JP2015128376A - グリセロールを原料としたメタン発酵を迅速に立ち上げる方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、有機性廃棄物のメタン発酵系においてメタン生成を開始させるまでの時間を短縮させる方法であって、特定のプライマーセットによって検出される塩基配列を含む16S rRNA又は16S rDNAを有する、グリセロールを原料としてメタン生成を行う微生物を有機性廃棄物のメタン発酵系に供給することを含む方法を提供する。
【選択図】なし
Description
[1]有機性廃棄物のメタン発酵系においてメタン生成を開始させるまでの時間を短縮させる方法であって、下記のプライマーセット:
(1)プライマーセット1
(a)配列番号1に示される塩基配列又はこれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、及び
(b)配列番号2に示される塩基配列又はこれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド;
(2)プライマーセット2
(c)配列番号3に示される塩基配列又はこれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、及び
(d)配列番号4に示される塩基配列又はこれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド;及び/又は
(3)プライマーセット3
(e)配列番号5に示される塩基配列又はこれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、及び
(f)配列番号6に示される塩基配列又はこれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
によって検出される塩基配列を含む16S rRNA又は16S rDNAを有する、グリセロールを原料としてメタン生成を行う微生物を有機性廃棄物のメタン発酵系に供給することを含む方法。
[2]前記プライマーセット1によって検出させる微生物が真正細菌であって、配列番号7、8、又は9に示される塩基配列を含む、上記[1]に記載の方法。
[3]前記真正細菌がトリココッカス属種(Trichococcus sp.)である、上記[2]に記載の方法。
[4]前記プライマーセット2によって検出させる微生物が古細菌であって、配列番号10に示される塩基配列を含む、上記[1]に記載の方法。
[5]前記古細菌がメタノバクテリウム属種(Methanobacterium sp.)である、上記[4]に記載の方法。
[6]前記プライマーセット3によって検出させる微生物が古細菌であって、配列番号11に示される塩基配列を含む、上記[1]に記載の方法。
[7]前記古細菌がメタノスピリルム属種(Methanospirillum sp.)である、上記[6]に記載の方法。
[8]有機性廃棄物が、食品廃棄物、糞尿、動植物残さ、古紙、及び汚泥からなる群から選択される、上記[1]〜[7]に記載の方法。
[9]前記馴養期間が0〜20日である、上記[1]〜[8]に記載の方法。
[10]有機性廃棄物のメタン発酵系においてメタン生成を開始するまでの時間を短縮させるために使用される組成物であって、下記のプライマーセット:
(1)プライマーセット1
(a)配列番号1に示される塩基配列又はこれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、及び
(b)配列番号2に示される塩基配列又はこれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド;
(2)プライマーセット2
(c)配列番号3に示される塩基配列又はこれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、及び
(d)配列番号4に示される塩基配列又はこれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド;及び/又は
(3)プライマーセット3
(e)配列番号5に示される塩基配列又はこれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、及び
(f)配列番号6に示される塩基配列又はこれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
によって検出される塩基配列を有する微生物を含む組成物。
前述の通り、本発明は、有機性廃棄物のメタン発酵系においてメタン生成を開始するまでの時間を短縮させる方法であって、下記のプライマーセット:
(1)プライマーセット1
(a)配列番号1に示される塩基配列又はこれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、及び
(b)配列番号2に示される塩基配列又はこれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド;
(2)プライマーセット2
(c)配列番号3に示される塩基配列又はこれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、及び
(d)配列番号4に示される塩基配列又はこれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド;及び/又は
(3)プライマーセット3
