JP2015017232A - コーティング用含フッ素ポリイミド樹脂組成物、それから得られるフィルム及びコーティング膜 - Google Patents
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Abstract
Description
また、本明細書中で、「含フッ素ポリアミド酸樹脂」を「ポリアミド酸樹脂」、「含フッ素芳香族ポリアミド酸樹脂」を「芳香族ポリアミド酸樹脂」、「含フッ素脂環族ポリアミド酸樹脂」を「脂環族ポリアミド酸樹脂」、「含フッ素ポリイミド樹脂」を「ポリイミド樹脂」、「含フッ素芳香族ポリイミド樹脂」を「芳香族ポリイミド樹脂」、「含フッ素脂環族ポリイミド樹脂」を「脂環族ポリイミド樹脂」と各々称することがある。
X1で示される2価の有機基としては、具体的には、アルキレン基、アリーレン基、アリーレンオキシ基、アリーレンチオ基等が挙げられ、これらの中でも、アルキレン基、アリーレンオキシ基、アリーレンチオ基が好ましく、アルキレン基、アリーレンオキシ基がより好ましく、これらはハロゲン原子(フッ素原子)で置換されていてもよい。
X1の例である上述したアルキレン基の中では、−C(CA3)2−が好適である。かかるフッ素置換アルキレン基は、嵩高い構造を取り接触角が大きくなるため、生体物質付着防止性及び抗血栓性の向上に寄与する。
この場合、W1とW2は同一である、即ちW1とW2は共に酸素原子であるか或いは硫黄原子であることが好ましく、共に酸素原子であることがより好ましい。
脂環族ポリアミド酸樹脂は、例えば(1)芳香族ジアミンと脂環族酸二無水物、(2)脂環族ジアミンと芳香族酸二無水物、又は(3)脂環族ジアミンと脂環族酸二無水物の重合物である。脂環族ポリアミド酸樹脂は、芳香族又は脂環族のジアミン及び酸二無水物の一方又は両方が1分子中に1個以上のフッ素原子及び1個以上の脂環式構造を有することが好ましく、前記脂環族ポリアミド酸樹脂は、下記式(II)〜(IV)で表される構造を有することが好ましい。
X2で示される2価の有機基としては、上記X1として示されるものと同様であってもよい。
化学イミド化によりイミド化する場合では、後述の脱水環化試薬の使用によりポリアミド酸樹脂組成物中のポリアミド酸樹脂を直接イミド化することができる。化学イミド化処理により得られたポリイミド樹脂組成物は、例えば、基材上に塗布して、窒素雰囲気下、好ましくは100〜400℃、より好ましくは100〜300℃、好ましくは10分〜5時間、より好ましくは30分〜3時間の条件下で焼成して含フッ素ポリイミドフィルムとすることができる。なお、ポリイミド樹脂組成物は、少なくともポリイミド樹脂及び溶媒を含む。該ポリイミド樹脂としては、ポリアミド酸樹脂組成物中のポリアミド酸樹脂をイミド化して得られたポリイミド樹脂溶液から精製されるものを使用することができる。この他、「ポリアミド酸樹脂組成物」又は「ポリイミド樹脂組成物」には、前述の通りに「芳香族」及び/又は「含フッ素」なる用語が含まれるものとする。
溶媒の混合量は、ポリアミド酸樹脂の濃度が上述した範囲になるよう適宜設定すればよい。
フィルムは、基材を含んでいても含んでいなくともよいが、接着剤又は接着性ポリイミド等を用いて対象物の目的とする部分に貼り合せることができる。
コーティング膜は、対象物の全体又は一部分を被膜したものであり、対象物と一体化してなるものである。
生体物質としては、特に限定されないが、核酸、糖、蛋白質、脂質、ビタミン、ホルモン等が挙げられる。
蛋白質としては、特に限定されないが、アルブミン、免疫グロブリン、フィブリノーゲン等の蛋白質等が挙げられる。なかでも、含フッ素ポリイミドフィルムは、フッ素原子により、親水性の蛋白質の付着をより一層低減してもよい。
脂質としては、特に限定されないが、アシルグリセロール、セラミド、リン脂質、糖脂質、リポ蛋白質、脂肪酸等が挙げられる。
また、本発明のコーティング用含フッ素ポリイミド樹脂組成物から得られるフィルム又はコーティング膜は、フッ素による非粘着性及び撥水性により汚れを寄せ付けない防汚効果を発現することもできる。
元素分析装置(ジェイサイエンス製 マイクロコーダー JM−10)により、ポリイミドフィルム中のフッ素含有量の定量を行った。
