JP2015190831A - コンクリート体の除染方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】放射性物質で汚染されたコンクリート体の表層部分を容易に除染できるとともに、排水に含まれる放射性物質を確実に除去できるコンクリート体の除染方法を提供する。
【解決手段】流体供給ステップS1にて、放射性物質で汚染されたコンクリート体の表面に酸性溶液を供給する。セメント溶解ステップS2にて、酸性溶液でコンクリート体の表面の汚染されたセメント成分を溶解させる。汚染除去ステップS3にて、溶解したセメント成分をコンクリート体の表面から除去する。表面中和ステップS4にて、溶解したセメント成分が除去されたコンクリート体の表面を中和剤で中和する。表面洗浄ステップS5にて、中和されたコンクリート体の表面から微細な汚染物質などを浄水で排除する。浸漬ステップS6にて、コンクリート体を炭酸水素ナトリウム水溶液に浸漬させる。排水処理ステップS7にて、排水に含まれる放射性物質を凝集沈殿させ、固液分離する。
【選択図】図1

Description

この発明は、放射性物質で汚染された土間コンクリートなどの表層部分を除染するコンクリート体の除染方法に関するものである。
例えば、原子力発電所などで事故が発生した場合、放射能が周囲に漏出して周辺地域が放射性物質で汚染されることがある。
このような事故の汚染の核種は色々とあるが、初期段階以降の中長期的に課題となる汚染の主要核種は、核分裂生成物としての放射性セシウム(Cs−134,Cs−137)およびストロンチウム(Sr−90)である。仮に、原子力発電所などで事故が発生した場合、その周辺地域などが主として放射性セシウムで汚染される一方、原子力発電所の建屋内などは、放射性セシウムのみならず、放射性ストロンチウムでも汚染されることが考えられる。
特に、Cs−137は半減期が約30年、Sr−90は半減期が約29年と長期である。このため、Cs−137やSr−90などで汚染された地域や建造物内は、能動的に除染しない限りは使用が困難である。例えば、土壌などは表面から所定深度まで放射性物質が浸透しているため、表層部分を物理的に排除することで除染できる。
しかし、建築物などのコンクリート体でも、表面から所定深度まで放射性物質が浸透しているが、コンクリート体を破損することなく、汚染された表層部分を物理的に排除することは困難である。
例えば、建造物の表面の洗浄方法としては、水道水などを浄水とした洗浄が通常である。例えば、高圧洗浄機による洗浄では、数MPaの圧力で一分当たりに数十リットルの浄水を使用する。
ここで、アスベストを含有した吹付材を除去する方法としては、酸性液を浸透させる吸液性素材を、アスベストを含有した吹付材の表面に配置し、その吸液性素材に酸性液を吹き付けて浸透させ、その酸性液を、アスベストを含有した吹付材に浸透させて除去する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、前述のように放射性物質で汚染された地域では、そもそも水道水も汚染されているため、外部から膨大な容量の浄水を搬入する必要がある。また、洗浄に利用した浄水は汚染されているので、膨大な容量の汚染された浄水を回収する必要もある。
さらに、汚染されたコンクリート体の表面に浄水を高圧で噴射すると、放射性物質を含有した飛沫や粉塵が多量に発生して飛散する。このため、汚染されて飛散する飛沫や粉塵のために、二次汚染が発生することになる。このような作業では作業者の被爆も防止することが困難である。
そもそも、高強度のコンクリート体の表面を、高圧の浄水の噴射で除去することは困難である。これを実現するためには、浄水を極度に高圧で噴射する必要がある。しかしながら、そうすると、さらに必要な浄水の容量が莫大になるとともに、回収する汚染された浄水の容量も莫大となり、汚染されて飛散する飛沫や粉塵も膨大となる。
なお、特許文献1の技術はアスベストを含有した吹付材の除去に特化したものであり、そのままではコンクリート体の放射性物質で汚染された表層部分を除染することには利用できない。
上述のような問題を解決するため、コンクリート体の表面に存在する放射性物質を除去する方法として、放射性物質で表層部分が汚染されたコンクリート体の表面に酸性流体を供給する流体供給ステップと、酸性流体でコンクリート体の汚染された表層部分のセメント成分が溶解されるまで放置する構造体溶解ステップと、コンクリート体の表面から溶解したセメント成分を吸引して除去する汚染除去ステップと、溶解した前記セメント成分が除去されたコンクリート体の表面を中和剤の供給により中和する表面中和ステップと、中和されたコンクリート体の表面を浄水で洗浄する表面洗浄ステップと、を備えた除染方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に記載の除染方法によれば、コンクリート体の表層部分に存在する放射性物質を効果的に除去することが可能になる。
特開2012−17592号公報 特開2014−41100号公報
上述したように、これまで、原子力発電所などで事故が発生した場合を想定して、事故の際に放出されることが考えられる上記の放射性セシウムや放射性ストロンチウムなどで周辺地域が汚染された場合の除染方法が検討されている。
ここで、上記の特許文献1、2に記載された方法で放射性物質の除染処理を行った場合には、除染対象物から除去された放射性物質を含む汚染排水が発生する。このような汚染排水は、放射性物質を一定量以上で含む排水であることから、そのまま下水道に流したり、あるいは海洋や河川などに放流することはできないため、タンクなどの保管施設に厳重に保管することが必要となる。
