出させられ得、上記細胞本体へと輸送され得る。上記切断可能なリンカーは、化学物質因子によって、酵素によって、pH変化に起因して、もしくはエネルギーに曝されることによって、切断され得る。使用され得るエネルギーの形態の例としては、光、マイクロ波、超音波、および無線周波数が挙げられる。
特定の適用において、特に、上記部分が治療部分である場合、上記化合物が上記細胞にいったん入ったら、上記機能部分を放出し、上記部分の放出を生じることは望ましいことであり得る。よって、1つのバリエーションにおいて、上記リンカーLは、切断可能なリンカーである。このことは、上記部分Mが、細胞の中にいったん入れば、上記化合物から放出されることを可能にする。これは、例えば、上記機能部分が、上記ミニwntポリペプチドから分離される場合により大きな治療効果を有する治療部分である場合に望ましいことであり得る。例えば、上記治療部分は、上記ミニwntポリペプチドから分離される場合に、上記細胞の細胞内成分によって吸収されるより高い能力を有し得る。よって、上記治療部分が、細胞内区画に入り得るように、上記治療部分を上記ミニwntポリペプチドから分離することは、必要であるかもしくは望ましいことであり得る。
(方法)
本発明の方法において、ミニwntを含む組成物の有効量が、例えば、細胞と、その組成物の有効量とを接触させて、所望の効果(例えば、Wntシグナル伝達を阻害するか、増殖もしくは異常な脈管形成を阻害するか、治療部分もしくは画像化部分を送達するか、抗体を生成するなど)を達成することによって、細胞に提供される。
本発明のいくつかの方法において、本発明の組成物の有効量は、細胞におけるWntシグナル伝達を阻害するために提供される。生化学的に言えば、Wntインヒビターの有効量もしくは有効用量は、細胞におけるWntシグナル伝達を、上記ミニwntの非存在下でのシグナル伝達と比較して、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは100%低下させるかもしくは弱めるインヒビターの量である。言い換えると、ミニwnt組成物の有効量もしくは有効用量と接触させられた細胞のWntシグナル伝達に対する応答性は、ミニwnt組成物の有効量/用量と接触させられなかった細胞で観察されるWntシグナル伝達に対する応答の強度と比較して、約70%以下、約60%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約20%以下、約10%以下、約5%以下であるか、もしくは約0%である(すなわち、無視できる)。Wntによる細胞の活性(すなわち、Wntシグナル伝達に対する細胞の応答性)の調節の量は、Wnt生物学の当業者に公知の多くの方法によって決定され得る。例えば、細胞中のリン酸化β−カテニンの量が測定され得るか;細胞における細胞質ゾルのβ−カテニンの量が測定され得るか;またはWntシグナル伝達によって通常活性化される転写因子(例えば、TCF/LEF)の活性の量が、例えば、TCF/LEFの転写標的である遺伝子のRNAレベルもしくはタンパク質レベルを測定することによって、または上記細胞を、レポータータンパク質(例えば、ルシフェラーゼ)に作動可能に連結されたTCF結合部位(TOP)(TOPFlash)、EGFPに作動可能に連結されたTCF結合部位(TOP−EGFP)などを含む核酸ベクターでトランスフェクト/感染させ、生成されるレポータータンパク質の量を定性的にもしくは定量的に測定することによって、測定され得る。このようにして、上記因子のアンタゴニスト効果は、確認され得る。
臨床的意味においては、ミニwnt組成物の有効用量は、適切な期間にわたって、通常は、少なくとも約1週間、およびおそらく約2週間もしくはそれよりも長い期間から、最大約4週間、8週間もしくはそれよりも長い期間までの期間にわたって投与される場合、望ましくないWntシグナル伝達と関連する症状の変化を実証する用量である。例えば、有効用量は、適切な期間にわたって、通常は、少なくとも約1週間、およびおそらく約2週間もしくはそれよりも長い期間から、最大約4週間、8週間もしくはそれよりも長い期間までの期間にわたって投与される場合に、がんに罹患している患者における腫瘍増殖または糖尿病網膜症に罹患している患者の眼における新血管新生を遅らせるかもしくはさらに停止させる用量である。いくつかの実施形態において、有効用量は、上記疾患状態の進行を遅らせ得るかもしくは停止させ得るのみならず、上記状態の改善をも誘導し得る。最初の用量が、このような期間にわたって投与され得、続いて、維持用量(これは、いくつかの場合においては、低下した投与量である)が投与され得ることは、当業者によって理解される。
いくつかの実施形態において、本発明の組成物の有効量は、機能部分(例えば、治療部分もしくは画像化部分)を細胞に送達するために提供される。このような実施形態において、有効量は、上記機能部分によって治療効力もしくは画像化効力を達成するために必要とされる量である。
例えば、いくつかの実施形態において、上記機能部分は、細胞傷害性である治療部分である。細胞傷害性部分を含む組成物の有効量は、上記ミニwnt組成物(これに、上記細胞傷害性部分が融合される)によって標的とされる細胞において選択的に細胞死を促進するために十分な量である。いくつかの場合において、機能部分の有効量は周知である;例えば、放射性核種は、代表的には、10〜30cGy/hの範囲において送達され、上記レジメンは、上記放射性同位体の半減期に依存する。他の場合において、上記有効量は、細胞死をアッセイするために当該分野で公知の任意の便利な方法(例えば、TUNEL染色、アネキシン染色、ヨウ化プロピジウム取り込みなど)を使用して、当業者によって容易に決定され得る。最初の用量が、このような期間にわたって投与され得、続いて、維持用量(これは、いくつかの場合において、低下した投与量である)が投与され得ることは、当業者によって理解される。
別の例として、いくつかの実施形態において、上記機能部分は、細胞をADCCもしくはCDCの標的とする治療部分である。細胞をADCCもしくはCDCの標的とする部分を含む組成物の有効量は、上記細胞傷害性部分が融合される上記ミニwnt組成物によって標的とされる細胞において選択的にADCCもしくはCDCを促進するために十分な量である。上記有効量は、ADCCおよびCDCをアッセイするために当該分野で公知の任意の便利な方法を使用して、当業者によって容易に決定され得る。
別の例として、いくつかの実施形態において、上記機能部分は、画像化部分である。画像化部分を含む本発明の組成物の有効量は、上記画像化部分が融合される上記ミニwnt組成物によって標的とされる細胞を選択的に標識するために十分な量である。上記有効量は、画像化部分を可視化するための当該分野で公知の任意の便利な方法(例えば、顕微鏡(例えば、落射蛍光顕微鏡もしくは光学顕微鏡))を使用して、当業者によって容易に決定され得る。
