JP2015189146A - 複合構造体及びその製造方法、樹脂構造体 - Google Patents
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Abstract
【課題】互いに熱膨張係数の異なる樹脂構造体に金属板を挟持させた複合構造体において、融着時に樹脂構造体に歪みやクラック、不融着部分が生じるのをより簡便な方法で防止する。【解決手段】樹脂構造体3の表裏に金属板21、22を熱融着により貼り合わせる複合構造体の製造方法であって、いずれかの接合面上に互いに異なる方向に向けて延長された第1の溝81及び第2の溝82が設けられている樹脂構造体3に、金属板21、22を表裏から当接させ、これらを加熱することにより樹脂構造体3を上記各金属板21、22に熱融着させる。【選択図】図1
Description
本発明は、壁材、床材、屋根材等の建築用部材等に使用され、樹脂構造体に金属板を挟持させた複合構造体及びその製造方法、樹脂構造体に関する。
従来より、壁材、床材、屋根材等の建築用部材等に使用される、樹脂構造体と金属板との複合構造体が各種提案され、実用化に至っている。この複合構造体は、互いに熱膨張係数の相違する樹脂と金属からなる異種材料を互いに貼り合わせて融着させるものであることから、互いの熱膨張係数の差異に基づいて樹脂構造体に歪みやクラックが生じる場合もあり、樹脂構造体がいびつな形状に膨出する形状不良が生じる場合もある。また金属板よりも熱膨張係数の大きい樹脂構造体は、熱膨張時に平面状に延伸するため、特に樹脂構造体と金属板との互いの中央部の界面に不融着又は不接着部分が発生してしまう場合もある。
このため、特許文献1には、樹脂板と互いに熱膨張係数の異なる異種材料(無機ガラス、金属板等)とを接着する際に、柔軟性に富む接着剤と、引張強さに富む接着剤とを交互に配置する技術が開示されている。この特許文献1の開示技術では、柔軟性に富む接着剤による緩衝作用により歪みやクラックの発生を抑制する。他方、引張強さに富む接着剤により接着力を維持する。これにより、加熱冷却による熱膨張差、熱吸収差を低減させる。
また、特許文献2には、互いに熱膨張係数の異なる異種材料を接着する際に、熱膨張率の低い材料を引き伸ばすことにより、熱膨張係数の高い材料の膨張量とほぼ等しくなるように調整して接合する技術が開示されている。これにより、異種材料間の熱膨張率差に起因する残留熱歪差を低減させるが可能となる。
しかしながら、上述した特許文献1の開示技術では、柔軟性に富む接着剤と、引張強さに富む接着剤とを交互に配置する作業が別途必要となり、製造工程が複雑化するため、製造労力の負担が大きく、製造効率を向上させることができないという問題点があった。また、互いに接着させるべき異種材料が変わる都度、接着剤の材料選定が必要となるため、製法の汎用性を向上させることができないという問題点もあった。
また、特許文献2の開示技術では、表面材の4辺をアルミ治具で固定するため、バッチ式の生産のみ可能となり、ロール式による連続生産には対応できないという問題点があった。
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、互いに熱膨張係数の異なる樹脂構造体に金属板を挟持させた複合構造体における樹脂構造体の歪みやクラックなどをより簡便な方法で防止することが可能な複合構造体及びその製造方法、樹脂構造体を提供することにある。
本発明者らは、樹脂構造体に金属板を挟持させて複合構造体とする上で、上記金属板とのいずれかの接合面に互いに異なる方向に向けて延長された第1の溝及び第2の溝が設けられた樹脂構造体を使用することにより、上述した課題を解決することとした。
請求項1記載の複合構造体は、樹脂構造体に金属板を挟持させた複合構造体であって、上記樹脂構造体は、上記金属板とのいずれかの接合面に、互いに異なる方向に向けて延長された第1の溝及び第2の溝が設けられていることを特徴とする。
請求項2記載の複合構造体は、請求項1記載の発明において、上記第1の溝及び上記第2の溝は、樹脂構造体に金属板を挟持させた後に通過させる形状矯正用ロールへの通過方向と異なる方向に向けて延長されていることを特徴とする。
請求項3記載の複合構造体は、請求項1記載の発明において、上記第1の溝又は上記第2の溝は、樹脂構造体に金属板を挟持させた後に通過させる形状矯正用ロールへの通過方向と平行方向に向けて延長されていることを特徴とする。
請求項4記載の複合構造体は、請求項1記載の発明において、上記第1の溝は、樹脂構造体に金属板を挟持させた後に通過させる形状矯正用ロールへの通過方向に対して約45°の方向に向けて延長され、上記第2の溝は、上記第1の溝の延長方向に対してほぼ90°の方向に向けて延長されていることを特徴とする。
