JP2015102455A - センサ装置および測定方法 - Google Patents

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野崎 孝明
Takaaki Nozaki
孝明 野崎
貴明 武石
Takaaki Takeishi
貴明 武石
聖子 加藤
Kiyoko Kato
聖子 加藤
友広 紺谷
Tomohiro Konya
友広 紺谷
真由 尾崎
Mayu Ozaki
真由 尾崎
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Abstract

【課題】光源強度や、光結合度、外的環境の変動による影響を受けずに表面プラズモン共鳴による光の強度変化を検出可能なセンサ装置を提供する。
【解決手段】センサ装置(1)は、光源(7)と、光源からの光を導波するコアおよびコアを被覆するクラッドを含む光導波路(3,3’)と、コアに接するように配置され、光源からの光により表面プラズモン共鳴が生じる金属層(40)と、金属層の表面に形成され、被測定物質を含む溶液が滴下されて被測定物質と特異的に結合するセンサ膜(41)と、光導波路からの出射光の強度分布を検知する出射光検知部(8)と、出射光検知部により検知された強度分布から得られる出射光の出射角度と強度との関係に基づいて、センサ膜に滴下された溶液中の被測定物質を定量する制御部(11)とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、センサ装置および測定方法に関する。
多重反射を用いる光導波路型のSPRセンサが知られている(例えば、特許文献1,2を参照)。SPRセンサは、表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance)現象を利用した屈折率センサであり、例えば、サンプル溶液の濃度の測定や免疫反応の検出といった、化学分析や生物化学分析に用いられる。表面プラズモン共鳴は、サンプル溶液に接触している金属層の内表面に全反射角度以上で光が入射したときに、サンプル溶液の屈折率に応じた波長の光が吸収される現象である。
図16は、従来の光導波路型のSPRセンサ100の模式図である。SPRセンサ100は、光導波路103と、金属層140と、センサ膜141と、光源107と、光センサ108とを有する。光導波路103は、例えば円形断面を有する光ファイバであり、コア130とクラッド131を有する。金属層140とセンサ膜141は、コア130の一部の表面を取り囲むように重ねて形成されている。光導波路103の周囲には、センサ膜141に接触するようにサンプル溶液106が滴下される。
測定時には、光源107から光導波路103に光を入射させる。入射光が光導波路103内で全反射を繰り返しながら伝搬するときに、特定の波長の光により金属層140において表面プラズモン共鳴が発生する。センサ膜141は、サンプル溶液106に含まれる被測定物質を抗原として認識する抗体膜であり、被測定物質と特異的に結合する性質を有し、金属層表面のエバネッセント波が染み出した領域での屈折率を変化させる。このとき、金属層140では、コア130の屈折率、サンプル溶液106の屈折率および光の波長で決まる量の光吸収が生じる。以下では、表面プラズモン共鳴による金属層140での光の吸収量のことを「SPR吸収量」という。光導波路103を通る光は、金属層140でSPR吸収により減衰し、最終的に出射面から出射され、光センサ108で検出される。
図17(A)は、入射光の波長λと光導波路の透過率Tとの関係を示すグラフである。表面プラズモン共鳴を発生させる波長は、サンプル溶液の屈折率によって異なる。図17(A)に示すように、サンプル溶液の屈折率nが増加すると、SPR吸収のピーク波長が長波長側にシフトする。
図17(B)は、波長660nmの入射光で測定されたサンプル溶液の屈折率nと透過率Tとの関係を示すグラフである。図17(A)に示すように、波長660nmは、SPR吸収のピーク波長より短波長の光である。SPR吸収のピーク波長より短波長の光を光導波路に入射させた場合、サンプル溶液の屈折率nが増加すると、透過率Tが増加し、光導波路からの出射光強度が強くなる。
このため、光導波路からの出射光を光センサで検出し、透過光量や入射光に対する出射光のスペクトル変化を見ることにより、サンプル溶液による屈折率変化が測定される。さらに、サンプル溶液の屈折率はその濃度に依存するため、サンプル溶液の屈折率からサンプル溶液の濃度が求められる。すなわち、特定の波長の光を入射させたときの出射光強度を光センサで測定することで、透過率の値から、サンプル溶液中に含まれる被測定物質の量が求められる。
一般に、SPRセンサで測定を行う際は、まずサンプル溶液を滴下する前の状態で出射光強度を測定し、その測定値をリファレンスとする。その後で、センサ膜にサンプル溶液を滴下し、出射光強度を測定する。そして、サンプル溶液の測定値とリファレンスとの差を求めることでサンプル溶液に基づくSPR吸収量を求め、予め測定された検量線、すなわちサンプル溶液中の被測定物質の量とSPR吸収量との関係を用いて、被測定物質を定量する。
