JP2015140465A - 水酸化ニッケルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電解法で水酸化ニッケルを製造する際、得られる水酸化ニッケルの一次粒子の凝集を抑え、不純物濃度を低くすること及び、アノード表面およびカソード表面に生成する水酸化ニッケルによるスケール付着を防止して、電解電圧の上昇を抑制できる製造方法を提供すること。【解決手段】電解液として硝酸アンモニウムとハロゲン化アンモニウムの電解液を超音波雰囲気下で電解することで、通電した電気量に対して高い収率で、粒度分布D50の値が1μm以下と小さく、不純物濃度が低い水酸化ニッケルが得られる製造方法である。【選択図】図1
Description
本発明は、高純度の酸化ニッケルの原料となる水酸化ニッケルの製造方法に関し、より詳しくは金属ニッケルをアノードに用いた電解法による製造方法及び得られる水酸化ニッケルに関する。
固体酸化物形燃料電池は、原子力発電に変わる新たな発電システムとして、火力発電と燃料電池を組み合わせた複合発電システムの実用化が進められている。電極材料には、酸化ニッケルが用いられており今後、酸化ニッケルの需要が増すに連れて原料となる水酸化ニッケルの需要も増加していくものと予想される。
一般に、水酸化ニッケルは、硫酸ニッケル、塩化ニッケルまたは硝酸ニッケルなどのニッケル塩を含む溶液に、水酸化ナトリウムなどを添加してアルカリ性として、沈殿させて製造している(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1によれば、ニッケル塩を含む水溶液に、アンモニアを加え、ニッケル−アンモニウム錯塩を形成し、これに苛性アルカリを作用させて、水酸化ニッケルを沈殿させるとしている。
このような水酸化ニッケルを得る方法では、その原理は簡単であるが、実施には多くの工程を要し、反応液をアルカリ性にするために水酸化ナトリウムを用いることから、ナトリウムやイオウなどが残留不純物となるため洗浄工程で多量の水洗廃液が発生するだけでなく、反応後のナトリウムの硝酸塩や硫酸塩などを含む廃液などを処理する必要がある。
一方、上記のような水酸化ニッケルを化学的に沈澱させて作製する方法以外に、金属ニッケルから電解により水酸化ニッケルを作製する方法もある。
例えば、特許文献2では、ニッケル電極を陽極で溶解することにより球状の水酸化ニッケルを沈殿する方法が提案されている。この方法ではイオウを不純物として含まないが、高いpH値、温度で電解を行い、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物でpH調整するため、この方法で作製された水酸化ニッケルを焙焼して得られる酸化ニッケル中には、ナトリウムが残留することも懸念される。
また、特許文献2により生成される水酸化ニッケルは、二次凝集粒が3.1μmと大きく、凝集粒中に電解液成分などの不純物が巻き込まれて残留するおそれがある。また、それらを焼成して酸化ニッケルを得る場合、焼結による粗粒が多く発生する。
また、電解中、カソード表面に水酸化ニッケルのスケールが付着・堆積することにより、電解電圧の上昇を招き水酸化ニッケルの収率が低下する問題がある。このスケールを除去するためにメンテナンスが必要になるのでコストがかかることも見込まれている。
スケールを除去するための方法として、特許文献3では、電気分解で電極板に析出する不要付着物を、該電極板に超音波振動を付与して、除去させることを特徴とする電極板の不要付着物の除去方法が提案されているが、電解によって製造される微粒子に対する影響については言及していない。
本発明の目的は、電解法で水酸化ニッケルを製造する際、得られる水酸化ニッケルの一次粒子の凝集を抑え、不純物濃度を低くすること及び、アノード表面およびカソード表面に生成する水酸化ニッケルによるスケール付着を防止して、電解電圧の上昇を抑制する方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意研究を進めた結果、水酸化ニッケルを電解法で製造する際、電気ニッケルなどの金属ニッケル板をアノードとし、電解液として硝酸アンモニウムとハロゲン化アンモニウムの混合水溶液を超音波雰囲気下で電解することで、通電した電気量に対して高い収率で、凝集粒は小さく、不純物濃度が低い水酸化ニッケルが得られ、電解中に電極表面に生成、付着する水酸化ニッケルのスケールを剥離除去して、電解電圧の上昇を抑制できることを見出して、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の第1は、電解槽内にアノードの金属ニッケルとカソードを設置し、
