JP2015189209A - 加飾シート及び加飾樹脂成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】成形時における当該盛上部の割れが効果的に抑制されており、さらに、成形後における盛上部の凹凸形状による意匠性、耐傷付き性にも優れた加飾シートを提供する。
【解決手段】基材シート1の上に、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成された盛上部2を有し、前記電離放射線硬化性樹脂の硬化物は、温度25℃及び相対湿度50%下におけるマルテンス硬度が10〜120N/mm2の範囲にある加飾シート。前記盛上部の厚みが、10μm以上であり、前記電離放射線硬化性樹脂組成物が、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含む加飾シート。
【選択図】図1

Description

本発明は、表面に盛上部を有する加飾シートであって、成形時における当該盛上部の割れが効果的に抑制されており、さらに、成形後における盛上部の凹凸形状による意匠性、耐傷付き性にも優れた加飾シートに関する。また、本発明は、当該加飾シートを利用した加飾樹脂成形品に関する。
従来、車両内外装部品、建材内装材、家電筐体等には、樹脂成形品の表面に加飾シートを積層させた加飾樹脂成形品が使用されている。このような加飾樹脂成形品の製造においては、予め意匠が付与された加飾シートを、射出成形によって樹脂と一体化させる成形法などが用いられている。かかる成形法の代表的な例としては、加飾シートを真空成形型により予め立体形状に成形しておき、当該加飾シートを射出成形型に挿入し、流動状態の樹脂を型内に射出することにより樹脂と加飾シートとを一体化するインサート成形法や、射出成形の際に金型内に挿入された加飾シートを、キャビティ内に射出注入された溶融樹脂と一体化させる射出成形同時加飾法が挙げられる。
このような加飾樹脂成形品の表面に、凹凸感、立体感、奥行感などの意匠性を付与する方法として、基材シートの裏面に絵柄を印刷し、表面側にエンボス(型押し)加工により表面凹凸形状を付与する試みがなされている。しかしながら、エンボス加工によって表面に凹凸形状を施すと、射出成形時、またはそれに先立つ予備成形(真空成形)時の熱と応力の作用で、凹凸形状が平坦面に復元してしまうことがある。また、このような凹凸形状は、熱可塑性樹脂により形成されているため、摩耗によって容易に消失したり傷付いたりすることがある。
エンボス加工とは異なる方法によって凹凸形状を施した加飾シートとして、例えば特許文献1には、基体シートの片面に、厚さ2μm以上であり日本工業規格(JIS)K5400に規定された試験方法による鉛筆硬度がHB以上である微細凹凸層が少なくとも積層されたことを特徴とする凹凸インサートシートが開示されている。また、例えば、特許文献2には、成形用加飾フィルム表面の凹凸模様を形成する盛上部の配置と大きさを、基材シート全面に対する総面積が45%以下であり、且つ1つの盛上部の面積が2mm2以下と規定することで、当該盛上部に割れが生じるという問題を改善することが提案されている。
特開2004−276416号公報 特開2009−234159号公報
特許文献2に開示された方法によれば、盛上部の割れを抑制することが可能となるが、割れを抑制するためには、凹凸模様を形成する盛上部の配置と大きさを上記のような範囲に制限する必要があるため、さらなる改善が望まれている。このような状況下、本発明は、表面に盛上部を有する加飾シートであって、成形時における当該盛上部の割れが効果的に抑制されており、さらに、成形後における盛上部の凹凸形状による意匠性、耐傷付き性にも優れた加飾シートを提供することを主な目的とする。
本発明者は、上記のような課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、基材シートの上に、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成された盛上部を有する加飾シートにおいて、上記の電離放射線硬化性樹脂の硬化物を、温度25℃及び相対湿度50%下におけるマルテンス硬度が10〜120N/mm2の範囲に設定することにより、成形時における当該盛上部の割れが効果的に抑制され、さらに、成形後における盛上部の凹凸形状による意匠性、耐傷付き性も奏されることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて、さらに検討を重ねることにより完成された発明である。
すなわち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 基材シートの上に、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成された盛上部を有し、
前記電離放射線硬化性樹脂の硬化物は、温度25℃及び相対湿度50%下におけるマルテンス硬度が10〜120N/mm2の範囲にある、加飾シート。
項2. 前記電離放射線硬化性樹脂組成物が、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含む、項1に記載の加飾シート。
項3. 前記盛上部の厚みが、10μm以上である、項1または2に記載の加飾シート。
項4. 前記基材シートの前記盛上部とは反対側に、表面保護層、プライマー層、装飾層、支持体シート、及び接着層からなる群から選択された少なくとも1種が積層されてなる、項1〜3のいずれかに記載の加飾シート。
項5. 前記基材シートが、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、または電離放射線硬化性樹脂により形成されてなる、項1〜4のいずれかに記載の加飾シート。
項6. 少なくとも、成形樹脂層と、基材シートと、前記基材シートの上に電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成された盛上部とがこの順に積層されており、
前記電離放射線硬化性樹脂の硬化物は、温度25℃及び相対湿度50%下におけるマルテンス硬度が10〜120N/mm2の範囲にある、加飾樹脂成形品。
本発明によれば、成形時における当該盛上部の割れが効果的に抑制されており、さらに、成形後における盛上部の凹凸形状による意匠性、耐傷付き性にも優れた加飾シート、及び当該加飾シートを利用した加飾樹脂成形品を提供することができる。
本発明の加飾シートの一例の略図的断面図である。 本発明の加飾シートの一例の略図的断面図である。 本発明の加飾シートの一例の略図的断面図である。 本発明の加飾シートの一例の略図的断面図である。 本発明におけるマルテンス硬さの測定方法を模式的に示す説明図である。 本発明の加飾シートの盛上部の1つの態様の略図的断面図である。 本発明の加飾シートを積層方向から見たときの盛上部の例を示す模式図である。 本発明の加飾樹脂成形品の一例の略図的断面図である。
1.加飾シート
本発明の加飾シートは、基材シートの上に、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成された盛上部を有し、電離放射線硬化性樹脂の硬化物は、温度25℃及び相対湿度50%下におけるマルテンス硬度が10〜120N/mm2の範囲にあることを特徴とする。本発明の加飾シートにおいては、盛上部を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物の温度25℃及び相対湿度50%下におけるマルテンス硬度が10〜120N/mm2の範囲にあることにより、成形時における当該盛上部の割れが効果的に抑制されており、さらに、成形後における盛上部の凹凸形状による意匠性、耐傷付き性にも優れている。より具体的には、本発明の加飾シートは、盛上部が上記特定範囲のマルテンス硬度を有する電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物に形成されているため、盛上部が適度な柔軟性を有しており、成形時における当該盛上部の割れが効果的に抑制されている。さらに、当該マルテンス硬度を有する盛上部は、適度な弾性も有しているため、成形時に加熱・加圧が加えられた際にも、盛上部の形状が好適に保持され、成形後における盛上部の凹凸形状による意匠性にも優れている。さらに、当該マルテンス硬度を有する盛上部は、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されているため、耐傷付き性にも優れている。なお、後述の通り、本発明の加飾シートは、装飾層や隠蔽層などを有していなくてもよく、例えば透明であってもよい。以下、本発明の加飾シートについて詳述する。
