JP2015100785A - 造粒方法及び造粒装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 粉体の顆粒形成のための湿式造粒において、粉体原料の溶媒溶解性(水溶性・不溶性等)に関係なく任意の粉体原料に対して施用可能な技術であって、造粒効率を飛躍的に向上させ、バインダ使用量を大幅に削減可能とする技術、を提供することを課題とする。これにより、従来のプロセスと比べて、造粒工程及び乾燥工程に要する時間を大幅に短縮して、製造コストや顆粒の品質劣化を顕著に抑制する技術、を提供することを課題とする。
【解決手段】 (A) 粉体原料を帯電させる工程、(B) バインダ液滴を前記粉体原料とは逆の極性の電荷に誘導帯電させる工程、並びに、(C) 前記(A)工程で得られた粉体及び前記(B)工程で得られたバインダ液滴を接触させることで造粒を行い、前記粉体の顆粒を形成させる工程、を含むことを特徴とする、粉体の顆粒形成を行うための湿式造粒方法、を提供する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、粉体の顆粒形成を行うための革新的な湿式造粒技術に関するものである。
・顆粒形成の必要性
インスタントスープなどの粉末食品は、粒子サイズが小さい微粉末の状態では、分散性、溶解性が低いため湯や水に溶解する際にランピング(ダマ)を発生しやすいという問題が存在する。また流動性も低いため計量や充填が難しいという問題が存在する。
これらの問題は粒子同士を決着させ、サイズの大きい顆粒状に造粒することにより解決することから、粉末食品を製造する現場の多くでは造粒操作が行なわれている。また同様の問題は食品のみならず医薬品、農薬、飼料、工業原料などにも存在し、幅広い産業分野において、粉末の造粒操作が行なわれている。
・湿式造粒法とその課題
食品や医薬品の造粒では、水や何らかの水溶液をバインダとして粉末に噴霧し、粉体同士を結着させる湿式造粒法(代表的なものとして、流動層造粒や攪拌造粒)が広く使用されている。
湿式造粒では、微粒化されたバインダ液滴を、流動層や攪拌羽根等により攪拌された粉末原料に対して噴霧し、バインダ液滴が複数の粉末粒子と衝突し付着することにより、粒子を架橋し顆粒が形成される。このため、造粒プロセスの進行は、バインダ液滴と粉末粒子の衝突確率に支配されることになる。
しかしながら、湿式造粒法においては、原理的に原料粉末に多量の水分の添加が必要となるため、顆粒の品質変化が起こる問題が発生する。また、造粒後の顆粒を乾燥する必要があるため、乾燥処理に時間及びコストを要する。また、加熱乾燥を長く要することにより顆粒の変質変化が起こりやすくなる問題がある。
この点を踏まえると、湿式造粒において加えるバインダ量は、可能な限り少量にすることが理想である。そこで、当該課題を解決するために、バインダ液滴と粉末粒子の衝突確率を向上させることで、バインダの噴霧量を減少させる工夫が試みられてきた。
(1) 例えば、バインダ液滴の粒径や噴霧速度、粉末の攪拌方向に対するバインダ噴霧ノズルの設置角度等、様々な条件の調整も行われてきたが、十分な造粒効率の改善は認められなかった(例えば、特許文献1,2 参照)。
(2) また、バインダ液滴と粉末粒子の衝突頻度を向上させるために、機械的な攪拌等により衝突効率を向上させる技術が図られてきた(例えば、特許文献3, 非特許文献1 参照)。
しかし、(i) 撹拌造粒においては、粉末の攪拌を強くすると、一度形成された顆粒が破壊される等の問題が発生していた。
また、(ii) 流動層造粒においては、粉末の流動を強くすることにより、a) バインダ液滴が気流により流動層に到達しない、b) 流動層から離脱してしまう、c) バインダ液滴が粉末粒子との衝突以前に蒸発してしまう、などの問題が発生していた。
(3) また、粉末粒子に水蒸気を凝縮させ、凝縮水をバインダとすることにより効率的に粒子を架橋する方法も考案されてきた(例えば、特許文献4,5 参照)。
しかし、当該方法においては、凝縮水が原料粉末の一部を溶解し粒子を架橋することを基本原理とする技術であることから、水溶性の性質を呈さない粉末原料に対しては施用できないという課題があった。
特開2001-340745号公報(流動層造粒装置) 特開平10-128098号公報(造粒制御装置および造粒制御方法) 特許第3165700号公報(高速撹拌造粒法及び高速撹拌造粒機) 特開2001-062278号公報(粉粒体の転動造粒方法および装置) 特許第5019661号公報(造粒方法及び造粒装置)
Pharm Stage, 5(9), 42-50 (2005)
本発明では、上記課題を解決し、粉体の顆粒形成のための湿式造粒において、粉体原料の溶媒溶解性(水溶性・不溶性等)に関係なく任意の粉体原料に対して施用可能な技術であって、造粒効率を飛躍的に向上させ、バインダ使用量を大幅に削減可能とする技術、を提供することを課題とする。
これにより本発明では、従来のプロセスと比べて、造粒工程及び乾燥工程に要する時間を大幅に短縮して、製造コストや顆粒の品質劣化を顕著に抑制する技術、を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、上記課題に対する解決手段を見出した。
(1) 粉体原料を帯電させ、バインダ液滴に前記粉体原料とは逆の極性の電荷に誘導帯電させて、造粒処理を行うことにより、造粒効率が飛躍的に向上することを見出した。これにより、バインダ液滴の噴霧量を大幅に削減できることを見出した。
(2) 前記誘導帯電の手法としては、電極に1〜100 kVの正又は負の電圧を印加し、前記電極から形成される電場を通過するようにバインダ液滴を噴霧することにより、実現可能となることを見出した。
(3) 粉体原料を帯電させる手法としては、容器内壁や空気との接触帯電により実現可能となることを見出した。
(4) 当該造粒技術は、流動層造粒において特に有効な技術となることを見出した。
本発明は、これらの知見に基づいてなされたものである。
即ち、[請求項1]に係る本発明は、下記(A)〜(C)の工程を含むことを特徴とする、粉体の顆粒形成を行うための湿式造粒方法に関するものである。
(A): 粉体原料を帯電させる工程。
(B): バインダ液滴を前記粉体原料とは逆の極性の電荷に誘導帯電させる工程。
(C): 前記(A)工程で得られた粉体及び前記(B)工程で得られたバインダ液滴を、接触させることで造粒を行い、前記粉体の顆粒を形成させる工程。
また、[請求項2]に係る本発明は、前記バインダ液滴が、平均粒径5〜100μmの微細な水溶性液滴である、請求項1に記載の方法に関するものである。
また、[請求項3]に係る本発明は、前記(B)に記載の工程が、電極に1〜100 kVの正又は負の電圧を印加し、前記電極から形成される電場を通過するようにバインダ液滴を噴霧することにより、誘導帯電させる工程である、請求項1又は2に記載の方法に関するものである。
また、[請求項4]に係る本発明は、前記(B)に記載の工程が、環状電極に1〜100 kVの正又は負の電圧を印加し、前記環状電極のリング内に形成される電場を通過するようにバインダ液滴を噴霧することにより、誘導帯電させる工程である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法に関するものである。
また、[請求項5]に係る本発明は、前記(A)に記載の工程が、樹脂製素材からなる容器内壁に、含水率30%(w.b.)以下となっている粉体原料を摩擦接触させて帯電させる工程である、請求項1〜4のいずれかに記載の方法に関するものである。
