JP2015196603A - 結晶性積層構造体、半導体装置 - Google Patents

結晶性積層構造体、半導体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】不純物がドーピングされたコランダム構造を有するα−酸化ガリウム系薄膜が加熱工程において高抵抗化することを抑制することができる結晶性積層構造体を提供する。
【解決手段】本発明によれば、下地基板と、その上に直接又は別の層を介して形成され且つコランダム構造を有するα−酸化ガリウム系薄膜を備え、前記α−酸化ガリウム系薄膜は、前記α−酸化ガリウム系薄膜中の金属元素中のガリウムの原子比が0.5以上であり、膜厚が1μm以上であり、且つその少なくとも一部に不純物がドーピングされている、結晶性積層構造体が提供される。
【選択図】図4

Description

本発明は、結晶性積層構造体及び半導体装置に関する。
被成膜試料上に結晶性の高い酸化ガリウム系薄膜を形成する方法として、ミストCVD法等の水微粒子を用いた成膜手法が知られている(特許文献1)。この方法では、ガリウムアセチルアセトナートなどのガリウム化合物を塩酸などの酸に溶解して原料溶液を作成し、この原料溶液を微粒子化することによって原料微粒子を生成し、この原料微粒子をキャリアガスによって被成膜試料の成膜面に供給し、原料ミストを反応させて成膜面上に薄膜を形成することによって、被成膜試料上に結晶性の高い酸化ガリウム系薄膜を形成している。
酸化ガリウム系薄膜を用いて半導体デバイスを形成するためには、酸化ガリウム系薄膜の導電性の制御が必須であり、特許文献1及び非特許文献1では、α−酸化ガリウム系薄膜に不純物のドーピングを行う技術が開示されている。
特開2013−28480号公報
Electrical Conductive Corundum-Structured α-Ga2O3 Thin Films on Sapphire with Tin-Doping Grown by Spray-Assisted Mist Chemical Vapor Deposition(Japanese Journal of Applied Physics 51 (2012) 070203)
特許文献1及び非特許文献1の方法によれば、導電性に優れたα−酸化ガリウム系薄膜が形成することができるが、本発明者がさらに検討を進めたところ、これらの文献に開示された方法で形成した厚さ300nm程度のα−酸化ガリウム系薄膜は、成膜直後は導電性が優れているが、500℃での加熱工程を行った後に、再度、導電性を評価したところ、α−酸化ガリウム系薄膜が高抵抗化してしまい、半導体特性・電子伝導性を失っていることが分かった。半導体デバイスの製造プロセスにおいては、成膜工程の後には、500℃以上の加熱が必要な工程が通常は存在していることから、このような温度域での加熱によって高抵抗化してしまうのは深刻な問題である。
一般的に半導体材料の導電性の制御はドーパント濃度の制御とドーピング後の活性化アニールによる活性化率の向上に主眼が置かれる。この原則に従い、前記特許文献および公知文献が提供する方法でα−酸化ガリウム系薄膜にドーピングを施した後、活性化アニールおよびオーミックアニールのために半導体に対して加熱を施したところ、高抵抗化(抵抗値にして2桁から4桁)が起こる課題に直面した。
この課題の原因としては、一般的には加熱によりコンタミネーション元素が結晶内で移動することで、電子の移動を阻害する位置に配置されることが考えられる。その観点から、そもそもコンタミネーション元素を無くすべくコンタミネーション低減の対策を講じた上で、さらにコンタミネーション元素が微量に残っていたとしても電気的に不活性な状態を実現する最適なアニール条件を見つけるよう、アニール温度の低温化、アニールプロファイルの最適化、アニール雰囲気の制御などの種々の解決策を講じたが、高抵抗化の問題は解決しなかった。
