JP2015101774A - 特殊形状電着物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】特殊形状電着物の緑色化および黒色化を抑制できる特殊形状電着物の製造方法を提供する。
【解決手段】電解槽1に、表面を絶縁物でマスキングした特殊カソード4とともに、マスキングが施されていない一般カソード3を分散して挿入して電解を行う。特殊カソード4とともに一般カソード3を挿入することで、電解槽1に挿入されたカソード3、4全体の電着面積が増加し電流密度が低下する。また、カソード3、4ごとの電流密度のバラツキが小さくなる。その結果、電流密度の高いカソード3、4の発生を抑制でき、特殊形状電着物の緑色化および黒色化を抑制できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、特殊形状電着物の製造方法に関する。さらに詳しくは、表面を絶縁物でマスキングした母板をカソードとして用いて電解することにより特殊形状の電着物を製造する方法において、電着物が緑色化または黒色化することを防止する方法に関する。
ニッケルの電解採取においては、まず、ニッケルとは別種の金属であって繰り返し使用できる材質(例えば、ステンレスやチタン等)の母板をカソードとして用い、ニッケルを厚さ0.5〜0.7mmまで電着させ、剥ぎ取ったニッケル板を成形して種板を得る。つぎに、この種板をカソードとして用い、その表面にニッケルを電着させて厚さ10〜15mmの電気ニッケル板を得る。得られた電気ニッケル板を25〜100mm角の角形に切断して製品としている。
メッキ用のアノードとして電気ニッケルを用いる場合、電気ニッケルはメッキ装置のチタン製アノードボックス等に充填される。角形の電気ニッケル製品は角部が鋭いため、アノードボックスへの投入時に作業員が手を切らないように気をつける必要がある。また、電気ニッケル製品の角部がアノードボックスの網目に引っかかる、いわゆる棚張りを起こすと、均一に充填できずメッキむらの一因となる。
このような問題を解消するために、鋭い角部のない半球状や半楕円形状といった特殊形状の電気ニッケル製品が実用化されている。特殊形状電気ニッケルは、母板の表面を絶縁物でマスキングして任意の形状(例えば円形)の電着部を形成し、その母板をカソードとして用いて電解採取することで得られる(例えば、特許文献1)。
特開2002−302787号公報
上記のような特殊形状電着物の製造において、一部の電着物が緑色化または黒色化してしまう場合がある。この場合、品質規格を満たさず製品とならないため、歩留まりが低下するという問題がある。
本発明は上記事情に鑑み、特殊形状電着物の緑色化および黒色化を抑制できる特殊形状電着物の製造方法を提供することを目的とする。
第1発明の特殊形状電着物の製造方法は、電解槽に、表面を絶縁物でマスキングした特殊カソードとともに、マスキングが施されていない一般カソードを挿入して電解を行うことを特徴とする。
第2発明の特殊形状電着物の製造方法は、第1発明において、前記電解槽に、複数の前記特殊カソードとともに、複数の前記一般カソードを挿入するにあたり、該一般カソードを分散して挿入することを特徴とする。
第1発明によれば、特殊カソードとともに一般カソードを挿入することで、電解槽に挿入されたカソード全体の電着面積が増加し電流密度が低下する。また、カソードごとの電流密度のバラツキが小さくなる。その結果、電流密度の高いカソードの発生を抑制でき、特殊形状電着物の緑色化および黒色化を抑制できる。
第2発明によれば、一般カソードを分散して挿入することで、カソードごとの電流密度のバラツキがより小さくなる。その結果、電流密度の高いカソードの発生を抑制でき、特殊形状電着物の緑色化および黒色化を抑制できる。
