JP2014509377A - 自己架橋アクリル樹脂および/または架橋性アクリル樹脂を含む防弾性物品ならびに該物品を製造する方法 - Google Patents

自己架橋アクリル樹脂および/または架橋性アクリル樹脂を含む防弾性物品ならびに該物品を製造する方法 Download PDF

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Abstract

複数の繊維層を含む防弾性物品であって、
前記繊維層の各々は、繊維のネットワークとマトリクス材料とを含み、
前記繊維は、ASTM D 7269−07に従って少なくとも800mN/tex(1100MPa)の強度を有し、
前記マトリクス材料は、少なくとも1種の自己架橋アクリル樹脂および/または少なくとも1種の架橋性アクリル樹脂と、少なくとも1種の粘着付与剤とを含む混合物を含む、防弾性物品を提供する。
同じ構造であるが粘着付与剤を含まないマトリクス材料を含む物品と比較して、本発明の物品は、未劣化状態および劣化状態の両方において繊維層間のより高い接着力、および水への浸漬後のより低い吸水性を備えているため、本物品はガソリン浸漬試験に合格する。また、さらに金属またはセラミックのプレートを含む物品は、弾丸攻撃後、繊維層の層間剥離が最小であるかまたは示しさえしない一方で、同じ構造であるが粘着付与剤を含まないマトリクス材料を含む物品は、内部層間剥離を示す。

Description

本発明は、防弾性物品および該物品を製造する方法に関する。
WO2008/077605号には、各単層が3.5から4.6GPaの引張強度を有する単一方向性配列の強化繊維を含み、各単層中の繊維方向が隣接する単層中の繊維方向に対して回転しており、単層の面密度が少なくとも25g/m2であり、マトリクス材料の最大で20質量%が、好ましくはポリウレタン、ポリビニル、ポリアクリル、ポリオレフィン、ポリイソプレン−ポリエチレン−ブチレン−ポリスチレンブロック共重合体、およびポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレンブロック共重合体からなる群から選択される、少なくとも4つの単層の積層を含む防弾性シートが記載されている。後者のブロック共重合体は、WO2008/077605の例に使用されており、特に好ましい。
国際公開第2008/077605号パンフレット
しかしながら、防弾性シートの未劣化状態だけでなく、温度および相対湿度の値が高い気候および/または化学分解性雰囲気、例えば、酸素雰囲気中でのシートの劣化後であっても、単層間の高い接着力を有する防弾性シートが要求されている。
さらに、水への浸漬後の吸水が低い防弾性シートが要求されている。また、ガソリン浸漬試験に合格する防弾性シートが要求されている。
最後に、防弾性シートを金属またはセラミックのプレートに接合する場合には、プレート側からの弾丸攻撃後、プレート裏側の層には、より高い構造的完全性が要求されている。このため、弾丸攻撃後のプレート裏側の層には、層間剥離の程度がより低いことが要求されている。
前記課題は、複数の繊維層を含む防弾性物品であって、 前記繊維層の各々は、繊維のネットワークとマトリクス材料とを含み、 前記繊維は、ASTM D 7269−07に従って少なくとも800mN/tex(1100MPa)の強度を有し、 前記マトリクス材料は、少なくとも1種の自己架橋アクリル樹脂および/または少なくとも1種の架橋性アクリル樹脂と、少なくとも1種の粘着付与剤とを含む混合物を含む、防弾性物品により解決される。
驚くべきことに、本発明による防弾性物品は、同じ構造であるが粘着付与剤を含まないマトリクス材料を用いた防弾性物品と比較して、物品の未劣化状態だけでなく、温度および相対湿度の値が高い気候、および/または化学分解性雰囲気、例えば、酸素雰囲気中での物品の長期劣化後にも層間の接着力が著しく高い。
さらに、驚くべきことに、本発明による防弾性物品は、同じ構造であるが粘着付与剤を含まないマトリクス材料を用いた防弾性物品と比較して、水浸漬後の吸水性が著しく低い。
最後に、本発明の防弾性物品の好ましい実施形態により、複数の繊維層をパネルに形成し、パネルを金属またはセラミックのプレートに接合して硬質防弾性物品を得た場合に、弾丸攻撃後に観察される繊維層の層間剥離は最小であるかまたは全くない一方で、同じ構造であるが粘着付与剤を含まないマトリクス材料を用いた物品は、繊維層の軽い層間剥離を示す。そのため、本発明による防弾性物品は、同じ構造であるが粘着付与剤を含まないマトリクス材料を用いた防弾性物品と比較して、繊維層間の高い構造的完全性を示す。本発明の防弾性物品における繊維層の驚くほど高い構造的完全性は、本発明の物品の好ましい実施形態においてv50値として測定される防弾性能で評価でき、未劣化状態と劣化状態、すなわち、温度および相対湿度の値が高い状態での本発明の物品の長期劣化後との両方において、同じ構造であるが粘着付与剤を含まないマトリクス材料を用いた物品のv50値と比較して、非常に類似しているかまたは同一でさえある。
本発明において「繊維層」という用語は、その成分の1つとして繊維を含む層を意味する。
本発明において「繊維」という用語は、その長さ寸法が、幅および厚さの横断寸法よりもはるかに大きい細長い物体を意味する。したがって、「繊維」には、モノフィラメント繊維、マルチフィラメント繊維、リボン、ストリップ、ステープルファイバー、および前記の1種類もしくは複数から作られる糸が含まれる。特に好ましい「繊維」は、マルチフィラメント糸を意味する。本発明に使用する「繊維」の横断面は、大きく異なっていてもよい。横断面としては、たとえば、円形、扁平、または長方形であり得る。これらはまた、例えば、フィラメントの縦軸から突出した1種類もしくは複数の規則的または不規則的な丸い突出部を有する不規則的または規則的形状であってもよい。好ましくは、「繊維」は、実質的に円形の横断面を示す。
本発明において「複数の繊維層」という用語は、少なくとも2つの繊維層を意味する。しかしながら、本発明の物品は弾丸攻撃の強度に応じた防弾性を有しなければならず、複数の繊維層を構成する繊維層の数は、本発明を知る当業者が適宜選択することができる。多くの弾丸攻撃状況においては、好ましくは2から250、より好ましくは10から100に及ぶ繊維層の数で十分である。
本発明において「繊維のネットワーク」という用語は、所定の形状に配置された複数の繊維、または所定の形状に配置された撚糸もしくは不撚糸であり、当該撚糸もしくは不撚糸は、複数の繊維が共にグループ化されて形成されることを意味する。繊維のネットワークは、種々の形状を有することができる。例えば、繊維または糸は、フェルトもしくは他の不織布として形成されても、ネットワークに編まれるかもしくは織られても、あるいは任意の従来技術によりネットワークに形成されてもよい。
