JP2015170761A - 光電変換素子および光電変換モジュール - Google Patents

光電変換素子および光電変換モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】高い耐久性を有する光電変換素子および該光電変換素子を含む光電変換モジュールを提供する。
【解決手段】支持基板上に、少なくとも導電層、多孔性半導体層、触媒層、対極導電層およびこれらの空隙に充填されたキャリア輸送材料を有する光電変換素子であって、前記多孔性半導体層は増感色素が吸着され半導体微粒子からなる複数の層で構成され、前記複数の層は、少なくとも最も受光面に近い側に位置する近位層と最も受光面から遠い側に位置する遠位層とを含み、前記複数の層のそれぞれを構成する半導体微粒子の平均粒径は互いに異なり、前記遠位層を構成する半導体微粒子の平均粒径は、前記近位層を構成する半導体微粒子の平均粒径より大きく、前記遠位層は前記近位層の全てを覆い、前記多孔性半導体層を前記支持基板に対して水平に投影したとき、前記遠位層の端部が前記近位層の端部より外側に形成される突出幅dは0.5mm以上であることを特徴とする、光電変換素子。
【選択図】図1

Description

本発明は、光電変換素子および該光電変換素子を含む光電変換モジュールに関する。
従来、光エネルギーを電気エネルギーに直接変換する方法としては、シリコン結晶太陽電池が良く知られており、すでに微弱電力消費の分野で独立電源さらには通用電源として利用されている。しかしながら、シリコン単結晶はもちろんのことアモルファスシリコンを製造するにあたっては多大なエネルギーを必要とするので、電池を作るのに費やしたエネルギーを回収するには十年近い長期間にわたって発電を続ける必要がある。
こうした状況下、色素を用いた色素増感太陽電池が広く注目されるようになった。この色素増感太陽電池は、例えば、透明基板上の透明導電層に形成された増感色素を担持した半導体多孔性電極と、対電極と、それらの電極間に挟持されたキャリア輸送層とから主に構成されており、作成方法の簡便さ、材料コストの低さなどから次世代の太陽電池として期待されている。
例えば、特許文献1には、新しいタイプの太陽電池として、金属錯体における光誘起電子移動を応用した湿式太陽電池が提案されている。特許文献1に記載の湿式太陽電池は次に示す方法にしたがって製造される。2枚のガラス基板の表面にそれぞれ電極を形成し、形成された電極が内側となるように2枚のガラス基板を配置し、2枚のガラス基板で多孔性半導体層と電解液とを挟みこむ。多孔性半導体層は、酸化チタンのような金属酸化物に光増感色素を吸着させることにより可視光領域に吸収スペクトルを持たせた半導体層である。このような湿式太陽電池は、色素増感太陽電池とも呼ばれる。
このような太陽電池では、光電極に可視光が照射されると、半導体表面上の増感色素が光を吸収することにより、色素分子内の電子が励起され、励起電子が光電極へ注入される。よって、この電極側で電子が発生し、該電子は電気回路を通って対電極に移動する。対電極に移動した電子は、キャリア輸送層中のホールまたはイオンによって運ばれ、光電極に戻る。このような過程が繰り返されて電気エネルギーが取り出され、高いエネルギー変換効率が実現される。
また、高い光電変換効率を得ることを目的としては、例えば、特許文献2には、平均粒径の異なる複数の層からなる半導体層を形成し、より基板から遠い位置に配置される遠位層が、より基板に近い位置に配置される近位層の側面の少なくとも一部を覆う光電極を用いた色素増感太陽電池が提案されている。
特開平1−220380号公報 特開2006−49082号公報
しかし、本発明者らは、上記のような従来技術によっては高い耐久性が得られないことを見出した。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高い耐久性を有する光電変換素子および該光電変換素子を含む光電変換モジュールを提供することである。
本発明は、支持基板上に、少なくとも導電層、多孔性半導体層、触媒層、対極導電層およびこれらの空隙に充填されたキャリア輸送材料を有する光電変換素子であって、上記多孔性半導体層は増感色素が吸着され半導体微粒子からなる複数の層で構成され、上記複数の層は、少なくとも最も受光面に近い側に位置する近位層と最も受光面から遠い側に位置する遠位層とを含み、上記複数の層のそれぞれを構成する半導体微粒子の平均粒径は互いに異なり、上記遠位層を構成する半導体微粒子の平均粒径は、上記近位層を構成する半導体微粒子の平均粒径より大きく、上記遠位層は上記近位層の全てを覆い、上記多孔性半導体層を上記支持基板に対して水平に投影したとき、上記遠位層の端部が上記近位層の端部より外側に形成される突出幅dは0.5mm以上である光電変換素子である。
上記遠位層を構成する半導体微粒子の平均粒径は100nm以上500nm以下であり、上記遠位層を構成する半導体微粒子の粒径の最小値は、上記多孔性半導体層中の他の層を構成する半導体微粒子の粒径の最大値よりも大きいことが好ましい。
上記遠位層の厚さは10μm以上40μm以下であることが好ましい。
上記近位層と上記遠位層との間に、さらに中間層を有し、上記中間層は、上記支持基板に対する水平投影面積が上記近位層と等しく、粒径が50nm以上の半導体微粒子を10重量%以上50重量%以下含み、かつ、厚さが5μm以上10μm以下であることが好ましい。
上記多孔性半導体層は酸化チタンからなることが好ましい。
上記近位層の厚さは0.5μm以上2μm以下であることが好ましい。
また、本発明は、2つ以上の光電変換素子が直列に接続されている光電変換モジュールであって、光電変換素子の少なくとも1つが、上述した光電変換素子であり、隣接する光電変換素子のうち一方の光電変換素子の対極導電層と他方の光電変換素子の導電層とが電気的に接続されている、光電変換モジュールである。
本発明は、上記で説明した構成を有することにより、熱ストレスによる光電変換効率の低下が低減され、耐久性が向上された光電変換素子および該光電変換素子を含む光電変換モジュールを提供することができる。
