JP2015178237A - 積層無機基板、積層体、積層体の製造方法、およびフレキシブル電子デバイスの製造方法 - Google Patents

積層無機基板、積層体、積層体の製造方法、およびフレキシブル電子デバイスの製造方法 Download PDF

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直樹 渡辺
奥山 哲雄
Tetsuo Okuyama
哲雄 奥山
健一 船城
Kenichi Funashiro
健一 船城
一成 小林
Kazunari Kobayashi
一成 小林
郷司 前田
Satoshi Maeda
郷司 前田
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Abstract

【課題】シランカップリング剤層を介して無機基板に積層されたポリイミドフィルムなどの高分子フィルム上にデバイスを形成させた後、剥離することで得られるフレキシブル電子デバイスを収率良く作製するため、品位良好な無機基板や積層体およびそれらの製造方法を提供する。【解決手段】ガラスなどの無機基板に気相を介してシランカップリング剤層を形成し、ついで活性化処理を行った高分子フィルムと重ね、加圧することにより、高分子フィルム/無機基板間に異物が少ない積層体を得る。得られる積層体には収率良く電子デバイスが形成可能であり、無機基板から剥離することでフレキシブル電子デバイスを製作することができる。【選択図】なし

Description

本発明は、フレキシブルな高分子フィルムをリジッドな仮支持用無機基板に仮固定し積層体として、次いで高分子フィルム上に各種電子デバイスを形成した後に、高分子フィルムを電子デバイス部ごと剥離して、フレキシブル電子デバイスを得る製造技術、及び該無機基板や該積層体に関する。
情報通信機器(放送機器、移動体無線、携帯通信機器等)、レーダー、高速情報処理装置等における電子部品として、半導体素子、MEMS素子、ディスプレイ素子などの機能素子(デバイス)が用いられるが、これらは従来、ガラス、シリコンウエハ、セラミック基材等の無機基板上にて形成ないし搭載されるのが一般的であった。しかし、近年、電子部品の軽量化、小型・薄型化、フレキシビリティ化が求められるなか、高分子フィルム上に各種機能素子を形成する試みがなされている。
各種機能素子を高分子フィルム表面に形成するにあたっては、高分子フィルムの特性であるフレキシビリティを利用した、いわゆるロール・トゥ・ロールプロセスにて加工することが理想とされる。しかしながら、半導体産業、MEMS産業、ディスプレイ産業等の業界においては、これまでウエハベースまたはガラス基板ベース等のリジッドな平面基板を対象としたプロセス技術が主流であった。そこで、既存インフラを利用して各種機能素子を高分子フィルム表面に形成するために、高分子フィルムを無機物(ガラス板、セラミック板、シリコンウエハ、金属板など)からなるリジッドな支持体に貼り合わせておき、所望の素子を形成した後に支持体から剥離するというプロセスが考案された。
一般に機能素子を形成する工程においては、比較的高温が用いられることが多い。例えば、ポリシリコンや酸化物半導体などの機能素子の形成においては200〜500℃程度の温度域が用いられる。低温ポリシリコン薄膜トランジスタの作製においては脱水素化のために450℃程度の加熱が必要になる場合がある。水素化アモルファスシリコン薄膜の作製においても200〜300℃程度の温度域が必要になる。ここに例示した温度域は、無機材料にとってはさほど高い温度ではないが、高分子フィルムや、一般に高分子フィルムの貼り合わせに利用される接着剤にとっては、相当に高い温度であると云わざるを得ない。先に述べた高分子フィルムを無機基板に貼り合わせ、機能素子形成後に剥離するという手法に於いて、用いられる高分子フィルムや貼り合わせに用いられる接着剤、粘着剤にも十分な耐熱性が求められる所以であるが、現実問題としてかかる高温域にて実用に耐える高分子フィルムは限られており、また、従来の貼り合わせ用接着剤、粘着剤に至っては十分な耐熱性を有したものがないのが現状であった。
高分子フィルムを無機基板に仮貼り付けする耐熱接着手段が得られないため、かかる用途においては、無機基板上に高分子フィルムの溶液、ないし前駆体溶液を塗布して無機基板上で乾燥・硬化させてフィルム化して当該用途に使用する技術が知られている。しかしながら、かかる手段により得られる高分子膜は、脆く裂けやすいため、無機基板から剥離する際に機能素子を破壊してしまう場合が多い。特に大面積のデバイスを剥離することは極めて難度が高く、およそ工業的に成り立つ歩留まりを得ることはできない。
本発明者らは、このような事情に鑑み、機能素子を形成するための高分子フィルムと支持体との積層体として、耐熱性に優れ強靭で薄膜化が可能なポリイミドフィルムを、カップリング剤を介して無機物からなる支持体(無機層)に貼り合わせてなる積層体を提案した(特許文献1〜3)。
特開2010−283262号公報 特開2011−11455号公報 特開2011−245675号公報
上述した特許文献1〜3に記載の積層体によれば、いわゆる接着剤、粘着剤的な要素を用いることなく、高分子フィルムと無機基板との貼り合わせが可能となり、さらにその積層体は薄膜デバイスを製作するに必要な高温に暴露されても、高分子フィルムの剥離は生じない。従って当該積層体を、従来のガラス板やシリコンウエハなどの無機物の基板上に直接電子デバイスを形成するプロセスに、供することにより、高分子フィルム上に電子デバイスを製作することが可能であり、高分子フィルムを無機基板から剥離することによりフレキシブルな電子デバイスの実現が可能となった。
しかしながら、かかる技術は、以下に示すような工業生産上の課題が残るものであった。特に高精細な電子デバイスの製作を行う場合には、収率が課題となる。高分子フィルムと無機基板間に異物が混入した場合、異物上、およびその周辺においては、異物を支柱と見立てたテント状の構造が生じる。これは高分子フィルムと無機基板の間に空隙を生じ、部分的に接着していない箇所を生じさせることになる。かかる空隙に閉じこめられた気体は、加熱環境下や減圧環境下において膨らもうとするため、膨れ欠陥(ブリスタートも云う)の原因となる。また、空隙部分は接着していない訳であるから、巨視的に接着強度を捉えた場合には、接着強度の変動が大となる。異物が存在する近傍は、高分子フィルム自体が盛り上がった状態となり、特にフォトリソグラフを用いるパターン形成や、マイクロコンタクト印刷のような高精細なパターン形成の際に、阻害要因となり、良好な電子デバイス形成が行えない場合が生じる。
かかる異物は、無機基板表面と高分子フィルム表面の清浄化と、作業環境のクリーン化により減ずることが可能である。しかしながら、かかる技術の本質的な問題点として、シランカップリング剤そのものに起因する異物の発生がある。例示されている従来技術においては、シランカップリング剤の溶剤溶液を無機基板に液状直接塗布する例が記載されている。シランカップリング剤は取り扱い環境に存在する水分などの影響を受けて、凝集体を作りやすく、例示された直接塗布方法では、溶液中などで意図せずに生成したシランカップリング剤の凝集体も塗布されてしまい、その結果、無機基板上に、シランカップリング剤と共に、その凝集体が異物として散布されたような状態となることを本願発明者らは見出した。かかる異物による悪影響は先に述べたとおりである。
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、シランカップリング剤の塗布方法を根本的に改めることにより、シランカップリング剤の凝集体が無機基板に付着することを防止し、品位に優れ、高分子フィルム/無機基板間の接着力が均質化された積層体を供給し、工業生産上の課題を解決するものである。
さらに本発明に寄れば、高分子フィルム剥離後の無機基板表面の粗度が小さく、簡単な洗浄操作後にてシランカップリング剤を再塗布して基板として活用することが可能となり、無機基板のリサイクル性が格段に向上する。
加えて本発明によれば工業生産上の課題となる大面積化に対し、高分子フィルム/無機基板間の接着力の均一性を保ったまま対応可能であり、生産性向上へ寄与することができる。
本発明者らは前記課題を解決するために鋭意検討した結果、無機基板へのシランカップリング剤塗布を気相にて行うことにより、高分子フィルムと無機基板との間に異物の介在しない良好な積層体を提供し、結果として収率良く高精細なフレキシブル電子デバイスの製作が可能となり、なおかつ無機基板のリサイクル性が改善されることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は以下の構成からなる。
1.シランカップリング剤層を少なくとも片側の面に形成させたシランカップリング剤層積層無機基板であって、該シランカップリング剤層の厚みが5nm以上、50nm以下、且つ3次元表面粗さ(Sa)が2nm以下であることを特徴とするシランカップリング剤層積層無機基板。
2.前記シランカップリング剤層が所定のパターンを形成している事を特徴とする1.に記載のシランカップリング剤層積層無機基板。
3.長径10μm以上の珪素を含む異物の個数が2000個/m以下である事を特徴とする1.又は2.に記載のシランカップリング剤層積層無機基板。
4.前記無機基板が面積1000cm以上のガラスであることを特徴とする1.〜3.のいずれかに記載のシランカップリング剤層積層無機基板。
5.気化させたシランカップリング剤に無機基板を暴露させることにより、シランカップリング剤層を形成することを特徴とする1.〜4.のいずれかに記載のシランカップリング剤層積層無機基板の製造方法
6.バブリング方式により気化させたシランカップリング剤を用いることを特徴とする5.に記載のシランカップリング剤層積層無機基板の製造方法。
7.バブリング方式によりシランカップリング剤を気化させる際に、露点0℃以下の乾燥気体をキャリアガスとして使用することを特徴とする6.に記載のシランカップリング剤層積層無機基板の製造方法。
8.気化させたシランカップリング剤に無機基板を暴露させる際に、露点5℃以上の気体を共存させる事を特徴とする5.〜7.のいずれかに記載のシランカップリング剤層積層無機基板の製造方法。
9.シランカップリング剤層を形成する際に、無機基板の一部をマスキングすることによって、パターンを形成することを特徴とする2.〜4.のいずれかに記載のシランカップリング剤層積層無機基板の製造方法。
10.シランカップリング剤層の形成後に、シランカップリング剤層の一部に活性エネルギー線を照射する事により、所定のパターンを形成することを特徴とする2.〜4.のいずれかに記載のシランカップリング剤層積層無機基板の製造方法。
11.高分子フィルムと1.〜4.のいずれかに記載のシランカップリング剤層積層無機基板とが接合された積層体であって、該高分子フィルムと該無機基板の接着強度が0.2N/cm以上、15N/cm以下である事を特徴とする積層体。
12.高分子フィルムと1.〜4.のいずれかに記載のシランカップリング剤層積層無機基板とが接合された積層体であって、該高分子フィルムと該無機基板との間の接着強度が異なる良好接着部分と易剥離部分とを有しており、該良好接着部分の剥離強度が0.2N/cm以上、15N/cm以下、易剥離部分の剥離強度が0.2N/cm未満である事を特徴とする積層体。