また、[請求項6]に係る本発明は、前記(C)に記載の工程が、前記(A)工程で得られた粉体及び前記(B)工程で得られたバインダ液滴が浮遊流動している流動層において行われるものである、請求項1〜5のいずれかに記載の方法に関するものである。
また、[請求項7]に係る本発明は、粉体の顆粒形成を行うための湿式造粒装置であって、;(a)造粒容器と、(b)粉体原料に対する接触帯電手段と、(c)バインダ液滴噴霧手段と、(d)バインダ液滴に対する誘導帯電手段と、を備えてなることを特徴とする、;粉体の顆粒形成を行うための湿式造粒装置に関するものである。
また、[請求項8]に係る本発明は、前記(c)に記載のバインダ液滴噴霧手段が、バインダ供給管の先端に、平均粒径5〜100μmの微細な水溶性液滴の噴霧が可能なスプレーノズルを有するものである、請求項7に記載の装置に関するものである。
また、[請求項9]に係る本発明は、前記(d)に記載の誘導帯電手段が、i) 電圧印加装置と、ii) 高電圧用電線ケーブルと、iii) 前記高電圧用電線ケーブルを介して前記電圧印加装置に接続された電極と、iv) 一端が前記(c)に記載のバインダ液滴噴霧手段に接続され且つ他端が地面に接地された電線ケーブルと、からなるものであって、;前記 iii)に記載の電極の固定位置が、前記(c)に記載のバインダ液滴噴霧手段の噴霧口先端から1〜100 mm離れた位置であり、且つ、前記噴霧口先端から噴霧されるバインダ液滴が当該電極から形成される電場を通過する位置である、;請求項7又は8に記載の装置に関するものである。
また、[請求項10]に係る本発明は、前記(d)に記載の誘導帯電手段における前記 iii) に記載の電極が、環状電極であり、;且つ、当該環状電極の固定位置が、前記(c)に記載のバインダ液滴噴霧手段の噴霧口先端から1〜100 mm離れた位置であり、且つ、前記噴霧口先端から噴霧されるバインダ液滴が当該環状電極のリング内に形成される電場を通過する位置である、;請求項9に記載の装置に関するものである。
また、[請求項11]に係る本発明は、前記(a)に記載の造粒容器の内壁の一部又は全部が、樹脂製素材からなるものである、請求項7〜10のいずれかに記載の装置に関するものである。
また、[請求項12]に係る本発明は、前記湿式造粒装置が、流動層造粒装置である、請求項7〜11のいずれかに記載の装置に関するものである。
本発明によれば、粉体の顆粒形成のための湿式造粒において、粉体原料の溶媒溶解性(水溶性・不溶性等)に関係なく任意の粉体原料に対して造粒効率を飛躍的に向上させることが可能となる。これにより、本発明では、バインダ使用量を大幅に削減することが可能となる。
また、最終的に本発明では、従来のプロセスと比べて、造粒工程及び乾燥工程に要する時間を大幅に短縮して、製造コストや顆粒の品質劣化を顕著に抑制することを可能とする。
本発明において、誘導帯電バインダ液滴を利用した流動層造粒装置の概略を示した図である。 実施例1で用いた誘導帯電手段を備えた流動層造粒装置について、当該装置の全体を正面やや右側方視から撮影した写真像図である。 実施例1で用いた誘導帯電手段を備えた流動層造粒装置について、バインダ液滴噴霧手段及び誘導帯電手段の近傍を拡大撮影した写真像図である。 本発明に係る湿式造粒装置において、誘導帯電手段として外部電極を用いた態様(実施例1の態様)を示す図である。 (A) スプレーノズル及び電極付近の正面視図。 (B) 電極下方からの下面視図。 (C) 保持具の上面視図。 本発明に係る湿式造粒装置において、誘導帯電手段として内部電極を用いた態様(実施例1とは別態様)のスプレーノズル及び電極付近の正面視図を示す図である。 本発明に係る粉体原料に対する接触帯電手段を、模式的に示した図である。 (A):容器内壁自体を接触帯電手段とする態様(内壁との摩擦帯電)。 (B):容器の壁面に接触帯電用電極を設置する態様(電極との接触による強制帯電)。 (C):容器外部に容器壁分極用電極を設置する態様(分極壁面との接触による強制帯電)。 (D):エアイオナイザを用いて、イオン化した空気を利用する態様(帯電空気との接触による強制帯電)。 本発明に係るバインダ液滴に対する誘導帯電手段を、模式的に示した図である。 (A):電極(バインダ液滴誘導帯電用)に、電圧が印加されていない状態。 (B):電極(バインダ液滴誘導帯電用)に電圧を印加し、且つ、ノズル電流アース手段を介してスプレーノズルから地面に電荷がアースされることにより、バインダ液滴が安定して誘導帯電され続けている状態。 (C):ノズル電流アース手段がないため、スプレーノズルに電荷が蓄積し過ぎてしまい、バインダ液滴への誘導帯電が停止してしまった状態。 本発明に係るバインダ液滴に対する誘導帯電手段において、電極に負の電圧(-3.0 kV)を印加した状態における電極−電圧印加装置間の電位勾配、および、電圧印加装置−地面間の電位勾配、を模式的に示した図である。 実施例1において、造粒した粉体(顆粒)の体積中位径D50を測定した結果図である。 実施例1において、造粒した粉体(顆粒)のφ40μm以下の微粉含有率を測定した結果図である。 実施例1に係る誘導帯電したバインダ液滴を利用して造粒した粉体(顆粒)の体積について、通常造粒した粉体(対照)を1とした場合の相対値を算出した結果図である。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本発明は、粉体の顆粒形成のための湿式造粒において、粉体原料の溶媒溶解性に関係なく任意の粉体原料に対して施用可能な技術であって、造粒効率を飛躍的に向上させ、バインダ使用量を大幅に削減可能とする技術に関するものである。
なお、以下の説明において、粉体や顆粒の粒径平均値は、「体積中位径D50(μm)」を用いて示した。ここで‘体積中位径D50’とは、メディアン径を示す値であり、粒子を粒度順に並べてある径において二分する際に、粒度の小さい側と大きい側が等量になる径(μm)のことを示す値である。
また、含水率は、湿潤基準(wet base)の重量含水率である「%(w.b.)」で示した。当該値は、‘水分の重量’を‘水分と固形分の重量の和’で除して100を乗じた値である。
また、湿度は、相対湿度である「%(R.H.)」で示した。
[粉体原料]
本発明に係る粉体原料としては、湿式造粒による顆粒形成が可能な粉体、粉末、粉粒体、粒子等であれば、如何なるものをも対象とすることができる。また、原料の溶媒溶解性(水溶性・不溶性等)に関係なく対象可能である。特に、導電性が低い素材からなる粉体原料について、顆粒形成の対象として好適に用いることが可能である。
例えば、インスタントスープ粉末、調味料粉末、インスタント飲料粉末(ココア、コーヒー、抹茶等)、加工澱粉、錠剤型の製菓(飴、ラムネ等)等の飲食品、;医薬助剤等の医薬部外品、;医薬製剤等の医薬品、;の粉体原料について好適に適用可能である。また、農薬、肥料(化成肥料等)、家畜飼料、洗剤、活性炭、汚泥ペレット、タルク、炭酸カルシウム、アルミナ、硫黄、化粧品、顔料、固体電池材料、磁石材料、などの粉体原料についても適用可能である。
粉体原料の粒径としては特に制限はないが、具体的には体積中位径D50の値が、0.001〜0.5 mm、好ましくは0.002〜0.4 mm、より好ましくは0.003〜0.3 mm、さらに好ましくは0.004〜0.2 mm、特に好ましくは0.005〜0.1 mm、のものを挙げることができる。
[粉体原料に対する帯電]
本発明の湿式造粒は、粉体原料を帯電させる工程を行うことを必須とする技術である。 本発明において粉体原料を帯電させる手法としては、‘接触帯電’により達成可能である。具体的には、以下に示すような摩擦帯電及び/又は強制帯電により達成可能である。