特に好ましいネットワーク形状としては、繊維のネットワークは、繊維の単一方向性配列、すなわち、繊維が、繊維軸方向に沿って互いに実質的に平行となるよう単一方向性に整列された形状である。
本発明の防弾性物品における繊維のネットワークを形成するのに有用な繊維は、ASTM D 7269−07に従って少なくとも800mN/tex(1100MPa)の強度を有する。このような繊維としては、アラミド繊維が好ましい。本発明において「アラミド繊維」という用語は、繊維形成ポリマーとして芳香族ポリアミドを用いて製造される繊維を意味する。前記繊維形成ポリマー中、アミド(−CO−NH−)結合の少なくとも85%は、2個の芳香環上に直接結合している。特に好ましい芳香族ポリアミドは、p−アラミドである。p−アラミドの中では、ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)が最も好ましい。ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)は、p−フェニレンジアミンおよびテレフタル酸ジクロリドの等モル重合から得られる。例えば、ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)から作られるマルチフィラメント糸からなる繊維は、Teijin Aramid(NL)から商品名Twaron(登録商標)として得ることができる。
本発明の防弾性物品において繊維のネットワークを形成するのに有用なさらなるアラミド繊維は、繊維形成ポリマーとして芳香族共重合体を用いて形成されるものである。前記芳香族共重合体においては、p−フェニレンジアミンおよび/またはテレフタル酸ジクロリドは、他の芳香族ジアミンおよび/またはジカルボン酸クロリドにより部分的にまたは完全に置換されている。
本発明において「マトリクス材料」という用語は、特に、一枚の繊維層中の繊維を互いに結合し、それによって当該繊維層を安定化させる材料を意味する。
本発明の防弾性物品のマトリクス材料は、少なくとも1種の自己架橋アクリル樹脂および/または少なくとも1種の架橋性アクリル樹脂と、少なくとも1種の粘着付与剤と、を含む混合物を含む。
さらに、混合物は少なくとも1種の自己架橋アクリル樹脂、少なくとも1種の架橋性アクリル樹脂、または少なくとも1種の粘着付与剤の製造業者により使用される、配合助剤を含んでもよい。例えば、少なくとも1種の自己架橋アクリル樹脂、少なくとも1種の架橋性アクリル樹脂、または少なくとも1種の粘着付与剤は、1種類または複数の界面活性剤を含んでもよい。さらに、少なくとも1種の自己架橋アクリル樹脂、少なくとも1種の架橋性アクリル樹脂、または少なくとも1種の粘着付与剤は、少量の湿潤剤、消泡剤、抗酸化剤、UV安定剤、またはフリーラジカル捕捉剤を含んでもよい。
本発明において「少なくとも1種の自己架橋アクリル樹脂」という用語は、高温で架橋する自己反応部位をアクリルポリマー鎖中に有する、少なくとも1種のポリアクリレートを意味する。したがって自己架橋アクリル樹脂は、隣接ポリマー鎖の自己反応基が互いに反応し、隣接ポリマー鎖を化学結合して架橋ポリマーを形成する。架橋反応を加速させるために、酸または潜在的酸触媒を添加してもよい。
本発明において「少なくとも1種の架橋性樹脂」という用語は、自己反応基を示さず、このため、任意選択により所望の架橋反応を達成するためには窒素を含む熱硬化性樹脂などの外部架橋剤の添加を必要とする、少なくとも1種のアクリルポリマー、好ましくは少なくとも1種のアクリルホモポリマーを意味する。
本発明による防弾性物品は、少なくとも1種の自己架橋アクリル樹脂および/または少なくとも1種の架橋性アクリル樹脂と、少なくとも1種の粘着付与剤と、を含む混合物を含み、好ましくはこの混合物のみからなる。
そして、アクリル樹脂成分に関して、本発明の防弾性物品は、以下に記載するいくつかの実施形態を含む。
第1の実施形態では、樹脂は、1種類の自己架橋アクリル樹脂を含む。
第2の実施形態では、樹脂は、2種類、3種類、またはそれ以上の自己架橋アクリル樹脂を含む。
第3の実施形態では、樹脂は、1種類の架橋性アクリル樹脂を含む。
第4の実施形態では、樹脂は、2種類、3種類、またはそれ以上の架橋性アクリル樹脂を含む。
第5の実施形態では、樹脂は、少なくとも1種の自己架橋アクリル樹脂と少なくとも1種の架橋性アクリル樹脂との混合物である。この実施形態では、樹脂中で高い架橋密度が達成され得る。
本発明の防弾性物品のマトリクス材料を製造するために、少なくとも1種の粘着付与剤と共に用いられる、少なくとも1種の自己架橋アクリル樹脂および/または少なくとも1種の架橋性アクリル樹脂は、好ましくは−70℃から100℃の間の範囲、より好ましくは−50℃から30℃の間の範囲、最も好ましくは−30℃から20℃の間の範囲のガラス転移温度を示す。
本発明において「少なくとも1種の粘着付与剤」という用語は、防弾性物品のマトリクス材料中に存在し、前記マトリクス材料中に均一に分布しており、それによってマトリクス材料に粘着性を与える少なくとも1種の化合物を意味する。また、本発明において「前記マトリクス材料中に均一に分布している」という用語は、マトリクス材料のあらゆる体積要素において、少なくとも1種の粘着付与剤の濃度が同じであることを意味する。
本発明の防弾性物品の好ましい実施形態では、粘着付与剤は、以下からなる群から選択される。
・木の切り株(木質樹脂)、樹液(ガムロジン)または製紙工程の副産物(トール油ロジン)のいずれかに由来するロジン樹脂であって、
・ロジン酸とアルコールとの間の反応により得られるロジンエステル、
・ロジン酸原材料の水素化により得られる水素化ロジンエステル、または
・ロジン酸の二量体化から得られる二量体化ロジン樹脂
・木材または柑橘類のいずれかのテルペン供給原料に由来するテルペン樹脂、あるいは
・NP−10、NP−25およびFN−175などのいくつかの名称で、Neville Chemical Company、USから市販されている炭化水素樹脂。
からなる群から選択される。
本発明の防弾性物品の好ましい実施形態では、粘着付与剤は、マトリクス材料樹脂の重量に対して、1重量%から20重量%、より好ましくは1.5重量%から10重量%、最も好ましくは2重量%から6重量%の範囲で、マトリクス材料中に存在する。粘着付与剤の前記重量パーセントが1重量%未満である場合には、本発明の防弾性物品を製造する際に、単一繊維層の取り扱いがより複雑となり得る。例えば、繊維層が単一方向性配列の繊維を含む場合、前記配列が単一層中で不安定となる。粘着付与剤の前記重量百分率が20重量%より高い場合には、防弾性物品はあまりに硬くなり、自己架橋および/または架橋性アクリル樹脂の有利な特性が失われる。
