図8は、従来技術の横軸斜流ポンプの一例を示す図である。横軸斜流ポンプ1は、主軸4と、主軸4に連結された羽根車6と、主軸4の一部及び羽根車6を収容するケーシング16と、を備える。
ケーシング16は、羽根車6を取り囲んで筒状に形成された吐き出し側ケーシング7と、吐き出し側ケーシング7に接続されたエルボ形状の吸い込み側ケーシング9と、を備える。吐き出し側ケーシング7は、筒径が主軸4の延伸方向に沿って拡径した後縮径するように形成されている。吸い込み側ケーシング9は、吐き出し側ケーシング7と接続されていない側に液体吸い込み口9aが形成されている。液体吸い込み口9aは、鉛直下方向に向いている。吐き出し側ケーシング7は、吸い込み側ケーシング9と接続されていない側に液体吐き出し口7aが形成されている。
主軸4は、吸い込み側ケーシング9を貫通して吐き出し側ケーシング7に沿って水平方向に延びている。主軸4は、羽根車6を回転させる。羽根車6の回転により、取扱い液(液体、例えば水)は、液体吸い込み口9aから上方に流れ、エルボ状の吸い込み側ケーシング9により水平方向に流れが曲げられて羽根車6へ至る。液体は、羽根車6の回転によりさらに水平方向に送られ、液体吐き出し口7aから排出される。
ここで、吐き出し側ケーシング7の羽根車6の外周部に対する内周には、羽根車6によって昇圧された液体の逆流を防止し、ポンプ効率を向上させるために、ケーシングライナ5が設けられている。排水ポンプ機場などに設置されている横軸斜流ポンプ1は、一般に大型のポンプであるので、ケーシングライナ5と羽根車6との間のクリアランスは、半径1000mmの羽根車の場合、1.0mm程度である。
ケーシングライナ5は、ポンプ運転により、液体に含まれる砂などによる摩耗やキャビテーションによる壊食などによる損傷が徐々に進み、クリアランスが広がって性能が低下するおそれがある。したがって、ケーシングライナ5は、交換補修が可能であるだけでなく、交換補修が容易に行えるように設置するのが好ましい。なぜなら、排水ポンプ機場はある大きさの地域に1箇所設けられるので、ポンプの故障による影響は非常に大きく、交換や補修によるポンプの停止時間はできるだけ短くするのが好ましいからである。
ところで、ケーシングライナ5を受ける吐き出し側ケーシング7は鋳造であるため、鋳造の鋳肌の状態で1.0mm程度まで精密な寸法で製作することは困難である。したがって、吐き出し側ケーシング7には、後加工で、鋳物部分を切削してケーシングライナ5の同軸となる位置決め部分を加工することになる。
ただし、ケーシングライナ5の位置を決め、嵌め合いとするために、ケーシングライナ5に対面する吐き出し側ケーシング7の内周全域を切削することは、かえって必要以上の加工の割にコストと加工時間がかかり不合理である。このため、通常の吐き出し側ケーシング7は、ケーシングライナ5の上流側と下流側のAで示す部分に吐き出し側ケーシング7内面とケーシングライナ5外面が同軸となるよう嵌合加工を行う。吐き出し側ケーシング7は、ケーシングライナ5の上流側と下流側のAで示す部分の間には、吐き出し側ケーシング7内面がケーシングライナ5に当たらないように隙間12ができるように鋳造され
ている。そのため、隙間12におけるケーシングライナ5と吐き出し側ケーシング7の間隔は、数mm〜十数mmになっている。
ここで、横軸斜流ポンプ1は、隙間12を液体が流通する状態はポンプ効率を下げるので、Aで示す部分で吐き出し側ケーシング7とケーシングライナ5を嵌合させることによって液体のリークを最小にしている。しかしながら、ケーシングライナ5は補修における交換を予定しており、この嵌合は交換可能なように「隙間嵌め」としているため、隙間12は完全な密閉ではない。そのため、横軸斜流ポンプ1が長期間水中に没していると、隙間12に液体が溜まることがある。