一方、被測定物質がある状態で取得されたリファレンス値を用いてスペクトル差分から被測定物質を測定する方法が知られている。例えば、特許文献3には、内部反射回数が異なる条件で表面状態を測定すべきウエハなどの基板に赤外線を入射し、それぞれの条件について多重内部反射スペクトルを測定し、内部反射回数が少ない内部多重反射スペクトルをリファレンススペクトルとし、内部反射回数が多いものをサンプルスペクトルとして吸光度スペクトルを求める表面状態測定装置が記載されている。
特許文献3の装置では、異なる2つの入射角度で光を入射し、それらの出射光の相対的な強度変化を比較する。この装置では、実時間でリファレンスを取得するため、測定中に発生する変動要因を打ち消すことができる。特許文献3の装置は、シリコンウエハ上に付着した有機物質による汚染状態を把握するためにシリコンウエハを光導波路としてSPRセンサを構成したものであるが、シリコンウエハをガラスやポリマーの光導波路と置き換えれば、液体中で用いられる光導波路型のSPRセンサと考えられる。
特開2013−007687号公報 特開2012−122915号公報 特許第4792267号公報
光導波路型のSPRセンサでは、光源強度の変動や、光源と光導波路と光センサの間における光結合度の変動(アライメントのズレ)、温度・湿度などの外的環境の変化によって出射光強度が変化し、それが測定誤差となる。本来、リファレンスの測定とサンプルの測定は同時刻に行う必要があるが、実際には異なる時刻に行われるため、リファレンスを測定してからサンプルを測定するまでの間に生じた変動や、サンプルの測定中に生じた変動が測定誤差となる。
特許文献3の装置のようにサンプルがある状態でリファレンス値を取得する場合でも、2つの光路を交互に測定するため、厳密には異なる時刻における2つのスペクトルを用いて変動を打ち消すことになり、結局は測定誤差を含む可能性がある。同時刻に2つの光路におけるスペクトルを得るには、予め目的の光路に設置された2組の光源と赤外線分析装置が必要であり、コストが増加するとともに装置が大型化してしまう。
そこで、本発明の目的は、光源強度や、光結合度、外的環境などの変動による影響を受けずに表面プラズモン共鳴による光の強度変化を検出可能なセンサ装置を提供することである。また、本発明の目的は、より低コストかつ小型のセンサ装置を提供することである。
本発明に係るセンサ装置は、光源と、光源からの光を導波するコアおよびコアを被覆するクラッドを含む光導波路と、コアに接するように配置され、光源からの光により表面プラズモン共鳴が生じる金属層と、金属層の表面に形成され、被測定物質を含む溶液が滴下されて被測定物質と特異的に結合するセンサ膜と、光導波路からの出射光の強度分布を検知する出射光検知部と、出射光検知部により検知された強度分布から得られる出射光の出射角度と強度との関係に基づいて、センサ膜に滴下された溶液中の被測定物質を定量する制御部とを有することを特徴とする。
本発明に係るセンサ装置では、制御部は、出射光の出射角度と強度との関係を記述する理論式のパラメータを強度分布から決定することにより、出射光の出射角度に対する金属層での光の吸収量の変化を求めることが好ましい。
本発明に係るセンサ装置では、出射光検知部は、光導波路の出射面上で出射光を受光する2次元イメージセンサであることが好ましい。
本発明に係るセンサ装置では、光導波路は光ファイバであり、制御部は、2次元イメージセンサにより取得された円対称のパターンにおける径方向の強度分布から、出射光の出射角度と強度とを対応付けたデータを取得することが好ましい。
本発明に係るセンサ装置では、光導波路は基板の表面に形成された角型断面を有する光導波路であり、制御部は、2次元イメージセンサにより取得されたパターンにおける、金属層に垂直な方向の強度分布から、出射光の出射角度と強度とを対応付けたデータを取得することが好ましい。
本発明に係るセンサ装置では、光源はランバート分布の出射光強度を有するLED光源であることが好ましい。
本発明に係る測定方法は、光源と、光源からの光を導波するコアおよびコアを被覆するクラッドを含む光導波路と、コアに接するように配置され、光源からの光により表面プラズモン共鳴が生じる金属層と、金属層の表面に形成され、被測定物質を含む溶液が滴下されて被測定物質と特異的に結合するセンサ膜とを有するセンサ装置を用いた測定方法であって、光導波路からの出射光の強度分布を検知するステップと、検知された強度分布から得られる出射光の出射角度と強度との関係に基づいて、センサ膜に滴下された溶液中の被測定物質を定量するステップとを有することを特徴とする。
本発明によれば、光源強度や、光結合度、外的環境の変動による影響を受けずに表面プラズモン共鳴による光の強度変化を検出可能なセンサ装置を提供することが可能になる。また、本発明によれば、より低コストかつ小型のセンサ装置を提供することが可能になる。
