JP2015102307A - 空調制御システム及び空調制御方法 - Google Patents

空調制御システム及び空調制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】効率的かつ柔軟に快適度の改善を図ることが可能な空調制御システム及び空調制御方法を提供する。
【解決手段】室内の空調を行う空調手段と、前記空調手段による空調に対する対象者の快適さの度合いである快適度を検出する快適度申告ダイヤルと、対象者の快適度が改善するように、前記空調手段の運転状態を調節するパソコンと、を具備する空調制御システムであって、パソコンは、対象者の快適度と、当該快適度に影響を与える前記空調に関する要因と、の関係を学習し、学習した対象者の快適度と前記空調に関する要因との関係から対象者の快適度を改善することが可能な前記空調手段の運転状態の希望値を算出し、前記希望値に、生体ゆらぎ理論に基づいて算出されたノイズを加算して前記空調手段の運転状態の目標値を算出し、前記空調手段の運転状態が前記目標値となるように制御する一連の空調制御を繰り返す。
【選択図】図2

Description

本発明は、対象者の快適度が改善するように空調手段の運転状態を調節する空調制御システム及び空調制御方法の技術に関する。
従来、対象者の快適度が改善するように空調手段の運転状態を調節する空調制御システム及び空調制御方法の技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
特許文献1には、居室環境を全体的に調整するアンビエント空調手段(アンビエント空調設備)と、居室環境を局所的に調整するタスク空調手段(タスク空調設備)と、を具備する空調制御システムが記載されている。タスク空調手段は、床に設けられた複数の吹出口から調整された空気を吹き出させることによって、局所的な空調を可能としている。
このように構成された空調制御システムでは、アンビエント空調手段による空調に加えて、タスク空調手段の任意の吹出口から空気を吹き出す局所的な空調を行うことによって、室内の温度分布のムラの抑制や、室内に在室している対象者(人)個々人の快適性に応じた空調を行うことができる。
また、特許文献1には、空調手段の運転状態(具体的には、タスク空調手段の吹出口の開閉)を、パソコン等の制御手段を用いて自動的に制御する構成とすることが可能な旨も記載されている。
しかしながら、特許文献1には、空調手段の運転状態の制御内容については具体的に記載されておらず、柔軟かつ効率的に対象者の快適度の改善を図る制御は困難である。
特開2011−2104号公報
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、効率的かつ柔軟に快適度の改善を図ることが可能な空調制御システム及び空調制御方法を提供することである。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、請求項1においては、室内の空調を行う空調手段と、前記空調手段による空調に対する対象者の快適さの度合いである快適度を検出する快適度検出手段と、前記対象者の快適度が改善するように、前記空調手段の運転状態を調節する制御手段と、を具備する空調制御システムであって、前記制御手段は、前記対象者の快適度と、当該快適度に影響を与える前記空調に関する要因と、の関係を学習し、学習した前記対象者の快適度と前記空調に関する要因との関係から前記対象者の快適度を改善することが可能な前記空調手段の運転状態の希望値を算出し、前記希望値に、生体ゆらぎ理論に基づいて算出されたノイズを加算して前記空調手段の運転状態の目標値を算出し、前記空調手段の運転状態が前記目標値となるように制御する一連の空調制御を繰り返すものである。
請求項2においては、前記制御手段は、前記対象者が複数いる場合には、前記空調に関する要因が各対象者の快適度に与える影響の大きさの度合いである影響度を算出し、前記影響度によって重み付けされた各対象者の快適度の平均値を算出し、当該快適度の平均値が最大となる前記希望値にノイズを加算して前記空調手段の運転状態の目標値を算出するものである。
請求項3においては、前記空調手段は、室内全体の空調を行うアンビエント空調手段と、前記対象者の周囲の局所的な空調を行うタスク空調手段と、を含み、前記制御手段は、前記アンビエント空調手段及び前記タスク空調手段の運転をそれぞれ個別に制御するものである。