FT−IR(サーモフィッシャーサイエンティフィック製 Nicolet Nexus670)によるフィルム状ポリイミドフィルム分析で、ポリイミドのCN伸縮振動に由来する1370cm-1付近の吸光度(A(1370cm-1))とベンゼン環骨格振動に由来する1500cm-1付近の吸光度(A(1500cm-1))との吸光度比(A(1370cm-1)/A(1500cm-1))を用いて、以下の式に基づいてフィルム状ポリイミドフィルムのイミド化率を算出した。
イミド化率(%)
=[試料フィルム状ポリイミドフィルムの(A(1370cm-1))/(A(1500cm-1))]÷[熱処理後の試料フィルム状ポリイミドフィルムの(A(1370cm-1))/(A(1500cm-1))]×100
なお、上記「熱処理後の試料フィルム状ポリイミドフィルムの(A(1370cm-1))/(A(1500cm-1))」は、試料フィルム状ポリイミドフィルムを、完全イミド化(イミド化率:100%)する温度及び時間の条件で処理したフィルム状ポリイミドフィルムにおける測定値である。
1.検量線の作製
蛋白質濃度の測定には、Micro BCA Protein Assay Kit(販売元 タカラバイオ株式会社)を用いた。0.5〜10μg/cm3の範囲でアルブミン標準液を調製し、本キットの測定方法に従って測定を行い、検量線を作成した。
各実施例及び比較例で得られたフィルムを各アルブミン溶液に浸漬し、36.5℃でフィルムへ吸着させる。アルブミンを吸着させたフィルムをリン酸バッファー溶液に浸漬して各フィルム表面に付着した余剰アルブミンを洗浄した。その後、1%のドデシル硫酸ナトリウム溶液へ浸漬し、各フィルムに吸着したアルブミンを抽出した。得られた抽出液を前記のMicro BCA Protein Assay Kit(販売元 タカラバイオ株式会社)を用い、先に作成した検量線により含まれる蛋白質濃度を定量した。
血液中の血小板は、血液凝固阻止剤によって凝固が阻止される。しかし、高分子材料等に触れるなどの環境変化により、止血栓として機能する。そのため、血小板の凝着体は、フィブリンの作用により固められ、最終的に凝血となる。抗血栓性試験として、各実施例及び比較例で得られたフィルムを3時間血液中に浸漬した後の、1平方センチメートルあたりの血小板の粘着個数を調べることにより、抗血栓性を評価した。ポリスチレンフィルムの血小板付着量を標準として、以下の通り評価した。
付着量判定:ポリスチレンを基準として付着した血小板数がより多い時を×とし、僅かに少ない時を△とし、大幅に少ない時を○とした。
100ml容量の三口フラスコに1,3−ジアミノ−2,4,5,6−テトラフルオロベンゼン4.489g(24.9ミリモル)、4,4’−[(2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−フェニレン)ビス(オキシ)]ビス(3,5,6−トリフルオロフタル酸無水物)14.51g(24.9ミリモル)、N−メチルピロリドン31.0gを仕込んだ。窒素雰囲気下、室温で、5日間攪拌することで、含フッ素ポリアミド酸樹脂組成物(固形分濃度38.0質量%)を得た。
100ml容量の三口フラスコに1,4−ビス(アミノフェノキシ)ベンゼン2.976g(10.2ミリモル)、4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物4.524g(10.2ミリモル)、N−メチルピロリドン42.5gを仕込んだ。窒素雰囲気下、室温で、5日間攪拌することで、含フッ素ポリアミド酸樹脂組成物(固形分濃度15.0質量%)を得た。
100ml容量の三口フラスコに1,4−シクロヘキサンジアミン1.53g(13.4ミリモル)、4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物5.97g(13.4ミリモル)、N−メチルピロリドン42.5gを仕込んだ。窒素雰囲気下、室温で、5日間攪拌することで、含フッ素ポリアミド酸樹脂組成物(固形分濃度15.0質量%)を得た。
100ml容量の三口フラスコに4,4−ジアミノジフェニルエーテル2.393g(12.0ミリモル)、無水ピロメリット酸2.607g(12.0ミリモル)、N−メチルピロリドン45.0gを仕込んだ。窒素雰囲気下、室温で、5日間攪拌することで、フッ素原子を含まないポリアミド酸樹脂組成物(固形分濃度10.0質量%)を得た。