センサ装置1の模式図である。 検出部4の例を示す断面図である。 フローセル型のセンサチップ2Aの模式図である。 角型断面の光導波路3’を有するセンサチップ2Bの模式図である。 センサ装置1による測定原理を説明するための図である。 入射光の波長λに対する光導波路からの出射光強度Poの変化と、SPR吸収のピーク波長λよりも短い波長λの光源を用いた場合における、光導波路からの出射角度ψに対する出射光強度Poの変化を示したグラフである。 角度θで全反射しながらコア30を導波する光を示す図である。 ランバート分布である光源強度分布I(ψ)を示す図である。 ランバート分布をもつ光源を用いた場合の、光源強度分布I(ψ)、光の反射回数N(ψ)、SPR部分の透過率Tm(ψ)および出射光強度Po(ψ)の例を示すグラフである。 SPR吸収のピーク波長が長波長側にシフトして透過率Tmが増加した場合と、光源強度Iが増加した場合の出射光強度Po(ψ)の変化を示すグラフである。 円形断面の光ファイバである光導波路3を用いた場合にイメージセンサ10で取得されたパターンの例を示す図である。 イメージセンサ10で取得されたパターンから出射光強度Po(ψ)のパラメータI,αを求める方法の例を示すフローチャートである。 センサチップ2Bを使用したときにイメージセンサ10で取得された出射光強度のパターンを示す図である。 イメージセンサ10で取得された出射光強度のパターンにおける、y方向の強度変化を示すグラフである。 図14(C)の出射光強度Pref(y)の各グラフを最小二乗法により直線近似して求めた傾きαとサンプル溶液の濃度との関係を示すグラフである。 従来の光導波路型のSPRセンサ100の模式図である。 入射光の波長λと光導波路の透過率Tとの関係を示すグラフと、波長660nmの入射光で測定されたサンプル溶液の屈折率nと透過率Tとの関係を示すグラフである。
以下、添付図面を参照して、本発明に係るセンサ装置および測定方法について詳細に説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
図1は、センサ装置1の模式図である。センサ装置1は、特に、局在表面プラズモン共鳴(Localized Surface Plasmon Resonance)を利用して被測定物質を定量するSPRセンサである。センサ装置1は、センサチップ2と、光源7と、光センサ8と、制御部11と、光源駆動回路12と、表示装置13とを有する。以下では、光源7から光センサ8に向かう方向をz方向とし、図1に示すようにx,y,z軸を定義する。
センサチップ2は、光導波路3と、サンプル溶液保持部5とを有する。図1では、yz面内におけるセンサチップ2の断面を示している。光導波路3は、ガラスまたはポリマーから構成される光ファイバである。光導波路3のクラッドの一部が除去されて、その部分に検出部4が形成されている。サンプル溶液保持部5は、内部にサンプル溶液6を保持する。
図2(A)〜図2(C)は、検出部4の例を示す断面図である。図2(A)〜図2(C)では、光導波路3の一部も示している。光導波路3は、コア30と、コア30を被覆しコア30より屈折率の低いクラッド31とを有する。光導波路3は、円形断面を有し、コア30内に光を閉じ込める。
まず、図2(A)を参照すると、検出部4は、金属層40と、センサ膜41とを有し、z方向に延びる中心軸に関して回転対称に形成されている。
金属層40は、光が入射することで表面プラズモン共鳴が生じる層であり、エッチングなどによりクラッド31の一部が除去されて露出したコア30の上に形成されている。金属層40は、例えば、金、銀、白金、銅、アルミニウム、またはこれらの合金などの金属粒子により構成された層(金属粒子層)である。検出部4では、金属層40に含まれる微細な金属粒子にて局在表面プラズモン共鳴が生じる。金属層40では、各金属粒子は、厚み方向に互いに積層されず、平面方向にも、互いに接触しないようにわずかに間隔を隔てて配置されることが好ましい。また、検出部4の検出精度を良好にするためには、各金属粒子の粒子径は、5〜300nm程度であることが好ましい。
センサ膜41は、被測定物質と特異的に結合する抗原や、抗体、レセプターなどで形成される。センサ膜41は、金属層40を構成する金属粒子の表面に形成される。
図2(B)は、検出部4の別の例を示す断面図である。図2(B)の検出部4Aは、金属粒子で構成された金属層40Aと、センサ膜41とを有する。図2(A)の検出部4との違いは、各金属粒子の間のコア30上にもセンサ膜41が形成されている点である。図2(A)の検出部4は、予めセンサ膜41が表面に設けられた金属粒子で構成される金属層40を有するが、図2(B)の検出部4Aのように、金属粒子を含む金属層40Aを形成した後で、金属層40Aの上にセンサ膜41を形成してもよい。
図2(C)は、検出部4のさらに別の例を示す断面図である。図2(C)の検出部4Bは、コア30の表面に形成された極めて薄い島状の金属層40Bと、金属層40Bの上に形成されたセンサ膜41とを有する。金属層40Bの厚さは、例えば数nm〜数10nm程度であることが好ましい。検出部4Bでは、金属層40Bに含まれる微細な各島にて局在表面プラズモン共鳴が生じる。
光源7には、例えばLED光源が用いられる。光源7と光導波路3の間隔は、光の利用効率を上げるためにできるだけ接近させることが好ましく、必要に応じて接触させてもよい。位置ずれが生じても入射光強度が変動しにくくなるように、光源7の発光面のサイズは光導波路3のコア径よりも大きくすることが好ましい。また、出射角度に対する光源7の出射光強度の分布は、ランバート分布であることが好ましい。
