JP2015137302A - 多孔性フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

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Gohei Yamamura
剛平 山村
真之 廣田
Masayuki Hirota
真之 廣田
莉沙 ▲浜▼▲崎▼
莉沙 ▲浜▼▲崎▼
Risa Hamazaki
末岡 雅則
Masanori Sueoka
雅則 末岡
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Abstract

【課題】本発明が解決しようとする課題は、透湿性、透湿度の均一性、耐水性、薄膜形成性に優れた、主に生分解性樹脂からなる多孔性フィルムおよびその製造方法を提供することである。
【解決手段】生分解性樹脂と充填剤(C)とを含み、生分解性樹脂の含有量を100質量部としたときの充填剤(C)の含有量が1〜400質量部であり、
条件1を満たすことを特徴とする、多孔性フィルム。
条件1:1≦30(Ta−Tb)/T≦5
但し、
Ta:長さ方向に10mm間隔で100点の厚みを測定した際の最大の厚み
Tb:長さ方向に10mm間隔で100点の厚みを測定した際の最小の厚み
T:長さ方向に10mm間隔で100点の厚みを測定した際の平均の厚み
【選択図】なし

Description

本発明は、透湿性、透湿度の均一性、耐水性、薄膜形成性に優れた、主に生分解性樹脂からなる多孔性フィルムおよびその製造方法に関する。
ポリエチレンなどに代表されるポリオレフィン系樹脂に、無機粒子を配合して溶融製膜した後、延伸加工して得られる多孔性フィルムが知られている。このような多孔性フィルムは、マルチフィルムなどの農業材料、紙オムツの防水フィルムなどの衛生材料、各種の包装材料等として使用され、一般的には使用後に直ちに廃棄される。近年、環境意識の高まりのもと、プラスチック製品の廃棄による土壌汚染問題が注目されている中で、該ポリオレフィン系樹脂は自然環境下ではほとんど分解せず、半永久的に土壌中に残存するという問題がある。
これに対し、自然環境下で分解する生分解性樹脂が注目されている。多孔性フィルムの分野では、例えば、特許文献1には、生分解性樹脂であるポリ乳酸樹脂、充填剤および一般的なポリエステル系可塑剤を含むシートを少なくとも1軸延伸してなる多孔性シートが開示されている。また、特許文献2には、ポリ乳酸系重合体、脂肪族芳香族共重合ポリエステル、微粉状充填材に加えて、脂肪族多価カルボン酸エステル、脂肪族多価アルコールエステル、脂肪族多価アルコールエーテルおよびオキシ酸エステルから選ばれる一般的な可塑剤を含み、微粉状充填材と樹脂成分との界面剥離による空孔が形成された多孔性フィルムが開示されている。さらに、特許文献3には、ポリ乳酸系樹脂、ポリ乳酸系以外の熱可塑性樹脂、充填剤を含み、ある一定の空孔率を有する多孔性フィルムが開示されている。
特開2007−112867号公報 特開2004−149679号公報 WO2009/084518号パンフレット
前述の特許文献1では、多孔性シートの厚みについて、4〜90μm程度とすることができる、との記載があるが、実際には最終厚みが30μm程度の例のみであり、20μm未満の薄膜形成には至っておらず、また、透湿度の均一性の点についても不十分であった。ここで、透湿度の均一性とはフィルム面内の各場所において透湿度の値に斑が無いことであり、各種製品化後の品質向上のために求められる重要な性能である。前述の特許文献2では、多孔性フィルムの厚みについて、一般的には10〜100μm程度である、との記載があるが、実際には最終厚みが30μmの例のみであり、透湿度の均一性の点についても不十分であった。前述の特許文献3では、フィルムの厚みが5〜200μmであることが好ましい、との記載があるが、実際には最終厚みが20μmの例のみであり、透湿度の均一性の点についても不十分なものであった。
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、透湿性、透湿度の均一性、耐水性、薄膜形成性に優れた、主に生分解性樹脂からなる多孔性フィルムおよびその製造方法を提供せんとするものである。
本発明は、生分解性樹脂と充填剤(C)とを含み、生分解性樹脂の含有量を100質量部としたときの充填剤(C)の含有量が1〜400質量部であり、
条件1を満たすことを特徴とする、多孔性フィルム、である。
条件1:1≦30(Ta−Tb)/T≦5
但し、
Ta:長さ方向に10mm間隔で100点の厚みを測定した際の最大の厚み(以下、Taを最大厚みという)
Tb:長さ方向に10mm間隔で100点の厚みを測定した際の最小の厚み(以下、Tbを最小厚みという)
T :長さ方向に10mm間隔で100点の厚みを測定した際の平均の厚み(以下、Tを平均厚みという)
また、別の本発明は、押出機により溶融させた樹脂組成物をダイから押出しフィルムを製造する工程(以下、押出工程という)、該フィルムをロール間の周速差を用いてフィルムの長手方向に延伸する工程(以下、延伸工程という)、及び延伸したフィルムを熱固定する工程(以下、熱固定工程という)をこの順に有し、
押出工程において、押出機のシリンダーの温度(℃)の最高の値をSとしたとき、ダイの平均の温度(℃)がS−5〜S−50であることを特徴とする、多孔性フィルムの製造方法、である。
本発明は、透湿性、透湿度の均一性、耐水性、薄膜形成性に優れた、主に生分解性樹脂からなる多孔性フィルムおよびその製造方法が提供される。本発明の多孔性フィルムは、透湿性、透湿度の均一性、耐水性、薄膜形成性を必要とする用途に好ましく用いることができる。具体的には、スポーツウェア、雨天用衣類、手袋などに必要とされる透湿・防水性、防護服などに必要とされる透湿・防塵性を具備する衣料材料、ベッド用シーツ、マット、枕カバーなどの寝具、紙おむつや生理用品などの吸収性物品に必要とされる透湿・防水性を具備する医療・衛生材料、ゴミ袋、堆肥袋、食品用袋、各種工業製品用袋などの包装材料、各種物質を分離するフィルター、セパレーターといった工業材料などに好ましく用いることができる。
発明者らは、前記課題、つまり透湿性、透湿度の均一性、耐水性、薄膜形成性に優れた、生分解性樹脂からなる多孔性フィルムおよびその製造方法について鋭意検討した結果、特定の組成を有し、かつ、フィルムの最大厚み、最小厚み、平均厚みの関係を一定の条件内に納めることにより、また、フィルム製造時の押出工程でシリンダーの温度の最高の値とダイの平均の温度の関係を一定の条件内に納める製造方法により、かかる課題の解決に初めて成功したものである。
すなわち本発明は、生分解性樹脂と充填剤(C)とを含み、生分解性樹脂の含有量を100質量部としたときの充填剤(C)の含有量が1〜400質量部であり、条件1を満たすことを特徴とする、多孔性フィルム、である。
条件1:1≦30(Ta−Tb)/T≦5
但し、
Ta:最大厚み
Tb:最小厚み
T:平均厚み
また、別の本発明は、押出工程、延伸工程、熱固定工程をこの順に有し、
押出工程において、押出機のシリンダーの温度(℃)の最高の値をSとしたとき、ダイの平均の温度(℃)がS−5〜S−50であることを特徴とする、多孔性フィルムの製造方法、である。
以下、本発明の多孔性フィルムおよびその製造方法について説明する。