本発明の光電変換素子の構成の一つの例を示す断面図である。 本発明の光電変換素子の構成のもう一つの例を示す断面図である。 本発明の光電変換モジュールの構成の一つの例を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて具体的に説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものである。また、長さ、幅、厚さ、深さなどの寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜に変更されており、実際の寸法関係を表わすものではない。
以下の実施形態では本発明の一例を示し、本発明の範囲内で種々の実施形態での実施が可能である。
[光電変換素子の構成]
図1は、本発明の光電変換素子の構成の一つの例を示す断面図である。図1に示す光電変換素子では、導電性基板11上に多孔性半導体層3と対極12とが順に設けられており、多孔性半導体層3と対極12との間にはキャリア輸送材料が充填されてキャリア輸送層8が形成されている。導電性基板11は、支持基板1とその上に形成された導電層2とからなる。多孔性半導体層3は増感色素が吸着され半導体微粒子からなる複数の層で構成され、該複数の層は、最も受光面に近い側に位置する近位層3aと、最も受光面から遠い側に位置する遠位層3bとを含んでいる。また、遠位層3bは近位層3aの全てを覆い、多孔性半導体層3を支持基板1に対して水平に投影したとき、遠位層3bの端部が近位層3aの端部より外側に形成される突出幅をdで表す。対極12では、対極導電層5と触媒層4とがカバー体6に順に形成されており、触媒層4が多孔性半導体層3と対向している。また、多孔性半導体層3とキャリア輸送層8とは封止部7により封止されている。
図2は、本発明の光電変換素子の構成のもう一つの例を示す断面図である。図2に示す光電変換素子では、導電性基板11上に多孔性半導体層3と対極12とが順に設けられており、多孔性半導体層3と対極12との間にはキャリア輸送材料が充填されてキャリア輸送層8が形成されている。導電性基板11は、支持基板1とその上に形成された導電層2とからなる。多孔性半導体層3は増感色素が吸着され半導体微粒子からなる複数の層で構成され、該複数の層は、最も受光面に近い側に位置する近位層3aと、最も受光面から遠い側に位置する遠位層3bと、近位層3aと遠位層3bとの間に位置する中間層3cとを含んでいる。また、中間層3cは、支持基板1に対する水平投影面積が近位層3aと等しく、遠位層3bは近位層3aおよび中間層3cの全てを覆い、多孔性半導体層3を支持基板1に対して水平に投影したとき、遠位層3bの端部と近位層3aおよび中間層3cの端部との距離は突出幅dとなる。対極12では、対極導電層5と触媒層4とがカバー体6に順に形成されており、触媒層4が多孔性半導体層3と対向している。また、多孔性半導体層3とキャリア輸送層8とは封止部7により封止されている。
<支持基板>
支持基板1は、図1および図2に示す光電変換素子の受光面の少なくとも一部を構成する。そのため、支持基板1のうち光電変換素子の受光面となる部分は、光透過性を有する材料からなることが好ましい。光透過性を有する材料は、少なくとも後述の増感色素に実効的な感度を有する波長の光を実質的に透過させる材料であれば良く、必ずしも全ての波長領域の光に対して透過性を有する必要はない。
支持基板1としては、例えば、ソーダ石灰フロートガラス、溶融石英ガラスまたは結晶石英ガラスなどからなるガラス基板であっても良いし、可撓性フィルムなどの耐熱性樹脂基板であっても良い。可撓性フィルムとしては、例えば、テトラアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PA)、ポリエーテルイミド(PEI)、フェノキシ樹脂またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などからなるフィルムを用いることができる。
加熱を伴って支持基板上に他の層を形成する場合、例えば250℃程度の加熱を伴って支持基板上に導電層を形成する場合には、支持基板としてポリテトラフルオロエチレンからなるフィルムを用いることが好ましい。ポリテトラフルオロエチレンからなるフィルムは250℃以上の耐熱性を有することから、支持基板を250℃程度に加熱しても支持基板への熱ダメージを抑えることができる。
支持基板1の厚さは、光電変換素子に適当な強度を付与することができるものであれば特に限定されないが、0.5mm以上10mm以下であることが好ましい。支持基板1の厚さが0.5mm以上であれば、支持基板1が支持基板としての機能を発揮することができる傾向にある。支持基板1の厚さが10mm以下であれば、支持基板1を透過する光量の減少が防止されるため、光電変換素子の光電変換効率の低下を防止できる傾向にある。
完成した光電変換素子を他の構造体に取り付けるときに、支持基板1を利用することができる。すなわち、金属加工部品とねじとを用いて、ガラス基板などからなる支持基板の周辺部を他の支持基板に容易に取り付けることができる。
<導電層>
導電層2は、図1および図2に示す光電変換素子の受光面の少なくとも一部を構成する。そのため、導電層2のうち光電変換素子の受光面となる部分は、光透過性および導電性を有する材料からなることが好ましい。ただし、導電層は、支持基板と同じく、少なくとも後述の増感色素に実効的な感度を有する波長の光を実質的に透過させる材料であれば良く、必ずしも全ての波長領域の光に対して透過性を有する必要はない。
導電層2としては、例えば、インジウムスズ複合酸化物(ITO)、酸化スズ(SnO2)または酸化亜鉛(ZnO)などからなるフィルムを用いることができる。
導電層2の厚さは、特に限定されないが、0.1μm以上5μm以下であることが好ましい。導電層の厚さが0.1μm以上であれば、導電層の抵抗が低減されるので、光電変換素子の外部に取り出すことができる電流量が増大する。よって、光電変換素子の光電変換効率が向上する傾向にある。導電層の厚さが5μm以下であれば、導電層を透過する光量の減少が防止されるため、光電変換素子の光電変換効率が維持される傾向にある。