光センサ8は、SPR吸収量を測定するために、光導波路3からの出射光を検知する(透過率を測定する)2次元光センサである。光センサ8は、レンズ9と、イメージセンサ10とを有する。レンズ9は、光導波路3から出射された光を平行光に変換する。ただし、レンズ9に代えて、ホログラフィック素子などの光学素子を用いてもよい。イメージセンサ10は、CCDまたはCMOSセンサなどの2次元イメージセンサであり、光導波路3からの出射光の2次元強度分布を2次元パターンとして検知する。イメージセンサ10は、出射光検知部の一例である。
制御部11は、内部にビデオインターフェイスと情報処理回路とを有する。制御部11は、イメージセンサ10で検知された2次元パターンをビデオインターフェイスから情報処理回路に取り込む。そして、制御部11は、情報処理回路を用いて、後述する手順により、2次元パターンから得られる光導波路からの出射光の出射角度と強度との関係に基づいてSPR吸収量を求めることで、サンプル溶液中の被測定物質を定量する。定量とは、例えば、サンプル溶液中の被測定物質の濃度や屈折率を求めることである。また、制御部11は、光源駆動回路12や表示装置13の動作を制御する。
光源駆動回路12は、光源7を駆動するための回路である。表示装置13は、制御部11にて求められた測定結果を表示する。
図3は、フローセル型のセンサチップ2Aの模式図である。センサ装置1では、図1のセンサチップ2に代えて、図3に示すフローセル型のセンサチップ2Aを用いてもよい。
センサチップ2Aは、フローセル50を有する。フローセル50は、図1のサンプル溶液保持部5に流入口51と流出口52を設けたものである。サンプル溶液6は、シリンジポンプ53によりサンプル溶液保持部5に送り込まれ、センサ膜41と接触して反応した後で、リザーバー54に排出される。
図4は、角型断面の光導波路3’を有するセンサチップ2Bの模式図である。センサ装置1では、図1のセンサチップ2に代えて、図4に示すセンサチップ2Bを用いてもよい。
図1のセンサチップ2では光導波路3として円形断面の光ファイバを用いているが、センサチップ2Bは、光ファイバに代えて角型断面の光導波路3’を有する。光導波路3’は、コア30’と、クラッド31’と、ベース基板32’とを有する。ベース基板32’は、クラッドを兼ねた平板状の基板であり、その上にコア30’とクラッド31’が形成されている。コア30’は、上面が露出するようにベース基板32’に埋め込まれ、ベース基板32’の幅方向(x方向)の中央でベース基板32’の長手方向(z方向)に平行に配置されている。コア30’は、xy面に沿った断面が長方形状を有する。クラッド31’は、コア30’の両脇に、ベース基板32’の上面を覆うように配置されている。
検出部4は、クラッド31’の一部を取り除いて形成されており、クラッド31’が取り除かれた部分のベース基板32’の上面と、コア30’の一部の上面とを覆うように配置されている。検出部4には、センサチップ2と同様の金属層40とセンサ膜41が形成されている。なお、センサチップ2Bでも、図2(B)の検出部4Aまたは図2(C)の検出部4Bを用いてもよい。
なお、図4のセンサチップ2Bを、図3に示すようなフローセル型のセンサチップとしてもよい。
センサ装置1を用いてサンプル溶液中の被測定物質を定量する方法の概略を説明する。まず、未知量の被測定物質を含むサンプル溶液をシリンジなどでサンプル溶液保持部5に必要量滴下して、検出部4をサンプル溶液6で覆う。そして、光源駆動回路12を用いて光源7を発光させて、光導波路に光を入射させる。入射光は全反射を繰り返し徐々に減衰しながら光導波路を伝搬していき、検出部4でサンプル溶液の屈折率に応じたSPR吸収を生じさせ、最終的に光導波路の出射面から出射される。
この出射光の強度分布を、光センサ8のイメージセンサ10により検知する。そして、イメージセンサ10で検知された2次元パターンを制御部11に取り込み、後述する方法によりSPR吸収量を求める。これにより、サンプル溶液の屈折率や、サンプル溶液中の被測定物質の濃度が求められる。なお、センサ装置1を用いた測定では、サンプル溶液を滴下させる前のリファレンス測定は不要になる。
以下では、センサ装置1による測定原理について説明する。説明は、円形断面の光ファイバである光導波路3を用いて行うが、角型断面の光導波路3’を用いる場合も同様である。
図5は、センサ装置1による測定原理を説明するための図である。図5では、太い実線、細い実線および細い破線の矢印により、光源7からの入射角度が異なる3本の光線を示している。これら3本の光線は、波長が異なるのではなく、光導波路3への入射角度が異なる光線である。入射角度により、検出部4での反射回数と、光導波路3からの出射角度が異なることがわかる。入射角度が大きいほど反射回数が多くなり、SPR吸収量は大きくなる。
図6(A)および図6(B)は、入射光の波長λに対する光導波路からの出射光強度Poの変化と、SPR吸収のピーク波長λよりも短い波長λの光源を用いた場合における、光導波路からの出射角度ψに対する出射光強度Poの変化を示したグラフである。
図6(A)の左側のグラフは、入射光の波長λと出射光強度Poとの関係を示す。太さが異なる3本の実線のグラフは、被測定物質を含まないサンプル溶液(例えば純水)を滴下した場合の出射光強度である。
