JP2015014197A - 排気後処理装置 - Google Patents

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【課題】フィルタの強制再生域でNOxを連続的に還元浄化し得る装置を提供する。【解決手段】排気中のパティキュレートを捕集するフィルタ(21)と、フィルタ(21)の下流側にあって、排気中を流れるNOとNO2のうちNOの選択還元機能が相対的に高い第1の触媒(41)と、フィルタ(21)の強制再生域で第1の触媒(41)に支配的に流入するNOを還元する還元剤を生成する第2の触媒(51)とを備える。【選択図】図1

Description

この発明は排気後処理装置の改良に関する。
ウォールフロー型のフィルタは、流入側セルと、流出側セルと、流入側セルと流出側セルを区画する多孔質の隔壁とを有し、排気中を流れるパティキュレートを前記隔壁によって捕集する。このウォールフロー型のフィルタにNO2選択還元触媒を上記の隔壁に担持したものがある(特許文献1参照)。これによってフィルタと触媒とを別体で設けるよりも省スペース化している。
特開2011−052610号公報
ところで、フィルタの強制再生域でNOxを連続的に還元浄化したいという要求がある。ここで、フィルタの強制再生域ではフィルタ入口の排気温度が600℃になり、フィルタ内ではフィルタに堆積しているパティキュレートの燃焼によってフィルタの温度が750℃〜850へと上昇する。この場合に、フィルタに担持しているNO2選択還元触媒が銅ゼオライト触媒であるときには、この銅ゼオライト触媒の耐熱温度である650℃を超えてしまうため、上記特許文献1の技術をフィルタの強制再生域に適用することができない。
そこで本発明は、フィルタの強制再生域でNOxを連続的に還元浄化し得る装置を提供することを目的とする。
本発明の排気後処理装置はまず、排気中のパティキュレートを捕集するフィルタを備える。本発明の排気後処理装置は次に、第1の触媒と第2の触媒を備える。第1の触媒は、前記フィルタの下流側にあって、排気中を流れるNOとNO2のうちNOの選択還元機能が相対的に高い。第2の触媒は、前記フィルタの強制再生域で前記第1の触媒に支配的に流入するNOを還元する還元剤を生成する。
本発明によれば、フィルタの強制再生域で第2の触媒により還元剤が生成される。第1の触媒では、フィルタの強制再生域でこの第2の触媒により生成される還元剤を用いて、第1の触媒に支配的に流入するNOをN2へと効率よく連続的に還元浄化することができる。
本発明の第1実施形態の排気後処理装置の概略構成図である。 比較例の排気後処理装置の概略構成図である。 第1実施形態のフィルタの縦方向断面図である。 銅ゼオライト触媒及び新規な触媒のフィルタの自然再生域におけるNOの選択還元率の特性図である。 第1実施形態のフィルタの自然再生域での反応とフィルタの強制再生域での反応との違いをまとめたモデル図である。 第1実施形態のフィルタの強制再生域における新規な触媒のNOの選択還元率の特性図である。 第1実施形態及び比較例のフィルタの自然再生域、フィルタの強制再生域、フィルタの再生不可域を示す運転領域図である。 第1実施形態のフィルタ再生処理を説明するためのフローチャートである。 第2実施形態の排気後処理装置の概略構成図である。 第2実施形態のフィルタの自然再生域での反応とフィルタの強制再生域での反応との違いをまとめたモデル図である。 第2実施形態のフィルタ再生処理を説明するためのフローチャートである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態のディーゼルエンジン(以下、単に「エンジン」という。)の排気後処理装置の概略構成図、図2は第1実施形態に対する比較例のエンジンの排気後処理装置の概略構成図である。図1,図2において同一の部分には同一の符号を付している。なお、便宜上、フィルタ21の下流側の排気通路2を折り曲げて示しているが、実際にもフィルタ21の下流側の排気通路2が折り曲がっているわけではない。
図2に示す比較例の排気後処理装置と図1に示す第1実施形態の排気後処理装置との違いは次の点にある。すなわち、比較例、第1実施形態の排気後処理装置とも、排気中に含まれるNOx及びパティキューレートを無害化するため、排気通路2に排気後処理装置10を備えている。この場合に比較例の排気後処理装置では、排気後処理装置10が、酸化触媒11、パティキュレートフィルタ21、銅ゼオライト触媒31、尿素水供給装置12(尿素水供給手段)で構成される。排気通路2の上流側から酸化触媒11、フィルタ21、銅ゼオライト触媒31がこの順に配置されている。
一方、第1実施形態の排気後処理装置では、排気後処理装置10が、酸化触媒11、パティキュレートフィルタ21、水蒸気改質触媒51、新規な触媒41、尿素水供給装置12(尿素水供給手段)で構成される。排気通路2の上流側から酸化触媒11、フィルタ21、水蒸気改質触媒51、新規な触媒41がこの順に配置されている。
以下では、比較例、第1実施形態の共通部分を先に説明し、その後に両者の違いに言及する。図1,図2において、エンジン1からの排気にNOx及びパティキューレート(スス等の微粒子物質)が含まれる。ここで、NOx(窒素酸化物)は、NO(一酸化窒素)、NO2(二酸化窒素)を含めた総称である。エンジン1から排出されるNOxの組成はNOとNO2とからなり、例えば90%のNOと10%のNO2とで構成されている。これら排気中に含まれるNOx及びパティキューレートを無害化するため、排気通路2に排気後処理装置10を備えている。
