JP2014507155A - マイクロ流体素子を基礎とした核酸精製方法 - Google Patents

マイクロ流体素子を基礎とした核酸精製方法 Download PDF

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Abstract

マイクロ流体素子中の試料からの核酸を精製する方法を提供する。該方法は原核または真核生物、ウイルス、細胞、組織、器官などのような、核酸を含む当分野で既知のいかなる源からの核酸を精製するために使用できる。特定の実施例において、組織は全血である。該核酸を精製する方法は、マイクロ流体素子中で完全自動で作動し得る。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、出典明示によりその全内容が本明細書に組み込まれる、2011年2月21日に出願された、米国仮特許出願第61/444,952号に関連し、その優先権を得る。
政府利益についての陳述
該当なし
背景
発明の技術分野
本発明の実施形態は一般に核酸などの関心のある生体分子を調製、精製、増幅および検出するための方法、特に、マイクロ流体素子を用いて実施されるそのような方法を対象とする。
関連技術の説明
1980年代前半におけるその開始以来、分子診断学の使用は、特に感染症の原因となる成長の遅い、または難培養性の細菌の検出を可能にするための手段として、大いに拡大している。ウイルス量テストを含むウイルス性の病原菌の検出もまた、分子診断学によりかなり改良された。より多くのデータがヒトゲノムに関して利用可能になるに従い、薬理ゲノミクス、コンパニオン診断、および他のオーダーメイド医療アプリケーションにおける分子診断学の使用は本格化を続けている。
核酸増幅は、核酸が単離され、分子診断学および他の核酸スクリーニングの目的における使用のためにより正確および効率的に操作される、当分野で既知の標準的方法である。試料に存在するデオキシリボ核酸(DNA)やリボ核酸(RNA)などの核酸を増幅するための様々な方法が文献に記載されている。これらの中で、最も広く行われているものが、米国特許番号4,683,195(マリスら、”Process for amplifying, detecting, and/or−cloning nucleic acid sequences,”を名称とする、1987年7月28日に発行)および米国特許番号4,683,202(マリス、”Process for amplifying nucleic acid sequences,”を名称とする、1987年7月28日に発行)に記載された、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)である。簡潔に、PCRは、プライマーが、関心のある配列に隣接する(flank)ように選択され、各々の鎖を短いオリゴヌクレオチドプライマーにアニーリングすることにより、標的となる配列に相補的な、変性した鎖を増幅することからなる。プライマーはその後、ポリメラーゼ酵素によって仲介され、それ自身がプライマーに相補的な伸長品を得て、それ故、標的となる配列の追加の複製を合成するためのテンプレートとして機能する。変性、プライマーアニーリング、およびプライマー伸長の各々の連続したサイクルは、本質的には以前のサイクルで合成された標的の量を倍にし、標的の指数的な蓄積をもたらす。
一般に、PCR方法論は当分野で既知のいくつかの制限に悩まされる。そのような制限の1つは、Taqなどの、一般的に使用される熱安定のポリメラーゼ酵素の貧しい忠実性による。これは1サイクルから次まで伝播されるヌクレオチド塩基の誤取込みをもたらす。そのような誤取込みは、1000塩基の取込みあたり一回程度の頻度で起こり得ると見積もられる。2番目の制限は、異なったcDNAは異なった効率で増幅され、増幅産物中にいくつかのcDNA配列の表現の不足および他の過剰な表現をもたらす。わずかな率の小さな違いでさえ、最小30サイクルだけ増幅した後の産物におけるこれらのcDNAの表現において、数千倍の差をもたらし得る。
他の制限は、出発材料におけるPCRの阻害剤の存在(例えば、血液中のヘモグロビン)である。これらの阻害剤はしばしば精製を経て運ばれ、精製から得られた核酸で行われる増幅反応を制限するかまたは完全に妨害する。したがって、このことはよりよい上流での精製戦略の必要性のため、他の原理を提供する(例えばJ. Bessetti, Profiles in DNA, PCR Inhibition, An Introduction to PCR Inhibitors, Promega Corporation, March 2007を参照)。