導電層2の表面抵抗率(シート抵抗)は、特に限定されないが、40Ω/sq以下であることが好ましい。導電層の表面抵抗率が40Ω/sq以下であれば、光電変換素子の外部に取り出すことができる電流量が増大するので、光電変換素子の光電変換効率が向上する傾向にある。
導電層2には、金属線が設けられていても良い。導電層に金属線を設けると、導電層の抵抗が低くなる傾向にある。金属線としては、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケルおよびチタンのうちの少なくとも1種の金属を含む金属線を用いることができる。なお、導電層に設けられた金属線による入射光量の低下を避けるという観点から、金属線の太さは、例えば、0.1mm以上4mm以下であることが好ましい。
<多孔性半導体層>
多孔性半導体層3は、増感色素が吸着され半導体微粒子からなる複数の層で構成されたものである。
多孔性半導体層3を構成する半導体微粒子は、一般に光電変換材料に使用されるものであればどのようなものでも用いることができ、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化タングステン、酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ニッケル、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、硫化カドミウム、CuAlO2、SrCu22などの単独、化合物または組み合わせが挙げられる。安定性および安全性の点から、酸化チタンが好ましい。このような酸化チタンとしては、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、無定形酸化チタン、メタチタン酸、オルソチタン酸などの各種の狭義の酸化チタンおよび水酸化チタン、含水酸化チタンなどが挙げられる。多孔性半導体層用材料として酸化チタンを用いることにより、耐熱性が高く、光電変換効率が高い光電変換素子を得ることができる。
多孔性半導体層3を形成するそれぞれの層は、特に限定されないが、多孔質の膜状の形態であることが好ましい。これにより、多孔性半導体層の受光面積が増大するので、光電変換素子の光電変換効率が向上する傾向にある。また、光電変換素子の薄型化が促進される傾向にある。
多孔性半導体層3の空孔率(多孔性半導体層の全容積に対する多孔性半導体層に形成された空隙の容積の割合)は、20%以上であることが好ましく、40%以上80%以下であることがより好ましい。多孔性半導体層の空孔率が20%以上である場合には、キャリア輸送材料が多孔性半導体層の内部を十分拡散する傾向にある。なお、多孔性半導体層の空孔率は、多孔性半導体層の厚さ、多孔性半導体層の質量、および、半導体材料の密度から計算によって求められる。
多孔性半導体層3を構成する複数の層は、最も受光面に近い側に位置する近位層3aと最も受光面から遠い側に位置する遠位層3bとを少なくとも有する。上記複数の層のそれぞれを構成する半導体微粒子の平均粒径は互いに異なり、遠位層を構成する半導体微粒子の平均粒径は、近位層を構成する半導体微粒子の平均粒径より大きい。遠位層は近位層の全てを覆い、多孔性半導体層を支持基板に対して水平に投影したとき、遠位層の端部が近位層の端部より外側に形成される突出幅dは0.5mm以上である。これにより、耐熱性が向上され、さらに、熱ストレスによる光電変換効率の低下が低減され、光電変換素子の耐久性が向上される。これは、遠位層がブロック層となることにより、熱負荷をかけた際に生じるリーク源が、含まれる半導体微粒子の平均粒径が小さい、すなわち比表面積の大きい近位層に付着することが低減されたためであると考えられる。
近位層3aを形成する半導体微粒子は、光吸収能の観点から、比表面積が大きいものが好ましく、10m2/g以上200m2/g以下であることがより好ましい。なお、多孔性半導体層の比表面積は、例えば、気体吸着法であるBET法(JIS Z8830:2001)などに準拠して求められる。
近位層3aを構成する半導体微粒子の平均粒径は、15nm以上25nm以下であることが好ましい。近位層を構成する半導体微粒子の平均粒径が15nmより小さい場合、近位層中の空隙率が低下するため、キャリア輸送層中のイオンの拡散を阻害する傾向にあり、25nmより大きい場合、比表面積が低下するため、光吸収能が低下する傾向にある。なお、半導体微粒子の粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて測定し、複数の画像サンプルを基に、半導体微粒子の最小粒径、最大粒径とともに各粒子の粒径を測定し、その平均粒径を求める。
近位層3aの厚さは、0.5μm以上2μm以下であることが好ましい。このように、比表面積の大きい半導体微粒子により構成される近位層の膜厚が小さいことで、熱ストレスをかけた際に生じるリーク源が近位層に付着する量を低減することが可能である。
また、遠位層3bを構成する半導体微粒子の平均粒径は、100nm以上500nm以下であり、遠位層を構成する半導体微粒子の粒径の最小値は、多孔性半導体層3中の他の層を構成する半導体微粒子の粒径の最大値よりも大きい。これにより、光電変換素子の耐熱性をさらに向上することができる。
遠位層3bの厚さは、10μm以上40μm以下であることが好ましく、12μm以上20μm以下であることがより好ましい。10μm以上であれば、熱負荷をかけた際に生じるリーク源の近位層、及び中間層への吸着をブロックする傾向にあり、40μm以下であれば、キャリア輸送層中のイオンの移動を阻害しない傾向にある。
また、近位層と遠位層とは、隣接していてもよく、隣接しなくてもよい。図2に示すように、導電性基板11上に三つの層が形成されている場合、導電性基板に最も近い層を近位層3a、基板から最も離れた層を遠位層3b、近位層と遠位層との間に位置する層を中間層3cとする。中間層は、単層でもよく多層でもよい。
中間層3cは、平均粒径が15nm以上25nm以下である半導体微粒子と、粒径が50nm以上の半導体微粒子とからなり、粒径が50nm以上の半導体微粒子を、10重量%以上50重量%以下含むことが好ましく、30重量%以上50重量%以下含むことがより好ましい。
