ここで、添付図面を参照して例示的実施形態を詳細参照する。可能な場合は必ず、図面および以下の記載中、同一または類似の部分を示す場合、同一参照符号が用いられる。これらの実施形態について、当業者が本発明を実施できるように充分に詳細に説明する。他の実施形態も利用可能であり、本発明の範囲から逸脱することなく変更が可能であることが理解されるべきである。よって、以下の詳細な説明は、限定的な意味にとられるべきではない。
他に明記無き限り、本明細書中において用いられる技術用語および/または科学用語は全て、本発明の実施形態に関連する分野の当業者が理解する意味と同じ意味を有する。本発明の実施形態の実行または試験において本明細書中に記載のものと同様または相当する方法および材料を用いることが可能であるが、例示的な方法および/または材料について記載する。矛盾がある場合、特許明細書(定義を含む)が優先される。加えて、これらの物質、方法、および例は、単に例示的であり、限定を意図するものではない。
例示的な開示の実施形態は、生体インピーダンス測定値を特徴付ける信号の検出および監視のためのデバイスおよび方法を含み得る。より詳細には、例示的な開示の実施形態は、信号の受信、相関、および分析を行い、生理学的脳状態の予測のための情報を出力するための装置を含み得る。
本開示による実施形態は脳血液動態測定装置を含み得る。そのような装置は、脳血液動態特性の測定を支援するにあたり好適である要素および特徴を含み得る。脳血液動態測定装置は、例えば、支持要素(ヘッドセット、ヘッドバンド、または追加的な機能的要素を坦持または収容するための他の枠組要素)を含み得る(しかし、必ずしも含むとは限らない)。さらに組み込まれる構造を挙げると、電極と、回路と、プロセッサと、センサーと、ワイヤと、送信器と、受信器と、電気信号の取得、処理、送信、受信、および分析に好適である他のデバイスとがある。脳血液動態測定装置は、加えて、締結具と、接着物と、対象者の身体への取り付けを支援するためのその他の要素とを含み得る。本明細書において用いられる脳血液動態測定装置はこれらの特徴を全て含む必要はない。
図1は、例示的な脳血液動態測定装置100の模式図である。この例示的な装置100は、電極110を含み得る。電極110は、ヘッドセット120を介して対象者頭部へと固定される。電極110は、ワイヤを介して脳かん流モニタ130に接続してもよいし、(あるいは無線接続を含み得る)。
本開示によるいくつかの実施形態において、脳血液動態測定装置は少なくとも1つのプロセッサを含み得る。前記少なくとも1つのプロセッサはアクションを実行するよう構成される。本明細書中用いられる「プロセッサ」という用語は、入力(単数または複数)上に論理演算を行う電気回路を含み得る。例えば、このようなプロセッサは、1つ以上の集積回路、マイクロチップ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、中央処理装置(CPU)の全体または一部、グラフィック処理ユニット(GPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、あるいは命令実行または論理演算実行に適した他の回路を含み得る。上記少なくとも1つのプロセッサは、アクションを行うように構成される(ただし、上記少なくとも1つのプロセッサが上記アクションを実行せよとの命令と共にプログラムされている場合、上記アクションを実行せよとの命令を含む場合、または上記アクションを実行せよとの命令を実行可能なように構成されている場合)。上記少なくとも1つのプロセッサには、プロセッサ中に恒久的または一時的に保存された情報を通じてこのような命令が提供されるか、または、プロセッサへアクセスまたは提供される命令を通じて提供され得る。上記プロセッサへと提供された命令は、情報キャリア上にタンジブルに具現化された(例えば、機械可読保存デバイスまたは任意のタンジブルなコンピュータで読み出し可能な媒体中に具現化された)命令を含むコンピュータプログラムの形態で提供され得る。コンピュータプログラムは、任意の形態でプログラミング言語(例えば、コンパイラ型言語またはインタープリタ型言語)で書くことができ、任意の形態で展開することができる(例えば、スタンドアロンプログラムとしてまたは1つ以上のモジュール、コンポーネント、サブルーチンまたはコンピューティング環境において適切に用いられる他の単位)。上記少なくとも1つのプロセッサは、特殊ハードウエア、一般的ハードウエア、または関連命令を実行するためのこれらの組み合わせを含み得る。上記プロセッサはまた、統合通信インターフェースを含み得、あるいは、通信インターフェースを上記プロセッサと別個に設けてもよい。上記少なくとも1つのプロセッサは、特定の機能を行うための命令が保存されたメモリ位置または保存デバイスへの接続を通じて、当該機能を行うように構成され得る。
本発明のいくつかの実施形態によれば、上記少なくとも1つのプロセッサは、信号を受信するように構成され得る。本明細書中用いられる「信号」とは、任意の時間または空間と共に変化する数量であり得る。信号を受信することは、伝導手段(例えば、ワイヤまたは回路)を通じた信号受信、無線送信された信号の受信、および/または前回記録された信号(例えば、メモリ中に保存された信号)の受信を含み得る。信号を受信することは、当該分野において公知の他の信号受信方法をさらに含み得る。
少なくとも1つの頭部生体インピーダンス測定値を特徴付ける信号の受信、相関、および分析を行うよう構成された図1において示される少なくとも1つのプロセッサ160は、例示的な脳血液動態測定装置100の一部として、脳かん流モニタ130に含まれ得る。プロセッサ160は、本明細書中に記載する信号分析方法のうちの全体または一部を行うように構成してもよいし、あるいは、これらの機能のうちのいくつかは別個のプロセッサにより実行されるよう構成してもよい。プロセッサ160は、当業者に公知の任意の共通する信号処理タスク(例えば、フィルタリング、ノイズ除去、その他)を行うように構成してもよい。プロセッサ160は、さらに本明細書中に記載の信号分析技術に特有の前処理タスクを行うように構成することもできる。このような前処理タスクを非限定的に挙げると、信号アーチファクト(例えば、動きアーチファクトおよび呼吸アーチファクト)の除去がある。
少なくとも1つの生体インピーダンス測定値を特徴付ける信号は、生体対象者の電気インピーダンスについての情報を含む任意の種類の信号を含み得る。そのような信号は、対象者の身体の任意の2つの部分間における対象者の電気インピーダンスについての情報を含み得る。上記対象者の電気インピーダンスについての情報は、電気インピーダンスの抵抗成分および/または反応成分についての情報を含み得る。