(生分解性樹脂)
本発明の多孔性フィルムは、生分解性樹脂を含むことが重要である。生分解性樹脂は、自然環境下で分解する性質を有するため、例えば土壌に廃棄されたとしても、半永久的に土壌に残存するという問題が起こらない。なお、本発明でいう生分解性樹脂とは、JIS K6950(2000)、JIS K6951(2000)、JIS K6953−1(2011)、JIS K6953−2(2010)、JIS K6955(2006)、化審法生分解性試験(MITI法)のいずれかで試験して60%以上の生分解度である樹脂のことをいう。
生分解性樹脂の具体例としては、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート・3−ヒドロキシバリレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート・3−ヒドロキシヘキサノエート)、ポリカプロラクトン、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペートなどに代表される脂肪族ポリエステル、ポリエチレンサクシネート・テレフタレート、ポリブチレンサクシネート・テレフタレート、ポリブチレンアジペート・テレフタレートなどに代表される脂肪族芳香族ポリエステル、熱可塑性澱粉、ノバモント社の生分解性樹脂「マタービー(登録商標)」に代表される澱粉を含むポリエステル系樹脂、セルロースエステルなどが使用できる。

(ポリ乳酸系樹脂(A))
本発明の多孔性フィルムは、生分解性樹脂として、ポリ乳酸系樹脂(A)を用いることが好ましい。ポリ乳酸系樹脂は、焼却しても大気中に新たな二酸化炭素の負荷を与えない植物由来原料からなり、かつ、コスト面でも比較的有利である点で好ましい。
本発明でいうポリ乳酸系樹脂(A)とは、重合体100質量%中において、乳酸ユニットを10質量%以上100質量%以下含有する樹脂を意味する。ポリ乳酸系樹脂(A)中の乳酸ユニットの含有量は、20質量%以上100質量%以下であることが好ましい。
以下に本発明でいうポリ乳酸系樹脂(A)を、第1の態様のポリ乳酸系樹脂と、第2の態様のポリ乳酸系樹脂に分けて説明する。
本発明でいう第1の態様のポリ乳酸系樹脂とは、重合体100質量%中において、乳酸ユニットを70〜100質量%含有する樹脂をいう。乳酸ユニットの質量割合は、重合体100質量%中において、80〜100質量%であることが好ましい。
本発明でいう第1の態様のポリ乳酸系樹脂は、ポリ乳酸であることが好ましい。そして本発明でいうポリ乳酸とは、ポリL−乳酸とポリD−乳酸の総称を意味する。さらに本発明でいうポリL−乳酸とは、第1の態様のポリ乳酸系樹脂であって、さらに重合体(ポリ乳酸系樹脂)中の全乳酸ユニット100mol%中において、L−乳酸ユニットの含有割合が50mol%を超え100mol%以下のものをいう。一方、本発明でいうポリD−乳酸とは、第1の態様のポリ乳酸系樹脂であって、さらに重合体(ポリ乳酸系樹脂)中の全乳酸ユニット100mol%中において、D−乳酸ユニットの含有割合が50mol%を超え100mol%以下のものをいう。
ポリL−乳酸は、D−乳酸ユニットの含有割合によって、樹脂自体の結晶性が変化する。つまり、ポリL−乳酸中のD−乳酸ユニットの含有割合が多くなれば、ポリL−乳酸の結晶性は低くなり非晶に近づく。逆にポリL−乳酸中のD−乳酸ユニットの含有割合が少なくなれば、ポリL−乳酸の結晶性は高くなっていく。同様に、ポリD−乳酸は、L−乳酸ユニットの含有割合によって、樹脂自体の結晶性が変化する。つまり、ポリD−乳酸中のL−乳酸ユニットの含有割合が多くなれば、ポリD−乳酸の結晶性は低くなり非晶に近づく。逆にポリD−乳酸中のL−乳酸ユニットの含有割合が少なくなれば、ポリD−乳酸の結晶性は高くなっていく。
ポリL−乳酸中のL−乳酸ユニットの含有割合、あるいは、ポリD−乳酸中のD−乳酸ユニットの含有割合は、樹脂組成物の機械強度を維持する観点から全乳酸ユニット100mol%中において80〜100mol%が好ましく、より好ましくは85〜100mol%である。
本発明でいう第1の態様のポリ乳酸系樹脂は、乳酸ユニット以外の他の単量体ユニットを共重合してもよい。他の単量体としては、エチレングリコールなどのグリコール化合物、コハク酸、セバシン酸などのジカルボン酸、グリコール酸などのヒドロキシカルボン酸、カプロラクトンなどのラクトン類を挙げることができる。上記の他の単量体ユニットの共重合量は、重合体中の単量体ユニット全体100mol%中において、0〜30mol%であることが好ましく、0〜10mol%であることがより好ましい。なお、上記した単量体ユニットの中でも、用途に応じて生分解性を有する成分を選択することが好ましい。
また、ポリ乳酸系樹脂(A)として第1の態様のポリ乳酸系樹脂を用いる場合には、ポリL−乳酸とポリD−乳酸とを併用して、ステレオコンプレックス結晶を形成させることも好ましい態様である。ステレオコンプレックス結晶は、通常のポリ乳酸の結晶よりも融点が高いため、フィルムの耐熱性を向上させることができる。
本発明でいう第1の態様のポリ乳酸系樹脂の質量平均分子量、特に第1の態様のポリ乳酸系樹脂がポリ乳酸である場合の質量平均分子量は、耐水性、薄膜形成性に加え、実用的な機械特性を維持するため、100,000〜300,000であることが好ましく、150,000〜250,000であることがより好ましい。
本発明でいう第1の態様のポリ乳酸系樹脂の製造方法としては、既知の重合方法を用いることができる。具体的には、乳酸からの直接重合法、ラクチドを介する開環重合法などを挙げることができる。
本発明でいう第2の態様のポリ乳酸系樹脂とは、重合体100質量%中において、乳酸ユニットを10質量%以上70質量%未満含有する樹脂のことをいう。乳酸ユニットの質量割合は、重合体100質量%中において、20〜50質量%であることが好ましく、25〜45質量%であることがより好ましい。
本発明でいう第2の態様のポリ乳酸系樹脂は、ポリエーテルセグメントとポリ乳酸セグメントとを有するブロック共重合体、ポリエステルセグメントとポリ乳酸セグメントとを有するブロック共重合体などが好ましく用いられる。ここで、ポリエステルセグメントとは、ポリ乳酸以外のポリエステルからなるセグメントを意味する。これらの第2の態様のポリ乳酸系樹脂は、少なくとも第1の態様のポリ乳酸系樹脂を可塑化する性能を有している。従って、以下、ポリエーテルセグメントとポリ乳酸セグメントとを有するブロック共重合体、および、ポリエステルセグメントとポリ乳酸セグメントとを有するブロック共重合体を、総称して「ブロック共重合体可塑剤」と記す。これらブロック共重合体可塑剤について以下に説明する。
ブロック共重合体可塑剤に含まれるポリ乳酸セグメントの質量割合は、ブロック共重合体可塑剤全体の50質量%以下であることが、より少量の添加で所望の柔軟性を付与できるため好ましく、20質量%以上であることが、ブリードアウト抑制の点から好ましい。好ましくは、ブロック共重合体可塑剤100質量%中において、ポリ乳酸セグメントの質量割合が25〜45質量%であり、ポリエーテルセグメントやポリエステルセグメントの質量割合が55〜75質量%である。
また、ブロック共重合体可塑剤1分子中のポリ乳酸セグメントの数平均分子量は1,200〜10,000であることが好ましい。ブロック共重合体可塑剤の有するポリ乳酸セグメントの数平均分子量が、1,200以上であると、ブロック共重合体可塑剤と、第1の態様のポリ乳酸系樹脂との間に十分な親和性が生じる。また、該ポリ乳酸セグメントの一部は、第1の態様のポリ乳酸系樹脂から形成される結晶中に取り込まれ、いわゆる共晶を形成することで、ブロック共重合体可塑剤を第1の態様のポリ乳酸系樹脂につなぎ止める作用を生じ、ブロック共重合体可塑剤のブリードアウト抑制に大きな効果を発揮する。ブロック共重合体可塑剤が、第1の態様のポリ乳酸系樹脂との親和性に優れることと、耐ブリードアウト性に優れることが、フィルム中への均一分散と、経時的な安定性を可能にしている。その結果、多孔性フィルムを製造する際の薄膜形成性、また、多孔性フィルムの透湿度の均一性がより優れたものとなる。これらの効果は、第1の態様のポリ乳酸系樹脂と共晶を形成しない可塑剤では見られない。可塑剤が不均一に分散した場合、多孔性フィルム製造時の孔形成に偏りが生じて透湿度が不均一になったり、フィルムに厚み斑が生じて薄膜形成が不可能になったりする。可塑剤のブリードアウトもフィルムの厚み斑の原因となる。ブロック共重合体可塑剤中のポリ乳酸セグメントの数平均分子量は、1,500〜6,000であることがより好ましく、2,000〜5,000であることがさらに好ましい。なお、ブロック共重合体可塑剤の有するポリ乳酸セグメントにおいて、L−乳酸ユニットが95〜100質量%であるか、あるいはD−乳酸ユニットが95〜100質量%であることが、特にブリードアウトが抑制されるため好ましい。
ブロック共重合体可塑剤がポリエーテルセグメントを有する場合は、ポリエーテルセグメントとしてポリアルキレンエーテルからなるセグメントを有することがより好ましい。具体的には、ポリエーテルセグメントとして、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール共重合体などからなるセグメントが挙げられる。特にポリエチレングリコールからなるセグメントは、第1の態様のポリ乳酸系樹脂との親和性が高いために改質効率に優れ、少量の可塑剤の添加で所望の柔軟性を付与でき、その結果、薄膜形成性にも優れるものとなる。可塑剤の多量添加は、フィルムを構成する樹脂組成物の溶融張力の低下を招き、厚み斑の原因になったり、薄膜形成時のフィルム破れの原因になったりする。
ブロック共重合体可塑剤がポリエステルセグメントを有する場合は、ポリグリコール酸、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート・3−ヒドロキシバリレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート・3−ヒドロキシヘキサノエート)、ポリカプロラクトン、あるいはエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオールなどの脂肪族ジオールと、コハク酸、セバシン酸、アジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸よりなるポリエステルからなるセグメントなどが、ポリエステルセグメントとして好適に用いられる。
なお、ブロック共重合体可塑剤は、その1分子中に、ポリエーテルセグメントとポリエステルセグメントの両方の成分を含有してもよいし、いずれか一方の成分のみを含有してもよい。可塑剤の生産性やコスト等の理由から、いずれか一方の成分とする場合は、より少量の可塑剤の添加で所望の柔軟性を付与できる観点から、ポリエーテルセグメントを用いる方が好ましい。つまりブロック共重合体可塑剤として好ましい態様は、ポリエーテルセグメントとポリ乳酸セグメントとのブロック共重合体である。
さらにまた、ブロック共重合体可塑剤の1分子中のポリエーテルセグメントやポリエステルセグメントの数平均分子量は、7,000〜20,000であることが好ましい。上記範囲とすることで、多孔性フィルムを構成する樹脂組成物に十分な柔軟性を持たせ、なおかつ、フィルムを構成する樹脂組成物の溶融粘度を適度なレベルとし、インフレーション製膜法などの製膜加工性を安定させることができる。
前記ポリエーテルセグメントおよび/またはポリエステルセグメントと、ポリ乳酸セグメントの各セグメントブロックの順序構成に特に制限は無いが、より効果的にブリードアウトを抑制する観点から、少なくとも1ブロックのポリ乳酸セグメントがブロック共重合体可塑剤分子の端にあることが好ましい。ポリ乳酸セグメントのブロックがブロック共重合体可塑剤分子の両端にあることが最も好ましい。
本発明の多孔性フィルムは、生分解性樹脂の合計の含有量を100質量%としたとき、つまりポリ乳酸系樹脂(A)とポリ乳酸系樹脂以外の生分解性樹脂(B)の合計を100質量%としたときに、ポリ乳酸系樹脂(A)を40〜95質量%含有することが好ましい。ポリ乳酸系樹脂(A)と生分解性樹脂(B)の合計100質量%中において、ポリ乳酸系樹脂(A)の含有量を40質量%以上とすることで、透湿性、耐熱性が良好となり、ポリ乳酸系樹脂(A)の含有量が95質量%以下とすることで、透湿性、柔軟性が良好となる。ポリ乳酸系樹脂(A)の含有量は、ポリ乳酸系樹脂(A)と生分解性樹脂(B)の合計100質量%中において、45〜90質量%であることがより好ましく、50〜85質量%であることがさらに好ましく、55〜80質量%であることがさらにより好ましく、60〜80質量%であることが特に好ましい。
本発明の多孔性フィルムは、ポリ乳酸系樹脂(A)として、第1の態様のポリ乳酸系樹脂と、第2の態様のポリ乳酸系樹脂、の両方を含有することが好ましい。さらに本発明の多孔性フィルムは、ポリ乳酸系樹脂(A)が、ポリ乳酸を含み、さらにポリ乳酸系樹脂(A)が、ポリエーテルセグメントとポリ乳酸セグメントとを有するブロック共重合体、及び/又は、ポリエステルセグメントとポリ乳酸セグメントとを有するブロック共重合体を含むことがより好ましい。
本発明の多孔性フィルムに含まれるポリ乳酸系樹脂(A)において、第1の態様のポリ乳酸系樹脂と、第2の態様のポリ乳酸系樹脂の合計を100質量%とした際、第2の態様のポリ乳酸系樹脂の含有量は、30〜70質量%であることが好ましい。第1の態様のポリ乳酸系樹脂と第2の態様のポリ乳酸系樹脂の合計を100質量%とした際、第2の態様のポリ乳酸系樹脂の含有量を30質量%以上とすることで、柔軟性、透湿性が良好となり、第2の態様のポリ乳酸系樹脂の含有量を70質量%以下とすることで、透湿度の均一性、薄膜形成性、耐水性が良好となる。第2の態様のポリ乳酸系樹脂の含有量は、第1の態様のポリ乳酸系樹脂と第2の態様のポリ乳酸系樹脂の合計を100質量%とした際、35〜65質量%であることがより好ましく、40〜60質量%であることがさらに好ましく、45〜55質量%であることが特に好ましい。
また、本発明の多孔性フィルムの全体を100質量%とした際のポリ乳酸系樹脂(A)の含有量は、20〜65質量%であることが好ましく、25〜60質量%であることがより好ましく、30〜55質量%であることがさらに好ましく、35〜50質量%であることが特に好ましい。