フィルタ21は、公知のウォールフロー型のフィルタである。このフィルタ21を図3を参照して説明すると、図3はフィルタ21の縦方向断面図である。図3に示したように、フィルタ21では排気の流れ方向における下流側で栓26により目封じされた流入側セル22と、流入側セル22に隣接し排気の流れにおける上流側で栓26により目封じされた流出側セル23とを有している。そして、流入側セル22と流出側セル23とを、多数の細孔を有する多孔質の隔壁24で区画している。この隔壁24をエンジン1からの排気が通過するときに排気中のパティキュレートが捕集されて堆積する。
酸化触媒11は、多数の貫通孔を有するハニカム状の構造体(材質は酸化アルミニウム)に白金(酸化触媒)を担持して構成されている。酸化触媒11では、次の(1)式によりエンジン1からの排気中に支配的なNOを酸化する。
2NO+O2→2NO2 …(1)
上記(1)式の反応により、酸化触媒11出口では例えばNOが20%、NO2が80%となり、今度はNO2が支配的となる。なお、酸化触媒11には排気中を流れるHC、COを酸化する役目もある。
比較例の排気後処理装置では、酸化触媒11によって排気中にNO2が支配的となった排気がフィルタ21を通過して銅ゼオライト触媒31へと供給される。銅ゼオライト触媒31は尿素SCR触媒のうちの代表的な触媒である。
排気中を流れるNOxはNH3(アンモニア)によって還元浄化できる。このため、尿素水供給装置12からの尿素水を銅ゼオライト触媒31の上流に供給する。尿素水供給装置12は、尿素水を貯留するタンク13、尿素水供給管14、ポンプ15、噴射ノズル16から構成される。ポンプ15はエンジンコントローラ17からの信号を受けてタンク13内の尿素水を噴射ノズル16に供給する。エンジンコントローラ17では、後述するようにフィルタ21の自然再生域や強制再生域になると、信号を噴射ノズル16に送り、噴射ノズル16を開弁させる。噴射ノズル16が開弁すると、尿素水が銅ゼオライト触媒31の上流の排気通路2に噴射供給される。フィルタ21の自然再生域や強制再生域であるか否かは、エンジンの負荷と回転速度を検出するセンサ18,19からの信号に基づいて判断する。
噴射ノズル16を開いて活性化した銅ゼオライト触媒31の上流側に尿素水を供給したとき、銅ゼオラオト触媒31の表面に尿素水が付着して液状で被覆する。この状態のとき、銅ゼオラオト触媒31では尿素水に含まれるNH3(アンモニア)を用いて次の(2)式により、酸化触媒51の下流の排気中で支配的となったNO2をN2(窒素)へと還元する。
6NO2+8NH3→7N2+12H2O …(2)
銅ゼオライト触媒31は、排気中を流れるNOとNO2のうちNO2の選択還元機能が相対的に高く、NOの選択還元機能が相対的に低い触媒である。ここで、「NO2の選択還元機能」とは、排気中を流れるNOとNO2のうちからNO2のほうを選択し、この選択したNO2を還元剤を用いてN2へと還元する機能をいう。また、「NOの選択還元機能」とは、排気中を流れるNOとNO2のうちからNOのほうを選択し、この選択したNOを還元剤を用いてN2へと還元する機能をいう。
このため、酸化触媒11を銅ゼオライト触媒31の上流側に配置することによって、NO2が支配的となった排気を生成する。そして、その生成したNO2が支配的となった排気を、NO2の選択還元機能が相対的に高い触媒である銅ゼオライト触媒31に導くことによって排気中を流れるNO2をN2へと還元浄化しているわけである。
さて、比較例の排気後処理装置では、隔壁24にパティキュレートが堆積しているフィルタ21を自然再生させる領域(以下「フィルタ21の自然再生域」ともいう。)になると、銅ゼオライト触媒31によるN2の選択還元率が低下するという問題がある。ここで、「NO2の選択還元率」とは、排気中を流れるNOとNO2のうちからNO2のほうを選択し、この選択したNO2を還元剤を用いてN2へと還元する効率をいう。例えば、NO2の選択還元率が0%であるとは、排気中を流れるNO2を全くN2へと変換できないことを意味する。一方、NO2の選択還元率が100%であるとは、排気中を流れるNO2の全てをN2へと変換できることを意味する。また、フィルタ21の自然再生域とは、フィルタ21入口の排気温度が例えば300℃〜500℃の温度となる場合のことである。
上記の問題について説明すると、フィルタ21の自然再生域を除いた運転域でエンジンをリーン空燃比で運転するとき、排気中を流れるパティキュレートは燃焼することができず、フィルタ21内の隔壁26の上流側表面に堆積する。そして、フィルタ21の自然再生域、例えばエンジンの高負荷域になると、隔壁26の上流側表面、つまりフィルタ21に堆積しているパティキュレートが排気の高温化によって自着火して燃焼する。フィルタ21に堆積しているパテキュレートは次の(3)式により排気中を流れるNO2を酸化剤として用いて燃焼しCO2とNOを生成する。
C+2NO2→CO2+2NO …(3)
このとき、フィルタ21を再生させつつ銅ゼオライト触媒31でNOxを還元浄化するには、フィルタ21の自然再生域で、噴射ノズル16から尿素を銅ゼオライト触媒31の上流に噴射することである。