13.下記(1)〜(3)の工程を有することを特徴とする、積層体の製造方法。
(1) 気化したシランカップリング剤に無機基板を暴露させることにより、無機基板上に、シランカップリング剤層を形成する工程
(2)該シランカップリング剤層に、表面活性化処理を行った高分子フィルムを重ねる工程
(3)加圧・加熱することにより両者を接着する工程
14.11.に記載の積層体を用い、該積層体の高分子フィルム上に電子デバイスを形成し、次いで、該高分子フィルムを該電子デバイスごと無機基板から剥離する事を特徴とするフレキシブル電子デバイスの製造方法。
14.12.に記載の積層体を用い、該積層体の高分子フィルムの、前記易剥離部分に相当する部分の上に電子デバイスを形成し、次いで、該積層体の該易剥離部分の外周に沿って、該高分子フィルムに切り込みを入れ、該高分子フィルムを電子デバイスごと無機基板から剥離する事を特徴とするフレキシブル電子デバイスの製造方法。
本発明に寄れば、高分子フィルムと無機基板との間に異物の介在しない良好な積層体を得ることができ、結果として高分子フィルムと無機基板との接着強度が均質化される。
さらに、本発明によれば、シランカップリング剤層を、同シランカップリング剤の形成時に所定のパターンにて積層無機基板の一部をマスキングすること、ないし、シランカップリング剤層を形成後に、シランカップリング剤層の一部に所定のパターンに沿って活性エネルギー線照射を行い、意図的に接着力の有/無、ないし強/弱を得て、電子デバイスを形成する際に、デバイス形成プロセス時に高分子フィルムの剥離を生じさせないだけの十分な接着力有する良好接着部分と、比較的容易に高分子フィルムを剥離することが出来る易剥離部分とを所望のパターンで作り分けることができ、該易剥離部分周辺に沿って切り込みを入れて、当該エリア形成された機能素子部分を剥離することが可能となる。
なおさらには、本発明における高分子フィルム剥離後の無機基板表面は、高い平滑性を有し、比較的簡単な洗浄操作により、再びシランカップリング層を形成して、積層体の材料として用いることができるという効果も有する。
より好適には本発明において、高耐熱性を有する高分子フィルムを用いれば、耐熱性に劣る接着剤や粘着剤を用いることなく貼り合わせが可能であり、機能素子形成の際に180℃以上、好ましくは230℃以上、さらに好ましくは260℃以上の高温を用いて素子形成が可能となる。一般に半導体、誘電体等は、高温で形成した方が膜質の良い薄膜が得られるため、より高性能な機能素子形成が期待できる。本発明によれば、誘電体素子、半導体素子、MEMS素子、ディスプレイ素子、発光素子、光電変換素子、圧電変換素子、熱電変換素子等のデバイスをフィルム基材上に形成したフレキシブル電子デバイスの製造に有用である。
<無機基板>
本発明においては高分子フィルムの支持体として無機基板を用いる。無機基板とは無機物からなる基板として用いることのできる板状のものであればよく、例えば、ガラス板、セラミック板、半導体ウエハ、金属等を主体としているもの、および、これらガラス板、セラミック板、シリコンウエハ、金属の複合体として、これらを積層したもの、これらが分散されているもの、これらの繊維が含有されているものなどが挙げられる。
前記ガラス板としては、石英ガラス、高ケイ酸ガラス(96%シリカ)、ソーダ石灰ガラス、鉛ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス(パイレックス(登録商標))、ホウケイ酸ガラス(無アルカリ)、ホウケイ酸ガラス(マイクロシート)、アルミノケイ酸塩ガラス等が含まれる。これらの中でも、線膨張係数が5ppm/K以下のものが望ましく、市販品であれば、液晶用ガラスであるコーニング社製の「コーニング(登録商標)7059」や「コーニング(登録商標)1737」、「EAGLE」、旭硝子社製の「AN100」、日本電気硝子社製の「OA10」、SCHOTT社製の「AF32」などが望ましい。
前記セラミック板としては、Al2O3、Mullite、AlN、SiC、Si3N4、BN、結晶化ガラス、Cordierite、Spodumene、Pb−BSG+CaZrO3+Al2O3、Crystallized glass+Al2O3、Crystallized Ca−BSG、BSG+Quartz、BSG+Quartz、BSG+Al2O3、Pb+BSG+Al2O3、Glass−ceramic、ゼロデュア材などの基板用セラミックス、TiO2、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、アルミナ、MgO、ステアタイト、BaTi4O9、BaTiO3、BaTi4+CaZrO3、BaSrCaZrTiO3、Ba(TiZr)O3、PMN−PTやPFN−PFWなどのキャパシタ材料、PbNb2O6、Pb0.5Be0.5Nb2O6、PbTiO3、BaTiO3、PZT、0.855PZT−95PT−0.5BT、0.873PZT−0.97PT−0.3BT、PLZTなどの圧電材料が含まれる。
前記半導体ウエハとしては、シリコンウエハ、半導体ウエハ、化合物半導体ウエハ等を用いることができ、シリコンウエハとしては単結晶ないし多結晶のシリコンを薄板上に加工した物であり、n型或はp型にドーピングされたシリコンウエハ、イントリンシックシリコンウエハ等の全てが含まれ、また、シリコンウエハの表面に酸化シリコン層や各種薄膜が堆積されたシリコンウエハも含まれ、シリコンウエハ以外にも、ゲルマニウム、シリコン−ゲルマニウム、ガリウム−ヒ素、アルミニウム−ガリウム−インジウム、窒素−リン−ヒ素−アンチモン、SiC、InP(インジウム燐)、InGaAs、GaInNAs、LT、LN、ZnO(酸化亜鉛)やCdTe(カドミウムテルル)、ZnSe(セレン化亜鉛) などの半導体ウエハ、化合物半導体ウエハなどを用いることが出来る。
前記金属としては、W、Mo、Pt、Fe、Ni、Auといった単一元素金属、インコネル、モネル、ニモニック、炭素銅、Fe−Ni系インバー合金、スーパーインバー合金、といった合金等が含まれる。また、これら金属に、他の金属層、セラミック層を付加してなる多層金属板も含まれる。この場合、付加層との全体のCTEが低ければ、主金属層にCu、Alなども用いられる。付加金属層として使用される金属としては、ポリイミドフィルムとの密着性を強固にするもの、拡散がないこと、耐薬品性や耐熱性が良いこと等の特性を有するものであれば限定されるものではないが、クロム、ニッケル、TiN、Mo含有Cuが好適な例として挙げられる。
前記無機基板の平面部分は、充分に平坦である事が望ましい。具体的には、表面粗さのP−V値が50nm以下、より好ましくは20nm以下、さらに好ましくは5nm以下である。これより粗いと、高分子フィルムと無機基板との接着強度が不充分となる場合がある。
前記無機基板の厚さは特に制限されないが、取り扱い性の観点より10mm以下の厚さが好ましく、3mm以下がなお好ましく、1.3mm以下がなお好ましい。厚さの下限については特に制限されないが、0.07mm以上、好ましくは0.15mm以上、なお好ましくは0.3mm以上が好ましく用いられる。
前記無機基板の面積は、積層体やフレキシブル電子デバイスの生産効率・コストの観点より、大面積であることが好ましい。1000cm以上であることが好ましく、1500cmであることがより好ましく、2000cmであることがさらに好ましい。
<シランカップリング剤>
本発明におけるシランカップリング剤は、仮支持体と高分子フィルムとの間に物理的ないし化学的に介在し、両者間の接着力を高める作用を有する化合物を云う。
シランカップリング剤の好ましい具体例としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、トリス−(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、クロロメチルフェネチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェネチルトリメトキシシラン、アミノフェニルアミノメチルフェネチルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザンなどが挙げられる。
本発明で用いることのできるシランカップリング剤としては、上記のほかにn−プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリクロロシラン、2−シアノエチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、デシルトリクロロシラン、ジアセトキシジメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジメトキシジメチルシラン、ジメトキシジフェニルシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、ドデシルリクロロシラン、ドデシルトリメトキシラン、エチルトリクロロシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリクロロシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、トリエトキシエチルシラン、トリエトキシメチルシラン、トリメトキシメチルシラン、トリメトキシフェニルシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ペンチルトリクロロシラン、トリアセトキシメチルシラン、トリクロロヘキシルシラン、トリクロロメチルシラン、トリクロロオクタデシルシラン、トリクロロプロピルシラン、トリクロロテトラデシルシラン、トリメトキシプロピルシラン、アリルトリクロロシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、トリクロロビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、トリクロロ−2−シアノエチルシラン、ジエトキシ(3−グリシジルオキシプロピル)メチルシラン、3−グリシジルオキシプロピル(ジメトキシ)メチルシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、などを使用することもできる。
かかるシランカップリング剤の中で、本発明にて好ましく用いられるシランカップリング剤はカップリング剤の、一分子あたりに一個の珪素原子を有する化学構造のシランカップリング剤が好ましい。
本発明では、特に好ましいシランカップリング剤としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェネチルトリメトキシシラン、アミノフェニルアミノメチルフェネチルトリメトキシシランなどが挙げられる。プロセスで特に高い耐熱性が要求される場合、Siとアミノ基の間を芳香族基でつないだものが望ましい。
なお本発明では必要に応じて、リン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤等を併用しても良い。
<シランカップリング剤の塗布方法>