ところが、吐き出し側ケーシング7とケーシングライナ5の嵌合部分は、「隙間嵌め」ではあっても、嵌合により密閉的(つまり完全に密閉ではないが、密閉気味である)に閉鎖された空間が形成される。このため、隙間12に溜まった液体を速やかに排出することは困難である。
ところで、横軸斜流ポンプは、農業用水の供給などのように、繁農期には良く稼動しても、閑農期にはポンプ運転を長期間休止するという利用法が多い。長期間運転を休止する場合には、次に利用するまでポンプ内部の水を抜いて保存する。この場合、図8に示すように、吐き出し側ケーシング7を貫通し、外部に通じさせたドレンポート11によりポンプ内部の水を抜いている。そして、従来の横軸斜流ポンプ1では、隙間12に溜まった液体を抜くため、隙間12から吐き出し側ケーシング7を貫通し、外部に通じさせたドレンポート10を設ける場合があった。
また、ケーシングとケーシングライナの間にできる隙間に関する従来の構造としては、特許文献1に記載された構造が知られている。すなわち、従来技術は、立軸斜流ポンプにおいて、ケーシングとケーシングライナの上流側(吸い込み側)を嵌合し、下流側(吐き出し側)はケーシングの嵌合内周面に、隙間と連通する縦溝を設ける。そして、従来技術は、ケーシングに形成された注入口を介してケーシング外部から隙間に接着剤を注入し、接着剤が隙間の空気を下流側の縦溝に追い出しながら隙間を接着剤で満たすことが記載されている。
以下、本願発明の一実施形態に係るポンプ、及びケーシングライナを図面に基づいて説明する。以下に説明する実施形態は、ポンプ、例えば横軸斜流ポンプや横軸軸流ポンプにおいて、従来どおりケーシングライナを交換可能としながら、横軸斜流ポンプの長期運転停止時にポンプ内から液体を排出し、ポンプ内部を空にして保存する場合に、ポンプのケーシングとケーシングライナの間にできる隙間にたまった液体を、ケーシング外部に複数のポートや、複雑なドレン配管などに依存することなく、効率よく抜き出すものである。また、寒冷地あるいは、寒冷地ではないまでも冬季の夜間における凍結が生じる地域で使用しても、残存する液体の膨張によるケーシングライナ及びケーシングの破損のおそれを低減するものである。なお、以下の実施形態は、横軸斜流ポンプ及び横軸軸流ポンプを一例に挙げて説明するが、本願発明はこれらには限られない。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の横軸斜流ポンプの断面図である。図1に示すように、横軸斜流ポンプ100は、主軸104と、主軸104と他の軸とを接続する軸継手102と、主軸104を支持する軸受103と、主軸104に連結された羽根車106と、主軸104の一部及び羽根車106を収容するケーシング116と、を備える。
ケーシング116は、吐き出し側ケーシング107と、吐き出し側ケーシング107に接続されたエルボ形状の吸い込み側ケーシング109と、を備える。吐き出し側ケーシング107は、羽根車6を取り囲んで筒状に形成され、筒径が主軸104の延伸方向に沿って拡径した後縮径するように形成されている。横軸斜流ポンプ100が設置された状態において、吐き出し側ケーシング107の拡径した部分の鉛直方向の上部には、他の機器を取り付けるための取り付けポート113が形成される。また、横軸斜流ポンプ100が設置された状態において、吐き出し側ケーシング107の拡径した部分の鉛直方向の下部には、ポンプの長期運転停止時にポンプ内部を空にして保存するときに、吐き出し側ケーシング107内の液体を排出するためのドレンポート111が形成される。また、吐き出し側ケーシング107には、吐き出し側ケーシング107を貫通し、後述する隙間112と外部とを連通させるドレンポート110が形成されている。
吸い込み側ケーシング109は、吐き出し側ケーシング107と接続されていない側に液体吸い込み口109aが形成されている。液体吸い込み口109aは、鉛直下方向に向いている。吸い込み側ケーシング109は、液体吸い込み口109aから上方に延びた後水平方向に延び、吐き出し側ケーシング107と接続されている。吐き出し側ケーシング107は、吸い込み側ケーシング109と接続されていない側に液体吐き出し口107aが形成されている。