フィルタ21の自然再生域において噴射ノズル16から尿素を銅ゼオライト触媒31の上流に噴射すると、フィルタ21に堆積しているパティキュレートの燃焼にNO2が奪われる。このNO2を酸化剤とするフィルタ21でのパティキュレートの燃焼によって、例えば、NOが70%、NO2が30%とNOが支配的な排気になったとする。銅ゼオライト触媒31はNO2の選択還元機能が相対的に高く、NOの選択還元機能が相対的に低い触媒であるので、フィルタ21に堆積しているパティキュレートの燃焼によって支配的となったNOをN2へと十分には還元浄化できなくなる。このため、十分には還元浄化できないNOを触媒31の下流に排出してしまう。
そこで本発明の第1実施形態では、図1に示したように、銅ゼオライト触媒31に代えて、NOの選択還元機能が相対的に高く、NO2の選択還元機能が相対的に低い新規な触媒41(第1の触媒)を設ける。新規な触媒41はCe(セリウム)、Zr(ジルコニウム)、Nb(ニオブ)の酸化物からなる触媒である。Zr、Ce、Nbの酸化物の組成比は(75〜15):(15〜75):10である。ここで、(75〜15):(15〜75):10には、例えば75:15:10、74:16:10、73:17:10、72:18:10、・・・、15:75:10等を全て含めている。この新規な触媒41を、以下「Ce・Zr・Nb触媒」とも、あるいは単に「触媒」ともいう。なお、Ce・Zr・Nb触媒は、強酸性ジルコニウム化合物(Acidic Zirconium)に含まれる。
新規な触媒41は、超イオン伝導体であり、相対的に強い固体酸性を示すこと、結晶構造に酸素欠損があることによって特徴付けられる。上記の「超イオン伝導体」は超イオン導電体(Superionic Conductors)ともいわれる。「超イオン導電体」とは、見かけは固体なのに、その中をイオンが高速で移動し、溶融塩や電解質溶液と同程度のイオン伝導度を示す物質の総称である。上記の「固体酸性」とは、固体でありながら酸性を示す性質のことをいう。また、Ce・Zr・Nb触媒41には、結晶構造に酸素欠損を有している。
新規な触媒41が超イオン伝導体であったり相対的に強い固体酸性を示したりすることによって、触媒41上ではフィルタ21に堆積しているパティキュレートの燃焼によって支配的となったNOを排気中の酸素を用いてNO2へと酸化し、NO2/NO比を高める。また、結晶構造のうちの欠損した格子点に排気中の酸素を格納し、この格納した酸素でフィルタ21に堆積しているパティキュレートの燃焼によって支配的となった排気中を流れるNOを酸化してNO2を生成し、反応場でのNO2/NO比を高める。ここで、NO2/NO比とはNOに対するNO2の比のことである。すると、フィルタ21に堆積しているパティキュレートの燃焼によってNOが支配的であったものが、触媒反応場では、NO2/NO比が高まることによってNOとNO2の比が1:1に近づくことがあり得る。NOとNO2の比が1:1に近づくと、触媒41による反応場では、NO及びNO2を、噴射ノズル16から噴射された尿素水に含まれるNH3によって、次の(4)式によりN2へと還元する。
NO+NO2+2NH3→2N2+3H2O …(4)
あるいはフィルタ21に堆積しているパティキュレートの燃焼によって支配的となったNOを、噴射ノズル16から噴射された尿素水に含まれるNH3によって、次の(5)式によりN2へと還元する。
6NO+4NH3→5N2+6H2O …(5)
上記(4)式の反応は、上記(2)式や(5)式より格段に速度(反応速度)が速く、かつ(4)式によれば上記(2)式や(5)式より効率よくNO及びNO2がN2へと還元される。このように触媒41の特質であるこれら超イオン伝導体、固体酸性あるいは酸素欠損が触媒反応場でのNO2/NO比をほぼ50%へと導くことができる場合には、上記(4)式によって、パティキュレートの燃焼により支配的となったNOをN2へと還元浄化する。また、触媒反応場でのNO2/NO比が50%未満にとどまる場合には上記(5)式によって、NOをN2へと還元浄化する。これによって、フィルタ21に堆積しているパティキュレートの燃焼によって触媒41に流入するガスにNOのみが存在する場合であっても相対的に高いNOの選択還元率を実現していると考えられるのである。
図4は第1実施形態のフィルタの自然再生域における新規な触媒41の効果を確かめた実験結果である。図4において横軸は触媒入口温度、縦軸はNOの選択還元率である。ここで、「NOの選択還元率」とは、排気中を流れるNOとNO2のうちからNOのほうを選択し、この選択したNOを還元剤を用いてN2へと還元する効率をいう。例えば、NOの選択還元率が0%であるとは、排気中を流れるNOを全くN2へと変換できないことを意味する。一方、NOの選択還元率が100%であるとは、排気中を流れるNOの全てをN2へと変換できることを意味する。実線は新規な触媒41の場合、破線は銅ゼオライト触媒31の場合である。ここでは、両触媒31,41の相違を明確にするための実験であるため、NOボンベからNOのみを各触媒31,41に供給している。また、尿素水は噴射ノズル16からNOのガス流体中に噴射供給している。
新規な触媒41によれば、図4の実線で示したように、触媒温度が高くなるにつれてNOの選択還元率が大きくなり、高温側になってもNOの選択還元率が落ちていない。これは、新規な触媒41がNOの選択還元機能が相対的に高いためである。