従来の技術では、シランカップリング剤の塗布は、シランカップリング剤をアルコールなどの溶媒で希釈した溶液状態で行われる。しかしながら、本発明ではこのシランカップリング剤塗布工程を気相で行うことに特徴がある。すなわち本発明では、無機基板をシランカップリング剤の蒸気、すなわち実質的に気体状態のシランカップリング剤に暴露することにより塗布を行う。本発明においては、気体状態でシランカップリング剤を無機基板に塗布することにより、溶液状態で塗布する場合に比べてシランカップリング剤に由来する珪素を含む異物に数を大幅に低減できる。シランカップリング剤の蒸気はバブリング方式、ベーキング方式などにより得ることができるが、200℃以上の加熱を伴う場合は、シランカップリング剤の副反応を招く恐れがあるため、200℃未満での使用が好ましい。より好ましくは100℃以下、更に好ましくは40℃以下においてバブリング方式でシランカップリング剤蒸気を得ることが好ましい。
またバブリング方式でシランカップリング剤蒸気を得る際に用いるキャリアガスは、露点0℃以下の乾燥気体を使用することが好ましい。より好ましくは露点-30℃以下、更に好ましくは露点-50℃以下の乾燥気体の使用が好ましい。キャリアガスへの水分混入はシランカップリング剤の副反応を招き、安定したシランカップリング剤蒸気の供給の妨げとなると共に、装置内へのシランカップリング剤由来の異物発生原因ともなる。
更に多くのシランカップリング剤は可燃性液体であるため、特に熱源を使用する場合などはキャリアガスに不活性気体を用いる事が好ましい。
バブリング方式で得たシランカップリング剤蒸気を無機基板が設置された装置内に導入することにより無機基板上にシランカップリング剤層を形成させる際、暴露させる時間は特に制限されないが、1時間以内、好ましくは20分以内、さらに好ましくは5分以内、なおさらに好ましくは1分以内である。
また無機基板上にシランカップリング剤層を形成させる際、水分を含む気体を共存させることが処理時間短縮につながるため好ましい。水分を含む気体はシランカップリング剤蒸気とは別経路で導入することが好ましく、導入順序は特に制限はないが、シランカップリング剤蒸気と同時もしくは後に導入することが好ましい。また水分を含む気体の露点は5℃以上が好ましく、さらに好ましくは8℃以上、なおさらに好ましくは12℃以上である。
無機基板上にシランカップリング剤層を形成させる間の無機基板温度は、シランカップリング剤の種類と、求めるシランカップリング剤層の厚さにより−50℃から200℃の間の適正な温度に制御することが好ましい。但し作業効率の点からはシランカップリング剤蒸気を発生させた温度より低い温度に設定することが好ましい。好ましくは5℃以上、更に好ましくは10℃以上低い温度に設定することが好ましい。
シランカップリング剤層を形成させたシランカップリング剤層無機基板は、好ましくは、暴露後に、70℃〜200℃、さらに好ましくは75℃〜150℃に加熱される。かかる加熱によって、シランカップリング剤層無機基板表面の水酸基などと、シランカップリング剤のアルコキシ基やシラザン基が反応し、シランカップリング剤処理が完了する。加熱に要する時間は10秒以上10分程度以内である。温度が高すぎたり、時間が長すぎる場合にはカップリング剤の劣化が生じる場合がある。また短すぎると処理効果が得られない。なお、シランカップリング剤に暴露中の基板温度が既に80℃以上である場合には、事後の加熱を省略することも出来る。
本発明では、無機基板のシランカップリング剤塗布面を下向きに保持してシランカップリング剤蒸気に暴露することが好ましい。シランカップリング剤の溶液を塗布する従来法では、必然的に塗布中および塗布前後に無機基板の塗布面が上を向くため、作業環境下の浮遊異物などが無機基板表面に沈着する可能性を否定できない。しかしながら本発明では無機基板を下向きに保持することが出来るため。環境中の異物付着を大幅に減ずることが可能となる。
なおシランカップリング剤処理前の無機基板表面を短波長UV/オゾン照射などの手段により清浄化すること、ないしは液体洗浄剤で清浄化すること等は、好ましい操作である。
シランカップリング剤層積層無機基板の表面に存在する長径10μm以上の珪素含有異物数は2000個/m以下、好ましくは1000個/m以下、更には500個/m以下とすることが、本発明の積層体を用いて電子デバイスなどを製造するのに好ましい形態である。また前記操作を組み合わせる事により珪素含有異物数は達成可能である。
シランカップリング剤の塗布量、厚さについては理論上は1分子層あれば事足り、機械設計的には無視できるレベルの厚さで十分である。但し5nm未満の領域になるとシランカップリング剤が均一な塗膜としてではなく、クラスター状に存在する場合があり、安定生産を考慮すると5nm以上の厚みであることが好ましい。また作業効率や無機基板のリサイクル性、後述のパターン化を考慮するとシランカップリング剤層は厚すぎないことが重要であり、50nm以下とすることが好ましい。更には30nm以下とすることがより好ましい。
尚、シランカップリング剤層の膜厚は、X線反射率法などで求めることができる。
更にシランカップリング剤層の表面が平滑でなければ貼り合せに対して十分な接着性を実現することが出来ない場合があるため、蒸着時のシランカップリング剤量、処理時間、基板温度を制御する事で3次元表面粗さを2nm以下、好ましくは1nm以下にすることが好ましい。
<無機基板側のパターン化処理>
本発明においては無機基板側にパターン化処理を行うことができる。ここにパターン化とは、意図的にシランカップリング剤の塗布量ないし活性度等を操作した領域を作ることを云う。これにより、積層体において無機基板と高分子フィルムとの間の接着強度が異なる良好接着部分と易剥離部分を有し、該良好接着部分と該易剥離部分とが所定のパターンを形成することができる。パターン化処理として、シランカップリング剤塗布を行う際に、あらかじめ所定のパターンで準備されたマスクを用いて、シランカップリング剤の塗布量を操作する方法を例示できる。またシランカップリング剤の塗布面に活性エネルギー線照射を行い、その際に、マスキングないしスキャン操作などの手法を併用することによりパターン化することも可能である。ここに活性エネルギー線照射とは、紫外線、電子線、X線等のエネルギー線を照射する操作、さらには極短波長の紫外線照射処理のように紫外線照射光効果と同時に照射面近傍で発生するオゾンガスガス暴露の効果を併せ持つものを含める。さらにこれらの他に、コロナ処理、真空プラズマ処理、常圧プラズマ処理、サンドブラスと処理等によってパターン化処理を行うことも可能である。
<高分子フィルム>
本発明における高分子フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、全芳香族ポリエステル、その他の共重合ポリエステル、ポリメチルメタクリレート、その他の共重合アクリレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、芳香族ポリイミド、脂環族ポリイミド、フッ素化ポリイミド、酢酸セルロース、硝酸セルロース、芳香族ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリフェノール、ポリアリレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリスチレン等のフィルムを用いることが出来る。本発明において特に効果が顕著・有用であるものは耐熱性が100℃以上の高分子、所謂エンジニアリングプラスチックのフィルムである。ここに耐熱性とはガラス転移温度ないしは熱変形温度を云う。
本発明の高分子フィルムは前記高分子材料の内、熱可塑性の高分子材料については、溶融延伸法によりフィルムを得ることが出来る。また、非熱可塑性の高分子については主に溶液製膜法が用いられる。また本発明の特殊な例として、無機基板上に高分子材料そのもの、ないしは前駆体の溶液を塗布乾燥してフィルム化する手法を用いることができる。
本発明の高分子フィルムの厚さは3μm以上が好ましく、11μm以上がなお好ましく、さらには24μm以上が好ましく、なおさらには45μm以上が好ましい。高分子フィルムの厚さの上限は特に制限されないが、フレキシブル電子デバイスとしての要求より250μm以下であることが好ましく、さらに150μm以下、なおさらには90μm以下が好ましい。
本発明で特に好ましく用いられる高分子フィルムはポリイミドフィルムであり、芳香族ポリイミド、脂環族ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミドなどを用いることが出来る。本発明を特にフレキシブルディスプレイ素子製造に用いる場合には、無色透明性を有するポリイミド系樹脂フィルムを用いることが好ましいが、反射型、ないし自発光型のディスプレイの背面素子を形成する場合においては、特にこの限りではない。
一般にポリイミドフィルムは、溶媒中でジアミン類とテトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリアミド酸(ポリイミド前駆体)溶液を、支持体に塗布、乾燥してグリーンフィルム(「前駆体フィルム」または「ポリアミド酸フィルム」ともいう)となし、更に支持体上で、あるいは該支持体から剥がした状態でグリーンフィルムを高温熱処理して脱水閉環反応を行わせることによって得られる。
ポリアミド酸を構成するジアミン類としては、特に制限はなく、ポリイミド合成に通常用いられる芳香族ジアミン類、脂肪族ジアミン類、脂環式ジアミン類等を用いることができる。耐熱性の観点からは、芳香族ジアミン類が好ましく、芳香族ジアミン類の中では、ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類がより好ましい。ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類を用いると、高い耐熱性とともに、高弾性率、低熱収縮性、低線膨張係数を発現させることが可能になる。ジアミン類は、単独で用いてもよいし二種以上を併用してもよい。
ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類としては、特に限定はなく、例えば、5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、6−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、5−アミノ−2−(m−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、6−アミノ−2−(m−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2,2’−p−フェニレンビス(5−アミノベンゾオキサゾール)、2,2’−p−フェニレンビス(6−アミノベンゾオキサゾール)、1−(5−アミノベンゾオキサゾロ)−4−(6−アミノベンゾオキサゾロ)ベンゼン、2,6−(4,4’−ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2−d:5,4−d’]ビスオキサゾール、2,6−(4,4’−ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2−d:4,5−d’]ビスオキサゾール、2,6−(3,4’−ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2−d:5,4−d’]ビスオキサゾール、2,6−(3,4’−ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2−d:4,5−d’]ビスオキサゾール、2,6−(3,3’−ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2−d:5,4−d’]ビスオキサゾール、2,6−(3,3’−ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2−d:4,5−d’]ビスオキサゾール等が挙げられる。