また、重要であることは、核酸増幅が増幅されるべき核酸の出発試料と同じくらい正確であるということである。純度の低い核酸(例えば、DNAまたはRNA)は、出発試料の構造を反映しないかもしれない増幅産物をもたらし、したがって、診断目的で使用する(または信頼される)ことができない。
生化学および分子生物学の従来からの実務が、研究される対象の大きさに高頻度で反比例するスケールでの物理過程の資源を必要とする可能性があると認められる。例えば、予測分析のための核酸断片などの生体試料の調製および精製に関連する装置およびプロセス化学は、容易に無菌設備がある大規模な生物学実験室を必要とし得る。さらに、核酸断片を増幅するためのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの既知の核酸増幅手段を実施するために、同様の規模の環境面で隔離された施設が典型的に必要となり得る。
したがって、当技術において、分子診断および他の核酸のスクリーニングの目的において使用されるために、核酸がより正確に、効率的に精製、同定および操作され得るような、核酸増幅技術における使用のための、改良された核酸精製方法の必要性がある。生物学的または化学的試料の分析のための、特に、DNA、RNA、アミノ酸およびタンパク質などの、そのような試料に由来する生物学的に活性な巨大分子の検出および分析における、流体の処理のための改良されたマイクロ流体システムの必要性もまた存在する。システムが大量生産でき、安価で、好ましくは使い捨てであること;システムが簡単に操作され、多くのまたはほとんど全ての流体プロセス段階が自動化されていること;システムがカスタマイズ可能であり、システムが巨大分子の検出が望まれている様々なアプリケーションに適合するように簡単におよび速やかにシステムを再構築できるようなモジュールであること;およびシステムがわかりやすく有意義な分析結果を提供すること、は、有益であり、有利である。当分野における、挑戦および短所のさらに充実した議論、ならびに本発明の教示に関連して利用され得る例示的な解決策は、その主題が出典明示により本明細書に完全に組み込まれる、“Self−contained Biological Assay Apparatus, Methods, and Applications,”を名称とする、本出願人による同時係属の米国出願、番号13/033,165(公開番号US2011/0275058)に開示される。
概要
本発明の実施形態は、溶解した液体試料溶液から核酸(例えばDNAまたはRNA)を精製するためのマイクロ流体素子を基礎とした方法である。方法は、好適なマイクロ流体素子を提供する;溶解された溶液に有機溶媒を添加する;電磁ビーズを溶解された溶液に添加する;ビーズに核酸を結合する;溶液から核酸結合電磁ビーズを分離する;洗浄液で核酸結合電磁ビーズを洗浄する;洗浄液から洗浄されたビーズを分離する;洗浄されたビーズから核酸を溶出する;溶出した核酸の適切な分子電荷を回復(reestablishing)する;溶液から核酸を再捕獲(recapturing)し、再捕獲した核酸を洗浄液で洗浄する;および再捕獲した核酸を溶出し、精製された核酸を得る、段階を含む。本明細書および請求の範囲において使用される、好適なマイクロ流体素子は、開示された工程および請求された工程の段階を補助および実施する能力を有するマイクロ流体素子またはシステム(システムは一般に、マイクロ流体素子によって実施された工程段階を制御するために、マイクロ流体流体素子に接続された併用される機器(companion instrument)を含む)を意味する。例示的な好適なマイクロ流体素子および併用される機器は、米国出願番号13/033,165(id)に開示されるようなものである。好適なマイクロ流体素子とシステムの他の例は当分野で既知である。例えば、限定を意味するものではないがシリコン、ガラス、水晶、エラストマー材料(例えばPDMS)、および高分子(例えばポリスチレン、アクリル、COCおよび他のもの)などのマイクロ流体素子の生産に一般的に使用されるいかなる材料からも、装置が構成され得る。マイクロ流体素子は、写真製版、エンボス加工、レーザーエッチング、機械加工、射出成形などのマイクロ流体システム生産に関するあらゆる既知の方法で生産され得;装置は、様々な材料を組み込み、または単一物質から組み立てられ得る。装置は、別個に組み立てられた部品を組み込むか、または方法を実行するために必要な機能を提供するように設計された様々な層で構成され得る。マイクロ流体素子は、全てか少なくともいくつかの試薬が精製を実施する間に装置に加えられるように、手動またはロボット制御で操作され得るか、または装置がリザーバーに配置された精製に必要な全ての試薬を含み、完全自動で作動し得る。一般にマイクロ流体素子は、マイクロ流体素子に設計された機能を実行できる器具に関連するであろう。非限定的で、例示的な様々な態様によると、方法は以下の段階、特性(feature)、または特徴(characteristic)をさらに含み得る:
−精製の間に、核酸が基質に結合できるように、好適なバッファーを溶出した核酸に添加する段階をさらに含む、核酸の適切な分子電荷を回復する工程;
−少なくともいくつかの試薬をマイクロ流体素子に手動またはロボット制御で添加し、精製工程を実施する;
−自動的に精製工程を実施するために必要な試薬のすべてを含むマイクロ流体素子を提供する;
−精製した核酸の評価(estimate)、分析、および/または増幅;
−核酸結合電磁ビーズを洗浄液中で洗浄し、洗浄液から洗浄されたビーズを分離する工程を所望の回数繰り返す;
−核酸がビーズに結合するために十分な時間、溶液を混合する;
−洗浄したビーズからの核酸の溶出の段階後に、RNAse処理を実施して、RNAを除去してDNAのみを精製する;
−洗浄したビーズからの核酸の溶出の段階後に、DNAse処理を実施して、DNAを除去してRNAのみを精製する。
本発明の他の実施形態は、核酸を含む源(source)から核酸(例えば、DNAまたはRNA)を精製するためのマイクロ流体素子を基礎とした方法である。方法は、源の液体試料を入手する;液体試料を溶解させ、液体試料溶液を作成する;好適なマイクロ流体素子を提供する;溶解させた溶液に有機溶媒を添加する;電磁ビーズを溶解された溶液に添加する;ビーズと核酸が結合するために十分な時間、溶液を攪拌する;溶液から核酸結合電磁ビーズを分離する;洗浄液中で核酸結合電磁ビーズを洗浄する;洗浄液から洗浄されたビーズを分離する;洗浄されたビーズから核酸を溶出する;溶出した核酸の適切な分子電荷を回復する;溶液から核酸を捕獲する;および捕獲した核酸を溶出し、精製された核酸を得る、段階を含む。非限定的で、例示的な様々な態様によると、方法は以下の段階、特性、または特徴をさらに含み得る:
−精製の間に、核酸が基質に結合できるように、好適なバッファーを溶出した核酸に添加する、および有機溶媒を溶液に添加する段階をさらに含む、核酸の適切な分子電荷を回復する工程;
−少なくともいくつかの試薬をマイクロ流体素子に手動またはロボット制御で添加し、精製工程を実施する;
−自動的に精製工程を実施するために必要な試薬のすべてを含むマイクロ流体素子を提供する;
−精製した核酸の評価、分析、および/または増幅;
−核酸結合電磁ビーズを洗浄液中で洗浄し、洗浄液から洗浄されたビーズを分離する段階を所望の回数繰り返す;
−洗浄したビーズからの核酸の溶出の段階後に、RNAse処理を実施して、RNAを除去してDNAのみを精製する;
−洗浄したビーズからの核酸の溶出の段階後に、DNAse処理を実施して、DNAを除去してRNAのみを精製する。
図1は、例示された本発明の実施形態による、核酸を含む源から核酸(例えば、DNAまたはRNA)を精製するためのマイクロ流体素子を基礎とした方法のフローダイヤグラムである。
図2A、Bは、本発明の例示的な実施態様による、生体試料からの核酸精製のための具体化された方法を実施する例示的に好適なマイクロ流体素子の機能を制御するための機器の制御インターフェース部を示す。
図3A〜Gは、本発明の例示的な実施態様による、生体試料からの核酸精製のための具体化された方法を実施する例示的に好適なマイクロ流体素子を示す。
図4は、本発明の例示的な実施態様による、生体試料からの核酸精製のための具体化された方法を実施する例示的に好適なマイクロ流体素子から得られた、溶出DNAのマイクロリットルあたりのナノグラム(ng/μl)における、結果を示す。
図5は、本発明の例示的な実施態様による、生体試料からの核酸精製のための具体化された方法を実施する例示的に好適なマイクロ流体素子から得られたDNAからの、溶出DNAを紫外光分析(λ=260nm;λ=280nm)に供した結果を示す。
図6は、本発明の例示的な実施態様による、生体試料からの核酸精製のための具体化された方法を実施する例示的に好適なマイクロ流体素子から得られたDNAからの、溶出DNAを紫外光分析(λ=260nm;λ=230nm)に供した結果を示す。
図7は、本発明の例示的な実施態様による、生体試料からの核酸精製のための具体化された方法を実施する例示的に好適なマイクロ流体素子から得られたDNAからのゲル電気泳動の結果を示す。
図8は、本発明の例示的な実施態様による、生体試料からの核酸精製のための具体化された方法を実施する例示的に好適なマイクロ流体素子から得られたDNAからのゲル電気泳動の結果を示す。