一方、銅ゼオライト触媒31によれば、図4の破線で示したように新規な触媒41のNOの選択還元率に及ばない。これは、銅ゼオライト触媒31ではNO2の選択還元機能が相対的に高いけれども、NOの選択還元機能が相対的に低いためである。このため、排気温度が300℃〜500℃となる自然再生域において実線と破線の差だけ新規な触媒41のほうがNOの選択還元率がよくなるわけである。
なお、銅ゼオライト触媒31にはもう一つの特性があってこれを一点鎖線で重ねて示している。図4の一点鎖線によれば、実線の場合よりも高いNOの選択還元率となっている。しかしながら、これは、NOの選択還元率が高いといっても、少し意味合いの異なるものである。すなわち、銅ゼオライト触媒31では、低温側でNH3を用いて次の(6)式によりNOをN2O(亜酸化窒素)へと還元する。
8NO+2NH3→5N2O+3H2O …(6)
(6)式によれば、確かにNOがN2O(亜酸化窒素)へと部分的に還元されてはいるが、N2まで完全に還元されてはいない。(6)式の部分還元反応を上記(5)式の完全還元反応と同列に扱うことはできないのである。
一方、銅ゼオライト触媒31では、高温側でNOの選択還元率が急激に低下している。これは、銅ゼオライト触媒31では、銅ゼオライト触媒31の表面に尿素水が付着して液状となっている場合に、良好なNO2の選択還元機能を示すものであるためである。すなわち、触媒入口温度が450°を超える高温になると、銅ゼオライト触媒31の表面に液状で付着していた尿素水中のNH3が排気中の酸素で酸化されてNOとなって空中に飛び出し、触媒31の表面からNH3が消失してしまうためである。一方、新規な触媒41によれば、排気中を流れるNH3を還元剤として用いるので、触媒入口温度が450°を超える高温になっても、NH3を酸化することなく還元剤として取り込めていると考えられるのである。
次に、フィルタ21を再生させる領域には自然再生域の外にも強制再生域がある。これについて説明すると、図7は、エンジンの負荷と回転速度をパラメータとする運転領域図で、この運転領域図にフィルタ21の自然再生域、フィルタ21の強制再生域、フィルタ21の再生不可域を予め定めている。エンジン1を制御するシステムは図示しないが、エンジン1にはコモンレール式の燃料噴射装置を備えている。この燃料噴射装置におけるコモンレール内の所定圧の燃料が燃焼室に臨んで設けられる燃料噴射弁に供給されている。エンジンコントローラ17からの指令を受けて所定の時期に燃料噴射弁が所定の期間開弁すると、燃焼室に所定量の燃料が噴射供給される。吸気通路にはエンジンコントローラ17からの指令を受ける吸気スロットル弁を備えている。図7に示したように、フィルタ21の自然再生域はエンジン1の高負荷域である。フィルタ21の自然再生域では、エンジンコントローラ17が上記の吸気スロットル弁を開いて吸入空気量を増やすのみで、フィルタ21に堆積したパティキュレートを燃焼させるのに必要な350℃程度の排気温度を得ることができる。
フィルタ21の強制再生域は、フィルタ21の自然再生域に隣接し、フィルタ21の自然再生域より低負荷側の領域である。フィルタ21の強制再生域では、フィルタ21に堆積しているパティキュレートを燃焼させるのに必要な排気温度が得られるように、エンジンコントローラ17が排気昇温手段を作動させる。排気昇温手段は、例えば上記の燃料噴射弁によるポスト噴射実行手段と、メイン噴射時期の遅角手段とで構成される。メイン噴射に遅れて膨張行程や排気行程で上記の燃料噴射弁を短時間開いてポスト噴射を行うと共に、メイン噴射時期を遅角することによって、エンジン1出口の排気温度を600℃程度へと上昇させる。フィルタ21の強制再生域でエンジン1出口の排気温度を600℃程度としているのは、次の理由からである。すなわち、フィルタ21に堆積しているパティキュレートは600℃より低い温度でも燃焼を開始するのであるが、低い温度ではパティキュレートの燃焼速度が遅いため全てのパティキュレートを燃焼し尽くすまでに時間がかかる。そこで、フィルタ21に堆積しているパティキュレートの燃焼速度が早くなる600℃として速やかに燃焼させるためである。
フィルタ21の再生不可領域は、フィルタ21の強制再生域に隣接し、フィルタ21の強制再生域より低負荷側の領域である。フィルタ21の再生不可領域では、排気昇温手段を作動させても、フィルタ21に堆積しているパティキュレートを燃焼させるのに必要な排気温度が得られない領域であるので、フィルタ21の再生処理を行うことは許可しない。これで図7の説明を終える。
フィルタ21の強制再生域では、次の(6)式により排気中に含まれるO2(酸素)を酸化剤として用いて、フィルタ21に堆積しているパティキュレートを燃焼しCO2を生成する。
C+O2→CO2 …(7)
図5の下段にも示したように、フィルタ21の強制再生域では、排気昇温手段の作動でエンジン出口の排気が600℃へと昇温され、フィルタ21に堆積しているパティキュレートの燃焼によって、フィルタ21出口の排気温度は750℃〜850℃にも上昇する。
(7)式に示したように、フィルタ21の強制再生域でフィルタ21に堆積しているパティキュレート(図5では「PM」で略記。)の燃焼のためにO2を用いるのは次の理由による。すなわち、酸化触媒11出口でNO2が支配的になっても、フィルタ21入口で排気温度が400℃を超えるようになると、もともと熱的に不安定なNO2が熱的に安定なNOへと全て変化してしまう。このため、フィルタ21の強制再生域ではフィルタ21に堆積しているパティキュレートが燃焼する際の酸化剤としてNO2を利用することができない。そこで、NO2以外の酸化剤であるO2を利用するしかないためである。