前記電解槽内において硝酸アンモニウムとハロゲン化アンモニウムとを含む電解液を用いた電解を超音波雰囲気下で行なうことで、
粒度分布D50の値が1μm以下の水酸化ニッケルを得ることを特徴とする水酸化ニッケルの製造方法である。
前記電解槽内において硝酸アンモニウムとハロゲン化アンモニウムとを含む電解液を用いた電解を超音波雰囲気下で行なうことで、
粒度分布D50の値が1μm以下の水酸化ニッケルを得ることを特徴とする水酸化ニッケルの製造方法である。
本発明の第2は、第1の発明において、前記水酸化ニッケルの塩素濃度が2000ppm以下である水酸化ニッケルの製造方法である。
本発明の第3は、第1又は第2の発明において、前記超音波雰囲気における超音波出力の発振周波数が、20kHz〜70kHzである水酸化ニッケルの製造方法である。
本発明によれば、電解液のpH値が6以上で両電極板に金属ニッケルを用いた電解法で水酸化ニッケルを製造する際、アノード表面およびカソード表面に生成する水酸化ニッケルによるスケール付着を防止し電解電圧の上昇を抑制することで安定して水酸化ニッケルが得られる。また、得られる水酸化ニッケルは凝集粒が小さく、不純物濃度が低く抑えられる。
本発明は、水酸化ニッケルの電解法で、超音波雰囲気下で電解することにより、アノード表面およびカソード表面に生成する水酸化ニッケルがスケールとして付着するのを防止して電解電圧の上昇を抑制することで安定的に水酸化ニッケルを得ることができる。さらに、生成される水酸化ニッケルの平均粒径である粒度分布D50の値が1μm以下にまで微細化されるため、これを焙焼することで固体酸化物形燃料電池用として適した酸化ニッケルを得ることが可能となる。
本発明の水酸化ニッケルを得るための電解方法について説明する。一般の電解(図2)では、アノード側の酸化反応により金属がイオンとして電解液中に溶解し、ニッケルイオンの一部が水酸化ニッケルとなりアノードに付着する。カソード側は、電解液中に溶解した金属イオンが還元されて金属が析出される。また、近傍のニッケルイオンが増大することで電極表面に徐々に水酸化ニッケルの結晶が晶出し、スケールとして付着することで電解電圧の上昇を招く。そのために、電解を中断してスケール除去などのメンテナンスを行わなければならず水酸化ニッケルの製造効率は悪化した。
しかしながら、超音波雰囲気下で電解を行うことにより、アノード、カソードに水酸化ニッケルが付着することがなくなることを見出した。そのため、電極間の電圧の上昇が緩やかになり、電解を中断することなく効率的に行うことが可能となる。
また電解による水酸化ニッケル凝集を効果的に抑制し、微細化することを見出した。こうして得られた水酸化ニッケルを大気中800℃から900℃程度で焙焼することにより、固体酸化物形燃料電池に適した酸化ニッケルが得られる。
具体的には、電解液として、硝酸アンモニウムと塩化アンモニウムの混合水溶液を電解液として使用する。硝酸アンモニウムを用いるのは、電解反応後に生成した水酸化ニッケル中に残留する硝酸根を比較的低温で除去するためである。硝酸アンモニウムの濃度は、0.1mol/L〜5.0mol/Lの範囲であることが好ましい。より好ましい濃度は、0.4mol/L〜1.0mol/Lの範囲である。0.1mol/L未満になると、電解効率が低下する。また、濃度が5.0mol/Lを超えると水酸化ニッケルの晶析開始に時間がかかるため、好ましくない。
塩化アンモニウムは、アノードであるニッケルの不働態化防止のために添加し、添加量が多ければ溶解効率を保つことができるが、得られる水酸化ニッケル中に塩素が混入してしまう。少ないと不働態化防止効果が得られず溶解効率が下がる。そのため、ハロゲン化アンモニウム(塩化アンモニウム)は添加量が少なすぎると、金属ニッケルの溶解速度が低下し、添加量が多いと水酸化ニッケルに含まれる不純物ハロゲンの濃度が高くなるため好ましくない。そのため、ハロゲン化アンモニウムの濃度は、1.0mol/L以下であることが好ましく、0.1mol/L〜0.5mol/Lがより好ましい。