ここで、‘接触帯電’とは、静電気現象の一種であり、異なる2種類の物質が接触することにより、一方から他方へ電荷(電子)が移動し、電位差を生じる現象を指す。
・摩擦帯電
粉体原料を接触帯電させるための一つの手法としては、容器内壁との摩擦接触による‘摩擦帯電’を挙げることができる。摩擦帯電は、粉体原料が容器内壁との摩擦接触により、特別な機構や装置等を必要とせずに混合や撹拌操作のみにより、容易に誘起される現象(自然帯電現象)である(図6(A) 参照)。
当該摩擦帯電では、容器内壁が正電荷(+)に帯電した場合には、粉体原料は逆の極性である負電荷(−)に帯電したものになり、容器内壁が負電荷(−)に帯電した場合には、粉体原料は正電荷(+)に帯電したものとなる。
(i) 接触帯電を効率的に行うためには、容器内壁の素材として、電荷移動による接触帯電を強く誘起しやすい素材を用いることが好適である。接触帯電を強く誘起しやすい素材としては、具体的には、アクリル、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、石英、ガラス、アルミニウム、フッ素樹脂、ナイロン、鉛、シリコン樹脂、エボナイト、雲母、などの素材を挙げることができる。強度、安全性、容器内の視認等の観点を踏まえると、透明の樹脂製の素材(透明アクリル樹脂等)を用いることが特に好適である。
(ii) また、接触帯電は、容器内の相対湿度が低い条件ほど、電荷移動を強く誘起しやすくなり好適である。具体的には、相対湿度50%(R.H.)以下、好ましくは45%(R.H.)以下、より好ましくは40%(R.H.)以下、さらに好ましくは35%(R.H.)以下、特に好ましくは30%(R.H.)以下、もっと好ましくは25%(R.H.)以下、一層好ましくは20%(R.H.)以下、とすることが好適である。
なお、湿度調整を効率的に行うためには、容器として密閉度の高い容器を用いることが好適である。具体的には、密閉空間が確保された容器(密閉容器)であって、外部との通気が可能な送風手段及び空気排出手段を備えたものを用いることが好適である。
(iii) また、接触帯電は、上記いずれの粉体原料に対しても帯電可能であるが、含水率が少ないものの方が、接触による電荷移動を強く誘起されやすく好適である。具体的には、含水率30%(w.b.)以下、好ましくは25%(w.b.)以下、より好ましくは20%(w.b.)以下、さらに好ましくは15%(w.b.)以下、特に好ましくは10%(w.b.)以下、のものが好適である。
(iv) また、接触帯電は、容器内壁の素材と粉体原料の素材の組み合わせによって、誘起される帯電の強さが異なる場合がある。例えば、容器内壁が樹脂製素材で、粉体原料が澱粉等の場合には、強い接触帯電が誘起される。
・強制帯電
粉体原料に接触帯電させるためのもう一つの手法としては、電源を用いて帯電させた容器内壁や空気との接触による‘強制帯電’を挙げることができる(図6(B)〜(D) 参照)。
当該強制帯電による手法では、電源を用いた特別な帯電手段が必要となるが、上記(i) 容器内壁の素材の種類、(ii) 容器内の湿度、(iii) 粉体原料の種類、(iv) 容器と粉体原料の素材の組み合わせ、などの影響を受けにくく、粉体原料に強い帯電を誘起することが可能となる。
なお、当該強制帯電では、粉体原料に帯電させる電荷の正負(+又は−)を、自由に調整することが可能となる。容器内壁や空気を正電荷(+)に帯電させた場合には、粉体原料は同じ極性の正電荷(+)に帯電したものとなる。また、容器内壁や空気を負電荷(−)に帯電させた場合には、粉体原料は負電荷(−)に帯電したものとなる。
[バインダ液滴]
本発明の湿式造粒に用いるバインダ液滴は、バインダ液滴噴霧手段から噴霧された微細な水溶性液滴を指すものである。当該液滴が、上記粉体原料の粒子と接触し付着することにより、粉体原料の粒子同士が架橋されて顆粒が形成される。
バインダ液滴に用いる溶液としては、水溶性溶液であれば如何なるものを用いることができるが、原料に余分な成分が残存しない点を踏まえると、‘水’を好適に用いることができる。水としては、水道水を好適に用いることができるが、特には、蒸留水、脱イオン水、純水、超純水、滅菌水などを用いることがより好適である。
また、製造された顆粒の最終用途に悪影響がない範囲であれば、多糖類、水溶性タンパク質、水溶性高分子化合物、などの添加物質を含む水溶液も好適に用いることができる。特に増粘作用を有する物質が好適である。これらの物質には、結着性を高めて顆粒形成を促進する作用があるためである。
増粘作用を有する添加物質としては、例えば、グアーガム、キサンタンガム、カラギーナン、ペクチン、タマリンドガム、プロピレングリコール、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、寒天、デンプン糊、ポリビニルピロリドン、などを好適に用いることができる。
バインダ液滴の粒径としては、バインダ液滴の使用液量を少なくして十分な粉体粒子の結着効果を実現するために、粒径が微細な液滴を用いることが好適である。
例えば、平均粒径が100μm以下、好ましくは90μm以下、より好ましくは80μm以下、さらに好ましくは70μm以下、特に好ましくは60μm以下、もっと好ましくは50μm以下、とすることが好適である。液滴粒径が大きすぎる場合、バインダ使用量が大きくなり好適でない。
また、液滴粒径の下限としては、例えば、平均粒径が5μm以上、好ましくは6μm以上、より好ましくは7μm以上、さらに好ましくは8μm以上、特に好ましくは9μm以上、もっと好ましくは10μm以上を挙げることができる。液滴粒径が小さすぎる場合、噴霧後の短い時間で蒸発してしまい、当該液滴を十分に粉体原料と衝突させることができず好適でない。
これらを踏まえると、バインダ液滴の粒径としては、平均粒径が5〜100μm、好ましくは6〜90μm、より好ましくは7〜80μm、さらに好ましくは8〜70μm、特に好ましくは9〜60μm、もっと好ましくは10〜50μmの範囲が好適である。
[バインダ液滴に対する誘導帯電]
本発明の湿式造粒は、バインダ液滴を前記粉体原料とは逆の極性の電荷に誘導帯電させる工程を行うことを必須とする技術である。
ここで、‘誘導帯電’とは、静電気現象の一種であり、物体に電場(電気力線)をかけた際に、当該物体の電荷が電場により移動し該当物体が分極する現象を指す。誘導帯電は接触帯電とは異なり、電極から物体への電荷移動を伴わない現象である。
本発明においては、バインダ液滴噴霧手段からバインダ液が噴霧される際に、電極から形成された電場の影響により、バインダ液には電極とは逆の極性の電荷が誘導され、誘導された電荷を保持した状態でバインダ液噴霧手段から切離されて液滴となることにより、帯電が起こる(図7(A),(B) 参照)。
電極に印加する電圧(印加電圧)の極性(+又は−)としては、「電場から誘電帯電されるバインダ液滴の電荷」が、「前記粉体原料の帯電電荷とは逆の極性の電荷」となるように、印加する必要がある。
例えば、粉体原料が負電荷(−)に帯電している場合は、バインダ液滴を逆の極性である正電荷(+)に誘導帯電させるために、印加電圧は負電圧(−)の極性にする必要がある。
電極への印加電圧としては、正又は負の電圧で1〜100 kV以上の高電圧を挙げることができる。このような高い電圧を電極に印加することによって、近傍を通過するバインダ液滴への電荷移動を可能とする強い電場が形成される。
印加電圧の下限値としては、正又は負の電圧で1 kV以上、好ましくは1.25 kV以上、より好ましくは1.5 kV以上、さらに好ましくは2 kV以上、特に好ましくは2.5 kV以上、もっと好ましくは3 kV以上、を挙げることができる。印加電圧が低すぎる場合、形成される電場が弱くなり、誘導帯電が十分に起こらない。