(e)配列番号5に示される塩基配列又はこれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、及び
(f)配列番号6に示される塩基配列又はこれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
によって検出される塩基配列を有する、グリセロールを原料としてメタン生成を行う微生物を有機性廃棄物のメタン発酵系に添加することを含む方法に関する。
(1)グリセロールへの馴養
一般に、メタン発酵の開始時、すなわち、メタン発酵槽の新規立ち上げ時には、原料(基質)となる有機性廃棄物の供給量(有機物負荷)を段階的に増加させて供給することによって、メタン生成菌を原料に馴染ませる馴養の方法が行われている。これは、いきなり高濃度の新しい基質を供給するとメタン発酵の微生物がその基質を利用することができないためである。段階的に基質を増加させる方法は優れた方法ではあるが、高濃度の基質を供給しても、微生物が高い活性を維持し、メタン発酵が完全に行われるまでには長い期間(馴養期間)を要し、メタン発酵槽の新規立ち上げ時に時間的制約を受けることが問題となっている。本発明者らは、有機性廃棄物であるグリセロールを原料として供給した場合に、グリセロールによる馴養期間の前後において、発酵槽内における微生物叢の変化から、グリセロールを原料としてメタンを生成する活性の高い微生物を特定することに成功し、該微生物をメタン発酵槽の新規立ち上げ時に添加することによって、上記馴養期間を顕著に短縮できることを見出し、本発明を完成するに至った。なお、グリセロールを炭素源としてメタン生成を行う微生物の特定において、上記の通り、発酵槽におけるグリセロール濃度を段階的に高めたが、この段階的なグリセロール濃度の増加は、例えば、0〜60日の間、0mol/Lから開始して0.089mol/Lに達するように適宜調整することができる(実施例1参照)。なお、この馴養期間中は、炭素源濃度を一定にするために、グリセロール以外の炭素源としてグルコース、酢酸、乳酸等を添加し、グリセロール濃度の段階的な増加に伴って、他の炭素源の濃度を段階的に減少させている。
本発明者らは、グリセロールによる馴養期間の前後における微生物叢の変化、すなわち、馴養期間中からその期間後において発酵槽中で増加するグリセロールを炭素源としてメタン生成を行う真正細菌(3種)及び古細菌(3種)を特定することができた。本発明によれば、馴養期間を短縮させるために使用可能な真正細菌は、トリココッカス属種(Trichococcus sp.)であり、種名が特定されていない菌種の真正細菌であって、固有の16S rRNA(又は16S rDNA)を有する。本明細書においては、上記3種の真正細菌は、16S rRNAの部分塩基配列のバンドに因んで、それぞれ「バンドB7」、「バンドB8」、及び「バンドB10」として命名された。バンドB7及びB8は、近縁のトリココッカス属種(Trichococcus sp.)(GenBank Accession No.FJ374769)の16S rRNA(又は16S rDNA)の部分塩基配列(配列番号12)の情報を利用することにより特定された(実施例1参照)。また、バンドB10は、近縁のトリココッカス・コリンシ(Trichococcus collinsii)(GenBank Accession No.EU434536)の部分塩基配列(配列番号13)の情報を利用することにより特定された(実施例1参照)。
357f(フォワード):5’−CGCCCGCCGCGCGCGGCGGGCGGGGCGGGGGCACGGGGGGCCTACGGGAGGCAGCAG−3’(配列番号17 (下線部はGCクランプの配列である)(ヌクレオチド41−57は、配列番号16(大腸菌の16S rRNA)のヌクレオチド341−357に対応する)、及び
518r(リバース):5’−ATTACCGCGGCTGCTGG−3’(配列番号18)(配列番号16(大腸菌の16S rRNA)のヌクレオチド534−518に対応する)
を用いて、該核酸をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法により増幅する。なお、上記プライマーセットAは、真正細菌の16S rRNA遺伝子に結合するとされるユニバーサルプライマーであって、従前の文献(Ueno,Y.,et al.,Appl.Microbiol.Biotechnol.,57,65−73(2001))に基づいて作製した。
プライマーセットB:
PRA46f(フォワード):5’−(C/T)TAAGCCATGC(G/A)AGT−3’(配列番号19)(大腸菌の16S rRNAのヌクレオチド46−60に対応)からなる)、及び
PREA1100r(リバース):5’−(T/C)GGGTCTCGCTCGTT(G/A)CC−3’(配列番号20)(大腸菌の16S rRNAのヌクレオチド1117−1100に対応);並びに
プライマーセットC:
PARCH340f(フォワード):5’−CGCCCGCCGCGCGCGGCGGGCGGGGCGGGGGCACGGGGGGCCCTACGGGG(C/T)GCA(G/C)CAG−3’ (配列番号21)(下線部はGCクランプの配列である)(ヌクレオチド41−58は大腸菌の16S rRNAのヌクレオチド340−357に対応)、及び
PARCH519r(リバース):5’−TTACCGCGGC(G/T)GCTG−3’ (配列番号22)(大腸菌の16S rRNAのヌクレオチド533−510に対応)