一方、放射性物質を含む汚染排水をタンクなどで保管した場合、容量が非常に大きくなることも想定されることから、保管場所の確保が困難になるという問題がある。このため、汚染排水から放射性物質を除去処理したうえで、放射性物質が除去された排水を廃棄するか、あるいは、洗浄水として再利用することが考えられる。
しかしながら、特許文献2に記載の除染方法をはじめ、従来のコンクリート体を除染する方法では、除染処理によって発生する汚染排水から放射性物質を効果的に除去できる方法については、何ら提案されていなかった。
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものであり、コンクリート体の放射性物質で汚染された表層部分を容易に除染することができるとともに、除染で発生する排水に含まれる放射性物質を確実に除去して排水処理を行うことが可能なコンクリート体の除染方法、を提供するものである。
上述のような課題を解決するため、本発明のコンクリート体の除染方法は、放射性物質で表層部分が汚染されたコンクリート体の表面に酸性流体を供給する流体供給ステップと、供給された前記酸性流体で前記コンクリート体の汚染された表層部分のセメント成分が溶解されるまで放置する構造体溶解ステップと、前記コンクリート体の表面から溶解した前記セメント成分を吸引して除去する汚染除去ステップと、溶解した前記セメント成分が除去された前記コンクリート体の表面を中和剤の供給により中和する表面中和ステップと、中和された前記コンクリート体の表面を浄水で洗浄する表面洗浄ステップと、前記コンクリート体を炭酸水素ナトリウム水溶液に浸漬させる浸漬ステップと、前記汚染除去ステップで除去された溶解した前記セメント成分、前記表面洗浄ステップで発生した洗浄排水、および、前記浸漬ステップで発生した浸漬排水を回収し、これらの混合排水を中和した後、該混合排水に含まれる放射性物質を凝集沈殿させ、さらに、前記混合排水を沈殿物と処理水とに固液分離する排水処理ステップと、を有する。
従って、このコンクリート体の除染方法では、流体供給ステップにて、放射性物質で表層部分が汚染されたコンクリート体の表面に酸性流体を供給する。つぎに、構造体溶解ステップにて、供給された酸性流体でコンクリート体の汚染された表層部分のセメント成分が溶解されるまで放置する。つぎに、汚染除去ステップにて、溶解したセメント成分をコンクリート体の表面から吸引して除去する。つぎに、表面中和ステップにて、溶解したセメント成分が除去されたコンクリート体の表面を中和剤の供給により中和する。つぎに、表面洗浄ステップにて、中和されたコンクリート体の表面から汚染除去ステップで除去できなかった微細な汚染物質などを浄水の洗浄で排除する。つぎに、浸漬ステップにて、コンクリート体を炭酸水素ナトリウム水溶液に浸漬させる。つぎに、排水処理ステップにて、汚染除去ステップで除去された溶解した前記セメント成分、表面洗浄ステップで発生した洗浄排水、および、浸漬ステップで発生した浸漬排水を回収し、これらの混合排水を中和した後、該混合排水に含まれる放射性物質を凝集沈殿させ、さらに、混合排水を沈殿物と処理水とに固液分離する。これにより、放射性物質で表層部分が汚染されたコンクリート体を容易に除染することができるとともに、除染で発生する排水に含まれる放射性物質を確実に除去して排水処理を行うことが可能になる。
上述のようなコンクリート体の除染方法において、さらに本発明では、前記排水処理ステップは、前記混合排水に、中和剤として水酸化ナトリウムを添加する。
従って、このコンクリート体の除染方法では、放射性物質を含む混合排水を中和するので、その後のステップにおいて、放射性物質を効果的に凝集沈殿させることが可能になる。
上述のようなコンクリート体の除染方法において、さらに本発明では、排水処理ステップは、中和後の混合排水に炭酸水素ナトリウムを添加してカルシウムを沈殿させる処理を含む。
従って、このコンクリート体の除染方法では、中和後の混合排水に炭酸水素ナトリウムを添加して、予め、カルシウムを沈殿させるので、その後のステップにおいて、カルシウムによって放射性物質の凝集が阻害されることがなく、放射性物質を効果的に凝集沈殿させることが可能になる。
上述のようなコンクリート体の除染方法において、さらに本発明では、前記排水処理ステップは、前記炭酸水素ナトリウムを添加してカルシウムを沈殿させた前記混合排水に、さらに、プルシアンブルーを添加して放射性セシウムを吸着させるとともに、水酸化チタン担持樹脂を添加して放射性ストロンチウムを吸着させ、ついで、前記混合排水を撹拌した後、前記放射性セシウムおよび前記放射性ストロンチウムが吸着された各化合物を凝集沈殿させる。
従って、このコンクリート体の除染方法では、プルシアンブルーに放射性セシウムを吸着させるとともに、水酸化チタン担持樹脂に放射性ストロンチウムを吸着させるので、その後のステップにおいて、放射性物質を確実に沈殿させ、固液分離することが可能となる。
上述のようなコンクリート体の除染方法において、さらに本発明では、前記流体供給ステップは、界面活性材を添加した有機酸の前記酸性流体を供給する。
従って、このコンクリート体の除染方法では、コンクリート体の表面の汚染されたセメント成分を溶解させる酸性流体として、微細な細孔やクラックなどに容易に浸透し、溶解能力は高いがpHは無機酸ほど低くなく、安全性が高く反応性が良好な酸性流体を供給することができる。