印加電圧の上限値としては、電極からの放電が起こらない限りは特に制限がないが、具体的には、正又は負の電圧で100 kV以下、好ましくは90 kV以下、より好ましくは80 kV以下、さらに好ましくは70 kV以下、特に好ましくは60 kV以下、もっと好ましくは50 kV以下を挙げることができる。印加電圧があまりに高すぎる場合、放電が起こってしまい、安全上好ましくない。
なお、放電が起こりにくい形状の電極(例えば、内径10mm以上の環状電極)を用いた場合であれば、電極が適切に絶縁されている限りは、50 kV以下での放電はまず起こらない。
バインダ液滴の噴霧は、前記電極から形成される電場(電気力線)を通過するように、噴霧することが好適である。
バインダ液滴が誘導帯電される電極からの距離としては、電極から100 mm以内、好ましくは75 mm以内、より好ましくは50 mm以内、さらに好ましくは40 mm以内、特に好ましくは35 mm以内、もっと好ましくは30 mm以内の距離であれば、誘導帯電が可能である。当該距離が遠すぎる場合、電場が弱くなり誘導帯電が十分に起こらず好適でない。
電極からの距離の下限としては、1 mm以上、好ましくは2 mm以上、より好ましくは3 mm以上、さらに好ましくは4 mm以上、特に好ましくは5 mm以上の距離が好適である。当該距離が近すぎる場合、電場が強くなり過ぎて放電が起こってしまい好適でない。
これらの点を踏まえると、電極からの距離としては、電極から1〜100 mm、好ましくは2〜80 mm、より好ましくは3〜70 mm、さらに好ましくは4〜60 mm、一層好ましくは5〜50 mm離れた位置であることが好適である。
なお、電極として環状電極を用いる場合、当該環状電極のリング内に形成される電場を通過するように、バインダ液滴を噴霧することが好適である(図3, 4, 7(B) 参照)。
また、バインダ液滴の噴霧態様としては、均一噴霧を実現するために下方向に噴霧することが好適である。また、顆粒形成を均一に進行させるために、好ましくは、噴射する液滴の拡散角度が45度以上、好ましくは50度以上、より好ましくは55度以上、さらに好ましくは60度以上の扇型になるようにして、噴霧することが好適である。
バインダ液滴の時間あたり噴霧量としては、粉体原料1kgあたり、10〜50 g/分、好ましくは11〜46 g/分、より好ましくは12〜42 g/分、さらに好ましくは13〜38 g/分、特に好ましくは14〜34 g/分、もっと好ましくは15〜30 g/分で行うことが好適である。
[造粒処理]
本発明の湿式造粒では、前記帯電させた粉体及び前記帯電させたバインダ液滴を、接触させることで造粒を行い、前記粉体の顆粒を形成させる処理を行う。
・造粒条件
造粒操作としては、例えば、流動層造粒、撹拌造粒、連続式造粒など、湿式造粒が可能であれば如何なる造粒手法を採用することができる。特に、造粒のための密閉空間が確保された容器(密閉容器)内にて、流動層造粒により行うことが好適である。
造粒温度としては、湿式造粒に適した一般的な温度を採用することができる。例えば、
20〜80℃、好ましくは22〜75℃、より好ましくは24〜70℃、さらに好ましくは25〜65℃、特に好ましくは26〜60℃、もっと好ましくは28〜55℃、一層好ましくは30〜50℃、で行うことが好適である。造粒温度の調整は、容器の予熱、バインダ溶液の加温、送風空気の加温などにより行うことができる。
また、造粒中の湿度としては、相対湿度50%(R.H.)以下、好ましくは45%(R.H.)以下、より好ましくは40%(R.H.)以下、さらに好ましくは35%(R.H.)以下、特に好ましくは30%(R.H.)以下、もっと好ましくは25%(R.H.)以下、一層好ましくは20%(R.H.)以下、とすることが好適である。
本発明の造粒方法では、前記帯電させた粉体及び前記帯電させたバインダ液滴との間に働く静電気力により、両者の衝突確率が格段に向上するため、極めて効率的な造粒が可能となる。即ち、通常の流動層造粒よりも少ないバインダ量を噴霧しただけでの効率的な造粒が可能となる。
・乾燥
造粒操作後、必要に応じた乾燥処理(具体的には30〜100℃、好ましくは32〜95℃、より好ましくは35〜90℃、さらに好ましくは37〜85℃、特に好ましくは40〜80℃での加熱乾燥)を行うことにより、所望の顆粒を得ることができる。
ここで、乾燥に必要な時間としては、通常の湿式造粒に比べて、大幅に少ない時間での完了が可能となる。ここで得られた顆粒は、加熱乾燥による品質劣化が顕著に抑制されたものとなる。
[造粒装置]
本発明に係る造粒方法の実施を可能とする造粒装置を説明する。なお、説明に際しては、当該造粒装置の実施態様を示す図1〜7の中の符号を参照した。
本発明に係る湿式造粒装置(符号1)は、造粒容器と、粉体原料に対する接触帯電手段と、バインダ液滴噴霧手段と、バインダ液滴に対する誘導帯電手段と、を備えてなることを特徴とする、粉体の顆粒形成を行うための湿式造粒装置、に関するものである。
また、当該造粒装置に、制御手段等の周辺機器等を組み合わせることで、当該造粒装置を利用した湿式造粒システムを構築することも可能となる。
・粉体原料に対する接触帯電手段
本発明に係る湿式造粒装置は、粉体原料に対する接触帯電手段を備えた装置である。ここで、接触帯電手段は、造粒容器以外の別途の容器内に設置することが可能であるが、造粒を行う容器(符号3)自体に設置する方がより好適である。
接触帯電手段として摩擦による自然帯電(‘摩擦帯電’)を利用する場合、容器の内壁(符号31)自体を接触帯電手段とすることができる(図6(A) 参照)。
当該態様においては、容器の内壁の一部又は全部が、接触帯電を強く誘起しやすい素材で形成されていることが好適である。具体的には、アクリル、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、石英、ガラス、アルミニウム、フッ素樹脂、ナイロン、鉛、シリコン樹脂、エボナイト、雲母、などの素材を挙げることができる。強度、安全性、容器内の視認等の観点を踏まえると、透明の樹脂製の素材(透明アクリル樹脂等)を用いることが特に好適である。
また、接触帯電手段として‘強制帯電’を利用する場合、電源を用いた特別な帯電手段が必要となる(図6(B)〜(D) 参照)。
当該強制帯電手段としては、i) 容器の壁面に接触帯電用電極(符号34)を設置する態様を挙げることができる(図6(B) 参照)。当該態様では、当該電極に直接粉体を接触させることにより粉体原料への強制帯電が実現される。
また、別の強制帯電手段としては、ii) 容器外部に容器壁分極用電極(符号37)を設置する態様を挙げることができる(図6(C) 参照)。当該態様では、当該外部電極から形成される電場により、容器壁面の誘導帯電(静電誘導又は誘電分極)により電荷の分極が発生し、当該分極した容器壁面と粉体原料が接触することにより、粉体への強制帯電が実現される。
また、さらに別の強制帯電手段としては、iii) エアイオナイザ(符号40)を用いる態様を挙げることができる。当該態様では、容器内の空気を電離させてイオン化し、当該帯電した空気と粉体原料との接触によって、粉体原料への強制帯電が可能となる(図6(D) 参照)。
なお、ここで‘エアイオナイザ’とは、電圧印加式の静電気除去装置を指し、放電電極に電圧を印加し、放電電極と接地電極間で発生するコロナ放電で、空気を電離させ、正又は負のイオンを生成させる装置や機器を指す。例えば、空気イオン化装置や空気電離装置等が、当該装置や機器に該当する。