また、本発明者らが別の観点から調査を行ったところ、厚さ300nm程度のβ−酸化ガリウム系薄膜やα−酸化インジウム薄膜では導電性薄膜の高抵抗化が起こらないことが分かった。つまり、導電性薄膜の高抵抗化の問題は、α−酸化ガリウム系の導電性薄膜にのみ生じる特異的な現象であることが分かった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、不純物がドーピングされたコランダム構造を有するα−酸化ガリウム系薄膜が加熱工程において高抵抗化することを抑制することができる結晶性積層構造体を提供するものである。
本発明によれば、下地基板と、その上に直接又は別の層を介して形成され且つコランダム構造を有するα−酸化ガリウム系薄膜を備え、前記α−酸化ガリウム系薄膜は、前記α−酸化ガリウム系薄膜中の金属元素中のガリウムの原子比が0.5以上であり、膜厚が1μm以上であり、且つその少なくとも一部に不純物がドーピングされている、結晶性積層構造体が提供される。
上記のように、本発明者らは不純物がドーピングされたコランダム構造を有するα−酸化ガリウム系薄膜の高抵抗化の問題を解決すべく種々の解決策を講じてきたが、問題の解決に至らなかった。
ところが、ある日、通常の成膜条件と異なる条件で成膜し、その後、その他のサンプルと同様のアニール処理を実施したところ、高抵抗化が観測されず、むしろ低抵抗化するという現象を初めて観測した。原因が全く分からなかったため、薄膜の分析を進めたところ、そのサンプルは特異的に1μm以上の厚さを有することに気付いた。α−酸化ガリウム系薄膜は、下地基板上にヘテロエピタキシャル成長させた場合にミクロンオーダーの厚さにまでに成長させると、薄膜にクラックが入りやすくなるため、α−酸化ガリウム系薄膜の評価では、安定的にクラックレスの薄膜が得られる300nm程度で実験を行うことが通常であった。今から考えると、このような常識が、「厚膜化」という解決策を採用することを阻害してきたと言える。
さらに、これまでα−酸化ガリウム系薄膜で高結晶性のものは絶縁性下地基板であるサファイア基板上で実現されてきたため、下地基板と薄膜の界面の方向と平行な方向に電気を流す、ヨコ型のデバイス化が検討されてきた。ヨコ型でFETデバイスを試作する場合、空乏層の厚みを考えると、数百nm程度がスイッチング動作可能な膜厚であり、数ミクロンオーダーの薄膜を形成する動機が存在しなかった。
こういった事情から、実際に特許文献1(川原村スズドープ)では200nmから300nmの間で検討されており、非特許文献1(赤岩スズドープ)でもα−酸化ガリウム系薄膜の厚膜化の検討はされてこなかったことにも納得がいく。
ところで、膜厚が数百nmの場合にα−酸化ガリウム系薄膜が高抵抗化する原因や、厚膜化によってこの高抵抗化の問題が解決するメカニズムは完全には解明されていない。このメカニズムの解明のために、厚膜化によってα−酸化ガリウム系薄膜の結晶性が改善し、それによって高抵抗化の問題が解決しているのではないかという仮説を立てた。そして、この仮説の真偽を確認するために、厚さが異なる複数種類のα−酸化ガリウム系薄膜の試料を作製し、各試料についてXRD測定によって半値幅を算出したところ、厚さが数百nmの場合と1μmの場合とで半値幅はほとんど同じであった。この結果は、結晶性改善が高抵抗化の問題解決に寄与しているという上記仮説を否定するものであり、現在は未知である別のメカニズムによって高抵抗化の問題が解決していることを示唆している。
本発明の一実施形態の結晶性積層構造体の構成例を示す。 本発明の実施例で用いたミストCVD装置の構成図である。 本発明の実施例での、α−酸化ガリウム系薄膜の厚さと半値幅の関係を示すグラフである。 本発明の実施例での、α−酸化ガリウム系薄膜の厚さと抵抗値の関係を示すグラフである。