水平方向に延びる細い実線は、光導波路からの出射角度ψが0のときの出射光強度を示す。出射角度ψが0の場合、光は近似的には光導波路に沿って直線的に進むため、金属層での反射が起こらない。このため、出射光強度Poは波長λによらず一定となる。また、やや太い実線の曲線は、出射角度ψが比較的小さいψのときの出射光強度を示す。この場合、出射光強度Poの曲線は、SPR吸収により、波長λにて金属層での反射回数に比例した深さのピークをもつ下に凸の形状になる。また、最も太い実線の曲線は、出射角度ψが比較的大きいψ(>ψ)のときの出射光強度を示す。ψ=ψのときは、ψ=ψのときと比べて、出射角度ψが大きい分だけSPR吸収のピークも大きくなる。
また、破線は、被測定物質を含むサンプル溶液を滴下し、被測定物質がセンサ膜に結合して、SPR吸収のピーク波長がλから長波長側のλにシフトした場合の出射光強度である。出射角度ψが0のときは波長シフトがあっても出射光強度は変化しないが、出射角度ψがψのときとψのときは、図中矢印bで示したように、それぞれ実線の曲線から破線の曲線に出射光強度が変化する。
図6(A)の右側のグラフは、SPR吸収のピーク波長λよりも短い波長λの光源を用いた場合の出射角度ψと出射光強度Poとの関係を示す。実線と破線のグラフは、それぞれ図6(A)の左側の実線と破線のグラフに対応している。グラフが示すように、出射角度ψの増加とともに出射光強度Poは減少する。そして、波長シフトがある場合、図中矢印cで示したように、出射光強度Poは実線のグラフから破線のグラフに変化する。出射角度ψが0の光は出射光強度は変化しないが、出射角度ψが大きいほど出射光強度の変化量は大きくなる。
また、図6(B)の左側のグラフは、図6(A)と同様に、光源の波長λと出射光強度Poとの関係を示す。実線のグラフは図6(A)と同じものであるが、破線のグラフは、光源強度が何らかの要因で増加した場合の出射光強度である。この場合、図中矢印fで示したように、出射角度によらず一律に、それぞれ実線の曲線から破線の曲線に出射光強度が増加する。
図6(B)の右側のグラフは、図6(A)と同様に、SPR吸収のピーク波長λよりも短い波長λの光源を用いた場合の出射角度ψと出射光強度Poとの関係を示す。実線と破線のグラフは、それぞれ図6(A)の左側の実線と破線のグラフに対応している。実線のグラフは図6(A)と同じものであるが、破線のグラフは、光源強度が増加した場合の出射光強度である。光源強度が増加した場合、出射角度によらずに出射光強度が増加し、図中矢印gで示したように曲線全体が上向きに移動する。
以上説明したように、出射光強度の出射角度依存性のグラフ形状から、出射光強度の変化が波長シフトに起因するのか、光源強度または光結合の変化に起因するのかを区別することができる。
出射角度に対する出射光強度の変化量は、光源強度とその角度分布や、光導波路との光結合度、光ファイバの特性(開口数や、コアとクラッドの屈折率など)、金属層で1回反射するごとのSPR吸収量から理論的に求められる。後述するように、出射光強度の出射角度依存性は、SPR吸収量の変化のパラメータと、光源強度の変化のパラメータを含む理論式で表される。センサ装置1では、2次元イメージセンサを用いて光導波路からの出射光強度の出射角度依存性を取得し、出射角度と出射光強度を対応付けたデータを理論式にフィッティングすることにより、その理論式に含まれるパラメータを精度よく求めることができる。このため、測定中に光源強度が変動しても、それとは独立にSPR吸収量の変化を求めて、精度よく被測定物質を定量することが可能になる。
以下では、出射光強度の出射角度依存性を記述する理論式について説明する。
図7は、角度θで全反射しながらコア30を導波する光を示す図である。光導波路のコア径をD、検出部4のz方向の長さをLとする。光源(図7では図示せず)から光導波路への入射角度をψ、光導波路内を伝搬する光がコア−クラッド界面で反射する際の角度をθとする。入射角度ψは光導波路端面に垂直な方向(z方向)を0と定義し、反射角度θは光導波路の長手方向(z方向)を0と定義する。
光源から光導波路に入射した光は光導波路の端面で屈折するため、空気の屈折率をn1、コアの屈折率をn2とすると、θとψの関係は(1)式で表される。
光の反射回数をN(ψ)、1回反射するごとのSPR吸収量をaとすると、光導波路3のうち、検出部4が設けられておりSPR吸収が起こる部分(「SPR部分」という)の透過率Tm(ψ)は、(2)式で表される。
θに対する反射回数N(θ)は(3)式で表されるので、(1)式を使ってθをψに置き換えると、ψに対する反射回数N(ψ)は(4)式で表される。
したがって、光源強度の角度依存性をI(ψ)とすると、光導波路からの出射光強度Po(ψ)は(5)式で表される。
光源強度分布はどのようなものでもよいが、例えばチップ実装型のLEDでは、ランバート分布が一般的である。ランバート分布の場合、(6)式に示すように、光源強度分布I(ψ)は出射角度ψのcosで表される。
図8は、ランバート分布である光源強度分布I(ψ)を示す図である。図9は、ランバート分布をもつ光源を用いた場合の、光源強度分布I(ψ)、光の反射回数N(ψ)、SPR部分の透過率Tm(ψ)および出射光強度Po(ψ)の例を示すグラフである。