上述したベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類以外の芳香族ジアミン類としては、例えば、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、1,4−ビス[2−(4−アミノフェニル)−2−プロピル]ベンゼン(ビスアニリン)、1,4−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)ベンゼン、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス[(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−トリフルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−フルオロフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−メチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−シアノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−ビフェノキシベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、2,6−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾニトリル、および上記芳香族ジアミンの芳香環上の水素原子の一部もしくは全てが、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基またはアルコキシル基、シアノ基、またはアルキル基またはアルコキシル基の水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換された炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基またはアルコキシル基で置換された芳香族ジアミン等が挙げられる。
前記脂肪族ジアミン類としては、例えば、1,2−ジアミノエタン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,8−ジアミノオクタン等が挙げられる。
前記脂環式ジアミン類としては、例えば、1,3-ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキサン、4,4‘−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4‘−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)、4,4‘−メチレンビス(2,6−ジメチルシクロヘキシルアミン)、4,4‘−ジアミノジシクロヘキシルプロパン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジアミン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,5−ジアミン、ビシクロ[2.2.1] ヘプタン−2,6−ジアミン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,7−ジアミン、2,3−ビス(アミノメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ビス(アミノメチル)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ビス(アミノメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、3(4),8(9)-ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカン等が挙げられる。
芳香族ジアミン類以外のジアミン(脂肪族ジアミン類および脂環式ジアミン類)の合計量は、全ジアミン類の20質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。換言すれば、芳香族ジアミン類は全ジアミン類の80質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
ポリアミド酸を構成するテトラカルボン酸類としては、ポリイミド合成に通常用いられる芳香族テトラカルボン酸類(その酸無水物を含む)、脂肪族テトラカルボン酸類(その酸無水物を含む)、脂環族テトラカルボン酸類(その酸無水物を含む)を用いることができる。中でも、芳香族テトラカルボン酸無水物類、脂環族テトラカルボン酸無水物類が好ましく、耐熱性の観点からは芳香族テトラカルボン酸無水物類がより好ましく、光透過性の観点からは脂環族テトラカルボン酸類がより好ましい。これらが酸無水物である場合、分子内に無水物構造は1個であってもよいし2個であってもよいが、好ましくは2個の無水物構造を有するもの(二無水物)がよい。テトラカルボン酸類は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
脂環族テトラカルボン酸類としては、例えば1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]オクタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸無水物などが例示されるが、特に好ましいのは1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物である。脂環族テトラカルボン酸類は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。一方、ビシクロ[2,2,2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物などの不飽和結合を含むものは加熱処理時に着色し、フィルムの光学特性を低下させる傾向があるため好ましくない。尚、脂環族テトラカルボン酸類は、透明性を重視する場合には、例えば、全テトラカルボン酸類の80質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
芳香族テトラカルボン酸類としては、特に限定されないが、ピロメリット酸残基(すなわちピロメリット酸由来の構造を有するもの)であることが好ましく、その酸無水物であることがより好ましい。このような芳香族テトラカルボン酸類としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン酸無水物等が挙げられる。
芳香族テトラカルボン酸類は、耐熱性を重視する場合には、例えば、全テトラカルボン酸類の80質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
本発明のポリイミドフィルムは、ガラス転移温度が250℃以上、好ましくは300℃以上、さらに好ましくは350℃以上であり、あるいは500℃以下の領域においてガラス転移点が観測されないことが好ましい。本発明におけるガラス転移温度は、示差熱分析(DSC)により求めるものである。
本発明の高分子フィルムの線膨張係数(CTE)は、好ましくは、−5ppm/K〜+20ppm/Kであり、より好ましくは−5ppm/K〜+15ppm/Kであり、さらに好ましくは1ppm/K〜+10ppm/Kである。CTEが前記範囲であると、一般的な支持体との線膨張係数の差を小さく保つことができ、熱を加えるプロセスに供してもポリイミドフィルムと無機物からなる支持体とが剥がれることを回避できる。
本発明における高分子フィルムの破断強度は、60MPa以上、好ましくは120MP以上、さらに好ましくは240MPa以上である。破断強度の上限に制限は無いが、事実上1000MPa程度未満である。なお、ここで前記高分子フィルムの破断強度とは、高分子フィルムのタテ方向とヨコ方向の平均値をさす。
本発明における良好接着部分とは、無機基板とポリイミドフィルムの接着強度が強い部分を指し、本発明における易剥離部分とは、無機基板とポリイミドフィルムの接着強度が弱い部分を指す。前記易剥離部分の接着強度は、良好接着部分の接着強度の1/2以下であることが好ましく、より好ましくは、1/3以下、さらに好ましくは1/4以下である。接着強度の下限値は特に制限されないが、前記良好接着部分においては0.5N/cm以上、前記易剥離部分においては0.01N/cm以上であることが好ましい。
本発明における高分子フィルムの厚さ斑は、20%以下であることが好ましく、より好ましくは12%以下、さらに好ましくは7%以下、特に好ましくは4%以下である。厚さ斑が20%を超えると、狭小部へ適用し難くなる傾向がある。なお、フィルムの厚さ斑は、例えば接触式の膜厚計にて被測定フィルムから無作為に10点程度の位置を抽出してフィルム厚を測定し、下記式に基づき求めることができる。
フィルムの厚さ斑(%)
=100×(最大フィルム厚−最小フィルム厚)÷平均フィルム厚
本発明における高分子フィルムは、その製造時において幅が300mm以上、長さが10m以上の長尺ポリイミドフィルムとして巻き取られた形態で得られるものが好ましく、巻取りコアに巻き取られたロール状ポリイミドフィルムの形態のものがより好ましい。
高分子フィルムにおいては、ハンドリング性および生産性を確保する為、フィルム中に滑材(粒子)を添加・含有させて、高分子ドフィルム表面に微細な凹凸を付与して滑り性を確保することが好ましい。前記滑材(粒子)とは、好ましくは無機物からなる微粒子であり、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属炭素化物、金属酸塩、リン酸塩、炭酸塩、タルク、マイカ、クレイ、その他粘土鉱物、等からなる粒子を用いることができる。好ましくは、酸化珪素、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、ピロリン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、炭酸カルシウム、ガラスフィラーなどの金属酸化物、リン酸塩、炭酸塩を用いることができる。滑材は1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
前記滑材(粒子)の体積平均粒子径は、通常0.001〜10μmであり、好ましくは0.03〜2.5μm、より好ましくは0.05〜0.7μm、さらに好ましくは0.05〜0.3μmである。かかる体積平均粒子径は光散乱法で得られる測定値を基準とする。粒子径が下限より小さいと高分子フィルムの工業的生産が困難となり、また上限を超えると表面の凹凸が大きくなりすぎて貼り付け強度が弱くなり、実用上の支障が出る虞がある。