一方、フィルタ21の強制再生域においても、新規な触媒41で排気中を支配的に流れるNOを還元浄化するには還元剤が必要となる。図5の上段にも示したように、フィルタ21入口の排気温度が350℃と相対的に低い自然再生域では、尿素水に含まれるNH3を還元剤として用いてNOをN2へと還元浄化できた。しかしながら、強制再生域でフィルタ21出口の排気温度が750℃〜850℃と相対的に高くなったときには、新規な触媒41の上流側に噴射ノズル16より尿素水を供給しても、尿素水に含まれるNH3がNOへと直ぐに酸化されてしまう。フィルタ21出口の排気温度が750℃〜850℃と相対的に高い強制再生域となったときには尿素水に含まれるNH3を還元剤として用いることができないのである。
そこで第1実施形態では、フィルタ21の強制再生域で排気中を支配的に流れるNOの還元剤としてH2(水素)を用いるため、図1に示したように新規な触媒41の上流側(噴射ノズル16と新規な触媒41の間の排気通路2)に水蒸気改質触媒51を設ける。水蒸気改質触媒51(第2の触媒)は、噴射ノズル16から噴射される尿素水に含まれるH2O(水分)をH2(水素)へと改質するものである。尿素水は(NH22CO(尿素)をほぼ30%、H2O(水)をほぼ70%含んでいる。従って、水蒸気改質触媒51では尿素水中のH2Oを利用してH2を生成することができる。水蒸気改質触媒51としては、公知のものを用いればよい。
このように、フィルタ21の強制再生域で水蒸気改質触媒51によりH2が生成されると、新規な触媒41ではこのH2を用いて次の(8)式により、フィルタ21下流の排気中で支配的なNOをN2(窒素)へと還元する。
2NO+2H2→N2+2H2O …(8)
図5はフィルタ21の自然再生域での反応とフィルタ21の強制再生域での反応との違いをまとめた第1実施形態についてのモデル図である。図5において、上段には第1実施形態におけるフィルタ21の自然再生域での各反応を、下段には第1実施形態におけるフィルタ21の強制再生域での各反応を示している。
図5に示したように第1実施形態におけるフィルタ21の自然再生域とフィルタ21の強制再生域との違いは第1にフィルタ21入口の排気温度の違いにある。すなわち、フィルタ21の自然再生域にはフィルタ21入口の排気温度が350℃程度と相対的に低いのに対して、フィルタ21の強制再生域にはフィルタ21入口の排気温度が600℃程度と相対的に高くなる。このため、フィルタ21の強制再生域ではフィルタ21に堆積しているパティキュレートの燃焼熱によってフィルタ21出口の排気温度が750〜850℃と相対的に高くなる。
このようにフィルタ21出口の排気温度が750〜850℃と相対的に高くなる強制再生域では、フィルタ21下流側でかつ水蒸気改質触媒51上流側の排気通路2に尿素水を供給したとき、尿素水に含まれるNH3が高温の排気によってNOへと高温の排気によって酸化されてしまう。尿素水に含まれるNH3が新規な触媒41の上流でNOへと酸化されたのでは、新規な触媒41上でNOの還元にNH3を用いることができない。
そこで、第1実施形態では、フィルタ21の強制再生域において新規な触媒41上でNOを還元するに際しては、NH3ではなくH2を用いることとした。そして、このH2を水蒸気改質触媒51によって、尿素水に含まれるH2O(水分)から生成させるようにしたのである。この場合、水蒸気改質触媒51における水蒸気改質反応は、750〜850℃といった相対的に高い温度でしか進まない反応である。つまり、相対的に低い温度しか得られない自然再生域では、水蒸気改質触媒51における水蒸気改質反応は生じない。フィルタ21の自然再生域では、水蒸気改質触媒51はH2を生成することはないので、フィルタ21の自然再生域での各反応に影響することはない。
図6は第1実施形態のフィルタ21の強制再生域における新規な触媒41の効果を確かめた実験結果である。図6において横軸は新規な触媒41の触媒入口温度、縦軸はNOの選択還元率である。上記図4で前述したように、「NOの選択還元率」は、排気中を流れるNOとNO2のうちからNOのほうを選択し、この選択したNOを還元剤を用いてN2へと還元する効率である。ここでは、触媒41に流入するNOが750℃〜850℃の温度条件で新規な触媒41のNO選択還元率がどのようになるのかを明確にするための実験であるため、NOボンベからNOのみを温度を相違させて新規な触媒41に供給している。実線はNOの温度が触媒41に流入するNOの温度域(750℃〜850℃)のうちの最低の温度である750℃の場合、破線はNOの温度が触媒41に流入するNOの温度域(750℃〜850℃)のうちの最高の温度である850℃の場合である。一方、H2のモル数とNOのモル数とが等しくなるように(あるいはH2が不足しないようにH2のモル数がNOのモル数以上となるように)燃料噴射ノズル75からNOのガス流体中にH2を噴射供給している。
新規な触媒41によれば、図6に示したように、NOの温度が750℃〜850℃と相対的に高くなっても、NOの選択還元率がそれほど落ちていない。これは、フィルタ21出口で排気が750℃〜850℃と相対的に高くなる強制再生域においても新規な触媒41がNOの選択還元機能が相対的に高いためである。一方、銅ゼオライト触媒31は、耐熱温度が650℃程度であるので、フィルタ21出口で排気が750℃〜850℃と相対的に高くなる強制再生域では、そもそも用いることができない。