発明の非限定的な、例示の実施形態の詳細な説明
図1は、核酸を含む源から核酸(例えば、DNAまたはRNA)を精製するためのマイクロ流体素子を基礎とした方法のフローダイヤグラム100を示す。方法は以下の好適なマイクロ流体素子にて実施される。
図2AおよびBは、核酸精製方法において使用されるマイクロ流体素子を制御し、溶解させた生体試料から解放された核酸を捕獲する媒体としての電磁ビーズで被覆されたシリカを含む、例示的に好適なマイクロ流体システム(以下、「マイクロ流体素子」)の制御インターフェース部15を示す(米国出願番号13/033,165(公開番号US2011/0275058、id)を参照)。
図3Aは、具体化された方法を実施する例示的に好適なマイクロ流体システム(以下、「マイクロ流体素子」)の層にされた平面図を示しており、それはマイクロ流体素子の磁気分離/濃縮チャネル域57および流体チャネル39を標的とする選択的に活性化された磁石アセンブリ51(図2B)を組み込んでいる制御インターフェース部15と接続する。
図3B〜Gは、以下の例示的な核酸精製工程をさらに説明する。図3Bを参照すると、生体試料は試料入力リザーバー33中に置かれる。酵素は、共通試薬リザーバー34の中に(手動または自動的に)分配されて、試料入力リザーバー33にポンプ輸送され、その後ゆるやかに攪拌しながらインキュベートされる。溶解バッファーは、共通試薬リザーバー34の中に分配さて、試料入力リザーバー33にポンプ輸送され、その後ゆるやかに攪拌しながらインキュベートされる。電磁ビーズは、共通試薬リザーバー34の中に分配さて、試料入力リザーバー33にポンプ輸送され、その後ゆるやかに攪拌しながらインキュベートされる。有機アルコール(例えば、イソプロパノール)は、共通試薬リザーバー34の中に分配さて、試料入力リザーバー33にポンプ輸送され、その後ゆるやかに攪拌しながらインキュベートされ、元の生体試料中の細胞から解放された核酸を捕獲する電磁ビーズをもたらす。
図2Bおよび3Cをさらに参照すると、磁石49は分離/濃縮チャネル57の下に位置し、溶解された生体試料溶液は、分離/濃縮チャネル57を通って廃棄リザーバー35にポンプ輸送され、磁石49により発生する磁場によって分離/濃縮チャネル57において電磁ビーズに捕獲された核酸が捕獲される。磁石49はその後、分離/濃縮チャネル57下の離れた位置まで下げられ、電磁ビーズを捕獲した磁場が除かれる。次いで、共通試薬リザーバー34(前処理(preparation))の中に洗浄バッファーを分配し、分離/濃縮チャネル57にポンプ輸送し、分離/濃縮チャンネル57で数回時計回りまたは反時計回りのいずれかで循環させ、ビーズを再懸濁および洗浄する。磁石49を上げて分離/濃縮チャネル57の下に位置させ、洗浄されたビーズを含む溶液は、分離/濃縮チャネル57を通って廃棄リザーバー35にポンプ輸送され、磁石49により発生する磁場によって分離/濃縮チャネル57において電磁ビーズに捕獲された核酸が捕獲される。磁石49は分離/濃縮チャネル57下の離れた位置まで下げられ、電磁ビーズを捕獲した磁場が除かれる。同じかまたは他の洗浄バッファーを共通試薬リザーバー34(前処理)中に分配し、分離/濃縮チャネル57にポンプ輸送し、分離/濃縮チャンネル57で数回時計回りまたは反時計回りのいずれかで循環させ、ビーズを再懸濁および洗浄する。磁石49を上げて分離/濃縮チャネル57の下に位置させ、洗浄されたビーズを含む溶液は、分離/濃縮チャネル57を通って廃棄リザーバー35にポンプ輸送され、磁石49により発生する磁場によって分離/濃縮チャネル57において電磁ビーズに捕獲された核酸が捕獲される。アッセイで必要になる繰返し数まで上記の洗浄段階を続ける。共通試薬リザーバー34(前処理)中に溶出バッファーを分配し、それを廃棄リザーバー35にポンプ輸送し、前処理領域のリザーバー、チャネル、およびダイヤフラムからあらゆる残余の試薬を取り除く。磁石49を下げ、溶出バッファーを共通試薬リザーバー34(前処理)中に分配し、分離/濃縮チャネル57にポンプ輸送し、分離/濃縮チャンネル57で数回時計回りまたは反時計回りのいずれかで循環させ、ビーズから核酸を溶出する。磁石49を上げて分離/濃縮チャネル57の下に位置させ、溶出された核酸を含む溶液が分離/濃縮チャネル57を通って共通試薬リザーバー34(前処理)にポンプ輸送され、磁石49により発生する磁場によって分離/濃縮チャネル57において電磁ビーズが捕獲される。