本開示によれば、いくつかの例示的な実施形態において、少なくとも1つの頭部生体インピーダンス測定値を特徴付ける信号は、生体インピーダンス信号(インピーダンスプレチスモグラフィー信号)または光−血量計信号であり得る。生体インピーダンス信号は、少なくとも1つの電圧信号、および/または少なくとも1つの電流信号を含み得る。生体インピーダンス信号は、2つ以上の電圧信号および/または電流信号を含み得、2つ以上の電圧信号および/または電流信号間の比較を示す信号を含み得る。生体インピーダンス信号は、少なくとも1つの測定電圧信号および/または少なくとも1つの測定電流信号に対する応答として測定することができる。生体インピーダンス信号において、対象者の身体の電気インピーダンスについての情報は、信号の振幅、周波数または位相角中に含まれ得る。また、対象者の身体の電気インピーダンスについての情報は、複数の信号の振幅、周波数または位相角間の比較において含まれ得る。生体インピーダンス信号は、例えば、対象者の脳の第1の脳半球内のおよび/または第2の脳半球内の血液動態特性を示し得る。血液動態特性を挙げると、例えば、脳血液量、脳血流、脳かん流圧、頭蓋内圧、および脳状態を少なくとも部分的に表し得る任意の他のパラメータなどがある。第1の脳半球および第2の脳半球は、対象者の脳の右脳半球および左脳半球を任意の順序で指し得る。対象者の脳の特定の側部内の血液動態特性を示す信号は、電極などを介して上記対象者頭部の同一側部から得ることもできるし、あるいは上記対象者頭部の反対側側部から得ることもできる。あるいは、対象者の脳の特定の側部内の血液動態特性を示す信号は、他の位置からも得ることができる(例えば、対象者の(例えば頚動脈が存在する)頚部)。
プロセッサ160は、図1の例示的なヘッドセット120に含まれる1つ以上の電極110から信号を受信するよう構成され得る。電極110は、実行様態に応じて、単一で配置してもよいし、複数対として配置してもよいし、あるいは適切なグループ分けで配置してもよい。例示的なヘッドセット120上の電極は生体インピーダンス信号波形を得るように配置することができる。生体インピーダンスは、2つのセンサー部150によって測定され得る。これらのセンサー部150は、例えば脳の右脳半球および左脳半球に対応するように、頭部の右側部および左側部上に配置される。図1中にはセンサー部150を1つだけ図示しているが、対象者頭部の反対側側部は、同様の電極配置を含み得る。各センサー部150は、一対の前電極、前電流電極111および前電圧電極112と、一対の後電極、後電流電極114および後電圧電極113とを含み得る。以下にさらに詳述するように、脳血液動態状態の特定の局面を測定できるように、上記対間の距離を調節する。図1に示す電極構成は、好適な電極構成の一例に過ぎない。さらなる実施形態として、1つよりも多数または少数の電極110を追加的にまたは代替的に例示的なヘッドセット120内の異なる領域に配置する。他の実施形態を挙げると、例示的なヘッドセット120以外の対象者頭部の異なる領域に到達するように代替的に形成されたヘッドセット上に構成された電極110がある。
複数対の電極110は、電流出力電極および電圧入力電極を含み得る。例えば、前電流電極111および前電圧電極112は、一対の電極を形成し得る。一実施形態において、出力電流が脳かん流モニタ130によって生成され、前電流電極111と後電流電極114との間に送られ得る。上記出力電流は、一定の振幅および安定した周波数を有する交流(AC)信号を含み得る。上記出力電流に起因して頭部上に発生した入力電圧を、前電圧電極112と後電圧電極113との間で測定することができる。入力電圧は、出力電流と同じ周波数で測定され得る。上記出力電流信号と上記入力電圧信号とを比較することにより、対象者の生体インピーダンスに関する情報を得ることができる。より詳細には、生体インピーダンスの振幅を入力電圧信号振幅と出力電流振幅信号との間の比として計算することができ、出力電流信号に起因して入力電圧信号を発生させる位相差として生体インピーダンスの位相を計算することができる。
生体インピーダンス信号はまた、単一よりも多いAC周波数において出力電流を含み得る。上記出力電流は、全ての周波数または周波数範囲の一部における測定電圧を検出することにより、1組の事前規定された周波数および振幅を含み得る。
別の実施形態において、第1の生体インピーダンス信号および第2の生体インピーダンス信号は、異なる周波数における出力AC電流を含み得る。例えば、頭部の一側部上に配置された電極からの電流が、1つの周波数において出力され得、上記頭部の他方の側部上の電極からの電流が、異なる周波数において出力され得る。上記電圧は、適切なフィルタリングおよび分析により、1つの周波数、その他の周波数または双方の周波数において行われ得る。
心臓周期において頭部(より詳細には脳)内外において血流が流れることにより、電極110によって測定された生体インピーダンスが周期的に変化し得る。生体インピーダンスの変化は、上記頭部および脳中の血液内容と相関し得る。一般的には、血液は頭部中の組織と比較してインピーダンスが相対的に低いため、インピーダンスが低いほど、血液内容が高くなる。また、脳組織中への血流に起因して、脳インピーダンスの周波数応答も変化し得る。異なる周波数における生体インピーダンス測定を比較することにより、血液動態特性を示すさらなる情報を得ることができる。
例示的なヘッドセット120は、生体インピーダンス測定の増大または生体インピーダンス測定に加えた測定を行うためのさらなるデバイスまたは要素を含み得る(例えば、さらなるセンサー(単数または複数)140)。一実施形態において、さらなるセンサー140は、例えば、生体インピーダンス信号測定に加えてまたは生体インピーダンス信号測定に代えて光プレチスモグラフィー(PPG)測定を行う発光ダイオード141および光検出器142を含み得る。例示的なヘッドセット120は、信号処理または他の用途のための多様な回路170をさらに含み得、脳かん流モニタ130または他の位置へとデータを無線送信する能力も含み得る。さらなる実施形態において、脳かん流モニタ130は、ヘッドセット120と統合され得る。図1の例中には図示していないが、さらなるセンサー140および回路170は省略してもよい。
例示的なヘッドセット120は、電極110を患者頭部へ接続、包含および固定するための多様な手段を含み得る。例えば、ヘッドセット120は、2つ以上の別個の部分を含み得る。これら別個の部分を接続することにより、患者頭部を包囲する輪または帯を形成する。これらの局面のうちいずれか(例えば、帯、締結具、電極ホルダ、ワイヤリング、フックアンドループコネクタストリップ、バックル、ボタン、クラスプ)は、患者頭部に適合するように調節することが可能である。例示的なヘッドセット120の一部は実質的に可撓性であり、例示的なヘッドセット120の一部を実質的に非可撓性であり得る。例えば、例えば患者頭部上の特定の解剖学的位置に電極110を実質的に固定するために、例示的な装置120の電極を含む部分を実質的に非可撓性にすることができる。追加的にまたは代替的に、他の部分(例えば、例示的なヘッドセット120を患者頭部に保持するための帯またはコネクタ)は、実質的に可撓性の弾性にしかつ/または固定部を形成し得る。
例示的なヘッドセット120のうち任意の一部は、患者の生体構造の特定部分に適合するように、特異的に設計、形状形成または構築され得る。例えば、例示的なヘッドセット120の部分は、患者耳部の近隣、周囲または隣接部分に適合するように構築され得る。例示的なヘッドセット120の部分は、こめかみ、前額部に適合しかつ/または電極110を特定の解剖学的位置または他の位置に配置するように、特異的に設計、形状形成または構築され得る。例示的なヘッドセット120の部分は、電極110(または他の設けられた測定デバイス)が患者の頭部または脳中の血流特性を検出するための特定の位置において発生するように、形状形成され得る。このような血流の例は、血管が脳中に存在するかまたは脳に血液供給しているかに関係無く、本明細書中に記載の血管のうち任意血管(特に、頭部および/または脳へ血液を提供する動脈および血管系)中において発生し得る。