(ポリ乳酸系樹脂以外の生分解性樹脂(B))
本発明の多孔性フィルムは、柔軟性と透湿性を向上させるために、生分解性樹脂として、ポリ乳酸系樹脂(A)と、ポリ乳酸系樹脂以外の生分解性樹脂(B)を含むことが好ましい。本発明でいうポリ乳酸系樹脂以外の生分解性樹脂(B)とは、生分解性樹脂であって、ポリ乳酸系樹脂に該当しない樹脂のことをいう。
生分解性樹脂(B)の具体例としては、ポリグリコール酸、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート・3−ヒドロキシバリレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート・3−ヒドロキシヘキサノエート)、ポリカプロラクトン、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペートなどに代表される脂肪族ポリエステル、ポリエチレンサクシネート・テレフタレート、ポリブチレンサクシネート・テレフタレート、ポリブチレンアジペート・テレフタレートなどに代表される脂肪族芳香族ポリエステル、熱可塑性澱粉、ノバモント社の生分解性樹脂「マタービー(登録商標)」に代表される澱粉を含むポリエステル系樹脂、セルロースエステル、ポリビニルアルコール、などが使用できる。これらの生分解性樹脂(B)は1種のみを含んでもよいし、2種以上を組み合わせて含んでもよい。
これらの中でも、ポリ乳酸系樹脂(A)への相溶性または分散性が比較的良好で、多孔性フィルムとした際の透湿度の均一性、薄膜形成性に優れることから、生分解性樹脂(B)としては、脂肪族ポリエステル系樹脂、及び/又は、脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂を含むことが好ましい。
本発明の多孔性フィルムに含まれる生分解性樹脂(B)の含有量は、ポリ乳酸系樹脂(A)と、生分解性樹脂(B)の合計100質量%中において、5〜60質量%であることが好ましい。ポリ乳酸系樹脂(A)と生分解性樹脂(B)の合計100質量%中において、生分解性樹脂(B)の含有量を5質量%以上とすることで、透湿性、柔軟性が良好となり、生分解性樹脂(B)の含有量を60質量%以下とすることで、透湿度の均一性、耐熱性が良好となる。生分解性樹脂(B)の含有量は、ポリ乳酸系樹脂(A)と生分解性樹脂(B)の合計100質量%中において、10〜55質量%であることがより好ましく、15〜50質量%であることがさらに好ましく、20〜45質量%であることが特に好ましい。