主軸104は、吸い込み側ケーシング109を貫通して、水平方向に延びる吐き出し側ケーシング107に沿って延びている。主軸104は、吸い込み側ケーシング109を貫通してケーシング116の外部のフランジ形たわみ軸継手102を介して図示していない駆動機と締結されている。主軸104は図示していない駆動機によって回転し、主軸104の回転によって羽根車106は回転する。羽根車106の回転により、取扱い液(液体、例えば水)は、液体吸い込み口109aから上方に流れ、エルボ状の吸い込み側ケーシング109により水平方向に流れが曲げられて羽根車106へ至る。液体は、羽根車106の回転によりさらに水平方向に送られ、液体吐き出し口107aから排出される。
横軸斜流ポンプ100は、吐き出し側ケーシング107内に設けられたガイドベーン108を備える。ガイドベーン108は、液体を効率的に加速するためにベーンの開放角度を変えることができる。
また、横軸斜流ポンプ100は、ケーシングライナ105を備えている。ケーシングライナ105は、中空の円筒状に形成されており、羽根車106の形状の傾きに合わせて、液体の吸い込み側から吐き出し側に径が広がっている。ケーシングライナ105は、羽根車106と吐き出し側ケーシング107との間に配置され、吐き出し側ケーシング107に嵌合されている。ケーシングライナ105は、羽根車106によって昇圧された液体の逆流を防止し、ポンプ効率を向上させる機能を有する。例えば半径1000mmの羽根車の場合、羽根車106とケーシングライナ105のクリアランスは、半径隙間で1mm程度に規定される。このクリアランスを規定することによって、羽根車106が昇圧した流体の逆流を最小限に防ぎ、ポンプ効率を定めている。
ところで、ケーシングライナ105を受ける吐き出し側ケーシング107は鋳造であり、鋳造だけでは、このような精密な寸法精度で製作することは困難である。従って、吐き出し側ケーシング107には、後加工で鋳物部分を切削してケーシングライナ105の位
置決め部分を加工する必要がある。図1において、A部が後加工部である。
なお、ケーシングライナ105の位置を決め、嵌め合いとするために、ケーシングライナ105に対面する吐き出し側ケーシング107内周全域を切削して位置決め部分とすることは、必要以上の加工の割にコストと加工時間がかかり不合理である。このため、通常の吐き出し側ケーシング107は、図1のようにケーシングライナ105の上流側と下流側に位置決め加工を行う。吐き出し側ケーシング107は、ケーシングライナ105の上流側と下流側の間の部分で吐き出し側ケーシング107の内面がケーシングライナ105に当たらないように隙間112ができるように鋳造されている。隙間112は、羽根車106の口径にもよるが、例えば数mm〜十数mmになる。
隙間112を液体が流通する状態は、ポンプ効率を下げるので、位置決め部分では、吐き出し側ケーシング107とケーシングライナ105を嵌合させて液体のリークを最小にしている。しかしながら、横軸斜流ポンプ100を長期運転するうちにケーシングライナ105は次第に摩耗し、ケーシングライナ105と吐き出し側ケーシング107のクリアランスが広がって性能が低下するおそれがあるので、ケーシングライナ105は交換を予定しており、交換可能なように、この嵌合は「隙間嵌め」となっている。
<第1実施形態のケーシングライナの一例>
ここで、本実施形態のケーシングライナ105について説明する。図2は、第1実施形態のケーシングライナの一例を示す図である。図2の右図は、ケーシングライナ105を液体の吐き出し側から見た平面図である。図2の左図は、ケーシングライナ105を図2の右図のB−B線で切った断面図、及び楕円破線で示した部分の拡大図である。
