JP2015113261A - 溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法及び強化ガラスの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決するための手段】本発明は、ガラスの化学強化工程におけるイオン交換処理を経た溶融塩を、Kを含有する無機イオン交換材に接触させる該溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法に関する。
【選択図】なし
Description
1.ガラスの化学強化工程におけるイオン交換処理を経た溶融塩を、溶融塩中で不溶な固体として存在するKを含有する無機イオン交換材に接触させる該溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法。
2.前記溶融塩の全質量をX(g)、前記無機イオン交換材の全質量をY(g)、前記無機イオン交換材中のKイオン濃度をα(質量%)、Naイオン濃度の調整前における前記溶融塩中のNaイオン濃度をβ(質量ppm)、Naイオン濃度の調整後における前記溶融塩中のNaイオン濃度をγ(質量ppm)としたとき、これらが関係式Y≧10−4×X(β−γ)/αを満たす前項1に記載の溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法。
3.前記溶融塩が前記関係式に加え関係式β>γを満たす前項2に記載の溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法。
4.Naイオン濃度の調整後における前記溶融塩中のNaイオン濃度γが3000(質量ppm)以下である前項2または3に記載の溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法。
5.前記無機イオン交換材中の全アルカリ金属中に占めるKの質量比が85%以上であることを特徴とする、前項1〜4のいずれか1項に記載の溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法。
6.前記無機イオン交換材がゼオライトである前項1〜5のいずれか1項に記載の溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法。
7.前記ゼオライトが予めK含有量を調整したゼオライトである前項6に記載の溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法。
8.前記ゼオライトがA型ゼオライトである、前項6または7に記載の溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法。
9.前記溶融塩が硝酸カリウムを含む前項1〜8のいずれか1項に記載の溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法。
10.前記溶融塩に前記無機イオン交換材を接触させる時間が1時間未満である前項1〜9のいずれか1項に記載の溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法。
11.前記溶融塩に前記無機イオン交換材を接触させた後に撹拌を行う前項1〜10のいずれか1項に記載の溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法。
12.前項1〜11のいずれか1項に記載の調整方法でNaイオン濃度を調整した溶融塩を用いてガラスを化学強化する工程を含む、強化ガラスの製造方法。
工程2:ガラスの化学強化工程
工程3:溶融塩劣化の判断
工程4:溶融塩への無機イオン交換材の接触(溶融塩中のNaイオン濃度の調整)
工程5:前記工程2〜4の繰り返し
工程1では、無機カリウム塩を容器に投入し、無機カリウム塩の融点以上の温度に加熱して溶融することで、溶融塩を調製する。
工程2では、ガラスを予熱し、前記工程1で調製した溶融塩を、化学強化処理をする温度に調整する。次いで予熱したガラスを溶融塩中に所定の時間浸漬したのち、ガラスを溶融塩中から引き上げ、放冷する。ガラスの組成等については後述する。