上述のようなコンクリート体の除染方法において、さらに本発明では、前記構造体溶解ステップは、前記酸性流体が供給されてから、前記コンクリート体の汚染の深度と、前記酸性流体の溶解能力と、前記酸性流体の酸解離定数と、の少なくとも一つに対応した時間まで放置する。
従って、このコンクリート体の除染方法では、酸性流体が表面に供給されたコンクリート体が、汚染の深度と、酸性流体の溶解能力と、酸性流体の酸解離定数と、の少なくとも一つに対応した時間まで放置されるので、汚染された表層部分のセメント成分が確実に溶解される。
上述のようなコンクリート体の除染方法において、さらに本発明では、前記汚染除去ステップは、前記コンクリート体のセメント成分の溶解とともに析出する析出物を固化する以前に除去する。
従って、このコンクリート体の除染方法では、コンクリート体のセメント成分の溶解とともに析出物が析出するが、この析出物が固化する以前に除去される。
なお、本発明の各種の構成要素は、必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等でもよい。
また、本発明で云うコンクリート体とは、いわゆるセメントに水や砂利等を混合して固化させたもの、アスファルトではなくセメントを使用したもの、いわゆる土間コンクリート、表面がセメント仕上げのもの、表面がモルタル仕上げのもの、等を内包し、例えば、各種建造物の外壁、内壁、屋根、ベランダ等の他、プレキャストコンクリート等、特に構造体を構成しないコンクリート体も内包するものである。
本発明に記載のコンクリート体の除染方法では、放射性物質で表層部分が汚染されたコンクリート体の表面に酸性流体を供給し、供給された酸性流体でコンクリート体の表面の汚染されたセメント成分を溶解させ、溶解したセメント成分をコンクリート体の表面から吸引して除去し、溶解したセメント成分が除去されたコンクリート体の表面を中和剤の供給により中和し、中和されたコンクリート体の表面から微細な汚染物質などを浄水の洗浄で排除する。さらに、本発明に記載のコンクリート体の除染方法では、コンクリート体を炭酸水素ナトリウム水溶液に浸漬させ、汚染除去ステップで除去された溶解したセメント成分、表面洗浄ステップで発生した洗浄排水、および、浸漬ステップで発生した浸漬排水を回収し、これらの混合排水を中和した後、該混合排水に含まれる放射性物質を凝集沈殿させ、さらに、混合排水を沈殿物と処理水とに固液分離する。これにより、放射性物質で表層部分が汚染されたコンクリート体を容易に除染することができるとともに、コンクリート体の除染で発生した排水に含まれる放射性物質を確実に除去して排水処理を行うことが可能になる。
本発明の実施の形態のコンクリート体の除染方法を示す模式的なフローチャートである。 本発明の実施の形態のコンクリート除染システムの構成を示す模式図である。 本発明の実施の形態のコンクリート除染システムによるコンクリート体の除染方法で除染することになるコンクリート体を示す模式的な縦断正面図である。 本発明の実施の形態のコンクリート除染システムによるコンクリート体の除染方法で除染することになるコンクリート体が放射性物質で汚染される状態を示す模式的な縦断正面図である。 本発明の実施の形態のコンクリート除染システムによるコンクリート体の除染方法の流体供給ステップで汚染されたコンクリート体に酸性流体を供給している状態を示す模式的な縦断正面図である。 本発明の実施の形態のコンクリート除染システムによるコンクリート体の除染方法の流体供給ステップで汚染されたコンクリート体に酸性流体が供給された状態を示す模式的な縦断正面図である。 本発明の実施の形態のコンクリート除染システムによるコンクリート体の除染方法の構造体溶解ステップでコンクリート体の汚染された表層部分に酸性流体が浸透した状態を示す模式的な縦断正面図である。 本発明の実施の形態のコンクリート除染システムによるコンクリート体の除染方法の汚染除去ステップでコンクリート体の汚染された表層部分を除去している状態を示す模式的な縦断正面図である。 本発明の実施の形態のコンクリート除染システムによるコンクリート体の除染方法の表面洗浄ステップで汚染された表層部分が除去されたコンクリート体の表面を洗浄している状態を示す模式的な縦断正面図である。 本発明の実施の形態のコンクリート除染システムによるコンクリート体の除染方法で汚染された表層部分が除去されたコンクリート体を示す模式的な縦断正面図である。 本発明の実施の形態のコンクリート除染システムによるコンクリート体の除染方法の排水処理ステップで汚染された排水の処理方法を示す模式的な縦断正面図である。
つぎに、本発明の実施の一形態に関して図面を参照して以下に説明する。なお、図1は、本実施の形態のコンクリート体の除染方法を示す模式的なフローチャート、図2は、本実施の形態のコンクリート除染システムの構成を示す模式図、図3ないし図11は、本実施の形態のコンクリート除染システムによるコンクリート体の除染方法を示す模式的な縦断正面図、である。
本実施の形態のコンクリート除染システム100は、図2に示すように、流体供給装置110と、汚染除去装置120と、表面洗浄装置130と、排水処理装置140とを有する。
流体供給装置110は、溶液タンク111と、溶液タンク111に連結されているフレキシブルチューブ112と、フレキシブルチューブ112が挿通されている流体ポンプ113と、フレキシブルチューブ112の先端に連結されている噴射ノズル114と、を有する。