投与されるべきミニwnt組成物の有効量もしくは有効用量の計算は、当業者の技術範囲内であり、当業者にとって慣用的である。言うまでもなく、投与されるべき最終量は、投与経路に、および処置されるべき上記障害もしくは状態の性質に依存する。
本発明の方法における使用に適した細胞は、1種以上のWntレセプターを含む細胞である。上記で考察されるように、Wntレセプターとしては、Fzタンパク質、RORタンパク質、Ryk、LRP5、LRP6およびEGF−CFCタンパク質が挙げられる。いくつかの実施形態において、上記細胞は、CRDドメインもしくはWIFドメインを含む、Wntレセプターを発現する細胞である。このような実施形態において、上記方法において使用される組成物は、Cterm ミニwntであるミニwntポリペプチドを含む。CRDドメインを含むWntレセプターの例としては、Fzタンパク質およびROR膜貫通キナーゼが挙げられる。WIFドメインを含むWntレセプターの例としては、Derailed/Rykが挙げられる。いくつかの実施形態において、上記細胞は、LRP5、LRP6、もしくはcryptoであるWntレセプターを発現する細胞である。このような実施形態において、上記方法において使用される組成物は、Nterm ミニwntであるミニwntポリペプチドを含む。
上記接触させられるべき細胞は、インビトロに(すなわち、培養中)あってもよいし、インビボに(すなわち、被験体の中に)あってもよい。細胞は、任意の生物に由来するかもしくは上記生物の中にあり得るが、好ましくは、哺乳動物(ヒト、飼い慣らされた動物および家畜、ならびに動物園動物、実験動物、もしくは愛玩動物(例えば、イヌ,ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウサギ、ラット、マウス、カエル、ゼブラフィッシュ、ショウジョウバエ、蠕虫など)が挙げられる)に由来する。好ましくは、上記哺乳動物は、ヒトである。細胞は、任意の組織に由来し得る。細胞は、冷凍されていてもよいし、新鮮であってもよい。それらは、初代細胞であってもよいし、細胞株であってもよい。より通常には、それらは、インビボでの初代細胞である。
特に重要な細胞は、(特に、それらが以下に記載されるWnt媒介性疾患状態に関連し得る場合)Wntシグナル伝達に応答性であり、望ましくないもしくは別の点で異常な細胞増殖と関連しているもの(例えば、腫瘍形成、脈管形成など)である。例として、目的の細胞としては、内皮細胞(これは、血管の内表面を裏打ちする細胞であり、異常に活性である場合、異常な脈管形成と関連し得る)が挙げられる。別の例として、目的の細胞としては、がん細胞(例えば、腫瘍細胞(例えば、がん幹細胞(これは、正常の幹細胞と関連する特徴、すなわち、特定のがんサンプルにおいて全ての細胞タイプを生じる能力を有し、かつ異常な細胞増殖と関連するタイプのがん細胞である)))が挙げられる。
インビトロでの細胞は、当該分野で周知の多くの方法のうちのいずれかによって、ミニwntポリペプチドを含む組成物と接触させられ得る。例えば、上記組成物は、主題の細胞が培養されている培地中の上記細胞に提供され得る。上記ミニwntポリペプチドをコードする核酸は、それらの取り込みを促進することが当該分野で周知の条件下で(例えば、エレクトロポレーション、塩化カルシウムトランスフェクション、およびリポフェクチン)、上記主題の細胞、もしくは上記主題の細胞と共存培養される細胞にベクター上で提供され得る。あるいは、上記Wntインヒビターをコードする核酸は、上記主題の細胞、もしくは上記主題の細胞とともに共存培養される細胞に、ウイルスを介して提供され得る(すなわち、上記細胞は、上記ミニwntポリペプチドをコードする核酸を含むウイルス粒子と接触させられる)。レトロウイルス(例えば、レンチウイルス)は、非分裂細胞をトランスフェクトするために使用され得るので、本発明の方法に特に適している(例えば、Uchida et al. (1998) P.N.A.S. 95(20):11939−44を参照のこと)。一般に使用されるレトロウイルスベクターは、「欠損性」である(すなわち、生産能力のある感染に必要なウイルスタンパク質を生成できない)。むしろ、上記ベクターの複製は、パッケージング細胞株における増殖を必要とする。
同様に、インビボでの細胞は、ペプチドもしくは核酸を被験体に投与するための当該分野で周知の多くの方法のうちのいずれかによって、本発明のミニwnt組成物と接触させられ得る。上記ミニwnt組成物は、種々の製剤へと組み込まれ得、いくつかの実施形態において、および特に、Cterm ミニwntに関して、これは、全長Wntタンパク質の製剤について記載されてきたように、界面活性剤、リポソームなどの非存在下で製剤化される。より具体的には、本発明の化合物は、適切な薬学的に受容可能なキャリアもしくは希釈剤と組み合わせることによって薬学的組成物へと製剤化され得、固体、半固体、液体もしくは気体様形態(例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、軟膏剤、液剤、坐剤、注射物、吸入物、ゲル、ミクロスフェア、およびエアロゾル)の調製物へと製剤化され得る。よって、上記ミニwnt組成物の投与は、種々の方法(経口投与、口内投与、直腸投与、非経口投与、腹腔内投与、皮内投与、経皮投与、気管内(intracheal)投与などが挙げられる)において達成され得る。上記活性薬剤は、投与後に全身にあってもよいし、局所投与、壁内投与の使用、または移植部位において活性用量を保持するように作用するインプラントの使用によって局在していてもよい。上記活性薬剤は、直ぐ活性であるように製剤化されてもよいし、徐放用に製剤化されてもよい。