例示的なヘッドセット120は、患者の快適性および/または患者への密着性を向上させるための適切なフィーチャを含み得る。例えば、例示的なヘッドセット120は、デバイス中の穴部を含み得る。これらの穴部により、患者皮膚における通気が可能になる。例示的なヘッドセット120は、詰め物、クッション、スタビライザ、ファー、フォームフェルトまたは患者快適性を向上させるための任意の他の材料をさらに含み得る。
上述したように、例示的なヘッドセット120は、生体インピーダンス測定のための電気デバイスまたは電極含有デバイスに加えてまたは生体インピーダンス測定のための電気デバイスまたは電極含有デバイスの代替として、1つ以上のさらなるセンサー140を含み得る。例えば、さらなるセンサー140は、1つ以上のコンポーネントを含み得る。これらの1つ以上のコンポーネントは、患者領域からPPGデータを得るように構成される。さらなるセンサー140は、他の任意の適切なデバイスを含むことができ、図1に示す単一のセンサーに限定されない。さらなるセンサー140の他の例を挙げると、局所的温度を測定するデバイス(例えば、熱電対、体温計)および/または他の生物測定を行うデバイスがある。
例示的なヘッドセット120は、任意の適切な形態の通信機構または装置を含み得る。例えば、ヘッドセット120は、データ、命令、信号または他の情報を無線で別のデバイス、分析装置および/またはコンピュータへと通信または受信するように構成され得る。適切な無線通信方法を挙げると、無線周波数、マイクロ波および光通信があり、また、標準的プロトコルがある(例えば、Bluetooth(登録商標)、WiFi)。これらの構成に加えてまたはこれらの構成の代替として、例示的なヘッドセット120は、別のデバイス、分析装置および/またはコンピュータとのデータ、命令、信号または他の情報の通信または受信を行うように構成されたワイヤ、コネクタまたは他の導管をさらに含み得る。例示的なヘッドセット120は、任意の適切な種類のコネクタまたは接続能力をさらに含み得る。このような適切な種類のコネクタまたは接続能力を挙げると、任意の標準的コンピュータ接続がある(例えば、ユニバーサルシリアルバス接続、ファオヤワイヤ接続、イーサネット(登録商標)またはデータ伝送を可能にする任意の他の接続)。このような適切な種類のコネクタまたは接続能力は、例示的な装置100または他のデバイスおよび用途に合わせて構成された特殊ポートまたはコネクタを追加的または代替的に含み得る。
図2は、脳血管系200の主要フィーチャの模式図である。図2中の脳血管系は、脳を下側から見た図であり、ページ上部は、対象者の前部を表す。脳201への血液供給は、頚部を横断する4本の大動脈から送られて来る。より大型の2本の血管として、頚部前部中の右内頚動脈および左内頚動脈(ICA)210がある。椎骨動脈(VA)220は、頚部後部に存在し、合流して脳底動脈(BA)230を形成する。内頚動脈および脳底動脈は、後交通動脈(図示せず)および前交通動脈(図示せず)によって接続されて、ウィリス輪(COW)を形成する。理想的な患者の場合、COWは、接続された動脈からなる網であり、栄養動脈のうち1つ以上が閉塞した場合でも、脳201への血液供給を可能にする。
脳201へ血液を供給する大動脈として、中央脳動脈(MCA)240、前脳動脈(ACA)250および後脳動脈(PCA)260がある。MCA240は、脳201への一部への血流低下を診断する際に用いられる一領域である。MCA240は、最大の脳領域(すなわち、各脳半球のうちおよそ3分の2)への唯一の血液供給である。
信号経路が一定範囲までMCAs240または他の動脈と合致、横断または交流するように、例示的なヘッドセット120の電極を配置することができる。例えば、電極110をMCA240を跨ぐように配置することで、MCA240が頭部を切断する一対の面間に延び、各電極を通じて延びるようにする。よって、信号特性(例えば、インピーダンス)の測定は、MCA240または他の動脈中の血流を示しかつ/または関連し得る。患者のこめかみまたはその周囲に特定の構成のヘッドセット120を用いて特定の電極110を配置することにより、例えば、特にMCA240中の血流に関連する情報を含む信号の生成が可能になる。上記電極は、例えば70mm〜90mmだけ間隔を空けて配置され得る。上記電極は、頭部上の特定の位置に配置してもよい。例えば、第1の電極対111および112を髪際部の下側の前額部上に配置し、第2の対113および114を耳たぶ上部の下側の耳部上方に配置することができる。これらの位置において、上記電極は、髪の毛の上ではなく素肌上に直接配置することができるため、頭皮の髪の毛が生えている領域上に配置した場合よりも電気接触および接着を向上させることができる。しかし、本発明において、頭皮などの他の位置に電極を配置してもよい。上記電極は、外部顔面動脈および広範囲の筋肉群(例えば、眼筋)から離隔位置に配置してもよい。
図3は、対象者の脳201中の例示的な生体インピーダンス信号経路310の模式図である。上記例示的な構成は、右脳半球および左脳半球それぞれを通じた複数の信号経路310を示す。上記複数の信号経路は、ヘッドセット120を介して対象者頭部に固定された電極110の間に延びる。信号経路310のインピーダンスは、上記経路に沿った血液の存在または不在によって影響を受け得る。なぜならば、血液は、相対的に低いインピーダンスを有するからである。信号経路310のうち少なくとも一部は、脳血管系と合致し得る。そのため、血液動態特性(例えば、脳201の血管中の血液量)を示す信号特性を測定することができる。そのため、生体インピーダンスの変化は、脳201中の血流変化を示し得る。図3に示す信号経路310は、信号経路310に一般的領域内に存在し得る少数または限られた数の経路のみを示す。
本開示によるいくつかの実施形態において、少なくとも1つの頭部生体インピーダンス測定値を特徴付ける前記少なくとも1つの信号は、少なくとも2つの生体インピーダンス信号を含み得る。前記少なくとも2つの生体インピーダンス信号のそれぞれは対象者の脳の異なる脳半球に関する。本明細書において用いられる対象者の脳の特定の脳半球に関する生体インピーダンス信号は、当該のインピーダンス信号が関連する脳の側部のインピーダンス特性を示す生体インピーダンス信号を含み得る。対象者の脳の特定の側部に関する生体インピーダンス信号は、電極などを介して上記対象者の頭部の同一側部から得ることもできるし、あるいは上記対象者の頭部の反対側側部から得ることもできる。対象者の脳の特定の側部に関する生体インピーダンス信号は、他の位置からも得ることができる(例えば、対象者の(例えば頚動脈が存在する)頚部)。
本開示による実施形態によれば、少なくとも1つの頭部生体インピーダンス測定値を特徴付ける前記少なくとも1つの信号は、対象者の脳の第1の脳半球に関する第1の信号と、対象者の脳の第2の脳半球に関する第2の信号とを含み得る。対象者の脳の第1の脳半球および第2の脳半球に関する第1の生体インピーダンス信号および第2の生体インピーダンス信号の例示的な表現について、図4を参照して説明する。