(結晶性ポリ乳酸系樹脂と非晶性ポリ乳酸系樹脂の混合)
本発明の多孔性フィルムに含有されるポリ乳酸系樹脂(A)のうち、第1の態様のポリ乳酸系樹脂は、結晶性ポリ乳酸系樹脂と非晶性ポリ乳酸系樹脂の混合物であることが好ましい。混合物とすることにより、結晶性および非晶性、それぞれのポリ乳酸系樹脂の利点を両立できるからである。
なお、結晶性ポリ乳酸系樹脂とは、該ポリ乳酸系樹脂を加熱下で十分に結晶化させた後に、適当な温度範囲で示差走査熱量計(DSC)にて測定を行った場合、ポリ乳酸成分に由来する融点が観測されるポリ乳酸系樹脂のことをいう。一方で非晶性ポリ乳酸系樹脂とは、同様の測定を行った際に、明確な融点を示さないポリ乳酸系樹脂のことをいう。
第1の態様のポリ乳酸系樹脂として結晶性ポリ乳酸系樹脂を含有させることは、フィルムの耐熱性および耐ブロッキング性向上に好適である。また、第2の態様のポリ乳酸系樹脂として前述のブロック共重合体可塑剤を用いる場合、結晶性ポリ乳酸系樹脂はブロック共重合体可塑剤が有するポリ乳酸セグメントと共晶を形成することで、耐ブリードアウト性に大きな効果を発揮する。
一方、第1の態様のポリ乳酸系樹脂として非晶性ポリ乳酸系樹脂を含有させることは、フィルムの透湿度の均一性、可塑剤の耐ブリードアウト性の向上に好適である。これは、フィルムに非晶性ポリ乳酸系樹脂の非晶部分に可塑剤が分散しやすくなることが影響している。
結晶性ポリ乳酸系樹脂は、耐熱性および耐ブロッキング性向上の観点から、ポリL−乳酸中のL−乳酸ユニットの含有割合、あるいは、ポリD−乳酸中のD−乳酸ユニットの含有割合が、全乳酸ユニット100mol%中において96〜100mol%が好ましく、より好ましくは98〜100mol%である。
第1の態様のポリ乳酸系樹脂として、結晶性ポリ乳酸系樹脂と非晶性ポリ乳酸系樹脂の混合物を用いる場合、結晶性ポリ乳酸系樹脂と非晶性ポリ乳酸系樹脂の合計を100質量%としたとき、結晶性ポリ乳酸系樹脂の含有量は5〜60質量%であることが好ましく、10〜50質量%であることがより好ましく、20〜40質量%であることがさらに好ましい。

(充填剤(C))
本発明の多孔性フィルムは、充填剤(C)を含み、生分解性樹脂の含有量を100質量部としたときの充填剤(C)の含有量が1〜400質量部であることが重要である。充填剤(C)の含有量が1質量部未満の場合、透湿性に劣るものとなる。また充填剤(C)の含有量が、含有量が400質量部を超える場合、フィルム製造時の延伸性が悪化し、透湿度の均一性、薄膜形成性、更には耐水性に劣るものとなる。充填剤(C)の含有量は、生分解性樹脂100質量部に対し、10〜400質量部が好ましく、20〜300質量部であることがより好ましく、30〜200質量部であることがさらに好ましく、40〜150質量部であることがさらにより好ましく、60〜120質量部であることが特に好ましい。
充填剤とは、諸性質を改善するために基材として加えられる物質、あるいは増量、増容、製品のコスト低減などを目的として添加する不活性物質をいう。充填剤(C)としては、無機充填剤および/または有機充填剤が使用できる。
無機充填剤の例としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等の炭酸塩;硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム等の硫酸塩;酸化亜鉛、酸化ケイ素(シリカ)、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化鉄、アルミナなどの金属酸化物;水酸化アルミニウム等の水酸化物;珪酸塩鉱物、ヒドロキシアパタイト、マイカ、タルク、カオリン、クレー、モンモリロナイト、ゼオライト、ゼピオライト等の複合酸化物;リン酸リチウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム等のリン酸塩;塩化リチウム、フッ化リチウム等の金属塩などを使用することができる。
有機充填剤の例としては、シュウ酸カルシウム等のシュウ酸塩;テレフタル酸カルシウム、テレフタル酸バリウム、テレフタル酸亜鉛、テレフタル酸マンガン、テレフタル酸マグネシウム等のテレフタル酸塩;ジビニルベンゼン、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸等のビニル系モノマーの単独または共重合体からなる微粒子;ポリテトラフルオロエチレン、ベンゾグアナミン樹脂、熱硬化エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂などの有機微粒子;木粉、パルプ粉等のセルロース系粉末;籾殻、木材チップ、おから、古紙粉砕材、衣料粉砕材等のチップ状のもの;ペーパースラッジ;綿繊維、麻繊維、竹繊維、木材繊維、ケナフ繊維、ジュート繊維、バナナ繊維、ココナツ繊維等の植物繊維;絹、羊毛、アンゴラ、カシミヤ、ラクダ等の動物繊維;ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維等の合成繊維などを使用することができる。
これらの充填剤のなかでも、フィルムの透湿度の均一性、薄膜形成性、耐水性の観点から、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン、マイカ、タルク、カオリン、クレー、モンモリロナイト、ゼオライトが好ましい。
本発明の多孔性フィルムに使用される充填剤(C)の平均粒径は、特に限定されないが、0.01〜10μmが好ましい。なお、ここでいう平均粒径とは、充填剤(C)の粒度分布において、最小粒径側からの積算質量が50%となる粒径(後述するD50)を意味する。平均粒径(D50)が0.01μm以上であることで、充填剤をフィルム中に高充填することが可能となる。平均粒径(D50)が10μm以下であることで、フィルムの延伸性が良好となり、その結果、フィルムの透湿度の均一性、薄膜形成性、耐水性が優れたものとなる。平均粒径(D50)は、より好ましくは0.1〜8μm、さらに好ましくは0.5〜5μm、最も好ましくは1〜3μmである。 本発明の多孔性フィルムに使用される充填剤(C)は、下記条件3を満たすことが好ましい。
条件3:1≦(D100−D50)/D50≦5
但し、
D50:充填剤(C)の粒度分布において、最小粒径側からの積算質量が50%となる粒径
D100:充填剤(C)の粒度分布において、最小粒径側からの積算質量が100%となる粒径
ここで、上記粒度分布は、レーザー回折式の方法で測定されるものとする。
本発明では、(D100−D50)/D50が1以上であることで、透湿度の均一性が良好となることを見出した。これは、充填剤の粒径が一定の差を有することで、樹脂中に隙間無く充填され、延伸して多孔性フィルムを製造する際に、フィルム面方向あるいは厚み方向に、斑無く空孔が形成されるためと考えられる。また、本発明では、(D100−D50)/D50が5以下であることで、透湿度の均一性、薄膜形成性、耐水性が良好となることを見出した。これは、充填剤の平均粒径(D50)に対し、著しく大きな粒子が存在すると、延伸して多孔性フィルムを製造する際に、形成される空孔の大きさに斑が生じたり、フィルムの破れやピンホールの原因になったりするためと考えられる。
本発明の多孔性フィルムに使用される充填剤(C)は、1.5≦(D100−D50)/D50≦4.0、を満たすことがより好ましく、1.5≦(D100−D50)/D50≦3.0、を満たすことがさらに好ましい。
充填剤としては、表面処理を行った充填剤を用いることもできる。表面処理を行うための表面処理剤としては、脂肪酸、リン酸エステル系化合物、界面活性剤、油脂、ワックス、カルボン酸系カップリング剤、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、高分子系表面処理剤などを使用することができる。表面処理することにより、マトリックス樹脂との親和性向上、充填剤の凝集抑制および分散性向上に効果があり、樹脂組成物中に均一に分散させることができるようになる。その結果、透湿度の均一性や薄膜形成性を発現するための延伸性など、フィルムの製膜性に優れた樹脂組成物を得ることが可能となる。
また、充填剤(C)の樹脂組成物中での分散性を向上させるため、さらに脂肪酸などの分散剤を添加することも好ましい。