を用いて、該核酸をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法により増幅する。なお、上記プライマーセットBとCは、外側のプライマーと内側のプライマーを使って2段階のPCRを行うネスティッドPCRのために使用した。上記プライマーセットBとCは、古細菌の16S rRNA遺伝子に結合するとされるユニバーサルプライマーであって、従前の文献(Ovreas,L.,et al.,Appl.Environ.Microbiol.,63,3367−3373(1997))に記載されている。
本発明によれば、グリセロールを原料としたメタン発酵において、メタン生成が開始するまでの時間を短縮させるための方法が提供され、具体的には、後述するプライマーセット1、2及び/又は3によって検出される塩基配列を有する微生物をメタン発酵槽に添加することを含む方法が提供される。
(1)プライマーセット1:
(a)Tri357f(フォワード):5’−CTACGGGAGGCAGCAG−3’(配列番号1)に示される塩基配列(配列番号23のヌクレオチド331−346に対応)又はこれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、及び
(b)Tri459r(リバース):5’−CGACTTGTTCTTCTCTGACA−3’(配列番号2)に示される塩基配列(配列番号23のヌクレオチド448−429に対応)又はこれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
によって検出及び/又は定量される微生物、より具体的には、バンドB7、B8、及び/又はB10に対応する真正細菌である。
(2)プライマーセット2:
(a)Meb390f(フォワード):5’−AAACCTCCGCAATGCGAGCA−3’(配列番号3)に示される塩基配列(配列番号24のヌクレオチド252−271に対応)又はこれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、及び
(b)Meb495r(リバース):5’−GCCCAGCCCTTATTCCTGAAGCT−3’(配列番号4)に示される塩基配列(配列番号24のヌクレオチド354−332に対応)又はこれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
によって検出及び/又は定量される微生物、より具体的には、バンドA8及びA9に対応する古細菌である。
(3)プライマーセット3:
(a)Mes372f(フォワード):5’−TTTACCATGCGGGCAACCGTGAT−3’(配列番号5)に示される塩基配列(配列番号25のヌクレオチド345−367に対応)又はこれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、及び
(b)Mes469r(リバース):5’−TTACACTGGTGGACAGCCAG−3’(配列番号6)に示される塩基配列(配列番号25のヌクレオチド413−394に対応)又はこれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
によって検出及び/又は定量される微生物、より具体的には、バンドA13に対応する古細菌である。ここで、本明細書で使用するとき、語句「実質的に同一な塩基配列」とは、対応する上記プライマーの塩基配列と90%以上、95%以上、98%以上、若しくは99%以上の配列同一性を有する塩基配列、又は上記プライマーの塩基配列の塩基の複数個、好ましくは5個、より好ましくは4個、さらに好ましくは3個、さらにより好ましくは2個、最も好ましくは1個が欠失、付加及び/又は置換されている塩基配列をいう。
本発明によれば、発酵槽の新規立ち上げにおいて、本発明の微生物を含む組成物を発酵槽に添加することによって、メタン生成が開始するまでの時間を短縮することができる。使用される組成物としての形態は、特に限定されないが、液体、ペースト状、グラニュール状、固定化微生物状(包括固定化物、吸着固定化物、カプセルなど)であってもよく、好ましくはグラニュール状態である。なお、組成物には、本発明の微生物の他、微生物の生育に適した栄養素、培地等を添加してもよい。組成物中に含まれる微生物の量は、適宜変更可能である。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
(1)グリセロールに対する馴養
2種の基質溶液として、グルコース、酢酸ナトリウム、及び乳酸を混合した溶液とグリセロール溶液を調製し、グリセロール量を0%から100%に段階的に増加させるようにして、上記2種の比率を変えながら発酵槽に流入させた。最初の2日を除いて、発酵全体でCOD負荷率を一定にした(2.5g COD/L/日)。発酵槽に添加する溶液の成分及び量、並びにグリセロールの段階的な添加量及び期間は以下の表1の通りである。
