JP2015201629A - 回路用積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】
樹脂基材に存在する傷が、ドライコート法等で金属層を成膜しても埋まることなく金属層に不連続を部分が生じ、これを跨ぐようにサブトラクティブ法で配線回路を形成すると回路断線の不具合になりやすい。高コストな保護フィルムや湿式ハードコート層を用いることなく、サブトラクティブ法で回路形成をしても樹脂基材傷による断線を生じにくい回路用積層体を提供する。
【解決手段】
樹脂基材の少なくとも片側に金属層を有し、該金属層の全応力が−250N/m以上0N/m以下であることを特徴とする回路用積層体、あるいは、樹脂基材の少なくとも片面に金属層を有し、該金属層の残留歪みが−3×10−3以上−1×10−4以下であることを特徴とする回路用積層体。
【選択図】図1
樹脂基材に存在する傷が、ドライコート法等で金属層を成膜しても埋まることなく金属層に不連続を部分が生じ、これを跨ぐようにサブトラクティブ法で配線回路を形成すると回路断線の不具合になりやすい。高コストな保護フィルムや湿式ハードコート層を用いることなく、サブトラクティブ法で回路形成をしても樹脂基材傷による断線を生じにくい回路用積層体を提供する。
【解決手段】
樹脂基材の少なくとも片側に金属層を有し、該金属層の全応力が−250N/m以上0N/m以下であることを特徴とする回路用積層体、あるいは、樹脂基材の少なくとも片面に金属層を有し、該金属層の残留歪みが−3×10−3以上−1×10−4以下であることを特徴とする回路用積層体。
【選択図】図1
Description
本発明はサブトラクティブ方式で作製する回路基板の材料として好適に用いることができる回路用積層体に関する。特に線幅200μm以下の回路を形成する際の材料となる回路用積層体に関するものである。
回路基板の製造において、絶縁基板上に金属層が形成された積層体が材料として用いられる。
該積層体の製造方法としては、金属箔と絶縁基板とを接着剤で貼り合わせる3層タイプと、接着剤を介さずに絶縁基板上にスパッタリング法など良好な密着強度が得られやすい方法で直接金属層を形成し、その後必要に応じて電解めっきで金属層を増膜する2層タイプが知られている(特許文献1)。3層タイプは金属箔の厚みが限定される(例えば該金属が銅の場合、キャリア付の特殊品を除くと容易に入手できるのは9〜35μm)ことがあるのに対し、2層タイプではより広い範囲の金属層厚みから選択できるので金属層厚みが0.05〜10μmというような薄めの需要に対して好適に用いられる。
金属層厚みが薄いと、サブトラクティブ法で回路形成をする際の加工速度を速くできたり、線幅10μm以下のような高精度加工ができたり、耐屈曲性に優れたりする利点がある。また、エッチングされた部分とエッチングされていない部分の段差が小さいために配線回路形成後、粘着剤を介して他の基材と貼り合わせるときに気泡を噛み込みにくい利点もある。
しかしながら、特許文献1に記載の積層体は、基材の傷が原因となり、その上から成膜する金属層にも傷が残り、形成した配線回路が断線となることがある。すなわち、基材に存在する傷(搬送や異物噛み込み等で発生)が蒸着法等で金属層を成膜しても埋まることなく金属層に不連続を部分が生じ、これを跨ぐようにサブトラクティブ法で配線回路を形成すると回路断線の不具合になりやすい。
本課題を解決する方法として、基材作製直後から金属層成膜直前まで基材上に保護フィルムを配し基材に傷が生じないようにすることが考えられるが、保護フィルムのコストがかかり、金属層成膜装置内での保護フィルムの巻き取り機構が必要となるため好ましくない場合がある。
また、基材に傷が生じた後に湿式塗布にてシリカ成分やアクリル成分等から成るハードコート層を設け、傷を埋め、かつその後の搬送では傷つかないようにすることもできるが、湿式塗布の分だけコストが上がり好ましくない場合がある。
また、回路を形成する方法がサブトラクティブ法ではなく、セミアディティブ法であれば湿式めっきで傷の両側の金属層が成長して傷をなくすことができるが、サブトラクティブ法のときよりも工程が煩雑になり、めっき設備も必要になってしまう場合がある。
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、基材に傷があっても、高コストな保護フィルムや湿式ハードコート層を用いることなく、サブトラクティブ法で回路形成をしても基材傷による断線を生じにくい回路用積層体を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の回路用積層体は以下の構成をとる。
(1)樹脂基材の少なくとも片側に金属層を有し、該金属層の全応力が−250N/m以上0N/m以下であることを特徴とする回路用積層体。
(2)樹脂基材の少なくとも片面に金属層を有し、該金属層の残留歪みが−3×10−3以上−1×10−4以下であることを特徴とする回路用積層体。
(3)前記樹脂基材の少なくとも片側に易接着層を有することを特徴とする(1)または(2)に記載の回路用積層体。
(4)前記易接着層の厚みが10nm以上300nm以下であることを特徴とする(3)に記載の回路用積層体。
(5)前記金属層の厚みが0.05μm以上10μm以下であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の回路用積層体。
(1)樹脂基材の少なくとも片側に金属層を有し、該金属層の全応力が−250N/m以上0N/m以下であることを特徴とする回路用積層体。
(2)樹脂基材の少なくとも片面に金属層を有し、該金属層の残留歪みが−3×10−3以上−1×10−4以下であることを特徴とする回路用積層体。