いくつかの状態、特に中枢神経系状態については、薬剤が血液脳関門(BBB)を横断するように製剤化する必要があり得る。血液脳関門(BBB)を通過する薬物送達のための1つのストラテジーは、マンニトールもしくはロイコトリエンのような浸透性の手段によって、またはブラジキニンのような血管作用性物質の使用によって生化学的にのいずれかで、上記BBBの破壊を必然的に伴う。BBB開放を使用して、脳腫瘍へ特定の因子を標的化する能力もまた、選択肢である。BBB破壊因子は、本発明の治療組成物が脈管内注射によって投与される場合に、本発明の治療組成物とともに、同時投与され得る。上記BBBを通過させる他のストラテジーは、内因性輸送システム(caveoil−1媒介性トランスサイトーシス、キャリア媒介性輸送体(例えば、グルコースおよびアミノ酸キャリア)、インスリンもしくはトランスフェリンについてのレセプター媒介性トランスサイトーシス、ならびに活性なエフラックス輸送体(例えば、p−糖タンパク質)が挙げられる)の使用を必然的に伴い得る。活性な輸送部分はまた、本発明における使用のための治療化合物に結合体化されて、上記血管の内皮壁を横断する輸送を促進し得る。あるいは、上記BBBのうしろの(behind)治療因子の薬物送達は、局所送達による(例えば、Ommayaレザバ(例えば、米国特許第5,222,982号および同第5385582号を参照のこと)(本明細書に参考として援用される)を介して、例えば、鞘内送達による;ボーラス注射による、例えば、シリンジによる(例えば、硝子体内にもしくは頭蓋内に);連続注入による(例えば、カニューレ挿入によって)、例えば、対流で(例えば、米国特許出願公開第20070254842号(本明細書に参考として援用される));または上記薬剤が可逆性に付着したデバイスを移植することによる(例えば、米国特許出願公開第20080081064号および同第20090196903号(本明細書に参考として援用される)を参照のこと)ものであり得る。
治療用途。 上記に示唆されるように、本発明のミニwnt組成物は、Wntシグナル伝達に応答性の細胞においてWntシグナル伝達を阻害することにおける用途を見出す。Wntへの細胞の応答性は、当該分野で公知の、および本明細書に記載される方法によって、当業者によって容易に決定され得る。生物学的に活性なミニwnt組成物は、細胞におけるWntシグナル伝達を阻害する(すなわち、拮抗もしくは抑制する)。言い換えると、生物学的に活性なミニwnt組成物は、Wntシグナル伝達のドミナントネガティブ調節因子である。
Wntシグナル伝達のドミナントネガティブ調節因子(例えば、本発明のミニwnt組成物)は、Wnt媒介性疾患状態(例えば、異常な細胞増殖もしくは異常な脈管形成と関連する障害(Wntと関連する種々のがんが挙げられる))に罹患している哺乳動物(例えば、ヒト患者)の処置において用途を見いだす。このような状態によって特徴付けられる疾患に罹患している患者は、係属中の本願発明の処置プロトコルによって大いに利益を受ける。
用語「がん」とは、代表的には、調節されない細胞成長/増殖によって特徴付けられる、哺乳動物における生理学的状態をいう。がんの例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:癌腫、リンパ腫、細胞芽腫、および白血病。がんのより具体的な例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:結腸直腸がん、慢性リンパ性白血病(CLL)、肺がん(非小細胞肺がん(NSCLC)が挙げられる)、乳がん、卵巣がん、子宮頸がん、子宮体がん、前立腺がん、結腸直腸がん、消化管カルチノイド、膀胱がん、胃がん、膵臓がん、肝がん(肝細胞癌)、肝芽腫、食道がん、肺腺癌、中皮腫、滑膜肉腫、骨肉腫、頭頸部扁平上皮癌、若年性鼻咽頭血管線維腫、脂肪肉腫、甲状腺がん、黒色腫、基底細胞癌(BCC)、髄芽腫および類腱腫。本発明の方法による処置に関して特に重要ながんとしては、神経膠腫、髄芽腫、結腸がん、結腸直腸がん、黒色腫、乳がん、肺がん、肝臓がん、および胃がんが挙げられる。
腫瘍の増殖を阻害するミニwntポリペプチドを含む組成物は、インビトロでがん細胞の増殖速度の測定可能な低下もしくはインビボでの腫瘍の増殖阻害を生じるものである。例えば、好ましい増殖阻害性Wntアンタゴニストは、適切なコントロール(上記コントロールは、代表的には、上記試験されるWntアンタゴニスト分子で処置されないがん細胞である)と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、好ましくは、約20%〜約50%、およびさらにより好ましくは、50%より高く(例えば、約50%〜約100%)腫瘍の増殖を阻害する。上記Wntアンタゴニストは、約1μg/kg〜約100mg/kg体重の上記Wntアンタゴニストの投与が、1回目の投与から約5日間〜3ヶ月間以内に、好ましくは、約5〜30日間以内に、腫瘍サイズもしくは細胞増殖の低下を生じる場合、インビボで増殖阻害性である。
別の例として、本発明の組成物および方法は、CNS細胞における異常な脈管形成を阻害することにおいて用途を見いだす。用語「脈管形成」とは、新たな血管が既存の脈管から増殖もしくは萌芽する生物学的プロセスを記載するために使用される。脈管形成は、胚形成中、血管系の合成において、および成熟生物において(例えば、創傷治癒において)の両方で重要な役割を果たす。しかし、持続性の無秩序なもしくは不適切に調節された脈管形成によって駆動される多くの疾患状態がある。このような疾患状態においては、この異常な脈管形成は、特定の疾患を引き起こし得るか、または既存の病的状態を増悪させ得るかのいずれかである。例えば、眼における脈絡膜新生血管(CNV)およびその後の網膜症は、失明の最も一般的な原因として関連付けられており、多くの眼病の病状の根底にある(最も顕著なものとしては、糖尿病網膜症および加齢性黄斑変性(AMD、ARMD)、特に、ウェット型/滲出性加齢性黄斑変性)。Wntシグナル伝達は、発生の間にCNSおよび網膜における脈管形成を促進することに関連付けられた。よって、Wntインヒビターは、異常な脈管形成が寄与因子であるCNSの疾患状態を処置すること、すなわち、その発生もしくは進行を停止させることにおいて用途を見いだす。
CNSにおける異常な脈管形成を阻害するか、またはCNSにおける新血管新生を阻害するミニwnt組成物は、新たな血管系の発生(例えば、培養中の内皮細胞による管形成もしくは被験体における血管形成)の測定可能な阻害を生じるものである。好ましいWntアンタゴニストは、適切なコントロール(上記コントロールは、代表的には、上記試験されているWntアンタゴニスト分子で処置されていない細胞である)と比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、好ましくは、約20%〜約50%、およびさらにより好ましくは、50%より高く(例えば、約50%〜約100%)新たな血管系の発生速度を阻害する。上記Wntアンタゴニストは、約1μg/kg〜約100mg/kg 体重の上記Wntアンタゴニストの投与が、上記Wntインヒビターの最初の投与から約5日間〜6ヶ月間以内に、好ましくは、約5日間〜約2ヶ月間以内に、新血管系の発生の遅延もしくは停止を生じる場合、インビボで阻害性である。新血管系発生は、当該分野で周知かつ当業者に明らかな多くの方法によって観察され得る。例えば、脈絡膜新生血管形成の阻害は、眼底撮影法によって直接的に、もしくは視力検査での改善された得点についてアッセイすることによって間接的に、容易に観察され得る。