エンジンコントローラ17で実行されるフィルタ21の再生処理について図8のフローチャートを参照して説明する。図8のフローは一定時間毎(例えば10ms毎)に実行する。
ステップ1ではフィルタ再生フラグ(エンジンの始動時にゼロに初期設定)をみる。ここではフィルタ再生フラグ=0であるとしてステップ2に進む。
ステップ2では差圧センサ20(図1参照)により検出されるフィルタ21の前後圧力差ΔPとしきい値を比較する。しきい値はフィルタ21の再生開始時期になったか否かを判定するための値で、予め設定しておく。フィルタ21の前後圧力差ΔPがしきい値未満であれば、フィルタ21の再生開始時期になっていないと判断し、そのまま今回の処理を終了する。
ステップ2でフィルタ21の前後圧力差ΔPがしきい値以上となれば、所定量のパティキュレートが堆積した、つまりフィルタ21の再生開始時期になったと判断し、ステップ3,4に進み、フィルタ再生フラグ=1とし、タイマを起動する(タイマ値Δt=0)。タイマは、フィルタ21の再生開始時期になってからの経過時間を計測するためのものである。
ステップ5では、エンジンの負荷と回転速度を検出するセンサ18,19からの信号に基づいて、図7を内容とするマップを検索することにより、エンジンの負荷と回転速度から定まるエンジンの運転条件がフィルタ21の自然再生域にあるか否かをみる。エンジンの運転条件がフィルタ21の自然再生域にあるときには尿素水を新規な触媒41に供給するためステップ6に進み噴射ノズル16を開く。これによって、フィルタ21の自然再生域において新規な触媒41では、尿素水に含まれるNH3を用い上記(4)式や上記(5)式によってフィルタ21出口で支配的となるNOをN2へと浄化する。
ステップ5でエンジンの運転条件がフィルタ21の自然再生域にないときにはステップ7に進む。ステップ7はステップ5と同様である。すなわち、エンジンの負荷と回転速度を検出するセンサ18,19からの信号に基づいて、図7を内容とするマップを検索することにより、エンジンの負荷と回転速度から定まるエンジンの運転条件がフィルタ21の強制再生域にあるか否かをみる。エンジンの運転条件がフィルタ21の強制再生域にあるときにはフィルタ21入口の排気の温度を上昇させるため、ステップ8に進んで排気昇温手段を作動させる。この排気昇温手段の作動によってフィルタ21入口の排気が600℃まで上昇し、さらにフィルタ21に堆積しているパティキュレートの燃焼によってフィルタ21出口の排気が750℃〜850℃へと上昇する。
また、フィルタ21の強制再生域でもステップ6で尿素水を水蒸気改質触媒51に供給するため噴射ノズル16を開く。これによって、水蒸気改質触媒51では、尿素水に含まれるH2Oを改質してH2を生成する。新規な触媒41では、この生成されたH2を用い、上記(8)式によってフィルタ21出口で支配的となるNOをN2へと浄化する。
ステップ5,7でエンジンの運転条件がフィルタ21の自然再生にも、フィルタ21の強制再生域にもないときにはステップ9に進む。ステップ9では、フィルタの再生時期になっていても、実質的にフィルタ21の再生処理を禁止するため、噴射ノズル16を全閉状態とする。
ステップ3でフィルタ再生フラグ=1となったので、次回からはステップ1よりステップ10以降に進む。ステップ10ではタイマ値Δtとしきい値を比較する。しきい値はフィルタ21の再生終了時期になったか否かを判定するための値で、予め設定しておく。タイマ値Δtがしきい値未満であれば、フィルタ21の再生終了時期になっていないと判断し、運転条件が自然再生域や強制再生域にある限りステップ5〜8に進み、ステップ5〜8の操作を実行する。タイマ値Δtがしきい値未満である限り、ステップ5〜8の操作を繰り返し実行する。
運転条件が自然再生域や強制再生域に続けてある場合に、やがてタイマ値Δtがしきい値以上となったときには、フィルタ21の再生処理を終了するためステップ11,12に進み、フィルタ再生フラグ=0とし、尿素水の供給を停止する。ステップ13では排気昇温手段が作動しているか否かみて、排気昇温手段が作動しているときにはステップ14に進み排気昇温手段の作動を停止する。これで1回のフィルタ21の再生処理を終了する。
ステップ11でフィルタ再生フラグ=0となったので、次回からは再びステップ1よりステップ2以降に進む。
このように、本実施形態では、排気中のパティキュレートを捕集するフィルタ21と、新規な触媒41(第1の触媒)と、水蒸気改質触媒51(第2の触媒)とを備えている。新規な触媒41は、排気中を流れるNOとNO2のうちNOの選択還元機能が相対的に高い。水蒸気改質触媒51は、フィルタ21の強制再生域で新規な触媒41に支配的に流入するNOを還元する還元剤を生成する。本実施形態によれば、新たな触媒41でこの水蒸気改質触媒51により生成される還元剤を用いて、新規な触媒41に支配的に流入するNOをN2へと効率よく連続的に還元浄化することができる。
本実施形態によれば、水蒸気改質触媒51(第2の触媒)を、新規な触媒41(第1の触媒)の上流側の排気通路2に配置するので、新規な触媒41の上流側で還元剤を生成することができる。