(3)前記樹脂基材の少なくとも片側に易接着層を有することを特徴とする(1)または(2)に記載の回路用積層体。
(4)前記易接着層の厚みが10nm以上300nm以下であることを特徴とする(3)に記載の回路用積層体。
(5)前記金属層の厚みが0.05μm以上10μm以下であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の回路用積層体。
本発明によれば、以下に説明するとおり、樹脂基材に傷があっても、保護フィルムや湿式ハードコート層を用いることなく、サブトラクティブ法で回路形成をしても樹脂基材傷による断線を生じにくい回路用積層体を提供することができる。
本発明の回路用積層体は、樹脂基材の少なくとも片側に金属層を有する。樹脂基材と金属層との間に、例えば、易接着層や密着層のような層を挟んでもよいし、金属層の樹脂基材とは反対側に別の層を有してもよい。
本発明の回路用積層体を構成する樹脂基材は、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPEN(ポリエチレンナフタレート)、ポリアラミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレンなど公知の樹脂を使うことができる。樹脂基材は、自身の製造時や加工途中の搬送中に、その表面に深さサブミクロンから数ミクロンの傷が生じる場合がある。特にガラスやセラミックスと比べて表面が軟らかい樹脂基材では傷が生じ易い場合がある。傷発生のメカニズムは様々であるが、例えば搬送ロール上に突起が存在して擦れたり、数ミクロンの大きさの塵が樹脂基材上に乗りその上から搬送ロールで押さえつけたりすることで生じる。特に、ロールの周速差による縦延伸工程を経たフィルム(例えば、縦延伸工程後に横延伸をする逐次二軸延伸ポリエステルフィルムなど)は光学特性や機械的特性に優れる一方で、縦延伸工程での傷を生じる場合がある。
傷の発生は搬送機構の精密化やクリーニング強化によって軽減できるものの完全になくすことは困難であり、また軽減するための搬送機構の精密化やクリーニング強化によってコストが上昇してしまう場合がある。しかしながら本発明をもってすれば、上述の傷が樹脂基材に存在しても、サブトラクティブ法で配線回路を形成するときに断線を生じる可能性が低い回路用積層体を提供することができる。詳細を以下に説明する。
本発明の課題は、樹脂基材の傷が金属層を形成した後でも残り、回路形成時の断線の原因となることである。例えば、樹脂基材に傷が存在したとしても、金属層が垂直方向に成長するように成膜されるのであれば傷の表面は繋がって断線しないはずである。しかしながら現実には断線の問題は生じている。
筆者らは鋭意検討を重ねた結果、金属層を形成中に傷が埋まらない原因の一つが金属層の引張応力にあることを見出した。すなわち、金属層の形成途中に、その金属層の引張応力によって樹脂基材表面に新たな裂け目を生じるために傷の深さ以上に金属層を形成しても断線してしまうのである。
本発明の回路用積層体としては、該金属層の全応力が−250N/m以上0N/m以下である。本発明では、金属層の全応力が0N/mよりも小さい場合を圧縮応力(すなわち、金属層を外側にしてカールする)、全応力が0N/mよりも大きい場合を引張応力(すなわち、金属層を内側にしてカールする)と定義する。また、全応力がゼロすなわち0N/mの場合、圧縮応力、引張応力のいずれも存在しないことを意味する。
本発明において、金属層の全応力が−250N/m以上0N/m以下、すなわち、全応力が圧縮応力または全応力がゼロであれば断線が生じにくい回路用積層体となる。全応力が−250N/mより小さくても(すなわち、より圧縮応力が大きくても)金属層形成中に樹脂基材表面に新たな裂け目を生じにくいという効果に変わりはないが、カールが大きくなってフィルムの搬送や位置合わせといったハンドリングが困難になってしまう。なお、カール抑制の観点から、金属層の全応力は−100N/m以上0N/m以下がより好ましく、−30N/m以上0N/m以下がさらに好ましく、−15N/m以上0N/m以下が特に好ましい。
本発明の回路用積層体の別態様としては、金属層の残留歪みが−3×10−3以上−1×10−4以下であることが好ましい。残留歪みは歪みテンソルεを使って表し、負の値は圧縮を示す。圧縮とは、すなわちバルク金属の格子間距離よりも格子間距離が狭い状態のことである。残留歪みが−1×10−4以下であれば、金属原子はより安定な格子間距離になるべく広がろうとして、金属層形成中に樹脂基材表面に新たな裂け目を生じにくくなるため好ましい。残留歪みが−3×10−3よりも小さくても金属層形成中に樹脂基材表面に新たな裂け目を生じにくいという効果に変わりはないが、カールが大きくなってフィルムの搬送や位置合わせといったハンドリングが困難になってしまう場合がある。
本発明の回路用積層体は、樹脂基材の少なくとも片側に易接着層を有することが好ましい。易接着層は樹脂基材にウェットあるいはドライでコーティングする際に密着強度を増すために配される層であり、樹脂基材よりもガラス転移温度の低い、軟らかい樹脂が使われることが多い。例えばポリエステル樹脂やアクリル樹脂などである。易接着層は樹脂基材を製造時にコーティングするインラインコートと、樹脂基材の製造後に一度巻き取り、その後巻き出して易接着層の塗布を行うオフラインコートがあり、前者はコストに、後者は塗材の選択肢の多さにそれぞれメリットがある。一方で、易接着層の軟らかさ故に、工程中で表面が傷つきやすいという問題を生じる場合があり、コーティング層との密着強化とトレードオフとなることがある。その際は、前述の圧縮応力を有する金属層や全応力がゼロである金属層を用いることの効果、あるいは残留歪みが−3×10−3以上−1×10−4以下である金属層を用いることの効果が顕著になる。