本発明の一実施形態に係る特殊形状電着物の製造方法における電解槽の状態を示す側面図である。 電気ニッケルの製造設備の説明図である。 一般カソードの正面図である。 特殊カソードの正面図である。 実施例1におけるカソードごとの電流値を示すグラフである。 実施例2におけるカソードごとの電流値を示すグラフである。 比較例1におけるカソードごとの電流値を示すグラフである。
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図2に示すように、電気ニッケルの製造設備には、複数槽(例えば数十槽)の電解槽1が備えられている。その複数の電解槽1のうちの一部(例えば数槽、図2において斜線が施された電解槽1)が特殊形状電気ニッケルの製造に用いられ、残りが角形の電気ニッケル製品の製造に用いられる。整流器2を電解槽1ごとに設けると設備コストが高くなることから、これらの電解槽1は直列に接続されており共通の整流器2から給電されている。そのため、全ての電解槽1に流れる電流は同一となっている。
各電解槽1には、ニッケルを含む電解液、例えば塩化ニッケル溶液が流入している。また、各電解槽1には、それぞれ50枚程度のアノードとカソードが交互に挿入されており、電解液中に浸漬されている。アノード、カソード間に通電すると、電解液中のニッケルがカソードに電着し電気ニッケルが得られる。
図3に示すように、角形の電気ニッケル製品の製造に用いられるカソード3は、四角形の種板31にピンセット状の二又に加工したカソード吊手33をスポット溶接で取り付け、このカソード吊手33にカソードビーム32を通して形成されており、カソードビーム32によって種板31を吊り下げるようになっている。種板31は、ステンレス製あるいはチタン製の四角形の母板をカソードとして用い、ニッケルを厚さ0.5〜0.7mmまで電着させ、剥ぎ取ったニッケル板を成形して得られる。
カソード3を電解槽1に挿入し通電すると、その表面全体にニッケルが電着する。厚さ約10〜15mmの電気ニッケル板が得られた後に25〜100mm角の角形に切断することで、角形の電気ニッケル製品が製造される。なお、本明細書では、カソード3のようにマスキングが施されていないカソードを「一般カソード」と称する。
図4に示すように、特殊形状電気ニッケルの製造に用いられるカソード4は、ステンレス製あるいはチタン製の四角形の母板41と、銅製のビーム42と、それら母板41とビーム42とを接続するリボン43とからなる。リボン43と母板41およびビーム42とは溶接で固定されている。マスキング装置で母板41に絶縁物(絶縁性樹脂)44を塗布することにより、多数の円形の電着部45を有するパターンで母板41がマスキングされる。
カソード4を電解槽1に挿入し通電すると、円形の電着部45のみにニッケルが電着するため、半球状の電気ニッケル、すなわち特殊形状電気ニッケルを得ることができる。なお、本明細書では、カソード4のように表面を絶縁物でマスキングしたカソードを「特殊カソード」と称する。また、特殊形状電気ニッケルは特許請求の範囲に記載の「特殊形状電着物」に相当する。
上記特殊形状電気ニッケルの製造において、一部の特殊形状電気ニッケルが緑色化または黒色化してしまう場合がある。その原因は以下の通りであると考えられる。
特殊カソード4はマスキングを施すことにより一般カソード3よりも電着面積が減少している。一方、特殊形状電気ニッケル用の電解槽1と角形電気ニッケル用の電解槽1に流れる電流は同一である。したがって、特殊カソード4は一般カソード3に比べて電流密度が高くなる。特に、絶縁物のマスキング状態が悪く一部の電着部45が潰れてしまっている場合には、さらに電着面積が減少し、より電流密度が高くなる。この場合、特殊形状電気ニッケルが緑色化または黒色化してしまう。