エアイオナイザの設置位置としては、容器内の空気を効率良くイオン化できる位置であれば良いが、送風手段と組み合わせて容器内にイオン化した空気を送風できる位置であることが望ましい。
・造粒容器
当該湿式造粒装置は、造粒のための容器(造粒容器:符号3)を備えた装置である。当該造粒容器としては、上記した接触帯電手段を備えた容器であることが好適である。
造粒容器の材質としては、上記したように、造粒容器の内壁の一部又は全部が、接触帯電を強く誘起しやすい素材で形成されていることが好適である。
造粒容器としては、開放系(非密閉)の容器を採用することも可能であるが、造粒のための密閉空間が確保された容器(符号3)を用いることが好適である。
造粒容器としては、撹拌造粒を行う場合、撹拌羽を備えた容器を用いることが必要である。この場合、粉体原料とバインダ液滴の接触及び顆粒形成は、撹拌羽を介した撹拌混合により達成される。
一方、流動層造粒を行う場合、密閉容器であり且つ外部との通気が可能な送風手段(符号5)及び空気排出手段(符号8,10)を備えた容器を用いることが必要である。
ここで、‘送風手段’(ブロア、符号5)とは、容器内に空気を送風することが可能な手段を指す。ファン等によって容器内に送風する手段であっても良いが、好ましくは、コンプレッサー(符号43)により、送風管(符号42)及び送風口(符号41)を介して容器内に空気を送風することを可能とする手段を指す。送風口には、粉体原料が逆流しないように、メッシュやフィルタを備えたものであることが好適である。
また、当該送風手段としては、除湿手段、加温手段、流量制御手段、などをさらに備えたものであるとさらに好適である。
また、当該送風手段は、造粒容器の底面又は下側側面に備えたものであると、より好適である。
また、ここで‘空気排出手段’としては、容器内の空気を外部に排出することを可能とする手段を指す。単なる排気口や排気管(符号10)であっても良いが、粉体や顆粒の流出を防ぐために、メッシュやフィルタ(符号8)を備えたものであることが好適である。また、コンプレッサーや排気ファン等による強制排気手段を備えたものであると、さらに好適である。また、メッシュやフィルタに付着した粉末を、振動又は逆洗ノズルで取り除く手段を備えたものであると、さらに好適である。
なお、ここで‘流動層’とは、容器内に発生させた気流により粉体粒子とバインダ液滴が混在し浮遊流動している空気の層を指す。当該流動層において、粉体とバインダ液滴の接触及び粉体の顆粒形成が進行する。
・接触帯電用容器
当該湿式造粒装置には、上記造粒容器とは別に、粉体原料の接触帯電のための容器を備えた態様とすることも可能である。接触帯電用容器は、上記した接触帯電手段を備えた容器である。
接触帯電用容器の材質としては、上記したように、容器の内壁の一部又は全部が、接触帯電を強く誘起しやすい素材で形成されていることが好適である。
接触帯電用容器としては、密閉空間が確保された容器を用いることが好適である。
接触帯電用容器は、チューブや管を介して上記造粒容器と連結されたものである。当該容器にて帯電した粉体は、チューブや管を介して移動させて造粒容器に供給される。当該帯電した粉体の移動は、上記送風手段やコンベアを利用して行うことが可能である。
・液滴噴霧手段
当該湿式造粒装置は、バインダ液滴を噴霧するための液滴噴霧手段を備えた装置である。当該液滴噴霧手段は、バインダ溶液保持容器(符号16)と、バインダ液滴を装置内に導入するための管(導入管:符号14、供給管:符号11)と、スプレーノズル(符号12)と、を主たる構成要素とするものである。
当該液滴噴霧手段では、バインダ溶液保持容器(符号16)が、バインダ溶液を当該造粒装置に導入するための管(導入管:符号14、供給管:符号11)および駆動手段(符号15)を介して、造粒容器(符号3)内のスプレーノズル(符号12)に接続された構造をしている。当該構造により、スプレーノズルの先端(バインダ液滴噴霧口、符号13)から、微細なバインダ液滴が、造粒容器に一定速度にて噴霧供給される。
当該バインダ溶液保持容器(符号16)は、造粒操作を行う際にバインダ溶液を充填して保持する容器である。当該容器としては、バインダ溶液の温度を均一に保つために、加温手段及び撹拌手段(マグネットスターラー等)を備えたものであることが好適である。
バインダ液滴を当該造粒装置に導入するための管(導入管:符号14、供給管:符号11)としては、樹脂製や金属製の筒状管を用いることができる。当該管としては、通常のホース程度の加圧に耐えうる管であれば如何なるものも用いることができる。
ただし、スプレーノズルと直接接続する部分(供給管:符号11)の外表面については、電極からの電場が直接かかる部分(付随的に分極してしまう部分)であるため、電流を逃がしやすい材質(ノズル電流の発生に適した材質)である金属製の素材であることが好適である。例えば、ステンレス鋼、鉄鋼、銅、鉄、チタン合金、アルミニウム合金などの素材のものが好適である。特に錆びにくい、ステンレス鋼製のものが好適である。
当該スプレーノズル(符号12)としては、二流体ノズルを用いることが好適である。二流体ノズルは、空気圧及び水圧の調節が容易であり、微細な液滴を扇形になるように噴霧することが可能なノズルである。また、二流体ノズルでは、噴霧量の調節も容易に行うことが可能である。
また、当該スプレーノズルとしては、微細な水溶性液滴の噴霧が可能な噴霧口(符号13)を有するノズルを、好適に用いることができる。ここで、微細な液滴とは、平均粒径が5〜100μm、好ましくは6〜90μm、より好ましくは7〜80μm、さらに好ましくは8〜70μm、特に好ましくは9〜60μm、もっと好ましくは10〜50μmの液滴を指す。
スプレーノズルを固定する位置としては、均一噴霧を実現するために、噴霧口が下方向を向くように固定することが好適である。また、顆粒形成を均一に進行させるために、好ましくは、噴霧する液滴の拡散角度が45度以上、より好ましくは60度以上の扇型になるようにして、噴霧することが好適である。
スプレーノズルの外表面については、電極からの電場が直接かかる部分(電荷の分極が起こる部分)であるため、電流を逃がしやすい材質(ノズル電流の発生に適した材質)である金属製の素材であることが好適である。例えば、ステンレス鋼、鉄鋼、銅、鉄、チタン合金、アルミニウム合金などの素材のものが好適である。特に錆びにくい、ステンレス鋼製のものが好適である。
駆動手段としては、圧縮空気やポンプを用いることが好適である。また、流量を調整する手段(圧力制御手段)を有するものであるとより好適である。
・誘導帯電手段
当該湿式造粒装置は、バインダ液滴に対する誘導帯電手段を備えた装置である。
当該誘導帯電手段は、i) 電圧印加装置(符号26)と、ii) 高電圧用電線ケーブル(符号22)と、iii) 前記高電圧用電線ケーブルを介して前記電圧印加装置に接続された電極(符号21、バインダ液滴誘導帯電用電極)と、iv) 一端が前記バインダ液滴噴霧手段に接続され且つ他端が地面に接地された電線ケーブル(符号28)と、を主たる構成要素とするものである。
電圧印加装置(符号26)は、1〜100 kVの範囲に入る値の高電圧を発生させることが可能な装置であれば、如何なる装置を用いることができる。
電圧印加装置の一端は、高電圧用電線ケーブル(及び必要に応じて絶縁金属棒(符号23)やリード線(符号24)等)を介して、造粒容器(符号3)内のスプレーノズル噴霧口(符号13)の近傍にて電極(符号21)と接続された構造をしている。
ここで、‘周囲環境’と‘電極および該当電線ケーブル’との間には大きな電位差が生じるため(図8 参照)、当該電圧印加用の電線ケーブルとしては、高電圧用のものを用いることが必要である。当該高電圧用電線ケーブル(符号22)としては、1〜100 kVの範囲に入る値の高電圧をかけることが可能な電線ケーブルであれば、如何なるものも使用することが可能である。