請求項4においては、前記タスク空調手段の運転状態は、当該タスク空調手段が空調の際に放出する空気の風量を含むものである。
請求項5においては、前記制御手段は、前記対象者の快適度と、当該快適度に影響を与える前記空調に関する要因と、の関係を学習する際に、非線形重回帰分析を用いるものである。
請求項6においては、前記制御手段は、前記対象者の快適度が高いほど前記ノイズの分散が小さくなるように設定するものである。
請求項7においては、空調手段による空調に対する対象者の快適さの度合いである快適度が改善するように、前記空調手段の運転状態を調節する空調制御方法であって、前記対象者の快適度と、当該快適度に影響を与える前記空調に関する要因と、の関係を学習し、学習した前記対象者の快適度と前記空調に関する要因との関係から前記対象者の快適度を改善することが可能な前記空調手段の運転状態の希望値を算出し、前記希望値に、生体ゆらぎ理論に基づいて算出されたノイズを加算して前記空調手段の運転状態の目標値を算出し、前記空調手段の運転状態が前記目標値となるように制御する一連の空調制御を繰り返すものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
請求項1においては、対象者の快適度と当該快適度に影響を与える空調に関する要因との関係を学習することで、対象者の快適度を改善することができる運転状態を効率良く探索すると同時に、生体ゆらぎ理論を用いることで、対象者の快適度を改善することができる運転状態をノイズの範囲から柔軟に探索することができる。
請求項2においては、複数の対象者の快適度を同時に改善することができる。
請求項3においては、アンビエント空調手段とタスク空調手段を組み合わせて用いている場合にも、対象者の快適度が改善するような運転状態の制御を行うことができる。
請求項4においては、タスク空調手段の風量を制御することで、対象者の快適度の改善を図ることができる。
請求項5においては、対象者の快適度と当該快適度に影響を与える空調に関する要因との関係を適切に学習することができる。
請求項6においては、より効率的かつ柔軟に対象者の快適度の改善を図ることができる。
請求項7においては、対象者の快適度と当該快適度に影響を与える空調に関する要因との関係を学習することで、対象者の快適度を改善することができる運転状態を効率良く探索すると同時に、生体ゆらぎ理論を用いることで、対象者の快適度を改善することができる運転状態をノイズの範囲から柔軟に探索することができる。
本発明の実施の一形態に係る空調制御システムの全体的な構成を示した模式図。 (a)本実施形態に係る空調制御の処理を示したフローチャート。(b)学習の処理の詳細を示したフローチャート。 (a)快適度のうち、対象者の体感温度に関する項の内容の一例を示した図。(b)同じく、扇風機の風量が許容できる風量であるかに関する項の内容の一例を示した図。
まず、図1を用いて、本発明の実施の一形態に係る空調制御システム4の構成について説明する。
空調制御システム4は、部屋1の内部(室内)に在室している人(対象者2)の快適度が改善するように、室内の空調(空気調和)を行うものである。空調制御システム4は、主としてエアコン10・10、扇風機20、温度センサ30、快適度申告ダイヤル40及びパソコン50を具備する。
エアコン10・10は、本発明に係る空調手段及びアンビエント空調手段の実施の一形態である。エアコン10・10は、室内全体の空調を行うものである。エアコン10・10は、部屋1内の適宜の位置に配置される。エアコン10は、低温に冷却された空気(冷風)を吹き出すことが可能である。エアコン10は、冷風の吹き出しの有無を切り替えることにより、室内全体の温度を任意の温度に調節することができる。
扇風機20は、本発明に係る空調手段及びタスク空調手段の実施の一形態である。扇風機20は、室内に在室している対象者2の周囲の局所的な空調を行うものである。扇風機20は、対象者2の近傍に配置される。扇風機20は、その風量を「弱」(最も風が弱い)、「中」、「強」(最も風が強い)、又は「切」(送風を停止した状態)の4段階に変更することができる。また、扇風機20は、送風する方向を所定の範囲内で任意に変更(首振り)することができる。扇風機20の運転(すなわち、4段階の風量及び送風する方向)を適宜制御することで、対象者2の周囲の局所的な空調を任意に行うことができる。