(その他の樹脂)
本発明の多孔性フィルムには、前記した生分解性樹脂以外のその他の樹脂を配合することができる。その他の樹脂としては、ポリアセタール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリ(メタ)アクリレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリイソプレン、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、エチレン/グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン/ビニルアルコール共重合体、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、エチレン/プロピレンターポリマー、エチレン/ブテン−1共重合体などが挙げられる。

(フィルム厚み)
本発明の多孔性フィルムは、下記条件1を満たすことが重要である。
条件1:1≦30(Ta−Tb)/T≦5
但し、
Ta:最大厚み
Tb:最小厚み
T:平均厚み
30(Ta−Tb)/Tが1未満の場合、薄膜形成性が不良となる。主な不良点は、フィルム製膜後、ロール形状に巻き取る際にブロッキングが発生し、ロールの断面が均一な円形にならないことである。一方、30(Ta−Tb)/Tが5を超えると、透湿度の均一性が不良となる。これは、フィルム面内の任意の場所によって厚みに差があることが原因と考えられる。
本発明の多孔性フィルムの厚みは、1≦30(Ta−Tb)/T≦4、を満たすことが好ましく、1≦30(Ta−Tb)/T≦3、を満たすことがより好ましく、1≦30(Ta−Tb)/T≦2、を満たすことがさらに好ましい。
本発明の多孔性フィルムの厚みが条件1を満たすための達成手段は特に限定されないが、例えば、充填剤(C)として条件3を満たす充填剤を用いる方法、フィルム製造時に、ダイの平均の温度がS−5〜S−50とする方法(Sは、押出機のシリンダーの温度の最高の値)、延伸工程と熱固定工程の間にフィルムを冷却する工程を設ける方法、熱固定工程において、フィルム長手方向に1〜10%の弛緩率で弛緩する方法、などが挙げられる。
本発明でいう薄膜とは、20μm未満の厚みのことをいう。なお、ここでいう厚みは、長さ方向に10mm間隔で100点の厚みを測定した際の平均の厚み(前述の平均厚み(T))を意味する。薄膜であることで、透湿度が良好となり、また、低目付となる。低目付となることは、多孔性フィルムを製品に組み込んだ際の軽量化の点や、材料費を抑える点で好ましい。
また、本発明でいう薄膜形成性が良好である判断基準は、平均厚み(T)が20μm未満の厚みのフィルムを破れることなく製膜可能で、かつ、ロール形状に巻き取る際にブロッキングが発生せず、ロールの断面が均一な円形になることである。
本発明の多孔性フィルムは、薄膜であることが好ましく、フィルムの平均厚み(T)が5〜18μmであることが好ましい。フィルムの平均厚み(T)を5μm以上とすることで、耐水性が良好となり、フィルムのコシが強くなり、取り扱い性にも優れるものとなる。フィルムの平均厚み(T)は、6〜15μmがより好ましく、6〜12μmがさらに好ましく、6〜10μmが特に好ましい。

(空孔率)
本発明でいう多孔性フィルムとは、長さ方向に50mm間隔で20点の空孔率を測定した際の平均の空孔率(後述する、平均空孔率(V))が1〜80%のフィルムのことをいう。本発明の多孔性フィルムの平均空孔率(V)は5〜70%であることが好ましく、10〜65%であることがより好ましく、15〜60%であることがさらに好ましく、20〜50%であることが特に好ましい。
平均空孔率(V)を1〜80%とするための達成手段は、特に限定されないが、生分解性樹脂に、充填剤(C)を前述した配合量とする方法、後述する好ましい延伸倍率で多孔性フィルムを製造する方法が挙げられる。
また、本発明の多孔性フィルムは、下記条件2を満たすことが好ましい。
条件2:(Va−Vb)/V≦0.25
但し、
Va:長さ方向に50mm間隔で20点の空孔率を測定した際の最大の空孔率(以下、Vaを最大空孔率という)
Vb:長さ方向に50mm間隔で20点の空孔率を測定した際の最小の空孔率(以下、Vbを最小空孔率という)
V:長さ方向に50mm間隔で20点の空孔率を測定した際の平均の空孔率(以下、Vを平均空孔率という)
(Va−Vb)/Vが0.25以下であることで、透湿度の均一性が良好となる。
条件2の達成手段は特に限定されないが、例えば、前述した条件3を満たすことや、後述するように、多孔性フィルム製造時の延伸工程と熱固定工程の間に、フィルムを冷却する工程(以下、冷却工程という)を有すること、などが上げられる。
本発明の多孔性フィルムは、(Va−Vb)/V≦0.20、を満たすことがより好ましく、(Va−Vb)/V≦0.15、を満たすことがさらに好ましく、(Va−Vb)/V≦0.10、を満たすことが特に好ましい。(Va−Vb)/Vの下限については0に近いほど好ましいが、現実的には0.001程度である。