易接着層の厚みは10nm以上300nm以下であることが好ましく、30nm以上200nm以下であることがより好ましく、50nm以上150nm以下であることがさらに好ましく、80nm以上120nm以下であることが特に好ましい。
10nm未満では均一にコーティングすることが難しく、まだら状となって密着強度が位置によって変化する場合がある。300nmを超えると、それだけ軟らかい樹脂が表面に存在することになり工程のロールと接触することで深い傷を生じる場合がある。
本発明の金属層は厚みが0.05μm以上10μm以下であることが好ましい。金属層の厚みが0.05μm未満では、ピンホールが多くピンホールサイズよりも細い回路を形成する場合断線してしまう場合がある。10μmを超えると樹脂基材に対して垂直方向のエッチングに時間を要する間に水平方向へのエッチングも進んでしまうため、サブトラクティブ法で微細なパターンに加工するのが難しくなる場合がある。
本発明における金属層は金、銀、銅、アルミニウム、マグネシウム、タングステン、コバルト、亜鉛、チタン、ニッケル、クロム及び鉄からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素を含むことが好ましい。高い導電性を付与する観点から、金属層は、金、銀、銅、及びアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1つの金属元素から構成されることがより好適であり、コストとのバランスを考えると、金属層は銅で構成されることがさらに好適である。
以下、この第一実施の形態を含む本発明を、その実施の形態を示す図面を参照して具体的に説明する。
[第一実施の形態]
図1は本発明の第一実施の形態を説明する概念図である。
図1は本発明の第一実施の形態を説明する概念図である。
樹脂基材1は、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)やPEN(ポリエチレンナフタレート)、ポリアラミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレンなどからなる。樹脂基材はガラスやセラミックスの基材と比較しロール状での入手が容易であるためロールトゥロールでの加工ができ生産性に優れる。
形成した回路の短絡を防止するため、樹脂基材1の表面は絶縁性を有することが好ましく、もし樹脂基材1の素材が絶縁性でない場合は、例えば表面酸化処理等で表面絶縁性を付与することが好ましい。
樹脂基材1の厚みは特に限定されるものではないが、好ましくは1μm以上5,000μm以下であり、より好ましくは10μm以上500μm以下、更に好ましくは20μm以上250μm以下である。樹脂基材が薄すぎると搬送途中で折れ易いなどハンドリングが困難となる場合があり、厚すぎると電子機器内で回路基板の占める体積が大きくなり機器の小型化が難しくなる場合がある。
樹脂基材1が透明性を有していると電磁波シールドフィルムやタッチパネル用透明導電性フィルム、透明ヒーターなどに適用できるため好ましい。本発明で樹脂基材が透明性を有するとは、樹脂基材の全光線透過率が20%以上であることを意味し、好ましくは50%以上である。
樹脂基材1の表面には易接着層3が塗布されていることが好ましい。易接着層に用いられる樹脂としては例えばポリエステル樹脂やアクリル樹脂などが挙げられる。
樹脂基材1には、傷2が存在することがある。傷のサイズは、幅、深さが数10nm乃至数μmであることが多い。樹脂基材1に存在する傷2は、幅、深さが数10nm以下であれば易接着層3を形成する際に埋まることが多いため断線の問題を生じにくい。10μmよりも大きな傷は、断線の問題以外に外観上の問題を生じることが多く、また発生原因の特定が困難でないことが多いため、設備上の工夫で傷の発生を抑制することが好ましい。
図2のように易接着層3に傷2が存在する場合もある。この場合、傷2の深さは易接着層3の膜厚よりも浅く、後の金属層4の形成時に傷2が埋まって断線を生じないように思えるが、後述の金属層4の全応力の向きや大きさによっては傷3の一部が割け、拡大することで断線を引き起こしてしまう場合がある。
易接着層3の樹脂基材1と反対側には、金属層4が存在する。金属層4は、その全応力が−250N/m以上0N/m以下である。前述した通り、金属層に引張応力がある場合は、図3の金属層の応力の方向5のような方向の応力が働いている。この応力は金属層4を通じて、傷2の内部にまで伝播する。一般に層の全応力は厚みに比例することから、金属層の形成過程でこの応力は厚みを増す毎に大きくなる。そうすると傷2のエッジ部6は、平面上に堆積した部分と比べ金属層4の厚みが薄く、応力で割れてしまう。金属層4が割れてしまうと、樹脂基材1と易接着層3は金属層4と比べ剛性が低いため、金属層4に追随し、裂け目7が生じる。裂け目7が生じた後は、更に金属層4を成膜(増膜)したとしても、厚み増による引張応力増が原因で更に裂け目7が広がってしまうため、裂け目7を跨いで金属層4を繋ぐことは難しい。
しかしながら、本発明のように金属層4の全応力が−250N/m以上0N/m以下である場合は、金属層4の強度が低い傷2のエッジ部6が、両側から押されることになり割れにくくなる(図4)。このようにして樹脂基材1に傷2があったとしても、断線の原因となる、金属層4の不連続部が生じることない回路用積層体を作製することができる。
金属層4の全応力が−250N/m未満であっても金属層4の不連続部を生じなくする効果が失われるわけではないが、樹脂基材のカールが大きくなってしまうのでハンドリングの点から好ましくない場合がある。