中間層3cの厚さは5μm以上10μm以下であることが好ましい。中間層が、粒径50nm以上の半導体微粒子を10重量%以上50重量%以下含み且つ5μm以上10μm以下の厚さを有することにより、さらに多くの光を吸収することができ、高耐久性化とともに高効率な光電変換素子を得ることができる。
また、多孔性半導体層の総厚さは、光透過性および光電変換効率などの観点から45μm以下であることが好ましい。
また、多孔性半導体層が三層以上からなり、中間層を含む場合は、近位層と中間層の支持基板に対する水平投影面積は等しく、遠位層の端部が、近位層および中間層の端部より外側に形成される突出幅dは0.5mm以上である。これにより、光電変換素子の耐久性をさらに向上することができる。これは、遠位層がブロック層となることにより、熱負荷をかけた際に生じるリーク源が、含まれる半導体微粒子の平均粒径が小さいすなわち比表面積の大きい近位層、中間層に付着することが低減されたためであると考えられる。
<増感色素>
多孔性半導体層3には、好ましくは、増感色素が吸着されている。増感色素としては、種々の可視光領域および/または赤外光領域に吸収を持つものを用いることができる。有機色素では、例えば、アゾ系色素、キノン系色素、キノンイミン系色素、キナクリドン系色素、スクアリリウム系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、ポルフィリン系色素、ペリレン系色素、インジゴ系色素、ナフタロシアニン系色素などが挙げられる。なお、金属錯体色素の場合においては、Cu、Ni、Fe、Co、V、Sn、Si、Ti、Ge、Cr、Zn、Ru、Mg、Al、Pb、Mn、In、Mo、Y、Zr、Nb、Sb、La、W、Pt、Ta、Ir、Pd、Os、Ga、Tb、Eu、Rb、Bi、Se、As、Sc、Ag、Cd、Hf、Re、Au、Ac、Tc、Te、Rhなどの金属が用いられ、フタロシアニン系色素、ルテニウム系金属錯体色素などが好ましく用いられる。
増感色素は、多孔性半導体層3に強固に吸着させるために、分子中に、カルボン酸基、カルボン酸無水基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、スルホン酸基、エステル基、メルカプト基およびホスホニル基などのインターロック基を有するものが好ましく、カルボン酸基またはカルボン酸無水基を有するものがより好ましい。
多孔性半導体層3の表面に増感色素を吸着させる前に、多孔性半導体層の表面を活性化するための処理を必要に応じて行ってもよい。増感色素を多孔性半導体層に吸着させる工程において、増感色素を含有した液体に多孔性半導体層を浸漬して、該多孔性半導体層表面に該増感色素を吸着させる。
上記液体としては、使用する増感色素を溶解するものであればよく、具体的には、アルコール、トルエン、アセトニトリル、THF、クロロホルム、ジメチルホルムアミドなどの有機溶媒を用いることができる。通常、上記溶媒は精製されたものを用いることが好ましい。溶媒中の増感色素濃度は、使用する色素、溶媒の種類、色素吸着工程のための条件などに応じて調整することができる。増感色素の濃度は、1×10−5mol/L以上であることが好ましい。
増感色素を含有した液体に多孔性半導体層を浸漬する工程において、温度、圧力、浸漬時間は必要に応じて変えることができる。浸漬は、1回または複数回行ってもよい。また、浸漬の工程の後、適宜乾燥を行ってもよい。上述した方法により半導体に吸着された色素は、光エネルギーにより電子を半導体に送る光増感剤として機能する。一般的に、増感色素は、インターロック基を介して半導体に固定される。インターロック基は、励起状態の色素と半導体の伝導帯との間の電子の移動を容易にする電気的結合を提供する。
<触媒層>
触媒層4を構成する材料としては、例えば、白金およびカーボンのうちの少なくとも一方を用いることが好ましい。白金としては、スパッタ、塩化白金酸の熱分解、電着などの方法によって導電層が被覆された支持基板上に膜を形成させたものなどを用いることが好ましい。カーボンとしては、例えば、カーボンブラック、グラファイト、ガラス炭素、アモルファス炭素、ハードカーボン、ソフトカーボン、カーボンホイスカー、カーボンナノチューブおよびフラーレンのうちの少なくとも1種を用いることが好ましい。
触媒層4の厚さは特に限定されないが、白金を用いる場合は、1nm以上300nm以下であることが好ましく、カーボンを用いる場合は、1nm以上50μm以下であることが好ましい。
<対極導電層>
対極導電層5は、電子を収集するとともに、光電変換素子を直列接続して光電変換モジュールを製造するときに隣り合う光電変換素子同士を電気的に接続させるための電極としても機能する。また、光が対極12側から入射する場合、対極導電層5は透光性を有する必要がある。
対極導電層5を構成する材料としては、例えば、シリコン、ゲルマニウムのようなN型またはP型の元素半導体;GaAs、InP、ZnSe、CsSのような化合物半導体;金、白金、銀、銅、アルミニウムのような金属;チタン、タンタル、タングステンのような高融点金属;ITO、SnO2、CuI、ZnOのような透明導電材料が挙げられる。
対極導電層5の厚さは、0.1μm以上5μm以下であることが好ましい。対極導電層5の厚さが0.1μm未満であると、対極導電層5の抵抗が高くなる傾向にあり、5μmを超えるとキャリア輸送材料の移動の妨げとなる傾向になる。
<カバー体>
カバー体6は、キャリア輸送材料の揮発を防止し、光電変換素子内への水などの浸入を防止する。
カバー体6を構成する材料は、一般に光電変換素子に使用可能な材料であり且つ本発明の効果を発揮し得る材料であれば、特に限定されない。このような材料としては、例えば、ソーダ石灰ガラス、鉛ガラス、ほうけい酸ガラス、溶融石英ガラスおよび結晶石英ガラスなどが挙げられる。その中でも、カバー体6を構成する材料としては、ソーダ石灰フロートガラスを用いることが好ましい。
<キャリア輸送層>
キャリア輸送層8としては、電子、ホール、イオンを輸送できるものであればどのようなものでも用いることができる。キャリア輸送材料の好適な材料としては、たとえば、液体電解質、固体電解質、ゲル電解質または溶融塩ゲル電解質などを用いることができる。