さらに、他の障害は、異常なWntシグナル伝達と関連しており、以下が挙げられるが、これらに限定されない:骨粗鬆症、変形性関節症、多発性嚢胞腎、糖尿病、統合失調症、血管疾患、心臓病、非腫瘍形成性増殖疾患、および神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病)。
Wntシグナル伝達を阻害する代わりとしてもしくは上記を阻害するのに加えて、ミニwnt組成物は、前述の疾患のうちのいずれかの処置について先に考察されたように、治療部分を送達するために使用され得る。例えば、ミニwnt組成物は、細胞傷害性部分を腫瘍形成性細胞に送達するために、または腫瘍形成性細胞をADCCもしくはCDC媒介性の細胞死の標的とするFc部分で腫瘍形成性細胞をタグ化するために使用されうる。別の例として、ミニwnt組成物は、神経変性状態におけるニューロンへのシナプス形成またはCNS傷害の部位における軸索伸長を促進するサイトカインを送達するために使用され得る。本発明のミニwnt組成物についてのこれらおよび他の治療適用は、当業者に容易に明らかである。
医薬に含めることについて、ミニwntポリペプチドは、一般に、受け入れられた製造法を使用して得られ得る。一般的な前提として、1用量につき非経口投与される上記Wntインヒビター化合物の全ての薬学的に有効な量は、用量応答曲線によって測定され得る範囲内にある。
薬学的組成物は、所望される製剤に依存して、薬学的に受容可能な、非毒性のキャリアもしくは賦形剤(これらは、動物もしくはヒトへの投与について薬学的組成物を製剤化するために一般に使用されるビヒクルとして定義される)を含み得る。上記希釈剤は、上記組み合わせの生物学的活性に影響を与えないように選択される。このような希釈剤の例は、蒸留水、緩衝化した水、生理食塩水、PBS、リンゲル溶液、デキストロース溶液、およびハンクス溶液である。さらに、上記薬学的組成物もしくは製剤は、他のキャリア、アジュバント、もしくは非毒性の非治療的な非免疫原性の安定化剤、賦形剤などを含み得る。上記組成物はまた、生理学的条件に近づけるためにさらなる物質(例えば、pH調節および緩衝化因子、毒性調節因子、湿潤剤および界面活性剤)を含み得る。
上記組成物はまた、種々の安定化因子のうちのいずれか(例えば、抗酸化剤)を含み得る。上記薬学的組成物がポリペプチドを含む場合、上記ポリペプチドは、上記ポリペプチドのインビボ安定性を増強するか、またはその薬理学的特性を別の方法で増強する(例えば、上記ポリペプチドの半減期を増大させる、その毒性を低下させる、溶解度もしくは取り込みを増強する)種々の周知の化合物と複合体化され得る。このような改変もしくは複合体化因子の例としては、スルフェート、グルコネート、シトレートおよびホスフェートが挙げられる。上記組成物のポリペプチドはまた、それらのインビボ属性を増強する分子と複合体化され得る。このような分子としては、以下が挙げられる:例えば、炭水化物、ポリアミン、アミノ酸、他のペプチド、イオン(例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、マンガン)、および脂質。
種々のタイプの投与に適した製剤についてのさらなるガイダンスは、以下に見出され得る:Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mace Publishing Company, Philadelphia, Pa., 17th ed. (1985)。薬物送達のための方法の簡潔な総説については、Langer, Science 249:1527−1533 (1990)を参照のこと。
上記薬学的組成物は、予防的処置および/もしくは治療的処置のために投与され得る。上記活性成分の毒性および治療効力は、細胞培養物および/もしくは実験動物において標準の薬学的手順(例えば、LD50(集団のうちの50%にとって致死的な用量)およびED50(集団のうちの50%において治療上有効な用量)を決定することが挙げられる)に従って決定され得る。毒性効果と治療効果との間の用量比は、治療指数であり、比LD50/ED50として表され得る。大きな治療指数を示す化合物が好ましい。
細胞培養および/もしくは動物研究から得られるデータは、ヒトに関する投与量の範囲を製剤化することにおいて使用され得る。上記活性成分の投与量は、代表的には、低毒性でED50を含む循環濃度の範囲内にある。上記投与量は、使用される投与形態および利用される投与経路に依存して、この範囲内で変動し得る。
上記薬学的組成物を処方するために使用される成分は、好ましくは、高純度であり、かつ潜在的に有害な夾雑物を実質的に含まないものである(例えば、少なくともナショナルフード(NF)グレード、一般に、少なくとも分析グレード、およびより代表的には、少なくとも製薬グレード)。さらに、インビボでの使用が意図された組成物は、通常は、無菌である。所定の化合物が使用前に合成されなければならない程度まで、得られる生成物は、代表的には、合成もしくは精製プロセス中に存在し得るいかなる潜在的に毒性の因子(特に、いかなる外毒素)をも実質的に含まない。非経口投与のための組成物はまた、無菌であり、実質的に等張性であり、GMP条件の下で作製される。
本発明の方法はまた、組み合わせ治療において用途を見いだす。例えば、多くの因子(例えば、アンギオスタチン、エンドスタチン、VEGFインヒビターなど)は、異常な脈管形成の処置において有用であり得る。同様に、多くの因子(例えば、化学療法剤、放射線療法など)は、がんの処置において有用であり得る。本発明のミニwntおよびこれら他の因子の組み合わされた使用は、個々の薬物の必要とされる投与量がより低く、上記異なる薬物の効果を補完し合うという利点を有し得る。
画像化部分の送達。 上記に示唆されるように、本発明のミニwnt組成物はまた、Wntレセプターを発現する細胞に画像化部分を送達することにおいて用途を見いだす。例えば、蛍光部分に結合体化されたミニwnt組成物は、インビトロおよびインビボで細胞を標識し、追跡するために(例えば、研究目的で)使用され得る。
抗体生成。 本発明のミニwnt組成物はまた、抗体を生成するために使用され得る。抗体は、当該分野で公知の任意の適切な方法によって作製され得る。本発明の抗体は、ポリクローナル抗体であってもよいし、モノクローナル抗体であってもよい。それらは、一価であってもよいし、二価であってもよいし、多価であってもよい。それらは、フラグメント(例えば、F(ab)フラグメント)であってもよい。抗体を調製する方法は、当業者に公知である(Harlow, et al., Antibodies: a Laboratory Manual, (Cold spring Harbor Laboratory Press, 2nd ed. (1988)(これは、その全体において本明細書に参考として援用される))。