溶液タンク111は、酸性流体である酸性溶液ALが収容されている。この酸性溶液ALは、無機酸に比較して溶解能力は確保されるがpHは低くなく、酸解離定数が高くない有機酸の溶液からなる。この酸性溶液ALの有機酸としては、クエン酸、リンゴ酸、発酵乳酸、酒石酸、等の食品添加物の単体や混合体からなる。
この酸性溶液ALとしては、高濃度溶液を使用してもよいが、土間コンクリートなどのコンクリート体CSとの親和性を考慮して、水などで希釈することがよい。このような酸性溶液ALの有機酸濃度は、0.1質量%〜100質量%でよく、特に、10質量%〜20質量%程度がよい。
フレキシブルチューブ112は、上述のように流体ポンプ113に挿通されていて溶液タンク111と噴射ノズル114とを連結しており、酸性溶液ALが流動する。流体ポンプ113は、酸性溶液ALをフレキシブルチューブ112で溶液タンク111から噴射ノズル114まで圧送する。噴射ノズル114は、圧送される酸性溶液ALを噴射する。
汚染除去装置120は、廃棄タンク121と、廃棄タンク121に連結されているフレキシブルチューブ122と、フレキシブルチューブ122が挿通されている流体ポンプ123と、フレキシブルチューブ122の先端に連結されている吸引ノズル124と、を有する。
廃棄タンク121は、詳細には後述するが、溶解して吸引されたセメント成分CBを収容する。フレキシブルチューブ122は、上述のように流体ポンプ123に挿通されていて廃棄タンク121と吸引ノズル124とを連結しており、溶解したセメント成分CBが流動する。
流体ポンプ123は、溶解したセメント成分CBをフレキシブルチューブ122で吸引ノズル124から廃棄タンク121まで圧送する。吸引ノズル124は、溶解したセメント成分CBの吸引に使用される。
表面洗浄装置130は、浄水タンク131および廃水タンク132と、これら浄水タンク131および廃水タンク132に個々に連結されている第一のフレキシブルチューブ133および第二のフレキシブルチューブ134と、これら第一のフレキシブルチューブ133および第二のフレキシブルチューブ134が個々に挿通されている圧送ポンプ135および吸引ポンプ136と、第一のフレキシブルチューブ133および第二のフレキシブルチューブ134の先端に個々に連結されている噴射ノズル137および吸引ノズル138と、を有する。
浄水タンク131は、水道水や純水などの浄水CWが収容されている。第一のフレキシブルチューブ133は、上述のように圧送ポンプ135に挿通されていて浄水タンク131と第一の噴射ノズル137とを連結しており、浄水CWが流動する。
圧送ポンプ135は、浄水CWを第一のフレキシブルチューブ133で浄水タンク131から噴射ノズル137まで圧送し、噴射ノズル137は、圧送される浄水CWを噴射する。
廃水タンク132は、詳細には後述するが、汚染物質ACを洗浄した浄水CWを収容する。また、第二のフレキシブルチューブ134は、上述のように吸引ポンプ136に挿通されていて廃水タンク132と吸引ノズル138とを連結しており、汚染物質ACを洗浄した浄水CWが流動する。
吸引ポンプ136は、汚染物質ACを洗浄した浄水CWを第二のフレキシブルチューブ134で吸引ノズル138から廃水タンク132まで圧送する。また、吸引ノズル138は、汚染物質ACを洗浄した浄水CWの吸引に使用される。なお、この吸引ノズル138と噴射ノズル137とは、並列に一体化されている。
排水処理装置140は、撹拌混合槽141と、撹拌混合槽141に連通する排水導入管142と、中和剤供給器143、炭酸水素ナトリウム供給器144、プルシアンブルー供給器145および水酸化チタン担持樹脂供給器146と、これら各供給器から撹拌混合層141に向けて各々の化合物を供給するための供給管143a、144a、145a、146aと、を有する。
撹拌混合層141は、汚染除去装置120で吸引された溶解したセメント成分CB、表面洗浄装置130で吸引された浄水(洗浄浄水)CW、および、コンクリート体CSを炭酸水素ナトリウム水溶液に浸漬させて発生した浸漬排水(図示せず)を回収し、これらの排水を混合する。また、撹拌混合層141は、上記の混合排水ML(図11を参照)を、中和剤の添加によって中和した後、混合排水に含まれる放射性物質を凝集沈殿させ、さらに、混合排水を沈殿物と処理水とに固液分離する処理槽であり、図示しない撹拌手段が設けられる。
排水導入管142は、回収された溶解したセメント成分CB、浄水(洗浄浄水)CW、および、図示しない浸漬排水を、撹拌混合層141に導入するための配管であり、上記の各排水などが圧送手段(図示せず)によって管内を流動する。
中和剤供給器143は、撹拌混合層141内の混合排水MLに対して、供給管143aを通じて中和剤を添加する。中和剤供給器143によって供給される中和剤としては、例えば、水酸化ナトリウムが用いられる。
炭酸水素ナトリウム供給器144は、撹拌混合層141内の混合排水MLに対して、供給管144aを通じて炭酸水素ナトリウムを添加することで、予め、混合排水MLに含まれるカルシウムを沈殿させる。
プルシアンブルー供給器145は、炭酸水素ナトリウムの添加によってカルシウム化合物が沈殿した撹拌混合層141内の混合排水MLに対して、供給管145aを通じてプルシアンブルーを添加する。混合排水MLに含まれる放射性セシウムは、プルシアンブルーに吸着され、沈殿物となる。
水酸化チタン担持樹脂供給器146は、炭酸水素ナトリウムの添加によってカルシウム化合物が沈殿した撹拌混合層141内の混合排水MLに対して、供給管146aを通じて水酸化チタン担持樹脂を添加する。混合排水MLに含まれる放射性ストロンチウムは、水酸化チタン担持樹脂に吸着され、沈殿物となる。