なお、非絶縁部に誤って接触(感電等)した場合のショックを緩和する観点から、電圧印加装置と電極の間の電線ケーブルで挟んだ位置に、保護抵抗器(符号44)を設置することが望ましい(図8 参照)。保護抵抗器としては、1〜20 MΩ、好ましくは2〜18 MΩ、より好ましくは4〜16 MΩ、さらに好ましくは6〜14 MΩ、一層好ましくは8〜12 MΩ、特に好ましくは10 MΩ程度、のものが好適である。
一方、電圧印加装置の他端(反対端)については、必須ではないが、電線ケーブルを介して、地面に接地(アース)されていることが安全性の点で望ましい。当該構成により、放電が発生した時に、当該電線ケーブルを通じて電流を地面に逃がすことが可能となる。
なお、ここで、電圧印加装置と地面との間には小さな電位差しか生じないため(図8 参照)、当該放電用の電線ケーブルとしては、通常の低電圧用電線ケーブルを用いることが可能である。
なお、電極からの放電の発生を確認するためには、電線ケーブルで挟んだ位置に、電流計を設置することが好適である。
当該バインダ液滴誘導帯電用電極(符号21)の固定位置としては、前記ノズル噴霧口先端から噴霧されるバインダ液滴が、電極から形成される電場を通過する位置であれば良い(図7(A),(B) 参照)。
当該位置として具体的には、噴霧口先端から1〜100 mm、好ましくは2〜80 mm、より好ましくは3〜70 mm、さらに好ましくは4〜60 mm、一層好ましくは5〜50 mm離れた位置であることが好適である。
当該位置に電極を固定した場合、バインダ液滴に対する好適な誘導帯電を実現することが可能となる。なお、当該距離が近すぎる場合、電場が強くなり過ぎて放電が起こってしまい好適でない。一方、当該距離が遠すぎる場合、電場が弱くなり誘導帯電が十分に誘起されず好適でない。
当該電極(符号21)の形状としては、板状、棒状、球状、多角形状、環状等、如何なる形状の電極を用いることができるが、印加電圧をかけた時に放電しにくい形状の電極を用いることが好適である。具体的には、環状(リング状)の電極を用いることで、放電を著しく抑制することが可能となる。
当該電極(符号21)の材質としては、通常の電極に用いる材質であれば良く、銅、ステンレス鋼、鉄鋼、チタン合金、白金等を挙げることができる。
当該電極(符号21)として環状電極を用いる場合、噴霧したバインダ液滴が、当該環状電極のリング内に形成される電場を通過するように、電極を固定し設置することが好適である。
具体的には、環状電極のリング面が、スプレーノズル噴射方向と垂直になる角度であって、且つ、底面視でスプレーノズルの噴霧口が環状電極のリングの中心にくる位置に、電極を固定することが望ましい。
当該電極(符号21)の固定手段として実際の製品形態では、図4に示すような‘外部電極’の実施態様を採用できる。当該態様では、液滴噴霧手段とは別途に、電極が固定設置された形態となる。
また、別の製品態様としては、図5に示すような‘内部電極’の態様を採用することもできる。当該態様では、電極と液滴噴霧手段とが一体化して固定された形態となる。
当該誘導帯電手段としては、ノズル電流アース手段を備えていることが必須となる。当該ノズル電流アース手段は、電線ケーブル(符号28)を主たる構成要素とする手段であって、一端を接地し(符号30)、且つ、他端を前記バインダ液滴噴霧手段と接続してなる構造をしたものである。
スプレーノズル及びスプレーノズル近傍のバインダ供給管は、電極からの電場により電荷の分極である誘導帯電(静電誘導又は誘電分極)が発生してしまうため、当該電位を地面に接地することにより、発生する電流(ノズル電流)をアースすることが必要となる(図7(B) 参照)。これにより、継続的にバインダ液滴を誘導帯電することが可能となる。
なお、ここで、静電誘導及び誘電分極とは、いずれも誘導帯電現象を指す用語である。‘静電誘導’とは、電場がかかる対象物質が電導体(金属等)の場合に、電子分極が誘導(誘導帯電)される現象を指す。一方、‘誘導分極’とは、電場がかかる対象物質が絶縁体(樹脂等)の場合に、当該絶縁体における電位分極が誘導(誘導帯電)される現象を指す。
なお、当該ノズル電流アース手段を有さない装置を仮定した場合、分極した電荷を地面に逃がすことができないため、スプレーノズルやバインダ供給管に電荷が蓄積し過ぎて、バインダ液滴への誘導帯電が停止してしまう(図7(C) 参照)。この場合、継続的なバインダ液滴への誘導帯電を行うことができなくなり好適でない。
ノズル電流用の電線ケーブルとしては、ノズル電流自体が微弱な電流であるため、通常の電線ケーブル(低電圧用電線ケーブル)を使用することが可能である。
当該ケーブルの一端は、地面に接地(アース)されてなるものである。また、他端(反対端)は、スプレーノズル又はバインダ供給管の外表面(特に金属部分)に接続されてなるものである。
なお、ノズル電流の発生を確認するために、電流計(符号29)を設置することも好適である。
・乾燥手段
本発明に係る湿式造粒装置は、造粒後の顆粒に対する乾燥手段を備えた装置であるとより好適である。当該乾燥手段は、上記造粒容器に装備されていることが好適である。
当該乾燥手段としては、送風による乾燥を可能とする手段を挙げることができる。好ましくは、加温空気や除湿空気を送風する手段であることが好適である。当該乾燥手段は、上記した送風手段により実現可能とすることが望ましい。
乾燥に用いる加温空気の温度としては、30〜100℃、好ましくは32〜95℃、より好ましくは35〜90℃、さらに好ましくは37〜85℃、特に好ましくは40〜80℃、の空気を挙げることができる。当該温度が高いほど乾燥効果は高くなるが、その反面、顆粒の品質劣化が生じやすくなる。
また、乾燥に用いる空気としては、湿度が低いものであることが好適である。例えば、相対湿度50%(R.H.)以下、好ましくは45%(R.H.)以下、より好ましくは40%(R.H.)以下、さらに好ましくは35%(R.H.)以下、特に好ましくは30%(R.H.)以下、もっと好ましくは25%(R.H.)以下、一層好ましくは20%(R.H.)以下、の空気を挙げることができる。
当該装置により造粒を行って得た顆粒では、乾燥に必要な時間としては、通常の湿式造粒に比べて、大幅に少ない時間での完了が可能となる。また、当該顆粒は、加熱乾燥による品質劣化が顕著に抑制されたものとなる。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明の範囲はこれらにより限定されるものではない。
[実施例1]『誘電帯電バインダ液滴を利用した流動層造粒』
バインダ液滴を誘導帯電可能な流動層造粒装置を作製し、当該装置を用いて粉体の造粒を行った場合の造粒効率を調べた。
(1)「流動層造粒装置(バインダ液滴誘導帯電用の改造機)」
市販の流動層造粒乾燥機(FD-LAB-1, パウレック社製)を改造して、スプレーノズルの液滴噴霧口の近傍下側に、円環状のリング電極が設置固定された流動層造粒装置(符号1, 図1,2 参照)を作製した。
・造粒装置の概要
当該流動層造粒装置は、密封された空間である造粒容器(符号3, 図1,2 参照)を備えた造粒装置である。当該造粒容器の側面は、アクリル製透明樹脂(厚さ:10mm)にて形成されてなる外壁で覆われてなる。造粒容器側面の上端から約3/7の部分が略円柱状であり、上端部は内径250mmの円筒形である。また、下端から約4/7の部分は逆略断頭円錐形状であり、底部の内径は100mmである。