図4は、装置100等の脳血液動態測定装置から得られた例示的な生体インピーダンス信号401および402の模式図である。図示の生体インピーダンス信号401および402は、比較的健康な患者の右脳半球および左脳半球それぞれのインピーダンス振幅を例示的装置100を用いて測定した際のインピーダンス振幅の周期的変化を示す。このように、信号401および402は、対象者の脳の第1の脳半球および第2の脳半球に関する第1の生体インピーダンス信号および第2の生体インピーダンス信号の例である。
本開示の実施形態により、2つの生体インピーダンス信号は相互に対して同期され得る。本明細書中用いられるように、同期は例えば共通する基準時間フレームについて実行されることができ、前記基準時間フレーム中の信号は、実際に発生したものと比較して、指定時間量を超える差を持たない。例えば、異なるソースから得られた2つの信号は、同一のイベントを同時に反映し得る。しかし、装置、信号処理または他の制約に起因して、これらの信号を記録するための枠となる時間フレームは異なり得る。そのため、前記イベントが第1の信号において1つの時間において発生し、第2の信号において異なる時間において発生したかのように見える場合がある。これらの信号を相互から指定時間量内に同期させることにより、これらの信号は共通する基準時間フレーム内に見られることが可能になる。上記共通する基準時間フレームにおいて、双方の信号によって同時記録されるイベントの発生間の差は、上記第1の信号と上記第2の信号との間における指定時間量を超えない。
同期は、例えば独立したスケール上で発生させてもよいし、あるいは生物スケールに基づいて行ってもよい。生物スケールの一例は、ECGによって規定され得る。詳細には、対向する脳半球の生体インピーダンス波形信号(またはその一部)のタイミングと、ECGによって規定されたスケールとを同期させることができる。一実施形態において、この同期は40ms以内に発生し得る。本発明によれば、より長期の同期方法を用いてもよいし、より短い同期方法を用いてもよい。例えば、信号の相互同期をミリ秒内に行うことができる。タイミング同期の非限定的例を挙げると、約40ms、約30ms、約20ms、約10msおよび約5ms以内の同期がある。他の実施形態において、上記波形を5ms以内に相互に同期させてもよいし、あるいは1ミリ秒の数分の1(例えば、0.1ms以下)以内で同期させてもよい。このような同期分析を生体インピーダンス信号波形の収集時に行い、メモリ(例えば、外部またはコンピュータメモリ)中に保存された生体インピーダンス信号波形上に行うことができる。信号間の相互の同期化は、多様な手段(例えば、タイミング装置および信号内の基準フィーチャ)を通じて行うことが可能である。
他の実施形態において、2つの信号は、ECG信号を使用することなく、独立的な時間スケールで同期され得る。右脳半球および左脳半球の波形の同期は、例えば、精密タイミング装置内に設けられた少なくとも1つのプロセッサを用いて行われ得、これにより、双方の脳半球からのデータが同時にまたは既知の時間的関係を以て抽出される。例えば、波形は数ミリ秒内に同期され得、これにより、例えばピーク開始などのフィーチャを関連付けることができる。代替的にまたは装置ベースの同期に加えて、信号の同期を波形中のフィーチャに基づいて行うことができる。心臓電気信号のフィーチャは各脳半球から抽出された波形において共通に検出され得る。例えば、各脳半球からの生体インピーダンス波形に並行して測定されたECG信号から、心拍に先行して発生する電気信号である心臓R波を検出することができる。従って、例えば、ECG波形中のR波開始の検出または同定を用いて、異なる脳半球からの波形を同期させることができる。異なる脳半球からの波形の同期は、例えば心臓周期の任意の他の部分の検出または同定を用いて行うことができる。このような同期分析は、生体インピーダンス信号波形が収集されている間に(例えば、リアルタイムで)行ってもよいし、あるいは、メモリ中に保存された生体インピーダンス信号波形に対して(例えば、非リアルタイムで)行ってもよい。
右脳半球および左脳半球から受信された信号のフィーチャ間のタイミング遅延を決定することにより、脳血液動態特性についての異なる情報を得ることができる。このようなタイミング遅延は、生体インピーダンス波形全体の間または波形の一部のみの間において発生し得る。例えば、波形の特定フィーチャまたはこれらの様々な組合せについて、遅延を調査することができる。いくつかの実施形態において、遅延が特定の閾値になった場合にのみ、当該遅延が大きいとみなすことができる。一定の条件下において、より大きな遅延は、より小さな遅延と比較して悪化した状態を示し得る。さらに、遅延と共に発生する経時的変化は、状態の改善または悪化を示し得る。いくつかの実施形態において、タイミング遅延の経時的変化を監視することができる。治療期間と共に遅延が低下した場合、患者の脳血管状態が改善していることを示し得、遅延が増加した場合、患者の状態が悪化していることを示し得る。
信号同期により、信号を比較する際における心拍変動に起因する影響も低下させることが可能となる。心拍が変動した場合、心臓周期の長さが変化する。その結果、信号中の対応するフィーチャのタイミングが心拍変動に起因して変動し得る。そのため、非同期波形内のフィーチャのタイミング分析が、心拍変動により影響を受け得る。よって、2つの同期信号間の差を決定することにより、心拍変動による影響を低減することができる。
本開示のいくつかの実施形態によれば、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記少なくとも1つの信号と心臓波とを相関させるようさらに構成され得る。前記少なくとも1つの信号は、信号波形または心臓波形のいずれかの内の任意のフィーチャに基づいて、心臓波形のタイミングに相関され得る。信号を心臓波形のタイミングに相関させることは、信号のフィーチャを心臓波形のフィーチャに関連させることを含み得る。
信号を心臓波形のタイミングに相関させるための例示的な方法については、図4を参照して説明され得る。図4に示すように、生体インピーダンス振幅は、左脳半球および右脳半球双方について周期的サイクルを示し得る。振幅におけるこのような変化の周期は、心臓周期の周期とほぼ同じである。図4において、yスケールは、インピーダンス振幅と逆相関を有する。すなわち、高値のインピーダンス振幅は、図4に示すような信号中の低値によって反映される。より詳細には、各心臓周期はインピーダンス低下と共に開始する。インピーダンス低下は、血流の急激な低下に対応し、図4中の信号ピークとして現れる。図4中の各周期的サイクルの図示の最大値(すなわち、信号ピーク)は、最大血流に対応するインピーダンス最小値を示す。この最大血流は、心室収縮、すなわち血管系を通して血液を押し出す心臓の収縮、に近接して追随し得る。次に、心室収縮は心臓ECGのR波に反映され得る。したがって、心臓R波および生体インピーダンス信号波形の最大値は関連するイベントであり得る。このように、プロセッサはこの関係を認識し、信号と心臓波のタイミングとを相関させるよう構成され得る。信号または心臓波のいずれかの任意の部分が相関のために用いられ得る。