上述したように、撹拌混合層141には、図示しない撹拌手段が設けられている。この撹拌手段は、放射性物質を含む化合物が沈殿した混合排水MLを撹拌した後、撹拌動作を停止することで、撹拌混合層141内に放射性物質を含む各化合物を凝集沈殿させる。その後、撹拌混合層141内の混合排水MLを固液分離することにより、この混合排水MLを、放射性物質を含む化合物からなる沈殿物と、放射性物質の含有量が所定濃度以下に除去された処理水とに分離する。
上述のような構成において、本実施の形態のコンクリート除染システム100によるコンクリート体CSの除染方法を、図1および図3ないし図11を参照して以下に順番に説明する。
まず、図3に示すように、放射性物質RMで汚染されていない土間コンクリートなどのコンクリート体CSが構築されている場合、例えば、原子力発電所の事故などで放射性物質RMが飛散すると、図4に示すように、その放射性物質RMでコンクリート体CSの表層部分SLが汚染される。
そこで、本実施の形態のコンクリート除染システム100によるコンクリート体CSの除染方法では、図1および図5に示すように、まず、最初に、流体供給ステップS1として、放射性物質RMで表層部分SLが汚染されたコンクリート体CSの表面に、流体供給装置110で酸性溶液ALを供給する。
このとき、流体供給装置110は、前述のように食品添加物からなる有機酸の酸性溶液ALを、溶液タンク111から流体ポンプ113の圧力により噴射ノズル114から噴射する。
図6に示すように、この噴射により汚染されたコンクリート体CSの表面の全域に酸性溶液ALが均等に塗布されると、図1に示すように、セメント溶解ステップS2として、供給された酸性溶液ALでコンクリート体CSの表面の汚染されたセメント成分CBを溶解させる。
このセメント溶解ステップS2では、図7に示すように、供給された酸性溶液ALでコンクリート体CSの汚染された表層部分SLのセメント成分CBが溶解されるまで放置する。
このため、酸性溶液ALが供給されてから、コンクリート体CSの汚染の深度、酸性溶液ALの溶解能力を示す酸解離定数、コンクリート体CSの温度、雰囲気の気温、などに対応した時間まで、コンクリート体CSを放置する。
このように放置時間は、上述のように複数の条件により調節されるので、例えば、1〜60分、より望ましくは、5〜60分、などとされる。すると、酸性溶液ALがコンクリート体CSの汚染された表層部分SLに浸透することで、この表層部分SLが酸性溶液ALに溶解されて汚染されたセメント成分CBとなる。
このような状態で、図1および図8に示すように、汚染除去ステップS3として、汚染除去装置120により、溶解したセメント成分CBをコンクリート体CSの表面から除去する。このとき、汚染除去装置120は、流体ポンプ123が発生する負圧によりセメント成分CBを吸引ノズル124から吸引して廃棄タンク121に収容する
なお、上述のように酸性溶液ALによりコンクリート体CSのセメント成分CBを溶解させると、析出物(図示せず)が析出する。そこで、上述の汚染除去ステップS3では、析出した析出物が固化する以前にセメント成分CBを除去することが好ましい。
このセメント成分CBの除去が完了すると、表面中和ステップS4として、コンクリート体CSの表面に、重曹などの中和剤を散布する。さらに、この散布した中和剤の偏在を解消するため、デッキブラシなどにより中和剤が散布されたコンクリート体CSの表面をブラッシングする。そして、pH試験紙などを使用して、コンクリート体CSの表面が概ねpH5〜9、より好ましくはpH6〜8程度の中性になったことを確認する(図示せず)。
この中和が確認されると、基本的には、これで汚染されたコンクリート体CSの除染作業は完了する。ただし、上述のように汚染除去装置120で溶解したセメント成分CBをコンクリート体CSの表面から除去しても、図8に示すように、この汚染されたセメント成分CBが除去されたコンクリート体CSの表面に微細な汚染物質ACが残留することがある。
そこで、本実施の形態のコンクリート除染システム100による除染方法では、汚染除去ステップS3において、溶解したセメント成分CBが除去された、コンクリート体CSの表面に残留した微細な汚染物質ACを、一般的な真空掃除機などにより吸引して排除する(図示せず)。
さらには、本実施の形態のコンクリート除染システム100によるコンクリート体CSの除染方法では、上述のような微細な汚染物質ACの真空掃除機などによる排除を実行してから、図1および図9に示すように、汚染除去ステップS3において溶解したセメント成分CBが除去されて、表面中和ステップS4で中和剤により中和されたコンクリート体CSの表面を、表面洗浄ステップS5として表面洗浄装置130で洗浄する。
このとき、表面洗浄装置130は、浄水タンク131に収容されている浄水CWを、圧送ポンプ135の圧力で噴射ノズル137から、コンクリート体CSの表面に噴射すると同時に、このコンクリート体CSの表面から、汚染物質ACが混入した浄水CWを、吸引ノズル138から吸引ポンプ136の負圧で廃水タンク132に収容する。
これで、図10に示すように、コンクリート体CSは、放射性物質RMで汚染された表層部分SLが除去され、残留した微細な汚染物質ACも洗浄された状態となる。このように、本実施の形態のコンクリート除染システム100によるコンクリート体CSの除染方法では、放射性物質RMで汚染されたコンクリート体CSを容易に除染することができる。