前記滑材の添加量は、高分子フィルム中の高分子成分に対する添加量として、0.02〜50質量%であり、好ましくは0.04〜3質量%、より好ましくは0.08〜1.2質量%である。滑材の添加量が少なすぎると滑材添加の効果が期待し難く、滑り性の確保がそれほどなく高分子フィルム製造に支障をきたす場合があり、多すぎると、フィルムの表面凹凸が大きくなり過ぎて、滑り性の確保が見られても平滑性の低下を招いたり、高分子フィルムの破断強度や破断伸度の低下を招いたり、CTEの上昇を招くなどの課題を招く場合がある。
高分子フィルムに滑材(粒子)を添加・含有させる場合、滑材が均一に分散した単層の高分子フィルムとしてもよいが、例えば、一方の面が滑材を含有させた高分子フィルムで構成され、他方の面が滑材を含有しないか含有していても滑材含有量が少量である高分子フィルムで構成された多層の高分子フィルムとしてもよい。このような多層高分子のフィルムにおいては、一方の層(フィルム)表面に微細な凹凸が付与されて該層(フィルム)で滑り性を確保することができ、良好なハンドリング性や生産性を確保できる。
多層高分子フィルムは、溶融延伸製膜法に製造されるフィルムの場合、例えばまず、滑剤含有しない高分子フィルム原料を用いてフィルム化を行い、その工程途上に置いて少なくともフィルムの片面に、滑剤を含有する樹脂層を塗布することにより得ることが出来る。もちろん、この逆で、滑剤を含有する高分子フィルム原料を用いてフィルム化を行い、その工程途上、ないし、フィルム化が完了した後に、滑剤を含有しない高分子フィルム原料を塗布してフィルムを得ることも出来る。
ポリイミドフィルムのような溶液製膜法を用いて得られる高分子フィルムの場合にも同様で、例えば、ポリアミド酸溶液(ポリイミドの前駆体溶液)として、滑材(好ましくは平均粒子径0.05〜2.5μm程度)をポリアミド酸溶液中のポリマー固形分に対して0.02質量%〜50質量%(好ましくは0.04〜3質量%、より好ましくは0.08〜1。2質量%)含有したポリアミド酸溶液と、滑材を含有しないか又はその含有量が少量(好ましくはポリアミド酸溶液中のポリマー固形分に対して0.02質量%未満、より好ましくは0.01質量%未満)である2種のポリアミド酸溶液を用いて製造することができる。
多層高分子フィルムの多層化(積層)方法は、両層の密着に問題が生じなければ、特に限定されるものではなく、かつ接着剤層などを介することなく密着するものであればよい。
ポリイミドフィルムの場合、例えば、i)一方のポリイミドフィルムを作製後、このポリイミドフィルム上に他方のポリアミド酸溶液を連続的に塗布してイミド化する方法、ii)一方のポリアミド酸溶液を流延しポリアミド酸フィルムを作製後このポリアミド酸フィルム上に他方のポリアミド酸溶液を連続的に塗布した後、イミド化する方法、iii)共押し出しによる方法、iv)滑材を含有しないか又はその含有量が少量であるポリアミド酸溶液で形成したフィルムの上に、滑材を多く含有するポリアミド酸溶液をスプレーコート、Tダイ塗工などで塗布してイミド化する方法などを例示できる。本発明では、上記i)ないし上記ii)の方法を用いることが好ましい。
多層の高分子フィルムにおける各層の厚さの比率は、特に限定されないが、滑材を多く含有する高分子層を(a)層、滑材を含有しないか又はその含有量が少量である高分子層を(b)層とすると、(a)層/(b)層は0.05〜0.95が好ましい。(a)層/(b)層が0.95を超えると(b)層の平滑性が失われがちとなり、一方0.05未満の場合、表面特性の改良効果が不足し易滑性が失われることがある。
<高分子フィルムの表面活性化処理>
本発明において用いられる高分子フィルムには表面活性化処理を行うことが好ましい。該表面活性化処理によって、高分子フィルム表面は官能基が存在する状態(いわゆる活性化した状態)に改質され、無機基板に対する接着性が向上する。
本発明における表面活性化処理とは、乾式、ないし湿式の表面処理である。本発明の乾式処理としては、紫外線、電子線、X線などの活性エネルギー線を表面に照射する処理、コロナ処理、真空プラズマ処理、常圧プラズマ処理、火炎処理、イトロ処理等を用いることが出来る。湿式処理としては、フィルム表面を酸ないしアルカリ溶液に接触させる処理を例示できる。本発明に置いて好ましく用いられる表面活性化処理は、プラズマ処理であり、プラズマ処理と湿式の酸処理の組み合わせである。
プラズマ処理は、特に限定されるものではないが、真空中でのRFプラズマ処理、マイクロ波プラズマ処理、マイクロ波ECRプラズマ処理、大気圧プラズマ処理、コロナ処理などがあり、フッ素を含むガス処理、イオン源を使ったイオン打ち込み処理、PBII法を使った処理、熱プラズマに暴露する火炎処理、イトロ処理なども含める。これらの中でも真空中でのRFプラズマ処理、マイクロ波プラズマ処理、大気圧プラズマ処理が好ましい。
プラズマ処理の適当な条件としては、酸素プラズマ、CF4、C2F6などフッ素を含むプラズマなど化学的にエッチング効果が高いことが知られるプラズマ、或はArプラズマのように物理的なエネルギーを高分子表面に与えて物理的にエッチングする効果の高いプラズマによる処理が望ましい。また、CO2、H2、N2などプラズマ、およびこれらの混合気体や、さらに水蒸気を付加することも好ましい。短時間での処理を目指す場合、プラズマのエネルギー密度が高く、プラズマ中のイオンの持つ運動エネルギーが高いもの、活性種の数密度が高いプラズマが望ましい。この観点からは、マイクロ波プラズマ処理、マイクロ波ECRプラズマ処理、高いエネルギーのイオンを打ち込みやすいイオン源によるプラズマ照射、PBII法なども望ましい。
かかる表面活性化処理は高分子表面を清浄化し、さらに活性な官能基を生成する。生成した官能基は、カップリング剤層と水素結合ないし化学反応により結びつき、高分子フィルム層とカップリング剤層とを強固に接着することが可能となる。
プラズマ処理においては高分子フィルム表面をエッチングする効果も得ることが出来る。特に滑剤粒子を比較的多く含む高分子フィルムにおいては、滑剤による突起が、フィルムと無機基板との接着を阻害する場合がある。この場合、プラズマ処理によって高分子フィルム表面を薄くエッチングし、滑剤粒子の一部を露出せしめた上で、フッ酸にて処理を行えば、フィルム表面近傍の滑剤粒子を除去することが可能である。
表面活性化処理は、高分子フィルムの片面のみに施してもよいし、両面に施してもよい。片面にプラズマ処理を行う場合、並行平板型電極でのプラズマ処理で片側の電極上に高分子フィルムを接して置くことにより、高分子フィルムの電極と接していない側の面のみにプラズマ処理を施すことができる。また2枚の電極間の空間に電気的に浮かせる状態で高分子フィルムを置くようにすれば、両面にプラズマ処理が行える。また、高分子フィルムの片面に保護フィルムを貼った状態でプラズマ処理を行うことで片面処理が可能となる。なお保護フィルムとしては粘着剤付のPETフィルムやオレフィンフィルムなどが使用できる。
<フィルム側のパターン化処理>
本発明においては高分子フィルム側にパターン化処理を行うことができる。ここにパターン化とは、意図的に表面活性化処理の活性度等を操作した領域を作ることを云う。これにより、積層体において無機基板と高分子フィルムとの間の接着強度が異なる良好接着部分と易剥離部分を有し、該良好接着部分と該易剥離部分とが所定のパターンを形成することができる。パターン化処理として、表面活性化処理を行う際に、あらかじめ所定のパターンで準備されたマスクを用いて表面活性化処理量を操作する方法を例示できる。また表面活性化処理を行う際にマスキングないしスキャン操作などの手法を併用することによりパターン化することも可能である。表面活性化後の高分子フィルム表面に、さらに別の活性エネルギー線処理をマスキングないしスキャニングを併用して行い、活性度の強弱を実現することも可能である。ここに活性エネルギー線照射とは、紫外線、電子線、X線等のエネルギー線を照射する操作、さらには極短波長の紫外線照射処理のように紫外線照射光効果と同時に照射面近傍で発生するオゾンガスガス暴露の効果を併せ持つものを含める。さらにこれらの他に、コロナ処理、真空プラズマ処理、常圧プラズマ処理、サンドブラスと処理等によってパターン化処理を行うことも可能である。
<フィルムラミネート方法>
本発明では、仮支持体として所定のパターンにてシランカップリング剤層薄膜が形成された無機基板を用い、シランカップリング剤層を介して高分子フィルムを貼り合わせ、ないし、乾燥製膜することにより、積層体を得る。高分子フィルムを貼り合わせる場合には、シランカップリング剤層を形成した仮支持用無機基板に高分子フィルムの活性化した面を重ね、加圧することにより積層体を得る。
加圧処理は、例えば、大気圧雰囲気下あるいは真空中で、プレス、ラミネート、ロールラミネート等を、行えばよい。またフレキシブルなバッグに入れた状態で加圧する方法も応用できる。生産性の向上や、高い生産性によりもたらされる低加工コスト化の観点からは、大気雰囲気下でのプレスまたはロールラミネートが好ましく、特にロールを用いて行う方法(ロールラミネート等)が好ましい。
加圧処理の際の圧力としては、1MPa〜20MPaが好ましく、さらに好ましくは3MPa〜10MPaである。圧力が高すぎると、支持体を破損するおそれがあり、圧力が低すぎると、密着しない部分が生じ、接着が不充分になる場合がある。
加圧処理の際の温度としては用いる高分子フィルムの耐熱温度を超えない範囲にて任意に設定する事ができるが、生産性の向上や、高い生産性によりもたらされる低加工コスト化の観点からは、室温での処理が好ましい。
<溶液塗布・乾燥による高分子フィルム層形成>
本発明の積層体の製造方法として、シランカップリング剤層を形成した無機基板上に、高分子の溶液ないし高分子前駆体溶液を塗布し、乾燥・製膜することによって高分子フィルム層を形成することが可能である。溶液の塗布方法としてはディップコート、スピンコート、カーテンコート、スリットダイコートなどの公知の手法を用いることが出来る。
ポリイミド系の樹脂においては、ポリイミド樹脂の原料となるジアミン類とテトラカルボン酸ないしその酸無水物を溶液中にて縮重合して得られるポリアミド酸溶液を、本発明の仮支持用シランカップリング剤層積層無機基板に所定の厚さとなるように塗布し、乾燥、熱処理ないし化学イミド化処理を行って仮支持用シランカップリング剤層積層無機基板上にてポリイミド膜を形成する。この場合、好ましい膜厚は3〜100μmであり、好ましくは5〜50μm、さらに好ましくは5〜20μmの範囲である。
通常、このような手法で得られるポリイミド樹脂層は、比較的脆く、剥離途中で引き裂きが生ずる場合が少なくなく、無機基板からの剥離が困難な場合が多いが、本発明では、シランカップリング剤層に存在する異物や凝集物が少ないため、かかる欠点を基点するフィルムの引き裂けが生じにくく、結果として剥離時の収率が大きく改善される。
<フレキシブル電子デバイスの製造方法>
本発明の積層体を用いると、既存の電子デバイス製造用の設備、プロセスを用いて積層体の高分子フィルム上に電子デバイスを形成し、積層体から高分子フィルムごと剥離することで、フレキシブルな電子デバイスを作製することができる。