本発明の防弾性物品のマトリクス材料を製造するために使用される、少なくとも1種の自己架橋アクリル樹脂および/または少なくとも1種の架橋性アクリル樹脂と、少なくとも1種の粘着付与剤との混合物は、乳濁液の形態で、または例えば、ラテックス分散液などの分散液の形態で適用することができる。乳濁液または分散液の媒体は有機媒体であってもよく、または好ましくは水性媒体である。
少なくとも1種の自己架橋アクリル樹脂および/または少なくとも1種の架橋性アクリル樹脂と、少なくとも1種の粘着付与剤との混合物を乳濁液の形態で使用する場合には、この乳濁液は、乳化剤としての陰イオン性、陽イオン性、非イオン性、脂肪酸、またはロジン酸セッケンから選択される乳化剤を用いて調製されたものであってもよい。
前記混合物を調製する場合、好ましくは以下の混合順序を実行する。
工程1:例えば、乳濁液として、自己架橋または架橋性アクリル樹脂を用意する。
工程2:任意選択により、別の自己架橋または架橋性アクリル樹脂を、例えば乳濁液として、工程1の自己架橋または架橋性アクリル樹脂とブレンドする。
工程3:例えば、水媒性分散液または乳濁液として、少なくとも1種の粘着付与剤を、攪拌しながらアクリル樹脂に添加する。
工程4:任意選択により、少なくとも1種の架橋剤を[アクリル樹脂/粘着付与剤]混合物に添加する。
少なくとも1種の架橋性アクリル樹脂を水媒性分散液の形態で適用する場合には、例えば、Cytec(Woodland Park、NJ、USA)から市販されている架橋剤Cymel(登録商標)385を用いることができる。
さらに、少なくとも1種の自己架橋アクリル樹脂および/または少なくとも1種の架橋性アクリル樹脂と少なくとも1種の粘着付与剤の乳濁液あるいは分散液は、少量の湿潤剤、消泡剤、抗酸化剤、UV安定剤、およびフリーラジカル捕捉剤を含んでもよい。
本発明の防弾性物品のさらに好ましい実施形態では、マトリクス材料は、少なくとも1種の粘着付与剤に加えて、第1のガラス転移温度Tg(第1sc)を有する第1の自己架橋アクリル樹脂と第2のガラス転移温度Tg(第2sc)を有する第2の自己架橋アクリル樹脂とを含むことができ、ここではTg(第1sc)>Tg(第2sc)である。この場合、Tg(第1sc)は、好ましくは−20℃から40℃の範囲、より好ましくは−10℃から30℃の範囲、最も好ましくは0℃から20℃の範囲にあり、Tg(第2sc)は、好ましくは−50℃から−10℃の範囲、より好ましくは−40℃から−10℃の範囲、最も好ましくは−30℃から−20℃の範囲にある。
本発明の防弾性物品の特に好ましい実施形態では、第1の自己架橋アクリル樹脂は、Tg(第1sc)>0を有し、第2の自己架橋アクリル樹脂は、Tg(第2sc)<0を有する。
本発明の防弾性物品のさらに特に好ましい実施形態では、第1の自己架橋アクリル樹脂は、Tg(第1sc)<0を有し、第2の自己架橋アクリル樹脂は、Tg(第2sc)<0を有する。
本発明の防弾性物品のさらに特に好ましい実施形態では、第1の自己架橋アクリル樹脂は、Tg(第1sc)>0を有し、第2の自己架橋アクリル樹脂、または架橋性アクリル樹脂は、Tg(第2sc)>0を有する。
本発明の防弾性物品のさらに特に好ましい実施形態では、第1の自己架橋アクリル樹脂は、Tg(第1sc)<0を有し、第2の自己架橋アクリル樹脂、または架橋性アクリル樹脂は、Tg(第2sc)<0を有する。
本発明の防弾性物品のさらなる実施形態では、マトリクス材料は、第1のガラス転移温度Tg(第1cl)を有する第1の架橋性アクリル樹脂と、第2のガラス転移温度Tg(第2cl)を有する第2の架橋性アクリル樹脂とを含むことができ、ここではTg(第1cl)>Tg(第2cl)である。この場合、Tg(第1cl)は、好ましくは−20℃から40℃の範囲、より好ましくは−10℃から30℃の範囲、最も好ましくは0℃から20℃の範囲にあり、Tg(第2cl)は、好ましくは−50℃から−10℃の範囲、より好ましくは−40℃から−10℃の範囲、最も好ましくは−30℃から−20℃の範囲にある。
本発明の防弾性物品の特に好ましい実施形態では、第1の架橋性アクリル樹脂は、Tg(第1cl)>0を有し、第2の架橋性アクリル樹脂は、Tg(第2cl)<0を有する。
本発明の防弾性物品のさらに特に好ましい実施形態では、第1の架橋性アクリル樹脂は、Tg(第1cl)<0を有し、第2の架橋性アクリル樹脂は、Tg(第2cl)<0を有する。
本発明の防弾性物品のさらに特に好ましい実施形態では、第1の架橋性アクリル樹脂は、Tg(第1cl)>0を有し、第2の架橋性アクリル樹脂は、Tg(第2cl)>0を有する。
自己架橋アクリル樹脂および架橋性アクリル樹脂は、例えば、Rohm and Haas、Midland、MI、(USA)から、商品名Rhoplex(登録商標)(USAでの商品名)およびPrimal Eco(登録商標)で市販されている。
本発明の防弾性物品では、繊維が重量wfであり、マトリクス材料が重量wmを有する場合に、(wf+wm)に対するマトリクス材料の重量パーセントは、好ましくは5重量%から50重量%、より好ましくは10重量%から30重量%、最も好ましくは12重量%から20重量%である。
本発明の防弾性物品のさらに好ましい実施形態では、単一繊維層における繊維の面密度は、10g/m2から250g/m2、より好ましくは60g/m2から200g/m2、最も好ましくは100g/m2から160g/m2の範囲である。
本発明による防弾性物品のさらに好ましい実施形態では、単一繊維層の合計面密度は、11g/m2から350g/m2、より好ましくは60g/m2から280g/m2、最も好ましくは111g/m2から230g/m2の範囲である。
本発明の防弾性物品のさらに好ましい実施形態では、複数の繊維層をパネルに成形し、パネルを金属またはセラミックのプレートに接合して、前記の有利な特性を示す硬質防弾性物品を得る。しかしながら、金属またはセラミックのプレートに接合していない、複数の繊維層から形成されたパネルを弾丸攻撃に供した場合でも、本発明による防弾性物品の有利な特性が見られる。前記パネルでは、層間剥離による膨れが全くないかもしくは非常に軽い膨れしか起こらないという、高レベルの構造的完全性が観察できる。
本発明の防弾性物品のさらに好ましい実施形態では、熱可塑性材料を含み、好ましくは熱可塑性材料からなるスクリムを繊維層間に配置する。
第1の好ましい代替形態では、スクリムはメッシュであり、スクリムの総面積に対するメッシュ目開の面積のパーセントは、40%から98%の範囲、より好ましくは65から90%の範囲、最も好ましくは75から85%の範囲にある。好ましくは、スクリムを構成する熱可塑性ポリマーは、ポリオレフィン、コポリアミド、またはポリウレタンである。スクリムの面密度は、好ましくは1g/m2から20g/m2の範囲、より好ましくは1g/m2から10g/m2の範囲、最も好ましくは2g/m2から6g/m2の範囲である。