本発明の一実施形態の結晶性積層構造体は、下地基板と、その上に直接又は別の層を介して形成され且つコランダム構造を有するα−酸化ガリウム系薄膜を備え、前記α−酸化ガリウム系薄膜は、前記α−酸化ガリウム系薄膜中の金属元素中のガリウムの原子比が0.5以上であり、膜厚が1μm以上であり、且つその少なくとも一部に不純物がドーピングされている。「結晶性積層構造体」とは、一層以上の結晶層を含む構造体であり、結晶層以外の層(例:アモルファス層)を含んでいてもよい。また、結晶層は、単結晶層であることが好ましいが、多結晶層であってもよい。
<下地基板>
下地基板は、上記のα−酸化ガリウム系薄膜の支持体となるものであれば特に限定されず、コランダム構造を有する基板が好ましい。コランダム構造を有する基板としては、サファイア基板(例:c面サファイア基板)や、α型酸化ガリウム基板が挙げられる。また、下地基板は、コランダム構造を有さないものであってもよい。コランダム構造を有さない下地基板としては、例えば、六方晶構造を有する基板(例:6H−SiC基板、ZnO基板、GaN基板)が挙げられる。六方晶構造を有する基板上には、直接または別の層(例:緩衝層)を介して、α−酸化ガリウム系薄膜を形成することができる。
<α−酸化ガリウム系薄膜>
α−酸化ガリウム系薄膜は、コランダム構造を有する結晶薄膜である。上記の通り、厚さ300nm程度の不純物がドーピングされたβ−酸化ガリウム薄膜では、高抵抗化の問題が生じないので、本発明によって解決すべき課題が存在していない。そこで、本発明は、その対象を、コランダム構造を有するα型のα−酸化ガリウム系薄膜に限定している。この薄膜は、単結晶であることが好ましいが、多結晶であってもよい。このα−酸化ガリウム系薄膜の組成は、この薄膜中に含まれる金属元素中のガリウムの原子比が0.5以上であればよい。この原子比は、具体的には例えば、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。また、α−酸化ガリウム系薄膜の組成は、例えばInAlGaFe(0≦X≦2.5、0≦Y≦2.5、1≦Z≦2.5、0≦V≦2.5、X+Y+Z+V=1.5〜2.5)である。この一般式において、X、Y、Vは、それぞれ、具体的には例えば、0、0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5であり、Zは、具体的には例えば、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5である。X+Y+Z+Vは、具体的には例えば、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5である。X、Y、Z、V、X+Y+Z+Vは、それぞれ、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。なお、上記一般式は、コランダム構造を形成する格子点上の原子の組成を表現しているのであって、「X+Y+Z+V=2」と表記していないことからも明らかなように、ノンストイキオメトリー酸化物も含んでおり、これは、金属不足酸化物、酸素不足酸化物も含む。
α−酸化ガリウム系薄膜は、下地基板上に直接形成してもよく、別の層を介して形成してもよい。別の層としては、別の組成のコランダム構造結晶薄膜、コランダム構造以外の結晶薄膜、又はアモルファス薄膜が挙げられる。
α−酸化ガリウム系薄膜は、その少なくとも一部(より具体的には厚さ方向の一部)に不純物がドーピングされていればよく、単層構造であってもよく、複数層構造であってもよい。複数層構造の場合、α−酸化ガリウム系薄膜は、例えば、絶縁性薄膜と導電性薄膜が積層されて構成される。この場合、絶縁性薄膜と導電性薄膜がそれぞれ上記組成を有する。絶縁性薄膜と導電性薄膜の組成は、同じであっても互いに異なっていてもよい。絶縁性薄膜と導電性薄膜の厚さの比は、特に限定されないが、例えば、(導電性薄膜の厚さ)/(絶縁性薄膜の厚さ)の比が0.001〜100であり、0.1〜5が好ましく、0.2〜2がさらに好ましい。この比は、具体的には例えば、0.001、0.01、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2,3、4、5、10、100であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