液体電解質は、酸化還元種を含む液状物であることが好ましく、一般に電池または太陽電池などにおいて使用できるものであれば特に限定されない。液体電解質としては、たとえば、酸化還元種と酸化還元種を溶解可能な溶媒とからなるもの、酸化還元種と酸化還元種を溶解可能な溶融塩とからなるもの、または、酸化還元種と上記溶媒と上記溶融塩とからなるものなどが挙げられる。
酸化還元種としては、たとえばI-/I3-系、Br2-/Br3-系、Fe2+/Fe3+系およびキノン/ハイドロキノン系のうちの少なくとも1種を用いることができる。具体的には、酸化還元種としては、金属ヨウ化物とヨウ素(I2)との組み合わせ、ヨウ化物イオンからなる塩とヨウ素(I2)との組み合わせ、または、金属臭化物と臭素(Br2)との組み合わせなどを用いることが好ましい。これらの酸化還元種を用いた光電変換素子は、たとえばコバルト錯体またはフェロセンなどを酸化還元種として用いた光電変換素子に比べて、良好なI−V曲線を示す。
金属ヨウ化物としては、たとえば、ヨウ化リチウム(LiI)、ヨウ化ナトリウム(NaI)、ヨウ化カリウム(KI)およびヨウ化カルシウム(CaI2)のうちの少なくとも1種を用いることができる。
ヨウ化物イオンからなる塩としては、たとえば、アンモニウム塩およびイミダゾリウム塩のうちの少なくとも1種を用いることができる。アンモニウム塩としては、たとえば、テトラエチルアンモニウムアイオダイド(TEAI)、テトラプロピルアンモニウムアイオダイド(TPAI)、テトラブチルアンモニウムアイオダイド(TBAI)およびテトラヘキシルアンモニウムアイオダイド(THAI)のうちの少なくとも1種を用いることができる。イミダゾリウム塩としては、たとえば、ジメチルプロピルイミダゾールアイオダイド(DMPII)、メチルプロピルイミダゾールアイオダイド(MPII)、エチルメチルイミダゾールアイオダイド(EMII)、エチルイミダゾールアイオダイド(EII)およびヘキシルメチルイミダゾールアイオダイド(HMII)のうちの少なくとも1種を用いることができる。
金属臭化物としては、たとえば、臭化リチウム(LiBr)、臭化ナトリウム(NaBr)、臭化カリウム(KBr)および臭化カルシウム(CaBr2)のうちの少なくとも1種を用いることができる。
酸化還元種としては、金属ヨウ化物とヨウ化物イオンからなる塩とヨウ素との組み合わせのように数種類を組み合わせて用いることもできる。
酸化還元種を溶解可能な溶媒としては、たとえば、プロピレンカーボネートなどのカーボネート化合物、アセトニトリルなどのニトリル化合物、エタノールなどのアルコール類、水または非プロトン極性物質などを用いることができる。酸化還元種を溶解可能な溶媒としては、これらを単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いても良い。これらの中でも、カーボネート化合物またはニトリル化合物を用いることが好ましい。
固体電解質は、電子、ホール、またはイオンを輸送できる導電性材料であることが好ましく、光電変換素子の電解質として用いることができ且つ流動性がないものであることが好ましい。具体的には、固体電解質としては、ポリカルバゾールなどのホール輸送材、テトラニトロフロオルレノンなどの電子輸送材、ポリロールなどの導電性ポリマー、液体電解質を高分子化合物により固体化した高分子電解質、ヨウ化銅もしくはチオシアン酸銅などのp型半導体、または、溶融塩を含む液体電解質を微粒子により固体化した電解質などを用いることができる。
ゲル電解質は、電解質とゲル化剤とからなることが好ましい。電解質とゲル化剤との混合割合は、適宜調整されることが好ましい。電解質としては、たとえば、上記液体電解質または上記固体電解質を用いることができる。
ゲル化剤としては、たとえば、架橋ポリアクリル樹脂誘導体、架橋ポリアクリロニトリル誘導体、ポリアルキレンオキシド誘導体、シリコーン樹脂類、または、側鎖に含窒素複素環式四級化合物塩構造を有するポリマーなどの高分子ゲル化剤などを用いることができる。
溶融塩ゲル電解質は、上記ゲル電解質と常温型溶融塩とからなることが好ましい。常温型溶融塩としては、たとえば、ピリジニウム塩類またはイミダゾリウム塩類などの含窒素複素環式化合物の四級アンモニウム塩類などを用いることができる。
キャリア輸送層8は、必要に応じて、次に示す添加剤を含んでいても良い。添加剤としては、t−ブチルピリジン(TBP)などの含窒素芳香族化合物を用いても良いし、グアニジンチオシアネートなどのイオン性有機化合物を用いても良い。添加剤としては、上記窒素を含有する芳香族化合物とグアニジンチオシアネートなどのイオン性有機化合物との両方を用いることもできる。
キャリア輸送材料における酸化還元種の濃度は、酸化還元種を溶解可能な溶媒および電解質などの種類により適宜選択されることが好ましいが、0.01mol/L以上1.5mol/L以下であることが好ましく、0.1mol/L以上0.7mol/L以下であることがより好ましい。キャリア輸送材料における酸化還元種の濃度が上記範囲内であれば、キャリア輸送層8における酸化還元種の輸送が効率的に行なわれる傾向にある。
<封止部>
封止部7は、キャリア輸送材料の揮発を防止し、光電変換素子内への水などの浸入を防止する。それだけでなく、封止部7は、支持基板1に作用する応力(衝撃)を吸収し、光電変換素子の長期使用時には支持基板1に作用する撓みなどを吸収する。
封止部7は、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイソブチレン系樹脂、ホットメルト樹脂およびガラスフリットのうちの少なくとも1種を含む単層であっても良いし、この単層が2層以上重ねられて構成された積層体であっても良い。
なお、キャリア輸送材料の溶媒としてニトリル系溶剤またはカーボネート系溶剤などの難揮発性溶媒を用いた場合には、封止部7は、シリコーン樹脂、ホットメルト樹脂(例えばアイオノマー樹脂)、ポリイソブチレン系樹脂およびガラスフリットのうちの少なくとも1種を含むことが好ましい。これにより、キャリア輸送材料に対する封止部7の腐食が抑制される傾向にある。