調製例1において得られた含フッ素ポリアミド酸樹脂組成物を、基材としてSiウェハ上に、スピンコーター(ミカサ製 1H−DX2)を用いて、焼成後のポリイミドフィルム厚みが20μmとなるようにフィルム状に製膜し、300℃で1時間、窒素雰囲気下で焼成を行った後、Siウェハより剥離し、含フッ素ポリイミドフィルムを得た。得られた含フッ素ポリイミドフィルムのフッ素含有量は36質量%であり、イミド化率は90%であり、水接触角は78°であった。また、フィルムについて、蛋白質付着性及び抗血栓性の評価を行った結果を表1に示す。
調製例1において得られた含フッ素ポリアミド酸樹脂組成物20gを100mlガラス容器に移し、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン0.035g(0.31ミリモル)、無水酢酸2.14g(0.02モル)を加え、5分間撹拌反応させた後24時間静置することで、含フッ素ポリイミド樹脂溶液を得た。得られた含フッ素ポリイミド樹脂溶液をアセトンで希釈し、水及びメタノール中に再沈させて、精製し、得られた粉末状含フッ素ポリイミド樹脂を15%濃度の2−ブタノン溶液に溶解させて含フッ素ポリイミド樹脂組成物を得た。この含フッ素ポリイミド樹脂組成物を、基材としてSiウェハ上に、スピンコーター(ミカサ製 1H−DX2)を用いて、焼成後の含フッ素ポリイミドフィルム厚みが0.5μmとなるようにフィルム状に製膜し、200℃で1時間、窒素雰囲気下で焼成を行った後、Siウェハより剥離し、含フッ素ポリイミドフィルムを得た。得られた含フッ素ポリイミドフィルムのフッ素含有量は36質量%であり、イミド化率は98%であり、水接触角は78°であった。また、フィルムについて、蛋白質付着性及び抗血栓性の評価を行った結果を表1に示す。
調製例2において得られた含フッ素ポリアミド酸樹脂組成物を、基材としてSiウェハ上に、スピンコーター(ミカサ製 1H−DX2)を用いて、焼成後の含フッ素ポリイミドフィルム厚みが20μmとなるようにフィルム状に製膜し、250℃で1時間、窒素雰囲気下で焼成を行った後、Siウェハより剥離し、含フッ素ポリイミドフィルムを得た。得られた含フッ素ポリイミドフィルムのフッ素含有量は17質量%であり、イミド化率は90%であり、水接触角は90°であった。
また、フィルムについて、蛋白質付着性及び抗血栓性の評価を行い、その結果を表1に示す。
調製例2において得られた含フッ素ポリアミド酸樹脂組成物を、基材としてSiウェハ上に、スピンコーター(ミカサ製 1H−DX2)を用いて、焼成後の含フッ素ポリイミドフィルム厚みが20μmとなるようにフィルム状に製膜し、50℃で1時間、窒素雰囲気下で焼成を行った後、Siウェハより剥離し、含フッ素ポリイミドフィルムを得た。得られた含フッ素ポリイミドフィルムのフッ素含有量は17質量%であり、イミド化率は2%であり、水接触角は72°であった。
また、フィルムについて、蛋白質付着性及び抗血栓性の評価を行い、その結果を表1に示す。
調製例2において得られた含フッ素ポリアミド酸樹脂組成物20gを100mlガラス容器に移し、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン0.035g(0.31ミリモル)、無水酢酸2.14g(0.02モル)を加え、5分間撹拌反応させた後24時間静置することで、含フッ素ポリイミド樹脂溶液を得た。得られた含フッ素ポリイミド樹脂溶液をアセトンで希釈し、水及びメタノール中に再沈させて、精製し、得られた粉末状含フッ素ポリイミド樹脂を15%濃度の2−ブタノン溶液に溶解させて含フッ素ポリイミド樹脂組成物を得た。この含フッ素ポリイミド樹脂組成物を、基材としてSiウェハ上に、スピンコーター(ミカサ製 1H−DX2)を用いて、焼成後の含フッ素ポリイミドフィルム厚みが20μmとなるようにフィルム状に製膜し、200℃で1時間、窒素雰囲気下で焼成を行った後、Siウェハより剥離し、含フッ素ポリイミドフィルムを得た。得られた含フッ素ポリイミドフィルムのフッ素含有量は17質量%であり、イミド化率は98%であり、水接触角は90°であった。また、フィルムについて、蛋白質付着性及び抗血栓性の評価を行い、その結果を表1に示す。
調製例3において得られた含フッ素ポリアミド酸樹脂組成物を、基材としてSiウェハ上に、スピンコーター(ミカサ製 1H−DX2)を用いて、焼成後の含フッ素ポリイミドフィルム厚みが20μmとなるようにフィルム状に製膜し、250℃で1時間、窒素雰囲気下で焼成を行った後、Siウェハより剥離し、含フッ素ポリイミドフィルムを得た。得られた含フッ素ポリイミドフィルムのフッ素含有量は22質量%であり、イミド化率は30%であり、水接触角は88°であった。