導電性薄膜は、導電性を付与すべく不純物でドーピングされている。不純物のドーピング濃度は、導電性薄膜に対して要求される特性によって適宜決定されるが、例えば1E15/cmから1E20/cmである。また、ドーピングする不純物の種類は、特に限定されないが、例えば、Ge、Sn、Si、Ti、Zr、Hfから選択される少なくとも1種からなる。絶縁性薄膜は、不純物のドーピングは不要であるが、導電性が現れない程度にドーピングされていてもよい。
α−酸化ガリウム系薄膜の厚さは、1μm以上である。α−酸化ガリウム系薄膜は、通常は300nm程度の厚さで形成されるが、このような厚さで形成した場合、500℃での加熱工程を行った場合に生じる導電性薄膜の高抵抗化の問題をどうしても解決することができなかった。一方、このα−酸化ガリウム系薄膜を厚さ1μmで形成すると、500℃で加熱工程を行った場合の、導電性薄膜の高抵抗化を抑制することができた。α−酸化ガリウム系薄膜の厚さの上限は特に規定されないが例えば20μmであり、α−酸化ガリウム系薄膜の厚さは、具体的には例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20μmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。α−酸化ガリウム系薄膜の厚さは、好ましくは9μm以下である。α−酸化ガリウム系薄膜の厚さが9μm以下であると、膜応力の減少によってクラックは発生しにくくなるからである。
また、導電性薄膜の厚さが1μm以上であることが好ましい。導電性薄膜の厚さの上限は、特に規定されないが例えば20μmであり、導電性薄膜の厚さは、具体的には例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20μmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。なお、後述する実施例で示すように、α−酸化ガリウム系薄膜の厚さが1μm以上の場合であっても、導電性薄膜形成後の加熱工程の温度が600℃以上の場合には、導電性薄膜の高抵抗化が起こる場合があるので、この加熱工程の温度は、600℃未満が好ましく、550℃以下が好ましく、500℃以下がさらに好ましい。加熱工程後のα−酸化ガリウム系薄膜の電気抵抗率は、好ましくは80mΩcm以下、より好ましくは50mΩcm以下、より好ましくは25mΩcm以下である。本発明においては、電気抵抗率(mΩcm)は、4探針法(JIS H 0602:シリコン単結晶及びシリコンウェーハの4探針法による抵抗率測定方法)に準じて、4探針測定器を用いて測定されるものである。
α−酸化ガリウム系薄膜の形成方法は、特に限定されないが、例えば、ガリウム化合物、インジウム化合物、アルミニウム化合物、及び鉄化合物をα−酸化ガリウム系薄膜の組成に合わせて組み合わせた原料化合物を酸化反応させることによって形成可能である。これによって、下地基板上に、下地基板側からα−酸化ガリウム系薄膜を結晶成長させることができる。ガリウム化合物及びインジウム化合物としては、ガリウム金属やインジウム金属を出発材料として成膜直前にガリウム化合物及びインジウム化合物に変化させたものであってもよい。ガリウム化合物、インジウム化合物、アルミニウム化合物、及び鉄化合物としては、それぞれの金属についての有機金属錯体(例:アセチルアセトナート錯体)やハロゲン化物(フッ化、塩化、臭化、又はヨウ化物)が挙げられる。ドーパント原料としては、ドーピングされる不純物の金属単体又は化合物(例:ハロゲン化物、酸化物)が挙げられる。安定的に厚膜形成をするために異常粒抑制剤として、BrやIを薄膜中に導入すると異常粒成長による表面粗さの悪化を抑制することができる。