図4において生体インピーダンス信号波形の振幅の変動を示しているが、生体インピーダンス信号波形の位相角から情報を得ることも可能である。生体インピーダンス信号波形の振幅および位相は、対象者の電気インピーダンスの抵抗成分および反応成分双方によって影響され得る。典型的には、対象者の電気インピーダンスの反応成分に起因して、測定された生体インピーダンス信号における位相差が発生し得る。そのため、個別または共に分析された生体インピーダンス信号の振幅および位相は、脳血液動態特性を示し得る。
信号と心臓波のタイミングとを相関させることは、(代替的に、)前記少なくとも1つの信号の部分と心臓周期に以前に相関された既知の信号とを比較することにより、前記少なくとも1つの信号と心臓周期とのタイミングの一致を検出することも含み得る。この実施形態において心臓周期に以前に相関された既知の信号は、心臓周期内および信号内の様々なフィーチャの関係についての情報を提供し得る。例えば、以前の相関は、心室収縮を表す心臓R波と最大血流を表す生体インピーダンス振幅の最小値との間のタイミング遅延についての情報を提供し得る。新規の生体インピーダンス信号の一部は、新規の生体インピーダンス信号と新規の心臓周期との間の対応するタイミング遅延を検出するために、既知の以前に相関された生体インピーダンス信号の対応する部分と比較され得る。
少なくとも1つの信号と心臓波のタイミングとを相関させることは、さらに(または代替的に)前記少なくとも1つの信号と同時心臓周期のタイミングとを同期することを含み得る。そのような同期は、例えば、前記少なくとも1つの信号が、心臓周期を表す他の信号(例えば、ECG信号)に対する共通の基準時間フレームについて取得されることを確保する測定設備を用いて実行され得る。そのような同期は、前記少なくとも1つの信号と周期を表す他の信号とを分析することによっても、実行され得る。これらの信号は、心臓周期の任意の部分を共通イベントとして用いることにより、同期され得る。この例において、心臓周期の一部は、信号中において同時に検出され得る。その後、信号を、上記心臓周期の当該部分に基づいて同期させることができる。生体インピーダンス測定値を特徴付ける信号と心臓周期との間のタイミング同期の非限定的例を挙げると、約40ms、約30ms、約20ms、約10msおよび約5ms以内の同期がある。他の実施形態において、上記波形を5ms以内に相互に同期させてもよいし、あるいは1ミリ秒の数分の1(例えば、0.1ms以下)以内で同期させてもよい。本開示によるいくつかの実施形態において、信号は、心臓R波に基づいて同期させることができる。
いくつかの実施形態によれば、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記心臓波により規定される時間的期間中の少なくとも1つの信号を分析することにより、前記時間的期間中の前記少なくとも1つの信号における少なくとも1つの予想特性の程度を確認するよう構成され得る。
心臓波は、前記少なくとも1つの信号を分析する時間的期間を規定し得る。図5は心臓波を表す例示的なECG信号の模式図である。P波510、Q波511、R波512、S波513、T波514、およびU波515が図5において示される。前述のように、生体インピーダンス信号波形等の信号波形の1周期は、1心臓周期に近似的に対応し得る。したがって、信号は心臓周期のタイミングに相関され得る。P510、Q511、R512、S513、T514、およびU515の波のうちの任意を含む心臓波の任意のフィーチャは、時間的期間を規定するための基準点として用いられ得る。例えば、時間的期間は、第1の心臓周期のR波512のピークと第2の心臓周期のR波512のピークとにより規定され得る。第2の心臓周期は第1の心臓周期に対して連続し得、その場合は図示された例示的な時間的期間516におけるように、時間的期間は1つの心臓周期の長さとなる。第2の心臓周期は第1の心臓周期に対して不連続となり得、その場合は、時間的期間は心臓周期の2倍以上の長さとなる。時間的期間は第1の心臓周期および第2の心臓周期における異なる波(例えば、第1の心臓周期におけるP波および第2の心臓周期におけるR波)によっても規定され得る。時間的期間は、例えば単一の心臓周期内の基準点であるQ波511およびS波513により規定された場合には、単一の心臓周期の長さよりも短くなり得る。分析のための時間的期間は、事前規定されてもよく、または生理学的状態に基づいて動的に規定されてもよい。いくつかの実施形態において、2つ以上の時間的期間が分析のために用いられてもよい。いくつかの実施形態において、2つ以上の信号の部分が時間的期間(単数または複数)中に分析されてもよい。
生体インピーダンス信号の予想特性は、検出および分析され得る前記波形内の任意の検出可能なフィーチャを含み得る。予想特性は、プロセッサが検索するよう構成された期待される波形フィーチャも含み得る。予想特性は、波形の視認確認を通じて検出することもできるし、あるいは、波形の数学的分析のみを通じて検出することもできる。予想特性は、波形の単一の局面(例えば、最大振幅)によって規定することもできるし、あるいは、波形の複数の局面(例えば、相対的ピーク高さ)間の関係によって規定することもできる。生体インピーダンス信号波形は、予想特性によって全体的または部分的に特徴付けられ得る。
予想特性の例を挙げると、局所的または全体的な最大値および最小値(すなわち、ピークおよび谷)、変曲点、相対的最大高さ、相対的最小深さ、フィーチャの幅、フィーチャのタイミング、フィーチャの遅延、最大値の高さ・幅の比、最小値の深さ・幅の比、最大値および最小値における曲率、および最大値ならびに最小値の任意の他の局面の比がある。予想特性は、波形の周波数スペクトル局面(例えば、出力スペクトルおよび位相角)をさらに含み得る。他の予想特性は、窓または範囲にわたる平均波形振幅あるいは波形傾斜を含み得る。さらに、多変量分析を用いて、波形のいくつかの最大値、最小値および/または任意の他の局面(例えば、背景振幅、ノイズ、特定の間隔にわたる振幅)を含む予想特性を規定することができる。本明細書中に記載の予想特性はひとえに例示的なものであり、開示の方法およびシステムの任意の実施形態を限定することを意図していない。
本開示によるいくつかの実施形態において、生体インピーダンス波形の予想特性は、第1のピーク、第2のピーク、第3のピーク、第1の最小値、第2の最小値および第3の最小値のうちの任意を含み得る。本明細書中用いられる第1のピーク、第2のピークおよび第3のピークは、信号波形内の局所的最大値を含み得、第1の最小値、第2の最小値および第3の最小値は、信号波形内の局所的最小値を含み得る。これらのピークおよび最小値は、例えば、サイクル的に反復する波形の単一の期間内の局所的最大値および最小値であり得る。上記ピークおよび最小値はまた、例えば、2つ以上の信号サイクルにわたって平均化された波形内の局所的最大値および最小値を含み得る。ピークおよび最小値はまた、例えば、特定の心拍(例えば、時間間隔内において最も共通する心拍)について決定された波形内の局所的最大値および最小値を含み得る。本明細書において用いられるピークおよび最小値は、絶対的高値および低値に対応する場合もあれば、あるいは、高値および低値が発生した領域を示し得る。例示的な予想特性について、図6を参照してさらに説明する。