加飾シートの積層構造
本発明の加飾シートは、基材シート1の上に盛上部2が形成された積層構造を有する。本発明の加飾シートにおいては、例えば図1または図2に示されるように、基材シート1の上の盛上部2によって、加飾シートの表面に凹凸形状が形成されている。
本発明の加飾シートにおいては、加飾シートの成形性を高めることなどを目的として、必要に応じて、支持体シート3を設けてもよい。また、加飾樹脂成形品に装飾性を付与することなどを目的として、必要に応じて、装飾層4を設けてもよい。また、加飾シートの色の変化やバラツキを抑制することなどを目的として、必要に応じて、隠蔽層を設けてもよい。さらに、加飾樹脂成形品の耐傷性や耐薬品性を高めることなどを目的として、必要に応じて、基材シート1と盛上部2との間に表面保護層5を設けてもよい。表面保護層5を設ける場合、表面保護層5とその下(盛上部2とは反対側)に位置する層との密着性を高めることなどを目的として、必要に応じて、プライマー層6を設けてもよい。また、加飾シートと成形樹脂層8との密着性を高めることなどを目的として、必要に応じて、接着層7を設けてもよい。
本発明の加飾シートの積層構造として、基材シート/盛上部がこの順に積層された積層構造;接着層/装飾層/基材シート/盛上部がこの順に積層された積層構造;支持体シート/装飾層/基材シート/盛上部がこの順に積層された積層構造;基材シート/装飾層/プライマー層/表面保護層/盛上部がこの順に積層された積層構造;装飾層/基材シート/表面保護層/盛上部がこの順に積層された積層構造;接着層/支持体シート/装飾層/基材シート/盛上部がこの順に積層された積層構造;接着層/基材シート/装飾層/プライマー層/表面保護層/基材シート/盛上部がこの順に積層された積層構造などが挙げられる。図1及び2に、本発明の加飾シートの積層構造の一態様として、基材シート/盛上部がこの順に積層された加飾シートの一例の略図的断面図を示す。図3に、本発明の加飾シートの積層構造の一態様として、支持体シート/接着層/装飾層/基材シート/盛上部がこの順に積層された加飾シートの一例の略図的断面図を示す。
図4に、本発明の加飾シートの積層構造の一態様として、基材シート/装飾層/プライマー層/表面保護層/盛上部がこの順に積層された加飾シートの一例の略図的断面図を示す。
加飾シートを形成する各層の組成
[基材シート1]
基材シート1は、加飾シートの基材としての機能を果たす層であり、加飾シートの表面側に設けられる場合は、基材シート1の表面上に後述の盛上部2が形成される。なお、後述の通り、基材シート1と盛上部2との間に表面保護層5を有する場合、盛上部2は、表面保護層5の表面上に形成される。
基材シート1は、樹脂により形成されている。基材シートを形成する樹脂としては、特に制限されないが、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などが挙げられる。
基材シート1を形成する熱可塑性樹脂としては、具体的には、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレートなどのアクリル樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;塩化ビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタラート(PET)などのポリエステル樹脂;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂);アクリロニトリル−スチレン−アクリル酸エステル樹脂;などが挙げられる。基材シート1が加飾シートの表面側(盛上部2側)に設けられ、盛上部2が基材シート1の上に形成される場合には、これらの中でも、成形時における当該盛上部2の割れを効果的に抑制し、さらに、成形後における盛上部2の凹凸形状による意匠性をより一層高める観点からは、アクリル樹脂が好ましい。一方、基材シート1が加飾シートの裏面側(盛上部2とは反対側)に設けられる場合には、成形性などの観点から、これらの樹脂の中でもABS樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
基材シート1を形成する熱硬化性樹脂としては、特に制限されず、例えば、アクリルポリオール;ポリエステルポリオール;ポリエステルウレタンポリオール、アクリルウレタンポリオールなどのウレタンポリオール;ポリエチレンポリオール、ポリプロピレンポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオールなどのポリオレフィンポリオール;などのポリオール樹脂が挙げられる。これらの中でも、加飾シートの成形性を高める観点からは、これらの中でもアクリルポリオールが好ましい。好ましいアクリルポリオールの具体例としては、後述のプライマー層2において例示したものが挙げられる。熱硬化性樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
基材シート1としては、上記のような樹脂により形成された樹脂シートを用いることができる。基材シート1の厚みとしては、特に制限されず、加飾シートの用途や、基材シートが設けられる位置等に応じて適宜設定される。例えば、基材シート1が、加飾シートの表面側に用いられる場合、通常30〜300μm程度、好ましくは50〜200μm程度が挙げられる。基材シート1の厚みが上記の範囲内であると、加飾シートに対して一層優れた三次元成形性や意匠性などを備えさせることができる。一方、基材シート1の上に表面保護層5及び盛上部2を積層する場合、基材シート1の厚みは、後述の支持体シート3の場合と同様とすることができる。
[盛上部2]
本発明の加飾シートにおいて、盛上部2は、基材シート1の上に形成されており、盛上部2により形成された凹凸形状によって、加飾シートに意匠性を付与している。盛上部2は、上記の基材シート1の表面上に形成することができ、本発明の加飾シートが後述の表面保護層5を有する場合には、表面保護層5の表面上に形成することができる。
個々の盛上部2は、図1に示すように互いに独立したものであってもよく、図2に示すように端部同士が連結したものであってもよい。盛上部2は、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されており、さらに、盛上部2を形成する硬化物の温度25℃及び相対湿度50%下におけるマルテンス硬度が、10〜120N/mm2の範囲にある。上述の通り、本発明の加飾シートにおいては、盛上部2が上記特定範囲のマルテンス硬度を有する電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物に形成されているため、盛上部2が適度な柔軟性を有しており、成形時における当該盛上部2の割れが効果的に抑制されている。さらに、当該マルテンス硬度を有する盛上部2は、適度な弾性も有しているため、成形時に加熱・加圧が加えられた際にも、盛上部2の形状が好適に保持され、成形後における盛上部2の凹凸形状による意匠性にも優れている。さらに、当該マルテンス硬度を有する盛上部2は、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されているため、耐傷付き性にも優れている。
盛上部2を形成する硬化物の温度25℃及び相対湿度50%下におけるマルテンス硬度としては、10〜120N/mm2の範囲にあればよいが、好ましくは10〜115N/mm2程度の範囲が挙げられる。
本発明において、盛上部2を形成する硬化物の上記のマルテンス硬度は、表面皮膜物性試験機(PICODENTOR HM−500、株式会社フィッシャー・インストルメンツ製)を用いて、温度25℃及び相対湿度50%の環境下において測定される値であり、具体的な測定方法は以下の通りである。この測定方法では、図5(a)に示されるような対面角136°のダイヤモンド圧子(ビッカース圧子)を用いて、盛上部2にダイヤモンド圧子を押し込み、押し込み荷重Fと押し込み深さh(圧痕深さ)から、下記の式(1)により硬さを求める。押し込み条件は、加飾シートの盛上部2に対して、室温(実験室環境温度)において、図5(b)に示される通り、まず0〜2mNまでの負荷を2秒間で加え、次に2mNの負荷で5秒間保持し、最後に2〜0mNまでの除荷を2秒間で行う。