[光電変換素子の製造方法]
<導電性基板の形成>
まず、導電層2が支持基板1上に形成されてなる導電性基板11を準備する。たとえば、市販の導電性基板を準備しても良いし、スパッタリング法または熱CVD法などの方法によって導電層2を支持基板1上に形成しても良い。
<多孔性半導体層の形成>
導電性基板11上に多孔性半導体層3を形成する。多孔性半導体層は、例えば、導電性基板上に半導体微粒子を含有する懸濁液を塗布し、乾燥および/または焼成する方法で形成することができる。以下、この方法を詳細に説明する。
まず、導電性基板上に近位層を形成する。具体的には、まず、近位層形成に用いる半導体微粒子を適当な溶媒に懸濁する。そのような溶媒としては、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのグライム系溶媒、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、イソプロピルアルコール/トルエンなどのアルコール系混合溶媒、水などが挙げられる。近位層形成のための半導体微粒子懸濁液の導電性基板への塗布は、ドクターブレード法、スキージ法、スピンコート法、スクリーン印刷法など公知の方法が挙げられる。その後、塗布液を乾燥および焼成する。乾燥および焼成に必要な温度、時間、雰囲気などは、使用される導電性基板および半導体微粒子の種類に応じて、適宜調製することができ、例えば、大気下または不活性ガス雰囲気下、50℃以上800℃以下の温度で、10秒以上12時間以下行なうことができる。乾燥および焼成は、単一の温度で1回のみ行ってもよいし、温度を変化させて2回以上行ってもよい。
次に、近位層の形成方法と同様な方法により中間層を形成する。中間層の支持基板に対する水平投影面積は、近位層の水平投影面積と等しい。
続いて、近位層および中間層の全てを覆う遠位層を形成する。具体的には、まず、上記工程で形成した近位層および中間層の周囲の外側に、近位層、中間層から間隔を空けてカプトンテープ、またはメンディングテープを貼り、塗布する半導体層の外枠を作製する。次に、平均粒径の異なる半導体微粒子懸濁液を、テープと近位層、中間層の間隙と、近位層、中間層全体に滴下し、ドクターブレード法で懸濁液の塗布を行う。スクリーン印刷法を用いる場合には、すでに近位層、中間層を形成するのに用いたスクリーンマスクよりも大きいスクリーンマスクを用意し、塗布すればよい。その後、近位層の形成と同様に、乾燥、および焼成を行う。上記工程により形成される遠位層を支持基板に対して水平に投影したとき、その端部が近位層および中間層の端部より外側に形成される突出幅dは0.5mm以上であることが好ましい。
<増感色素の吸着>
増感色素を含有した液体に多孔性半導体層を浸漬して、該多孔性半導体層表面に増感色素を吸着させる。多孔性半導体層の表面に増感色素を吸着させる前に、多孔性半導体層の表面を活性化するための処理を必要に応じて行ってもよい。増感色素を含有した液体に多孔性半導体層を浸漬する工程において、温度、圧力、浸漬時間は必要に応じて変えることができる。浸漬は、1回または複数回行ってもよい。また、浸漬の工程の後、適宜乾燥を行ってもよい。
<対極の形成>
対極12を製造する。たとえば、スパッタリング法または熱CVD法などの方法によって対極導電層5をカバー体6上に形成することが好ましい。白金からなる触媒層4を形成する場合には、蒸着法またはスパッタ法などのPVD法により触媒層4を対極導電層5上に形成しても良いし、塩化白金酸の熱分解または電着などにより触媒層4を対極導電層5上に形成しても良い。カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブまたはフラーレンなどのカーボン材料からなる触媒層4を形成する場合には、任意の溶媒に分散してペースト状にしたカーボンをスクリーン印刷法などにより対極導電層5上に塗布することが好ましい。
<キャリア輸送材料の充填>
キャリア輸送材料を充填する。たとえば、導電性基板11に形成された多孔性半導体層の周囲を取り囲むようにして封止部7を配置する。導電性基板11に形成された多孔性半導体層と対極12の触媒層4とが向かい合うようにして導電性基板11と対極12とを配置し、導電性基板11と対極12とを封止部7により固定する。その後、導電性基板11または対極12に予め形成された孔から封止部7で取り囲まれた領域へキャリア輸送材料を注入してから、その孔を塞ぐ。これにより、光電変換素子が製造される。
[光電変換モジュール]
図3は、本発明の光電変換モジュールの構成の一例を示す断面図である。図3に示す光電変換モジュールでは2つ以上の本実施形態の光電変換素子が直列に接続されている。隣り合う光電変換素子のうち、一方の光電変換素子の対極導電層5と他方の光電変換素子の導電層2とが電気的に接続されている。このように図3に示す光電変換モジュールは、本実施形態の光電変換素子を含んでいるので、高い耐久性を有する光電変換モジュールを提供することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下において、特に断りのない限り、各層の厚さは、段差計((株)東京精密製、型番:E−VS−S28A)を用いて測定された。
<実施例1>
まず、幅30mm×長さ30mm×厚さ1mmの導電性基板11(日本板硝子株式会社製のSnO2膜付ガラス板)を準備した。導電性基板11では、フッ素がドープされた酸化スズ(FTO)からなる導電層2がガラスからなる支持基板1上に形成されている。
次に、幅5mm×長さ5mmのパターンを有するスクリーン版とスクリーン印刷機(ニューロング精密工業株式会社製、型番:LS−150)とを用いて、平均粒径20nmの市販の酸化チタンペースト(Solaronix社製、商品名:T/SP)を導電層2上に塗布し、室温で1時間、レベリングを行なった。得られた塗膜を80℃に設定したオーブンで20分間乾燥した後、500℃に設定した焼成炉(株式会社デンケン製、型番:KDF P−100)を用いて空気中で60分間焼成した。これにより、厚さが2μm程度の多孔性半導体層の近位層3aを得た。