請求項5記載の複合構造体は、請求項1〜4のうち何れか1項記載の発明において、上記樹脂構造体は、第1の金属板が熱融着される基部の表面から中空状の凸部が複数形成され、上記凸部における頂面には第2の金属板が熱融着され、上記凸部は、千鳥配列又は正方配列されていることを特徴とする。
請求項6記載の複合構造体は、請求項5項記載の発明において、上記第1の溝及び上記第2の溝は、第1の金属板が熱融着される基部の接合面に形成されていることを特徴とする。
請求項7記載の複合構造体は、請求項1〜6のうち何れか1項記載の発明において、上記第1の溝及び上記第2の溝は、樹脂構造体の板厚の20〜30%の深さであることを特徴とする。
請求項8記載の複合構造体は、請求項1〜7のうち何れか1項記載の発明において、上記樹脂構造体は、接着剤を介して上記金属板と接着されていることを特徴とする。
請求項9記載の樹脂構造体は、請求項1〜8の何れか1項記載の複合構造体に用いられ、上記金属板のいずれかの接合面に、互いに異なる方向に向けて延長された第1の溝及び第2の溝が設けられていることを特徴とする。
請求項10記載の複合構造体の製造方法は、樹脂構造体の表裏に金属板を熱融着により貼り合わせる複合構造体の製造方法であって、いずれかの接合面上に互いに異なる方向に向けて延長された第1の溝及び第2の溝が設けられている上記樹脂構造体に、上記金属板を表裏から当接させ、これらを加熱することにより上記樹脂構造体を上記各金属板に熱融着させることを特徴とする。
請求項11記載の複合構造体の製造方法は、請求項10記載の発明において、上記加熱時において上記樹脂構造体における熱膨張する樹脂を第1の溝及び上記第2の溝に流し込ませることにより、当該熱膨張を吸収することを特徴とする。
請求項12記載の複合構造体の製造方法は、樹脂構造体の表裏に金属板を接着により貼り合わせる複合構造体の製造方法であって、いずれかの接合面上に互いに異なる方向に向けて延長された第1の溝及び第2の溝が設けられている上記樹脂構造体に、上記金属板を表裏から接着剤を介して当接させ、これらを加熱することにより上記樹脂構造体を上記各金属板に上記接着剤により接着させることを特徴とする。
上述した構成からなる本発明によれば、製造時の加熱により樹脂の熱膨張による体積増加を溝において吸収することが可能となり、ひいては樹脂構造体の基部全体の熱膨張が抑えられる。その結果、樹脂構造体は、金属板との間で相対的な熱膨張差を抑えられることとなる。
このため、本発明によれば、製造時の加熱により、金属板と樹脂構造体の熱膨張係数の差異による、樹脂構造体側の歪みやクラックが生じるのを防止することができる。また、樹脂構造体と、金属板との熱膨張係数の差異により、互いの接合面において不融着又は不接着部分が生じるのを防止することが可能となる。更に樹脂構造体と、金属板との間で相対的な熱膨張差が低減されることから、樹脂構造体がいびつな形状に膨出する形状不良を低減させることが可能となる。
特に本発明によれば、樹脂構造体の表裏の形状、換言すれば金属板との接合面の形状が異なる場合や、金属板と樹脂構造体間の形状、アスペクト比が大きく異なる場合においても、上述の如き効果を奏する。
しかも本発明によれば、これらの樹脂構造体と、金属板との接合を従来と同様の製造装置で製造することができ、特に新たな工程を導入する必要もないことから、製造方法自体が複雑化することなく、製造容易性を向上させることもできる。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明をする。
図1は、本発明を適用した樹脂構造体と金属板とからなる複合構造体1の上側から視認した組立斜視図であり、図2はその複合構造体1を下側から視認した組立斜視図である。更に図3は、組み立てた後の複合構造体1における斜視図であり、図4は、その側断面図を示している。
複合構造体1は、樹脂構造体3と、この樹脂構造体3の一方から熱融着させる第1の金属板21と、この樹脂構造体3の他方から熱融着させる第2の金属板22とを備えている。