第2の好ましい代替形態では、スクリムは、好ましくは、熱可塑性ポリマー、例えば、ポリオレフィン、コポリアミド、またはポリウレタンである熱可塑性材料からなるフリースである。
繊維層間にスクリムを含む本発明の防弾性物品の好ましい実施形態では、少なくとも1種の粘着付与剤の量を、例えば、隣接繊維層間の接着力がスクリムを含まない場合と同じになる程度まで減らすことができる。
本発明の防弾性物品のさらに好ましい実施形態では、マトリクス材料は、少なくとも1種の自己架橋アクリル樹脂および/または少なくとも1種の架橋性アクリル樹脂ならびに少なくとも1種の粘着付与剤に加えて、少なくとも1種の粘着付与剤を含んでいてもよい少なくとも1種のカルボキシル化および/または非カルボキシル化スチレン−ブタジエンランダム共重合体樹脂を含んでもよい。
本発明の防弾性物品を製造する方法を、好ましい実施形態について説明するが、ここでは複数の繊維層を構成する各繊維層は、単一方向に配列した繊維のネットワークからなる。この場合、本方法は、少なくとも、以下に記載する工程(1)〜(3)を含む。当業者であれば、本記載を用いて、本発明の防弾性物品を製造する方法を、単一方向性配列以外の繊維のネットワーク、例えば、フェルトもしくは他の不織布、および編まれたかもしくは織られた布を含む方法に転換することができる。
(1)単一の一方向性繊維層の製造:
ASTM D 7269−07にしたがって少なくとも800mN/tex(1100MPa)の強度を有する糸を、共通の繊維方向に沿って互いに実質的に平行となるよう単一方向に整列させる。次いで、少なくとも1種の自己架橋アクリル樹脂および/または少なくとも1種の架橋性アクリル樹脂と、少なくとも1種の粘着付与剤と、を含む混合物を含む、好ましくはこの混合物のみからなるマトリクス材料でコーティングし、単一繊維層内にて繊維を互いに結合し、それによって単層の単一方向性層を安定化する。単層の単一方向性繊維層を製造する好ましい実施形態では、マトリクス材料でコーティングする前、または間、または後に、糸を広げることができる。コーティングは、例えば、リバースロールコーティング、浸漬、噴霧、または単一方向性繊維層を安定化する、すなわち、マトリクス材料を介して繊維を単一方向性繊維層となるよう接着させることができる他の任意の技術により達成することができる。マトリクスコーティングは、繊維を完全でなく部分的にカプセル化する形態であってもよく、単一方向性繊維層の横断面にわたって均一である必要はない。例えば、マトリクス濃度は、単一方向性繊維層の上部および底部のほうが、単一方向性層の中心部に向かう場所よりも高くてもよい。単一方向性繊維層の底部に比べて単一方向性繊維層の上部により多くのマトリクス材料が存在してもよく、逆であってもよい。単一方向性繊維層を調製した後に、例えば、自己架橋アクリル樹脂の隣接ポリマー鎖における反応部位間の架橋を誘導するために、および/または架橋性アクリル樹脂中に存在する架橋剤により隣接ポリマー鎖をさらに接合するために、例えば温度を増加させて、自己架橋アクリル樹脂および/または架橋性アクリル樹脂の架橋反応を行う。しかしながら、本工程(1)では架橋反応を行わず、以下の工程(2)または(3)の一方または両方で、架橋反応を行うことも可能である。
(2)少なくとも2つの単一方向性繊維層による接着性クロスプライの製造:
工程(1)で得られた2つの単一方向性繊維層を、0°から90°の範囲のクロスプライ角度でクロスプライするが、90℃とすることが好ましい。次いで、クロスプライした2つの単一方向性繊維層を、例えば、積層、圧縮、または2つの単一方向性繊維層間に接着を生じさせて接着性二層クロスプライを得ることができる他の任意の手順により、互いに接着する。この目的のために、50℃から225℃の温度範囲、0.5から10バールの圧力範囲、および5秒から200秒の時間範囲を、例えば、適用するマトリクス材料の粘着性および選択する粘着付与剤に応じて適用することができる。また、3以上の単一方向性繊維層を接着性クロスプライに製造することができる。例えば、4の単一方向性繊維層を互いに接着することができ、得られる接着性クロスプライは、例えば、(0°/90°/0°/90°)または(0°/90°/90°/0°)または(90°/0°/0°/90°)または(0°/0°/90°/90°)となるクロスプライ角度の配列を示し得る。
接着性クロスプライの製造において、架橋反応を、工程(1)に記載のように行うことができる。なお、本発明において「クロスプライ中」という用語は、クロスプライ手順の任意の適当な段階、例えば、積層手順中または圧縮手順中を意味する。
(3)圧密化パネルおよび硬質防弾性物品の製造:
想定される弾丸攻撃に十分な防御力を有する、工程(2)で得られた複数の、例えば二層の、接着性のクロスプライを積層して得られた積層体を、例えば、圧密化パネルをもたらす圧力によって、パネルに圧密化する。圧密化は、例えば、等方加圧で、60℃から300℃の間、より好ましくは120℃から170℃の間の温度で、例えば、25バールから500バール、好ましくは25バールから100バールの値に維持された圧力で、例えば、15分から100分の間の時間、圧縮することにより行うことができる。架橋反応を工程(1)に記載のように行う場合には、架橋反応が所望の程度起こるように、温度、圧力、および時間を選択すべきである。必要に応じて、圧縮中のパネルを、加圧下で、約50℃に冷却する。得られた圧密化パネルは、弾丸攻撃が想定される側と内側とを有する。圧密化は、同じかまたは異なる接着性クロスプライを用いて行うことができる。異なる接着性クロスプライを用いる場合には、弾丸攻撃が想定される側により近い接着性クロスプライは、弾丸攻撃が想定される側から遠い接着性クロスプライとは異なる機械的特性、例えば、異なるTgを有する樹脂を含むことができる。後者の実施形態では、より硬く、より大きな剛性を有する接着性クロスプライ、すなわち、より高いTgを有する自己架橋アクリル樹脂および/または架橋性アクリル樹脂を含む接着性クロスプライを、弾丸攻撃が想定される側に向けて配置することができる一方で、硬くなく、可撓性の大きい接着性クロスプライ、すなわち、より低いTgを有する自己架橋アクリル樹脂および/または架橋性アクリル樹脂を含む接着性クロスプライを、弾丸攻撃が想定される側から遠くに、例えば、圧密化パネルの内側に配置することができる。