図6は、単一の心臓周期により規定される生体インピーダンス信号波形時間的期間610のいくつかの例示的な予想特性の模式図である。波形時間的期間610は心臓周期に対応し、波形中の予想特性は、心臓周期における個々のイベントに対応し得る。例えば、第1のピークP1(611)は、大動脈弁開口に追随する血流の立ち上がりに対応し得る。大動脈弁開口に追随する血流の立ち上がりは、最小値M0(621)に対応し得る。第2のピークP2(612)は、心臓周期の収縮期位相の終了時における血流の第2の立ち上がりに対応し得る。心臓周期の収縮期位相の終了は、最小値M1(622)に対応し得る。最小値M2(623)は、大動脈弁閉鎖時における血流低下に対応し得る。最終ピークP3(613)は、最終血流増加に対応し得る。最終血流増加の後、心臓周期終了時において拡張期位相における連続的低下が発生する。説明目的のみのため、図6に示す予想特性は、生体インピーダンス波形中において検出することが可能な予想特性の一例に過ぎない。さらに、予想特性は、単一の波形期間に閉じ込める必要は無い。例えば異なる期間からの複数の対応する最大値の平均振幅を分析することにより、生体インピーダンス信号の予想特性を決定することができる。
さらに、図6において振幅によって特徴付けられた生体インピーダンス信号波形を図示しているが、本明細書中に記載の方法および構造は、生体インピーダンス信号波形の他の局面中のシグネチャーフィーチャ(例えば、位相角波形によって特徴付けられるもの)の決定にも用いることが可能である。生体インピーダンス信号の位相角局面は、生体インピーダンス信号の振幅局面と異なる応答を示し得る。なぜならば、位相角変化は、生体インピーダンス信号の反応成分における変化に対応するからである。生体インピーダンス信号波形の位相角局面の分析を行うことにより、血液動態特性についてのさらなる情報または異なる情報を得ることが可能になる。位相角波形の分析は、振幅波形について本明細書中に述べた任意の方法および当該分野において公知の任意のさらなる方法を用いて行うことが可能である。生体インピーダンス信号の位相角波形そのものを分析しかつ/または他の生体インピーダンス信号局面と比較してまたは関連して分析してもよい。
図7aおよび図7bは、複数の心臓周期にわたる生体インピーダンス信号波形の例示的な振幅および位相角局面間の比較の模式図である。図7aに示すような一定の条件下において、位相角波形は、同時入手された振幅波形に類似する特性を示し得る。例えば、図7aにおいて、頭部の左側部(黒色で図示)および右側部(灰色で図示)それぞれからの、位相角波形713と714との間の遅延は、頭部の左側部(黒色で図示)および右側部(灰色で図示)それぞれから得られた振幅波形711および712における遅延に類似する。生体インピーダンス信号波形の位相角局面と振幅局面との間のシグネチャーフィーチャのこのような類似性により、さらなる動脈閉塞の変化を診断するための情報を得ることが可能になる。
位相角波形はまた、例えば図7bに示すような同時入手された振幅波形と異なる特性を示し得る。図7bにおいて、頭部の左側部(黒色で図示)および右側部(灰色で図示)それぞれから得られた位相角波形723および724は、頭部の左側部(黒色で図示)および右側部(灰色で図示)それぞれから得られた振幅波形721および722の場合よりも、頭部の左側部および右側部間の非対称性が大幅に大きい。頭部の右側部と関連付けられた位相角波形724のピークは、頭部の右側部と関連付けられた位相角波形723のピークと比較して低下している。さらに、位相角波形723は、ピークからの減衰が急傾斜である。これらの差は、振幅波形721および722において現れない。そのため、生体インピーダンス信号の位相角および振幅波形のシグネチャーフィーチャの差により、動脈閉塞の変化を診断するためのさらなる情報を得ることが可能になる。
図6に示すような予想特性は、任意の種類の分析を通じて検出することができる。一実施形態において、測定された波形中の変曲点を発見することにより、予想特性を検出することができる。図8に示す別の実施形態において、パルス分解分析を行うことができる。このような検出分析は、少なくとも1つのプロセッサ(例えば、図1に関連して述べた少なくとも1つのプロセッサ160)を用いて行うことができる。
図8は、生体インピーダンス信号波形期間810の模式図である。生体インピーダンス信号波形期間810は、生体インピーダンス信号中の予想特性を検出するためのパルス分解アルゴリズムによって分解される。図6について説明するように、1組の予想特性は、第1のピークP1611、第2のピークP2612および第3のピークP3613ならびに最小値M0621、最小値M1622および最小値M2623を含み得る。最小値M0621、最小値M1622および最小値M2623は、図6に示すように、生体インピーダンス信号波形611における変曲点に基づいて計算することができる。パルス分解アルゴリズムは、予想特性を計算するための別の方法を示す。パルス分解アルゴリズムは、生体インピーダンス信号を概算するための基本関数の組み合わせを用いて、生体インピーダンス信号をパラメータ化し得る。
最良の適合のために用いられる基本関数は、生理学的パルス波形関数に関連し得るか、または、生理学的パルスに類似する一般的形状を持ち得かつ安定した適合パラメータを提供する。適切な基本関数の一例として、ガウス関数がある。ガウス基本関数により、パルス幅および曲率、安定した適合アルゴリズム、および高次導関数の全体的決定を明確に定義することが可能になる。ガウス基本関数を用いたパルス分解アルゴリズムは、図8を参照して以下に説明するように行うことができる。
図8は、3つのガウス基本関数(第2のピークP2612、第1のピークP1611および第3のピークP3613にそれぞれ最適に適合するように計算された第1のガウス821、第2のガウス822、および第3のガウス823)の模式図である。ECG信号を用いて、生体インピーダンス信号を、心臓周期にそれぞれ対応する個々の波形810に分割することができる。その後、ECGR波パルスに追随する波形最小値を決定することができる。次に、最小値に追随する波形全体的最大点を決定することができる。その後、全体的最大点と前回入手された統計との間のタイミング間の対応に基づいて、上記波形全体的最大点が第1のピークP1611、第2のピークP2612、または第3のピークP3613を示すかを決定することができる。次に、標準的基本関数(例えば、ガウス)を用いて、前回得られた統計からのタイミングおよび幅限定を用いて、決定された全体的最大の近隣の個々の波形への最適な適合を得ることができる。図8において、第1のガウス821を最高ピークP2612に適合させる。次に、残りの波形に対して同じ基本関数を用いて、第2のガウス822および第3のガウス823を用いた残りの2つのピークの最適適合を決定することができる。
これらのガウス基本関数は、生体インピーダンス信号波形を近似する予想特性適合曲線820を協働して形成する。例示的なパルス分解アルゴリズムから得られた予想特性適合曲線820のコンポーネント基本関数を規定するパラメータは、測定された生体インピーダンス信号中の各心臓周期を特徴付けるように機能し得る。