(生分解性樹脂(B)の溶融張力)
本発明の多孔性フィルムにおいて、温度160℃、引き取り速度10m/minにおける、生分解性樹脂(B)の溶融張力をMS、多孔性フィルムを構成する樹脂組成物全体の溶融張力をMSとしたとき、透湿度の均一性の観点から、溶融張力の比(MS/MS)が0.5〜2.0であることが好ましい。ここでそれぞれの溶融張力は、多孔性フィルムを構成する原料の段階で測定したものである。溶融張力の比(MS/MS)は、0.7〜1.6がより好ましく、0.9〜1.2がさらに好ましい。
ここで、生分解性樹脂(B)の溶融張力MSは、多孔性フィルムが生分解性樹脂(B)として複数の樹脂を含有する場合は、それらの個別の溶融張力を加重平均した値とする。ここでいう加重平均とは、樹脂の質量基準の含有割合を考慮した平均という意味である。例えば、質量w、溶融張力MSの樹脂1と、質量w、溶融粘度MSの樹脂2を含有する場合、その溶融張力は、(MS×w+MS×w)/(w+w)と表される。
(引張弾性率)
本発明の多孔性フィルムは、十分な柔軟性を付与するために、長さ方向および幅方向それぞれの引張弾性率が100〜1,200MPaであることが好ましい。引張弾性率は、150〜1,000MPaであることがより好ましく、200〜800MPaであることがさらに好ましく、250〜600MPaであることが特に好ましい。
長さ方向および幅方向それぞれの引張弾性率を100〜1,200MPaとするための方法としては、ポリ乳酸系樹脂(A)、ポリ乳酸系樹脂以外の生分解性樹脂(B)の種類及び配合量を、それぞれ前述した好ましい態様とする方法が挙げられる。
(添加剤)
本発明の多孔性フィルムには、本発明の効果を損なわない範囲で前述した以外の添加剤を含有してもよい。例えば、公知の可塑剤、有機滑剤、酸化防止剤、結晶核剤、末端封鎖剤、鎖延長剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、抗菌剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、抗酸化剤、イオン交換剤、粘着性付与剤、消泡剤、着色顔料、染料などが使用できる。
(製造方法)
次に、本発明の多孔性フィルムを製造する方法について具体的に説明するがこれに限定されるものではない。
本発明の多孔性フィルムを構成することとなる樹脂組成物、つまり、生分解性樹脂、充填剤(C)、および必要に応じてその他の添加剤などを含有する樹脂組成物を得るにあたっては、各成分を溶媒に溶かした溶液を均一混合した後、溶媒を除去して樹脂組成物を製造することも可能であるが、各成分を溶融混練することにより樹脂組成物を製造する方法が、溶媒への原料の溶解、溶媒除去等の工程が不要であるので好ましい。溶融混練方法については、特に制限はなく、ニーダー、ロールミル、バンバリーミキサー、単軸または二軸押出機等の公知の混合機を用いることができる。中でも生産性、充填剤(C)の樹脂中への分散性の観点から、二軸押出機の使用が好ましい。水分や低分子量物などの揮発物を除去できる観点から、ベント孔付きの二軸押出機の使用がより好ましい。
溶融混練時の温度は150℃〜240℃の範囲が好ましく、生分解性樹脂の劣化を防ぐ意味から、180℃〜200℃の範囲がより好ましい。
前述した方法により得られた樹脂組成物を一旦ペレット化し、再度溶融混練して押出・製膜する際には、ペレットを60〜100℃にて6時間以上乾燥するなどして、水分量を200ppm(質量基準)以下とした樹脂組成物を用いることが好ましい。

本発明の多孔性フィルムの製造方法は、例えば上記した方法により得られた樹脂組成物を用いて、押出機により溶融させた樹脂組成物をダイから押出しフィルムを製造する工程(以下、押出工程という)、該フィルムをロール間の周速差を用いてフィルムの長手方向に延伸する工程(以下、延伸工程という)、及び延伸したフィルムを熱固定する工程(以下、熱固定工程という)をこの順に有し、押出工程において、押出機のシリンダーの温度(℃)の最高の値をSとしたとき、ダイの平均の温度(℃)がS−5〜S−50であることが好ましい。
ここで、押出機のシリンダーの温度の最高の値とは、シリンダーの各セクションの実温度の中で最も高い値のことである。また、ダイの平均の温度とは、ダイのリップ部分を含むヒーターのセクションが、フィルムの幅方向に複数に分かれている場合、その実温度の平均値のことである。
ダイの平均の温度をS−5〜S−50とすることにより、得られる多孔性フィルムの透湿度の均一性、薄膜形成性が良好となる。この理由は、ダイから押し出されるフィルムの粘度が高くなり、フィルムの厚みの変動が抑制されるためと考えられる。特に生分解性樹脂は温度に対する溶融粘度の変化が大きく、上記効果が非常に大きいものと考えられる。ダイの平均の温度(℃)は、S−15〜S−50であることがより好ましく、S−25〜S−50であることがさらに好ましく、S−35〜S−50であることが特に好ましい。
ダイのリップ間隔は、フィルムのドラフト比(ドロー比)が5〜20となるように調整することが好ましい。ドラフト比が上記範囲に調整されることで、透湿度の均一性、薄膜形成性が良好となる。これはフィルムの厚み斑が抑制されるためと考えられる。ドラフト比(ドロー比)は5〜15であることがより好ましく、5〜10であることがさらに好ましい。