電子伝導性の制御にはGe、Sn、Si、Ti、Zr、Hfなどのn型ドーパントが考えられるがこれに限定されない。異常粒抑制剤であるBrやIの10倍以上のn型ドーパントを導入することで、キャリア密度の制御が容易になる。また、異常粒抑制剤であるBrやIをn型ドーパントとして電子伝導性を制御することもできる。異常粒抑制剤を使用することによって、α−酸化ガリウム系薄膜の最表面の表面粗さRaを0.1μm以下にすることが容易になる。α−酸化ガリウム系薄膜上に電極などを安定的に形成するためには、その表面粗さをできるだけ小さくすることが好ましいが、α−酸化ガリウム系薄膜では異常粒が形成されやすいので、表面粗さの増大を抑制しつつα−酸化ガリウム系薄膜の膜厚を増大させることは、従来は容易ではなかった。一方、本実施形態では、異常粒抑制剤を使用することによって、表面粗さを小さくしつつα−酸化ガリウム系薄膜を厚膜化することが容易になった。α−酸化ガリウム系薄膜の最表面の表面粗さRaは、例えば1〜100nmであり、具体的には例えば、1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100nmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内又は何れか1つの値以下であってもよい。表面粗さ(算術平均粗さ)Raは、JIS B 0601−2001に従って測定されるものである。
α−酸化ガリウム系薄膜は、より具体的には、原料化合物が溶解した原料溶液から生成された原料微粒子を成膜室に供給して、前記成膜室内で前記原料化合物を反応させることによって形成することができる。原料溶液の溶媒は、水、過酸化水素水、有機溶媒であることが好ましい。薄膜に不純物ドーピングをする場合は、ドーパント原料の存在下で、上記原料化合物を酸化反応させればよい。ドーパント原料は、好ましくは、原料溶液に含められて、原料化合物と共に微粒子化される。
<結晶性積層構造体の構成例>
本実施形態の結晶性積層構造体及びこれを用いた半導体装置の例を図1に示す。図1の例では、下地基板1上にα−酸化ガリウム系薄膜3が形成されている。α−酸化ガリウム系薄膜3は、下地基板1側から順に絶縁性薄膜3aと導電性薄膜3bが積層されて構成されている。導電性薄膜3b上にゲート絶縁膜5が形成されている。ゲート絶縁膜5上にはゲート電極7が形成されている。また、導電性薄膜3b上には、ゲート電極7を挟むように、ソース・ドレイン電極9が形成されている。このような構成によれば、ゲート電極7に印加するゲート電圧によって導電性薄膜3bに形成される空乏層の制御が可能となり、トランジスタ動作(FETデバイス)が可能となる。
本実施形態の結晶性積層構造体を用いて形成される半導体装置としては、MISやHEMT等のトランジスタやTFT、半導体-金属接合を利用したショットキーバリアダイオード、他のP層と組み合わせたPN又はPINダイオード、受発光素子が挙げられる。
以下、本発明の実施例を説明する。以下の実施例では、ミストCVD法によって不純物がドーピングされたα−酸化ガリウム系薄膜を形成しているが、本発明の効果は、α−酸化ガリウム系薄膜が所定の組成、結晶構造、及び厚さを有していて、且つ不純物がドーピングされていることに由来していると考えられ、本発明の範囲は、ミストCVD法以外の方法によって得られた結晶性積層構造体にも及ぶ。
1.CVD装置
まず、図2を用いて、本実施例で用いたCVD装置19を説明する。CVD装置19は、下地基板等の被成膜試料20を載置する試料台21と、キャリアガスを供給するキャリアガス源22と、キャリアガス源22から送り出されるキャリアガスの流量を調節するための流量調節弁23と、原料溶液24aが収容されるミスト発生源24と、水25aが入れられる容器25と、容器25の底面に取り付けられた超音波振動子26と、内径40mmの石英管からなる成膜室27と、成膜室27の周辺部に設置されたヒータ28を備えている。試料台21は、石英からなり、被成膜試料20を載置する面が水平面から傾斜している。成膜室27と試料台21をどちらも石英で作製することにより、被成膜試料20上に形成される薄膜内に装置由来の不純物が混入することを抑制している。