(4)いずれにしても、得られた圧密化パネルを防弾性物品などとして使用することができ、または任意のプロセス工程(4)で、金属もしくはセラミックのプレートに接合して硬質防弾性物品を得ることができる。
上記架橋反応は、本発明の方法における工程(1)でのみ、または工程(2)でのみ、または工程(3)でのみ行うことができる。しかしながら、本発明による方法のさらなる実施形態では、架橋反応は、本発明の方法における工程(1)および工程(2)で行うことができる。この実施形態では、自己架橋アクリル樹脂および/または架橋性アクリル樹脂の部分的架橋を工程(1)で行い、工程(2)で架橋が完結する。
本発明の方法のさらなる実施形態では、架橋反応は、本発明の方法における工程(1)、工程(2)、および工程(3)の各々で行うことができる。この実施形態では、自己架橋アクリル樹脂および/または架橋性アクリル樹脂の部分的架橋を工程(1)で行うことができ、工程(2)で部分的架橋の程度をさらに増加させることができ、工程(3)で架橋が完結する。
本発明を以下の実施例および比較例でより詳細に説明する。
<比較例1>
a)単層の単一方向性繊維層(1L−UD)の製造
ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)マルチフィラメント糸(Twaron(登録商標)1000型;3360dtex f2000;製造業者:Teijin Aramid、NL)をクリールから取り出し、リードを通過させて互いに実質的に平行に整列させた。実質的に平行な糸を、リバースロールコーターを用いて、予備希釈した自己架橋水性アクリル樹脂乳濁液(Rhoplex(登録商標)E−358;固形分=60.0重量%、pH=7.0;粘度=300cps(Brookfield、スピンドルLV−3、60rpm、25℃);Tg=+8℃;非イオン性乳化システム;製造業者:Rohm and Haas、Midland、MI、USA)でコーティングした。予備希釈した乳濁液は、水道水を用いてRhoplex(登録商標)E−358の固形分が25重量%になるように希釈することにより得た。広げてコーティングした糸を、シリコーンコーティングした剥離紙上にレイアップし、120℃の温度に設定したホットプレート上に通すことにより乾燥し、単層の単一方向性繊維層(1L−UD)を得た。
1L−UD中の樹脂濃度は、1L−UDの総重量基準で、すなわち、水分を含まない糸+マトリクスの重量、すなわち、事実上0重量%(0.5重量%よりもかなり低い含水量を意味する)の含水量まで乾燥した1L−UDの重量に対して、13±1重量%であった。1L−UDにおけるポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)マルチフィラメント糸の面密度は、110±5g/m2であった。1L−UDの平衡水分含量を含む合計面密度は、樹脂充填および平衡含水量に応じて130±10g/m2であった。
b1)2つの1L−UDからの積層クロスプライの製造
a)で得られた2つの1L−UDを、90°のクロスプライ角度でクロスプライした。クロスプライした1L−UDを、加熱ゾーンに引き続いて圧縮ゾーンを有する平坦なベルトラミネーターに積層した。加熱ゾーンでは、クロスプライした1L−UDを120℃のホットベルトに接触させて15秒間加熱し、圧縮ゾーンでは、加熱したクロスプライした1L−UDを3.5バールのカレンダーロール圧力で圧縮し、最後に、冷却したベルトと接触させることで室温に冷却し、2つの1L−UDからの積層クロスプライを得た。
b2)2つの1L−UDからの圧縮クロスプライの製造
a)で得られた2つの1L−UDを、90°のクロスプライ角度でクロスプライし、プレス機に入れ、
・120℃、10バールで20分間(結果は表2、実施例1’−1参照)、ならびに
・170℃、10バールで20分間(結果は表2、実施例1’−2参照)
で圧縮した。
上記実施形態の両方において、プレス機が50℃に冷めるまで、2つの1L−UDは圧力下でプレス機中に留置した。次いで、プレス機を開き、2つの1L−UDからの圧縮クロスプライを得た。
c)b1)およびb2)によるクロスプライにおける1L−UD間の接着力
b1)およびb2)で得られた積層または圧縮クロスプライにおける1L−UD間の接着力を、それぞれのクロスプライ手順により得られた直後に測定し、接着力(0)とした。
b1)およびb2)で得られた積層または圧縮クロスプライの一部を、最初に65℃および80%相対湿度の人工気候室中で21週間保管し、次いで、人工気候室から取り出し、20℃および65%相対湿度で24時間の条件で保管し、最後に、クロスプライにおける1L−UD間の接着力を測定して接着(21)とした。
b1)およびb2)で得られた積層または圧縮クロスプライにおける1L−UD間の接着力を測定するために、試料を両プライ中の糸に対して45°の方向でそれぞれのクロスプライから切断した。プライ中の個々の糸が同時に2つのクランプにより固定されるのを防ぐために45°方向を選択した。このように、2つのUD層間の界面のせん断応力およびプライ中のせん断応力のみを測定し、糸の機械的特性は測定しなかった。50×200mmの寸法を有する試料を、平らなクランプおよび10kN荷重計を備えるInstron引張試験機に入れた。100mmのクランプ距離(ゲージ長)を適用し、応力−ひずみ曲線を測定した。この曲線から、最大測定荷重(N/m)を、それぞれのクロスプライにおける1L−UD間の接着力の大きさとみなした。
d)水浸漬後の吸水
b1)で得られた積層クロスプライの吸水を、クロスプライ手順により得られた直後に測定した。
吸水率を測定するために、b1)で得られた積層クロスプライを最初に秤量して重量w1を得て、次いで、室温で24時間、0.3重量%塩化ナトリウム水溶液に浸漬し、引き続いて、周囲温度および相対湿度下で15分ドリップドライ、すなわち、クロスプライを前記条件下で15分間つるした。次いで、ドリップドライしたクロスプライを秤量して重量w2を得て、式(1)にしたがって吸水率を計算した。
[式1]
吸水率=([w2−w1]/w1)・100(%) (1)
e)ガソリン浸漬試験
b1)で得られた積層クロスプライのガソリン浸漬試験を、クロスプライ手順により得られた直後に測定した。
ガソリン浸漬試験を行うために、b1)で得られた積層クロスプライをディーゼル燃料に4時間浸漬し、引き続いて、周囲温下で15分ドリップドライ、すなわち、クロスプライを前記条件下で15分間つるした。合格/不合格評価のために、以下の基準を適用した。試験に合格するためには、b1)で得られた積層クロスプライは、ガソリン浸漬に供した後に、以下を満足しなければならない。
・75%超の接着力保持、すなわち、接着力(0)の75%超、及び
・屈曲時に接着力のさらなる損失がないこと
<比較例2>