本発明の多孔性フィルムの押出工程は、公知のインフレーション法、Tダイキャスト法などの既存の方法を採用することができるが、透湿度の均一性の点からは、Tダイキャスト法が好ましい。
押出工程としてTダイキャスト法を採用する場合、例えば次のような方法が用いられる。前述した方法により製造、乾燥した樹脂組成物を、シリンダーの温度、ダイの温度が前述した範囲となるように設定した単軸もしくは二軸押出機にて溶融押出して、前述したドラフト比となるようにリップ間隔を調整したスリット状のダイから吐出し、0〜40℃の表面温度に設定した金属製冷却キャスティングドラム上に、直径0.5mmのワイヤー状電極を用いて静電印加して密着させ、延伸前のフィルムを得る。
押出工程で得られた延伸前のフィルムを延伸工程で長手方向に延伸する場合、例えば次のような方法が用いられる。延伸前のフィルムを加熱ロール上で搬送することによって長手方向の延伸を行う温度まで昇温する。昇温には赤外線ヒーターなど補助的な加熱手段を併用しても良い。延伸工程におけるフィルムの温度の好ましい範囲は40〜80℃であり、より好ましくは45〜75℃、さらに好ましくは50〜70℃である。このようにして昇温した延伸前のフィルムを、加熱ロール間の周速差を用いてフィルム長手方向に1段、もしくは2段以上の多段で延伸を行う。合計の延伸倍率は1.5〜5.5倍が好ましく、2〜5倍がより好ましく、2.5〜4.5倍がさらに好ましい。
続いて熱固定工程へと進むが、本発明の多孔性フィルムは、透湿度の均一性の観点から、延伸工程と熱固定工程の間に、フィルムを冷却する工程(以下、冷却工程という)を有することが好ましい。この位置に冷却工程を有することが好ましい理由は、延伸工程で形成された空孔の形状が、熱固定工程の前に一旦固定されることが効いていると考えられる。ここで冷却工程においてフィルムを冷却する手段は特に限定されないが、冷却されたロール上にフィルムを搬送する手段が好ましい。冷却工程におけるフィルムの温度は5〜35℃が好ましく、10〜30℃がより好ましい。
熱固定工程では、例えば、フィルムを加熱ロール上で搬送させる方法が用いられる。熱固定工程におけるフィルムの温度は60〜100℃が好ましく、70〜90℃がより好ましい。熱固定時間は0.2〜30秒の範囲で行うのが好ましいが、特に限定されない。本発明の多孔性フィルムは、透湿度の均一性の観点から、熱固定工程において、フィルム長手方向に弛緩し、その際の弛緩率が1〜10%であることが好ましい。これは、弛緩することによりフィルムの経時での収縮による空孔形状の変化を抑制していることが効いていると考えられる。熱固定工程におけるフィルム長手方向の弛緩率は、5〜10%であることがより好ましい。
本発明の多孔性フィルムは、上記のように長手方向のみに一軸延伸したフィルムでもよいし、幅方向のみに一軸延伸したフィルムでもよい。また、長手方向に一軸延伸したフィルムをさらに幅方向に延伸してもよい。幅方向の延伸は、公知のテンター法などが用いられる。幅方向に延伸する際の熱固定は、テンター内で行うことが好ましい。
上記のように延伸工程、熱固定工程を経たフィルムを冷やして巻き取り、目的とする多孔性フィルムを得ることができる。
フィルムに成形した後に、印刷性、ラミネート適性、コーティング適性などを向上させる目的で、本発明の多孔性フィルムに対して各種の表面処理を施しても良い。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるものではない。
[測定および評価方法]
実施例中に示す測定や評価は次に示すような条件で行った。
(1)フィルムの厚み(μm)
(株)尾崎製作所製アプライトダイヤルゲージR1−A(測定子10mmφ、測定荷重50g)を用いて、0.1μm単位まで読み取る方法で、測定中心間隔10mmで100点の厚みを、フィルムロールの幅方向の中央位置で、長手方向に連続して測定し、Ta、Tb、Tを求め、さらに30(Ta−Tb)/Tを求めた。
Ta:長さ方向に10mm間隔で100点の厚みを測定した際の最大の厚み
Tb:長さ方向に10mm間隔で100点の厚みを測定した際の最小の厚み
T:長さ方向に10mm間隔で100点の厚みを測定した際の平均の厚み
(2)空孔率(%)
フィルムロールの幅方向の中央位置を、長手方向に任意の場所から連続して、50mm(長手方向)×30mm(幅方向)の大きさの四角形にフィルムを20個切り取りサンプルとした。電子比重計(ミラージュ貿易(株)製SD−120L)を用いて、室温23℃、相対湿度65%の雰囲気にて比重(ρ)の測定を行った。
次に、測定したフィルムロールの任意の場所から切り取り、280℃、5MPaで熱プレスを行い、その後、25℃の水で急冷して、空孔を完全に消去したシートを作成した。このとき、必要に応じ、熱プレス後のシート厚みが50〜100μm程度になるようにフィルムを数枚重ねて熱プレスしてシートを作成した。このシートの比重を上記した方法で同様に測定し、熱プレスしたシート3枚の比重の平均値を樹脂の比重(d)とした。フィルムの比重と樹脂の比重から、次式により空孔率を算出した。
空孔率(%) = 〔( d − ρ ) / d 〕 ×100
各サンプル(20個)について空孔率を算出し、Va、Vb、Vを求め、(Va−Vb)/Vを求めた。
(3)溶融張力
水分率が200ppm以下となるまで乾燥した樹脂ペレットの溶融張力を、東洋精機製キャピログラフ1Dのメルトテンションテストの荷重測定モードを用い、以下の条件で測定を行った。
キャピラリー:直径1mm、長さ10mm
測定温度:160℃
予熱時間:5min
押出速度:10mm/min
引き取り速度:10m/min
測定前押出:2min
(4)透湿度の均一性
フィルムロールの幅方向の中央位置を、長手方向に任意の場所から連続して、100mm(長手方向)×100mm(幅方向)の大きさの四角形にフィルムを10個切り取りサンプルとした。25℃、90%RHに設定した恒温恒湿装置にて、JIS Z0208(1976)に規定された方法に従って、10サンプルの透湿度(g/(m・day))をそれぞれ測定し、最大の透湿度をPa、最小の透湿度をPb、平均の透湿度をPとした際の(Pa−Pb)/Pの値を用いて、以下の基準にて評価した。
A:0.05未満
B:0.05以上0.10未満
C:0.10以上0.20未満
D:0.20以上。
(5)透湿性
(4)で測定した平均の透湿度Pの値を用いて、以下の基準にて評価した。
A:1500g/(m・day)以上
B:1000g/(m・day)以上1500g/(m・day)未満
C:500g/(m・day)以上1000g/(m・day)未満
D:500g/(m・day)未満。
(6)耐水性
フィルムロールの幅方向の中央位置を、長手方向に任意の場所から連続して、160mm(長手方向)×160mm(幅方向)の大きさの四角形にフィルムを6個切り取りサンプルとした。JIS L 1092 (2009)に規定された方法に従って、6サンプルの耐水度(mm)をそれぞれ測定した。このとき、測定装置の水位上昇速度は600mm/min±30mm/minとした。また、測定中のフィルムサンプルの大きな変形を防止するため、フィルムサンプルの上面に、フィルムサンプルを挟むクランプと同じ径を有する金網(平織タイプ、網目約4mm、金網の線径は約1mm)を設置した。金網の上面、下面には、ゴムパッキンを入れた。6サンプルの耐水度の値の中から、最小の耐水度の値を用いて、以下の基準にて評価した。
A:1000mm以上
B:400mm以上1000mm未満
C:100mm以上400mm未満
D:100mm未満。
以下に、実施例で使用した材料について説明する。
[第1の態様のポリ乳酸系樹脂(A)]
(A1)
結晶性ポリL−乳酸樹脂、質量平均分子量=200,000、D体含有量=1.4mol%、融点=166℃。
(A2)
非晶性ポリL−乳酸樹脂、質量平均分子量=200,000、D体含有量=12.0mol%、融点=無し。
上記の融点は、ポリ乳酸系樹脂を100℃の熱風オーブン中で24時間加熱させた後に、セイコーインスツル社製示差走査熱量計RDC220を用い、試料5mgをアルミニウム製受皿にセットし、25℃から昇温速度20℃/分で250℃まで昇温した際の結晶融解ピークのピーク温度として求めた。
[第2の態様のポリ乳酸系樹脂(A)]
(A3)
数平均分子量Mn8,000のポリエチレングリコール62質量部とL−ラクチド38質量部とオクチル酸スズ0.05質量部を混合し、撹拌装置付きの反応容器中で、窒素雰囲気下160℃で3時間重合することで、数平均分子量Mn8,000のポリエチレングリコールの両末端に数平均分子量Mn2,500のポリ乳酸セグメントを有するポリ乳酸系樹脂A3を得た。
[生分解性樹脂(B)]
(B1)
ポリブチレンサクシネート系樹脂(三菱化学社製、商品名“GSPla(登録商標)”AZ91TN)、MS=5mN。
(B2)
ポリブチレンサクシネート系樹脂(三菱化学社製、商品名“GSPla(登録商標)”FZ91PN)、MS=10mN。
[充填剤(C)]
(C2)
炭酸カルシウム(味の素ファインテクノ株式会社製、商品名“トップフローH200”、平均粒径(D50):2.1μm、表面処理剤:リン酸エステル系化合物、表面処理剤の割合:3質量%以下、(D100−D50)/D50=3.6)
(C1)
炭酸カルシウム(「三共精粉株式会社製、商品名“エスカロン#2300”、平均粒子径:1.8μm」にC2と同じ種類、同じ量の表面処理を施した、(D100−D50)/D50=2.7)
(C3)
炭酸カルシウム(丸尾カルシウム社製、商品名“カルテックスR”、平均粒子径:2.8μm、表面処理剤:ステアリン酸、表面処理剤の割合:3質量%以下、(D100−D50)/D50=4.7)
(C4)
炭酸カルシウム(「三共精粉株式会社製、商品名“エスカロン#1500”、平均粒子径:2.8μm」にC2と同じ種類、同じ量の表面処理を施した、(D100−D50)/D50=5.6)
(C5)
炭酸カルシウム(平均粒子径:2.6μm、(D100−D50)/D50=0.5)
なお、D50、D100を求めるための粒度分布は、レーザー回折式粒度分布測定機(日機装(株)マイクロトラックMT3000−II)を用いて測定した。
[多孔性フィルムの製造]
(実施例1)
ポリ乳酸系樹脂(A1)15質量部、ポリ乳酸系樹脂(A2)35質量部、ポリ乳酸樹脂(A3)20質量部、ポリブチレンサクシネート系樹脂(B1)30質量部、および充填剤(C1)70質量部の混合物をシリンダー温度190℃のスクリュー径44mmの真空ベント付き2軸押出機に供し、真空ベント部を脱気しながら溶融混練し、均質化した後にペレット化して樹脂組成物を得た。この樹脂組成物のペレットを、回転式ドラム型真空乾燥機を用いて、温度60℃で12時間真空乾燥した。
乾燥されたペレットを、シリンダーの温度の最高の値Sが190℃の単軸押出機に供給し、リップ間隔0.4mm、ダイの平均の温度が150℃であるTダイからフィルム状に押し出し、20℃に冷却したドラムの頂上に、リップ−ドラム間距離30mmにてキャストして延伸前フィルムを作製した。この延伸前フィルムを加熱ロールに導き、加熱ロール間の周速差により長手方向に温度60℃で3.5倍延伸した。このフィルムをいったん冷却ロールで20℃に冷却した後、再度加熱ロールに導き、フィルム長手方向に弛緩率5%で弛緩しながら、温度70℃で3秒間熱固定した。その後、冷却ロールでフィルムを20℃に冷却した後、巻き取り、厚さ14μmの多孔性フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表に示した。
(実施例2〜4、6〜10、比較例1〜3)
フィルムの組成を表1、2のように変更した以外は、実施例1と同様にして厚さ14μmのフィルムを得た。得られたフィルムの物性を表に示した。
(実施例5)
フィルムの組成を表1のように変更した以外は、実施例1と同様にして厚さ18μmのフィルムを得た。得られたフィルムの物性を表に示した。
(実施例11〜13)
フィルムの組成を表2のように変更し、単軸押出機のシリンダーの温度の最高の値Sを200℃、Tダイの平均の温度を160℃、延伸温度を70℃に変更した以外は、実施例1と同様にして厚さ14μmのフィルムを得た。得られたフィルムの物性を表に示した。
(実施例14)
Tダイの平均の温度を160℃に変更した以外は、実施例1と同様にして厚さ14μmのフィルムを得た。得られたフィルムの物性を表に示した。
(実施例15)
Tダイの平均の温度を170℃に変更した以外は、実施例1と同様にして厚さ14μmのフィルムを得た。得られたフィルムの物性を表に示した。
(実施例16)
Tダイの平均の温度を180℃に変更した以外は、実施例1と同様にして厚さ14μmのフィルムを得た。得られたフィルムの物性を表に示した。
(比較例4)
Tダイの平均の温度を190℃に変更した以外は、実施例1と同様にして厚さ14μmのフィルムを得た。得られたフィルムの物性を表に示した。
(実施例17)
延伸後の冷却工程を無くした以外は、実施例1と同様にして厚さ14μmのフィルムを得た。得られたフィルムの物性を表に示した。
(実施例18)
熱固定工程の弛緩率を10%に変更した以外は、実施例1と同様にして厚さ14μmのフィルムを得た。得られたフィルムの物性を表に示した。
(実施例19)
熱固定工程で弛緩を行わなかった以外は、実施例1と同様にして厚さ14μmのフィルムを得た。得られたフィルムの物性を表に示した。
Figure 2015137302
Figure 2015137302
Figure 2015137302
薄膜形成性については、比較例1、2以外は良好であった。
また、溶融張力の比(MS/MS)については、実施例1、6、7、14〜19、比較例3は1.0、実施例9は1.7であった。その他の実施例は未測定。
表中、ポリ乳酸系樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)の「質量%」とは、(A)と(B)の合計100質量%中における値であり、充填剤(C)の「質量部」とは、(A)+(B)=100質量部とした際の値である。
本発明は、透湿度の均一性、耐水性、薄膜形成性に優れた、主に生分解性樹脂からなる多孔性フィルムおよびその製造方法である。本発明の多孔性フィルムは、スポーツウェア、雨天用衣類、手袋などに必要とされる透湿・防水性、防護服などに必要とされる透湿・防塵性を具備する衣料材料、ベッド用シーツ、マット、枕カバーなどの寝具、紙おむつや生理用品などの吸収性物品に必要とされる透湿・防水性を具備する医療・衛生材料、ゴミ袋、堆肥袋、食品用袋、各種工業製品用袋などの包装材料、各種物質を分離するフィルター、セパレーターといった工業材料などに好ましく用いることができる。