電解槽内にはアノードおよびカソードを配置する。アノードにはニッケルを用いるが、電気ニッケルのように純度の高いものが好ましい。カソードにはチタン、ニッケル、ステンレス鋼、白金、チタンに白金めっきしたもの、チタンと白金をクラッドしたものなどを使用することができる。
さらに、電解浴が超音波雰囲気下となるよう超音波発生手段を設ける(図1)。生成される水酸化ニッケルは、電解槽にも付着するため、超音波は電解槽全体に及ぶことが好ましいが、特に電極に付与されることが必要である。超音波発生手段としては、市販の超音波洗浄装置や超音波ホモジナイザーなどを用いることができる。発振周波数としては、20kHzから70kHzの範囲内が好ましい。20kHz以下及び、70kHz以上ではキャビテーションが発生せず、効果が低くなるからである。電解温度は、通常の電解条件で良く、本発明では特に限定されない。
電解によって、水酸化ニッケルが生成されるプロセスは、以下の化学式(1)から(5)で説明される。まず、アノードではニッケルが溶解し(式(1))、電解浴中のアンモニアとアンミン錯体を形成する(式(4))。さらにアンミン錯体から水酸化ニッケルが析出する(式(5))。カソードでの反応は定かではないが、式(2)、式(3)等の反応が起こっていると考えられる。
電流密度は特に限定するものではないが、電流密度が3A/dm2より低いと水酸化ニッケルの生成量が少なくなり、20A/dm2より高くすると水酸化ニッケルの生成量は増加するが、その中の残留不純物量も増加する。また、アノードが不働態化を起こしやすくなるため、電流密度は、3A/dm2〜20A/dm2、より好ましくは4A/dm2〜15A/dm2とすることが望ましい。
以下、実施例を用いて本発明を説明するが、本発明は実施例によってのみ限定されるものではない。
(実施例1)
2Lのビーカーに硝酸アンモニウム(0.6mol/L)と塩化アンモニウム(0.1mol/L)を含む電解液1Lを入れ、ビーカーを超音波洗浄装置(BRANSONIC 3510J−DTH:42kHz)に入れ、60℃に加温した。アノード、カソードともに電気ニッケル板(100mm×50mm×10mmt)を用い、電極間距離5.5cmで対向させて電解液中に配置した。5A/dm2(通電電流2.5A)で、超音波雰囲気下で通電を開始し、水酸化ニッケルの析出が始まってから4時間電解を行った。
2Lのビーカーに硝酸アンモニウム(0.6mol/L)と塩化アンモニウム(0.1mol/L)を含む電解液1Lを入れ、ビーカーを超音波洗浄装置(BRANSONIC 3510J−DTH:42kHz)に入れ、60℃に加温した。アノード、カソードともに電気ニッケル板(100mm×50mm×10mmt)を用い、電極間距離5.5cmで対向させて電解液中に配置した。5A/dm2(通電電流2.5A)で、超音波雰囲気下で通電を開始し、水酸化ニッケルの析出が始まってから4時間電解を行った。
その結果、得られた水酸化ニッケルは13.5gで、通電した電気量に対してほぼ98%の収量であった。また、電解中の電圧変動は、電源投入直後は3.0V、その10分後は3.1V、4時間後で3.0Vとほぼ一定であり、水酸化ニッケル付着による電圧上昇が防止できている(図5)。
また、電極の表面は、両極ともに水酸化ニッケルのスケール付着量は、6.3gであった。
このとき、得られた水酸化ニッケルの粒度分布を湿式粒度分布計で測定したところ、平均粒径である粒度分布D50の値が0.54μmであった(図3)。また、水酸化ニッケルを純水によって、ろ液の電気伝導度が1mS/cmとなるまで撹拌洗浄し、オーブンで設定温度100℃の条件で乾燥させて、蛍光X線分析によって塩素濃度を測定すると1800ppmであった。
(実施例2)
超音波の発振周波数を28kHzにした以外は、実施例1と同様にして電解をおこなった。
超音波の発振周波数を28kHzにした以外は、実施例1と同様にして電解をおこなった。