図1,2に示すように、ケーシングライナ105には、貫通孔114が1箇所形成されている。貫通孔114は、隙間112と、羽根車106が設けられた吐き出し側ケーシング107の内部空間107bと、の間を連通する連通口となる。また、図1に示すように横軸斜流ポンプ100が設置された状態において、貫通孔114は、主軸104から鉛直方向に下がった位置に形成される。言い換えると、ケーシングライナ105は、貫通孔114を主軸104の真下方向に向けた状態で吐き出し側ケーシング107に嵌合(装着)される。なお、貫通孔114の形成位置は、主軸104から鉛直方向に下がった位置には限定されない。
本実施形態のようにケーシングライナ105に貫通孔114を形成することによって、隙間112に密閉的空間が形成されないので、横軸斜流ポンプの長期運転停止時にポンプ内から液体を排出し、ポンプ内部を空にして保存する場合に、ポンプの隙間112に残る液体は、貫通孔114から吐き出し側ケーシング107の内部空間107bへ排出される。すなわち、ケーシングライナ105と吐き出し側ケーシング107との嵌合部(A部)から隙間112に入った液体は重力の影響で隙間112の鉛直方向の下部に流下する。隙間112の鉛直方向の下部に流下した液体は、貫通孔114から吐き出し側ケーシング107の内部空間107bへ効率よく排出され、吐き出し側ケーシング107の下部にあるドレンポート111から外部に排出される。また、本実施形態では、隙間112に接着剤等を注入しないので、ケーシングライナ105の交換を可能とし、かつ、隙間112に残る液体を効率よく排出することができる。
なお、吐き出し側ケーシング107には、図1に示すように隙間112から吐き出し側ケーシング107を貫通し、外部に通じさせたドレンポート110を設けてもよい。これによれば、隙間112に密閉的空間が形成されないので、隙間112の残留液を従来技術に比べて効率よく排出しやすくなる。ただし、ドレンポート110は必ずしも設けなくてもよい。
また、図2に示すように、ケーシングライナ105は、ケーシングライナ105の主軸104に沿った全体長さをLとした場合に、ケーシングライナ105の液体の吐き出し側の端部から1/30L以上1/3L以下離れた位置に、貫通孔114が形成される。
言い換えると、貫通孔114は、ケーシングライナ105の大口径端と小口径端の軸方向長さをLとしたとき、ケーシングライナ105の大口径端(液体の吐き出し側の端部)から小口径端側(液体の吸い込み側)へ1/30L〜1/3L離れた位置に形成される。この位置より上流側に貫通孔114を形成すると隙間112に残る液体の流れ出が良くないし、この位置より下流側に貫通孔114を形成すると嵌合部に干渉するからである。なお、ケーシングライナ105に貫通孔114を形成することは、その部分だけ羽根車106とのクリアランスが広がることを意味するので、これまでは、ケーシングライナ105に貫通孔を空けることは想定外であった。しかしながら、上述のように、ケーシングライナ105の吐き出し側に近い位置範囲に、部分的な貫通孔114が形成されるので、性能にはほとんど影響はない。
また、隙間112に溜まる液体量が少なくなる事により、寒冷地のポンプ機場や夜間の気温が氷点下になるポンプ機場で、隙間112に残る液体の凍結による体積の膨張は低減する。更に、ケーシングライナ105に貫通孔114があるので、図5に示すように、凍結時の体積の膨張による圧力が貫通孔114から逃げるので、ケーシングライナ105や吐き出し側ケーシング107に凍結膨張時の圧力がかからず、破損するおそれを格段に低減することができる。
<第1実施形態のケーシングライナの他の一例>
図3は、第1実施形態のケーシングライナの他の一例を示す図である。図3の右図は、ケーシングライナ105を液体の吐き出し側から見た平面図である。図3の左図は、ケーシングライナ105を図3の右図のB−B線で切った断面図である。