光源強度分布I(ψ)は、(6)式に従い、出射角度ψに対してcosで減少する。反射回数N(ψ)は整数なので、出射角度ψに対して図9のように階段状に増加する。これに伴い、透過率Tm(ψ)は、出射角度ψに対して階段状の曲線を描きながら指数関数的に減少する。その結果、出射光強度Po(ψ)は、出射角度ψに対して階段状の曲線を描きながらほぼ直線的に減少する。
見通しをよくするため、反射回数N(ψ)を実数として扱うと、図9で階段状に変化していた出射光強度Po(ψ)はほぼ直線で表される。そこで、以下では、計算量を減らすために、出射光強度Po(ψ)を直線近似する。
光源強度分布I(ψ)として(6)式のランバート分布を用いた(5)式の出射光強度Po(ψ)を級数展開して、ψの1次の項までとると、(7)式が得られる。
L、D、n1、n2、aは全て定数なので、(8)式のようにψの1次の項の係数をαとおくと、出射光強度Po(ψ)は(9)式で表される。
αはSPR吸収量の変化を示すパラメータであり、Iは光源強度の変化を表すパラメータである。出射光強度Po(ψ)は、これらのパラメータI,αで決まる直線で表される。
図10は、SPR吸収のピーク波長が長波長側にシフトして透過率Tmが増加した場合と、光源強度Iが増加した場合の出射光強度Po(ψ)の変化を示すグラフである。図10では、出射光強度Po(ψ)を直線近似した(9)式をプロットしている。
太い実線は、ピーク波長のシフトや光源強度の変動が起こる前の出射光強度Po(ψ)のグラフである。図6(A)および図6(B)で説明したように、SPR吸収のピーク波長がシフトした場合の出射光強度Po(ψ)は、細い実線のグラフのように傾きが緩やかになり、光源強度Iが増加した場合の出射光強度Po(ψ)は、破線のグラフのように出射角度ψによらずに増加する(縦方向に平行移動される)。図10のグラフから、ピーク波長のシフトは(9)式のパラメータαの変化に、光源強度Iの変化は(9)式のパラメータIの変化にそれぞれ対応していることがわかる。
次に、イメージセンサ10で取得されたパターンから出射光強度Po(ψ)のパラメータI,αを求める方法について説明する。
図11は、円形断面の光ファイバである光導波路3を用いた場合にイメージセンサ10で取得されたパターンの例を示す図である。円形断面の光ファイバを光導波路に用いると、出射パターンもおおよそ円対称になり、同じ出射角度の画素は同心円状に分布する。
なお、角型断面の光導波路3’を用いる場合は、金属層は基板の表面にのみ形成されているので、コア30’の表面と裏面で反射しながら進む光(進行方向がy成分をもつ光)にのみSPR吸収が生じる。したがって、図示しないが、角型断面の光導波路3’を用いる場合のイメージセンサのパターンでは、出射光強度の出射角度依存性はy方向にのみ現れる。
図12は、イメージセンサ10で取得されたパターンから出射光強度Po(ψ)のパラメータI,αを求める方法の例を示すフローチャートである。図12に示したフローは、制御部11内のメモリに予め記憶されたプログラムに従って、制御部11内のCPUにより実行される。
最初に、パターン上の原点Oを求める(S1)。原点Oは、パターン上で、光導波路から真っ直ぐ出射した光が当たる位置とする。原点Oを求めるには、最も出射光強度が大きい位置を探せばよい。その際は、予め空間的な平均化処理を行ってノイズを取り除いておくとよい。
原点Oが求められたら、パターン上の各画素に対応する出射角度を求める(S2)。光導波路からの出射角度は、パターン上における原点Oからの空間的な距離に比例する。このため、パターン上の各画素に対応する出射角度を求めるには、原点Oからその画素までの距離を求めればよい。
一般に、2次元イメージセンサの画素座標は、画面左上に原点をとり、水平方向右向きにx軸をとり、垂直方向下向きにy軸をとる。原点Oの画素座標を(x、y)とし、点pの画素座標を(x、y)とすると、画素間距離dは(10)式で求められる。
画素間距離dと出射角度は比例関係にあるので、その比例係数は(9)式のパラメータαに含められる。したがって、点pにおける出射角度ψの値には、相対値を用いてよい。
なお、画素間距離dと出射パターン上の空間的な距離が比例しない場合であっても、予め校正することで両者を比例関係にすることは容易である。また、距離と出射角度の関係が比例しない場合も考えられるが、この場合も、両者の関係は光センサ8の光学設計から求められるので、必要に応じて補正すれば、両者を比例関係にすることは容易である。
パターン上の各画素について出射角度が求められたら、各画素について、出射角度ψと出射光強度Poとを対応付けたデータを作成する(S3)。光ファイバである光導波路3を用いる場合は、出射パターンが円対称になり同じ出射角度の画素は同心円状に分布するので、原点Oを中心とする径方向の強度分布から出射角度ψと出射光強度Poとを対応付けたデータを作成する。また、角型断面を有する光導波路3’を用いる場合は、イメージセンサ10により取得されたパターンにおけるy方向の強度分布から、出射角度ψと出射光強度Poとを対応付けたデータを作成する。
実際の出射光強度とイメージセンサから得られるデータとは比例関係にあるので、その比例係数は(9)式のパラメータIに含められる。したがって、点pにおける出射光強度Poの値にも、相対値を用いてよい。