本発明における電子デバイスとは、電気配線を担う配線基板、トランジスタ、ダイオードなどの能動素子や、抵抗、キャパシタ、インダクタなどの受動デバイスを含む電子回路、他、圧力、温度、光、湿度などをセンシングするセンサー素子、発光素子、液晶表示、電気泳動表示、自発光表示などの画像表示素子、無線、有線による通信素子、演算素子、記憶素子、MEMS素子、太陽電池、薄膜トランジスタなどを云う。
積層体から高分子フィルムを剥離する方法としては、無機基板側から強い光を照射し、無機基板と高分子フィルム間の接着部位を熱分解、ないし光分解させて剥離する方法、あらかじめ接着強度を弱めておき、高分子フィルムの弾性強度限界値未満の力で高分子フィルムを引きはがす方法、加熱水、加熱蒸気などに晒し、無機基板と高分子フィルム界面の結合強度を弱めて剥離させる方法などを例示することが出来る。
本発明において、無機基板側、ないし、高分子フィルム側、さらには両方にパターン化処理が成された場合、パターン化処理により高分子フィルムと無機基板との接着力が低くなる領域(易剥離部と呼ぶ)に電子デバイスを形成し、次いで、その領域の外周部に切り込みを入れ、高分子フィルムの電子デバイスが形成されたエリアを無機基板から剥離する事によりフレキシブル電子デバイスを得ることが出来る。該方法により、高分子フィルムと無機基板の剥離がより容易になる。
積層体の易剥離部の外周に沿って高分子フィルムに切り込みを入れる方法としては、刃物などの切削具によって高分子フィルムを切断する方法や、レーザーと積層体を相対的にスキャンさせることにより高分子フィルムを切断する方法、ウォータージェットと積層体を相対的にスキャンさせることにより高分子フィルムを切断する方法、半導体チップのダイシング装置により若干ガラス層まで切り込みつつ高分子フィルムを切断する方法などを用いることができる。
積層体の易剥離部外周の高分子フィルムに切り込みを入れるにあたり、切り込みを入れる位置は、少なくとも易剥離部の一部を含んでいればよく、基本的には所定のパターンに従って切断すれば良いが、誤差の吸収、生産性の観点などより、適宜判断すればよい。
高分子フィルムを支持体から剥離する方法としては、特に制限されないが、ピンセットなどで端から捲る方法、デバイス付きの高分子フィルムの切り込み部分の1辺に粘着テープを貼着させた後にそのテープ部分から捲る方法、デバイス付きの高分子フィルムの切り込み部分の1辺を真空吸着した後にその部分から捲る方法等が採用できる。なお、剥離の際に、デバイス付きの高分子フィルムの切り込み部分に曲率が小さい曲がりが生じると、その部分のデバイスに応力が加わることになりデバイスを破壊する虞があるため、極力曲率の大きな状態で剥がすことが望ましい。例えば、曲率の大きなロールに巻き取りながら捲るか、あるいは曲率の大きなロールが剥離部分に位置するような構成の機械を使って捲ることが望ましい。
また、剥離する部分に予め別の補強基材を貼りつけて、補強基材ごと剥離する方法も有用である。剥離するフレキシブル電子デバイスが、表示デバイスのバックプレーンである場合、あらかじめ表示デバイスのフロントプレーンを貼りつけて、無機基板上で一体化した後に両者を同時に剥がし、フレキシブルな表示デバイスを得ることも可能である。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性の評価方法は下記の通りである。
<ポリアミド酸溶液の還元粘度>
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN,N−ジメチルアセトアミドに溶解した溶液についてウベローデ型の粘度管を用いて30℃で測定した。
<高分子フィルムの厚さ>
高分子フィルムの厚さは、マイクロメーター(ファインリューフ社製「ミリトロン1245D」)を用いて測定した。
<高分子フィルムの引張弾性率、引張強度および引張破断伸度>
測定対象とする高分子フィルムから、流れ方向(MD方向)及び幅方向(TD方向)がそれぞれ100mm×10mmである短冊状の試験片を切り出し、引張試験機(島津製作所社製「オートグラフ(登録商標);機種名AG−5000A」)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmの条件で、MD方向、TD方向それぞれについて、引張弾性率、引張強度および引張破断伸度を測定した。
<高分子フィルムの線膨張係数(CTE)>
測定対象とする高分子フィルムの流れ方向(MD方向)および幅方向(TD方向)について、下記条件にて伸縮率を測定し、15℃の間隔(30℃〜45℃、45℃〜60℃、…)での伸縮率/温度を測定し、この測定を300℃まで行って、MD方向およびTD方向で測定した全測定値の平均値を線膨張係数(CTE)として算出した。
機器名 ; MACサイエンス社製「TMA4000S」
試料長さ ; 20mm
試料幅 ; 2mm
昇温開始温度 ; 25℃
昇温終了温度 ; 400℃
昇温速度 ; 5℃/分
雰囲気 ; アルゴン
初荷重 ; 34.5g/mm2
<高分子フィルムの評価:滑り性>
高分子フィルム2枚を、異なる面同士で重ね合わせ(すなわち、同じ面同士ではなく、フィルムロールとして巻いた場合の巻き外面と巻き内面とを重ね合わせ)、重ねたポリイミドフィルムを親指と人差し指で挟み、軽く摺り合わせたときに、高分子フィルムと高分子フィルムが滑る場合を「○」又は「良好」、滑らない場合を「×」又は「不良」と評価した。なお、巻き外面同士あるいは巻き内面同士では滑らない場合もあるが、これは評価項目とはしない。
<PV値測定>
表面形態の計測は表面物性評価機能付走査型プローブ顕微鏡(SIIナノテクノロジー社製SPA300/SPI3800N)を使用した。計測はDFMモードで行い、カンチレバーはSIIナノテクノロジー社製DF3またはDF20を使用したスキャナーはFS−20Aを使用し、走査範囲は2μm四方、測定分解能は512×512ピクセルとした。計測像については二次傾き補正を行った後、装置付属のソフトウェアでPV値を算出した。
<カップリング剤層の厚さ>
カップリング剤層(SC層)の厚さ(nm)は、洗浄した無機基板上に各実施例、比較例と同様の方法でカップリング剤を塗布乾燥させて得たサンプルを作製し、この無機基板上に形成したSC剤層のX線反射率測定を以下の条件で行い、観察されるフリンジの間隔から求めた。膜厚の解析には株式会社リガク製薄膜総合解析ソフトウェアGlobalFitを用い,ガラス基板上に単膜が存在するモデルで解析を行った。
装置名 :株式会社リガク製X線回折装置 SmartLab
ターゲット :Cu
電圧、電流値 :40kV、30mA
スリット :試料前 Sollar/PSC 5.0deg, IS 0.1mm, IS長手, 10mm
試料後 RS1 0.2mm, PSA Open, Sollar 5.0deg, RS2 0.4mm
受光部 :シンチレーションカウンター
走査軸 :2θ/ω
走査速度 :2/3deg/min
<カップリング剤層の3次元算術平均粗さ(Sa)>
SC層の3次元算術平均粗さ(Sa)は、非接触表面・層断面形状計測システム(菱化システム社製「VertScan(R)2.0」)を用いて求めた。測定は以下の条件にて行った。
測定モード:Phaseモード
視野サイズ:640×480
使用フィルター:520nmフィルター
対物レンズ倍率:×5
ズームレンズ倍率:×1
1測定ごとの測定範囲:1.4mm×1.8mm
積算回数:1回
上記条件にて得られた生データについて、補間は実施せずに4次の面補正のみを実施して測定データとした。この測定データ中から以下の式に基づいて計算し求めた。

(lx, lyはそれぞれx方向とy方向の範囲、Z(x,y)は平均面からの高さ)
<異物密度>
100mm×100mmの領域をサンプリングし、100倍拡大の測長機能付き顕微鏡にてサンプリング領域を観察し、100倍観察にて確認された異物については、さらに拡大率を400倍として長径長さを測定し、10μm以上のものの個数を数え、観察面積で除して異物密度とした。
<接着強度>
仮支持用無機基板に、所定の方法でシランカップリング剤を塗布し、次いで高分子フィルムのラミネート、得られた仮ラミネート基板の加熱処理などの所定のプロセスを経てえられた積層体の、仮支持用無機基板と高分子フィルムとの接着強度を、JIS K6854−1に記載の90度剥離法に準じて下記条件で測定した。
装置名 : 島津製作所社製「オートグラフ(登録商標)AG−IS」
測定温度 : 室温
剥離速度 : 50mm/分
雰囲気 : 大気
測定サンプル幅 : 10mm
<外観>
品位については、積層体全体の目視検査での結果である。無機基板と高分子フィルムの間に長径2mm以上の剥れや浮きがある場合を「×」又は「不良」、無い場合を「○」又は「良好」と評価した。
<ポリイミドフィルムの製造>
〔製造例1〕
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)398質量部と、パラフェニレンジアミン(PDA)147質量部とを、4600質量部のN、N−ジメチルアセトアミドに溶解させて加え、滑材としてコロイダルシリカをジメチルアセトアミドに分散してなる分散体(日産化学工業製「スノーテックス(登録商標)DMAC−ST30」)をシリカ(滑材)がポリアミド酸溶液中のポリマー固形分総量に対して0.15質量%になるように加え、25℃の反応温度で24時間攪拌して、表1に示す還元粘度を有する褐色で粘調なポリアミド酸溶液V1を得た。
(ポリイミドフィルムの作製)
上記で得られたポリアミド酸溶液V1を、スリットダイを用いて幅1050mmの長尺ポリエステルフィルム(東洋紡績株式会社製「A−4100」)の平滑面(無滑材面)上に、最終膜厚(イミド化後の膜厚)が25μmとなるように塗布し、105℃にて20分間乾燥した後、ポリエステルフィルムから剥離して、幅920mmの自己支持性のポリアミド酸フィルムを得た。
次いで、得られた自己支持性ポリアミド酸フィルムをピンテンターによって、150℃〜420℃の温度領域で段階的に昇温させて(1段目180℃×5分、2段目270℃×10分、3段目420℃×5分間)熱処理を施してイミド化させ、両端のピン把持部分をスリットにて落とし、幅850mmの長尺ポリイミドフィルムF1(1000m巻き)を得た。得られたフィルムF1の特性を表1に示す。
〔製造例2〕
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(DAMBO)223質量部と、N,N−ジメチルアセトアミド4416質量部とを加えて完全に溶解させ、次いで、ピロメリット酸二無水物(PMDA)217質量部とともに、滑材としてコロイダルシリカをジメチルアセトアミドに分散してなる分散体(日産化学工業製「スノーテックス(登録商標)DMAC−ST30」)とをシリカ(滑材)がポリアミド酸溶液中のポリマー固形分総量にて0.12質量%)になるように加え、25℃の反応温度で24時間攪拌して、表1に示す還元粘度を有する褐色で粘調なポリアミド酸溶液V2を得た。
(ポリイミドフィルムの作製)
ポリアミド酸溶液V1に代えて、上記で得られたポリアミド酸溶液V2を用いてポリアミド酸フィルムを得た後、ピンテンターによって、1段目150℃×5分、2段目220℃×5分、3段目485℃×10分間熱処理を施してイミド化させ、両端のピン把持部分をスリットにて落とし、幅850mmの長尺ポリイミドフィルムF2(1000m巻き)を得た。得られたフィルムF2の特性を表1に示す。
〔製造例3〕
(ポリアミド酸溶液の調製)