工程2を繰り返し行うと、ガラスから溶出するイオンにより、溶融塩中のNa濃度が増加するため、ガラス処理面積が増えるにつれて溶融塩のイオン交換能力が低下し、所望のCS値が得られなくなる。ガラス中のNaイオンを溶融塩中のKイオンを置換する場合は、主な不純物イオンとしてガラスから溶出するNaイオンが知られている。
工程4では、イオン交換能力が低下した溶融塩中にKを含有する無機イオン交換材を添加し、温度を一定に保ちながら全体が均一になるように撹拌翼などにより混合した後、静置することが好ましい。
無機イオン交換材中のK含有量(g)≧溶融塩中から除去するNa量(g)…式(1)
(X+Y)×Z×α≧10−2×(β−γ)×X…式(2)
式(2)から下記式(3)が導かれる。
Y≧10−4×X(β−γ)/α…式(3)
なお、式(2)において、βおよびγは、下記式(4)を満たすことが好ましい。
β>γ…式(4)
式(2)〜(4)において、
Xは溶融塩の全質量(g)を、
Yは無機イオン交換材の全質量(g)を、
Zは溶融塩中の無機イオン交換材の割合(質量%)を、
αは無機イオン交換材中のK含有量の割合(質量%)を、
βはNaイオン濃度調整前における溶融塩(初期溶融塩)中のNaイオン濃度(質量ppm)を、
γはNaイオン濃度調整後における溶融塩のNaイオン濃度(質量ppm)を示す。
(1)細孔(目合い1〜10μm)を有するSUS製フィルターを側面または底面に有する容器に無機イオン交換材を充填したのち、劣化した溶融塩に該容器を浸漬することで、容器内部の無機イオン交換材と溶融塩との間でNaイオンとKイオンとのイオン交換を行う。
(2)溶融塩が流動する管、圧送用ポンプおよび無機イオン交換材を充填した容器から実質的に構成される装置を溶融塩の入ったタンク(容器)近傍に敷設する。劣化した溶融塩を、熱間のままシステムに流すことで、容器内部の無機イオン交換材と溶融塩との間でNaイオンおよびKイオンのイオン交換を行う。
工程5では上記工程2〜4を繰り返し行う。イオン交換処理により劣化した溶融塩は、工程4を経ることによって、所望のCS値を付与しうる状態に回復させることができる。
本発明で使用されるガラスはナトリウムを含んでいればよく、成形、化学強化処理による強化が可能な組成を有するものである限り、種々の組成のものを使用することができる。具体的には、例えば、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、ホウ珪酸ガラス、鉛ガラスおよびアルカリバリウムガラス等が挙げられる。
(i)モル%で表示した組成で、SiO2を50〜80%、Al2O3を2〜25%、Li2Oを0〜10%、Na2Oを0〜18%、K2Oを0〜10%、MgOを0〜15%、CaOを0〜5%およびZrO2を0〜5%を含むガラス
(ii)モル%で表示した組成が、SiO2を50〜74%、Al2O3を1〜10%、Na2Oを6〜14%、K2Oを3〜11%、MgOを2〜15%、CaOを0〜6%およびZrO2を0〜5%含有し、SiO2およびAl2O3の含有量の合計が75%以下、Na2OおよびK2Oの含有量の合計が12〜25%、MgOおよびCaOの含有量の合計が7〜15%であるガラス
(iii)モル%で表示した組成が、SiO2を68〜80%、Al2O3を4〜10%、Na2Oを5〜15%、K2Oを0〜1%、MgOを4〜15%およびZrO2を0〜1%含有するガラス
(iv)モル%で表示した組成が、SiO2を67〜75%、Al2O3を0〜4%、Na2Oを7〜15%、K2Oを1〜9%、MgOを6〜14%およびZrO2を0〜1.5%含有し、SiO2およびAl2O3の含有量の合計が71〜75%、Na2OおよびK2Oの含有量の合計が12〜20%であり、CaOを含有する場合その含有量が1%未満であるガラス
中性洗剤としては市販されているものを用いることができる。
無機イオン交換材中のKイオン濃度およびNaイオン濃度は試料を加圧成型してペレット化した後、波長分散型の蛍光X線装置を用いて半定量分析により測定した。装置は(株)リガク製ZSX100eを用いて、測定径はφ30mmとした。
溶融塩中のNaイオン濃度は、化学強化槽内において、原子吸光光度計(日立ハイテク社製Z−2310)により、回収した溶融塩を硝酸水溶液に溶かし、イオン干渉を抑制するために塩化セシウムを加えて測定し、検量線法によって定量した。
(実施例1)Kを含有する無機イオン交換材(K含有量調整後)による溶融塩中のNaイオン濃度の調整