本実施形態によれば、フィルタ21の強制再生域で水蒸気改質触媒51(第2の触媒)の上流側の排気通路2に尿素水供給装置12(尿素水供給手段)を備えている。水蒸気改質触媒51は、還元剤を、排気通路2に供給される尿素水に含まれるH2O(水分)を水蒸気改質することにより生成するので、還元剤としてのH2を生成することができる。
本実施形態では、新規な触媒41は固体酸性を示したり超イオン導電体である。また、新規な触媒41は結晶格子に酸素欠損がある構造を有する。フィルタ21の強制再生域でパティキュレートの燃焼によって支配的となったNOを、新規な触媒41の特質であるこれら超イオン伝導体、固体酸性あるいは酸素欠損が排気中の酸素を用いてNO2へと酸化し触媒反応場でのNO2/NO比をほぼ50%へと導く。これによって、フィルタ21に堆積しているパティキュレートの燃焼によって触媒41に流入するガスにNOのみが存在する場合であっても相対的に高いNOの選択還元率を実現することができる。
(第2実施形態)
図9は第2実施形態のエンジンの排気後処理装置の概略構成図である。第1実施形態の図1と同一部分には同一の符号を付している。
第2実施形態は、水蒸気改質触媒51に代えて水性ガスシフト反応触媒61を、尿素水供給装置12に追加して燃料供給装置71(燃料供給手段)を設けるものである。
水性ガスシフト反応触媒61は、HC(燃料)とH2O(水蒸気)から水性ガスシフト反応によってH2(水素)とCO2(二酸化炭素)を生成するものである。正確には水性ガスシフト反応は、HCの燃焼によって生じるCOとH2Oを用いて次の式によりH2を生成するものである。
CO+H2O→H2+CO2 …(9)
エンジン1から排出されるガス中には約10%のH2O(水分)が含まれている。従って、水性ガスシフト反応触媒61では排気中のH2Oを利用してH2を生成することができる。水性ガスシフト反応触媒61としては、公知のものを用いればよい。
燃料供給装置71は、HC(液状の燃料)を貯留するタンク72、燃料供給管73、ポンプ74、燃料噴射ノズル75から構成される。液状の燃料としてはエンジン1に供給している燃料(つまり軽油)の一部を用いればよい。ポンプ74はエンジンコントローラ17からの信号を受けてタンク72内の燃料を燃料噴射ノズル75に供給する。エンジンコントローラ17では、フィルタ21の強制再生域になると、信号を燃料噴射ノズル75に送り、燃料噴射ノズル75を開弁させる。燃料噴射ノズル75が開弁すると、燃料が水性ガスシフト反応触媒61の上流の排気通路2に噴射供給される。フィルタ21の自然再生域や強制再生域であるか否かは、エンジンの負荷と回転速度を検出するセンサ18,19からの信号に基づいて判断する。
図10は第2実施形態のフィルタ21の自然再生域での反応とフィルタ21の強制再生域での反応との違いをまとめた第2実施形態についてのモデル図である。第1実施形態の図5と同一部分には同一に記載している。図10においても上段には第2実施形態におけるフィルタ21の自然再生域での反応を、下段には第2実施形態におけるフィルタ21の強制再生域での反応を示している。
図10に示したように第2実施形態におけるフィルタ21の自然再生域とフィルタ21の強制再生域との違いも第1にフィルタ21入口の排気温度の違いにある。すなわち、フィルタ21の自然再生域にはフィルタ21入口の排気温度が350℃程度と相対的に低いのに対して、フィルタ21の強制再生域にはフィルタ21入口の排気温度が600℃程度と相対的に高くなる。このため、フィルタ21の強制再生域ではフィルタ21に堆積しているパティキュレートの燃焼熱によってフィルタ21出口の排気温度が750〜850℃と相対的に高くなる。
このようにフィルタ21出口の排気温度が750〜850℃と相対的に高くなる強制再生域では、フィルタ21下流側でかつ水性ガスシフト反応触媒61上流側の排気通路2に尿素水を供給したとき、尿素水に含まれるNH3が高温の排気によってNOへと高温の排気によって酸化されてしまう。尿素水に含まれるNH3が新規な触媒の上流でNOへと酸化されたのでは、新規な触媒41上でNOの還元にNH3を用いることができない。
そこで、第2実施形態では、フィルタ21の強制再生域において新規な触媒41上でNOの還元にNH3に代えてH2を用いることとし、このH2を水性ガスシフト反応触媒61によって、HCの燃焼によって生じるCOと排気に含まれるH2O(水分)から生成させるようにしたのである。この場合、水性ガスシフト反応触媒61における水性ガスシフト反応も750〜850℃といった高い温度でしか進まない反応である。つまり、相対的に低い温度しか得られない自然再生域では、水性ガスシフト反応触媒61における水性ガスシフト反応は生じない。フィルタ21の自然再生域では、水性ガスシフト反応触媒61はH2を生成することはないので、フィルタ21の自然再生域での各反応に影響することはない。
エンジンコントローラ17で実行されるフィルタ21の再生処理について図11のフローチャートを参照して説明する。図11のフローは一定時間毎(例えば10ms毎)に実行する。第1実施形態の図8と同一部分には同一の符号を付している。
第1実施形態と相違する部分を主に説明すると、ステップ7でエンジンの運転条件がフィルタ21の強制再生域にあるときには排気の温度を上昇させるため、ステップ8に進んで排気昇温手段を作動させる。続くステップ21ではHC(燃料)を水性ガスシフト反応触媒61に供給するため燃料噴射ノズル75を開く。これによって、水性ガスシフト反応触媒61では、燃料噴射ノズル75から噴かれたHCの燃焼によって生じるCOと排気中のH2Oを用い、上記(9)式の水性ガスシフト反応を行ってH2を生成する。新規な触媒41では、この生成されたH2を用い、上記(8)式によってフィルタ21出口で支配的となるNOをN2へと浄化する。