そして、ステップS3で求めたデータから、最小二乗法により(9)式のパラメータI,αを求める(S4)。イメージセンサ10で取得されたパターンから出射光強度Po(ψ)のパラメータI,αを求める方法は、以上で終了する。
センサ装置1では、イメージセンサ10の画素数に相当する多数のデータを、誤差が最も少なくなるように最小二乗法により理論式にフィッティングして、SPR吸収量の変化を求める。このため、異なる2つの角度の光で測定された出射光強度のデータを用いる場合と比べて、高精度にSPR吸収量変化を求めることができる。
また、センサ装置1では、出射角度に対する出射光強度Poの変化を1次式で表し、SPR吸収量の変化と光源強度の変化を、それぞれ別のパラメータα,Iとして求める。光源強度の変化や、入射側のアライメントずれに伴う出射光強度の変動の影響は、パラメータIに含められる。また、出射側の光導波路と光センサとのアライメントずれに伴う出射光強度変動は、イメージセンサ10で取得されたパターン上で光導波路の位置(原点O)を求めてから角度依存性を計算することで、打ち消すことができる。このため、光源の強度変動や、アライメントずれに伴う出射光強度の変動があったとしても、センサ装置1では、それらの影響を受けずにSPR吸収量の変化を求めることができる。
また、上記の方法は、1次式へのフィッティングであるから、計算量を減らせる点でも有用である。
さらに、センサ装置1では光源7としてLED光源を用いており、ビーム光源やレンズなどの光学系は必要ない。LED光源自体がもつ光源強度の角度分布を利用することから、センサ装置1では、入射角度の異なる複数の光源を設けたり、光源の入射角度を変化させる機構を設けたりする必要もない。また、光センサ8として2次元イメージセンサを用いており、分光器などの高価で大型の機器は必要ない。このため、センサ装置1は、装置を小型化かつ低価格化することができる。
図4に示す角型断面の光導波路3’を有するセンサチップ2Bを使い、エチレングリコールを被測定物質として、センサ装置1でサンプル溶液の濃度を測定する実験を行った。光導波路3’にはポリマー製のものを使用し、光源には波長660nmのLED光源を使用した。
図13(A)および図13(B)は、センサチップ2Bを使用したときにイメージセンサ10で取得された出射光強度のパターンを示す図である。図13(A)はサンプル溶液を滴下する前のパターンを、図13(B)は被測定物質を含まない純水をサンプル溶液として滴下した後のパターンを示す。図中の黒い点は、出射光強度が強い位置に対応する。
図13(A)のパターンは等方的であり、中心から遠ざかるにつれてx方向もy方向も同じように強度が減少していく。これに対し、図13(B)のパターンは、図13(A)のパターンと比べて全体的に出射光強度が低下しており、特にy方向の出射光強度が図13(A)のパターンと比べて大きく低下していることがわかる。これは、コア30’の表面と裏面で反射しながら進む光(進行方向がy成分をもつ光)がSPR吸収されることに相当している。
図14(A)〜図14(C)は、イメージセンサ10で取得された出射光強度のパターンにおける、y方向の強度変化を示すグラフである。
まず、図14(A)は、サンプル溶液なしのとき(AIR)と、被測定物質としてエチレングリコールをそれぞれ0%、1%、3%、5%含むサンプル溶液を滴下したときの出射光強度Po(y)のグラフを示す。なお、0%とは、サンプル溶液として純水を加えた場合に相当する。出射光強度Po(y)は、イメージセンサのパターン上の原点Oを通るy方向の直線上における、y方向の画素位置に対する出射光強度の変化である。ただし、原点Oを通る1ラインだけのデータではノイズ(ばらつき)が出るため、原点Oを中心とするy方向に平行な計21ライン(原点Oを通るラインと±x方向の各10画素についてのy方向に平行なライン)について平均化したデータをプロットした。
サンプル溶液なしの場合、金属層はセンサ膜を介してサンプル溶液より屈折率の小さい空気と接しているため、SPR吸収のピーク波長は短波長側に大きくシフトし、光源波長660nmではほとんどSPR吸収が起こらない。一方、サンプル溶液がセンサ膜に接すると、SPR吸収のピークが700nm付近に生じるため、光源波長660nmにおいて大きなSPR吸収が生じて、透過率が減少する。エチレングリコールを加えたサンプル溶液では、濃度とともにピーク波長が長波長側にシフトするため、透過率が増加する。このため、エチレングリコールの濃度が0%、1%、3%、5%と高くなるにつれて、出射光強度Po(y)は増加する。
なお、角型断面の光導波路3’を用いる場合、金属層が形成されていない光導波路の側面を反射してくる光(xz面内を進む光)はSPR吸収を起こさないため、透過率が減少しないはずである。しかしながら、ポリマー製の光導波路は、寸法精度や表面粗さなどの特性がガラス製の光導波路と比べて悪いことから、光導波路の端面に細かい凹凸ができやすく、コア−クラッド界面のゆらぎや散乱により光の進行方向がランダムに変化する。このため、ポリマー製の光導波路を用いる場合は、xz面内を進み出射した光でもSPR吸収が生じ、イメージセンサのパターンにはy方向だけでなくx方向にも強度分布が見られると同時に、出射角度が0の光でもSPR吸収による透過率の減少が生じる。この現象を、ここでは混合現象と呼ぶことにする。この混合現象の影響を取り除くため、図14(A)における出射光強度Po(y)の各グラフのピーク位置をそろえる処理を行う。