電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物のマルテンス硬度は、電離放射線硬化性樹脂の分子量や1分子中に含まれる重合性官能基の数、電離放射線硬化性樹脂組成物に含まれる電離放射線硬化性樹脂以外の樹脂や各種の添加剤の種類及び添加量などを調整することにより、上記の範囲に設定することができる。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物により構成されている。以下、電離放射線硬化性樹脂組成物を構成する成分について詳述する。
(電離放射線硬化性樹脂)
盛上部2の形成に使用される電離放射線硬化性樹脂とは、電離放射線を照射することにより、架橋、硬化する樹脂であり、具体的には、分子中に重合性不飽和結合又はエポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマー、及び/又はモノマーを適宜混合したものが挙げられる。ここで電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味し、通常紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線も含むものである。電離放射線硬化性樹脂の中でも、電子線硬化性樹脂は、無溶剤化が可能であり、安定な硬化特性が得られる。
電離放射線硬化性樹脂として使用される上記モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレートモノマーが好適であり、中でも多官能性(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。多官能性(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子内に重合性不飽和結合を2個以上(2官能以上)、好ましくは3個以上(3官能以上)有する(メタ)アクリレートモノマーであればよい。多官能性(メタ)アクリレートとして、具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのモノマーは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、電離放射線硬化性樹脂として使用される上記オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレートオリゴマーが好適であり、中でも分子内に重合性不飽和結合を2個以上(2官能以上)有する多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、ポリカーボネート(メタ)アクリレート、アクリルシリコーン(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマー(例えば、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル等)等が挙げられる。ここで、ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、ポリマー主鎖にカーボネート結合を有し、かつ末端または側鎖に(メタ)アクリレート基を有するものであれば特に制限されず、例えば、ポリカーボネートポリオールを(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、例えば、ポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートなどであってもよい。ポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリカーボネートポリオールと、多価イソシアネート化合物と、ヒドロキシ(メタ)アクリレートとを反応させることにより得られる。アクリルシリコーン(メタ)アクリレートは、シリコーンマクロモノマーを(メタ)アクリレートモノマーとラジカル共重合させることにより得ることができる。ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。エポキシ(メタ)アクリレートは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレートを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートも用いることができる。ポリエステル(メタ)アクリレートは、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、或いは多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエーテル(メタ)アクリレートは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリブタジエン(メタ)アクリレートは、ポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリル酸を付加することにより得ることができる。シリコーン(メタ)アクリレートとは、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーンの末端又は側鎖に(メタ)(メタ)アクリル酸を付加することにより得ることができる。これらの中でも、成形時における当該盛上部の割れを効果的に抑制し、さらに、成形後における盛上部の凹凸形状による意匠性、耐傷付き性をより一層高める観点からは、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。また、これらのオリゴマーは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート又はメタクリレート」を意味し、他の類似するものも同様の意である。
これらの電離放射線硬化性樹脂は1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
加飾シートの成形時における盛上部2の割れをより一層効果的に抑制し、さらに、成形後における盛上部の凹凸形状による意匠性、耐傷付き性もより一層向上させる観点から、これらの電離放射線硬化性樹脂の中でも、ウレタン(メタ)アクリレート及びポリエステル(メタ)アクリレートの少なくとも一方を用いることが好ましく、ウレタン(メタ)アクリレートを用いることがより好ましい。以下、盛上部2の形成において、電離放射線硬化性樹脂として好適に使用されるウレタン(メタ)アクリレートについて詳述する。
<ウレタン(メタ)アクリレート>
ウレタン(メタ)アクリレートは、ポリマー主鎖にウレタン結合を有し、かつ末端あるいは側鎖に(メタ)アクリレートを有するものであれば、特に制限されない。このようなウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。また、ウレタン(メタ)アクリレートは、架橋、硬化を良好にするという観点から、1分子当たりの官能基の数として、好ましくは2〜12個が挙げられる。ウレタン(メタ)アクリレートは、末端あるいは側鎖に(メタ)アクリレートを2個以上有する多官能ウレタン(メタ)アクリレートであることが好ましい。盛上部2の形成に使用される電離放射線硬化性樹脂組成物に、ウレタン(メタ)アクリレートに加えて、他の(メタ)アクリレートをさらに含んでいてもよい。ウレタン(メタ)アクリレートは、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
ウレタン(メタ)アクリレートの分子量については、特に制限されないが、例えば、重量平均分子量が千以上、好ましくは2千以上が挙げられる。ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量の上限は、特に制限されないが、粘度が高くなり過ぎないように制御するという観点から、例えば、10万以下、好ましくは5万以下が挙げられる。