2.原料溶液の作製
<条件1>
臭化ガリウムと酸化ゲルマニウムをガリウムに対するゲルマニウムの原子比が1:0.05となるように水溶液を調整した。この際、酸化ゲルマニウムを溶解促進のために、48%臭化水素酸溶液を体積比で10%を含有させた。
<条件2>
臭化ガリウム、臭化スズをそれぞれ物質量比で1:0.01となるように水溶液を調整した。この際、溶解促進のために、48%臭化水素酸溶液を体積比で10%を含有させた。
条件1〜2のいずれも、臭化ガリウム濃度は、1.0×10−2mol/Lとした。この原料溶液24aをミスト発生源24内に収容した。
3.成膜準備
次に、被成膜試料20として、1辺が10mmの正方形で厚さ600μmのc面サファイア基板を試料台21上に設置させ、ヒータ28を作動させて成膜室27内の温度を500℃にまで昇温させた。次に、流量調節弁23を開いてキャリアガス源22からキャリアガスを成膜室27内に供給し、成膜室27の雰囲気をキャリアガスで十分に置換した後、キャリアガスの流量を5L/minに調節した。キャリアガスとしては、酸素ガスを用いた。
4.薄膜形成
次に、超音波振動子26を2.4MHzで振動させ、その振動を水25aを通じて原料溶液24aに伝播させることによって原料溶液24aを微粒子化させて原料微粒子を生成した。この原料微粒子が、キャリアガスによって成膜室27内に導入され、成膜室27内で反応して、被成膜試料20の成膜面でのCVD反応によって被成膜試料20上に薄膜を形成した。成膜の時間を調節することにより、膜厚の制御を行った。
5.評価
<結晶性評価>
条件1及び2で形成した薄膜の相の同定をした。同定は、薄膜用XRD回折装置を用いて、15度から95度の角度で2θ/ωスキャンを行うことによって行った。測定は、CuKα線を用いて行った。その結果、形成した薄膜は、コランダム構造を有するα−酸化ガリウムであった。
直径0.5mmのインジウム電極を1mmの端子間距離を設けて圧着後、窒素雰囲気で500℃20分アニール処理を行った。アニール後にもXRD測定を行い、相転移が起こらず、α−酸化ガリウムの結晶構造を維持していることを確認した。
得られた薄膜は干渉式膜厚計を用いて膜厚を計測した。同一のサンプル群について、XRD測定を行って半値幅を算出した結果を図3に示す。
膜厚が増加しても半値幅は若干の悪化傾向にあり、大きな変化は無く、一般的に予想される結晶性の改善はα−酸化ガリウムの場合は観測されなかった。
<抵抗値評価>
上記条件1で形成したα−酸化ガリウムのアニール前後での抵抗値の変化を図4に示す。特許文献1や、非特許文献1で開示されている0.3μmまでの膜厚のα−酸化ガリウム薄膜に対してアニール処理をした場合、抵抗値が上昇するのに対して、1μmの膜厚を有するα−酸化ガリウム薄膜では抵抗値の劇的な減少が観測された。
<抵抗値評価(ドーパントの影響)>
また、条件2で作製したα−酸化ガリウムについても、アニール前後での抵抗値の変化を評価した。その結果を表1に示す。表1に示すように、1μm以上の膜厚を有するα−酸化ガリウムでは、ドーパントがGe、Snのどちらの場合でも、高抵抗化が観測されなかった。
○:アニールによって抵抗値が低下
×:アニールによって抵抗値が上昇
−:未実施
<抵抗値評価(ベータガリア構造との比較)>
ベータガリア構造を有する下地基板に、条件1と同様の条件で、0.3μmおよび1μmのベータガリア構造を有するβ−酸化ガリウムを形成した後、窒素雰囲気で500℃で20分アニール処理を行ったものと比較した。結果を表2に示す。β−酸化ガリウムは、厚さが0.3μmの場合でも、高抵抗化が起こらないのに対して、α−酸化ガリウムでは、厚さが0.3μmの場合には、高抵抗化が起こった。この結果は、導電性薄膜の高抵抗化がコランダム構造を有するα−酸化ガリウム系薄膜に特有の問題であることを示唆している。また、表2中、「○」で表記したものについては、いずれも電気抵抗率が80mΩcm以下であった。