造粒容器の底には、底部メッシュ(整流板及び120メッシュのステンレス鉄鋼)が設置されており(符号4, 図1 参照)、当該底部メッシュの下には送風手段であるブロア(符号5, 図1,2 参照)が設置されている。当該ブロアは、送風管、コンプレッサー、除湿機、ヒーター、及び流量制御器により構成されてなり、送風口は前記底部メッシュの下に設置されている。当該ブロアからは、外部の除湿機により、除湿された空気(湿度40%(R.H.)以下)が流量制御器を通じて一定流量供給される。
そして、当該送風される空気により、造粒対象の粉体原料(符号6, 図1,2 参照)及び噴霧されたバインダ液滴(符号7, 図1 参照)は、造粒容器内で流動層(符号2, 図1 参照)を形成する。
造粒容器の天井は、4本のバッグフィルタ(符号8, 図1,2 参照)を備えた装置上蓋(符号9, 図1,2 参照)によって密閉されてなる。造粒容器内を循環した空気は、空気排出手段である当該フィルタを通して、排気ダクト(符号10, 図1,2 参照)を介して外部に排出される。
当該装置は、造粒容器側面の上端から約1/3の外壁には、バインダ供給管用の挿入孔が穿ってあり、バインダ供給管(材質:ステンレス鉄鋼製、形状:L字形状、外径:13.6mm、全長:約150mm、符号11, 図1,3 参照)が挿入されてなる。
当該バインダ供給管は、挿入孔を除いては内壁に接触することなく造粒容器の中心に向かって水平方向に架管され、中心付近にて下方向に向かって垂れ下がるように延設されてなる。当該供給管の下端は、造粒容器の上端から約1/2の位置にて終点となる。当該終点部分には、下方向に向かってスプレーノズル(二流体ノズル、口径:1.0mm、符号12, 図1,3 参照)が接続されている。
噴霧されるバインダ溶液は、外部に設置したマグネティックホットスターラー付のバインダ溶液保持容器(符号16, 図1 参照)にて撹拌維持されている。当該溶液は、外部のペリスタポンプ(符号15, 図1 参照)により、樹脂製チューブであるバインダ導入管(符号14, 図1 参照)を介して、圧縮空気とともにバインダ供給管に供給される。最終的には、スプレーノズルの先端(バインダ液滴噴霧口、符号13, 図1,3 参照)から下方向に、噴霧する液滴の軌跡が扇形になるように噴霧される。なお、当該圧縮空気の流量は、圧力制御器により制御される。
・誘電帯電手段
当該装置は、スプレーノズル先端の近傍下側に、帯電誘電手段である円環状のリング電極(材質:銅製、リング内径:10mm、リング外径:14mm、符号21, 図1,3 参照)を、当該ノズルや液滴供給管とは接触しない位置に設置されてなる。
当該リング電極の設置態様としては、当該電極のリング形成面が噴霧方向に対して水平であって、且つ、当該ノズルの下端が当該リング形成面の中心付近に位置するように、固定設置された状態である。
当該構成により、噴霧されるバインダ液滴は、当該リング電極に触れることなくリング内を通過し、誘導帯電された微細な液滴となって造粒容器内を浮遊流動する。
当該装置は、造粒容器側面の外壁に、高電圧用電線ケーブルを挿入する孔が穿ってあり、高電圧用電線ケーブル(符号22, 図1,2 参照)が挿入されている。
当該高電圧用電線ケーブルの一端は、造粒容器内に設置固定した絶縁金属棒(熱収縮チューブにて外周が絶縁された銅製金属棒、符号23, 図1,3 参照)を介して、リング電極に接続されている。当該絶縁金属棒は、絶縁素材で成型されてなる保持具(符号25, 図3 参照)によってバインダ供給管に固定されている。
当該高電圧用電線ケーブルの反対端は、10MΩの保護抵抗器(符号44, 図1 参照)を介して外部の高電圧印加装置(HMBR-30R0.4, 松定プレシジョン社製、符号26, 図1 参照)及び制御回路に接続されている。さらに、当該高電圧印加装置からは、通常の低電圧用電線ケーブルを介して地面に接地(アース、符号27, 図1 参照)されている。
当該装置の造粒容器側面には、上記高電圧ケーブル用の挿入孔とは別に、ノズル電流用電線ケーブル用の挿入孔が穿ってあり、ノズル電流用の電線ケーブル(低電圧用電線ケーブル、符号28, 図1 参照)が挿入されている。当該ノズル電流用電線ケーブルの一端は、造粒容器内に設置した前記ノズルの外周部分に接続されている。当該ケーブルの反対端は、電流計(符号29, 図1 参照)を介して地面に接地(アース、符号30, 図1 参照)されている。
(2)「造粒処理」
上記流動層造粒装置を用いて、バインダ液滴に高電圧印加しながらの粉体造粒を行った。原料粉体として、コーンスターチ80質量部、デキストリン20質量部の割合で均一に混合した粉体試料を調製した。当該粉体の体積中位径D50の値は18.2±0.1μm、含水率は9.2%(w.b.)であった。ここで、コーンスターチとしては、日本コーンスターチ株式会社製のホワイトを用いた。また、デキストリンとしては、三和澱粉工業株式会社製のサンデック♯70 (DE:6〜8)を用いた。
得られた粉体試料(1,000g (908g乾重))を30℃に加温した後、上記流動層造粒装置の造粒容器(予熱済)の中に投入して3分間の予備流動を行った。なお、ブロアからは、80℃に加温した空気を流量0.5m/分(20℃換算、大気圧)で送風した。当該空気は、水分の気化熱や外部への熱放出により降温するため、造粒容器内の温度は30℃(造粒に適した温度)となった。
流動中の当該粉体試料は、壁面(アクリル製樹脂)との接触により摩擦帯電(自然帯電)し、負電荷(−)に帯電した粉体が造粒容器内を浮遊流動している状態となった。
噴霧するバインダ溶液としては蒸留水を用いた。蒸留水の温度が一定となるように外部に設置したマグネティックホットスターラー装置にて30℃で撹拌しながら維持し、外部のペリスタポンプによりバインダ導入管及び供給管を介して、スプレーノズル先端から下方向に噴霧した。バインダの供給速度は20g/分として、10分間(200g相当)又は15分間(300g相当)の噴霧を行った。当該噴霧液滴は、平均粒径が10〜50μmの微細な液滴となった。
噴霧されたバインダ液滴への誘導帯電は、高電圧印加装置を用いて下記表に示す各電圧条件(-4.5〜+3.0kV)にて行った。噴霧されたバインダ液滴は、リング電極周囲に形成された電界を通過する際に誘導帯電され、この際に当該液滴は正電荷(+)又は負電荷(−)に帯電した液滴となる。当該液滴は、造粒容器内を浮遊流動している状態となった。
(3)「顆粒成長の解析」
上記造粒条件での造粒処理を行い、所定のバインダ量(g/g(粉体乾重))の噴霧が完了した時点で各造粒を終了させた。そして、含水率7.5%(w.b.)になるまで流動層乾燥を行った。
乾燥処理後、レーザー回析散乱粒度分布計(LS 13 320, ベックマンコールター株式会社)を用いて、試料の屈折率を1.6として乾式測定により粒度分布を測定した。得られた測定結果から、各乾燥粉体試料の「体積中位径D50(μm)」及び「径40μm以下の微粉含量(%)」を算出した。体積中位径の結果を表1及び図9に、微粉含量の結果を表2及び図10に、それぞれ示した。また、D50値を体積値に換算して、「通常造粒した粉体(対照)を1とした相対値」を算出し、表3及び図11に示した。
その結果、負電荷に摩擦帯電させた粉体試料に対して、印加電圧-3.0kVにてバインダ液滴を正電荷に誘導帯電させた場合(試験2)、液滴0.33g/g(粉体乾重)を噴霧した時点でのD50値は、対照(試験3)の約1.36倍である約75μmに増大することが示された(表1, 図9 参照)。また、φ40μm微粉含有率は、対照の約7.7割である約35%に減少することが示された(表2, 図10 参照)。また、粉体の体積は、対照の約2.52倍に増加していると推測された(表3, 図11 参照)。