金属層4の残留歪みは−3×10−3以上、−1×10−4以下であることが好ましい。−1×10−4以下であれば、金属原子はより安定な格子間距離になるべく広がろうとして、金属層形成中に樹脂基材表面に新たな裂け目を生じにくくなるため好ましい。
金属層4は厚みが0.05μm以上10μm以下であることが好ましく、0.2μm以上5μm以下であることがより好ましく、0.3μm以上3μm以下であることがさらに好ましく、0.5μm以上1μm以下であることが特に好ましい。
なお金属層4は、金属層4の全体100原子%において、金属元素の合計含有量(原子数基準)が50原子%以上100原子%以下の層であることがより好ましく、さらに好ましくは95原子%以上100原子%以下の層である。金属層が樹脂基材の両側に存在する場合も同様に、他方の側の金属層も、金属層の全体100原子%において、金属元素の合計含有量(原子数基準)が50原子%以上100原子%以下の層であることがより好ましく、さらに好ましくは95原子%以上100原子%以下の層である。
また金属層4は、酸素や窒素、炭素といった非金属元素を含有していてもよいが、金属層4の全体100原子%における非金属元素の合計含有量(原子数基準)は、5原子%以下であることが好ましい。金属層4中の非金属元素の合計含有量が5原子%を超えると、導電性が十分に得られない場合がある。
金属層4は真空蒸着法やイオンプレーティング法、スパッタリング法など公知の方法単独、あるいは、スパッタリング法の後にめっき法といったようにそれらの組み合わせによって形成することができる。樹脂基材との密着強度が得られ易いという点や、金属層4の全応力を−250N/m以上0N/m以下に制御し易い点、あるいは金属層4の残留歪みは−3×10−3以上−1×10−4以下に制御し易い点からイオンプレーティング法とスパッタリング法がより好ましい。全応力を−250N/m以上0以下とする、あるいは残留歪みを−3×10−3以上−1×10−4以下にするには、形成中の金属層4に高エネルギーの金属原子を打ち込むことが有効とされている。打ち込まれた金属原子によって金属層4中の原子は安定的位置よりも、より詰まった状態になり、それが戻ろうとして全応力が−250N/m以上0N/m以下(すなわち圧縮応力もしくは全応力がゼロ)、あるいは残留歪みは−3×10−3以上−1×10−4以下になるのである。エネルギーの低い金属粒子では、打ち込みが浅くなってしまい、圧縮応力の発生が限定的になる場合がある。
金属層の成膜中に樹脂基材を冷却したり、成膜速度を早くすることで、金属層4を成膜後急冷すれば、打ち込まれた金属原子が安定位置に移動する現象を、その金属原子の自由エネルギーを奪うことにより限定的にすることができ、−250N/m未満、あるいは残留歪みが−3×10−3未満の金属層も得ることができるが、前述の通り樹脂基材のカールが大きくなりハンドリングが難しくなってしまう場合がある。
イオンプレーティング法は溶融した金属材料から気化した金属原子が部分的に陽イオン化し、その成膜粒子が樹脂基材方向に電気的に引き寄せられることで加速されるため、高エネルギーの成膜粒子を樹脂基材に供給することが容易である。
スパッタリング法は、アルゴンなどの不活性ガスのイオンが金属等のターゲットに衝突し、それによりターゲットからはじき出された金属原子が被着体(スパッタリングにより膜を付着されるもの)の表面に付着する現象であり、はじき出された金属原子のエネルギーが真空蒸着法で金属粒子がもつエネルギーよりも大きいという特徴がある。
成膜方法に加えて、成膜圧力も高エネルギーの成膜粒子を樹脂基材に供給する際に重要となる。成膜圧力が高いとチャンバー内に存在しているガスや成膜粒子が多く、成膜粒子が樹脂基材にたどり着くまでにそのガスと衝突散乱しエネルギーを失う可能性が高くなる場合がある。よって成膜圧力が低い方が好適である。
金属層4の樹脂基材1とは反対側に、図示しない黒化層を備えてもよい。黒化層とは電磁波シールドフィルムの電極やタッチパネルの電極、透明ヒーターの電極などこの回路用積層体が視認される用途で使用されるとき、金属層表面の色や表面光沢によって透過像のコントラストが低下するのを防ぐ効果があるので好適である。
黒化層はベタ膜であることが好ましく、回路用積層体を樹脂基材と反対側から見たときの反射色が、L*a*b*表色系の値でL*≦65かつ−20≦a*≦20かつ−20≦b*≦20であることが好ましい。黒化層の素材は特に限定されるものではないが、例えば窒化ニッケル、窒化銅、酸化ニッケル、酸化銅などが挙げられる。
黒化層の厚みは特に限定されないが、5nm以上5,000nm以下が好ましく、10nm以上1,000nm以下がより好ましい。黒化層の厚みが5nmより薄い場合には、黒化層を透過する光が多くなり前述の効果を十分に発揮できない場合がある。黒化層の厚みが5,000nmを超えると黒化層表面から接触式のピンプローブで導通を得る際に抵抗となってしまう場合がある。
[第二実施の形態]
図5は本発明の第二実施の形態を説明する概念図である。
図5は本発明の第二実施の形態を説明する概念図である。
第二実施の形態では、易接着層3と金属層4の間に密着層8を備える。密着層8は、易接着層3と金属層4との密着強度を確保するために設けられるものであり、その厚みは0.5nm以上500nm以下が好適であり、1nm以上100nm以下がより好適であり、1nm以上50nm以下が更に好適である。密着層の厚みが0.5nmより小さいと、十分な密着効果が得られない場合がある。また、密着層の厚みが500nmを超えても、得られる密着性が更に増すわけではないので、コストの観点から、密着層の厚みは500nm以下が好ましい。
密着層8は、例えばチタン、ニッケルおよびクロムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含んでいることが好ましい。これらの元素は活性が高いため、別の層を構成する元素と化合物を作りやすい。チタン、ニッケル、又はクロムの純粋な金属を含む層でもよいし、窒化ニッケルやニクロムなどチタン、ニッケル、又はクロムを有する化合物を含む層であってもよい。