図3Dをさらに参照すると、溶出した核酸を含む溶液が、いったん共通試薬リザーバー(34)にポンプ輸送され、高塩濃度バッファーが共通試薬リザーバー34(前処理)に分配される。核酸がさらなる精製のための適切な基質と結合できるように、溶出された核酸が現時点で回復された分子電荷を有するように、有機アルコール(例えばエタノール)が共通試薬リザーバー34(前処理)に分配される。現時点で回復された適切な分子電荷の溶出された核酸を含む、共通試薬リザーバー34(前処理)の中身を、シリカフィルターリザーバー36中のシリカフィルター36bの上部にポンプ輸送し、核酸がシリカフィルターに結合するように中身をシリカフィルターリザーバーに引き込み、残りの溶液を廃棄リザーバー35にポンプ輸送する。
図3Eをさらに参照すると、同じまたは別の洗浄バッファーを共通試薬リザーバー34(溶出(elution))に分配し、シリカフィルターリザーバー36中のシリカフィルター36bの上部にポンプ輸送し、シリカフィルターリザーバー36中のシリカフィルター36bを通じて中身を引き込み、廃棄リザーバー35にポンプ輸送する。アッセイの要求に応じて、同じまたは別の洗浄バッファーで繰り返される。
図3Fをさらに参照すると、溶出バッファーをリザーバー37(溶出)に分配し、それをシリカフィルターリザーバー36中のシリカフィルター36bの底部までポンプ輸送する。
図3Gをさらに参照すると、現状でシリカフィルターを通過した溶出された核酸を含むシリカフィルターリザーバー36の中身を引き出し、それを溶出リザーバー37(中央(center))、その後溶出リザーバー37Lおよび37Rに等しくポンプ輸送するか、あるいは溶出リザーバー37(中央)を迂回してリザーバー37Lおよび37Rに等量を直接ポンプ輸送する。溶出された核酸はさらなる分析または増幅のための状態とする。この方法で精製された核酸は増幅反応を阻害する不純物を、通常用いられる精製を実施した核酸よりも低い濃度で含む。
図4−8は、具体化された核酸精製方法を実施するためのマイクロ流体素子を使用することにより得られた結果を示す。特に、図4は、A260UV測定による、個別の精製試料(S1からS4)の核酸回復の評価、およびビーズのみを使用するより大きい回復、これは次の精製の間に元々回復された核酸の一部が失われた結果である、を示す。重要なことだが、第二の溶出は、常法のDNA分析および増幅のために、好適な多量のDNAを提供する。図5は、A260/A280 UV測定による、4つの個別の精製試料(S1からS4)の一般的な核酸純度の評価を示す。ビーズのみの方法での従来の習慣から予想されるように、A260/A280法は、この測定によりある程度純粋な核酸を提供するであろうが、この測定はビーズのみの試料に実際に含まれるある汚染物質を捕捉しない。図6では、A260/A230 UV測定による、4つの個別の精製試料(S1からS4)の核酸純度の評価を示し、第二の精製からの有意な純度の改善を説明する。A260/A230測定は、A260/A280測定を使用することでは測定できないある汚染物質の存在を捕捉する。達成された純度は、より大きな量の阻害物質(特に全血からの核酸精製に関するもの)の除去の結果である。図7は、全血試料(S1からS4)からのゲノムDNAのゲル電気泳動を示す。レーン1、3、5および7の試料は、ビーズのみの精製から溶出され、レーン2、4、6および8の試料は、ビーズの後に続くシリカカラムから溶出された。痕跡は、ビーズのみの精製試料に存在するより小さいDNA断片および多量のRNAである。図8は、全血試料(S1からS4)からのPCRアンプリコンのゲル電気泳動を示す。レーン1、3、5および7の試料は、ビーズのみの精製から溶出され、レーン2、4、6および8の試料は、ビーズの後に続くシリカカラムから溶出された。レーン2、4、6および8の、より暗く強いバンドは、減少された阻害物質および精製化学(pulification chemistry)のキャリーオーバーをもつより純粋なDNA溶出物からの増幅を示す。
本明細書に開示される方法の実施形態は原核または真核生物、ウイルス、細胞、組織、器官などのような、核酸を含む当分野で既知のいかなる源からの核酸を精製するために使用できる。例示的な態様において、組織は全血である。他の例示的な態様において、試料は液化されるか、または液体に溶解される。他の例示的な態様において、方法は、核酸精製に先立つ、対象となる核酸を含む細胞または生物の培養(または増殖)の段階を除外する。