ステップ5,7でエンジンの運転条件がフィルタ21の自然再生にも、フィルタ21の強制再生域にもないときにはステップ9,23に進む。ステップ9,23ではフィルタ21の再生時期になっていても、実質的にフィルタ21の再生処理を禁止するため、噴射ノズル16及び燃料噴射ノズル75を全閉状態とする。
ステップ10でタイマ値Δtがしきい値以上となったときには、フィルタ21の再生処理を終了するためステップ11,12,24に進み、フィルタ再生フラグ=0とし、尿素水の供給及び燃料の供給を停止する。
このように第2実施形態においても、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。すなわち、第2実施形態によれば、新たな触媒41で水性ガスシフ反応触媒61により生成される還元剤を用いて、新規な触媒41に支配的に流入するNOをN2へと効率よく連続的に還元浄化することができる。
第2実施形態によれば、フィルタ21の強制再生域で水性ガスシフト反応触媒61(第2の触媒)の上流側の排気通路2に燃料を供給する燃料供給装置71(燃料供給手段)を備えている。水性ガスシフト反応触媒61は、還元剤を、排気通路2に供給される燃料及び排気中に含まれる水分を用いて水性ガスシフト反応により生成するので、還元剤としてのH2を生成することができる。
実施形態では、差圧センサ20に基づいてフィルタ21の再生開始時期になったか否かを判定し、タイマ値Δtに基づいてフィルタ21の再生終了時期になったか否かを判定する場合で説明したが、この場合に限られるものでない。フィルタ21の再生開始時期になったか否かを判定する方法やフィルタ21の再生終了時期になったか否かを判定する方法には各種の態様がある。いずれの態様であっても本発明のフィルタ21の再生処理に適用できる。
第1実施形態では水蒸気改質触媒51が水蒸気改質のみを、第2実施形態では水性ガスシフト反応触媒61が水性ガスシフト反応のみを行うものとして説明したが、触媒によっては水蒸気改質(反応)と水性ガスシフト反応との複数の反応が同時に進行するものがある。こうした触媒に対しても本発明の適用がある。
第2実施形態において触媒61上で水性ガスシフト反応が進行するとき、同時に部分酸化反応が進行することがある。燃料としての軽油にはパラフィン系、オレフィン系、芳香族のHC(炭化水素)が含まれているので、この部分酸化反応によって、HCから三重結合を有するC22(アセチレン)やRCHO(アルデヒド)が生成されることがある。新規な触媒41上でNOを還元するに際してこれらC22やRCHOも還元剤となり得る。
1 エンジン
10 排気後処理装置
11 酸化触媒
12 尿素水供給装置(尿素水供給手段)
17 エンジンコントローラ
18 エンジン負荷センサ
19 エンジン回転速度センサ
21 フィルタ
41 新規な触媒(第1の触媒)
51 水蒸気改質触媒(第2の触媒)
61 水性ガスシフト反応触媒(第2の触媒)
71 燃料供給装置(燃料供給手段)

Claims (9)

  1. 排気中のパティキュレートを捕集するフィルタと、
    前記フィルタの下流側にあって、排気中を流れるNOとNO2のうちNOの選択還元機能が相対的に高い第1の触媒と、
    前記フィルタの強制再生域で前記第1の触媒に支配的に流入するNOを還元する還元剤を生成する第2の触媒と
    を備えることを特徴とする排気後処理装置。
  2. 前記第2の触媒を、前記第1の触媒の上流側の排気通路に配置することを特徴とする請求項1に記載の排気後処理装置。
  3. 前記フィルタの強制再生域で前記第2の触媒の上流側の排気通路に尿素水を供給する尿素水供給手段を備え、
    前記第2の触媒は、前記還元剤を、前記排気通路に供給される尿素水に含まれる水分を水蒸気改質することにより生成することを特徴とする請求項1または2に記載の排気後処理装置。
  4. 前記フィルタの強制再生域で前記第2の触媒の上流側の排気通路に燃料を供給する燃料供給手段を備え、
    前記第2の触媒は、前記還元剤を、前記排気通路に供給される燃料及び排気中に含まれる水分を用いて水性ガスシフト反応により生成することを特徴とする請求項1または2に記載の排気後処理装置。
  5. 前記第1の触媒は、固体酸性を示すことを特徴とする請求項1から4までのいずれか一つに記載の排気後処理装置。
  6. 前記第1の触媒は、超イオン導電体であることを特徴とする請求項1から5までのいずれか一つに記載の排気後処理装置。
  7. 前記第1の触媒は、結晶格子に酸素欠損がある構造を有することを特徴とする請求項1から6までのいずれか一つに記載の排気後処理装置。
  8. 前記第1の触媒は、ジルコニウム、セリウム、ニオブの酸化物であることを特徴とする請求項1から7までのいずれか一つに記載の排気後処理装置。
  9. 前記ジルコニウム、セリウム、ニオブの酸化物の組成比は(75〜15):(15〜75):10であることを特徴とする請求項8に記載の排気後処理装置。
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