なお、本明細書におけるウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により、ポリスチレンを標準物質として測定した値である。
ウレタン(メタ)アクリレートを用いる場合、盛上部2の形成に使用される電離放射線硬化性樹脂組成物におけるウレタン(メタ)アクリレートの含有量としては、本発明の効果を奏することを限度として、特に制限されないが、加飾シートの成形性をより高める観点からは、好ましくは5〜50質量%程度、より好ましくは20〜50質量%程度が挙げられる。
盛上部2中には、上記の電離放射線硬化性樹脂の他、盛上部2に備えさせる所望の物性に応じて、各種添加剤を配合することができる。この添加剤としては、例えば紫外線吸収剤や光安定剤等の耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤等が挙げられる。これらの添加剤は、常用されるものから適宜選択して用いることができる。また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基等の重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
盛上部2の硬化後の厚みについては、特に制限されないが、好ましくは10μm以上、より好ましくは10〜100μm程度、さらに好ましくは10〜40μm程度が挙げられる。このような範囲の厚みを満たすと、加飾シートの成形時における盛上部2の割れをより一層効果的に抑制し、さらに、成形後における盛上部の凹凸形状による意匠性、耐傷付き性もより一層向上させることができる。
盛上部2の形成は、例えば、上記の電離放射線硬化性樹脂組成物を調製し、これを塗布し、架橋硬化することにより行われる。なお、電離放射線硬化性樹脂組成物の粘度は、後述の塗布方式により、盛上部2を形成する基材シート1の上(基材シート1の表面上または表面保護層5の表面上)に未硬化樹脂層を形成し得る粘度であればよい。本発明においては、調製された塗布液を、前記厚みとなるように、基材シート1の上(基材シート1の表面上または表面保護層5の表面上)に、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の公知の方式、若しくは特開2002−240078号公報に記載の成形版胴法などにより塗布し、未硬化樹脂層を形成させる。このようにして形成された未硬化樹脂層に、電子線、紫外線等の電離放射線を照射して該未硬化樹脂層を硬化させて盛上部2を形成する。ここで、電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度が挙げられる。
なお、電子線の照射において、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、盛上部2の下に位置する基材シート1または表面保護層5として、電子線照射によって劣化しやすい樹脂を使用する場合には、電子線の透過深さと盛上部2の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定する。これにより、盛上部2の下に位置する基材シート1または表面保護層5への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による各層の劣化を最小限にとどめることができる。また、照射線量は、保護層2の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜50kGy(1〜5Mrad)の範囲で選定される。さらに、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含む光線を放射すればよい。紫外線源としては、特に制限されないが、例えば、高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈、紫外線発光ダイオード(LED−UV)等が挙げられる。
なお、後述の表面保護層5が電離放射線硬化性樹脂により形成されている場合、表面保護層5及び盛上部2を形成するに際しては、表面保護層5を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物が未硬化又は半硬化の状態で、当該電離放射線硬化性樹脂組成物の上に盛上部2を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物を積層し、次いで表面保護層5及び盛上部2の両層の電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化し得る条件で電離放射線を照射することによって、一度の電離放射線照射工程により両層を形成することができる。また、表面保護層5の形成時と盛上部2の形成時の2度に分けて電離放射線を照射してもよい。電離放射線の照射を表面保護層5と盛上部2の形成時の2度に分けて行なう場合、各工程において用いられる電離放射線の種類は同じであってもよく、異なっていてもよい。より具体的には、表面保護層5と盛上部2の両者を電子線の照射によって硬化させる場合や、表面保護層5を電子線、盛上部2を紫外線の照射によって硬化させる場合などが例示される。
盛上部2の1つの面積としては、特に制限されず、加飾シートに付与する所望の意匠に応じて適宜設定されるが、例えば、100mm2以下、好ましくは20mm2、より好ましくは5mm2以下が挙げられる。上述の通り、本発明の加飾シートにおいては、盛上部2を形成する電子放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が、上記特定範囲のマルテンス硬度を有しているため、盛上部2の面積がこのような範囲にある場合にも、加飾シートの成形時における盛上部2の割れが効果的に抑制され、さらに、成形後における盛上部の凹凸形状による意匠性、耐傷付き性にも優れている。当該面積の下限としては、特に制限されないが、視覚的に凹凸模様と認識される観点から、0.01mm2以上であることが好ましい。複数の盛上部3の面積は、互いに同一であってもよいし、異なってもよい。なお、本明細書において、盛上部2などの面積とは、加飾シートの積層方向から見たときの面積をいい、より具体的には、後述する測定方法により測定される値をいう。
図7は、本発明の加飾シートを積層方向から見たときの盛上部2の例を示す模式図である。本発明において、各盛上部2は、例えば図7の(5a)及び(5c)に示すように、それぞれが独立していてもよいし、例えば図2や、図7の(5b)及び(5d)のように、加飾シートの水平方向(加飾シートの積層方向とは垂直方向)の一部において、盛上部2が互いに連結していてもよい。なお、図7の(5d)においては、4つの線状の盛上部2によって1つの最小単位の四角形状の模様が形成されている。さらに、図示しないが、盛上部2は、加飾シートの盛上部2が形成されている側の表面(盛上部2が形成された基材シート1の表面または表面保護層5の表面)の全面に形成されていてもよい。
加飾シートの盛上部2が形成されている側の全面(盛上部2が形成された基材シート1の表面または表面保護層5の表面)の面積に対する盛上部2の合計面積の割合としては、特に制限されないが、通常90%以下、好ましくは60%以下、より好ましくは55%以下が挙げられる。上述の通り、本発明の加飾シートにおいては、盛上部2を形成する電子放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が、上記特定範囲のマルテンス硬度を有しているため、加飾シートの当該全面の面積に対する盛上部2の合計面積の割合がこのような割合範囲にある場合にも、加飾シートの成形時における盛上部2の割れが効果的に抑制され、さらに、成形後における盛上部の凹凸形状による意匠性、耐傷付き性にも優れている。