○:1.0E+5Ω以下
△:1.0E+5Ω〜1.0E+7Ω
×:1.0E+7Ω以上
−:未実施
<抵抗値評価(アニール温度の影響)>
次に、条件1で形成したα−酸化ガリウムの抵抗値がアニール条件によってどのように変化するのかを調べた。その結果、表3に示すように、厚さが300nmの場合は、全てのアニール温度において、高抵抗化が起こった。一方、厚さが1μmの場合は、アニール温度が600℃未満の場合は、高抵抗化が起こらず、低抵抗薄膜が得られた。また、表3中、「○」で表記したものについては、いずれも電気抵抗率が80mΩcm以下であった。
○:1.0E+5Ω以下
△:1.0E+5Ω〜1.0E+7Ω
×:1.0E+7Ω以上
<抵抗値評価(α−酸化インジウムの場合)>
サファイア基板上に、ミストCVD法を用いて、0.3μmおよび3μmのα−酸化インジウムを形成した後、酸素雰囲気で550℃で1時間アニール処理を行った。α−酸化インジウムは、厚さが0.3μm、3μm共に、高抵抗化が起こらず、また、両者に有意な抵抗値変化の差は見られなかった。この結果は、導電性薄膜の高抵抗化がコランダム構造を有するα−酸化ガリウム系薄膜に特有の問題であることを示唆している。
<表面粗さ評価>
次に、厚さ1.5μmのα−酸化ガリウム薄膜サンプルについて、異常粒抑制剤(Br,I)を含むサンプルと含まないサンプルを顕微鏡を用いて表面粗さRaを計測した。異常粒抑制剤を含まないサンプルは凹凸が大きいのに対して、異常粒抑制剤有の場合は数nmから数十nmのRaの値を示し、異常粒も観察されず、表面平滑性に優れた厚膜であった。

Claims (10)

  1. 下地基板と、その上に直接又は別の層を介して形成され且つコランダム構造を有するα−酸化ガリウム系薄膜を備え、
    前記α−酸化ガリウム系薄膜は、前記α−酸化ガリウム系薄膜中の金属元素中のガリウムの原子比が0.5以上であり、膜厚が1μm以上であり、且つその少なくとも一部に不純物がドーピングされている、結晶性積層構造体。
  2. 前記α−酸化ガリウム系薄膜は、最表面の表面粗さRaが0.1μm以下である、請求項1に記載の結晶性積層構造体。
  3. 前記膜厚は、1〜9μmである、請求項1又は請求項2に記載の結晶性積層構造体。
  4. 前記不純物のドーピング濃度は、1E15/cmから1E20/cmである、請求項1〜請求項3の何れか1つに記載の結晶性積層構造体。
  5. 前記α−酸化ガリウム系薄膜は、Br、Iから選択される少なくとも1種からなる異常粒抑制剤を含む、請求項1〜請求項4の何れか1つに記載の結晶性積層構造体。
  6. 前記不純物は、Ge、Sn、Si、Ti、Zr、Hfから選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜請求項5の何れか1つに記載の結晶性積層構造体。
  7. 前記下地基板は、c面サファイア基板である、請求項1〜請求項6の何れか1つに記載の結晶性積層構造体。
  8. 前記α−酸化ガリウム系薄膜は、組成がInAlGaFe(0≦X≦2.5、0≦Y≦2.5、1≦Z≦2.5、0≦V≦2.5、X+Y+Z+V=1.5〜2.5)である、請求項1〜請求項7の何れか1つに記載の結晶性積層構造体。
  9. 前記α−酸化ガリウム系薄膜は、絶縁性薄膜と導電性薄膜が積層されて構成され、前記導電性薄膜に前記不純物がドーピングされている、請求項1〜請求項8の何れか1つに記載の結晶性積層構造体。
  10. 請求項1〜請求項9の何れか1つに記載の結晶性積層構造体上にインジウム電極を形成した半導体装置。
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