グリセロールを炭素源としてメタン生成に関与する微生物の特定を試みた。実験開始の0日、17日、19日、28日、37日、45日、49日、55日、61日、67日、77日、及び84日目にリアクターから回収したグラニュールを含む汚泥について生物学的分析を行った。汚泥試料(30mL)を44,280×gにて10分間の遠心分離によって、液体試料に含まれる汚泥を分別し、その0.3g(湿重量)をDNA抽出に供した。汚泥由来のDNAは、製造業者の使用説明書に従って、Beads Beating Kit用のISOIL(NO. 319-06201、Nippon Gene Co., Ltd., Toyama, Japan)を用いて抽出された。抽出したDNAをPCRの鋳型として用いた。PCR増幅としては、真正細菌及び古細菌の16S rRNA遺伝子領域をPCR−DGGE分析に使用した。真正細菌用のプライマーには、GCクランプを5’側に付加した357f(フォワード):5’−CGCCCGCCGCGCGCGGCGGGCGGGGCGGGGGCACGGGGGGCCTACGGGAGGCAGCAG−3’(配列番号17)、及び518r(リバース):5’−ATTACCGCGGCTGCTGG−3’(配列番号18)を用いた。一方、古細菌用のプライマーとしては、PRA46f(フォワード):5’−(C/T)GGGTCTCGCTCGTT(G/A)CC−3’(配列番号19)、及びPREA1100r(リバース):5’−(T/C)GGGTCTCGCTCGTT(G/A)CC−3’(配列番号20);続いて、PARCH340f(フォワード):5’−CGCCCGCCGCGCGCGGCGGGCGGGGCGGGGGCACGGGGGGCCCTACGGGG(C/T)GCA(G/C)CAG−3’(配列番号21)、及びPARCH519r(リバース):5’−TTACCGCGGC(G/T)GCTG−3’(配列番号22)を用いた。PCR増幅は、TaKaRaEx Taq(商標)HS(RR006A, Takara Bio Inc., Otsu, Japan)を用いて行った。増幅は、最終体積として50μLで行い、2μLの鋳型DNA、5μLの10×Ex Taqバッファー、4μLのdNTP Mix(各2.5mM)、0.5μLの各プライマー、0.25μLのTaKaRaEx Taq(商標)HS(5ユニット/μL)、及び37.75μLの滅菌水を含んでいた。PCRは、以下のステップ:真正細菌については、初期変性(94℃にて7分間);7サイクル(94℃にて1分間、65℃にて1分間、及び72℃にて2分間);7サイクル(94℃にて1分間、60℃にて1分間、及び72℃にて2分間);21サイクル(94℃にて1分間、55℃にて1分間、及び72℃にて2分間);並びに最終伸長(72℃で10分間)、古細菌については、初期変性(95℃にて5分間);35サイクル(95℃にて1分間、53.5℃にて1分間、及び72℃にて1分間);最終伸長(72℃にて6分間)を用いて行われた。
M13 F(5’−GTAAAACGACGGCCAG−3’)(配列番号26)
M13 R(5’−CAGGAAACAGCTATGAC−3’)(配列番号27)
を用いたPCR増幅によって確認した。さらに、挿入された断片は、真正細菌についてはプライマーセットAを用い、古細菌についてはプライマーセットCを用いてPCRにより増幅した。PCR産物をDGGEによって試験し、同じ位置に同一のバンドを確認した。PCR産物は、Wizard SVゲル及びPCR Clean−UPシステム(A9281, Promega, Madison, WI, USA)を用いて精製し、配列決定は、BigDyeキット(PerkinElmer Japan, Applied Biosystems Division)を用いて行われた。配列を遺伝子データベース(DDBJ、GenBank)において利用可能な16S rRNA遺伝子と比較した。ヌクレオチド配列の類似性に基づいて、MEGA3.1を用いて系統樹を構築した(図1及び2)。
図5Aは、メタン発酵中の真正細菌叢の動的変化をPCR−DGGEパターンの変化として示したものであり、図5Bは、DGGE上に出現した特徴的なバンドに対応するいくつかの真正細菌濃度の時間的な変化を表している。DGGE上のバンドの光強度は、各汚泥試料中のバンドに対応する真正細菌の相対的な濃度に対応している。全真正細菌の濃度がメタン発酵全体で同じであれば、特定のバンドの光強度の変化からその真正細菌の濃度の動的変化を見積もることができる。しかしながら、本研究の条件では全真正細菌の濃度が一定であるという確証がないので、本実験では、真正細菌の濃度変化は、リアルタイムPCRによって直接的に決定した。リアルタイムPCRは、汚泥試料から単離後、その微生物を用いた検量線を作製することによって、多種の微生物が共存したとしても、汚泥中のDNAコピー数/gを単位として個々の微生物の菌体濃度を定量することができる。
図6Aは、メタン発酵中の古細菌叢の動的変化をPCR−DGGEパターンの変化として示したものであり、図6Bは、DGGE上に出現した特徴的なバンドに対応するいくつかの古細菌濃度の時間的な変化を表している。いくつかの古細菌の補正された相対濃度は、真正細菌と同様の方法を用いて決定した。この計算においては、バンドA8及びA9に対応する古細菌(これらの古細菌はメタノバクテリウム・カナギエンセに関連し、プライマーセット2によって検出された)を参照の古細菌として用いた。参照時間Tは、真正細菌の場合と同様に発酵の48日目とした。バンドA8及びバンドA9に対応する古細菌は、1桁分の増加を示し、最大濃度に達した(図6B)。バンドA10及びA11に対応する古細菌は僅かに増加し、一方、バンドA12に対応する古細菌は発酵の進行とともに減少した。バンドA13に対応する古細菌の増加は、バンドA8及びA9に対応する古細菌の濃度よりも低かったが、最も顕著に現れた。補正された相対濃度におけるこれらの変化は、DGGEプロファイルにおける各バンドの光強度の変化と一致していた。バンドA12は緩やかに変化し、これは、メタン発酵中のグリセロール分解の中間化合物がバンドA12に対応する古細菌の増殖に利用されていないことを示唆している。対照的に、バンドA8、A9、A10、A11、及びA13の強度は、馴養中に大幅に増加することから、グリセロール分解の中間化合物が、バンドA8、A9、A10、A11、及びA13に対応する古細菌にとって、好ましい基質であることが示唆される。