樹脂構造体3の材質は、熱可塑性樹脂であれば特に限定されるものではなく、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等のオレフィン系樹脂、その他の合成樹脂を使用する。図5は、樹脂構造体3の斜視図であり、図6(a)は、樹脂構造体3のB−B´断面図である。樹脂構造体3は、平板上の基部30の表面に中空状の凸部31が間隔をあけて複数形成されている。この凸部31は、基部30の表面から立ち上げられた壁部32と、この壁部32の壁部先端部に接続する頂面33を備えている。壁部32における周側壁の全周の壁部先端部から頂面33が形成されている。即ち、壁部32における壁部先端部が頂面33により閉塞され、基部30の表面から中空状に膨出する立状体からなる凸部31が全体としてキャップ状の突起とされている。また凸部31において、壁部32における周側壁の全周及び頂面33により覆われる空洞35は、開空間とされており、第1の金属板21が取り付けられるC側から見た場合、空洞35の内形の形状に応じた窪みが形成されている状態となる。
図7(a)、(b)は、樹脂構造体3の平面図を示している。基部30の上に形成された凸部31は、平面視において図7(a)に示すような正方配置とされていてもよいし、図7(b)に示すような千鳥配置とされていてもよい。また、これに限らず、他のいかなる規則的、又は不規則的な配列とされていてもよい。また、樹脂構造体3は、上述した凸部31が形成されている場合に限定されるものではなく、平板状(ソリッド状)とされていてもよいし、凸部31以外のリブ等、あらゆるものが設けられていてもよい。
また凸部31の断面形状としては、断面円形状とされていてもよいし、特に図7(a)に示すような正方配置の場合には、断面正方形状とされていてもよい。また図7(b)に示すような千鳥配置の場合には、断面正六角形状とされていてもよい。また、凸部31の断面形状は、他のいかなる規則的又は不規則的な形状とされていてもよい。
樹脂構造体3には、互いに異なる方向に向けて延長された第1の溝81及び第2の溝82が設けられている。この第1の溝81と第2の溝82との延長方向は、互いに異なるものであればいかなる方向とされていてもよい。図6(a)に示すように第1の溝81、第2の溝82ともに樹脂構造体3における基部30から切り込みを入れることにより形成されている。図6(b)は、この図6に示す凸部31及び溝81(82)をD方向から視認した状態を示す図である。凸部31において、溝81(82)が基部30の底部から切り込まれているのが示されている。この溝81(82)の深さは、樹脂構造体3の板厚の20〜30%の深さであることが望ましいが、いかなる深さで構成されていてもよい。
その理由として、溝81(82)の深さが30%を超えると、当該溝81(82)を介して隔てられる樹脂構造体3が断裂してしまう虞があり、樹脂構造体3自体が一体物として構成されなくなるためである。また、溝81(82)の深さが30%を超えると、当該溝81(82)の部分における剛性が小さくなり、折れが発生してしまう虞があるためである。
また、図6(c)は、同じく図6(a)に示す基部30及び溝81(82)をD方向から視認した状態を示す図である。この図6(c)は、ちょうど凸部31が無い箇所におけるD方向から視認した断面図であるが、溝81(82)は、基部30を分断しつつ、その延長方向に向けて延長されていることが示されている。
ちなみに、溝81(82)は基部30側から形成される場合に限定されるものではなく、頂面33側から形成されるものであってもよい。また溝81(82)は、平面視でほぼ直線状とされていることが前提となるが、これに限定されるものではなく、若干曲線状とされているものも含むものである。
また、第1の溝81、第2の溝82の何れか一方以上は、連続的に延長されているもののみならず、断続的に形成された溝とされていてもよい。また樹脂構造体3は、第1の溝81、第2の溝82を介して互いに細かく分断されていてもよい。即ち、溝81(82)を介して分断された樹脂構造体3の断片を互いに近接させて配置するようにしてもよい。第1の金属板21、第2の金属板22上にこの分断された樹脂構造体3の断片を貼り合わせ、これら断片の間に形成された境界を第1の溝81、第2の溝82としてもよい。
第1の金属板21、第2の金属板22は、鋼板、アルミ合金板、ステンレス板、亜鉛合金板、銅板、或いはその他の金属板を用いるようにしてもよい。また第1の金属板21、第2の金属板22は、表面をメッキ処理した金属板を使用するようにしてもよい。第1の金属板21、第2の金属板22は、連続した又は短尺の板状又はシート状の金属板を用いるようにしてもよい。第1の金属板21、第2の金属板22の板厚寸法は、建築部分における床材、或いは屋根材等、使用される場所により、適宜設計される。