Claims (10)

  1. 生分解性樹脂と充填剤(C)とを含み、生分解性樹脂の含有量を100質量部としたときの充填剤(C)の含有量が1〜400質量部であり、
    条件1を満たすことを特徴とする、多孔性フィルム。
    条件1:1≦30(Ta−Tb)/T≦5
    但し、
    Ta:長さ方向に10mm間隔で100点の厚みを測定した際の最大の厚み
    Tb:長さ方向に10mm間隔で100点の厚みを測定した際の最小の厚み
    T: 長さ方向に10mm間隔で100点の厚みを測定した際の平均の厚み
  2. 条件2を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の多孔性フィルム。
    条件2:(Va−Vb)/V≦0.25
    但し、
    Va:長さ方向に50mm間隔で20点の空孔率を測定した際の最大の空孔率
    Vb:長さ方向に50mm間隔で20点の空孔率を測定した際の最小の空孔率
    V: 長さ方向に50mm間隔で20点の空孔率を測定した際の平均の空孔率
  3. 条件3を満たすことを特徴とする、請求項1又は2に記載の多孔性フィルム。
    条件3:1≦(D100−D50)/D50≦5
    但し、
    D50:充填剤(C)の粒度分布において、最小粒径側からの積算質量が50%となる粒径
    D100:充填剤(C)の粒度分布において、最小粒径側からの積算質量が100%となる粒径
  4. 生分解性樹脂として、ポリ乳酸系樹脂(A)、及びポリ乳酸系樹脂以外の生分解性樹脂(B)を含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の多孔性フィルム。
  5. ポリ乳酸系樹脂(A)が、ポリ乳酸を含み、
    さらにポリ乳酸系樹脂(A)が、ポリエーテルセグメントとポリ乳酸セグメントとを有するブロック共重合体、及び/又は、ポリエステルセグメントとポリ乳酸セグメントとを有するブロック共重合体を含むことを特徴とする、請求項4に記載の多孔性フィルム。
  6. 生分解性樹脂(B)が、脂肪族ポリエステル系樹脂、及び/又は、脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂を含むことを特徴とする、請求項4または5に記載の多孔性フィルム。
  7. 押出機により溶融させた樹脂組成物をダイから押出しフィルムを製造する工程(以下、押出工程という)、該フィルムをロール間の周速差を用いてフィルムの長手方向に延伸する工程(以下、延伸工程という)、及び延伸したフィルムを熱固定する工程(以下、熱固定工程という)をこの順に有し、
    押出工程において、押出機のシリンダーの温度(℃)の最高の値をSとしたとき、ダイの平均の温度(℃)がS−5〜S−50であることを特徴とする、多孔性フィルムの製造方法。
  8. 延伸工程と熱固定工程の間に、フィルムを冷却する工程を有することを特徴とする、請求項7に記載の多孔性フィルムの製造方法。
  9. 熱固定工程において、フィルム長手方向に弛緩し、その際の弛緩率が1〜10%であることを特徴とする、請求項7又は8に記載の多孔性フィルムの製造方法。
  10. 前記樹脂組成物が、生分解性樹脂と充填剤(C)とを含み、生分解性樹脂の含有量を100質量部としたときの充填剤(C)の含有量が1〜400質量部であることを特徴とする、請求項7〜9のいずれかに記載の多孔性フィルムの製造方法。
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