本発明の抗体を生成するにあたって、ミニwntポリペプチドを含む本発明の組成物は、(例えば、アジュバントとともに)注射用に製剤化され、得られる免疫原は、動物を免疫するために使用される。免疫原組成物の上記ミニwntポリペプチドは、有益な場合、上記ミニwntポリペプチドが融合セグメントに結合される融合タンパク質として生成され得る。上記融合セグメントは、しばしば、例えば、上記融合タンパク質がアフィニティークロマトグラフィーによって単離および精製されることを可能にすることによって、タンパク質精製を補助する。融合タンパク質は、上記タンパク質のカルボキシル末端および/もしくはアミノ末端のいずれかに結合される上記融合セグメントを含むタンパク質をコードする融合核酸配列で形質転換された組換え細胞を培養することによって、生成され得る。融合セグメントとしては、免疫グロブリンFc領域、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、二価金属イオンに結合し得るポリヒスチジンセグメント、およびマルトース結合タンパク質が挙げられ得るが、これらに限定されない。
ポリクローナル抗体を生成するために、上記で記載されるとおりの免疫原は、種々の宿主動物(ウサギ、マウス、ラットなどが挙げられるが、これらに限定されない)に投与されて、上記抗原に特異的なポリクローナル抗体を含む血清の生成を誘導し得る。上記免疫原の投与は、免疫因子および所望であれば、アジュバントの1回以上の注射を含み得る。種々のアジュバントは、上記宿主の種に依存して、免疫学的応答を増大させるために使用され得、フロイントアジュバント(完全および不完全)、ミネラルゲル(例えば、水酸化アルミニウム)、表面活性剤(例えば、リゾレシチン)、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油エマルジョン、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、および潜在的に有用なヒトアジュバント(例えば、BCG(カルメット・ゲラン桿菌)およびCorynebacterium parvumが挙げられ得るが、これらに限定されない。使用され得るアジュバントのさらなる例としては、MPL−TDMアジュバント(モノホスホリルリピドA)、合成トレハロースジコリノミコレート)が挙げられる。免疫プロトコルは、当該分野で周知であり、上記選択された動物宿主において免疫応答を誘発する任意の方法によって行われ得る。アジュバントはまた、当該分野で周知である。
代表的には、上記免疫原(アジュバントありもしくはなし)は、複数回の皮下もしくは腹腔内の注射によって、または筋肉内にもしくはIVを介して、上記哺乳動物へと注射される。上記免疫原は、IL13ポリペプチド、融合タンパク質もしくはその改変体を含み得る。上記ポリペプチドの性質(すなわち、疎水性%、親水性%、安定性、正味の電荷、等電点など)に依存して、上記免疫原を、免疫される上記哺乳動物において免疫原性であることが公知のタンパク質に結合体化することは、有用であり得る。このような結合体化としては、共有結合が形成されるように、上記免疫原および上記結合体化されるべき免疫原性タンパク質の両方に活性な化学的官能基を誘導体化することによるか、または融合タンパク質ベースの方法論を介するか、または当業者に公知の他の方法を介する、化学的結合体化が挙げられる。このような免疫原性タンパク質の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:キーホールリンペットヘモシアニン、オボアルブミン、血清アルブミン、ウシサイログロブリン、ダイズトリプシンインヒビター、および無差別のTヘルパーペプチド。種々のアジュバントが、上記のように、免疫学的応答を増大させるために使用され得る。
モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技術(例えば、Kohler and Milstein, Nature, 256:495 (1975)および米国特許第4,376,110号によって、Harlow, et al., Antibodies: A Laboratory Manual, (Cold spring Harbor Laboratory Press, 2nd ed. (1988)によって、Hammerling, et al., Monoclonal Antibodies and T−Cell Hybridomas (Elsevier, N.Y., (1981))によって記載されるもの)を使用して、もしくは当業者に公知の他の方法によって調製され得る。モノクローナル抗体を生成するために使用され得る方法の他の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kosbor et al., 1983, Immunology Today 4:72;Cole et al., 1983, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80:2026−2030)、およびEBV−ハイブリドーマ技術(Cole et al., 1985, Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc., pp. 77−96)。このような抗体は、任意の免疫グロブリンクラス(IgG、IgM、IgE、IgA、IgDおよびこれらの任意のサブクラスが挙げられる)のものであり得る。本発明のmAbを生成するハイブリドーマは、インビトロもしくはインビボで培養され得る。