このような第1の金属板21は、図3、4に示すように基部30の底面側から融着される。その結果、中空状の凸部31の底部がこの第1の金属板21を介して閉塞されることとなり、空洞35は、壁部32における周側壁の全周及び頂面33、更には第1の金属板21により覆われる閉空間とされる。また、第2の金属板22は、凸部31における頂面33に融着される。この結果、複合構造体1は、第1の金属板21、樹脂構造体3、第2の金属板22が順に積層されてなる板状体として構成することが可能となる。
上述の如き構成からなる複合構造体1を製造する場合、連続的に製造しても、断続的に製造してもよい。例えば、樹脂構造体3の表裏両面に第1の金属板21、第2の金属板22を融着させる場合には、図8に示す製造装置5により製造するようにしてもよい。
この製造装置5において、樹脂構造体3は予めリール52に巻いた状態で利用されるが、このリール52に巻く前に、第1の溝81、第2の溝82の開削工程が導入される。この第1の溝81、第2の溝82の開削工程では、例えば、溝81(82)の延長線に応じた部位に、刃が形成された金型に基部30を押し当てて開削させるようにしてもよい。或いは、作業員が手作業でカッターや、電熱線等を利用して溝81(82)を開削するようにしてもよい。
製造装置5によれば、第1コイル20aから繰り出される帯状の第1の金属板21をリール52から繰り出される帯状の樹脂構造体3に対してロール54を介して沿わせて、加熱炉53等により帯状の樹脂構造体3の融点に近い温度に金属板を加熱している。同様に第2コイル20bから繰り出される帯状の第2の金属板22をリール52から繰り出される帯状の樹脂構造体3に対してロール54を介して沿わせて、加熱炉53等により帯状の樹脂構造体3の融点に近い温度に金属板を加熱している。
これにより、第1の金属板21に接触している樹脂構造体3の基部30が軟化し、第1の金属板21の表面に融着することとなる。これと同時に、第2の金属板22に接触している樹脂構造体3の凸部31の頂面33が軟化する結果、当該頂面33が第2の金属板22の表面に融着することとなる。ちなみにこの加熱炉53の後段に形成された上下の金属製ロール57により第1の金属板21、第2の金属板22を上下方向から加圧することで、これら金属板21、22による帯状の樹脂構造体3への融着をより着実に実行することが可能となる。
なお、上述の場合、帯状の樹脂構造体3に接触させるための金属製ロール57は、特に加熱等を必要としないが、当該金属製ロール57を、樹脂構造体3の融点よりも+5℃〜+15℃に加熱するようにしてもよい。これにより、帯状の樹脂構造体3における融着する面側を軟化させ、金属板21、22に対して加圧して密着させた状態で融着して連続した帯状の複合構造体1を製造するようにしてもよい。得られた帯状の複合構造体1は、図示しない走行切断機等の切断装置により所定の長さに切断されると共に、空冷又は水冷等の手段により冷却することで所定の長さの複合構造体1が製造されることとなる。
最後に、所定の長さに切断された複合構造体1をレベラー58に通過させる。このレベラー58は、帯状の複合構造体1の表裏に形成された第1の金属板21、第2の金属板22を上下方向から加圧するためのロールである。複合構造体1をレベラー58に通すことにより、その高さ等を微調整することが可能となり、いわゆる形状矯正を行うことが可能となる。
上述の複合構造体1の製造方法では、加熱炉53による加熱工程が加わる。樹脂構造体3と、金属板21、22は互いに異なる熱膨張係数を有するため、この加熱工程において互いの熱膨張量は当然に異なるものとなる。即ち、樹脂構造体3は、金属板21、22と比較して熱膨張係数が大きいため、加熱炉53による加熱工程では、金属板21、22よりも熱膨張量が大きくなる。
このような樹脂構造体3の金属板21、22に対する相対的な熱変形挙動を説明する上で、先ず凸部31における頂面33は、他の凸部31における頂面33と互いに離間している。このため、図9(a)の頂面33を上から視認した斜視図に示すように、互いの凸部31の頂面33間で特に相対的な変形が拘束されることなく、頂面33の外側に広がるように熱膨張が生じることとなる。これに対して、樹脂構造体3の基部30については、図9(b)の基部30を底面側から視認した底面図に示すように、互いにハニカム状に連結している。即ち、基部30は互いに壁部32同士で連続していることから互いに拘束される関係にある。このため、加熱された場合に基部30は、空洞35の内側に向けて膨張しようとする。このような空洞35内側への膨張が生じた場合においても、上述のように基部30は互いに壁部32同士で拘束されていることから、結局は外側に向けて再び戻ろうとする。