温度センサ30は、部屋1内(室内)の温度を検出するものである。温度センサ30は、部屋1内で、扇風機20による空調の影響を受けない(扇風機20からの風を受けない)位置に配置される。
快適度申告ダイヤル40は、本発明に係る快適度検出手段の実施の一形態である。快適度申告ダイヤル40は、空調に関する要因に対する対象者2の快適度を検出するものである。
ここで「快適度」とは、対象者2が周囲の空調に関する要因(本実施形態においては、後述する(1)対象者2の体感温度及び(2)扇風機20の風量が許容できる風量であるか)から感じる快適さ(快感/不快感)の度合いを示すものである。対象者2が快適と感じるほど快適度は高く、対象者2が不快と感じるほど快適度は低いものとする。
快適度申告ダイヤル40は、対象者2が着座する机3の上に配置される。対象者2が、自らが周囲の空調に関する要因に対して感じている快適度を快適度申告ダイヤル40で指し示すことによって、当該対象者2の現在の快適度を検出することができる。
パソコン50は、本発明に係る制御手段の実施の一形態である。パソコン50は、対象者2の快適度が改善(向上)するように、エアコン10及び扇風機20の運転を制御するものである。パソコン50は、RAMやROM等の記憶部、CPU等の演算処理部等により構成され、種々の情報に基づいて所定の演算処理や記憶等を行うことができる。
パソコン50はエアコン10に接続され、当該エアコン10の運転状態を制御することができる。
パソコン50は扇風機20に接続され、当該扇風機20の運転状態を制御することができる。
パソコン50は温度センサ30に接続され、当該温度センサ30によって検出された室内の温度に関する情報を常時取得することができる。
パソコン50は快適度申告ダイヤル40に接続され、当該快適度申告ダイヤル40によって検出された対象者2の快適度に関する情報を常時取得することができる。
ここで、パソコン50によって制御されるエアコン10の「運転状態」とは、当該エアコン10によって調節される部屋1内の温度の目標値(設定値)を指すものとする。すなわち、エアコン10の運転状態(目標値)が設定されると、パソコン50は温度センサ30によって検出される部屋1内の温度が当該目標値になるように、エアコン10の運転を制御する。
また、パソコン50によって制御される扇風機20の「運転状態」とは、当該扇風機20の風量(「弱」、「中」、「強」又は「切」)、及び送風する方向(首振りの速度、頻度、角度等)を指すものとする。すなわち、扇風機20の運転状態(風量及び送風する方向)が設定されると、パソコン50は当該設定された運転状態に従って扇風機20の運転を制御する。
なお、図1においては、説明の便宜上、室内に対象者2が1名だけ在室している様子を図示しているが、本発明はこれに限るものではなく、2名以上の対象者2が在室していても良い。空調制御システム4は、部屋1に在室している全ての対象者2の快適度がそれぞれ改善するように、エアコン10及び扇風機20の運転状態を制御することが可能である。この場合、各対象者2に対応して快適度申告ダイヤル40が設けられる。
また、図1においては、説明の便宜上、室内に扇風機20が1台だけ設けられている様子を図示しているが、本発明はこれに限るものではない。例えば、扇風機20は、複数の対象者2にそれぞれ1台ずつ設けても良い。また、1台の扇風機20の送風する方向を変化させることによって複数の対象者2の空調を行っても良い。
次に、図2(a)を用いて、上述の如く構成された空調制御システム4による、部屋1内の空調(エアコン10及び扇風機20の制御)の様子(空調制御方法)について説明する。
空調制御システム4は、室内に在室している全ての対象者2の快適度がそれぞれ改善するように、各対象者2の快適度を常時検出し、当該快適度に基づいて空調機器(エアコン10及び扇風機20)の運転を自動的に制御する。この際、各対象者2の快適度がそれぞれ改善するような空調パターン(エアコン10及び扇風機20の運転状態の制御値の組み合わせ)を効率的かつ柔軟に探索するために、「学習」及び「生体ゆらぎ理論」が用いられる。以下、このような空調制御システム4による制御について順に説明する。
パソコン50による制御の前提として、初期状態においては、パソコン50はエアコン10及び扇風機20を所定の運転状態(初期値)に設定する。