本発明において、盛上部2の1つの面積(加飾シートを積層方向から見たときの面積)、加飾シートの上記全面の面積に対する盛上部2の合計面積の割合、盛上部2間の距離、及び盛上部2の厚みは、具体的には、以下のようにして測定した値である。盛上部2は、例えば、電離放射線硬化性樹脂組成物を基材シート1または表面保護層5の表面上に塗布して、該組成物が垂れることで形成される図6(a)のような断面形状、また意図的に形成する図6(b)のような断面形状などとなる。本発明においては、いずれの形状を有する場合においても、盛上部2の1つの面積は、盛上部2と基材シート1または表面保護層5とが接する部分の面積(Wで囲まれた部分の面積)であり、合計面積はその合計である。加飾シートの上記全面の面積に対する盛上部2の合計面積の割合は、当該合計面積を加飾シートの上記全面の面積で除して求めることができる。隣接する盛上部2間の距離は、盛上部2と基材シート1または表面保護層5とが接する部分の外縁を端部としたときの端部間の距離(Lの部分)である。なお、一部が他の盛上部2と連結されている盛上部2については、互いに隣接する盛上部2のうち、直接連結されていない盛上部2同士についての距離をいう。また、盛上部2の厚み(盛上部の高さ)は、盛上部2の最も高い部分の高さ(Hの部分)、すなわち、盛上部2と、盛上部2と接している基材シート1または表面保護層5との高低差である。
盛上部2の形状は、特に限定されず、円形、楕円形、三角形、四角形(例えば、図7の(5a)、(5b)など)、5〜10角形、星形、線状(例えば、図7の(5c)、(5d)など)、円弧状、幾何学模様、文字状などの形状が好ましく挙げられる。また、各盛上部2の形状は、互いに同一であってもよいし、異なってもよい。各盛上部2によって表現される意匠は、各盛上部2が規則的に並んだような定形のパターン形状でもよいし、不定型な絵柄であってもよい。不定型な絵柄であると触感、マット感、光沢感及び意匠性に優れることから好ましく、規則的に並んだような定形のパターン形状であると、加飾成形時の応力が特定部分に集中し難く、表面の凹凸模様の割れがより発生し難くなる点で好ましい。
盛上部2が全体で形成する絵柄としては、特に制限されず、例えば、円形、楕円形、多角形、線画、水玉、縞、格子などの幾何学模様、文字、木目柄、竹目柄、石目柄、タイル貼柄、煉瓦積層柄、布目柄、皮絞柄などが好ましく挙げられ、これらを単独で又は2種以上を用途に合わせて用いればよい。
[支持体シート3]
支持体シート3は、本発明の加飾シートにおいて、成形性を高めることなどを目的として、必要に応じて設けられる層であり、加飾シートに高度な伸びが要求される、複雑な形状の成形品の加飾に用いる場合には設けられていることが好ましい。なお、上記の基材シート1が成形性に優れる樹脂により形成されている場合、支持体シート3は設けなくてもよい。
支持体シート3は、支持部材としての役割を果たす樹脂シート(樹脂フィルム)により形成されている。支持体シート3に使用される樹脂成分については、特に制限されず、三次元成形性や射出樹脂層との相性等に応じて適宜選定すればよいが、好ましくは、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、具体的には、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(以下「ABS樹脂」と表記することもある);アクリロニトリル−スチレン−アクリル酸エステル樹脂;アクリル樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;塩化ビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタラート(PET)樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ABS樹脂が三次元成形性の観点から好ましい。支持体シート3を形成する樹脂成分としては、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。また、支持体シート3は、これら樹脂の単層シートで形成されていてもよく、また同種又は異種樹脂による複層シートで形成されていてもよい。
支持体シート3は、隣接する層との密着性を向上させるために、必要に応じて、片面又は両面に酸化法や凹凸化法等の物理的又は化学的表面処理が施されていてもよい。支持体シート3の表面処理として行われる酸化法としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン紫外線処理法等が挙げられる。また、支持体シート3の表面処理として行われる凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理は、支持体シート3を構成する樹脂成分の種類に応じて適宜選択されるが、効果及び操作性等の観点から、好ましくはコロナ放電処理法が挙げられる。
また、支持体シート3には、着色剤などを配合した着色、色彩を整えるための塗装、デザイン性を付与するための模様の形成などがなされていてもよい。
支持体シート3の厚みは、特に制限されず、加飾シートの用途等に応じて適宜設定されるが、通常50〜800μm程度、好ましくは100〜600μm程度、さらに好ましくは200〜500μm程度が挙げられる。支持体シート3の厚みが上記範囲内であると、加飾シートに対してより一層優れた三次元成形性、意匠性などを備えさせることができる。
[表面保護層5]
表面保護層5は、加飾樹脂成形品の耐傷性や耐薬品性を高めることなどを目的として、基材シート1と盛上部2との間に、必用に応じて設けられる層である。本発明の加飾シートが表面保護層5を有する場合、上記の盛上部2は表面保護層5の上に形成される。
表面保護層5を形成する樹脂としては、加飾樹脂成形品の耐傷性や耐薬品性を高め、かつ、盛上部2を形成できるものであれば特に制限されないが、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂などが挙げられ、耐傷性や耐薬品性の観点からは、電離放射線硬化性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂としては、特に制限されず、例えば、上記の基材シート1で例示したものが好ましく例示できる。また、電離放射線硬化性樹脂としては、特に制限されず、例えば、上記の盛上部2で例示したものが好ましく例示できる。また、表面保護層5には、表面保護層5に備えさせる所望の物性に応じて、上記の盛上部2で例示した各種添加剤を配合することができる。
表面保護層2の厚みについては、特に制限されないが、好ましくは1000μm以下、より好ましくは1〜50μm程度、さらに好ましくは1〜10μm程度が挙げられる。このような範囲の厚みを満たすと、加飾シートの成形性に優れ、かつ耐傷付き性等の表面保護層としての十分な物性が得られる。また、表面保護層2が電離放射線硬化性樹脂組成物により形成される場合には、電離放射線を均一に照射することが可能であるため、均一に硬化することが可能となり、経済的にも有利になる。
本発明においては、表面保護層5を形成する上記の樹脂を、前記厚みとなるように、表面保護層3の下に位置する層の上に、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗布することにより形成することができる。なお、表面保護層5を電離放射線硬化性樹脂により形成する場合には、上記の盛上部2と同様にして未硬化樹脂層を硬化させることができる。
[プライマー層6]
プライマー層6は、表面保護層5とその下に位置する層との密着性を高めることなどを目的として、必要に応じて設けられる層である。
プライマー層6を構成するプライマー組成物としては、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリル−ウレタン共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン等をバインダー樹脂とするものが好ましく用いられ、これらの樹脂は一種又は二種以上を混合して用いることができる。これらのなかでも、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、及び(メタ)アクリル−ウレタン共重合体樹脂が好ましい。
ウレタン樹脂としては、ポリオール(多価アルコール)を主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とするポリウレタンを使用できる。ポリオールとしては、分子中に2個以上の水酸基を有するもので、例えばポリエステルポリオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエーテルポリオール等が使用される。前記イソシアネートとしては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、或いはヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(又は脂環族)イソシアネートが用いられる。また、ウレタン樹脂とブチラール樹脂を混ぜて構成することも可能である。