典型的な態様によると、核酸(例えばDNA)を精製するための方法に先だって、以下の予備段階が実施できる:液体サンプルの溶解(例えば、リチカーゼ(Lyticase)またはリゾチーム酵素の添加、他の好適な溶解酵素、カオトロピック剤、超音波処理、レーザー溶解または同様の性質を有すると当分野で知られている他の溶解システム、および任意に、好適なマイクロ流体素子におけるRNAseまたはDNAseによる液体試料および細胞成分を含む溶液の形成);溶液の攪拌;好適な温度、例えば室温での溶液のインキュベート;プロテイナーゼK(または同様の性質を有すると当分野で知られている他のプロテイナーゼ)の溶液への添加;溶液の攪拌;好適な温度、例えば室温または55℃まで、での溶液のインキュベート;当分野で既知の溶解/結合バッファーの溶液への添加(当分野で知られているいかなる溶解バッファー/結合バッファーも、(当分野で既知の方法を用いて)核酸が精製マトリクスに結合するために最適化されていれば、使用できる);溶液の攪拌;好適な温度、例えば室温での溶液のインキュベート;電磁ビーズの溶液への添加(当分野で知られているいかなる好適な電磁ビーズが使用できる、ここで、ビーズは核酸が結合できるようにシリカ様化学品でコートされる);(例えば、Invitrogen,Dynabeads(登録商標)MyOne(登録商標)SILANE);および再度の溶液の攪拌。そのような準備段階は、標準の卓上装置上、または精製を行うチップと同じかまたは異なるマイクロ流体チップ中で実施し得る。
上記の予備段階の実施後、以下の段階を含む精製方法が実施できる:ほぼ等しい容量の好適な、当分野で既知の有機溶媒(例えば、イソプロピルアルコール)の溶液への添加;溶液の攪拌;好適な温度、例えば室温での溶液のインキュベーション;例えば容器またはマイクロ流体システム外に磁石を置くことによる電磁ビーズの回収;マイクロ流体素子を用いる上清の除去;好適な、当分野で知られた、電磁ビーズに結合する核酸(例えばDNA)に最適化された洗浄バッファーの添加(シリカベースの結合、洗浄バッファーは典型的にカオトロピックまたは非カオトロピック塩、pHバッファー、エタノールおよび任意に洗浄剤を含む。組み合わせが当分野で知られた方法を使用するシステムに最適化されていれば、シリカに結合した核酸に互換性のあるいかなるバッファーおよび洗浄システムを使用できる);ビーズを再懸濁するための溶液の攪拌;ビーズの回収;任意に、電磁ビーズへの洗浄バッファーの添加、ビーズを再懸濁するための溶液の攪拌、およびビーズの回収の段階の繰り返し(溶出でのいかなるバッファーおよび/または有機溶媒の汚染または干渉を除去するように、DNA溶出に先立つ容器内の残余の液体を除去できる);好適な当分野で既知の核酸溶出バッファー(例えば無ヌクレアーゼ水)の添加;溶液の攪拌;電磁ビーズに結合した核酸(例えばDNA)の溶出のための、好適な温度、例えば室温での溶液のインキュベーション(この典型的な態様では、存在するDNAだけが分析されるよりもむしろ、全核酸(対象となる所望のDNAを含む)が結合および溶出されるため、RNAse処理は含まれない。あるいは、所望であれば、RNAを除去するためにRNAse処理段階が含まれるであろうし、また全てのDNAを除去してRNAだけを精製するためにDNAse処理も含まれるであろう);例えば容器またはマイクロ流体システム外に磁石を置くことによる電磁ビーズの回収;好適な核酸溶解/結合バッファーの溶出DNAへの添加;溶液の攪拌;ほぼ等しい容量の好適な、当分野で既知の有機溶媒(例えば、無水エタノール)の溶液への添加;溶液の攪拌;溶液の、核酸精製カラムまたはフィルターへの移動(当分野で知られているいかなる好適な核酸精製のためのカラムまたはフィルターが使用できる。典型的な態様において、シリカフィルターがマイクロ流体素子に用いられる);精製された核酸(例えばDNA)の精製カラムまたはフィルターからの溶出;および溶出した核酸(例えばDNA)の回収。
一旦、核酸を精製するための上記の方法から溶出・精製された核酸が回収されると、精製された核酸は例えば評価(estimate)され、ゲノムDNA分析のために標準ゲル上を泳動され、および/または例えば標的遺伝子の増幅のために、PCR増幅または当分野で知られている他の核酸増幅方法に供される。
核酸精製のための具体化された方法は、自動化およびマイクロ流体素子中での動作に適合させることができる。例えば、米国出願番号13/033,165(id)において、図24A−24Kおよび図25はマイクロ流体素子上で実施される2段階DNA精製の間の溶液の流れを示す。
実施例1:全血からDNAを精製するための方法のプロトコル
この実施例は全血からDNAを精製するための非限定的で、例示的な方法を記載する。
1)124Unitのリチカーゼ酵素を500μlの全血に添加し、溶液を攪拌する。試料を室温で30分間インキュベートする。
2)71.4μlの20mg/mlプロテイナーゼKを試料に加え、溶液を軽く攪拌し、試料を室温で2分間インキュベートする。