その結果、この第1の溝81、第2の溝82により囲まれているに領域における樹脂は、図9(b)の点線で囲まれる領域において外側に向けて膨張しようとする。第1の溝81、第2の溝82には、矢印方向に樹脂が集まってくることとなる。この樹脂は、第1の溝81、第2の溝82へ膨張することとなる。このようにして樹脂の熱膨張による体積増加をこの溝81(82)において吸収することが可能となり、ひいては基部30全体の熱膨張が抑えられる。その結果、樹脂構造体3は、金属板21、22との間で相対的な熱膨張差を抑えられることとなる。
このため、本発明によれば、製造時の加熱により、樹脂構造体3と、金属板21、22との熱膨張係数の差異により、樹脂構造体3側に歪みやクラックが生じるのを防止することができる。また、樹脂構造体3と、金属板21、22との熱膨張係数の差異により、互いの接合面において不融着部分が生じるのを防止することが可能となる。更に樹脂構造体3と、金属板21、22との間で相対的な熱膨張差が低減されることから、樹脂構造体3がいびつな形状に膨出する形状不良を低減させることが可能となる。
特に本発明によれば、樹脂構造体3の表裏の形状、換言すれば金属板21、22との接合面の形状が異なる場合や、金属板21、22と樹脂構造体3間の形状、アスペクト比が大きく異なる場合においても、上述の如き効果を奏する。
しかも本発明によれば、これらの樹脂構造体3と、金属板21、22との接合を従来と同様の製造装置で製造することができ、特に新たな工程を導入する必要もないことから、製造方法自体が複雑化することなく、製造容易性を向上させることもできる。
なお、上述した実施の形態では、樹脂構造体3を熱融解させて、第1の金属板21と第2の金属板22とに融着させる場合を例にとり説明をしたが、これに限定されるものではない。例えば図10に示すように、樹脂構造体3を第1の金属板21と第2の金属板22に対して接着剤61を介して接着するようにしてもよい。かかる場合には、図10(a)に示すように、樹脂構造体3に接着する前の第1の金属板21及び第2の金属板22の各接着面に接着剤61を予め塗布しておく。そして接着時には、図10(b)に示すように、第1の金属板21と樹脂構造体3における基部30とを互いに接着剤61を介して接着する。そして、第2の金属板22と樹脂構造体3における頂面33とを互いに接着剤61を介して接着する。
図11は、このような接着剤61を塗布する工程が導入された製造装置5´を示している。この製造装置5´において、図8に示す製造装置5と同一の構成要素、部材に関しては、同一の符号を付すことにより、以下での説明を省略する。
この製造装置5´によれば、第1コイル20aから繰り出される帯状の第1の金属板21の接着面に、接着剤塗布ローラー或いは接着剤吹き付け装置等の接着剤塗布部51により接着剤を塗布して接着剤付きの帯状の第1の金属板21とする。そして、この第1の金属板21をリール52から繰り出される帯状の樹脂構造体3に対してロール54を介して沿わせて、加熱炉53等により帯状の樹脂構造体3の融点に近い温度に金属板を加熱している。同様に第2コイル20bから繰り出される帯状の第2の金属板22の接着面に、接着剤塗布部51により接着剤を塗布して接着剤付きの帯状の第2の金属板22とする。そして、この第2の金属板22をリール52から繰り出される帯状の樹脂構造体3に対してロール54を介して沿わせて、加熱炉53等により帯状の樹脂構造体3の融点に近い温度に金属板を加熱している。
これにより、第1の金属板21及び第2の金属板22の各接着面に接着剤61を予め塗布することができ、しかもその接着面を樹脂構造体3に押し当てることが可能となる。この状態で加熱炉53を介して金属板21、22、樹脂構造体3を加熱することにより、第1の金属板21と樹脂構造体3の基部30との間にある接着剤61によって接着することとなる。また第2の金属板22と樹脂構造体3の頂面33との間にある接着剤61が接着することとなる。このとき、接着剤61による接着のみならず、樹脂構造体3自身により金属板21、22と融着させることも合わせて実現するようにしてもよい。
このような製造装置5´により製造された複合構造体1についても、同様に加熱工程が入るが、上述と同様に樹脂は溝81(82)へ膨張することで、樹脂構造体3と金属板21、22との相対的な熱膨張差を抑えることができることから、上述と同様の作用効果を奏しえるものとなる。
次に、本発明を適用した複合構造体1の作用効果について検証するために行った実施例について説明をする。