架橋後の基材シート1との密着性などの観点から、ポリオールとしてアクリルポリオール、又はポリエステルポリオールと、架橋材としてヘキサメチレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートとから組み合わせることが好ましく、特にアクリルポリオールとヘキサメチレンジイソシアネートとを組み合わせて用いることが好ましい。
(メタ)アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体、2種以上の異なる(メタ)アクリル酸エステルモノマーの共重合体、又は(メタ)アクリル酸エステルと他のモノマーとの共重合体が挙げられ、具体的には、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸エチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体等の(メタ)アクリル酸エステルを含む単独又は共重合体からなる(メタ)アクリル樹脂が好適に用いられる。
(メタ)アクリル−ウレタン共重合体樹脂としては、例えばアクリル−ウレタン(ポリエステルウレタン)ブロック共重合系樹脂が好ましい。硬化剤としては、上記の各種イソシアネートが用いられる。アクリル−ウレタン(ポリエステルウレタン)ブロック共重合系樹脂は所望により、アクリル/ウレタン比(質量比)を好ましくは9/1〜1/9、より好ましくは8/2〜2/8の範囲で調整することが好ましい。
プライマー層6は、プライマー組成物を用いて、グラビアコート、グラビアリバースコート、グラビアオフセットコート、スピンナーコート、ロールコート、リバースロールコート、キスコート、ホイラーコート、ディップコート、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバーコート、フローコート、コンマコート、かけ流しコート、刷毛塗り、スプレーコート等の通常の塗布方法や転写コーティング法により形成される。ここで、転写コーティング法は、薄いシート(フィルム基材)にプライマー層や接着層の塗膜を形成し、その後に加飾シート中の対象となる層表面に被覆する方法である。
プライマー層6の厚みとしては、特に制限されないが、好ましくは0.1μm以上が挙げられる。0.1μm以上であると、表面保護層5の割れ、破断、白化等を防ぐ効果を有する。一方、プライマー層6の厚みが10μm以下であれば、プライマー層6を塗布した際、塗膜の乾燥、硬化が安定であるので三次元成形性が変動することがなく好ましい。
[装飾層4]
装飾層4は、樹脂成形品に装飾性を与えることを目的として、必用に応じて設けられる層である。本発明の加飾シートが表面保護層5を有する場合、装飾層4は基材シート1の盛上部2側に設けることができ、基材シート1が透明(半透明を含む)である場合には、盛上部2とは反対側に設けることができる。装飾層4は、絵柄を形成していてもよく、ベタであってもよく、これらの組合せであってもよい。
装飾層4は、例えば、種々の模様をインキと印刷機を使用して印刷することにより形成される。装飾層4によって形成される模様は、特に制限されず、例えば、木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)等の岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様など挙げられ、これらを複合した寄木、パッチワーク等の模様も挙げられる。これらの模様は、通常の黄色、赤色、青色、及び黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成される他、模様を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷等によっても形成される。
装飾層4に用いるインキとしては、バインダーに顔料、染料などの着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤などを適宜混合したものが使用される。該バインダーとしては、特に制限されず、例えば、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−アクリル系共重合体樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、酢酸セルロース系樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
着色剤としては、特に制限されず、例えば、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料などが挙げられる。
装飾層4の厚みは、特に制限されないが、例えば1〜30μm程度、好ましくは1〜20μm程度が挙げられる。
装飾層4は金属薄膜層であってもよい。金属薄膜層を形成する金属としては、例えば、スズ、インジウム、クロム、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、金、白金、亜鉛、及びこれらのうち少なくとも1種を含む合金などが挙げられる。金属薄膜層の形成方法は特に制限されず、例えば上記の金属を用いた、真空蒸着法などの蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などが挙げられる。また、隣接する層との密着性を向上させるため、金属薄膜層の表面や裏面には公知の樹脂を用いたプライマー層を設けてもよい。
[隠蔽層]
隠蔽層は、加飾シートの色の変化やバラツキを抑制することなどを目的として、必要に応じて、隠蔽層を設けてもよい(図示していない)。
隠蔽層は、通常、装飾層4の裏面側に設けられたシートや成形樹脂が加飾樹脂成形品の色調や絵柄に悪影響を及ぼすのを抑制するために設けられるため、一般には不透明色の層として形成される。
隠蔽層は、バインダーに、顔料、染料などの着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤などを適宜混合したインキ組成物を用いて形成される。隠蔽層を形成するインキ組成物は、上述の絵柄層4に使用されるものから適宜選択して使用される。
隠蔽層は、通常、厚みが1〜20μm程度に設定され、所謂ベタ印刷層として形成されることが望ましい。
[接着層7]
接着層7は、加飾シートと成形樹脂層8との密着性を高めることなどを目的として、必要に応じて、加飾シートの裏面(盛上部2と反対側)に設けることができる。接着層7を形成する樹脂としては、加飾シートと成形樹脂層8との密着性や接着性を向上させることができるものであれば、特に制限されず、例えば、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂が用いられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アクリル変性ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、熱可塑性ウレタン樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂などが挙げられる。熱可塑性樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等挙げられる。熱硬化性樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
接着層7は必ずしも必要な層ではないが、本発明の加飾シートを、後述する真空圧着法など、予め用意された樹脂成形体上へ貼着による加飾方法に適用することを想定した場合は、設けられていることが好ましい。真空圧着法に用いる場合、上記した各種の樹脂のうち、加圧又は加熱により接着性を発現する樹脂として慣用のものを使用して接着層7を形成することが好ましい。
2.加飾樹脂成形品