製造例2において、コロイダルシリカをジメチルアセトアミドに分散してなる分散体(日産化学工業製「スノーテックス(登録商標)DMAC−ST30」)を添加しなかった以外は同様に操作し、ポリアミド酸溶液V3を得た。
(ポリイミドフィルムの作製)
上記で得られたポリアミド酸溶液V3をコンマコーターを用いて幅1050mmの長尺ポリエステルフィルム(東洋紡績株式会社製「A−4100」)の平滑面(無滑材面)上に、最終膜厚(イミド化後の膜厚)が5μm相当となるように塗布し、次いでポリアミド酸溶液V2をスリットダイを用いて最終膜厚がV3含めて38μmとなるように塗布し、105℃にて25分間乾燥した後、ポリエステルフィルムから剥離して、幅920mmの自己支持性のポリアミド酸フィルムを得た。
次いで、得られた自己支持性ポリアミド酸フィルムをピンテンターによって、1段目180℃×5分、2段目220℃×5分、3段目495℃×10分間熱処理を施してイミド化させ、両端のピン把持部分をスリットにて落とし、幅850mmの長尺ポリイミドフィルムF3(1000m巻き)を得た。得られたフィルムF3の特性を表1に示す。
〔製造例4〕
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、2,2‘−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−TB−HG)210質量部と、N,N−ジメチルアセトアミド3645質量部とを加えて完全に溶解させ、次いで、1、2、3、4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)195質量部とともに、滑材としてコロイダルシリカをジメチルアセトアミドに分散してなる分散体(日産化学工業製「スノーテックス(登録商標)DMAC−ST30」)とをシリカ(滑材)がポリアミド酸溶液中のポリマー固形分総量にて0.5質量%)になるように加え、25℃の反応温度で24時間攪拌して、表1に示す還元粘度を有する褐色で粘調なポリアミド酸溶液V4を得た。
(ポリイミドフィルムの作製)
ポリアミド酸溶液V1に代えて、上記で得られたポリアミド酸溶液V4を用いてポリアミド酸フィルムを得た後、ピンテンターによって、1段目150℃×5分、2段目250℃×5分、3段目400℃×10分間熱処理を施してイミド化させ、両端のピン把持部分をスリットにて落とし、幅850mmの長尺ポリイミドフィルムF2(1000m巻き)を得た。得られたフィルムF4の特性を表1に示す。
<プラズマ処理フィルムの製造>
製造例1で得られたポリイミドフィルムF1の片面に真空プラズマ処理を施して、プラズマ処理ポリイミドフィルムP1を得た。得られたフィルムP1の特性を表2に示す。
真空プラズマ処理としては、平行平板型の電極を使ったRIEモード、RFプラズマによる処理を採用し、真空チャンバー内に窒素ガスを導入し、13.54MHzの高周波電力を導入するようにし、処理時間は3分間とした。
ポリイミドフィルムF1に代えて製造例2で得られたポリイミドフィルムF2を用いたこと以外は同様にして、プラズマ処理ポリイミドフィルムP2を得た。さらにフィルムF3の滑剤を含まない層側の片面に同様にプラズマ処理を行い、フィルムP3とした。
ポリイミドフィルムF1に代えて製造例4で得られたポリイミドフィルムF4を用いたこと以外は同様にして、プラズマ処理ポリイミドフィルムP4を得た。
ポリイミドフィルムF1に代えて、25μm厚のKaptonフィルム100H(東レ・デュポン株式会社製)を用いて、プラズマ処理フィルムP5を得た。
得られたプラズマ処理フィルムの特性を表2に示す。
<無機基板へのカップリング剤層形成>
無機基板はシランカップリング剤を塗布する前にUV/オゾン照射装置(LANテクニカルサービス社製)により表面の汚れを除去してから用いた。また作業は全てクリーン環境下にて行った。
<実施例1>
無機基板をセットする温調プレートを内部に有する真空チャンバーとシランカップリング剤蒸気を発生させる装置を用い、以下の条件にて無機基板へシランカップリング剤層を形成させた。無機基板には370mm×470mm×0.7mmtの無アルカリガラス(日本電気硝子製OA-10G)を用い、20℃に温調したプレート上に水平にセットした。用いた無アルカリガラスのPV値は1.7nmであった。その後、装置が25℃となるように温調した真空チャンバーを閉じてチャンバー内を-0.099MPaまで減圧した。次いでシランカップリング剤にキャリアガスをバブリングさせる事でシランカップリング剤蒸気を発生させる装置にシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製「KBM−903」:3−アミノプロピルトリメトキシシラン)を入れ、20℃に温調した後に99.9%以上の純度を持つ窒素ガスでバブリングした。発生したシランカップリング剤蒸気は25℃に温調した配管を通じて真空チャンバー内に真空度が−0.009MPaとなるまで導入し、20分間保持した。その後、真空チャンバー内に窒素ガスを導入して大気圧まで戻した後、無機基板を真空チャンバーから取り出し、100℃のホットプレートで約3分間熱処理を行うことで、本発明のシランカップリング剤層積層無機基板S1を得た。
また得られたS1のシランカップリング剤層側と、350mm×450mmサイズにトリミングしたプラズマ処理フィルムP3のプラズマ処理面を、精密枚葉貼合機(クライムプロダクツ社製SE650nH)を用い、ロール圧力8kgf/cm2、ロール速度5mm/秒にてガラスの外周から10mm内側にフィルムを仮ラミネートした。仮ラミネート後のフィルムは自重では剥がれないが、フィルム端部を引っ掻くと簡単に剥がれる程度の接着性であった。その後、得られた仮ラミネート基板をクリーンオーブンに入れ、200℃にて30分間加熱した後、室温まで放冷して積層体L1を得た。
<実施例2>
真空チャンバー内の温調プレートを15℃にセットし、真空チャンバー内にシランカップリング剤蒸気を導入した後の保持時間を2分とする以外は実施例1と同様の作業でシランカップリング剤層積層無機基板S2を得た。またS2を用いる以外は実施例1と同様の作業で積層体L2を得た。
<実施例3>
−0.099MPaまで減圧した真空チャンバー内が−0.069MPaとなるまでシランカップリング剤蒸気を導入し、続いて真空度が−0.009MPaとなるまで露点が15℃の空気を導入する以外は実施例1と同様の作業でシランカップリング剤層積層無機基板S3を得た。またS3を用いる以外は実施例1と同様の作業で積層体L3を得た。
<実施例4>
実施例2にて得られたシランカップリング剤層積層無機基板S2に、1mm厚のステンレス鋼板製のマスクを重ね、UV/オゾン照射装置(LANテクニカルサービス社製)を用いて、120秒間のUV/オゾン照射を行い、パターン化されたシランカップリング剤層を有するシランカップリング剤層積層無機基板SP4を得た。またSP4を用いる以外は実施例1と同様の作業で積層体L4を得た。
尚、積層体の接着強度は、シランカップリング剤層にUV/オゾン照射が行われていない部分を通常部、照射された部分については易剥離部として評価した。
<実施例5〜7>
表3に示したプラズマ処理フィルムをそれぞれ用いる以外は、実施例2と同様の作業でシランカップリング剤層積層無機基板S2、積層体L5〜7を得た。
<実施例8>
プラズマ処理フィルムにP4を用いる以外は、実施例4と同様の作業でシランカップリング剤層積層無機基板SP2、積層体L8を得た。
<比較例1>
−0.099MPaまで減圧した真空チャンバー内が大気圧に戻るまでシランカップリング剤蒸気を導入し、液封により大気の混入、加圧が無いように制御して更に2分間シランカップリング剤蒸気を供給し続けた以外は実施例1と同様の作業でシランカップリング剤層積層無機基板S4を得た。またS4を用いる以外は実施例1と同様の作業で積層体L9を得た。
<比較例2>
真空チャンバー内の温調プレートを15℃にセットした以外は実施例1と同様の作業でシランカップリング剤層積層無機基板S5を得た。またS5を用いる以外は実施例1と同様の作業で積層体L10を得た。
<比較例3>
−0.099MPaまで減圧した真空チャンバー内が−0.069MPaとなるまでシランカップリング剤蒸気を導入し、続いて真空度が−0.009MPaとなるまで露点が2℃の空気を導入する以外は実施例1と同様の作業でシランカップリング剤層積層無機基板S6を得た。またS6を用いる以外は実施例1と同様の作業で積層体L11を得た。
<比較例4>
シランカップリング剤蒸気を発生させるために露点10℃の空気でバブリングさせる以外は実施例1と同様の作業を実施したが、シランカップリング剤溶液中に白濁が確認されたため作業を中止した。
<比較例5>
シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製「KBM−903」:3−アミノプロピルトリメトキシシラン)1.0質量部、イソプロピルアルコール99.0質量部を清浄なガラス容器内にて攪拌混合しシランカップリング剤溶液とした。まず370mm×470mm×0.7mmtの無アルカリガラス(日本電気硝子製 OA-10G)を卓上型スピンコーター(ジャパンクリエイト社製MSC−500S型)にセットし、イソプロピルアルコール50mlをガラス中央に滴下し500rpmにて振り切ることにより洗浄を行い、次いで先に準備したシランカップリング剤溶液約30mlをガラス板中央に滴下し、500rpmにて10秒、次いで回転数を1500rpmまで上げて20秒間回転させ、シランカップリング剤溶液を振り切った。用いた無アルカリガラスのPV値は1.7nmであった。その後、停止させたスピンコーターから無機基板を取り出し、100℃のホットプレートで約3分間熱処理を行うことで、シランカップリング剤層積層無機基板S7を得た。またS7を用いる以外は実施例1と同様の作業で積層体L12を得た。
<比較例6>
シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製「KBM−903」:3−アミノプロピルトリメトキシシラン)1.0質量部、イソプロピルアルコール89.0質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10.0質量部を清浄なガラス容器内にて攪拌混合しシランカップリング剤溶液とした。
まず370mm×470mm×0.7mmtの無アルカリガラス(日本電気硝子製OA-10G)をスプレイコータにセットし、1mm厚のステンレス鋼板製のマスクを重ね、低圧霧化ノズルを用いて準備したシランカップリング剤溶液を15g/minの吐出量でコートした。用いた無アルカリガラスのPV値は1.7nmであった。その後、無機基板を取り出し、100℃のホットプレートで約3分間熱処理を行うことで、パターン化されたシランカップリング剤層積層無機基板SP8を得た。またSP8を用いる以外は実施例1と同様の作業で積層体L12を得た。
得られたシランカップリング剤層積層無機基板および積層体の各特性は表3に示した。
(応用例1)
実施例1〜8、比較例1〜5により得られた積層体を用い、以下の工程により、ボトムゲート型の薄膜トランジスタアレイを試作した。