図14(B)は、図14(A)における各グラフについて、z方向に直進しy方向の原点でピークをとる光の強度(ピーク位置の出射光強度)が1になるように出射光強度Po(y)を相対化した出射光強度Pref(y)のグラフを示す。この処理は出射光強度Iの変化と考えられるため、このように相対化してもよいことは(9)式から明らかである。
図14(C)は、図14(B)の部分拡大図である。図14(B)では、出射光強度の出射角度依存性を表すパラメータαに対応する出射光強度Pref(y)のグラフの傾きは、サンプル溶液の濃度によってほとんど変化しないように見える。しかしながら、図14(C)の部分拡大図では、サンプル溶液の濃度が高くなるほど、パラメータαに対応する出射光強度Pref(y)のグラフの傾きが変化していることがわかる。
図15は、図14(C)の出射光強度Pref(y)の各グラフを最小二乗法により直線近似して求めた傾きαとサンプル溶液の濃度との関係を示すグラフである。横軸はサンプル溶液中のエチレングリコールの濃度C(%)であり、縦軸は各濃度に対する傾きαの値である。
図14(C)のy画素位置520が出射角度0に相当し、それより左側のy画素位置が小さい領域で傾きを求めているため、傾きαは正の値になっている。図15に示すように、サンプル溶液の濃度Cが増加するにつれて傾きαは減少している。すなわち、SPR吸収量が相対的に減少しており、理論通りであることがわかる。このようにして得られたサンプル溶液の濃度Cに対するパラメータαの関係を検量線として用いることで、未知の濃度の被測定物質を定量することが可能である。
角型断面の光導波路3’については、特にポリマー製の光導波路を用いる場合、いわゆる混合現象が生じるため、一般に、(9)式に示すパラメータIがサンプル溶液の濃度によって大きく変化し、かつ出射角度依存パラメータαが小さい値になる。しかしながら、センサ装置1の測定方法では、光源強度Iの変化量が打ち消されるため、パラメータIが大きく変動する場合であっても、パラメータαからSPR吸収量を定量することが可能である。
1 センサ装置
2,2A,2B センサチップ
3,3’ 光導波路
4,4A,4B 検出部
6 サンプル溶液
7 光源
8 光センサ
11 制御部
30,30’ コア
31,31’ クラッド
40,40A,40B 金属層
41 センサ膜

Claims (7)

  1. 光源と、
    前記光源からの光を導波するコアおよび前記コアを被覆するクラッドを含む光導波路と、
    前記コアに接するように配置され、前記光源からの光により表面プラズモン共鳴が生じる金属層と、
    前記金属層の表面に形成され、被測定物質を含む溶液が滴下されて被測定物質と特異的に結合するセンサ膜と、
    前記光導波路からの出射光の強度分布を検知する出射光検知部と、
    前記出射光検知部により検知された強度分布から得られる前記出射光の出射角度と強度との関係に基づいて、前記センサ膜に滴下された溶液中の被測定物質を定量する制御部と、
    を有するセンサ装置。
  2. 前記制御部は、前記出射光の出射角度と強度との関係を記述する理論式のパラメータを前記強度分布から決定することにより、前記出射光の出射角度に対する前記金属層での光の吸収量の変化を求める、請求項1に記載のセンサ装置。
  3. 前記出射光検知部は、前記光導波路の出射面上で前記出射光を受光する2次元イメージセンサである、請求項2に記載のセンサ装置。
  4. 前記光導波路は光ファイバであり、
    前記制御部は、前記2次元イメージセンサにより取得された円対称のパターンにおける径方向の強度分布から、前記出射光の出射角度と強度とを対応付けたデータを取得する、請求項3に記載のセンサ装置。
  5. 前記光導波路は基板の表面に形成された角型断面を有する光導波路であり、
    前記制御部は、前記2次元イメージセンサにより取得されたパターンにおける、前記金属層に垂直な方向の強度分布から、前記出射光の出射角度と強度とを対応付けたデータを取得する、請求項3に記載のセンサ装置。
  6. 前記光源はランバート分布の出射光強度を有するLED光源である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のセンサ装置。
  7. 光源と、前記光源からの光を導波するコアおよび前記コアを被覆するクラッドを含む光導波路と、前記コアに接するように配置され、前記光源からの光により表面プラズモン共鳴が生じる金属層と、前記金属層の表面に形成され、被測定物質を含む溶液が滴下されて被測定物質と特異的に結合するセンサ膜とを有するセンサ装置を用いた測定方法であって、
    前記光導波路からの出射光の強度分布を検知するステップと、
    検知された強度分布から得られる前記出射光の出射角度と強度との関係に基づいて、前記センサ膜に滴下された溶液中の被測定物質を定量するステップと、
    を有する測定方法。
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