図3に示すように、ケーシングライナ105には、図2と同様の貫通孔114が、ケーシングライナ105の大口径側に、周方向に沿って複数形成されている。具体的には、図1に示すように横軸斜流ポンプ100が設置された状態において、1つの貫通孔114aが、主軸104から鉛直方向に下がった位置に形成され、貫通孔114aからケーシングライナ105の周方向の両側に間隔をあけて貫通孔114b,114cが形成される。貫通孔114a,114b,114cはいずれも、隙間112と、羽根車106が設けられた吐き出し側ケーシング107の内部空間107bと、の間を連通する連通口となる。貫通孔114a,114b,114cはいずれも、ケーシングライナ105の大口径端と小口径端の軸方向長さをLとしたとき、ケーシングライナ105の大口径端(液体の吐き出し側の端部)から小口径端側(液体の吸い込み側)へ1/30L〜1/3L離れた位置に形成される。ケーシングライナ105は、貫通孔114aを主軸104の真下方向に向けた状態で吐き出し側ケーシング107に嵌合(装着)される。
図3の実施形態によれば、ケーシングライナ105に複数の貫通孔114a,114b,114cを形成することによって、隙間112に密閉的空間が形成されないので、隙間112に残存する液体は、貫通孔114a,114b,114cから吐き出し側ケーシング107の内部空間107bへ効率よく排出され易くなる。すなわち、ケーシングライナ105と吐き出し側ケーシング107との嵌合部(A部)から隙間112に入った液体は重力の影響で隙間112の鉛直方向の下部に流下する。隙間112の鉛直方向の下部に流下した液体は、羽根車106の回転等によって吐き出し側ケーシング107内に形成される液体の流れに導かれて、貫通孔114a,114b,114cから吐き出し側ケーシング107の内部空間107bへ効率よく排出される。また、本実施形態では、隙間112
に接着剤等を注入しないので、ケーシングライナ105の交換を可能とし、かつ、隙間112に残る液体を効率よく排出することができる。
また、隙間112に溜まる液体量が少なくなる事により、寒冷地のポンプ機場や夜間の気温が氷点下になるポンプ機場で、隙間112に残る液体の凍結による体積の膨張は低減する。更に、ケーシングライナ105に貫通孔114a,114b,114cがあるので、図5に示したのと同様に、凍結時の体積の膨張による圧力がこれらの貫通孔114a,114b,114cから逃げるので、ケーシングライナ105や吐き出し側ケーシング107に凍結膨張時の圧力がかからず、破損するおそれを格段に低減することができる。
<第1実施形態のケーシングライナの他の一例>
図4は、第1実施形態のケーシングライナの他の一例を示す図である。図4の右図は、ケーシングライナ105を液体の吐き出し側から見た平面図である。図4の左図は、ケーシングライナ105を図4の右図のB−B線で切った断面図である。
図4に示すように、ケーシングライナ105には、大口径側の端部に切り欠き115が形成されている。具体的には、図1に示すように横軸斜流ポンプ100が設置された状態において、切り欠き115は、主軸104から鉛直方向に下がった位置に形成される。切り欠き115は、隙間112と、羽根車106が設けられた吐き出し側ケーシング107の内部空間107bと、の間を連通する連通口となる。なお、切り欠き115の形成位置は、主軸104から鉛直方向に下がった位置には限定されない。切り欠き115は、ケーシングライナ105の大口径端と小口径端の軸方向長さをLとしたとき、ケーシングライナ105の大口径端(液体の吐き出し側の端部)と、ケーシングライナ105の大口径端(液体の吐き出し側の端部)から小口径端側(液体の吸い込み側)へ1/3L離れた位置と、の間に形成される。ケーシングライナ105は、切り欠き115を主軸104の真下方向に向けた状態で吐き出し側ケーシング107に嵌合(装着)される。