なお密着層は、層の全体100原子%において、チタン、ニッケル、及びクロム元素の合計含有量(原子数基準)が、50原子%以上100原子%の層であることが好ましい。これらの元素以外の元素の割合が大きくなると前述した効果を得られにくくなる場合がある。密着層8の存在以外は第一実施の形態と同様である。
[第三実施の形態]
第三実施の形態では、金属層4を低真空中の真空蒸着法で形成する。
第三実施の形態では、金属層4を低真空中の真空蒸着法で形成する。
一般に、真空蒸着法はスパッタリング法と比較して高い成膜レートが得やすく、0.5μm以上の金属層を生産性良く作製するのに好適とされている。一方で、膜形成時の金属原子のエネルギーはスパッタリング法と比べ低いため、打ち込み効果が得られにくく、金属層4の全応力は0N/mより大きく(すなわち引っ張り応力)、残留歪みはー1×10−4より大きくなり易い。
真空蒸着中のチャンバーにガスを導入し真空度を下げることで、金属層の表面に樹脂基材まで達しない軽微なクラック多数かつ均一に発生させ、金属層の応力や歪みを分散させることができる。
すなわち、ガスを導入することにより、成膜中に金属粒子がガスと衝突する可能性を高め、エネルギーを通常の真空蒸着法のときよりも更に小さくすると、樹脂基材上に到達した後に安定位置に移動する現象を大幅に抑制することができ、金属原子が均一な膜状となる前に新たな金属原子が到達し、金属膜表面に微細なクラックを生じやすい。金属層の引っ張り応力は、構成する原子が多いほどその応力は伝播し、金属層の端に集中する。クラック越しには引っ張り応力が伝播しないことを積極的に利用し、クラックを多数かつ均一に形成することで金属層を島状に区切り、島状一つ一つを構成する原子数を限定することによって島状金属層の端にかかる応力を分散させるものである。
そうすることで、金属層の全応力を−250N/m以上0N/m以下、あるいは、金属層の残留歪みを−3×10−3以上−1×10−4以下とすることができる。
導入するガスとしては、アルゴンやネオンなどの不活性ガスや、酸素、窒素などが挙げられる。チャンバー内の真空度としては、0.1Pa以上10Pa以下が好ましい。0.1Paより真空度が高い(圧力が低い)と金属粒子とガスの衝突が不十分で、金属層の全応力が−250N/m以上0N/m以下、あるいは、金属層の残留歪みが−3×10−3以上−1×10−4以下とならない場合がある。10Paよりも真空度が低い(圧力が高い)と金属粒子がガスにより散乱される確率が高くなり、成膜レートの低下や装置壁面への金属付着が多くなることによる材料の使用効率低下を生じる場合がある。
[用途]
本発明を用いると、樹脂基材に傷が存在しても、サブトラクティブ法で配線回路を形成するときに断線を生じる可能性が低い回路用積層体を提供することができる。本発明は、幅が数μmから数十μmと細く、且つ数mから数100mに及ぶ長い回路を1箇所でも断線が許されない引き回し配線として利用する、タッチパネル用の透明電極の材料となる回路用積層体に特に好適である。
本発明を用いると、樹脂基材に傷が存在しても、サブトラクティブ法で配線回路を形成するときに断線を生じる可能性が低い回路用積層体を提供することができる。本発明は、幅が数μmから数十μmと細く、且つ数mから数100mに及ぶ長い回路を1箇所でも断線が許されない引き回し配線として利用する、タッチパネル用の透明電極の材料となる回路用積層体に特に好適である。
(測定方法)
(1)樹脂基材の全光線透過率
樹脂基材の全光線透過率は、日本電色工業株式会社製のNDH4000を用い、JIS K7361−1(1997年制定)に則り測定した。樹脂基材の両面から測定して値の大きかった方を採用した。
(1)樹脂基材の全光線透過率
樹脂基材の全光線透過率は、日本電色工業株式会社製のNDH4000を用い、JIS K7361−1(1997年制定)に則り測定した。樹脂基材の両面から測定して値の大きかった方を採用した。
(2)樹脂基材の厚み
樹脂基材の厚みは株式会社ミツトヨ製のデジマチックインジケータID−CXを用いて測定した。表面に易接着層が存在する樹脂基材を測定する場合は、易接着層を含めて厚みを測定し、(3)の方法で求めた易接着層の厚みを差し引いて求めた。
樹脂基材の厚みは株式会社ミツトヨ製のデジマチックインジケータID−CXを用いて測定した。表面に易接着層が存在する樹脂基材を測定する場合は、易接着層を含めて厚みを測定し、(3)の方法で求めた易接着層の厚みを差し引いて求めた。
(3)層の厚み
層の厚みは、FIB(収束イオンビーム)法により回路用積層体を切断し、その断面をTEM(透過型電子顕微鏡)により観察することで測定した。各層の厚みは樹脂基材の傷のない部分の上に形成された層を選択して測定した。易接着層においては、易滑性を付与するためにシリカやアクリルからなる粒子を配合することがあるが、厚みの測定においては粒子のない部分を選択して測定した。易接着層と樹脂基材との区別が難しい場合は、TEM像のコントラストを高めるために、超薄切片法で切り出したサンプルをRuO4染色、OsO4染色、あるいは両者の二重染色を行った後に上記の測定を行ってもよい。
層の厚みは、FIB(収束イオンビーム)法により回路用積層体を切断し、その断面をTEM(透過型電子顕微鏡)により観察することで測定した。各層の厚みは樹脂基材の傷のない部分の上に形成された層を選択して測定した。易接着層においては、易滑性を付与するためにシリカやアクリルからなる粒子を配合することがあるが、厚みの測定においては粒子のない部分を選択して測定した。易接着層と樹脂基材との区別が難しい場合は、TEM像のコントラストを高めるために、超薄切片法で切り出したサンプルをRuO4染色、OsO4染色、あるいは両者の二重染色を行った後に上記の測定を行ってもよい。