図2(a)に示すステップS110において、パソコン50は、快適度申告ダイヤル40を用いて検出された室内に在室している各対象者2の快適度をそれぞれ取得する。
パソコン50は、当該ステップS110の処理を行った後、ステップS120に移行する。
ステップS120において、パソコン50は、各空調機器(エアコン10及び扇風機20)の運転状態の制御値(空調パターン)とステップS110で得られた各対象者2の快適度との組み合わせの履歴から、各対象者2の快適度と、当該快適度に影響を与える空調に関する要因と、の関係を学習すると共に、当該学習結果に基づいて各対象者2の快適度が高くなる各空調機器(エアコン10及び扇風機20)の運転状態の制御値の候補を算出する。
なお、ステップS120の処理内容の詳細については後述する。
パソコン50は、ステップS120の処理を行った後、ステップS130に移行する。
ステップS130において、パソコン50は、ステップS120における学習結果に基づいて、各空調機器(エアコン10及び扇風機20)の運転状態の実際の制御値(目標値)を決定する。
具体的には、ステップS120における学習結果に基づいて算出される各空調機器の運転状態の制御値に、生体ゆらぎ理論によるノイズを加算したものを、実際の制御値として決定する。
なお、ステップS130の処理内容の詳細については後述する。
パソコン50は、ステップS130の処理を行った後、ステップS140に移行する。
ステップS140において、パソコン50は、各空調機器の運転状態がステップS130において決定された制御値(目標値)になるように、各空調機器の運転を制御する。
空調制御システム4においては、上記ステップS110からステップS140までの一連の処理(当該一連の処理を単に「空調制御」と記す)を繰り返すことで、室内に在室している複数の対象者2の快適度がそれぞれ改善するように、空調機器を自動的に制御することができる。
この空調制御のステップS120において、各対象者2の快適度と、当該快適度に影響を与える空調に関する要因と、の関係を学習することで、各対象者2の快適度を改善することが可能な各空調機器の運転状態の制御値を効率的に探索することが可能となる。また、空調制御の繰り返しに伴って学習を繰り返すことで、当該学習の精度(確かさ)の向上が期待される。
また、空調制御のステップS130において、生体ゆらぎ理論を用いることで、ステップS120の学習の不確かさ等を考慮した柔軟な運転状態の制御値の探索が可能となる。
次に、図2(b)を用いて、ステップS120(学習)の処理内容について詳細に説明する。
ステップS121において、パソコン50は、ステップS110で得られた各対象者2の快適度と、当該快適度が得られた際の各空調機器の運転状態の制御値に基づいて、各対象者2の快適度と、当該快適度に影響を与える空調に関する要因と、の関係を非線形重回帰分析によって学習(算出)する。
ここで、本実施形態においては、各対象者2の快適度に影響を与える空調に関する「要因」を、(1)対象者2の体感温度、及び(2)扇風機20の風量が許容できる風量であるか、の2つに分類する。
上記要因(1)について、対象者2の体感温度は、部屋1内の温度から、対象者2が扇風機20の風を受けた際に体感温度が減少する減少値を差し引いたものとする。部屋1内の温度は、温度センサ30によって検出される。扇風機20による体感温度の減少値は、当該扇風機20の風量に応じた値が予めパソコン50に記憶される。例えば、風量が「弱」である場合には1.5(℃)、「中」である場合には2.3(℃)、「強」である場合には2.8(℃)、「切」である場合には0(℃)等と記憶される。
さらに、扇風機20は送風する方向を変更(首振り)することができるため、当該方向によっては対象者2に風が当たらない時間がある場合もある。このような場合には、上記体感温度の減少値の、風が対象者2に当たっている時間と当たっていない時間との重み付き平均値を算出し、当該重み付き平均値を減少値として用いる。例えば、扇風機20の風量が「強」で、対象者2に風が当たっている時間の割合が25(%)である場合、体感温度の減少値は2.8×25/100=0.7(℃)とする。