市販のKイオン型のA型ゼオライト[純正化学社製、モレキュラシーブス 3A(粉末)]300gを3.3moL/LのKCl水溶液に浸漬し、撹拌モーターと4枚プロペラ翼を用いて1時間撹拌することにより、イオン交換作用によってK含有量を調整した。得られたA型ゼオライト中の全アルカリ金属中に占めるKの質量比は92.1質量%であった。次いでSUS製のカップに硝酸カリウムを247g加えマントルヒーターで430℃まで加熱して溶融塩を調製した。この溶融塩に対して、ガラス強化処理後の劣化した溶融塩の状態を疑似的に作るため、硝酸ナトリウム2.77gを意図的に加えた。こうして調製した劣化状態の溶融塩中のNaイオン濃度を測定すると、2997質量ppmであった。ここにK含有量を調整したA型ゼオライト27.79g(溶融塩に対して10質量%)を添加した。調製した劣化模擬塩の初期濃度、添加したA型ゼオライトの量をそれぞれ表1に示す。撹拌モーターと4枚プロペラ翼を用いて2時間撹拌し、1時間以上静置した。その後、溶融塩中のNaイオン濃度を測定した結果、Naイオン濃度は2260質量ppmへと減少した。
市販のKイオン型のA型ゼオライト[純正化学社製、モレキュラシーブス 3A(粉末)]に、実施例1と同様のイオン交換操作を計7回(実施例2)、計10回(実施例3)繰り返したA型ゼオライト中の全アルカリ金属中に占めるKの質量比はそれぞれ98.4質量%(実施例2)、99.7質量%(実施例3)であった。次いでSUS製のカップに硝酸カリウムを247g加えマントルヒーターで430℃まで加熱して溶融塩を調製した。この溶融塩を2つ用意し、それぞれガラス強化処理後の劣化した溶融塩の状態を疑似的に作るため、硝酸ナトリウム2.77gを意図的に加えた。こうして調製した劣化状態の溶融塩中のNaイオン濃度を測定すると、3004質量ppm(実施例2)、3001質量ppm(実施例3)であった。ここにK含有量を調整したA型ゼオライトをそれぞれ27.78g(実施例2;溶融塩に対して10質量%)、27.80g(実施例3;溶融塩に対して10質量%)添加した。調製した劣化模擬塩の初期濃度、添加したA型ゼオライトの量を表1に示す。撹拌モーターと4枚プロペラ翼を用いて2時間撹拌し、1時間以上静置した。その後、溶融塩中のNaイオン濃度を測定した結果、Naイオン濃度はそれぞれ1337質量ppm(実施例2)、1027質量ppm(実施例3)へと減少した。
SUS製のカップに硝酸カリウムを247g加えマントルヒーターで430℃まで加熱して溶融塩を調製した。ガラス強化処理後の劣化した溶融塩の状態を疑似的に作るため、硝酸ナトリウム2.77gを意図的に加えた。こうして調製した劣化状態の溶融塩中のNaイオン濃度を測定すると、3000質量ppmであった。ここに市販のKイオン型のA型ゼオライト[純正化学社製、モレキュラシーブス 3A(粉末)]27.79gを添加し、撹拌モーターと4枚プロペラ翼を用いて2時間撹拌し、1時間以上静置した。調製した劣化模擬塩の初期濃度、添加したA型ゼオライトの量をそれぞれ表1に示す。溶融塩中のNaイオン濃度を測定した結果、Naイオン濃度は4643質量ppmへと増加した。使用した市販のKイオン型のA型ゼオライト中の全アルカリ金属中に占めるKの質量比は72.6質量%であった。
市販のヘクトライト(和光純薬工業社製、合成ヘクトライト、親油性)を表1に示す初期濃度である劣化溶融塩に表1に示す量を添加し、撹拌モーターと4枚プロペラ翼を用いて2時間撹拌し、1時間以上静置した。その後、ヘクトライト中のKイオン濃度およびNaイオン濃度、並びに溶融塩中のNaイオン濃度を測定した。
ケイ酸アルミニウム(純正化学社製、ケイ酸アルミニウム)を表1に示す初期濃度である劣化溶融塩に表1に示す量を添加し、撹拌モーターと4枚プロペラ翼を用いて2時間撹拌し、1時間以上静置した。その後、ケイ酸アルミニウム中のKイオン濃度およびNaイオン濃度、並びに溶融塩中のNaイオン濃度を測定した。
γ−アルミナ(和光純薬工業社製、活性アルミナ)を表1に示す初期濃度である劣化溶融塩に表1に示す量を添加し、撹拌モーターと4枚プロペラ翼を用いて2時間撹拌し、1時間以上静置した。その後、γ−アルミナ中のKイオン濃度およびNaイオン濃度、並びに溶融塩中のNaイオン濃度を測定した。
SUS製の調製槽兼強化槽に硝酸カリウム247g、硝酸ナトリウム2.77gを加え、マントルヒーターで430℃まで加熱して劣化溶融塩を調製した。当該溶融塩中のNaイオン濃度は3000質量ppmであった。