さらに、本実施の形態の除染方法では、図1に示す浸漬ステップS6として、図示しない浸漬槽などを用いて、コンクリート体CSを炭酸水素ナトリウム水溶液に浸漬させる。この浸漬ステップS6により、例えば、コンクリート体CSの表面において、放射性ストロンチウムなどが汚染物質ACとして僅かに残留している場合に、これを沈殿物として、浸漬排水中に取り出すことできる。
なお、上述のように、汚染除去装置120によりコンクリート体CSの表面から除去したセメント成分CB、真空掃除機などにより吸引した微細な汚染物質AC、および、表面洗浄装置130の廃水タンク132に収容した浄水CW、コンクリート体CSを炭酸水素ナトリウム水溶液に浸漬させた際に発生する浸漬排水は、一時保存ステップとして、ドラム缶などに一時保存することができる(図示せず)。
そして、本実施の形態のコンクリート除染システム100によるコンクリート体CSの除染方法では、上記の汚染物質ACなどを収容したドラム缶を、搬送処理ステップとして、図2および図11に示すような排水処理装置140まで搬送し、この排水処理装置140により、排水処理ステップS7として、汚染された各排水などを除染処理する。
具体的には、本実施の形態のコンクリート除染システム100によるコンクリート体CSの除染方法では、排水処理装置140を用い、排水処理ステップS7として、回収されてドラム缶などに一時保存された、汚染除去ステップS3で除去された溶解したセメント成分CB、表面洗浄ステップS5で発生した排水としての浄水(洗浄排水)CW、および、浸漬ステップS6で発生した浸漬排水(図示せず)を、排水導入管142を通じて、図示しない圧送手段を用いて撹拌混合槽141内に導入し、混合排水MLとする。
ついで、排水処理ステップS7では、撹拌混合層141内の混合排水MLに、中和剤供給器143から供給管143aを通じて中和剤を添加することで、中和処理を行う。この際に用いる中和剤としては、例えば、水酸化ナトリウムなどが挙げられる。
ついで、排水処理ステップS7では、撹拌混合層141内の中和後の混合排水MLに、炭酸水素ナトリウム供給器144から供給管144aを通じて炭酸水素ナトリウムを添加することで、混合排水MLに含まれるカルシウム(Ca)を炭酸カルシウム(CaCO)として沈殿させる。この際、炭酸水素ナトリウムは、沈殿物の生成量が平衡状態となるまで添加し、沈殿物が増加しなくなった時点で炭酸水素ナトリウムの添加を停止する。
なお、この際、カルシウムの沈殿物が生成されるとともに、混合排水MLに含まれる放射性ストロンチウムも炭酸ストロンチウム(SrCO)として沈殿する。
本実施の形態で説明する除染方法において、中和後の混合排水MLに炭酸水素ナトリウムを添加することでカルシウムを沈殿させる理由としては、後述する放射性物質を沈殿させる処理において、水酸化チタン担持樹脂を添加した際に、混合排水MLにカルシウムが含まれていると、このカルシウムと水酸化チタンとが反応し、水酸化チタン担持樹脂の添加による放射性ストロンチウムの沈殿効果が得られ難くなるためである。本実施の形態においては、混合排水MLを中和した後、直ちに炭酸水素ナトリウムを添加することでカルシウムを沈殿させることにより、その後の処理において、より効果的に放射性ストロンチウムを沈殿させることができ、除染効果が高められる。
ついで、排水処理ステップS7では、撹拌混合層141内において、カルシウムを沈殿させた後の混合排水MLに、さらに、プルシアンブルー供給器145から供給管145aを通じてプルシアンブルーを添加することで、混合排水MLに含まれる放射性セシウムをプルシアンブルーに吸着させ、放射性セシウムを沈殿させる。これとともに、排水処理ステップS7では、混合排水MLに水酸化チタン担持樹脂を添加することで、混合排水MLに含まれる放射性ストロンチウムを水酸化チタン担持樹脂に吸着させ、放射性ストロンチウムを沈殿させる。
ついで、排水処理ステップS7では、撹拌混合層141内において、図示しない撹拌手段を用いて、各種沈殿物が生成された状態の混合排水MLを撹拌する。そして、十分に撹拌された状態の混合排水MLを、所定時間で放置することにより、放射性セシウムおよび放射性ストロンチウムを、プルシアンブルーまたは水酸化チタン担持樹脂に吸着された状態で凝集沈殿させる。
その後、排水処理ステップS7では、混合排水MLを、上記の沈殿物と処理水とに固液分離することで、放射性物質を沈殿物として分離し、放射性物質が所定濃度以下に除去された処理水を得る。本実施の形態のコンクリート除染システム100によるコンクリート体CSの除染方法で得られた除染後の処理水は、放射性物質が所定量以下に除去されたものなので、例えば、この処理水を廃棄するか、あるいは、洗浄水として再利用することが可能である。
以上説明したような、本実施の形態のコンクリート除染システム100によるコンクリート体CSの除染方法では、前述のように浄水CWで洗浄するコンクリート体CSの表面は、汚染したセメント成分CBが溶解して除去されるので、少量の浄水CWでコンクリート体CSの表面を除染することができる。
特に、コンクリート体CSの表面を浄水CWで洗浄すると同時に、その汚染物質ACが混入した浄水CWを吸引するので、洗浄されたコンクリート体CSの表面や周囲に汚染物質ACが残留することがない。
しかも、本実施の形態のコンクリート除染システム100によるコンクリート体CSの除染方法では、流体供給ステップS1で流体供給装置110によりコンクリート体CSに有機酸の酸性溶液ALを供給する。