3)500μlの溶解/結合バッファーをサンプルに添加し、溶液を攪拌し、室温で10分間インキュベートする。
4)25μlの電磁ビーズを試料に加え、30分間攪拌する。
5)571μlのイソプロピルアルコールを加え攪拌し、攪拌しながら5分間室温でインキュベートする。
6)チューブ、チャネル、リザーバーの外側に磁石を置くことによりビーズを回収し、マイクロ流体システムを使用して上清を注意深く除去する。上清を廃棄する。
7)950μlの洗浄バッファーを電磁ビーズに加え、ビーズ再懸濁のために溶液を攪拌する。ビーズを回収し、上清を廃棄する。
8)段階7を繰り返す。
9)950μlの洗浄バッファー2を電磁ビーズに加え、ビーズ再懸濁のために溶液を攪拌する。ビーズを回収し、上清を廃棄する。
10)DNA溶出に先立ち、有機溶媒汚染を避けるためにチューブ、チャンネルまたはリザーバーに残るいかなる残余の液体も除去する。
11)100μlの無ヌクレアーゼ水を加え、溶液を攪拌し、電磁ビーズに結合したDNAを溶出するために室温で2分間インキュベートする。
12)チューブ、チャネル、リザーバーの外側に磁石を置くことによりビーズを回収し、上清を注意深く第二の段階に移す。
13)100μlの核酸溶解/結合バッファーを100μlの溶出DNAに添加し、溶液を攪拌する。
14)100μlの無水エタノールを添加し、溶液を攪拌する。
15)マイクロ流体システムのチューブ、チャネル、リザーバーにあるシリカフィルターインサートに溶液を移す。
16)シリカフィルターを通して溶液をポンプ輸送する。
17)シリカフィルターを通して200μlの洗浄バッファーをポンプ輸送する。
18)シリカフィルターを通して別の200μlの洗浄バッファーをポンプ輸送する。
19)シリカフィルターを通して50μlのヌクレアーゼ無しの水をポンプ輸送し、その後、流体がシリカフィルターを出た時に流体の方向を逆にし、溶出DNAを回収する。
精製されたDNAはその後評価され、ゲノムDNA分析のためにゲル上を泳動され、および/または標的遺伝子の増幅のために、PCR増幅または当分野で知られている他の核酸増幅方法に供され得る。
本明細書で引用される、刊行物、特許出願、および特許を含む全ての文献は、各文献が個々にかつ具体的に示され、出典明示により組み込まれるのと、また、その内容の全てが本明細書に説明されるのと同程度に、出典明示により本明細書に組み込まれる。
本発明の説明に関連して(特に、以下の請求項に関連して)、用語「一つの(a)」、「一つの(an)」、「その(the)」および同様の指示語は、本明細書において特に明記しない限り、あるいは明らかに文脈と矛盾しない限り、単数形および複数形の両方に及ぶものと解釈される。用語「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」および「含有する(containing)」は、特に断りのない限り、オープンエンド形式の用語(すなわち、「〜を含むがこれらに限定されない」を意味する)として解釈される。用語「接続された(connected)」は、たとえ何かが介在していようと、部分的あるいは完全に、内部に含有されている、付属している、結合されている、として解釈される。
本明細書において特に明記しない限り、本明細書中の数値範囲の列挙は、単にその範囲内に該当する各値を個々に言及するための略記法としての役割を果たすことだけを意図しており、各値は、本明細書中で個々に列挙されるかのように、本明細書中に組み込まれる。
本明細書中で説明される全ての方法は、本明細書において特に明記しない限り、あるいは明らかに文脈と矛盾しない限り、あらゆる適切な順序で実施することができる。本明細書で提供される、あらゆる例または例示的な言い回し(例えば、「など(such as)」)の使用は、特に断らない限り、単に本発明の実施形態をより良く説明することだけを意図し、本発明の範囲に対する制限を設けるものではない。
明細書中のいかなる言い回しも、本発明の実施に不可欠である、請求項に記載されていない要素を示すものとは解釈されないものとする。
本発明の精神と範囲を逸脱しない範囲で、本発明に種々の改良および変形ができることは、当業者には明らかであろう。本発明を開示された特定の形態(単数または複数)に限定するように意図しておらず、逆に、その意図は、添付された特許請求の範囲によって定義される本発明の精神および範囲に該当する全ての修正物、代替構築物、および均等物を包括することである。従って、本発明は、添付された請求項およびそれらの均等物の範囲内にあるという条件で、この発明の修正物および変形に及ぶ、ということが意図される。

Claims (16)

  1. 好適なマイクロ流体素子を提供する;