比較例2は、アクリル樹脂のあらゆる製造業者から市販されている標準的アクリル樹脂をマトリクス材料に適用したという違いを除いて、比較例1と同様に行った。標準的アクリル樹脂、すなわち、自己架橋しておらず、架橋剤も含まないアクリルポリマーを分散液として適用した(固形分=49〜51%、粘度=800cps(Brookfield、スピンドルLV−2、20rpm、23℃);Tg=5℃)。
人工気候室中で21週間後の1L−UD間の接着の結果(接着力(21))を、積層クロスプライについては表1に、圧縮クロスプライについては表2に示す。
Figure 2014509377
Figure 2014509377
表1の比較例1と比較例2とを比較すると、65℃および80%相対湿度で21週間劣化させた後で、Rhoplex(登録商標)E−358型の自己架橋アクリル樹脂を含むクロスプライにおける積層された1L−UD間の接着力は、1530N/mであり、すなわち、比較となる標準アクリル樹脂を含むクロスプライにおける積層された1L−UD間の接着力よりも、31%高いことが判る。
表2の比較例1’−1と比較例2’−1を比較すると、65℃および80%相対湿度で21週間劣化させた後で、Rhoplex(登録商標)E−358型の自己架橋アクリル樹脂を含むクロスプライにおける圧縮された1L−UD間の接着力は、37600N/mであり、すなわち、比較となる標準アクリル樹脂を含むクロスプライにおける圧縮された1L−UD間の接着力よりも28%高いことが分かる。比較例1’−2のクロスプライにおいては、Rhoplex(登録商標)E−358型の自己架橋アクリル樹脂を含むクロスプライにおける圧縮1L−UD間の接着力が、実質的に同じであることが判る。
さらに、Rhoplex(登録商標)E−358を含む積層クロスプライの吸水率は、18.6%であった一方で、比較の標準アクリル樹脂を含む積層クロスプライの吸水率は、22.7%であった。
さらに、Rhoplex(登録商標)E−358を含む積層クロスプライは、ガソリン浸漬試験に合格した一方で、比較の標準アクリル樹脂を含む積層クロスプライは、前記試験には不合格であった。
<比較例3>
a)8kg/m 2 圧縮パネルの製造
単層の単一方向性繊維層(1L−UD)を比較例1a)に記載のように製造した。すなわち、Rhoplex(登録商標)E−358を自己架橋アクリル樹脂として用いたことを意味する。1L−UDから積層クロスプライを、比較例1b1)に記載のように製造、すなわち、これらを120℃および3.5バールで15秒間積層した。8kg/m2の面密度を有するパネルが得られるまでクロスプライを積層した。積層したパネルをプレス機に入れ、170℃および50バールで20分間圧縮した。プレス機が50℃に冷却されるまで、パネルを加圧下でプレス機中に留置した。次いで、プレス機を開き、圧縮パネルを得た。このようにして、6枚の圧縮パネルを製造した。
前記圧縮パネルのうちの3枚を、直接、すなわち、未劣化状態で、以下のb)部に記載する方法にて3個の硬質防弾性物品に加工した。前記圧縮パネルの他の3枚は最初に劣化させ、すなわち、65℃および80%の相対湿度の人工気候室中にて3箇月間保管し、次いで、以下のb)部に記載する方法にて3個の硬質防弾性物品に加工した。
b)硬質防弾性物品の製造
a)で得られた圧縮パネルの各々を、ThyssenKrupp Steel、DEから市販されている4mm厚さのSecure 500鋼フロントストライクプレート(500×500mm)に接合した。鋼プレートの面密度は32kg/m2であった。接合操作のために、パネルの接合側をプライマーとしてのSika(登録商標)209でコーティングし、次いで、鋼プレートおよびパネルの接合側の両方をSIKA Deutschland GmbH、DEから市販されているSikaflex(登録商標)228でコーティングした。
c)硬質防弾性物品のv 50 測定および層間剥離挙動
b)で得られた硬質防弾性物品を、v50、すなわち、弾丸の50%が停止した速度(m/s)を測定することにより、その対防弾性能を評価した。使用する弾丸は、NIJ脅威レベル3の7.62×51mmソフトコア(NATO M80弾)0°傾斜度とした。v50の評価は、例えば、MIL STD 662Fに記載されている。
さらに、鋼プレートの後ろの圧縮パネル中の1L−UDの層間剥離挙動を、目視検査により評価した。「最小層間剥離」は、圧縮パネル中の1L−UD層の3%未満が層間剥離したことを意味する。「軽い層間剥離」は、圧縮パネル中の1L−UD層の5%未満が層間剥離したことを意味する。「内部層間剥離」は、圧縮パネル中の1L−UD層の30%超が層間剥離したことを意味する。「非常に強い内部層間剥離」は、圧縮パネル中の1L−UD層の70%超層間剥離したことを意味する。
内部層間剥離およびさらに非常に強い内部層間剥離の両者は、対防弾性物品の多衝撃能力に劇的に悪影響を与える。
<実施例1>
実施例1は、90重量%のRhoplex E−358と10重量%のAquatac(登録商標)6025との混合物を使用してマトリクス材料を形成したという違いを除いて、比較例3と同様に行った。Aquatac(登録商標)6025は、約58重量%の粘着付与剤としてのロジンエステル、約39重量%の水、および4重量%未満の界面活性剤を含む水性分散液である。
<比較例4>
比較例4は、標準アクリル樹脂をマトリクス材料に適用したという違を除いて、比較例3と同様に行った。比較例3、実施例1、および比較例4の結果を表3に示す。
Figure 2014509377
未劣化パネル:表3から判るように、未劣化状態では、90重量%のRhoplex(登録商標)E−358樹脂と10重量%のAquatac(登録商標)6025とを含む実施例1による本発明の硬質防弾性物品のv50値は、v50測定の実験誤差以内で、比較例3および4による比較の硬質防弾性物品と、事実上同じv50値を示す(最大誤差範囲は約±15m/sである)。しかしながら、実施例1による本発明の硬質防弾性物品の圧縮パネルにおける層間剥離はほんの僅少であり、すなわち、圧縮パネルにおける1L−UD層の3%未満しか層間剥離していなかった。反対に、比較例3による比較の硬質防弾性物品の圧縮パネルでは、軽度の層間剥離が観察され、具体的には、圧縮パネルにおける1L−UD層の5%未満が層間剥離していた。また、比較例4の圧縮パネルでは、内部層間剥離さえ観察され、すなわち、圧縮パネルにおける1L−UD層の30%超が層間剥離していた。