従って、コンクリート体CSの表面の汚染されたセメント成分CBを溶解させる酸性溶液ALとして、溶解能力は高いがpHは無機酸ほど低くなく、安全性が高く反応性が良好な酸性溶液ALを供給することができる。
特に、食品添加物からなる有機酸の酸性溶液ALを供給するので、人体に無害であることが確認されている酸性溶液ALを供給することができる。しかも、コンクリート体CSの表面に液体状態の酸性溶液ALを供給する。このため、コンクリート体CSの表面に良好に浸透する液体状態で酸性溶液ALを供給することができる。
さらに、本実施の形態のコンクリート除染システム100によるコンクリート体CSの除染方法では、セメント溶解ステップS2として、供給された酸性溶液ALでコンクリート体CSの汚染された表層部分SLのセメント成分CBが溶解されるまで放置する。
従って、酸性溶液ALが表面に供給されたコンクリート体CSの汚染された表層部分SLのセメント成分CBを確実に溶解することができる。
特に、セメント溶解ステップS2では、酸性溶液ALが供給されてから、コンクリート体CSの汚染の深度と、酸性溶液ALの溶解能力を示す酸解離定数と、に対応した時間まで放置する。
従って、酸性溶液ALが表面に供給されたコンクリート体CSの汚染された表層部分SLのセメント成分CBを過不足なく確実に溶解させることができる。
しかも、本実施の形態のコンクリート除染システム100によるコンクリート体CSの除染方法では、汚染除去ステップS3で、汚染除去装置120により、溶解したセメント成分CBを吸引して除去する。
従って、コンクリート体CSから溶解したセメント成分CBが吸引により除去されるので、汚染して溶解されたセメント成分CBが周囲に飛散するようなことなく除去される。
特に、コンクリート体CSのセメント成分CBの溶解とともに析出物が析出するが、汚染除去ステップS3では、この析出物が固化する以前に除去することで、固化した析出物がコンクリート体CSの表面に固着することを防止できる。
なお、本発明者は上記のコンクリート除染システム100によるコンクリート体CSの除染方法の作用を検証するため、実際にコンクリート体を酸性溶液で溶解させる実験を実施した。
その実験では、設計強度基準27(N/mm)で調合し、100mmφ×200mmHで28日間標準養生させてコンクリート体を作成した。つぎに、クエン酸20質量%の水溶液、リンゴ酸20質量%の水溶液、発酵乳酸20質量%の水溶液、酒石酸20質量%の水溶液、を酸性溶液として用意した。
そして、これら各種の酸性溶液にコンクリート体を一時間浸漬させ、直径の変化を計測した。すると、以下の表1に示すように、酸性溶液に浸漬させなかった基準のコンクリート体に比較して、各々直径が0.3mm〜0.8mmほど減少することが判明した。
Figure 2015190831
このことから、本実施の形態のコンクリート除染システム100によるコンクリート体CSの除染方法によって、コンクリート体CSの表層を、充分に実用的な時間で溶解できることが確認できた。
さらに、本実施の形態のコンクリート除染システム100によるコンクリート体CSの除染方法では、排水処理ステップS7として、汚染除去ステップS3で除去された溶解したセメント成分CB、表面洗浄ステップS5で発生した排水としての浄水(洗浄排水)CW、および、浸漬ステップS6で発生した浸漬排水(図示せず)を回収する。そして、これらの混合排水MLを中和した後、放射性セシウムおよび放射性ストロンチウムを凝集沈殿させるので、これらの放射性物質を確実に沈殿させ、さらに、混合排水MLを沈殿物と処理水とに固液分離する方法なので、コンクリート体CSの除染で発生した排水に含まれる放射性物質を確実に除去して排水処理を行うことが可能になる。
また、本実施の形態の排水処理ステップS7においては、中和後の混合排水MLに炭酸水素ナトリウムを添加して、予め、カルシウムを沈殿させる方法とすることで、その後のステップにおいて、カルシウムによって放射性物質の凝集が阻害されることがなく、放射性物質を効果的に凝集沈殿させることが可能になる。
また、本実施の形態の排水処理ステップS7においては、混合排水MLに含まれる放射性セシウムをプルシアンブルーに吸着させ、また、放射性ストロンチウムを水酸化チタン担持樹脂に吸着させることで、これらの放射性物質を各化合物とともに凝集沈殿させる方法とすることにより、上記の放射性物質を確実に凝集沈殿させ、固液分離することが可能となる。
従って、本実施の形態のコンクリート除染システム100によるコンクリート体CSの除染方法によれば、上記方法を採用することで、放射性物質で表層部分が汚染されたコンクリート体を容易に除染することができるとともに、コンクリート体の除染で発生した排水に含まれる放射性物質を確実に除去して排水処理を行うことが可能になるという優れた効果を奏するものである。
なお、本発明は本実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で各種の変形を許容する。例えば、上記形態では、作業者がコンクリート除染システム100の、流体供給装置110と、汚染除去装置120と、表面洗浄装置130と、排水処理装置140とを手動操作することを想定した。
しかしながら、本発明においては、上述のような、流体供給装置110と、汚染除去装置120と、表面洗浄装置130と、排水処理装置140とから、ロボットアームなどに連結したコンクリート除染システム(図示せず)などを構成し、これを遠隔操作してコンクリート除染作業を実行する方法としてもよい。