(4)反射色
反射色は、JIS Z8722(2009年制定)に準拠のコニカミノルタ株式会社製分光測色計CM−2600dを用いて、回路用積層体の樹脂基材とは反対側から測定した。光源はC光源を用い、2°視野、SCI(正反射光込み)を測定した。
反射色は、JIS Z8722(2009年制定)に準拠のコニカミノルタ株式会社製分光測色計CM−2600dを用いて、回路用積層体の樹脂基材とは反対側から測定した。光源はC光源を用い、2°視野、SCI(正反射光込み)を測定した。
(5)断線率
断線率は、回路用積層体の金属層側に旭化成イーマテリアルズ製のドライフィルムレジスト(商品名:サンフォートADH−151)を貼合し、フォトマスク越しに露光、現像した。
断線率は、回路用積層体の金属層側に旭化成イーマテリアルズ製のドライフィルムレジスト(商品名:サンフォートADH−151)を貼合し、フォトマスク越しに露光、現像した。
次に塩化第二鉄水溶液で金属層や密着層を部分的に除去し、図6の断線率評価パターン回路を得た(図6で、金属層、密着層のいずれかがが除去されずに樹脂基材表面に残っている部分を線部21とし、それらの層の全てが除去された部分をスペース部22とする)。配線回路のパターンは線部21の幅を30μmとし、スペース部22の幅を50μmとし、長さ40mmの線を25往復折り返した九十九折状であり、両端に電極パッド23を配置した。
このパターンを50個作製し、パッド間の抵抗を測定することで断線率を求めた。パッド間抵抗が10kΩを超える場合を断線とした。
(6)密着強度
金属層の樹脂基材に対する密着強度はJIS K5600−5−6(1999年制定)に従いクロスカット法で評価した。感圧付着テープには、ニチバン株式会社製No.405と日東電工株式会社製No.756の2種類を用いた(No.756の方が粘着力が高い)。
金属層の樹脂基材に対する密着強度はJIS K5600−5−6(1999年制定)に従いクロスカット法で評価した。感圧付着テープには、ニチバン株式会社製No.405と日東電工株式会社製No.756の2種類を用いた(No.756の方が粘着力が高い)。
(7)金属層の全応力
金属層の全応力を求めるに当たり、まず膜応力σを金属層成膜後の回路用積層体の反りから(式1)で求めた。密着層が存在する場合は、密着層と金属層を成膜した後の樹脂基材の反りから求めた。本発明は全応力が−250N/m以上0N/m以下である圧縮応力の金属層を形成することで樹脂基材表面に裂け目が生じることを抑制するものであり、その概念は密着層にも金属層にも適用できるためである。
σ = {ES/6(1−νS)} × (h2/l) × (1/R0) (式1)
(式1)中で、ESは樹脂基材のヤング率、νSは樹脂基材のポアソン比、hは樹脂基材の厚み、l(エル)は金属層の厚み、R0は反りの曲率半径を表す。密着層が存在する場合、l(エル)は金属層と密着層の厚みの合計とする。
金属層の全応力を求めるに当たり、まず膜応力σを金属層成膜後の回路用積層体の反りから(式1)で求めた。密着層が存在する場合は、密着層と金属層を成膜した後の樹脂基材の反りから求めた。本発明は全応力が−250N/m以上0N/m以下である圧縮応力の金属層を形成することで樹脂基材表面に裂け目が生じることを抑制するものであり、その概念は密着層にも金属層にも適用できるためである。
σ = {ES/6(1−νS)} × (h2/l) × (1/R0) (式1)
(式1)中で、ESは樹脂基材のヤング率、νSは樹脂基材のポアソン比、hは樹脂基材の厚み、l(エル)は金属層の厚み、R0は反りの曲率半径を表す。密着層が存在する場合、l(エル)は金属層と密着層の厚みの合計とする。
樹脂基材のヤング率とポアソン比は、金属層を(密着層が存在する場合は密着層と金属層を)エッチングにより取り除いた後に、それぞれ後述の方法で測定した。易接着層が存在する場合は樹脂基材と易接着層を合わせた状態で測定し、式1の樹脂基材のヤング率、樹脂基材のポアソン比とした。エッチング液は金属層や密着層を構成する材質によって適宜選択すればよい。例えば金属層や密着層を構成する材質が銅や鉄、ニッケルの場合は、塩化第二鉄または塩化第二銅が好適であり、材質が金や銀、白金の場合は王水が好適である。
樹脂基材の反りの曲率半径R0は、金属層形成後の積層体を幅10mm長さ50mmの短冊状に切断し、切断したサンプルを金属層側が上になるよう平面31上に置き、それを長辺側から見て円弧に見立てて(式2)により求めた。
R0 = (4H2 + D2)/8H (式2)
(式2)中でR0は曲率半径、Hは円弧の矢高32、Dは円弧の弦長33を示す(図7)。
ここで、サンプルは樹脂基材から短冊を積層体の任意の1点を中心として30°毎に4種類の向きに切り取り、当該4つのサンプルをそれぞれ測定し、その平均値を膜応力σとした。
(式2)中でR0は曲率半径、Hは円弧の矢高32、Dは円弧の弦長33を示す(図7)。
ここで、サンプルは樹脂基材から短冊を積層体の任意の1点を中心として30°毎に4種類の向きに切り取り、当該4つのサンプルをそれぞれ測定し、その平均値を膜応力σとした。
金属層の全応力Sは(式3)から求めた。l(エル)は金属層の厚みである。密着層が存在する場合、lは金属層と密着層の厚みの合計とした。
S = σ × l (式3)。
なお、樹脂基材の両側に金属層を有する積層体の場合、片側の金属層を上述した方法で除去したサンプルを準備し、全応力を測定する。同様に、他方の側の金属層を除去したサンプルを準備し、全応力を測定する。本願においては、少なくともいずれか一方の側の金属層の全応力が−250N/m以上0N/m以下であれば「樹脂基材の少なくとも片側に金属層を有し、該金属層の全応力が−250N/m以上0N/m以下であること」を満たすものとする。