その後、上記測定された信号と、各心臓周期の予想特性適合曲線820を含む平滑な波形とを置換する。その結果、多様な対象点(例えば、最小値M0621、最小値M1622、最小値M2623、および対象点における局所的曲率)のロバストな計算が可能になる。コンピュータパラメータ、相対的振幅、タイミング対ECG、および幅を用いて、波形を特徴付けることができる。開示の例示的なパルス分解アルゴリズムなどの方法は、他の技術(例えば、変曲点決定)を用いて検出することが困難または不可能な予想特性を検出する際に有用である。図8に示すように、ピークP1611、ピークP2612およびピークP3613は、生体インピーダンス信号波形610の局所的最大値と合致しないが、生体インピーダンス信号波形610の成分波形、ガウス821、822および823のピークとは合致する。
さらなる例示的な基本関数を挙げると、一般化極値(GEV)分布関数がある。GEV関数は、他の基本関数(例えば、ガウス)と共に用いてもよいし、あるいは単独の基本関数として用いてもよい。例えば、周期的生体インピーダンス信号を分解する場合、ガウス基本関数を用いて、波形の収縮期部分中の第1のピークP1611および第2のピークP2612と、拡張期部分上のP3613のGEV関数とを適合させることができる。この選択により、P3613に対してガウス基本関数を用いる場合よりも、上記拡張期部分に対してより良好な適合が得られる。なぜならば、GEV関数は非対称であり得る一方、ガウス関数は対称であるからである。
生体インピーダンス信号波形のパラメータ化を行うことにより、さらなる予想特性(例えば、初期パラメータの分布統計)の収集および比較も可能になる。例えば、脳卒中患者の1つの脳半球上において測定されたP2612パルスタイミングの分布は、予想特性を示し得、第2の脳半球から得られたP2612パルスタイミングの分布によって示される予想特性と比較され得る。
いくつかの実施形態において、信号を分析することは、少なくとも1つの信号を、少なくとも1つの予想特性と前記信号との間の相関程度とに基づく予測に適合させることを含み得る。例えば上述のように予想特性の分析を用いることにより、将来の信号波形についての予測が可能となる。すなわち、不在の生理学的変化、生体インピーダンス信号波形が、例えば、将来における同様の予想特性を示すと予測され得る。そのような予測からの逸脱は脳血管イベント等の生理学的変化を示し得る。
図6に示すような生体インピーダンス信号の予想特性を分析することにより、生理学的脳状態における変化(例えば、脳血流における変化)を予測するための情報を得ることができる。予想特性を経時的に連続的に分析および比較することにより、診断情報を得ることができる。例えば、生体インピーダンス信号波形データを連続的にサンプリングして、連続する時間間隔内の各心臓周期に対する予想特性を計算することができる。上記連続的時間間隔の一部の監視から得られた結果と、上記連続的時間間隔の別の一部の監視から得られた結果とを比較することができる。例えば、外科手術時に発生する任意の脳血流変化を診断するために患者に対して行われる外科手術時において、予想特性を連続的時間間隔全体にわたって連続的に監視することができる。上記外科手術時における任意の長さの任意の1つの時間間隔において検出された予想特性と、上記外科手術時における任意の長さの任意の後続の時間間隔において検出された予想特性とを比較することができる。
代替的にまたは追加的に、非連続的時間期間にわたって予想特性を監視および予測に対して比較して、診断情報を得ることができる。例えば、1つの時間間隔時において監視された生体インピーダンス信号波形データと、第2の時間間隔時において監視された生体インピーダンス信号波形データとを比較することができる。第2の時間間隔は、第1の時間間隔と重複または隣接しない。例えば、患者についての予想特性基線を第1の時間(例えば、外科手術の前、入院時、定期的来院時、または基線測定が可能な任意の他の時間)に測定することができる。その後、上記予想特性基線と、任意の後続時間(例えば、外科手術時、退院時、別の来院時)において監視された予想特性とを比較することができる。
いくつかの実施形態において、分析することは、表示された生理学的状態に基づいて、予想特性付近の時間的期間に注目することを含み得る。分析が生理学的状態(例えば、動脈閉塞または脳水腫等)を示す場合、その生理学的状態に関連付けられ得る特定の予想特性付近の時間的期間がより詳細に分析され得る。そのような詳細な分析により、その生理学的状態についての追加的な情報が得られ得る。例えば、MCAにおける閉塞についてのさらなる情報が、第2のピークP2612をより詳細に分析することから得られ得る。
本開示によれば、少なくとも1つのプロセッサは、少なくとも1つの信号における少なくとも1つの予想特性の程度に基づいて、生理学的脳状態を予測するための情報を出力するよう構成され得る。本明細書中用いられる「生理学的脳状態を予測するための情報」は、医師による生理学的脳状態の検出、診断、理解、または予測を支援し得る任意の種類の情報を含み得る。このような情報は、例えば、生理学的脳状態の直接的通知を含み得、あるいは、生理学的脳状態の診断を支援する情報を含み得る。生理学的脳状態を予測するための情報は、状態の位置および程度についての特定の情報を含む場合もあるし、あるいは、状態における変化を示す一般的情報を含み得る。例えば、前述のように、患者頭部の対向する側部からの生体インピーダンス関連測定/計算の非対称性は、診断目的のために出力される情報であり得る。一実施形態において、非対称性の存在は、唯一の情報出力であり得る。別の実施形態において、非対称性の測定値が上記情報出力中に含まれ得る。さらに別の実施形態において、情報出力は、非対称性の経時的変化の指標を含み得る。
上記出力情報は、大幅な変動の存在を示す簡単な指標として医療専門家に対して用いることが可能である。代替的にまたは追加的に、上記出力情報を挙げると、例えば、差異の大きさと、差異の経時的変化の大きさと、生理学的脳状態、生理学的脳状態の程度、または生理学的脳状態の程度における変化を示し得る他の任意のデータと、のうちの1つ以上がある。
生理学的脳状態を予測するための情報は、虚血性脳卒中の存在を診断するための情報を含み得る。動脈閉塞が変化した場合、脳の一部が動脈閉塞に起因して適切な血液供給を受容できなくなっている脳状態である虚血性脳卒中に繋がり得る。いくつかの実施形態において、プロセッサは、虚血性脳卒中の存在に基づいて、出血性脳卒中の不在を診断するように構成され得る。出血性脳卒中は、脳内出血に起因して脳が適切な血液供給を受容できなくなっている脳状態である。虚血性および出血性脳卒中の表だった兆候は、類似し得る。対象者体内の虚血性脳卒中の存在は、脳卒中の表だった兆候を示し、出血性脳卒中の不在を示し得る。
生理学的脳状態を予測するための情報は、少なくとも1つの予想特性の程度に基づき得る。上述したように、対象者頭部から得られた生体インピーダンス信号波形は、脳血流を示し得る。そのため、生体インピーダンス信号波形内の予想特性の程度は、脳血流を示し得、予想特性の程度における変化は、脳血流における変化を示し得る。脳血流における変化を分析することにより、生理学的脳状態を予測するための情報が得られ得る。例えば、インピーダンス最小値に対応する各期間における局所的最大値の高さが第1の時間的期間と第2の時間的期間との間において低下した場合、脳血流の低下を示し得る。