ガスバリア層の形成 高分子フィルム側全面に反応性スパッタリング法を用いてSiONからなる100nmのガスバリア膜を形成した。次いで、厚さ80nmのアルミニウム層をスパッタリング法にて形成し、フォトリソグラフ法によりゲート配線とゲート電極を形成した。次いで、スリットダイコーターを用いてエポキシ樹脂系のゲート絶縁膜(厚さ80nm)を形成した。さらにスパッタリング法にて5nmのクロム層、40nmの金層を形成し、フォトリソグラフ法にてソース電極とドレイン電極を形成した。次いでスリットダイコーターを用いて、絶縁層兼ダム層となるエポキシ樹脂を塗布し、UV−YAGレーザーによるアブレーションにて、ソース電極とドレイン電極を含む半導体層用の厚さ250nmのダム層を直径100μmの円形となるように形成し、また上部電極との接続点となるビア形成も同時に行った。次いで、インクジェット印刷法により有機半導体であるポリチオフェンをダム内に塗出、ビア部には銀ペーストを埋め込み、さらに上部電極としてアルミ配線を形成し640×480ピクセルを有する薄膜トランジスタアレイを形成した。
得られた薄膜トランジスタアレイをバックプレーンとし、フロントプレーンに電気泳動表示媒体を重ねることにより、ディスプレイ素子とし、トランジスタの収率と表示性能を、各ピクセルのON/OFFにて判定した。結果、実施例において得られた薄膜トランジスタアレイについては、いずれも表示性能は良好であった。一方比較例C1〜5では無機基板と高分子フィルムの間に空隙の発生や端部捲れなどが確認された。また積層体C4においては、縦方向に10本、横方向に4本のラインの表示が欠陥となった。
なお、比較例5において欠陥となったピクセルは、いずれもゲート配線の断線か、あるいは上部電極の断線が生じていた。断線部分に相当する高分子フィルムの下面、すなわちガラス板との接着面には長径10μm以上の異物が観察され、断線は異物によってフォトリソ工程での露光が阻害されたことが示唆された。断線の原因となった異物を組成分析した結果、Si元素が異物の25%以上を占めており、シランカップリング剤の凝集物であると判断された。
パターン化を行ったL4、L8については、フロントプレーンを重ねた後に、パターン化処理部の外周に沿ってUV−YAGレーザーにて高分子フィルム部を焼き切り、切れ目の端部から薄いカミソリ上の刃を用いてすくい上げるように剥離を行ったところ、いずれも容易に剥離することができ、フレキシブル電気泳動ディスプレイデバイスを得ることができた。
パターン化処理を行っていない残りの積層体については、ガラス基板側からYAGレーザーをスキャニングしながら全面に照射し、高分子フィルムとガラス板との接着性を弱めた状態で、同様に薄い刃を用いてすくい上げるように剥離操作を行い、同様にフレキシブル電気泳動ディスプレイデバイスを得た。
得られたフレキシブル電気泳動ディスプレイデバイスは直径3mmの円柱に巻き付けても表示性能が劣化することはなく、実用十分なフレキシブル性を有することが確認された。
(応用例2)
実施例1にて得られた積層体L1において、応用例1にてフレキシブル電気泳動ディスプレイデバイスを剥離した後に、元の基板であった無アルカリガラスを、10%の水酸化ナトリウム水溶液に室温にて20時間浸積し、ついで水洗の後、液晶基板用ガラス洗浄装置にてクリーニング洗浄を行った。洗浄後のガラス板を用いて、再び実施例1と同様にして、実施例1で用いた側と同じ面にシランカップリング剤層を形成し、以下同様に操作して積層体を得た。得られた積層体の品位は良好で、異物密度は0.5個/cmであり、十分にリサイクル使用が可能なことが示された。
(比較応用例)
比較例で得られた積層体L12において、応用例2と同様にフレキシブル電気泳動ディスプレイデバイスを剥離した後に、同様に洗浄操作を行い、再び同様の操作にて積層体を形成したが、異物密度が7200個/mにまで増加し、品位低下が著しいことが確認された。
(応用例3)
実施例1、5、6、7、比較例5にて得られた積層体を、開口部を有するステンレス製の枠を被せてスパッタリング装置内の基板ホルダーに固定した。基板ホルダーと積層体の支持体とを密着するように固定して、基板ホルダー内に冷媒を流すことによって、積層体の温度を設定できるようにし、積層体の温度を2℃に設定した。まず、積層体の高分子フィルム表面にプラズマ処理を施した。プラズマ処理条件は、アルゴンガス中で、周波数13.56MHz、出力200W、ガス圧1×10−3Torrの条件とし、処理時の温度は2℃、処理時間は2分間とした。次いで、周波数13.56MHz、出力450W、ガス圧3×10−3Torrの条件で、ニッケル−クロム(クロム10質量%)合金のターゲットを用いて、アルゴン雰囲気下にてDCマグネトロンスパッタリング法により、1nm/秒のレートで厚さ11nmのニッケル−クロム合金被膜(下地層)を形成した。次いで、積層体の温度を2℃に設定し、スパッタリングを行った。そして、10nm/秒のレートで銅を蒸着させ、厚さ0.22μmの銅薄膜を形成した。このようにして、各積層体から下地金属薄膜形成フィルム付きの積層板を得た。なお、銅およびNiCr層の厚さは蛍光X線法によって確認した。
次に、各フィルムからの下地金属薄膜形成フィルム付きの積層板をCu製の枠に固定し、硫酸銅めっき浴を用い、電解めっき液(硫酸銅80g/l、硫酸210g/l、HCl、光沢剤少量)に浸漬し、電気を1.5A/dm2流すことにより、厚さ4μmの厚付け銅メッキ層(厚付け層)を形成した。引き続き120℃で10分間熱処理して乾燥し、積層体の高分子フィルム面に銅箔層を形成した。
得られた各金属化ポリイミドフィルム・支持体積層体に対して、フォトレジスト(シプレー社製「FR−200」)を塗布乾燥した後に、ガラスフォトマスクでオフコンタクト露光し、さらに1.2質量%KOH水溶液にて現像した。次に、HClおよび過酸化水素を含む塩化第二銅のエッチングラインで、40℃、2kgf/cm2のスプレー圧でエッチングし、ライン/スペース=20μm/20μmのライン列をテストパターンとして形成した。次いで、0.5μm厚に無電解スズメッキを施した後、125℃で1時間のアニール処理を行い、配線パターンを得た。
得られた配線パターンを光学顕微鏡で観察し、またテストパターンを用いて断線/短絡の有無をチェックした。結果、実施例1、5、6、7の積層体から得られた配線パターンには、断線、短絡は無く、パターン形状も良好であった。一方比較例5の積層体から得られた配線パターンでは一部に断線が観察された。断線部の配線形状は配線が痩せてかすれるような形状になっており、フォトレジスト工程での露光が阻害された結果によると結論された。また断線部位においては高分子フィルム部分が凸状態となっており、高分子フィルムとガラス基板間に異物が存在していることが判明した。異物は組成分析の結果Si元素が25%以上を占めており、シランカップリング剤の凝集物であると結論された。
次いで、応用例1と同様の手法にてガラス板から高分子フィルムを剥離し、フレキシブル配線基板とした。得られたフレキシブル配線板の屈曲性は良好であった。
以上の結果より、本発明の積層体がフレキシブル電子デバイスの製造に有用であり、なおかつ基板のリサイクル性においても優れることが示された。
本発明の積層体は、電子デバイスを作成した後に無機基板から電子デバイス付き高分子フィルムを容易に剥離することが可能であるのみならず、積層体の接着に使用するシランカップリング剤の凝集体が無機基板に付着することを防止し、品位に優れ、高分子フィルム/無機基板間の接着力が均質化された積層体を供給するものであり、産業界への寄与は大きい。さらに本発明によれば、高分子フィルム剥離後の無機基板表面の粗度が小さく、簡単な洗浄操作後にてシランカップリング剤を再塗布して基板として活用することが可能となり、無機基板のリサイクル性が格段に向上する。

Claims (15)

  1. シランカップリング剤層を少なくとも片側の面に形成させたシランカップリング剤層積層無機基板であって、該シランカップリング剤層の厚みが5nm以上、50nm以下、且つ3次元表面粗さ(Sa)が2nm以下であることを特徴とするシランカップリング剤層積層無機基板。
  2. 前記シランカップリング剤層が所定のパターンを形成している事を特徴とする請求項1に記載のシランカップリング剤層積層無機基板。
  3. 長径10μm以上の珪素を含む異物の個数が2000個/m以下である事を特徴とする請求項1〜2に記載のシランカップリング剤層積層無機基板。
  4. 前記無機基板が面積1000cm以上のガラスであることを特徴とする請求項1〜3に記載のシランカップリング剤層積層無機基板。
  5. 気化させたシランカップリング剤に無機基板を暴露させることにより、シランカップリング剤層を形成することを特徴とする請求項1〜4に記載のシランカップリング剤層積層無機基板の製造方法
  6. バブリング方式により気化させたシランカップリング剤を用いることを特徴とする請求項5に記載のシランカップリング剤層積層無機基板の製造方法。
  7. バブリング方式によりシランカップリング剤を気化させる際に、露点0℃以下の乾燥気体をキャリアガスとして使用することを特徴とする請求項6に記載のシランカップリング剤層積層無機基板の製造方法。
  8. 気化させたシランカップリング剤に無機基板を暴露させる際に、露点5℃以上の気体を共存させる事を特徴とする請求項5〜7に記載のシランカップリング剤層積層無機基板の製造方法。
  9. シランカップリング剤層を形成する際に、無機基板の一部をマスキングすることによって、パターンを形成することを特徴とする請求項2〜4に記載のシランカップリング剤層積層無機基板の製造方法。
  10. シランカップリング剤層の形成後に、シランカップリング剤層の一部に活性エネルギー線を照射する事により、所定のパターンを形成することを特徴とする請求項2〜4に記載のシランカップリング剤層積層無機基板の製造方法。
  11. 高分子フィルムと請求項1〜4に記載のシランカップリング剤層積層無機基板とが接合された積層体であって、該高分子フィルムと該無機基板の接着強度が0.2N/cm以上、15N/cm以下である事を特徴とする積層体。
  12. 高分子フィルムと請求項1〜4に記載のシランカップリング剤層積層無機基板とが接合された積層体であって、該高分子フィルムと該無機基板との間の接着強度が異なる良好接着部分と易剥離部分とを有しており、該良好接着部分の剥離強度が0.2N/cm以上、15N/cm以下、易剥離部分の剥離強度が0.2N/cm未満である事を特徴とする積層体。
  13. 下記(1)〜(3)の工程を有することを特徴とする、積層体の製造方法。
    (1) 気化したシランカップリング剤に無機基板を暴露させることにより、無機基板上に、シランカップリング剤層を形成する工程
    (2)該シランカップリング剤層に、表面活性化処理を行った高分子フィルムを重ねる工程
    (3)加圧・加熱することにより両者を接着する工程
  14. 請求項11に記載の積層体を用い、該積層体の高分子フィルム上に電子デバイスを形成し、次いで、該高分子フィルムを該電子デバイスごと無機基板から剥離する事を特徴とするフレキシブル電子デバイスの製造方法。
  15. 請求項12に記載の積層体を用い、該積層体の高分子フィルムの、前記易剥離部分に相当する部分の上に電子デバイスを形成し、次いで、該積層体の該易剥離部分の外周に沿って、該高分子フィルムに切り込みを入れ、該高分子フィルムを電子デバイスごと無機基板から剥離する事を特徴とするフレキシブル電子デバイスの製造方法。
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