このようにして、対象者2の体感温度は、部屋1内の温度から、対象者2が扇風機20の風を受けた際の体感温度の減少値を差し引くことによって算出される。例えば、部屋1内の温度が25(℃)、扇風機20による体感温度の減少値が0.7(℃)であれば、体感温度は25−0.7=24.3(℃)となる。また、上述の如く扇風機20からの風が常時対象者2に当たっているわけではない(扇風機20が首振りしている)場合であっても、体感温度を算出することができる。
上記要因(2)について、体感温度だけではなく、扇風機20の風量自体が対象者2にとって許容できない場合も想定される。扇風機20の風量が対象者2にとって許容できない場合とは、例えば扇風機20の風量が強すぎて目が乾燥する場合や、扇風機20の風量が強すぎて書類が飛ばされそうになり作業が行い難くなる場合等が想定される。
パソコン50は、下記の数1に示すような、各対象者2の快適度と、当該快適度に影響を与える空調に関する要因と、の関係を学習(算出)する。
Figure 2015102307
上記数1に示すように、対象者2の快適度を回帰した関数は、上記要因(1)対象者2の体感温度に関する項(右辺の第1項)と、上記要因(2)扇風機20の風量が許容できる風量であるかに関する項(右辺の第2項)と、により構成される。
上記数1のうち、要因(1)対象者2の体感温度に関する項(右辺の第1項)では、ガウス関数に従って中心と分散を決定する。図3(a)は、当該右辺の第1項を模式的に図示したものである。
ここで、図3(a)に示すように、当該ガウス関数の中心は、対象者2が最も快適であると感じる時の体感温度(快適体感温度)である。
また、図3(a)に示すように、対象者2の体感温度の影響度(上記数1参照)が比較的小さい(ガウス関数の分散が大きい)ほど、幅広い体感温度において比較的高い快適度が得られる。一方、対象者2の体感温度の影響度が比較的大きい(ガウス関数の分散が小さい)ほど、高い快適度が得られる体感温度の範囲は比較的狭くなる。
このように、対象者2の体感温度の影響度とは、体感温度が対象者2の快適度に与える影響の大きさの度合いを表すものである。すなわち、対象者2の体感温度の影響度が大きい場合には、体感温度が変化すると快適度も急激に変化する。一方、対象者2の体感温度の影響度が小さい場合には、体感温度が変化すると快適度は比較的緩やかに変化する。
上記数1のうち、要因(2)扇風機20の風量が許容できる風量であるかに関する項(右辺の第2項)は、対象者2に対する扇風機20の風量が当該対象者2の許容風量を超えた場合にだけ、快適度から定数を差し引くことを意味している。例えば、図3(b)に示すように、学習によってある対象者2の許容風量が「中」であると判断された場合、当該対象者2に対する扇風機20の風量が「強」である(許容風量を超えている)場合には、上記数1の右辺の第2項の値は−Mとなる。すなわち、当該右辺の第1項の快適度から定数(M)を差し引くことになる。一方、対象者2に対する扇風機20の風量が「中」以下(「中」、「弱」又は「切」)である(許容風量以下である)場合には、上記数1の右辺の第2項の値は0となる。
パソコン50は、当該ステップS121の処理を行った後、ステップS122に移行する。
ステップS122において、パソコン50は、非線形重回帰分析の後処理を行う。
具体的には、下記の数2を用いて、各空調機器(エアコン10及び扇風機20)の運転状態の制御値の候補を算出する。
Figure 2015102307
ここで、上記数2に示すような条件を満たす(すなわち、全ての対象者2の予測快適度が一定の値を超える)各空調機器の運転状態の制御値の候補(組み合わせ)は複数パターン存在し得る。
例えば、(a)エアコン10の運転状態(目標値)が25(℃)で、かつ扇風機20の運転状態(風量)が「弱」で風が常に特定の対象者2に当たっている場合と、(b)エアコン10の運転状態が26(℃)で、かつ扇風機20の運転状態が「中」で風が常に特定の対象者2に当たっている場合とでは、当該対象者2の快適度は略同一になると考えられる。
よって本実施形態においては、上記数2を用いて、全ての対象者2の予測快適度が一定の値を超える各空調機器の運転状態の制御値の候補の集合を算出する。
パソコン50は、ステップS122の処理を行った後、ステップS120の処理を終了し、ステップS130(図2(a)参照)に移行する。