いくつかの実施形態において、前記プロセッサは、対象者の脳の第1の脳半球に関する第1の信号の部分と対象者の脳の第2の脳半球に関する第2の信号の部分との比較に少なくとも部分的に基づいて、生理学的脳状態を予測するよう構成される。第1の信号の部分と第2の信号の部分とを比較することは、これらの信号に対して行われる任意の種類の分析を含み得る。これらの信号は、基本的算術演算(例えば、加算、減算、その他)を用いて比較され得る。これらの信号は時間領域において比較され得る。これらの信号は、適切な変換を用いることにより、周波数領域においても比較され得る。1つの信号の全体または一部は、別の信号の全体または一部と比較され得る。例えば、これらの信号は、より小さな区画により、および/または別個の点により、その全体において比較され得る。代替的に(または追加的に)、1つ以上の信号の一部は、1つ以上の他の信号の対応する部分または対応しない部分と比較され得る。さらに、これらの信号は、任意の長さの時間間隔において測定された振幅、周波数および位相角に基づいて比較され得る。これらの信号は、信号の予想特性にも基づいて比較され得る。
この比較は、対象者の脳の異なる脳半球に関連する第1の信号と第2の信号との間の比較であり得る。脳の対向する側部から得られた生体インピーダンス信号は、対向する脳半球中の血流を反映する。脳卒中は典型的には非対称の現象であるため、異なる脳半球から得られた信号の予想特性を比較することにより、脳卒中による影響を受けた脳側部についての情報を得ることができる。2つの脳半球からの生体インピーダンス信号波形(例えば、図4に示すような)を相互に比較することにより、生理学的脳状態を予測することができる。脳血管イベントを示している患者において、例えば上記2つの生体インピーダンス信号波形は、図4に示す健康な患者の場合よりもより高レベルの相違点を示す場合が多い。
例えば図9に示す信号において、破線によって示す左脳半球生体インピーダンス信号912は、右脳半球生体インピーダンス信号911と比較して、インピーダンス振幅における変化は顕著に低下している。加えて、左脳半球生体インピーダンス信号912において、ピークP2612は完全に消失したように見受けられ、残りのピークP1611は、右脳半球生体インピーダンス信号911の対応するピークと比較して、タイミング遅延を示す。低下したインピーダンス振幅およびタイミング遅延の双方は脳卒中を反映し得る。左脳半球から得られた生体インピーダンス信号と左脳半球から得られた生体インピーダンス信号とを比較することにより、生理学的脳状態を予測するための情報が得られ得る。
本開示の他の実施形態によれば、前記プロセッサは、前記少なくとも1つの信号におけるフィーチャを脳血流画像情報で較正するよう構成され得る。脳血流画像情報は、脳血流に関する任意の種類の画像情報を含み得る。そのような情報は、脳血流画像(例えば、実際の画像)を直接的に構成する情報を含み得、脳血流画像を記述する情報(例えば、画像から得られた血流の測定値)を含み得る。脳血流画像情報は、脳血流画像を分析するタスクを実行するコンピュータ等により自動的に生成され得る。そのような情報は、例えば医師が脳血流画像に基づいて診断を行うことにより、手動によっても生成され得る。任意の好適なソース(例えば、磁気共鳴映像法(MRI)、経頭蓋ドップラー超音波法(TCD)またはかん流コンピュータ断層撮影(PCT)および血管造影(CTA))が、脳血流情報を提供し得る。
プロセッサにより受診された信号のフィーチャは、脳血流情報に対応するよう、較正され得る。生体インピーダンス信号のフィーチャは、そのフィーチャに対応する脳血液情報に比較され、そのような脳血液情報に相関付けられ得る。次に、このような比較および相関付けを、生体インピーダンス信号測定からのデータの解釈、定量化およびモデリングにおいて用いることができる。例えば、主要脳血管(例えば、中央脳動脈(MCA)240)中の閉塞をMRI技術およびCTA技術を通じて確認した場合、脳201の当該部分における血流が遅延または低下がみられる。そのような閉塞を経験する対象者から得られた生体インピーダンス信号波形は、閉塞に一致する信号フィーチャを示し得る。これらのフィーチャは、遅延された血流または減少された血流を詳述する直接的脳血流画像情報で較正され得る。
上記の説明は、信号波形の受信、相関、および分析を行うためのいくつかの例示的な方法を説明するものである。しかし、別の実施形態により、これらのタスクを実行するための他の方法を用いることも可能である。例えば、いくつかの実施形態において、ピークP1511、P2512およびP3513以外の予想特性を用いることができる。いくつかの実施形態において、予想特性検出のための別のパルス分解方法が用いられ得る。いくつかの実施形態において、予想特性検出のための別の方法が用いられ得る。よって、当業者であれば、予想特性の程度に基づいて信号を分析するための多様な分析技術が存在しており、本発明はその最大の範囲において任意の特定の技術に限定されないことを理解するであろう。
本開示による実施形態において、生理学的脳状態を予測するための方法が提供される。図10は、生理学的脳状態を予測するための例示的方法のステップのフローチャートである。ステップ1001において、少なくとも1つの頭部生体インピーダンス測定値を特徴付ける少なくとも1つの信号が受信され得る。これらの信号は、例えば、適切に構成されたプロセッサ160によって受信され得る。ステップ1002において、前記少なくとも1つの信号は、心臓波形のタイミングに相関され得る。プロセッサ160はこのステップを実行するよう構成され得る。
ステップ1003において、前記少なくとも1つの信号を分析することにより、前記信号における少なくとも1つの特性の程度が確認され得る。前記少なくとも1つの信号は心臓波により規定される時間的期間中に分析され、好適に構成されたプロセッサ160により分析され得る。ステップ1004において、分析ステップ1003の結果を用いて、前記少なくとも1つの信号における前記少なくとも1つの予想特性の程度に基づいて生理学的脳状態を予測するための情報が出力され得る。プロセッサ160は、例えば、上記情報を出力するように構成され得る。生理学的脳状態を予測するためのさらなる方法を挙げると、本明細書中に開示される技術のうちいずれかおよび/または全てがある。
上記例のうち多くについて、右脳半球と左脳半球との比較を挙げて説明してきたが、対象者の頭部の多様な位置から測定および比較が可能であり、本発明はその最大の範囲において比較信号を対向する脳半球に限定しなくてもよいことが理解される。同様に、本開示において生体インピーダンス信号の分析の例について記載しているが、本開示の広い原理に基づいて、少なくとも1つの頭部生体インピーダンス測定値を特徴付ける任意の信号を評価することが可能である。
さらに、脳卒中および閉塞の検出、診断および監視のための本発明の実施形態の利用の開示はひとえに例示的なものである。本発明は、その最大の範囲において、本明細書中に記載の原理を用いて検出することが可能な任意の生理学的脳状態の検出、診断および/または治療に関連して用いることが可能である。さらに、対象者の脳中の動脈閉塞の変化を診断するための本明細書中に記載の方法および装置を一般化することにより、任意の発生の動脈閉塞(例えば、脳卒中、血管変性)の変化を診断することが可能になることが理解される。本発明に関連する分野の当業者であれば、本発明の意図および範囲から逸脱することなく、別の実施形態を想起する。よって、本発明の範囲は、上記の記載によってではなく、添付の特許請求の範囲によって定義される。