図4の実施形態によれば、ケーシングライナ105に切り欠き115を形成することによって、隙間112に密閉的空間が形成されないので、隙間112に残存する液体は、切り欠き115から吐き出し側ケーシング107の内部空間107bへ効率よく排出され易くなる。すなわち、ケーシングライナ105と吐き出し側ケーシング107との嵌合部(A部)から隙間112に入った液体は重力の影響で隙間112の鉛直方向の下部に流下する。隙間112の鉛直方向の下部に流下した液体は、切り欠き115から吐き出し側ケーシング107の内部空間107bへ効率よく排出される。
また、隙間112に溜まる液体量が少なくなる事により、寒冷地のポンプ機場や夜間の気温が氷点下になるポンプ機場で、隙間112に残る液体の凍結による体積の膨張は低減する。更に、ケーシングライナ105に切り欠き115があるので、図5に示したのと同様に、凍結時の体積の膨張による圧力が切り欠き115から逃げるので、ケーシングライナ105や吐き出し側ケーシング107に凍結膨張時の圧力がかからず、破損するおそれを格段に低減することができる。また、本実施形態では、隙間112に接着剤等を注入しないので、ケーシングライナ105の交換を可能とし、かつ、隙間112に残る液体を効率よく排出することができる。
なお、ケーシングライナ105に形成する貫通孔114又は切り欠き115は、ポンプ効率が低下しないのであれば、円形ばかりでなく楕円形でも矩形でもよく、自由な形状、自由な数の連通口とすることができる。
<第2実施形態>
図6は、第2実施形態の横軸軸流ポンプの断面図である。横軸軸流ポンプも、横軸斜流
ポンプと同じように農業用水の供給などのように、繁農期には良く稼動しても、閑農期にはポンプ運転を長期間休止するという利用法が多い。長期間運転を休止する場合には、次に利用するまでポンプ内部の水を抜いて保存する。この場合、横軸斜流ポンプのような吐出し側ケーシングに液体が溜まる構造ではないので、取り付けポート213などのポートから大気を導入することで、ポンプ内部の液体は、吸い込み側ケーシングから外部に排出される。
図6に示すように、横軸軸流ポンプ200は、主軸204と、主軸204と他の軸とを接続する軸継手202と、主軸204を支持する軸受203と、主軸204に連結された羽根車206と、主軸204の一部及び羽根車206を収容するケーシング216と、を備える。
ケーシング216は、吐き出し側ケーシング207と、吐き出し側ケーシング207に接続されたエルボ形状の吸い込み側ケーシング209と、を備える。吐き出し側ケーシング207は、羽根車6を取り囲んで筒状に形成される。横軸軸流ポンプ200が設置された状態において、吐き出し側ケーシング207の鉛直方向の上部には、他の機器を取り付けるための取り付けポート213が形成される。
吸い込み側ケーシング209は、吐き出し側ケーシング207と接続されていない側に液体吸い込み口209aが形成されている。液体吸い込み口209aは、鉛直下方向に向いている。吸い込み側ケーシング209は、液体吸い込み口209aから上方に延びた後水平方向に延び、吐き出し側ケーシング207と接続されている。吐き出し側ケーシング207は、吸い込み側ケーシング209と接続されていない側に液体吐き出し口207aが形成されている。
主軸204は、吸い込み側ケーシング209を貫通して、水平方向に延びる吐き出し側ケーシング207に沿って延びている。主軸204は、吸い込み側ケーシング209を貫通してケーシング216の外部のフランジ形たわみ軸継手202を介して図示していない駆動機と締結されている。主軸204は図示していない駆動機によって回転し、主軸204の回転によって羽根車206は回転する。羽根車206の回転により、取扱い液(液体、例えば水)は、液体吸い込み口209aから上方に流れ、エルボ状の吸い込み側ケーシング209により水平方向に流れが曲げられて羽根車206へ至る。液体は、羽根車206の回転によりさらに水平方向に送られ、液体吐き出し口207aから排出される。