特殊形状電気ニッケルの電解採取において、通電の初期段階では、特殊カソード4の近傍領域に存在する電解液中のニッケルが急速に特殊カソード4に引き付けられ、その領域の電解液のニッケル濃度が低くなる。ここで、特殊カソード4の電流密度が高すぎると、電解液中の水素イオンが電子を獲得して水素が発生し、局所的に電解液のpHが高くなる。そうすると、水酸化ニッケルが生成される。その結果、水酸化ニッケルとメタルニッケルの混合物が特殊カソード4に電着する。水酸化ニッケルとメタルニッケルの混合物割合により緑色または黒色となり、これが特殊形状電気ニッケルの緑色化または黒色化の原因となる。
なお、ある程度の通電時間が経過すると沖合領域(特殊カソード4から離れた領域)に存在する電解液から特殊カソード4に向かってニッケルが供給され、特殊カソード4の近傍領域におけるニッケル濃度が安定する。そのため、水酸化ニッケルが生じることがなく、メタルニッケルのみが電着することとなる。このように、通電初期にのみ水酸化ニッケルが電着するため、特殊形状電気ニッケルは特殊カソード4の電着部45に接している部分のみが緑色化または黒色化し、その他の部分は着色しない。
本願発明者は、特殊カソード4の電流密度が1,300A/m2以上となると、特殊形状電気ニッケルが緑色化または黒色化するという知見を得ている。そこで、本願発明者は、特殊カソード4の電流密度を下げることで特殊形状電気ニッケルの緑色化および黒色化を抑制できると考えた。
しかし、前述のごとく、電気ニッケルの製造設備に備えられる複数の電解槽1には、特殊形状電気ニッケル用の電解槽1にも、角形の電気ニッケル製品用の電解槽1にも同一の電流が流れており、各電解槽1において電流を制御することはできない。そこで、電解槽1に挿入されている複数の特殊カソード4のうちの一部を一般カソード3に差し替えることにより、特殊カソード4の電流密度を下げることができることを見出した。
具体的には、図1に示すように、電解槽1に特殊カソード4を複数挿入して電解採取することで特殊形状電気ニッケルを製造する工程において、複数の特殊カソード4とともに、一または複数の一般カソード3を挿入して電解を行う。一般に、電解槽1に挿入されるカソードの数(例えば52枚)は定められているので、そのうちの一部(例えば5枚)を一般カソード3に差し替えることとなる。なお、図1において、アノードは省略されている。アノードはカソード3、4の間に挿入されている。
このように、特殊カソード4とともに電着面積の広い一般カソード3を挿入することで、電解槽1に挿入されたカソード3、4全体の電着面積が増加し、電解槽1に流れる電流を一定としたままカソード3、4の電流密度を下げることができる。電解槽1の流れる電流を個別に制御する必要はないため、整流器2を増設する必要がなく設備コストを抑えることができる。
また、本願発明者は、特殊カソード4とともに一般カソード3を挿入することで、カソード3、4ごとの電流密度のバラツキが小さくなるという知見を得ている。その結果、電流密度の高い特殊カソード4の発生を抑制でき、特殊形状電気ニッケルの緑色化および黒色化を抑制できる。
また、一般カソード3は分散して挿入することが好ましい。すなわち、一般カソード3を連続してまとめて挿入せず、一般カソード3の間に数枚の特殊カソード4を挟むように配置することが好ましい。
本願発明者は、一般カソード3を分散して挿入することで、カソード3、4ごとの電流密度のバラツキがより小さくなるという知見を得ている。その結果、電流密度の高い特殊カソード4の発生を抑制でき、特殊形状電気ニッケルの緑色化および黒色化を抑制できる。
なお、一般カソード3の枚数を多くするほど、カソード3、4全体の電着面積が増加し、カソード3、4の電流密度を下げることができる。しかし、特殊カソード4の枚数が少なくなるため、特殊形状電気ニッケルの生産量が減少する。そのため、一般カソード3の枚数は、特殊形状電気ニッケルの緑色化および黒色化を抑制できる最低限の枚数とすることが好ましい。
上記では、特殊形状電気ニッケルの製造方法を例に説明したが、ニッケル以外の電着物にも適用できる。また、電着物の形状は特に限定されず、半球状以外であってもよい。さらに、電解採取に限られず電解精製にも適用できる。
つぎに、実施例を説明する。