モノクローナル抗体を生成するための種々の方法が当該分野に存在するので、本発明は、それらのハイブリドーマでの生成のみには限定されない。例えば、上記モノクローナル抗体は、組換えDNA方法(例えば、米国特許第4,816,567号に記載されるもの)によって作製され得る。この文脈において、用語「モノクローナル抗体」とは、単一の真核生物クローン、ファージクローン、もしくは原核生物クローンから得られる抗体をいう。本発明のモノクローナル抗体をコードする上記DNAは、従来の手順を使用して(例えば、マウス抗体の重鎖および軽鎖、またはヒト、ヒト化もしくは他の供給源に由来するこのような鎖をコードする遺伝子に特異的に結合し得るオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)容易に単離されかつ配列決定され得る。本発明のハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの好ましい供給源として機能する。いったん単離されたら、上記DNAは、発現ベクターの中に入れられ得、これは、次いで、NS0細胞、シミアンCOS細胞、チャイニーズ・ハムスター卵巣(CHO)細胞、または別の方法では免疫グロブリンタンパク質を生成しない骨髄腫細胞のような宿主細胞に形質転換されて、上記組換え宿主細胞におけるモノクローナル抗体の合成を得る。上記DNAはまた、例えば、ヒト重鎖および軽鎖の定常ドメインのコード配列を、相同なマウス配列の代わりに使用することによって(米国特許第4,816,567号;Morrison et al,前出)、または上記免疫グロブリンコード配列に、非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列のうちの全てもしくは一部を共有結合することによって、改変され得る。このような非免疫グロブリンポリペプチドは、本発明の抗体の定常ドメインの代わりに使用され得るか、または本発明の抗体の1つの抗原結合部位の可変ドメインの代わりに使用されて、キメラ二価抗体を作製し得る。
上記抗体は、一価抗体であってもよい。一価抗体を調製するための方法は、当該分野で周知である。例えば、1つの方法は、免疫グロブリンの軽鎖および改変された重鎖の組換え発現を包含する。上記重鎖は、一般に、重鎖架橋を妨げるように、上記Fc領域におけるいずれかの点において短縮される。あるいは、関連するシステイン残基が、別のアミノ酸残基で置換されるか、または架橋を妨げるように欠失される。
特異的エピトープを認識する抗体フラグメントは、公知の技術によって生成され得る。例えば、本発明のFabおよびF(ab’)2フラグメントは、免疫グロブリン分子を、パパイン(Fabフラグメントを生成するため)もしくはペプシン(F(ab’)2フラグメントを生成するため)のような酵素を使用してタンパク質分解切断することによって生成され得る。F(ab’)2フラグメントは、可変領域、軽鎖定常領域および重鎖のCH1ドメインを含む。
ヒトにおける抗体のインビボでの使用およびインビトロ検出アッセイを含むいくつかの用途については、キメラ抗体、ヒト化抗体、もしくはヒト抗体を使用することは好ましいことであり得る。キメラ抗体は、上記抗体の異なる部分が異なる動物種に由来する分子である(例えば、マウスモノクローナル抗体に由来する可変領域およびヒト免疫グロブリン定常領域を有する抗体)。キメラ抗体を生成するための方法は、当該分野で公知である。例えば、Morrison, Science 229:1202 (1985);Oi et al., BioTechniques 4:214 (1986);Gillies et al., (1989) J. Immunol. Methods 125:191−202;米国特許第5,807,715号;同第4,816,567号;および同第4,816397号(これらは、それらの全体において本明細書に参考として援用される)を参照のこと。
ヒト化抗体は、非ヒト種に由来する1個以上の相補性決定領域(CDR)およびヒト免疫グロブリン分子に由来するフレームワーク(FR)領域を有する、所望の抗原に結合する、非ヒト種において生成された抗体分子である。しばしば、ヒトフレームワーク領域におけるフレームワーク残基は、上記CDRドナー抗体に由来する対応する残基で置換されて、抗原結合を変化させる(好ましくは、改善する)。これらフレームワーク置換は、当該分野で周知の方法によって、例えば、抗原結合および配列比較に重要なフレームワーク残基を同定して、特定の位置における稀なフレームワーク残基を同定するために、上記CDRとフレームワーク残基との相互作用のモデリングによって、同定される(例えば、Queen et al., 米国特許第5,585,089号;Riechmann et al., Nature 332:323 (1988)(これらは、それらの全体において本明細書に参考として援用される)を参照のこと)。抗体は、当該分野で公知の種々の技術(例えば、CDRグラフト化(EP 239,400;PCT公開WO 91/09967;米国特許第5,225,539号;同第5,530,101号;および同第5,585,089号)、ベニアリング(veneering)もしくはリサーフェシング(resurfacing)(EP 592,106;EP 519,596;Padlan, Molecular Immunology 28(4/5):489−498 (1991);Studnicka et al., Protein Engineering 7(6):805−814 (1994);Roguska et al., PNAS 91:969−973 (1994))、および鎖シャッフリング(米国特許第5,565,332号)が挙げられる)を使用して、ヒト化され得る。
完全ヒト抗体は、ヒト患者の治療的処置のために特に望ましい。ヒト抗体は、当該分野で公知の種々の方法(ヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体ライブラリーを使用する、上記に記載されるファージディスプレイ法が挙げられる)によって作製され得る。米国特許第4,444,887号および同第4,716,111号;ならびにPCT公開WO 98/46645、WO 98/50433、WO 98/24893、WO 98/16654、WO 96/34096、WO 96/33735、およびWO 91/10741(これらの各々は、その全体において本明細書に参考として援用される)もまた参照のこと。Cole et al.およびBoerder et al.の技術はまた、ヒトモノクローナル抗体の調製のために利用可能である(Cole et al., Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Riss, (1985);およびBoerner et al., J. Immunol., 147(1):86−95, (1991))。ヒト抗体はまた、機能的内因性免疫グロブリンを発現し得ないが、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現し得るトランスジェニックマウスを使用して、生成され得る。