    溶解した溶液に有機溶媒を添加する;
    溶解した溶液に電磁ビーズを添加する;
    核酸をビーズに結合する;
    核酸結合電磁ビーズを溶液から分離する;
    核酸結合電磁ビーズを洗浄液中で洗浄する;
    洗浄したビーズを洗浄液から分離する;
    洗浄したビーズから核酸を溶出する;
    溶出した核酸の適切な分子電荷を回復する;
    溶液から核酸を再捕獲する;
    再捕獲した核酸を洗浄液で洗浄する;および
    再捕獲した核酸を溶出して精製された核酸を得る、
    段階を含む、溶解した液体試料溶液からの、マイクロ流体素子を基礎とした核酸(例えばDNAまたはRNA)精製方法。
  2. 核酸の適切な分子電荷を回復する段階が、溶出した核酸に好適なバッファーを添加する段階、および溶液に有機溶媒を添加する段階をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 少なくともいくつかの試薬をマイクロ流体素子に添加し、精製工程を実施することを更に含む、請求項1に記載の方法。
  4. 自動的に精製工程を実施するために必要な試薬のすべてを含むマイクロ流体素子を提供することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  5. 精製した核酸の評価、分析、および増幅の少なくとも1つをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  6. 核酸結合電磁ビーズを洗浄液中で洗浄し、洗浄液から洗浄されたビーズを分離する段階を所望の回数繰り返すことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  7. 洗浄したビーズからの核酸の溶出の段階後に、RNAse処理を実施して、RNAを除去してDNAのみを精製することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  8. 洗浄したビーズからの核酸の溶出の段階後に、DNAse処理を実施して、DNAを除去してRNAのみを精製することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  9. 源の液体試料を得る;
    液体試料を溶解し、液体試料溶液を作成する;
    好適なマイクロ流体素子を提供する;
    溶解した溶液に有機溶媒を添加する;
    溶解した溶液に電磁ビーズを添加する;
    核酸をビーズに結合する;
    核酸結合電磁ビーズを溶液から分離する;
    核酸結合電磁ビーズを洗浄液中で洗浄する;
    洗浄したビーズを洗浄液から分離する;
    洗浄したビーズから核酸を溶出する;
    溶出した核酸の適切な分子電荷を回復する;
    溶液から核酸を再捕獲する;
    再捕獲した核酸を洗浄液で洗浄する;および
    再捕獲した核酸を溶出して精製された核酸を得る、
    段階を含む、核酸を含む源からの、マイクロ流体素子を基礎とした核酸(例えばDNAまたはRNA)精製方法。
  10. 核酸の適切な分子電荷を回復する段階が、溶出した核酸に好適なバッファーを添加する段階、および溶液に有機溶媒を添加する段階をさらに含む、請求項9に記載の方法。
  11. 少なくともいくつかの試薬をマイクロ流体素子に添加し、精製工程を実施することを更に含む、請求項9に記載の方法。
  12. 自動的に精製工程を実施するために必要な試薬のすべてを含むマイクロ流体素子を提供することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
  13. 精製した核酸の評価、分析、および増幅の少なくとも1つをさらに含む、請求項9に記載の方法。
  14. 核酸結合電磁ビーズを洗浄液中で洗浄し、洗浄液から洗浄されたビーズを分離する段階を所望の回数繰り返すことをさらに含む、請求項9に記載の方法。
  15. 洗浄したビーズからの核酸の溶出の段階後に、RNAse処理を実施して、RNAを除去してDNAのみを精製することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
  16. 洗浄したビーズからの核酸の溶出の段階後に、DNAse処理を実施して、DNAを除去してRNAのみを精製することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
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