劣化したパネル:表3は、劣化状態では、90重量%の自己架橋Rhoplex(登録商標)E−358アクリル樹脂と10重量%のAquatac(登録商標)6025とを含む実施例1による本発明の硬質防弾性物品のv50値は、比較例3および4による比較の硬質防弾性物品のv50値と、事実上同一であることを示している。しかしながら、本発明の硬質防弾性物品の劣化した圧縮パネルにおける層間剥離はほんの僅少であり、すなわち、圧縮パネルにおける1L−UD層の3%未満しか層間剥離していなかった。反対に、比較例3による劣化した圧縮パネルでは、軽度の層間剥離が観察され、すなわち、圧縮パネルにおける1L−UD層の5%未満が層間剥離していた。また、比較例4の劣化した圧縮パネルでは、内部層間剥離さえ観察され、すなわち、圧縮パネルにおける1L−UD層の30%超が層間剥離していた。
<比較例4a>
各々が8kg/m2の面密度を示す4つの圧縮パネルを、比較例3のように、すなわち、Rhoplex E−358を含み、粘着付与剤を有させずに製造した。前記パネルを劣化させ、すなわち、65℃および80%の相対湿度の人工気候室中で、3箇月間保管した。
劣化したパネルを、Etec Gesellschaft fur Technische Keramik GmbH、DEから得ることができる7mm厚さのALOTEC(登録商標)96 SBセラミックフロントプレート(500×500mm)に接合し、4つの硬質防弾性物品を製造した。セラミックプレートの面密度は26.3kg/m2であった。接合操作のために、セラミックプレートおよびパネルの接合側の両方をプライマーとしてのSika(登録商標)209でコーティングし、次いで、Biresin(登録商標)U−1305で両方をコーティングした。Sika(登録商標)209およびBiresin(登録商標)U−1305の両方とも、SIKA Deutschland GmbH、DEから市販されている。
得られた4個の硬質防弾性物品について、比較例3c)に記載のようにv50を測定して耐防弾性能を評価したところ、v50=929m/sであり、内部層間剥離、すなわち、セラミックプレートの裏側の1L−UD層において30%超の層間剥離が生じていた。
<実施例2>
実施例2は、90重量%のRhoplex(登録商標)E−358と10重量%のAquatac(登録商標)6025との混合物をマトリクス材料に使用して製造したという違いを除いて、比較例4aと同様に行い、4個の圧縮パネルを得た。
得られた4個の硬質防弾性物品について、比較例3c)に記載のようにv50を測定して耐防弾性能を評価したところ、v50=810m/sであるが、最小層間剥離、すなわち、セラミックプレートの裏側の1L−UD層においては3%未満しか層間剥離していなかった。
<実施例3>
a)単層の単一方向性繊維層(1L−UD)の製造
ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)マルチフィラメント糸(Twaron(登録商標)1000型;3360dtex f2000;製造業者:Teijin Aramid、NL)をクリールから取り出し、リードを通過させて互いに実質的に平行に整列させた。実質的に平行な糸を、樹脂乳濁液を含む槽に浸漬した。樹脂乳濁液は、90重量%のRhoplex(登録商標)E−358と10重量%の粘着付与剤Aquatac(登録商標)6025(後者の製造業者:Arizona Chemicals、USA)との混合物から成っていた。乳濁液でコーティングした広げた糸を、シリコーンコーティングした剥離ライナー上にレイアップし、120℃の温度に設定したオーブンを用いて2から4分間乾燥し、単層の単一方向性繊維層(1L−UD)を得た。
1L−UDにおける樹脂濃度は、1L−UDの総重量基準で、すなわち、糸+マトリクスの重量に対して15.5から19重量%の範囲にあった。1L−UDにおけるポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)マルチフィラメント糸の面密度は、110±5g/m2であった。1L−UDの合計面密度は、121から137g/m2の範囲にあった。
b)2つの1L−UDからの積層クロスプライの製造
a)で得られた2つの1L−UDを、90°±5°のクロスプライ角度でクロスプライした。クロスプライした1L−UDを、多重工程プロセスを用いてクロスプライ装置に積層した。第1の工程で、クロスプライした1L−UDを、いかなる圧力も印加することなく、92.5℃のホットプレートに近接接触させて5から15秒間加熱した。次いで、約1.1バールの圧力を5から25秒間印加し、最後に外気により室温に冷却して2枚の1L−UDから積層クロスプライを得た。
c)19.5kg/m 2 圧縮パネルの製造
19.5kg/m2の面密度を有する381×381mmの寸法のパネルが得られるまで、b)で得られた積層クロスプライを積層した。積層したパネルをプレス機中に移し、30バールの圧力下135℃の温度で30分間圧縮した。プレス機が30℃に冷却されるまで、パネルを加圧下でプレス機中に留置した。次いで、プレス機を開いて、圧縮パネルを得た。
d)硬質防弾性物品のv 50 測定および層間剥離挙動
c)で得られた圧縮パネルについて、2.851gの重さの30calのFSP脅威(MIL−P−46593A当たりとして)を用いてv50を測定し、耐防弾性能を評価した。さらに、圧縮パネルの層間剥離挙動を、目視検査により評価した。結果を表4に示す。
<比較例4b>
比較例4bは、マトリクス材料として100重量%のRhoplex(登録商標)E−358を用いて、すなわち、粘着付与剤を加えていないことを除いて、実施例3と同様に行った。結果を表4に示す。
Figure 2014509377
表4は、90重量%のRhoplex(登録商標)E−358と10重量%の粘着付与剤Aquatac(登録商標)6025とを含むパネルのv50値は、775±25m/sであること、ならびにパネルの構造的完全性が比較例4bのものより有意に高いこと、すなわち、実施例3のパネルはいかなる層間剥離も示さず、非常に軽度の膨れもしくは膨れなしを単に示した一方で、比較例4bのパネルはv50測定の誤差範囲内で同程度のv50値であるものの、軽度の膨れが発生したことを示している。
<比較例5>
a)2層複合体の製造
以下の構造を有する布を用いた。
・平織、1×1、
・ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)マルチフィラメント糸(Twaron(登録商標)2040 1100dtex)、
・31×31(経糸および緯糸の両方において1インチ当たり31本の糸)
・289g/m2の面密度
前記布から1インチ×8インチ(2.54cm×20.32cm)の布片を切断した。得られた布片を紙の上に置き、布片の幅の上部分の0.25〜0.5インチ縁をテープで固定した。