厚さ8mmからなる上述した構造からなる樹脂構造体3の表裏に、厚さ0.4mmからなる鋼板を金属板21、22として上述した製造装置5を用いて樹脂を熱融着させることにより貼り付けた。得られた複合構造体1のサイズは、幅914mm、長さ1192mmとしている。樹脂構造体3の材質は、ポリプロピレン樹脂であり、凸部31の平面視における形状は、円形形状としている。製造装置5における加熱炉53における加熱温度は、150℃〜250℃、より好ましくは170℃〜230℃である。
実際に実験で使用した樹脂構造体3の平面形状を図12に示す。比較例1は、第1の溝81、第2の溝82が全く形成されていないものである。
本発明例1は、第1の溝81、第2の溝82を、互いに直交するように形成させている。但し、この第1の溝81は、樹脂構造体3の外周を構成する左右の辺に平行であり、第2の溝82は、樹脂構造体3の外周を構成する上下の辺に平行である。溝81(82)はそれぞれ連続するものとされている。隣接する第1の溝81間、第2の溝82間の間隔は、それぞれ200mmとされている。
本発明例2は、第1の溝81、第2の溝82を、互いに直交するように形成させている。但し、この第1の溝81は、樹脂構造体3の外周を構成する左右の辺に対して45°の方向に傾いており、第2の溝82は、樹脂構造体3の外周を構成する上下の辺に平行に対して45°の方向に傾いている。溝81(82)はそれぞれ断続的に形成されている。隣接する第1の溝81間、第2の溝82間の間隔は、それぞれ200mmとされている。ちなみに、この溝81(82)は基部30側から設けられている。
比較例2は、第1の溝81が5mm間隔で設けられており、第2の溝82は設けられていない。第1の溝81は、樹脂構造体3の外周を構成する左右の辺に平行であり、断続的に形成されている。ちなみに、この第1の溝81は、基部30側から設けられている。
これらの本発明例1〜2、比較例1〜2について、上述した製造装置5を利用して製造を行い、最後にレベラー58に通した。レベラー58に通す方向が図12中L方向である。
これらの本発明例1〜2、比較例1〜2について以下に説明する試験を行った。試験体の端部の浮き平均は、レベラー58を通過させた後の試験体の両端部及び中心部の計3箇所の浮きの平均値を測定したものである。
L方向の曲がり平均は、図13に示すようにL方向における投影長さlに対する、L方向中心の撓みεの比率ε/lの平均値である。平均値を求める上での測定箇所は、L方向に向けて3箇所としている。
また外観検査は、目視で外観を検査して、MAX7点として評価したものである。
表1に試験結果を示す。
比較例1は、レベラー58へ通過させた後の樹脂構造体3と、第1の金属板21、第2の金属板22とが殆ど剥離してしまい、測定不能であった。
比較例2は、レベラー58を通過させた後の端部の浮き平均が比較例2よりも改善されていたが、外観形態は良好とはいなかった。
これに対して、本発明例1、2は何れも端部の浮き平均、L方向、の各曲がり平均が、比較例2と同等又はそれ以下であり、外観検査結果も良好であった。浮き平均、曲がり平均を小さくすることで不良品の発生確率を低くすることができ、歩留まり、生産性も向上することができる。
特に本発明例2は、外観検査結果も最も良好であった。これは、第1の溝81、第2の溝82がともにレベラー58に通す方向Lと異なるものであるためである。
1 複合構造体
3 樹脂構造体
5 製造装置
20 コイル
21 第1の金属板
22 第2の金属板
30 基部
31 凸部
32 壁部
33 頂面
35 空洞
51 接着剤塗布部
52 リール
53 加熱炉
54 ロール
57 金属製ロール
58 レベラー
61 接着剤
81 第1の溝
82 第2の溝
3 樹脂構造体
5 製造装置
20 コイル
21 第1の金属板
22 第2の金属板
30 基部
31 凸部
32 壁部
33 頂面
35 空洞
51 接着剤塗布部
52 リール
53 加熱炉
54 ロール
57 金属製ロール
58 レベラー
61 接着剤
81 第1の溝
82 第2の溝
Claims (12)
- 樹脂構造体に金属板を挟持させた複合構造体であって、
上記樹脂構造体は、上記金属板とのいずれかの接合面に、互いに異なる方向に向けて延長された第1の溝及び第2の溝が設けられていること
を特徴とする複合構造体。 - 上記第1の溝及び上記第2の溝は、樹脂構造体に金属板を挟持させた後に通過させる形状矯正用ロールへの通過方向と異なる方向に向けて延長されていること
を特徴とする請求項1記載の複合構造体。 - 上記第1の溝又は上記第2の溝は、樹脂構造体に金属板を挟持させた後に通過させる形状矯正用ロールへの通過方向と平行方向に向けて延長されていること
を特徴とする請求項1記載の複合構造体。 - 上記第1の溝は、樹脂構造体に金属板を挟持させた後に通過させる形状矯正用ロールへの通過方向に対して約45°の方向に向けて延長され、