また、上記形態では、流体供給装置110による流体供給ステップS1で、有機酸の酸性溶液ALを使用することを例示したが、無機酸の酸性溶液を使用してもよい。
さらに、上記形態では、有機酸の酸性溶液ALとして、クエン酸、リンゴ酸、発酵乳酸、酒石酸、等の食品添加物を利用することを例示したが、酢酸、ギ酸、シュウ酸、等の食品添加物でない有機酸を使用してもよい。
また、上記形態では、有機酸の酸性溶液ALを、そのまま使用することを例示した。しかし、このような酸性溶液ALに界面活性材を添加してもよい。この場合、コンクリート体CSの表面の微細な細孔やクラックなどに、酸性溶液ALを容易に浸透させることができる。
このように酸性溶液ALに添加する界面活性材としては、酸との安定性が確保できるものであればよく、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、等の界面活性材を使用することができる。
なお、このような界面活性材の配合としては、酸性溶液ALに対して0.01質量%〜10質量%でよく、特に、0.5質量%〜2質量%程度がよい。
また、上記形態では流体供給ステップS1で流体供給装置110により酸性溶液ALをコンクリート体CSの表面に噴射して塗布することを例示した。しかし、刷毛やローラなどで塗布してもよい。
さらに、上記形態では、流体供給ステップS1で流体供給装置110により液体状態の酸性溶液ALをコンクリート体CSの表面に供給することを例示した。しかし、蒸気の状態の酸性溶液ALを供給してコンクリート体CSの表面で液化させてもよい。
また、上記形態では、汚染除去ステップS3で溶解したセメント成分CBが除去され、表面中和ステップS4で中和剤により中和されたコンクリート体CSの表面を、表面洗浄ステップS5で浄水CWにより洗浄することを例示した。
しかしながら、汚染除去ステップS3で溶解したセメント成分CBが除去されたコンクリート体CSの表面を、表面中和ステップおよび表面洗浄ステップとして、中和剤が混入や溶解された浄水により、中和するとともに洗浄してもよい(図示せず)。
なお、当然ながら、上述した実施の形態および複数の変形例は、その内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。また、上述した実施の形態および変形例では、各部の構造などを具体的に説明したが、その構造などは本願発明を満足する範囲で各種に変更することができる。
100…コンクリート除染システム、110…流体供給装置、120…汚染除去装置、130…表面洗浄装置、140…排水処理装置、CS…コンクリート体、ML…混合排水、S1…流体供給ステップ、S2…セメント溶解ステップ、S3…汚染除去ステップ、S4…表面中和ステップ、S5…表面洗浄ステップ、S6…浸漬ステップ、S7…排水処理ステップ。

Claims (7)

  1. 放射性物質で表層部分が汚染されたコンクリート体の表面に酸性流体を供給する流体供給ステップと、
    供給された前記酸性流体で前記コンクリート体の汚染された表層部分のセメント成分が溶解されるまで放置する構造体溶解ステップと、
    前記コンクリート体の表面から溶解した前記セメント成分を吸引して除去する汚染除去ステップと、
    溶解した前記セメント成分が除去された前記コンクリート体の表面を中和剤の供給により中和する表面中和ステップと、
    中和された前記コンクリート体の表面を浄水で洗浄する表面洗浄ステップと、
    前記コンクリート体を炭酸水素ナトリウム水溶液に浸漬させる浸漬ステップと、
    前記汚染除去ステップで除去された溶解した前記セメント成分、前記表面洗浄ステップで発生した洗浄排水、および、前記浸漬ステップで発生した浸漬排水を回収し、これらの混合排水を中和した後、該混合排水に含まれる放射性物質を凝集沈殿させ、さらに、前記混合排水を沈殿物と処理水とに固液分離する排水処理ステップと、を有するコンクリート体の除染方法。
  2. 前記排水処理ステップは、前記混合排水に、中和剤として水酸化ナトリウムを添加する、請求項1に記載のコンクリート体の除染方法。
  3. 前記排水処理ステップは、中和後の前記混合排水に炭酸水素ナトリウムを添加してカルシウムを沈殿させる処理を含む、請求項1または請求項2に記載のコンクリート体の除染方法。
  4. 前記排水処理ステップは、前記炭酸水素ナトリウムを添加してカルシウムを沈殿させた前記混合排水に、さらに、プルシアンブルーを添加して放射性セシウムを吸着させるとともに、水酸化チタン担持樹脂を添加して放射性ストロンチウムを吸着させ、ついで、前記混合排水を撹拌した後、前記放射性セシウムおよび前記放射性ストロンチウムが吸着された各化合物を凝集沈殿させる、請求項3に記載のコンクリート体の除染方法。
  5. 前記流体供給ステップは、界面活性材を添加した有機酸の前記酸性流体を供給する、請求項1〜請求項4の何れか一項に記載のコンクリート体の除染方法。
  6. 前記構造体溶解ステップは、前記酸性流体が供給されてから、前記コンクリート体の汚染の深度と、前記酸性流体の溶解能力と、前記酸性流体の酸解離定数と、の少なくとも一つに対応した時間まで放置する、請求項1〜請求項5の何れか一項に記載のコンクリート体の除染方法。
  7. 前記汚染除去ステップは、前記コンクリート体のセメント成分の溶解とともに析出する析出物を固化する以前に除去する、請求項1〜請求項6の何れか一項に記載のコンクリート体の除染方法。
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