上述の如く、ステップS120(学習)の処理においては、各空調機器の運転状態の制御値及び取得した対象者2の快適度から、快適度と当該快適度に影響を与える要因との関係を学習する。このように、限られたデータから快適度と当該快適度に影響を与える要因との関係(数1参照)を学習して利用することで、効率的な快適度の改善を図ることができる。
次に、ステップS130(制御値の決定)の処理内容について詳細に説明する。
ステップS130において、パソコン50は、ステップS120における学習結果に基づいて各空調機器の実際の制御値(目標値)を算出(決定)する。
具体的には、パソコン50は、下記の数3を用いて、各空調機器の実際の運転状態の目標値を決定する。
Figure 2015102307
ここで、上記数3の第1式の右辺の第1項は、各対象者2の快適度が改善すると考えられる各空調機器の運転状態の制御値(以下、単に「希望値」と記す)である。具体的には、当該右辺の第1項は、各対象者2の体感温度の影響度の合計が1になるように正規化し、当該影響度により重み付けされた予測快適度の平均値が最大となるような制御値の候補を「希望値」として決定することを意味している。これによって、当該希望値は、各扇風機20の風量が各対象者2の許容風量以下で、かつ各対象者2の体感温度が当該各対象者2の快適体感温度に近くなるような値となる。
また、上記数3の第1式の右辺の第2項は、生体ゆらぎ理論(ゆらぎ)によるノイズである。
ここで、「生体ゆらぎ理論(ゆらぎ)」とは、状況の良さに応じてノイズの大きさを変更し、当該ノイズの範囲内から制御値を探索する手法である。
すなわち、状況が良い場合には小さなノイズを用いて、近傍(狭い範囲)から制御値を丁寧に探索する。一方、状況が悪い場合には大きなノイズを用いて、広範囲から制御値を探索する。
本実施形態においては、状況の良さとは「各対象者2の快適度」を意味する。すなわち、各対象者2の快適度の合計値が大きい場合には小さなノイズ、各対象者2の快適度の合計値が小さい場合には大きなノイズを与えることで、状況の悪さによる制御効率の悪化を抑制することができる(上記数3の第2式及び第3式参照)。
このように、パソコン50は、上記数3の第1式の右辺の第1項(希望値)に第二項(ノイズ)を加えて、各空調機器の運転状態の実際の制御値(目標値)を算出(決定)する。すなわち、パソコン50は、希望値を中心とするノイズの範囲内から、次の制御値を探索することになる。
上述の如く、ステップS130(制御値の決定)の処理においては、各対象者2の快適度に基づくノイズを設定し、当該ノイズの範囲内から次の制御値を探索する。このように、ステップS120の学習に加えて生体ゆらぎ理論を用いることで、当該学習の不確かさを考慮し、当該学習の結果だけに縛られることなく柔軟な制御値の探索が可能となる。
また、上述の空調制御を繰り返し行うことによって、適切な制御値の探索が行われると、電力消費の大きいエアコン10の制御値が必要以上に低い値にならないため、省エネ効果も期待することができる。
また、上述の空調制御を繰り返し行うことによって、状況の変化(例えば、対象者2の好みの変化、対象者2の移動等)にも追従することができる。
以上の如く、本実施形態に係る空調制御システム4は、
室内の空調を行う空調手段(エアコン10及び扇風機20)と、
前記空調手段による空調に対する対象者2の快適さの度合いである快適度を検出する快適度申告ダイヤル40(快適度検出手段)と、
対象者2の快適度が改善するように、前記空調手段の運転状態を調節するパソコン50(制御手段)と、
を具備する空調制御システム4であって、
パソコン50は、
対象者2の快適度と、当該快適度に影響を与える前記空調に関する要因と、の関係を学習し(上記数1)、
学習した対象者2の快適度と前記空調に関する要因との関係から対象者2の快適度を改善することが可能な前記空調手段の運転状態の希望値を算出し(上記数2)、
前記希望値に、生体ゆらぎ理論に基づいて算出されたノイズを加算して前記空調手段の運転状態の目標値を算出し(上記数2)、
前記空調手段の運転状態が前記目標値となるように制御する一連の空調制御を繰り返すものである。
このように構成することにより、対象者2の快適度と当該快適度に影響を与える空調に関する要因との関係を学習することで、対象者2の快適度を改善することができる運転状態を効率良く探索すると同時に、生体ゆらぎ理論を用いることで、対象者2の快適度を改善することができる運転状態をノイズの範囲から柔軟に探索することができる。すなわち、快適度を改善するための制御の効率化と高精度化の両立を図ることが可能となる。