本発明の加飾樹脂成形品は、本発明の加飾シートに成形樹脂を一体化させることにより成形されてなるものである。即ち、本発明の加飾樹脂成形品は、少なくとも、成形樹脂層と、基材シートと、基材シートの上に形成された、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成された盛上部とがこの順に積層された積層体からなり、電離放射線硬化性樹脂の硬化物が、温度25℃及び相対湿度50%下におけるマルテンス硬度が10〜120N/mm2の範囲にあることを特徴とする。本発明の加飾樹脂成形品では、必要に応じて、加飾シートに上述の支持体シート3、装飾層4、表面保護層5、プライマー層6、隠蔽層、接着層7などの少なくとも1層がさらに設けられていてもよい。
本発明の加飾樹脂成形品は、例えば、本発明の加飾シートを用いて、インサート成形法、射出成形同時加飾法、ブロー成形法、ガスインジェクション成形法等の各種射出成形法により作製される。これらの射出成形法の中でも、好ましくはインサート成形法及び射出成形同時加飾法が挙げられる。また、本発明の加飾樹脂成形品は、真空圧着法等の、予め用意された立体的な樹脂成形体(成形樹脂層)上に、本発明の加飾シートを貼着する加飾成形方法によっても作製することができる。本発明の加飾樹脂成形品は、盛上部2が上記特定範囲のマルテンス硬度を有する電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物に形成されているため、盛上部2が適度な柔軟性と弾性を有しており、加熱や加圧を伴う上記の各加飾成形方法により製造された場合においても、当該盛上部2の割れや変形が効果的に抑制されている。特に上記の射出成形法においては、本発明の加飾シートの盛上部2が射出成形型に押し付けられて大きな圧力を受けることになるが、このような場合であっても、本発明の加飾樹脂成形品における盛上部2は成形前の形状が良好に維持されている。
インサート成形法では、まず、真空成形工程において、本発明の加飾シートを真空成形型により予め成形品表面形状に真空成形(オフライン予備成形)し、次いで必要に応じて余分な部分をトリミングして成形シートを得る。この成形シートを射出成形型に挿入し、射出成形型を型締めし、流動状態の樹脂を型内に射出し、固化させて、射出成形と同時に樹脂成形物の外表面に加飾シートを一体化させることにより、加飾樹脂成形品が製造される。
より具体的には、下記の工程を含むインサート成形法によって、本発明の加飾樹脂成形品が製造される。
本発明の加飾シートを真空成形型により予め立体形状に成形する真空成形工程、
真空成形された加飾シートの余分な部分をトリミングして成形シートを得るトリミング工程、及び
成形シートを射出成形型に挿入し、射出成形型を閉じ、流動状態の樹脂を射出成形型内に射出して樹脂と成形シートを一体化する一体化工程。
インサート成形法における真空成形工程では、加飾シートを加熱して成形してもよい。この時の加熱温度は、特に限定されず、加飾シートを構成する樹脂の種類や、加飾シートの厚みなどによって適宜選択すればよいが、通常120〜200℃程度とすることができる。また、一体化工程において、流動状態の樹脂の温度は、特に限定されないが、通常180〜320℃程度とすることができる。
また、射出成形同時加飾法では、本発明の加飾シートを射出成形の吸引孔が設けられた真空成形型との兼用雌型に配置し、この雌型で予備成形(インライン予備成形)を行った後、射出成形型を型締めして、流動状態の樹脂を型内に射出充填し、固化させて、射出成形と同時に樹脂成形物の外表面に本発明の加飾シートを一体化させることにより、加飾樹脂成形品が製造される。
より具体的には、下記の工程を含む射出成形同時加飾法によって、本発明の加飾樹脂成形品が製造される。
本発明の加飾シートを、所定形状の成形面を有する可動金型の当該成形面に対し、加飾シートの基材シート1側(盛上部2とは反対側)の表面が対面するように設置した後、当該加飾シートを加熱、軟化させると共に、可動金型側から真空吸引して、軟化した加飾シートを当該可動金型の成形面に沿って密着させることにより、加飾シートを予備成形する予備成形工程、
成形面に沿って密着された加飾シートを有する可動金型と固定金型とを型締めした後、両金型で形成されるキャビティ内に、流動状態の樹脂を射出、充填して固化させることにより樹脂成形体を形成し、樹脂成形体と加飾シートを積層一体化させる一体化工程、及び
可動金型を固定金型から離間させて、加飾シート全層が積層されてなる樹脂成形体を取り出す取出工程。
射出成形同時加飾法の予備成形工程において、加飾シートの加熱温度は、特に限定されず、加飾シートを構成する樹脂の種類や、加飾シートの厚みなどによって適宜選択すればよいが、通常70〜130℃程度とすることができる。また、射出成形工程において、流動状態の樹脂の温度は、特に限定されないが、通常180〜320℃程度とすることができる。
真空圧着法では、まず、上側に位置する第1真空室及び下側に位置する第2真空室からなる真空圧着機内に、本発明の加飾シート及び樹脂成形体を、加飾シートが第1真空室側、樹脂成形体が第2真空室側となるように、且つ加飾シートの基材シート側(盛上部とは反対側)が樹脂成形体側に向くように真空圧着機内に設置し、2つの真空室を真空状態とする。樹脂成形体は、第2真空室側に備えられた、上下に昇降可能な昇降台上に設置される。次いで、第1の真空室を加圧すると共に、昇降台を用いて成形体を加飾シートに押し当て、2つの真空室間の圧力差を利用して、加飾シートを延伸しながら樹脂成形体の表面に貼着する。最後に2つの真空室を大気圧に開放し、必要に応じて加飾シートの余分な部分をトリミングすることにより、本発明の加飾樹脂成形品を得ることができる。
真空圧着法においては、上記の成形体を加飾シートに押し当てる工程の前に、加飾シートを軟化させて成形性を高めるため、加飾シートを加熱する工程を備えることが好ましい。当該工程を備える真空圧着法は、特に真空加熱圧着法と呼ばれることがある。当該工程における加熱温度は、加飾シートを構成する樹脂の種類や、加飾シートの厚みなどによって適宜選択すればよいが、通常60〜200℃程度とすることができる。
本発明の加飾樹脂成形品において、成形樹脂層は、用途に応じた樹脂を選択して形成すればよい。成形樹脂層を形成する成形樹脂としては、熱可塑性樹脂であってもよく、また熱硬化性樹脂であってもよい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル系樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、熱硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の加飾樹脂成形品は、上記の加飾シートの成形後における盛上部の割れが効果的に抑制されており、さらに、成形後における盛上部の凹凸形状による意匠性、耐傷付き性にも優れているため、例えば、自動車等の車両の内装材又は外装材;窓枠、扉枠等の建具;壁、床、天井等の建築物の内装材;テレビ受像機、空調機等の家電製品の筐体;容器等として利用することができる。
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されない。
(加飾シートの作製)
<実施例1>
ポリメタクリル酸メチルを主成分とする厚さ75μmの無着色透明なアクリル樹脂ートからなる基材シートの裏面に、ポリブチルメタクリレート/塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体をバインダーとした装飾層(厚さ1μm)、ポリメチルメタクリレート及び2液硬化型ウレタン樹脂系接着剤からなる接着層(厚さ10μm)を順次積層した。次に、接着層の上から、ABS樹脂からなる支持体シート(厚さ400μm)をドライラミネーションにより積層した。次に、下記の電離放射線硬化性樹脂組成物を用いて、基材シートの表面に、円形状の盛上部を多数配列した平面視パターン状(1つの盛上部の面積約0.3mm2、基材シート表面における盛上部の面積の割合約45%)に印刷した。次に、盛上部の上から、紫外線を160W/cmの条件で照射して印刷版の版形状を保ったまま硬化させた。以上の手順により、基材シート上に厚さ30μmの盛上部が多数形成された三次元成形用加飾シートを得た。
(電離放射線硬化性樹脂組成物)
ウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量約2000)20質量%、2官能性アクリレートモノマー60質量%、感光性化合物5質量%、光重合開始剤:5質量%、フィラーおよび顔料の合計10質量%の混合物
<実施例2>