その結果、得られた水酸化ニッケルは13.4gで、通電した電気量に対して97%の収量であった。また水酸化ニッケルの凝集はなかった。また、電解中の電圧変動は、電源投入直後は3.0V、その10分後は3.1V、4時間後で3.0Vとほぼ一定であり、水酸化ニッケル付着による電圧上昇が防止できている。
また、電極の表面は、両極ともに水酸化ニッケルのスケール付着量は、1.2gであった。
このとき、得られた水酸化ニッケルの平均粒径である粒度分布D50の値が0.64μmであり、水酸化ニッケルを水洗・乾燥して塩素濃度を測定すると1800ppmであった。
(比較例1)
超音波雰囲気でない以外は実施例1と同様にして電解を行った。
超音波雰囲気でない以外は実施例1と同様にして電解を行った。
得られた水酸化ニッケルは12.3gで通電した電気量に対してほぼ89%の収量であった。また、粒子は強く二次凝集しており、その大きさは10μmを超えるサイズであった。電解中の電圧変動は、電源投入直後は3.0V、その10分後は3.1V、4時間後で3.4Vと10%上昇していた(図6)。
また、電極へは、15.3gの水酸化ニッケルが付着していた。得られた水酸化ニッケルの平均粒径である粒度分布D50の値が15.7μmであり、水酸化ニッケルを水洗・乾燥して塩素濃度を測定すると2400ppmであった。
(比較例2)
超音波の発振周波数を100kHzにした以外は、実施例1と同様にして電解をおこなった。
超音波の発振周波数を100kHzにした以外は、実施例1と同様にして電解をおこなった。
得られた水酸化ニッケルは12.4gで通電した電気量に対しての収量がほぼ89%であった。電解中の電圧変動は、電源投入直後は3.0V、その10分後は3.1V、4時間後で3.4Vと10%上昇していた。
また、電極へは、15.5gの水酸化ニッケルが付着していた。
得られた水酸化ニッケルの平均粒径である粒度分布D50の値が2.4μmであり(図4)、水酸化ニッケルを水洗・乾燥して塩素濃度を測定すると2400ppmであった。
実施例1及び2の得られた水酸化ニッケルの平均粒径である粒度分布D50の値はいずれも1μm以下であるのに対し、比較例1及び2の得られた水酸化ニッケルの平均粒径である粒度分布D50の値は2μmを超えるものであるため、本発明に係る水酸化ニッケルの凝集粒が、比較例と比べて小さいことが分かる。
また、実施例1及び2の得られた水酸化ニッケルの塩素濃度はいずれも1800ppmであるのに対し、比較例1及び2の得られた水酸化ニッケルの塩素濃度はいずれも2400ppmであるため、本発明が、比較例と比べて残留不純物が少ないことが分かる。
本発明によって、電極への水酸化ニッケルのスケール付着が回避され電解電圧の安定化および電極のメンテナンスが不要となり効率的に水酸化ニッケルの電解製造が可能となる。また得られる水酸化ニッケルの粒径は、平均粒径である粒度分布D50の値が1μm以下であり、これを焙焼することによって不純物濃度の低い固体酸化物形燃料電池に適した酸化ニッケルが得られる。
Claims (3)
- 電解槽内にアノードの金属ニッケルとカソードを設置し、
前記電解槽内において硝酸アンモニウムとハロゲン化アンモニウムとを含む電解液を用いた電解を超音波雰囲気下で行なうことで、
粒度分布D50の値が1μm以下の水酸化ニッケルを得ることを特徴とする水酸化ニッケルの製造方法。 - 前記水酸化ニッケルの塩素濃度が2000ppm以下である請求項1に記載の水酸化ニッケルの製造方法。
- 前記超音波雰囲気における超音波出力の発振周波数が、20kHz〜70kHzである請求項1又は2に記載の水酸化ニッケルの製造方法。
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| JP2014014542A JP2015140465A (ja) | 2014-01-29 | 2014-01-29 | 水酸化ニッケルの製造方法 |
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2014
- 2014-01-29 JP JP2014014542A patent/JP2015140465A/ja active Pending
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