候補ミニwnt抗体は、酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)、ウェスタンイムノブロッティング、もしくは他の免疫化学的技術によって試験されて、上記標的Wntに対するそれらの親和性および特異性を確認し得る。上記個々の抗体を特徴付けるために行われるアッセイとしては、(1)がん幹細胞のWntオートクリン増殖の阻害;および(2)Wnt誘導性TCF−LEF誘導性遺伝子発現の阻害が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の抗体はまた、それらの交叉反応性の点から記載されるかもしくは特定され得る。ミニwntポリペプチドに結合し、ヒトWntに対して少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも65%、少なくとも60%、少なくとも55%、および少なくとも50%の同一性を有する(当該分野で公知かつ本明細書に記載される方法を使用して計算される場合)抗体はまた、本発明に包含される。従って、本発明の抗体は、上記ミニwntを誘導した天然の親Wntタンパク質のWntドメインに結合し、そのWntによって通常結合されるレセプター複合体の活性化を阻害する。
好ましい結合親和性は、10−8〜10−15Mの平衡解離定数もしくはKDを有するものを含む。本発明はまた、競合結合を決定するために当該分野で公知の任意の方法(例えば、本明細書に記載されるイムノアッセイ)によって決定される場合に、本発明のエピトープへの抗体の結合を競合的に阻害する抗体を提供する。好ましい実施形態において、上記抗体は、上記エピトープへの結合を、少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも60%、もしくは少なくとも50%競合的に阻害する。
以下の実施例は、当業者に、本発明を作製および使用する方法の完全な開示および説明を提供するために記載されるのであって、本発明者らが発明として解釈しているものの範囲を限定することを意図しておらず、以下の実験が行われる全てのもしくは唯一の実験であることを表すことを意図していない。使用される数値(例えば、量、温度など)に関して正確性を期す努力がなされたが、いくらかの実験誤差および偏差があるはずである。別段示されなければ、部は、重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏温度であり、圧力は大気圧または大気圧付近である。
本発明者らは、インビトロ進化法を使用することによって、生物学的活性を保持したWntもしくはWntフラグメントの水溶性バージョンを同定しようとした。野生型Wntが、それらの可溶性および組換え発現される能力を大いに低下させる脂質基で修飾されているという点において、野生型Wntによって課される困難性を考えると、本発明者らは、レセプター結合活性を保持した水溶性WntもしくはWntフラグメントが、あらゆるレベルでのWnt研究にとって変革的であり(transformative):アンタゴニストもしくはアゴニストのいずれかとしてのWnt薬物の設計に関して生物学的、機能的、およびトランスレーショナル(translational)であると推論した。
この目的に向かって、インビトロ進化を使用して、a)上記レセプターFrizzledを結合することにおいて活性である、およびb)水溶性である、Wnt形態を発見した。酵母表面ディスプレイを使用して、これら基準を満たすものについてWnt改変体をスクリーニングした。酵母は、脂質基をWntに結合させるために必要とされる酵素を有しないので、上記酵母表面ディスプレイシステムは、この目的に比類なく適している:Fzに対する結合親和性を有すると同定されている任意の変異Wntは、上記スクリーニングにおいて酵母によって発現されるので、脂質基を欠いておらねばならず、よって水溶性でなければならない。概念実証として、Fz−CRD構築物に対する結合は、酵母でのXenopus XWnt8の上記野生型配列の発現後に認められなかった。
酵母によって発現され得、かつ上記Fz−CRDに正確に結合し得るXWnt8の変異形態もしくは改変形態を同定するために、変異させたXWnt8遺伝子の大きなライブラリーを、1遺伝子あたり3〜4塩基の変化を導入するエラープローンPCRを使用して生成した。次いで、これら改変体を、酵母Aga2タンパク質と融合させ、上記融合構築物を、酵母に形質転換した。Wnt改変体(酵母1個あたり約50,000コピー)のライブラリーを、Fz−CRD(この場合は、Fz5−CRD)組成物を使用してスクリーニングした(ここで上記Fz−CRDは、ストレプトアビジンに結合体化されて、strep−Fz−CRD「テトラマー」を形成した(図1))。ストレプトアビジンへの結合体化は、上記Fz−CRDの結合力(もしくはマルチマー性質)を上昇させ、それによって、試薬の感度を増強した。例えば、図1bに示されるように、Fz5およびFz8 CRDは、完全にビオチン化される。なぜなら、ストレプトアビジンの付加は、上記CRD(ここでは、ストレプトアビジンに結合されている(「+」レーンを参照のこと))を、遙かに高い分子量において泳動させるからである。従って、strep−Fz−CRD「テトラマー」は、上記酵母ライブラリー選択のために使用するのに非常に効率的な試薬である。
上記遺伝子および名称およびN末端ドメイン、リンカー、ならびにC末端ドメインのカラーコードを、その後の図面において示される実験に基づいて、この図において後付けで行った。選択実験の前に、上記Wnt遺伝子をこれら領域に細分化したことは知られておらず、インビトロ進化実験の結果に鑑みて、これら境界が上記Wnt遺伝子に引かれ得ることに過ぎない。図1Cにおいて上記遺伝子上の赤い矢印は、短縮化したミニWnt C末端フラグメントの境界のいくつかを示しており、ミニWntが全長遺伝子のどの程度の割合を占めるかを示す。
Fz5およびFz8−CRDテトラマーにおけるXWnt8エラープローンライブラリーの数回の選択の後に、特異的で反応性であるような個々の酵母クローンを単離した。上記Fz−CRDテトラマーについての個々の酵母クローンの特異性を、FACS分析によって確認した。簡潔には、各融合構築物を、上記酵母と上記XWnt8との間にある上記リンカー中にプロテアーゼ部位を、および酵母上の上記XWnt8の末端においてC末端Mycタグを含めるように設計した。上記プロテアーゼの非存在下および存在下で上記酵母をFz−CRDテトラマーもしくはMyc特異的抗体で染色することによって、これは、上記テトラマーが、実際に、上記Wntと特異的に反応しているか否か、または上記相互作用が、上記酵母への非特異的結合に過ぎなかったかを強く決定した。図2および図3に示されるように、上記Fz−CRDテトラマーによるFACS染色は、プロテアーゼを添加したときに失われる。このことは、上記Fz−CRDについての酵母クローンの反応性が、実際に、その酵母クローンによってディスプレイされた上記Wnt改変体に起因し、上記酵母に対するFz−CRDの非特異的親和性ではなかったことを示す。同様に、上記プロテアーゼの存在下で、Myc反応性は失われる。従って、特異的結合相互作用は、上記同定された酵母クローンとFzCRDとの間で確認された。