上記第2の溝は、上記第1の溝の延長方向に対してほぼ90°の方向に向けて延長されていること
を特徴とする請求項1記載の複合構造体。 - 上記樹脂構造体は、第1の金属板が熱融着される基部の表面から中空状の凸部が複数形成され、上記凸部における頂面には第2の金属板が熱融着され、
上記凸部は、千鳥配列又は正方配列されていること
を特徴とする請求項1〜4のうち何れか1項記載の複合構造体。 - 上記第1の溝及び上記第2の溝は、第1の金属板が熱融着される基部の接合面に形成されていること
を特徴とする請求項5項記載の複合構造体。 - 上記第1の溝及び上記第2の溝は、樹脂構造体の板厚の20〜30%の深さであること
を特徴とする請求項1〜6のうち何れか1項記載の複合構造体。 - 上記樹脂構造体は、接着剤を介して上記金属板と接着されていること
を特徴とする請求項1〜7のうち何れか1項記載の複合構造体。 - 請求項1〜8の何れか1項記載の複合構造体に用いられ、上記金属板のいずれかの接合面に、互いに異なる方向に向けて延長された第1の溝及び第2の溝が設けられていること
を特徴とする樹脂構造体。 - 樹脂構造体の表裏に金属板を熱融着により貼り合わせる複合構造体の製造方法であって、
いずれかの接合面上に互いに異なる方向に向けて延長された第1の溝及び第2の溝が設けられている上記樹脂構造体に、上記金属板を表裏から当接させ、
これらを加熱することにより上記樹脂構造体を上記各金属板に熱融着させること
を特徴とする複合構造体の製造方法。 - 上記加熱時において上記樹脂構造体における熱膨張する樹脂を第1の溝及び上記第2の溝に流し込ませることにより、当該熱膨張を吸収すること
を特徴とする請求項10記載の複合構造体の製造方法。 - 樹脂構造体の表裏に金属板を接着により貼り合わせる複合構造体の製造方法であって、
いずれかの接合面上に互いに異なる方向に向けて延長された第1の溝及び第2の溝が設けられている上記樹脂構造体に、上記金属板を表裏から接着剤を介して当接させ、
これらを加熱することにより上記樹脂構造体を上記各金属板に上記接着剤により接着させること
を特徴とする複合構造体の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2014069091A JP2015189146A (ja) | 2014-03-28 | 2014-03-28 | 複合構造体及びその製造方法、樹脂構造体 |
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| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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|---|---|
| JP2015189146A true JP2015189146A (ja) | 2015-11-02 |
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ID=54424078
Family Applications (1)
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| JP2014069091A Pending JP2015189146A (ja) | 2014-03-28 | 2014-03-28 | 複合構造体及びその製造方法、樹脂構造体 |
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| JP (1) | JP2015189146A (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2018123560A1 (ja) | 2016-12-27 | 2018-07-05 | 新日鐵住金株式会社 | 外装パネルおよび外装パネルの製造方法 |
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| JP7535835B1 (ja) * | 2023-11-16 | 2024-08-19 | 睦月電機株式会社 | 金属樹脂接合体の製造方法 |
-
2014
- 2014-03-28 JP JP2014069091A patent/JP2015189146A/ja active Pending
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