下記の電離放射線硬化性樹脂組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、三次元成形用加飾シートを得た。
(電離放射線硬化性樹脂組成物)
ウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量約8000)30質量%、3官能性アクリレートモノマー50質量%、感光性化合物5質量%、光重合開始剤:5質量%、フィラーおよび顔料の合計10質量%の混合物
<実施例3>
下記の電離放射線硬化性樹脂組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、三次元成形用加飾シートを得た。
(電離放射線硬化性樹脂組成物)
ウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量約5000)20質量%、2官能性アクリレートモノマー60質量%、感光性化合物5質量%、光重合開始剤:5質量%、フィラーおよび顔料の合計10質量%の混合物
<実施例4>
下記の電離放射線硬化性樹脂組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、三次元成形用加飾シートを得た。
(電離放射線硬化性樹脂組成物)
ウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量約8000)20質量%、2官能性アクリレートモノマー60質量%、感光性化合物5質量%、光重合開始剤:5質量%、フィラーおよび顔料の合計10質量%の混合物
<比較例1>
下記の電離放射線硬化性樹脂組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、三次元成形用加飾シートを得た。
(電離放射線硬化性樹脂組成物)
ポリエステルアクリレートオリゴマー(重量平均分子量約2000)10質量%、2官能性アクリレートモノマー68質量%、熱可塑性樹脂10質量%、感光性化合物5質量%、光重合開始剤5質量%、フィラーおよび顔料の合計2質量%の混合物
<比較例2>
下記の電離放射線硬化性樹脂組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、三次元成形用加飾シートを得た。
(電離放射線硬化性樹脂組成物)
ウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量約5000)40質量%、2官能性アクリレートモノマー40質量%、感光性化合物5質量%、光重合開始剤5質量%、フィラーおよび顔料の合計10質量%の混合物
マルテンス硬度の測定
マルテンス硬度は、表面皮膜物性試験機(PICODENTOR HM−500、株式会社フィッシャー・インストルメンツ製)を用いて測定される値であり、具体的な測定方法は以下の通りである。この測定方法では、温度25℃及び相対湿度50%の環境下、図5(a)に示されるような対面角136°のダイヤモンド圧子(ビッカース圧子)を用いて、各実施例及び比較例の加飾シートにおける盛上部にダイヤモンド圧子を押し込み、押し込み荷重Fと押し込み深さh(圧痕深さ)から下記の式(2)により硬さを求めた。押し込み条件は、加飾シートの盛上部2に対して、室温(実験室環境温度)において、図5(b)に示される通り、先ず0〜2mNまでの負荷を2秒間で加え、次に2mNの負荷で5秒間保持し、最後に2〜0mNまでの除荷を2秒間で行った。
(加飾樹脂成形品の作製)
実施例1〜4及び比較例1〜2で得られた加飾シートを固定枠に固定し、加飾シートの温度が約160℃になるまで約300℃のヒーターで加熱した。加熱され軟化した加飾シートを、上述のように、真空成形工程、トリミング工程及び温度約240℃でABS樹脂を成形用樹脂とする射出成形工程を経て加飾樹脂成形品を得た。
盛上部の割れの観察(成形性評価)
実施例1〜4及び比較例1〜2の加飾シートから得られた上記加飾樹脂成形品の盛上部の割れを目視で観察し、300%の伸長部でも割れがないものを◎、250%の伸長部まで割れがないものを○、200%の伸長部まで割れがないものを△、150%の伸長部まで割れがないものを×とした。結果を表1に示す。
凹凸形状による意匠性の評価
実施例1〜4及び比較例1〜2の加飾シートから得られた上記加飾樹脂成形品の表面を手で触り、凹凸感を評価した。評価基準としては、凹凸感がはっきりと感じられたものを◎、凹凸感が感じられたものを○、凹凸感が僅かに感じられたものを△、凹凸感が全く感じられなかったものを×とした。結果を表1に示す。
表面粗さの測定
実施例1〜4及び比較例1〜2の加飾シートから得られた上記加飾樹脂成形品の表面の算術平均粗さRaを以下のようにして測定した。株式会社東京精密製の表面粗さ測定器(商品面「ハンディーサーフE−35A」を使用し、JIS B 0601:2001に準拠し、長さLの粗さ曲線を中心線から折り返し、それぞれの粗さ曲線と中心線によって得られた全面積を長さLで割った値をマイクロメータ(μm)で表した。結果を表1に示す。
耐傷付き性(スチールウール)
実施例1〜4及び比較例1〜2の加飾シートから得られた上記加飾樹脂成形品の表面を、スチールウール(#0000)を用いて荷重1.5kgfで10往復擦り、目視で盛上部の表面を観察して、以下の基準に従って評価した。結果を表1に示す。
◎:擦った後に盛上部の傷跡がすぐに消え、耐傷付き性が高い
○:擦った後に盛上部の傷跡が消え、耐傷付き性が高い
△:擦った後に盛上部に傷跡が少し残り、耐傷付き性が少し低いが、実用上問題がない
×:擦った後に盛上部に傷跡が残り、耐傷付き性が低く、実用上問題がある
表1に示される結果から明らかな通り、盛上部を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物のマルテンス硬度が10〜120N/mm2の範囲にある実施例1〜4の加飾シートでは、成形時の熱と圧力による盛上部の割れが効果的に抑制されていた。また、これらの加飾シートでは、成形後の凹凸感に優れており、算術平均粗さRaの値も大きく、さらに耐傷付き性の点でも優れていた。
これに対して、盛上部を形成する硬化物のマルテンス硬度が140N/mm2と大きな値を有する比較例1の加飾シートでは、成形時の小さい伸長部においても盛上部に割れが生じていた。また、比較例1の加飾シートでは、成形後においては凹凸感が感じられず、算術平均粗さRaも小さくなった。一方、盛上部を形成する硬化物のマルテンス硬度が5N/mm2と小さな値を有する比較例2の加飾シートでは、成形後の耐傷付き性が非常に低かった。
1…基材シート
2…盛上部
3…支持体シート
4…装飾層
5…表面保護層
6…プライマー層
7…接着層
8…成形樹脂層

Claims (6)

  1. 基材シートの上に、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成された盛上部を有し、
    前記電離放射線硬化性樹脂の硬化物は、温度25℃及び相対湿度50%下におけるマルテンス硬度が10〜120N/mm2の範囲にある、加飾シート。
  2. 前記電離放射線硬化性樹脂組成物が、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含む、請求項1に記載の加飾シート。
  3. 前記盛上部の厚みが、10μm以上である、請求項1または2に記載の加飾シート。
  4. 前記基材シートの前記盛上部とは反対側に、表面保護層、プライマー層、装飾層、支持体シート、及び接着層からなる群から選択された少なくとも1種が積層されてなる、請求項1〜3のいずれかに記載の加飾シート。
  5. 前記基材シートが、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、または電離放射線硬化性樹脂により形成されてなる、請求項1〜4のいずれかに記載の加飾シート。
  6. 少なくとも、成形樹脂層と、基材シートと、前記基材シートの上に電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成された盛上部とがこの順に積層されており、
    前記電離放射線硬化性樹脂の硬化物は、温度25℃及び相対湿度50%下におけるマルテンス硬度が10〜120N/mm2の範囲にある、加飾樹脂成形品。
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