また、フィルムについて、蛋白質付着性及び抗血栓性の評価を行い、その結果を表1に示す。
調製例3において得られた含フッ素ポリアミド酸樹脂組成物20gを100mlガラス容器に移し、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン0.035g(0.31ミリモル)、無水酢酸2.14g(0.02モル)を加え、5分間撹拌反応させた後24時間静置することで、含フッ素ポリイミド樹脂溶液を得た。得られた含フッ素ポリイミド樹脂溶液をアセトンで希釈し、水及びメタノール中に再沈させて、精製し、得られた粉末状含フッ素ポリイミド樹脂を15%濃度の2−ブタノン溶液に溶解させて含フッ素ポリイミド樹脂組成物を得た。この含フッ素ポリイミド樹脂組成物を、基材としてSiウェハ上に、スピンコーター(ミカサ製 1H−DX2)を用いて、焼成後の含フッ素ポリイミドフィルム厚みが20μmとなるようにフィルム状に製膜し、200℃で1時間、窒素雰囲気下で焼成を行った後、Siウェハより剥離し、含フッ素ポリイミドフィルムを得た。得られた含フッ素ポリイミドフィルムのフッ素含有量は22質量%であり、イミド化率は98%であり、水接触角は88°であった。また、フィルムについて、蛋白質付着性及び抗血栓性の評価を行い、その結果を表1に示す。
比較調製例1において得られたポリアミド酸樹脂組成物を、基材としてSiウェハ上に、スピンコーター(ミカサ製 1H−DX2)を用いて、焼成後のポリイミドフィルム厚みが20μmとなるようにフィルム状に製膜し、340℃で1時間、窒素雰囲気下で焼成を行った後、Siウェハより剥離し、ポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムのフッ素含有量は0質量%であり、イミド化率は18%であり、水接触角は68°であった。
また、フィルムについて、蛋白質付着性及び抗血栓性の評価を行い、その結果を表1に示す。
比較調製例1において得られたポリアミド酸樹脂組成物を用いて、実施例2と同様にしてポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムのフッ素含有量は0質量%であり、イミド化率は80%であり、水接触角は59°であった。
また、フィルムについて、蛋白質付着性及び抗血栓性の評価を行い、その結果を表1に示す。
ポリスチレンからなるフィルムを得た。得られたフィルムのフッ素含有量は0質量%であり、イミド化率は0%であり、水接触角は90°であった。
また、フィルムについて、蛋白質付着性及び抗血栓性の評価を行い、その結果を表1に示す。
比較例1は、所定のイミド化率を満足せず、比較例2は、所定のフッ素含有量、イミド化率、水接触角を満足せず、比較例3は、所定のフッ素含有量、水接触角を満足せず、比較例4は、所定のフッ素含有量、イミド化率を満足しないことから、蛋白質付着防止性及び抗血栓性が十分ではない。
比較例2、3のポリイミドフィルムは、フッ素含有量が0質量%であり水接触角も実施例1〜6のものより小さいことから、フッ素含有量が水接触角に寄与することが分かる。
以上のことから、含フッ素ポリイミドフィルムが所定のフッ素含有量、イミド化率及び水接触角の全てを満足すれば、結果として、蛋白質付着防止性及び抗血栓性を向上させることができる。
Claims (4)
- 含フッ素ポリイミド樹脂を含むコーティング用組成物であって、該組成物から得られる焼成膜の接触角が70°以上、イミド化率が20%以上、フッ素含有量が1〜60質量%であることを特徴とするコーティング用含フッ素ポリイミド樹脂組成物。
- 前記含フッ素ポリイミド樹脂が含フッ素芳香族基及び/又は脂環族基を含む請求項1記載のコーティング用含フッ素ポリイミド樹脂組成物。
- 請求項1〜2いずれかに記載のコーティング用含フッ素ポリイミド樹脂組成物を化学的もしくは熱的にイミド化したものであることを特徴とするフィルム。
- 請求項1〜2いずれかに記載のコーティング用含フッ素ポリイミド樹脂組成物を化学的もしくは熱的にイミド化したものであることを特徴とするコーティング膜。
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