横軸軸流ポンプ200は、吐き出し側ケーシング207内に設けられたガイドベーン208を備える。ガイドベーン208は、液体を効率的に加速するためにベーンの開放角度を変えることができる。
また、横軸軸流ポンプ200は、ケーシングライナ205を備えている。ケーシングライナ205は、中空の円筒状に形成され、羽根車206の形状の傾きに合わせて、液体の吸い込み側から吐き出し側に径が広がっている。ケーシングライナ205は、羽根車206と吐き出し側ケーシング207との間に配置され、吐き出し側ケーシング207に嵌合されている。ケーシングライナ205は、羽根車206によって昇圧された液体の逆流を防止し、ポンプ効率を向上させる機能を有する。例えば半径1000mmの羽根車の場合、羽根車206とケーシングライナ205のクリアランスは、半径隙間で1mm程度に規定される。このクリアランスを規定することによって、羽根車206が昇圧した流体の逆流を最小限に防ぎ、ポンプ効率を定めている。
横軸軸流ポンプ200においても、ケーシングライナ205を受ける吐き出し側ケーシング207は鋳造であり、鋳造だけでは、このような精密な寸法精度で製作することは困
難である。したがって、吐き出し側ケーシング207には、後加工で鋳物部分を切削してケーシングライナ205の位置決め部分を加工する必要がある。図6において、A部が後加工部である。
図1の横軸斜流ポンプ100で説明したのと同じように、ケーシングライナ205の位置を決め、嵌め合いとするために、ケーシングライナ205に対面するケーシング内周全域を切削して位置決め部分とすることは、必要以上の加工の割にコストと加工時間がかかり不合理である。このため、横軸軸流ポンプ200においても、通常の吐き出し側ケーシング207は、ケーシングライナ205の上流側と下流側に位置決め加工を行い、上流側と下流側の間の部分で吐き出し側ケーシング207内面がケーシングライナ205に当たらないように隙間212ができるように鋳造されている。隙間212は、羽根車206の口径にもよるが数mm〜十数mmになる。
隙間212を液体が流通する状態は、ポンプ効率を下げるので、位置決め部分では、吐き出し側ケーシング207とケーシングライナ205を嵌合させてリークを最小にしている。しかしながら、横軸軸流ポンプ200を長期運転するうちにケーシングライナ205は次第に摩耗し、ケーシングライナ205と吐き出し側ケーシング207のクリアランスが広がって性能が低下するおそれがあるのでケーシングライナ205は交換を予定しており、交換可能なように、この嵌合は「隙間嵌め」となっている。
<第2実施形態のケーシングライナの一例>
ここで、本実施形態のケーシングライナ205について説明する。図7は、第2実施形態のケーシングライナの一例を示す図である。図7は、横軸軸流ポンプ200が設置された状態で主軸204を通る鉛直面でケーシングライナ205を切った断面図、及び楕円破線で示した部分の拡大図である。
図6,7に示すように、ケーシングライナ205には、貫通孔214が1箇所形成されている。貫通孔214は、隙間212と、羽根車206が設けられた吐き出し側ケーシング207の内部空間207bと、の間を連通する連通口となる。また、図6に示すように横軸軸流ポンプ200が設置された状態において、貫通孔214は、主軸204から鉛直方向に下がった位置に形成される。言い換えると、ケーシングライナ205は、貫通孔214を主軸204の真下方向に向けた状態で吐き出し側ケーシング207に嵌合(装着)される。