Fz−CRDに対して特異的結合活性を示したXWnt8改変体を発現する酵母クローンを、可溶性組換え形態において発現させた(図4)。一例として、上記XWnt8改変体B7を、昆虫細胞において発現させ、ゲル濾過によって精製したところ、これが、界面活性剤の非存在下で十分に折りたたまれた水溶性タンパク質であることを示す(図4,上)。この精製B7改変体に添加したFz5−CRDは、ゲル濾過によって複合体として上記B7改変体とともに同時に溶出する。このことは、上記Fz5−CRDがこの組換え水溶性XWnt8改変体を「引っ張り落とす」か、または上記改変体に特異的に結合することを示す。従って、上記XWnt8改変体B7は、水溶性であって、Wntのレセプター結合バージョンである。
上記に記載されるとおりのさらなるXWnt8改変体の分析から、可溶性でありかつFz−CRDに結合した上記改変体の全ては、上記全長XWnt8の小さな短縮されたバージョンであることが明らかになった。これら配列は、WntのC末端の約100アミノ酸程度を含んだに過ぎず、従って、「ミニWnt」と称した。上記ミニWntの正確な境界は、変動し得る(図1に示されるとおり)が、これらミニwntは、主要な領域(図1においてピンク色)が含まれる限りにおいてFz結合活性を保持する。この領域は、全てのWntにおいて種にまたがって非常に保存されているので、上記ミニWntは、全ての種にまたがってWntの保存されたFz結合フラグメントを表す。
上記Fz−CRDに対する上記ミニwnt改変体の結合親和性を正確に定量するために、表面プラズモン共鳴(SPR)を行った。ミニXWnt8を発現させ、バキュロウイルスから精製した。ビオチン化Fz5−CRDおよびFz8−CRDをSPRチップに結合し、その上に、バキュロウイルス発現させたミニXwnt8を流した。数学的モデルに適合可能である結合曲線を作成するために、いくつかのミニWnt濃度を、上記チップの上に注入し、結合の程度を応答単位(RU)において記録した。このデータから、本発明者らは、結合曲線を適合し、約1〜2マイクロモル濃度の親和性定数(KD)を計算できた。従って、この実験は、精製システムにおいて、ミニXWnt8が、界面活性剤を欠く水性緩衝液中で、生理学的親和性でFz−CRDに結合することを証明する。
上記ミニXWnt8の発見の、他のWntに対する関連性は、非常に明らかである。図6は、上記WntのミニWnt領域(Wntのほぼ最後の110残基)を含む上記XWnt8と一緒に、全てのヒトWntの配列アラインメントを示す。上記配列は、高度に保存されている。このことは、哺乳動物、脊椎動物、および非脊椎動物の全てのWntの上記Fz結合ドメインが、そのように図示されるC末端ミニWntドメインにあることを示す。このドメインは、いかなる脂質付加部位をも含まず、水溶性であり、従って、Wntシグナル伝達を調節するWntポリペプチドを生成する理想的なプラットフォームを提供する。
上記Fzレセプターを介する大部分のWntシグナル伝達が、Fzおよび共レセプター(例えば、LRP5/6)の両方へのWnt結合を要することは公知である。しかし、この共レセプター相互作用に必要なWntのドメインについては、何も知られていない。ミニWnt C末端ドメインがFzに結合するという本発明者らの発見に基づいて、本発明者らは、上記N末端ドメイン(図1に示されるとおり)が、Lrp6に結合すると推論した。上記WntのN末端ドメインがLrp6と相互作用するか否かを決定するために、酵母ディスプレイを使用する類似の実験を上記のように行った。第1に、上記野生型XWnt8 N末端ドメインを発現する酵母クローンを、上記Myc抗体で染色するために示したところ、上記N末端ミニWntが、酵母の表面に発現されることが判明した(図7a,左パネル)。次いで、酵母上の上記野生型XWnt8への上記LRP6の結合を、示した。このことは、上記ミニWntのN末端ドメインが、上記Lrp6結合ドメインであることを明らかに実証する(図7a,右パネル)。
次いで、本発明者らは、上記XWnt8 N末端ドメインのエラープローンライブラリーを作製し、上記Cterm ミニwntに類似のアプローチにおいてLRP6を使用してクローンを選択した。図7bは、上記myc抗体でおよび上記Lrp6レセプターで特異的に染色するこのエラープローンライブラリーからのある範囲の酵母クローンを示す。これらのクローンのうちのいくつかは、野生型N末端ドメインより遙かにより強く染色され、従って、より安定であり得るか、もしくはより高い親和性で結合し得る。従って、図7は、生物学的に活性なミニN末端Wntの作製の証拠を提供する。図8において、本発明者らは、上記ヒトWntのN末端領域がまた、非常に保存されており、Wntのこれら形態もまた、Lrp6に結合するために上記N末端ドメインを使用することを示す。従って、本発明者らの研究は、Xenopus Wnt8を使用したが、強い配列保存を考えると、上記結果は、他の種に外挿される。
まとめると、これら実験は、Wntが、N末端Lrp5/6結合ドメインおよび水溶性C末端ミニWnt Fz結合ドメインへと分けられることを実証する。いずれのドメインも、Wntシグナル伝達を調節するための診断剤もしくは治療剤として働く、Lrp5/6もしくはFz結合分子を作るためのプラットフォームとして使用され得る。
前述は、本発明の原理を例示するに過ぎない。当業者が、本明細書に明示的に記載されておらず、示されてもいないが、本発明の原理を具体化し、その趣旨および範囲内に含められる種々の取り合わせを考案し得ることは認識される。さらに、本明細書に記載される全ての例および条件の語法は、主に、技術を促進するために読み手に本発明の原理および本発明者らによって与えられた概念を理解させる助けとなることが意図され、このような具体的に記載される例および条件に限定しないと解釈されるべきである。さらに、本発明の原理、局面および実施形態を本明細書に記載する全ての主張、ならびにその具体例は、構造的およびその機能的な等価物の両方を包含することが意図される。さらに、このような等価物は、現在公知である等価物および将来的に開発される等価物の両方を含む、すなわち、構造に関係なく、同じ機能を発揮する開発される任意の要素を含むことが意図される。従って、本発明の範囲は、本明細書に示されかつ記載される例示的実施形態に限定することは意図されない。むしろ、本発明の範囲及び趣旨は、添付の特許請求の範囲によって具体化される。