上記2.と同様の方法で調製したNaイオン濃度が3000質量ppmである模擬劣化塩に、無機イオン交換材中のKイオン濃度とNaイオン濃度の質量比[K/(Na+K)]が99.8%であるA型ゼオライトを10質量%添加し、撹拌時間を変化させて、模擬劣化塩のNaイオン濃度を測定した結果を図2に示す。
上記2.と同様の方法で調製した3000質量ppmである模擬劣化塩に、無機イオン交換材中のKイオンとNaイオンの質量比[K/(Na+K)]が99.8%であるA型ゼオライトを10質量%添加し、再生温度を変化させて、撹拌モーターと4枚プロペラ翼を用いて2時間撹拌し、1時間以上静置した。その後、劣化溶融塩中のNaイオン濃度を測定した結果を図3に示す。
上記2.と同様の方法で調製した初期の溶融塩中のNaイオン濃度が10000質量ppmまたは3000質量ppmである模擬劣化塩に、A型ゼオライトの添加量を変化させて無機イオン交換材中のKイオン濃度とNaイオン濃度の質量比[K/(Na+K)]が99.8%であるA型ゼオライトを添加し、再生後の溶融塩中のNaイオン濃度を測定した結果を図4に示す。
Claims (12)
- ガラスの化学強化工程におけるイオン交換処理を経た溶融塩を、溶融塩中で不溶な固体として存在するKを含有する無機イオン交換材に接触させる該溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法。
- 前記溶融塩の全質量をX(g)、前記無機イオン交換材の全質量をY(g)、前記無機イオン交換材中のKイオン濃度をα(質量%)、Naイオン濃度の調整前における前記溶融塩のNaイオン濃度をβ(質量ppm)、Naイオン濃度の調整後における前記溶融塩のNaイオン濃度をγ(質量ppm)としたとき、これらが関係式Y≧10−4×X(β−γ)/αを満たす請求項1に記載の溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法。
- 前記溶融塩が前記関係式に加え関係式β>γを満たす請求項2に記載の溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法。
- Naイオン濃度の調整後における前記溶融塩のNaイオン濃度γが3000(質量ppm)である請求項2または3に記載の溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法。
- 前記無機イオン交換材中の全アルカリ金属中に占めるKの質量比が85%以上であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法。
- 前記無機イオン交換材がゼオライトである請求項1〜5のいずれか1項に記載の溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法。
- 前記ゼオライトが予めK含有量を調整したゼオライトである請求項6に記載の溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法。
- 前記ゼオライトがA型ゼオライトである、請求項6または7に記載の溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法。
- 前記溶融塩が硝酸カリウムを含む請求項1〜8のいずれか1項に記載の溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法。
- 前記溶融塩に前記無機イオン交換材を接触させる時間が1時間未満である請求項1〜9のいずれか1項に記載の溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法。
- 前記溶融塩に前記無機イオン交換材を接触させた後に撹拌を行う請求項1〜10のいずれか1項に記載の溶融塩中のNaイオン濃度の調整方法。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載の調整方法でNaイオン濃度を調整した溶融塩を用いてガラスを化学強化する工程を含む、強化ガラスの製造方法。
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