本実施形態のようにケーシングライナ205に貫通孔214を形成することによって、隙間212に密閉的空間が形成されないので、横軸軸流ポンプの長期運転停止時にポンプ内から液体を排出し、ポンプ内部を空にして保存する場合に、ポンプの隙間212に残る液体は、貫通孔214から吐き出し側ケーシング207の内部空間207bへ排出される。すなわち、ケーシングライナ205と吐き出し側ケーシング207との嵌合部(A部)から隙間212に入った液体は重力の影響で隙間212の鉛直方向の下部に流下する。隙間212の鉛直方向の下部に流下した液体は、貫通孔214から吐き出し側ケーシング207の内部空間207bへ効率よく排出され、吸い込み側ケーシング209側に流下して外部に排出される。また、本実施形態では、隙間212に接着剤等を注入しないので、ケーシングライナ205の交換を可能とし、かつ、隙間212に残る液体を効率よく排出することができる。
なお、吐き出し側ケーシング207には、図1に示すドレンポート110と同様に、隙間212から吐き出し側ケーシング207を貫通し、外部に通じさせたドレンポートを設けてもよい。これによれば、隙間212に密閉的空間が形成されないので、隙間212の残留液を従来技術に比べて効率よく排出しやすくなる。ただし、ドレンポートは必ずしも
設けなくてもよい。
また、図7に示すように、ケーシングライナ205は、ケーシングライナ205の主軸204に沿った全体長さをLとした場合に、ケーシングライナ205の液体の吐き出し側の端部から1/30L以上1/3L以下離れた位置に、貫通孔214が形成される。
言い換えると、貫通孔214は、ケーシングライナ205の大口径端と小口径端の軸方向長さをLとしたとき、ケーシングライナ205の大口径端(液体の吐き出し側の端部)から小口径端側(液体の吸い込み側)へ1/30L〜1/3L離れた位置に形成される。この位置より上流側に貫通孔214を形成すると隙間212に残る液体の流れ出が良くないし、この位置より下流側に貫通孔214を形成すると嵌合部に干渉するからである。なお、ケーシングライナ205に貫通孔214を形成することは、その部分だけ羽根車206とのクリアランスが広がることを意味するので、これまでは、ケーシングライナ205に貫通孔を空けることは想定外であった。しかしながら、上述のように、ケーシングライナ205の吐き出し側に近い位置範囲に、部分的な貫通孔214が形成されるので、性能にはほとんど影響はない。
また、隙間212に溜まる液体量が少なくなる事により、寒冷地のポンプ機場や夜間の気温が氷点下になるポンプ機場で、隙間212に残る液体の凍結による体積の膨張は低減する。更に、ケーシングライナ205に貫通孔214があるので、図5に示したのと同様に、凍結時の体積の膨張による圧力が貫通孔214から逃げるので、ケーシングライナ205や吐き出し側ケーシング207に凍結膨張時の圧力がかからず、破損するおそれを格段に低減することができる。
なお、第2実施形態では、ケーシングライナ205に貫通孔214を1箇所形成する例を示したが、これに限らず、図3に示すように複数の貫通孔を形成してもよいし、図4に示すように切り欠きを形成してもよい。また、ケーシングライナ205に形成する貫通孔214又は切り欠きは、ポンプ効率が低下しないのであれば、円形ばかりでなく楕円形でも矩形でもよく、自由な形状、自由な数の連通口とすることができる。
また、第1実施形態及び第2実施形態の横軸斜流ポンプ100、横軸軸流ポンプ200は、エルボ形状の吸い込み側ケーシング109,209を用いているが、エルボ角度が90度の角度に曲げたもの以外の、例えば60度や45度に曲げたものも含まれる。さらに、液体吸い込み口109a,209aが水平方向に向いている場合であっても、横軸斜流ポンプ100、横軸軸流ポンプ200において、ケーシングとケーシングライナの間に上述のような隙間構造があるものは本願発明の範囲に含まれる。
また、本願発明の第1実施形態及び第2実施形態について説明したが、本願発明は上述の実施形態に限定されず、その技術思想の範囲内において、種々の異なる形態で実施されてよいことは勿論である。