(8)樹脂基材のヤング率
引張試験機(オリエンテック社製テンシロンUCT−100)を用いて、幅10mmのサンプルフィルムをチャック間長さ50mm(初期試料長)となるようにセットし、温度25℃、湿度65%RHの条件下で、引張速度300mm/分で引張試験を行った。ヤング率は、引張試験で記録した応力−歪み曲線の、立ち上がり部分の接線より求めた。
引張試験機(オリエンテック社製テンシロンUCT−100)を用いて、幅10mmのサンプルフィルムをチャック間長さ50mm(初期試料長)となるようにセットし、温度25℃、湿度65%RHの条件下で、引張速度300mm/分で引張試験を行った。ヤング率は、引張試験で記録した応力−歪み曲線の、立ち上がり部分の接線より求めた。
(9)樹脂基材のポアソン比
樹脂基材を長さ120mm、幅20mmの短冊状となるように切り取り、短冊の中央に10mm角の格子を書いた。23℃、65%RHの雰囲気下で、試長110mmとなるように、(株)アヤハエンジニアリング製シート幅測定装置にセットし、キーエンス(株)製高性能レーザー寸法測定器2台を用いて、格子の長辺方向および短辺方向の寸法を各々読みとった。その後、短冊の長辺方向に50MPaの荷重を負荷し、同様に格子の長辺方向および短辺方向の寸法を各々読みとった。荷重を負荷する前後の寸法から、短冊の長辺方向の寸法の変化率(ΔLL%)と樹脂基材の短辺方向の寸法の変化率(ΔLS %)を算出し、式4より、ポアソン比を求めた。
ポアソン比=(ΔLS/ΔLL) (式4)。
樹脂基材を長さ120mm、幅20mmの短冊状となるように切り取り、短冊の中央に10mm角の格子を書いた。23℃、65%RHの雰囲気下で、試長110mmとなるように、(株)アヤハエンジニアリング製シート幅測定装置にセットし、キーエンス(株)製高性能レーザー寸法測定器2台を用いて、格子の長辺方向および短辺方向の寸法を各々読みとった。その後、短冊の長辺方向に50MPaの荷重を負荷し、同様に格子の長辺方向および短辺方向の寸法を各々読みとった。荷重を負荷する前後の寸法から、短冊の長辺方向の寸法の変化率(ΔLL%)と樹脂基材の短辺方向の寸法の変化率(ΔLS %)を算出し、式4より、ポアソン比を求めた。
ポアソン比=(ΔLS/ΔLL) (式4)。
(10)金属層の残留歪み
金属層の残留歪みは、広角X線回折法(微小部X線回折)で2D法により求めた。
金属層の残留歪みは、広角X線回折法(微小部X線回折)で2D法により求めた。
金属層付の樹脂基材をおおよそ12mm×9mmの短冊状にカットし、サンプルホルダーに両面テープで金属層が表面となるように固定した。この際、積層体が金属層を内側にしてカールしている場合は、サンプルホルダーの中央位置に2mm×2mmの両面テープを貼り、積層体の略中央と両面テープが重なるようにそっと置いた。積層体が金属層を外側にしてカールしている場合は、積層体の長手方向(サンプルの長さが12mmの方向、以下同様)の両端に9mm×2mmの両面テープをそれぞれ貼り、サンプルホルダー上にそっと置いた。
X線回折装置は、BrukerAXS社製 D8 DISCOVER μHR Hybrid、X線源はCuKα線(多層膜ミラー使用)、出力は50kV、22mA、スリット径は1mmφピンホール、検出器は二次元PSPC、カメラ長は15cmであった。測定範囲は2θ=89.8°、ω=44.9°(Cu(311)回折ピーク)、φ=20°、50°、φ=0〜180°(30°ステップ)の計14フレームとし、積算時間は600秒/フレームとした。
ここで、サンプルは任意の角度からスタートし、30°毎に4種類の向きに切り出しそれぞれを測定し、サンプルの長手方向に垂直な残留歪みをε11、長手方向に平行な残留歪みをε22として、これらの算術平均値を金属層の残留歪みとした。
なお、樹脂基材の両側に金属層を有する積層体の場合、片側の金属層を前述した方法で除去したサンプルを準備し、残留歪みを測定する。同様に、他方の側の金属層を除去したサンプルを準備し、残留歪みを測定する。本願においては、少なくともいずれか一方の側の金属層の残留歪みが−3×10−3以上−1×10−4以下であれば「樹脂基材の少なくとも片面に金属層を有し、該金属層の残留歪みが−3×10−3以上−1×10−4以下であること」を満たすものとする。
(実施例1)
図1を使って説明する。
樹脂基材1として2軸延伸PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを用いた。樹脂基材の厚みは100μmであった。樹脂基材1の全光線透過率は92%であった。樹脂基材1にインラインコーティングにて厚さが100nmのポリエステルを主とする易接着層3を塗布した。
図1を使って説明する。
樹脂基材1として2軸延伸PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを用いた。樹脂基材の厚みは100μmであった。樹脂基材1の全光線透過率は92%であった。樹脂基材1にインラインコーティングにて厚さが100nmのポリエステルを主とする易接着層3を塗布した。
樹脂基材の一方の面側(これを上面側とする)に、ロールトゥロールにて金属層4(銅)を、厚みがおおよそ1μmとなるようにDCマグネトロンスパッタリング法で成膜した。この際、樹脂基材と対向する銅ターゲット表面の距離は100mmでありターゲットに投入した電力密度は3.79kW/m2であった。また、スパッタリングガスとしてはアルゴンを用い、チャンバー内の圧力が0.3Paとなるように流量を調整した。
得られた金属層の厚みは0.96μmであり、金属層の全応力は−26N/mであった。