また、印加電圧をさらに高くして、-4.5kVにしてバインダ液滴を正電荷に誘導帯電した場合(試験1)、液滴0.33g/g(粉体乾重)を噴霧した時点でのD50値は、対照の約1.85倍である約102μmに増大することが示された(表1, 図9 参照)。また、φ40μm微粉含有率は、対照の約6割である約27%に減少することが示された(表2, 図10 参照)。また、粉体の体積は、対照の約6.33倍に増加していると推測された(表3, 図11 参照)。
それに対して、粉体試料と同じ電荷であるバインダ液滴を負電荷に誘導帯電させた場合(試験4:比較)、対照と同じ量のバインダ液滴を噴霧しても造粒がほとんど起こらなかった(表1〜3, 図9〜11 参照)。
(4)「考察」
a) 以上の知見から、負電荷に摩擦帯電させた粉体原料に対して、バインダ液滴には逆の正電荷を誘導帯電させて流動層造粒を行うことにより、通常の流動層造粒を行うより少ないバインダ量を噴霧しただけで、極めて効率的な造粒が可能となることが示された。即ち、バインダ使用量の削減や噴霧時間の短縮が可能となることが示された。
その原理は、帯電した粉体粒子とバインダ液滴との間に働く静電気力により、両者の衝突確率が向上し、これにより奏される効果であると推測された。
b) また、印加電圧を高く設定することによって、顆粒形成が起こり易くなり、造粒効率が向上することが示された。その原理は、印加電圧が高い程、粉体と液滴との間の静電気的相互作用が強くなるためと推測された。
c) また、造粒初期であるほど、顆粒形成が起こり易く効率的な造粒が可能となることが示された。その原理は、粉体の粒子径が小さい時ほど、粉体と液滴との間の静電気的相互作用が起こり易いためと推測された。
本発明に係る湿式造粒技術は、食品分野ではインスタントスープ及び飲料などの造粒に用途が期待される。医薬品分野では顆粒状薬剤の製造および打錠抹の造粒に用途が期待される。さらに、農薬、飼料の製造、鉱工業における原材料調製等に用途が見込される。
1: 誘導帯電バインダ液滴を利用した流動層造粒装置
2: 流動層
3: 造粒容器
4: 底部メッシュ
5: ブロア(送風手段)
6: 粉体原料
7: バインダ液滴
8: バッグフィルタ
9: 装置上蓋
10: 排気ダクト(排気管)
11: バインダ供給管
12: スプレーノズル
13: スプレーノズルの先端(バインダ液滴噴霧口)
14: バインダ導入管
15: 駆動手段(ペリスタポンプ)
16: バインダ溶液保持容器(マグネティックホットスターラー付き)
17: 電極キャップ取り付け台座
18: 電極位置調整コマ
19: 電極キャップ
20: 電極キャップ取り付けねじ
21: 環状電極(バインダ液滴誘導帯電用電極)
22: 電圧印加用電線ケーブル(高電圧用電線ケーブル)
23: 絶縁金属棒
24: リード線
25: 保持具
26: 電圧印加装置(高電圧印加装置)
27: 接地面(放電時のアース)
28: ノズル電流用電線ケーブル(低電圧用電線ケーブル)
29: 電流計
30: 接地面(ノズル電流用のアース)
31: 造粒容器内壁
32: 帯電した造粒容器内壁
33: 帯電した粉体原料
34: 粉体原料接触帯電用電極
35: 電源
36: 接地面(放電時のアース)
37: 容器壁分極用電極
38: 分極した容器壁(内壁:負電荷、外壁:正電荷)
39: イオン化した空気(負電荷に帯電した空気)
40: エアイオナイザ
41: 送風口
42: 送風管
43: コンプレッサー
44: 保護抵抗器
45: 放電用電線ケーブル(低電圧用電線ケーブル)
51: 液膜
52: 誘導帯電されていないバインダ液滴
53: 誘導帯電されたバインダ液滴
54: 電圧が印加されていないバインダ液滴誘導帯電用電極
55: 電圧が印加されたバインダ液滴誘導帯電用電極
56: 静電誘導により誘導された電子

Claims (12)

  1. 下記(A)〜(C)の工程を含むことを特徴とする、粉体の顆粒形成を行うための湿式造粒方法。
    (A): 粉体原料を帯電させる工程。
    (B): バインダ液滴を前記粉体原料とは逆の極性の電荷に誘導帯電させる工程。
    (C): 前記(A)工程で得られた粉体及び前記(B)工程で得られたバインダ液滴を、接触させることで造粒を行い、前記粉体の顆粒を形成させる工程。
  2. 前記バインダ液滴が、平均粒径5〜100μmの微細な水溶性液滴である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記(B)に記載の工程が、電極に1〜100 kVの正又は負の電圧を印加し、前記電極から形成される電場を通過するようにバインダ液滴を噴霧することにより、誘導帯電させる工程である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記(B)に記載の工程が、環状電極に1〜100 kVの正又は負の電圧を印加し、前記環状電極のリング内に形成される電場を通過するようにバインダ液滴を噴霧することにより、誘導帯電させる工程である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記(A)に記載の工程が、樹脂製素材からなる容器内壁に、含水率30%(w.b.)以下となっている粉体原料を摩擦接触させて帯電させる工程である、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記(C)に記載の工程が、前記(A)工程で得られた粉体及び前記(B)工程で得られたバインダ液滴が浮遊流動している流動層において行われるものである、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 粉体の顆粒形成を行うための湿式造粒装置であって、;(a)造粒容器と、(b)粉体原料に対する接触帯電手段と、(c)バインダ液滴噴霧手段と、(d)バインダ液滴に対する誘導帯電手段と、を備えてなることを特徴とする、;粉体の顆粒形成を行うための湿式造粒装置。
  8. 前記(c)に記載のバインダ液滴噴霧手段が、バインダ供給管の先端に、平均粒径5〜100μmの微細な水溶性液滴の噴霧が可能なスプレーノズルを有するものである、請求項7に記載の装置。
  9. 前記(d)に記載の誘導帯電手段が、i) 電圧印加装置と、ii) 高電圧用電線ケーブルと、iii) 前記高電圧用電線ケーブルを介して前記電圧印加装置に接続された電極と、iv) 一端が前記(c)に記載のバインダ液滴噴霧手段に接続され且つ他端が地面に接地された電線ケーブルと、からなるものであって、;
    前記 iii)に記載の電極の固定位置が、前記(c)に記載のバインダ液滴噴霧手段の噴霧口先端から1〜100 mm離れた位置であり、且つ、前記噴霧口先端から噴霧されるバインダ液滴が当該電極から形成される電場を通過する位置である、;請求項7又は8に記載の装置。
  10. 前記(d)に記載の誘導帯電手段における前記 iii) に記載の電極が、環状電極であり、;且つ、当該環状電極の固定位置が、前記(c)に記載のバインダ液滴噴霧手段の噴霧口先端から1〜100 mm離れた位置であり、且つ、前記噴霧口先端から噴霧されるバインダ液滴が当該環状電極のリング内に形成される電場を通過する位置である、;請求項9に記載の装置。
  11. 前記(a)に記載の造粒容器の内壁の一部又は全部が、樹脂製素材からなるものである、請求項7〜10のいずれかに記載の装置。
  12. 前記湿式造粒装置が、流動層造粒装置である、請求項7〜11のいずれかに記載の装置。
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