自己架橋水性アクリル樹脂乳濁液2〜3ml(Rhoplex(登録商標)E−358、固形分=60.0重量%、pH=7、粘度=300cps(Brookfied、スピンドルLV−3、60rpm、25℃)、Tg=+8℃、非イオン性乳化システム、製造業者:Rohm and Haas、Midland、MI、USA)を、テープを除いてゆっくり塗布した。次いで、14Meyerロッドを用いて乳濁液を落とし、薄いコーティングを布に施した。次いで、別のRhoplex(登録商標)E−358 2〜3mlを、テープを除いてゆっくり塗布し、14Meyerロッドを用いて落とし、コーティングした布片を得た。このようにして、2枚のコーティングした布片を調製した。
得られた2枚のコーティングした布片を、コーティングした側を互いに向かい合わせて置き、131℃の温度、4.9バールの圧力で1分間加熱圧密化し、室温に冷却して、649g/m2の面密度を有する2層複合体を得た。樹脂の重量パーセントは、12重量%であった。前記加熱圧密化中に、Rhoplex(登録商標)E−358は布帛中に拡散し、その結果、Rhoplex(登録商標)E−358樹脂によって、繊維が単一布帛にて結合された。
上記様式で、6個の2層複合体を製造した。
前記複合体のうちの3個を、常圧下、空気中、室温(20℃)で保管した。
b)加速劣化
得られた複合体のうちの3個を、70℃、300psi(20.7バール)、99.7%酸素中、5日間または10日間、ASTM D572−04による加速した化学および熱劣化に供した。
c)2層複合体中の布帛間の接着
未劣化状態および劣化状態の2層複合体中の布帛間の接着力をそれぞれ、ASTM 1876−00により測定し、標準偏差と共にそれぞれの3個の複合体の算術平均として重量グラム(1重量グラム=9.807mN)を求めた。
接着力を測定するために、長さ方向に沿った積層体の1/2インチ部分を分離した。いったん2つの層を分離した後、1つの層材料が各クランプ間にあるように試験標本を試験装置のクランプに配置した。積層体をクランプ面に集中させた。次に、6インチの伸長まで10インチ/分の一定ヘッド速度の剥離荷重を印加した。接着力値は、5個のピーク値および5個のトラフ値に基づく平均値とした。
それぞれ649g/m2の面密度を有する2層複合体は、表5に示す接着力の測定結果を示した。
<実施例4>
実施例4は、工程a)で90重量%のRhoplex(登録商標)E−358と10重量%のAquatac(登録商標)6025との混合物を用いたという違いを除いて、比較例5と同様に行った。Aquatac(登録商標)6025は、約58重量%のロジンエステル、約39重量%の水、および4重量%未満の界面活性剤を含む水性分散液である。得られた2層複合体は、649g/m2の面密度を有し、マトリクス材料の重量パーセントは、12重量%であった。
接着結果を表5に示す。
<実施例5>
実施例5は、工程a)で80重量%のRhoplex(登録商標)E−358と20重量%のAquatac(登録商標)6025との混合物を用いたという違いを除いて、実施例4と同様に行った。得られた2層複合体は、649g/m2の面密度を有し、マトリクス材料の重量パーセントは、12重量%であった。
接着力の測定結果を表5に示す。
表5に示す結果は以下のように要約することができる。
比較例5と実施例4および5との比較により、常圧下の空気中20℃で5日後の2層複合体の布帛間の接着力は、10重量%の自己架橋アクリル樹脂Rhoplex(登録商標)E−358を、10重量%の粘着付与剤Aquatac(登録商標)6025で置換することにより増加することが判る。この接着力の増加は、常圧下の空気中20℃で5日保管した複合体、および20.7バールで99.7%O2中にて5日保管した複合体の両方で観察される。実施例5は、20重量%までという粘着付与剤含量のさらなる増加は、2層複合体における布帛間の接着力を、さらには増加させないことを示している。
Figure 2014509377

Claims (12)

  1. 複数の繊維層を含む防弾性物品であって、
    前記繊維層の各々は、繊維のネットワークとマトリクス材料とを含み、
    前記繊維は、ASTM D 7269−07に従って少なくとも800mN/tex(1100MPa)の強度を有し、
    前記マトリクス材料は、少なくとも1種の自己架橋アクリル樹脂および/または少なくとも1種の架橋性アクリル樹脂と、少なくとも1種の粘着付与剤とを含む混合物を含む、防弾性物品。
  2. 前記粘着付与剤が、ロジン樹脂、テルペン樹脂、および炭化水素樹脂からなる群から選択される、請求項1に記載の防弾性物品。
  3. 前記粘着付与剤が、前記マトリクス材料中に、前記マトリクス材料の重量に対して1重量%から20重量%存在する、請求項1または2に記載の防弾性物品。
  4. 前記繊維のネットワークが、繊維の単一方向性配列である、請求項1から3いずれか記載の防弾性物品。
  5. 前記繊維が、アラミド繊維である、請求項1から4いずれか記載の防弾性物品。
  6. 前記繊維が重量wfであり、前記マトリクス材料が重量wmである場合に、(wf+wm)に対する前記マトリクス材料の重量パーセントが、5重量%から50重量%である、請求項1から5いずれか記載の防弾性物品。
  7. 単一繊維層における前記繊維の面密度が、10g/m2から250g/m2である、請求項1から6いずれか記載の防弾性物品。
  8. 単一繊維層における合計面密度が、11g/m2から350g/m2である、請求項1から7いずれか記載の防弾性物品。
  9. 前記複数の繊維層からパネルが形成され、前記パネルが金属またはセラミックのプレートに接合されている、請求項1から8いずれか記載の防弾性物品。
  10. 熱可塑性材料を含むスクリムが、前記繊維層間に配置されている、請求項1から9いずれか記載の防弾性物品。
  11. (1)少なくとも1種の自己架橋アクリル樹脂および/または少なくとも1種の架橋性アクリル樹脂と、少なくとも1種の粘着付与剤とを含む混合物を含むマトリクス材料を含み、単一方向性繊維層を製造する工程と、
    (2)工程(1)から得られた少なくとも2枚の単一方向性繊維層から、接着性クロスプライを製造する工程と、
    (3)工程(2)から得られた複数の接着性クロスプライから圧密化パネルを製造する工程と、必要に応じて、
    (4)工程(3)から得られた前記圧密化パネルを、金属またはセラミックのプレートに接合して硬質防弾性物品を得る工程と、
    を含む、請求項1から10いずれか記載の防弾性物品を製造する方法。
  12. 前記少なくとも1種の自己架橋アクリル樹脂および/または少なくとも1種の架橋性アクリル樹脂の架橋反応が、前記工程(1)、(2)、または(3)の少なくとも1つに含まれている、請求項11に記載の方法。
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