さらに、幅6mm×長さ6mmのパターンを有するスクリーン版とスクリーン印刷機とを用いて、平均粒径400nmの市販の酸化チタンペースト(日揮触媒化成社製、商品名:PST−400C)を多孔性半導体層の近位層上に塗布し、近位層と同様の操作を繰り返すことにより、厚さが10μm程度で、突出幅dが0.5mmの多孔性半導体層の遠位層3bを形成した。
次に、予め調製しておいた増感色素を含有した液体に、多孔性半導体層が形成された導電性基板11を室温で24時間浸漬させた。その後、エタノールで洗浄し、約60℃で約5分間乾燥させた。これにより、多孔性半導体層に増感色素が吸着された。
次に、導電性基板11とは別に、日本板硝子株式会社製のSnO2膜付ガラス板をもう一枚用意した。このSnO2膜上に、スパッタ法により厚さ約7nmの白金膜(触媒層4)を形成した。これにより、対極12が形成された。
次に、色素が吸着された多孔性半導体層の周囲を囲う形状に切り出された熱融着フィルム(デュポン社製、商品名:バイネル(登録商標))を用いて、導電性基板11と対極12とを貼り合せた。約130℃に設定したオーブンで10分間加熱することにより、導電性基板11と対極12とを圧着させた。
次に、対極12に予め形成されていた孔からキャリア輸送材料を注入し、その後、熱融着フィルム(デュポン社製、商品名:バイネル(登録商標))を用いて当該孔を封止した。これにより、色素が吸着された多孔性半導体層3と触媒層4との間にキャリア輸送材料が充填され、実施例1の光電変換素子が製造された。
上記キャリア輸送材料は、以下に示すようにして調製された。溶剤であるメトキシプロピオニトリルに、濃度が0.8mol/Lとなるようにメチルプロピルイミダゾールアイオダイド(四国化成工業社製、酸化還元種)を溶解させ、濃度が0.15mol/LとなるようにI2(キシダ化学社製、酸化還元種)を溶解させた。さらに、上記溶剤に、濃度が0.5mol/Lとなるようにメチルプロピルイミダゾールアイオダイドを溶解させ、濃度が0.1mol/Lとなるようにグアニジンチオシアネート(添加剤)を溶解させた。
<実施例2>
遠位層を幅7mm×長さ7mmのパターンを有するスクリーン版とスクリーン印刷機とを用いて形成して、突出幅dを1.0mmとした以外は、実施例1と同様にして、実施例2の光電変換素子を製造した。
<実施例3>
遠位層を幅8mm×長さ8mmのパターンを有するスクリーン版とスクリーン印刷機とを用いて形成して、突出幅dを1.5mmとした以外は、実施例1と同様にして、実施例3の光電変換素子を製造した。
<実施例4>
平均粒径110nmのペーストを作成して遠位層を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例4の光電変換素子を製造した。
<実施例5>
平均粒径250nmのペーストを作成して遠位層を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例5の光電変換素子を製造した。
<実施例6>
遠位層を厚さが24μmとなるように形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例6の光電変換素子を製造した。
<実施例7>
遠位層を厚さが42μmとなるように形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例7の光電変換素子を製造した。
<実施例8>
近位層と遠位層との間に中間層を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例8の光電変換素子を製造した。具体的には、幅5mm×長さ5mmのパターンを有するスクリーン版とスクリーン印刷機とを用いて、平均粒径が20nmの市販の酸化チタンペースト(Solaronix社製、商品名:T/SP)を用いて実施例1と同様にして近位層を形成した後、平均粒径20nmの酸化チタン粒子と、粒径50nmの酸化チタン粒子とからなる酸化チタンペーストを近位層上に塗布し、室温で1時間、レベリングを行なった。ここで、使用した酸化チタンペーストに含まれる酸化チタン粒子中、粒径50nmの酸化チタン粒子の割合は10重量%であった。得られた塗膜を80℃に設定したオーブンで20分間乾燥した後、500℃に設定した焼成炉を用いて空気中で60分間焼成した。これにより、厚さが5μm程度の多孔性半導体層の中間層を得た。
<実施例9>
中間層を厚さが7μmとなるように形成した以外は、実施例8と同様にして、実施例9の光電変換素子を製造した。
<実施例10>
中間層を厚さが10μmとなるように形成した以外は、実施例8と同様にして、実施例10の光電変換素子を製造した。
<実施例11>
[光電変換モジュールの作製]
先ず、表面に導電層2が形成された導電性基板11(日本板硝子社製、商品名:SnO2膜付ガラス:縦60mm×横37mm)を用意し、導電性基板11表面のSnO2膜をレーザースクライブにより縦方向に平行にスクライブライン13を形成することで、導電層2を切断した。スクライブライン13は支持基板1であるガラス基板上に合計3箇所形成した。形成されたスクライブライン13の幅は30μmである。
次に、多孔性半導体層の近位層を実施例1に準じて形成した。近位層は、ガラス基板上に、厚さ2μm、幅4mm、長さ40mmのサイズで三つ形成された。さらに、幅5mm×長さ50mmのパターンを有するスクリーン版とスクリーン印刷機とを用いて、平均粒径400nmの市販の酸化チタンペースト(日揮触媒化成社製、商品名:PST−400C)を多孔性半導体層の近位層上に塗布し、近位層と同様の操作を繰り返すことにより、厚さが10μm程度で、突出幅dが0.5mmの多孔性半導体層の遠位層を形成した。
多孔性半導体層3上に、平均粒経50nmのジルコニア粒子を含むペーストをスクリーン印刷機を用いて塗布し、その後、500℃、60分間で焼成を行ない、多孔性半導体層の表面から平坦部分までの距離(厚さ)が7μmの多孔性絶縁層9を形成した。
次に、所定のパターンが形成されたマスクおよび蒸着装置(アルバック社製、型番:ei−5)を用いて蒸着速度4Å/sで、多孔性絶縁層9上に白金を成膜して、触媒層4を得た。なお、触媒層の大きさ、形状、幅方向の位置は多孔性半導体層と同じとした。