また、パソコン50は、
対象者2が複数いる場合には、
前記空調に関する要因が各対象者2の快適度に与える影響の大きさの度合いである影響度を算出し(上記数1)、
前記影響度によって重み付けされた各対象者2の快適度の平均値を算出し(上記数2)、
当該快適度の平均値が最大となる前記希望値にノイズを加算して前記空調手段の運転状態の目標値を算出する(上記数2)ものである。
このように構成することにより、複数の対象者2の快適度を同時に改善することができる。
また、前記空調手段は、
室内全体の空調を行うエアコン10(アンビエント空調手段)と、
対象者2の周囲の局所的な空調を行う扇風機20(タスク空調手段)と、
を含み、
パソコン50は、
エアコン10及び扇風機20の運転をそれぞれ個別に制御するものである。
このように構成することにより、エアコン10と扇風機20を組み合わせて用いている場合にも、対象者2の快適度が改善するような運転状態の制御を行うことができる。
また、扇風機20の運転状態は、
当該扇風機20が空調の際に放出する空気の風量を含むものである。
このように構成することにより、扇風機20の風量を制御することで、対象者2の快適度の改善を図ることができる。
また、パソコン50は、
対象者2の快適度と、当該快適度に影響を与える前記空調に関する要因と、の関係を学習する際に、非線形重回帰分析を用いるものである。
このように構成することにより、対象者2の快適度と当該快適度に影響を与える空調に関する要因との関係を適切に学習することができる。
また、パソコン50は、
対象者2の快適度が高いほど前記ノイズの分散が小さくなるように設定するものである。
このように構成することにより、より効率的かつ柔軟に対象者2の快適度の改善を図ることができる。
また、本実施形態に係る空調制御方法は、
空調手段(エアコン10及び扇風機20)による空調に対する対象者2の快適さの度合いである快適度が改善するように、前記空調手段の運転状態を調節する空調制御方法であって、
対象者2の快適度と、当該快適度に影響を与える前記空調に関する要因と、の関係を学習し、
学習した対象者2の快適度と前記空調に関する要因との関係から対象者2の快適度を改善することが可能な前記空調手段の運転状態の希望値を算出し、
前記希望値に、生体ゆらぎ理論に基づいて算出されたノイズを加算して前記空調手段の運転状態の目標値を算出し、
前記空調手段の運転状態が前記目標値となるように制御する一連の空調制御を繰り返すものである。
このように構成することにより、対象者2の快適度と当該快適度に影響を与える空調に関する要因との関係を学習することで、対象者2の快適度を改善することができる運転状態を効率良く探索すると同時に、生体ゆらぎ理論を用いることで、対象者2の快適度を改善することができる運転状態をノイズの範囲から柔軟に探索することができる。
なお、本実施形態においては、図1を用いて空調制御システム4の構成を説明したが、本発明の構成は当該空調制御システム4の構成に限るものではない。すなわち、本発明は、エアコン10及び扇風機20の個数や設置場所等を限定するものではない。
また、本実施形態においては、扇風機20の風量を「弱」、「中」、「強」又は「切」のいずれか(4段階)に調節する構成としたが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、扇風機20の調節可能な段階は任意に設定することが可能である。
また、本実施形態においては、アンビエント空調手段としてエアコン10を例示したが、本発明はこれに限るものではなく、室内全体の空調を行うことが可能なものであれば良い。また、本実施形態に係るエアコン10は、冷風の吹き出しの有無を切り替えることで室内全体の温度を調節するものとしたが、本発明はこれに限るものではなく、例えばエアコン10は冷風又は温風を吹き出すことで室内全体の温度を調節するものであっても良い。
また、本実施形態においては、タスク空調手段として扇風機20を例示したが、本発明はこれに限るものではなく、対象者2の周囲の局所的な空調を行うことが可能なものであれば良い。
また、本実施形態においては、快適度申告ダイヤル40を用いて対象者2の快適度を検出する構成としたが、本発明はこれに限るものではない。例えば、対象者2の表情や行動を検出して、当該表情や行動に基づいて快適度を検出する構成であっても良い。