(1)メタン発酵用の運転試料の調製
実施例1においてグリセロールへの馴養後のメタン発酵槽からグラニュール汚泥を採取した。このグラニュール汚泥には、グリセロールを炭素源とする支配的な少なくとも上記バンドB7、B7、B10、A8、A9、及びA13に対応する微生物が含まれる。一方、対照として、醸造廃水を処理しているメタン発酵装置から得たグラニュール汚泥をそのまま用いた。
発酵には、3L容量のPyrex(登録商標)ガラス製(高さ250mm、径120mm)リアクターを2つ使用した。実験の開始時に、リアクターの1つには、上記(1)で調製した特定の微生物を含むグラニュール汚泥100mLと醸造廃水処理のメタン発酵装置から得たグラニュール汚泥200mLを混合した300mLを添加し(運転A)、もう1つには、醸造廃水処理のメタン発酵装置から得た汚泥300mLを添加し(運転B)、実施例1の方法に準じてグリセロールに対する馴養を行ったが、リアクターに添加する溶液の成分及び量、並びにグリセロールの段階的な添加量及び時間は以下の表5の通りである。
Claims (10)
- 有機性廃棄物のメタン発酵系においてメタン生成を開始させるまでの時間を短縮させる方法であって、下記のプライマーセット:
(1)プライマーセット1
(a)配列番号1に示される塩基配列又はこれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、及び
(b)配列番号2に示される塩基配列又はこれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド;
(2)プライマーセット2
(c)配列番号3に示される塩基配列又はこれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、及び
(d)配列番号4に示される塩基配列又はこれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド;及び/又は
(3)プライマーセット3
(e)配列番号5に示される塩基配列又はこれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、及び
(f)配列番号6に示される塩基配列又はこれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
によって検出される塩基配列を含む16S rRNA又は16S rDNAを有する、グリセロールを原料としてメタン生成を行う微生物を有機性廃棄物のメタン発酵系に供給することを含む方法。 - 前記プライマーセット1によって検出させる微生物が真正細菌であって、配列番号7、8、又は9に示される塩基配列を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記真正細菌がトリココッカス属種(Trichococcus sp.)である、請求項2に記載の方法。
- 前記プライマーセット2によって検出させる微生物が古細菌であって、配列番号8に示される塩基配列を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記古細菌がメタノバクテリウム属種(Methanobacterium sp.)である、請求項4に記載の方法。
- 前記プライマーセット3によって検出させる微生物が古細菌であって、配列番号9に示される塩基配列を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記古細菌がメタノスピリルム属種(Methanospirillum sp.)である、請求項5に記載の方法。
- 有機性廃棄物が、食品廃棄物、糞尿、動植物残さ、古紙、及び汚泥からなる群から選択される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
- 前記馴養期間が0〜20日である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
- 有機性廃棄物のメタン発酵系においてメタン生成を開始するまでの時間を短縮させるために使用される組成物であって、下記のプライマーセット:
(1)プライマーセット1
(a)配列番号1に示される塩基配列又はこれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、及び
(b)配列番号2に示される塩基配列又はこれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド;
(2)プライマーセット2
(c)配列番号3に示される塩基配列又はこれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、及び
(d)配列番号4に示される塩基配列又はこれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド;及び/又は
(3)プライマーセット3
(e)配列番号5に示される塩基配列又はこれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、及び
(f)配列番号6に示される塩基配列又はこれと実質的に同一の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
によって検出される塩基配列を有する微生物を含む組成物。
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