さらに、所定のパターンが形成されたマスクおよび蒸着装置(アルバック社製、型番:ei−5)を用いて蒸着速度5Å/sで、触媒層4上に厚さ400nmのチタンを成膜して、対極導電層5を得た。
得られた積層体を実施例1で用いた色素吸着用溶液に室温で70時間浸漬し、多孔性半導体層に色素を吸着させた。
次に、積層体の間およびセルの周囲に紫外線硬化樹脂(スリーボンド社製 3035B)をディスペンサー(EFD社製 ULTRASAVER)により塗布し、カバー体として縦60mm×横30mmのガラス基板を貼り合わせた後、紫外線ランプ(EFD社製 NOVACURE)を用いて紫外線を照射することにより、感光性樹脂を硬化させて封止部7を形成した。
その後、カバー体6を構成するガラス基板にあらかじめ設けているキャリア輸送材料注入孔より、実施例1と同じキャリア輸送材料を注入し、さらに紫外線硬化樹脂を塗布し、封止材と同様に紫外線を照射することで孔を封止して、隣接する光電変換素子のうち一方の光電変換素子の対極導電層と他方の光電変換素子の導電層とが電気的に直列接続されている、光電変換モジュールを作製した。
得られた光電変換モジュールに集電電極部14としてAgペースト(藤倉化成株式会社製、商品名:ドータイト)を塗布した。
<比較例1>
遠位層を形成する際に、幅5mm×長さ5mmのパターンを有するスクリーン版とスクリーン印刷機とを用いて、突出幅dを0mmとした以外は、実施例1と同様にして、比較例1の光電変換素子を製造した。
<比較例2>
遠位層を平均粒径20nmのペーストを用いて形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例2の光電変換素子を製造した。
<比較例3>
遠位層を厚さが6μmとなるように形成した以外は、実施例1と同様にしてに、比較例3の光電変換素子を製造した。
<耐久性試験>
JIS C8938に記載の方法に準拠して、実施例1〜11および比較例1〜3で得られた光電変換素子および光電変換モジュールを、85℃の温度下で1000時間放置することで、これらに熱ストレスを与えた。そして、光電変換素子および光電変換モジュールの製造直後における光電変換効率と、熱ストレスを与えた後における光電変換効率とを測定した。
光電変換効率は、次に示す方法にしたがって測定した。実施例1〜10および比較例1〜3で得られた光電変換素子に対して、集電電極部としてAgペースト(藤倉化成株式会社製、商品名:ドータイト)を公知の方法により塗布した。次いで、実施例1〜10および比較例1〜3の光電変換素子の受光面に、開口部の面積が0.22cm2である黒色のマスクを設置した。また、実施例11の光電変換モジュールの受光面に、開口部の面積が13cm2である黒色のマスクを設置した。それぞれの光電変換素子に対して、1kW/m2の強度の光(AM1.5ソーラーシミュレータ)を照射して光電変換効率を測定した。
熱ストレス試験実施前の光電変換効率に対する熱ストレス試験実施後の光電変換効率の割合を保持率として、実施例1〜11および比較例1〜3で得られた結果を表1に示す。
Figure 2015170761
表1から明らかなように、実施例1〜11の光電変換効率の保持率は、比較例1〜3の光電変換効率の保持率より高く、本発明による効果を裏付けている。これは、本発明により、熱負荷をかけた際に生じるリーク源が、含まれる半導体微粒子の平均粒径が小さい、すなわち比表面積の大きい近位層、中間層に吸着することを低減されたためであると考えられる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 支持基板、2 導電層、3 多孔性半導体層、4 触媒層、5 対極導電層、6 カバー体、7 封止部、8 キャリア輸送層、9 多孔性絶縁層、11 導電性基板、12 対極、13 スクライブライン、14 集電電極部、d 突出幅。

Claims (5)

  1. 支持基板上に、少なくとも導電層、多孔性半導体層、触媒層、対極導電層およびこれらの空隙に充填されたキャリア輸送材料を有する光電変換素子であって、
    前記多孔性半導体層は増感色素が吸着され半導体微粒子からなる複数の層で構成され、
    前記複数の層は、少なくとも最も受光面に近い側に位置する近位層と最も受光面から遠い側に位置する遠位層とを含み、
    前記複数の層のそれぞれを構成する半導体微粒子の平均粒径は互いに異なり、
    前記遠位層を構成する半導体微粒子の平均粒径は、前記近位層を構成する半導体微粒子の平均粒径より大きく、
    前記遠位層は前記近位層の全てを覆い、前記多孔性半導体層を前記支持基板に対して水平に投影したとき、前記遠位層の端部が前記近位層の端部より外側に形成される突出幅dは0.5mm以上であることを特徴とする、光電変換素子。
  2. 前記遠位層を構成する半導体微粒子の平均粒径は100nm以上500nm以下であり、
    前記遠位層を構成する半導体微粒子の粒径の最小値は、前記多孔性半導体層中の他の層を構成する半導体微粒子の粒径の最大値よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記遠位層の厚さは10μm以上40μm以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の光電変換素子。
  4. 前記近位層と前記遠位層との間に、さらに中間層を有し、
    前記中間層は、前記支持基板に対する水平投影面積が前記近位層と等しく、粒径が50nm以上の半導体微粒子を10重量%以上50重量%以下含み、かつ、厚さが5μm以上10μm以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  5. 2つ以上の光電変換素子が直列に接続されている光電変換モジュールであって、
    前記光電変換素子の少なくとも1つが、請求項1〜4のいずれかに記載の光電変換素子であり、隣接する光電変換素子のうち一方の光電変換素子の対極導電層と他方の光電変換素子の導電層とが電気的に接続されている、光電変換モジュール。
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