(共通の条件)
アノード53枚、カソード52枚が挿入される電解槽を用いて特殊形状電気ニッケルの製造を行った。電解条件等は以下の通りである。
・電解液:ニッケル濃度70〜95g/L、給液pH1.95〜2.05
・通電時間:84時間
・電解槽1槽当たりの電流:24kA
・特殊カソードの電着面積(両面合わせて):0.54m2
・一般カソードの電着面積(両面合わせて):1.56m2
(実施例1)
カソード52枚のうち、5枚を一般カソードに差し替え、残りの47枚を特殊カソードとした。この際、一般カソードを分散して配置した。
図5に各カソードに流れる電流値を示す。なお、図5において■マークは特殊カソード、○マークは一般カソードを示す。電流値の最大値は509A、最小値は367A、標準偏差は27Aであった。
特殊カソードの電着面積は0.54m2であることから、特殊カソード1枚当たりの電流値が約700Aを超えると、電流密度が1,300A/m2を超えることとなる。実施例1では電流値の最大値が509Aであり、電流密度が1,300A/m2を超える特殊カソードは存在しなかった。また、電解の後、製造された特殊形状電気ニッケルを確認しても緑色化または黒色化したものは発見されなかった。
(実施例2)
カソード52枚のうち、5枚を一般カソードに差し替え、残りの47枚を特殊カソードとした。この際、一般カソードを電解槽の中央にまとめて配置した。
図6に各カソードに流れる電流値を示す。なお、図6において■マークは特殊カソード、○マークは一般カソードを示す。電流値の最大値は516A、最小値は384A、標準偏差は33Aであった。
一般カソードをまとめて配置した場合でも、電流値の最大値は516Aであり、電流密度が1,300A/m2を超える特殊カソードは存在しなかった。また、電解の後、製造された特殊形状電気ニッケルを確認しても緑色化または黒色化したものは発見されなかった。これより、52枚のカソードの内の5枚を一般カソードに差し替えることで、特殊形状電気ニッケルの緑色化、黒色化を解消できることが確認された。
実施例1と実施例2を比較すると、一般カソードを分散して配置した実施例1の方が、電流値の標準偏差が小さいことが分かる。このことから、一般カソードを分散して挿入することで、カソードごとの電流密度のバラツキがより小さくなることが確認された。これより、電流密度の高いカソードの発生をさらに抑制でき、特殊形状電気ニッケルの緑色化および黒色化をさらに抑制できることが確認された。
(比較例1)
52枚の全てのカソードを特殊カソードとした。
図7に各カソードに流れる電流値を示す。電流値の最大値は755A、最小値は204A、標準偏差は97Aであった。
電流値が700Aを超え、電流密度が1,300A/m2を超える特殊カソードが存在した。また、電解の後、製造された特殊形状電気ニッケルを確認すると、約30%の製品に緑色化または黒色化が発見された。
実施例1、2は、比較例1よりも電流値の標準偏差が小さいことが確認された。このことから、特殊カソードの一部を一般カソードに差し替えることで、電流密度が低下する効果に加えて、電流密度のバラツキが小さくなる効果もあることが確認された。
1 電解槽
2 整流器
3 一般カソード
31 種板
32 カソードビーム
33 カソード吊手
4 特殊カソード
41 母板
42 ビーム
43 リボン
45 電着部

Claims (2)

  1. 電解槽に、表面を絶縁物でマスキングした特殊カソードとともに、マスキングが施されていない一般カソードを挿入して電解を行う
    ことを特徴とする特殊形状電着物の製造方法。
  2. 前記電解槽に、複数の前記特殊カソードとともに、複数の前記一般カソードを挿入するにあたり、該一般カソードを分散して挿入する
    ことを特徴とする請求項1記載の特殊形状電着物の製造方法。
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