また、本実施形態においては、パソコン50によって空調制御が行われる構成としたが、本発明はこれに限るものではなく、空調制御を行う制御手段は任意に構成することが可能である。また、当該制御手段に種々の情報を表示させることが可能な表示装置を接続し、空調制御に関する情報を表示させる構成とすることも可能である。
また、本実施形態においては、ステップS120において非線形重回帰分析を用いて学習を行うものとしたが、本発明はこれに限るものではない。例えば、ニューラルネットワーク等の他の手法を用いて学習を行うことも可能である。
4 空調制御システム
10 エアコン(空調手段、アンビエント空調手段)
20 扇風機(空調手段、タスク空調手段)
30 温度センサ
40 快適度申告ダイヤル(快適度検出手段)
50 パソコン(制御手段)

Claims (7)

  1. 室内の空調を行う空調手段と、
    前記空調手段による空調に対する対象者の快適さの度合いである快適度を検出する快適度検出手段と、
    前記対象者の快適度が改善するように、前記空調手段の運転状態を調節する制御手段と、
    を具備する空調制御システムであって、
    前記制御手段は、
    前記対象者の快適度と、当該快適度に影響を与える前記空調に関する要因と、の関係を学習し、
    学習した前記対象者の快適度と前記空調に関する要因との関係から前記対象者の快適度を改善することが可能な前記空調手段の運転状態の希望値を算出し、
    前記希望値に、生体ゆらぎ理論に基づいて算出されたノイズを加算して前記空調手段の運転状態の目標値を算出し、
    前記空調手段の運転状態が前記目標値となるように制御する一連の空調制御を繰り返すことを特徴とする、
    空調制御システム。
  2. 前記制御手段は、
    前記対象者が複数いる場合には、
    前記空調に関する要因が各対象者の快適度に与える影響の大きさの度合いである影響度を算出し、
    前記影響度によって重み付けされた各対象者の快適度の平均値を算出し、
    当該快適度の平均値が最大となる前記希望値にノイズを加算して前記空調手段の運転状態の目標値を算出することを特徴とする、
    請求項1に記載の空調制御システム。
  3. 前記空調手段は、
    室内全体の空調を行うアンビエント空調手段と、
    前記対象者の周囲の局所的な空調を行うタスク空調手段と、
    を含み、
    前記制御手段は、
    前記アンビエント空調手段及び前記タスク空調手段の運転をそれぞれ個別に制御することを特徴とする、
    請求項1に記載の空調制御システム。
  4. 前記タスク空調手段の運転状態は、
    当該タスク空調手段が空調の際に放出する空気の風量を含むことを特徴とする、
    請求項3に記載の空調制御システム。
  5. 前記制御手段は、
    前記対象者の快適度と、当該快適度に影響を与える前記空調に関する要因と、の関係を学習する際に、非線形重回帰分析を用いることを特徴とする、
    請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の空調制御システム。
  6. 前記制御手段は、
    前記対象者の快適度が高いほど前記ノイズの分散が小さくなるように設定することを特徴とする、
    請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の空調制御システム。
  7. 空調手段による空調に対する対象者の快適さの度合いである快適度が改善するように、前記空調手段の運転状態を調節する空調制御方法であって、
    前記対象者の快適度と、当該快適度に影響を与える前記空調に関する要因と、の関係を学習し、
    学習した前記対象者の快適度と前記空調に関する要因との関係から前記対象者の快適度を改善することが可能な前記空調手段の運転状態の希望値を算出し、
    前記希望値に、生体ゆらぎ理論に基づいて算出されたノイズを加算して前記空調手段の運転状態の目標値を算出し、
    前記空調手段の運転状態が前記目標値となるように制御する一連の空調制御を繰り返すことを特徴とする、
    空調制御方法。
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