得られた金属層の残留歪みは、−8.4×10−4であった。
得られた積層体の密着強度は、No.405のテープを使った場合では分類0(どの格子の目にもはがれがない)であり、No.756のテープを使った場合は分類2の剥がれが生じた。所定のパターンを形成したところ、断線率は0%であった。
(実施例2)
図5を使って説明する。
樹脂基材1として2軸延伸PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを用いた。樹脂基材の厚みは100μmであった。樹脂基材1の全光線透過率は92%であった。樹脂基材1にインラインコーティングにて厚さが100nmのポリエステルを主とする易接着層3を塗布した。
図5を使って説明する。
樹脂基材1として2軸延伸PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを用いた。樹脂基材の厚みは100μmであった。樹脂基材1の全光線透過率は92%であった。樹脂基材1にインラインコーティングにて厚さが100nmのポリエステルを主とする易接着層3を塗布した。
樹脂基材の一方の面側(これを上面側とする)に、ロールトゥロールにて密着層8(ニッケル)を、厚みが10nmとなるようにDCマグネトロンスパッタリング法で成膜した。この際、樹脂基材表面と対向するニッケルターゲット表面との距離は100mmであり、ターゲットに投入した電力密度は3.79kW/m2であった。また、スパッタリングガスとしてはアルゴンを用い、圧力が0.3Paとなるように流量を調整した。
次に密着層の図1の上面側に、ロールトゥロールにて金属層(銅)を、厚みがおおよそ1μmとなるようにDCマグネトロンスパッタリング法で成膜した。この際、樹脂基材と対向する銅ターゲット表面の距離は100mmでありターゲットに投入した電力密度は3.79kW/m2であった。また、スパッタリングガスとしてはアルゴンを用い、圧力が0.3Paとなるように流量を調整した。
得られた密着層の厚みは10nmであり、金属層の厚みは1.02μmであり、金属層の全応力は−26N/mであった。
得られた金属層の残留歪みは、−8.4×10−4であった。
得られた積層体の密着強度は、No.405のテープを使った場合では分類0(どの格子の目にもはがれがない)であり、No.756のテープを使った場合も分類0であった。
所定のパターンを形成したところ、断線率は2%であった。
所定のパターンを形成したところ、断線率は2%であった。
(実施例3)
金属層4の厚みを2μm狙いとする以外は実施例2と同じ方法で作製・評価を行った。測定、評価結果については他の実施例や比較例と併せて表1に記載する。
金属層4の厚みを2μm狙いとする以外は実施例2と同じ方法で作製・評価を行った。測定、評価結果については他の実施例や比較例と併せて表1に記載する。
(実施例4)
金属層4の厚みを0.5μm狙いとする以外は実施例2と同じ方法で作製・評価を行った。測定、評価結果については他の実施例や比較例と併せて表1に記載する。
金属層4の厚みを0.5μm狙いとする以外は実施例2と同じ方法で作製・評価を行った。測定、評価結果については他の実施例や比較例と併せて表1に記載する。
(実施例5)
金属層4の厚みを0.1μm狙いとする以外は実施例2と同じ方法で作製・評価を行った。測定、評価結果については他の実施例や比較例と併せて表1に記載する。
金属層4の厚みを0.1μm狙いとする以外は実施例2と同じ方法で作製・評価を行った。測定、評価結果については他の実施例や比較例と併せて表1に記載する。
(実施例6)
樹脂基材1として2軸延伸PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを用いた。基材の厚みは98μmであった。樹脂基材1の全光線透過率は92%であった。樹脂基材1にインラインコーティングにて厚さが190nmのポリエステルを主とする易接着層3を塗布した。樹脂基材1以外は実施例2と同じ方法で作製・評価を行った。測定、評価結果については他の実施例や比較例と併せて表1に記載する。
樹脂基材1として2軸延伸PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを用いた。基材の厚みは98μmであった。樹脂基材1の全光線透過率は92%であった。樹脂基材1にインラインコーティングにて厚さが190nmのポリエステルを主とする易接着層3を塗布した。樹脂基材1以外は実施例2と同じ方法で作製・評価を行った。測定、評価結果については他の実施例や比較例と併せて表1に記載する。
(実施例7)
樹脂基材1として2軸延伸PETフィルム(商品名:“ルミラー”(登録商標)T60)を用いた。樹脂基材の厚みは100μmであった。樹脂基材1の全光線透過率は91%であった。密着層の形成以降は実施例2と同様に行った。
樹脂基材1として2軸延伸PETフィルム(商品名:“ルミラー”(登録商標)T60)を用いた。樹脂基材の厚みは100μmであった。樹脂基材1の全光線透過率は91%であった。密着層の形成以降は実施例2と同様に行った。
測定、評価結果については表1に記載する。
(実施例8)
樹脂基材1として2軸延伸PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを用いた。樹脂基材1の厚みは100μmであった。樹脂基材1の全光線透過率は92%であった。樹脂基材1にインラインコーティングにて厚さが100nmのポリエステルを主とする易接着層3を塗布した。
樹脂基材1として2軸延伸PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを用いた。樹脂基材1の厚みは100μmであった。樹脂基材1の全光線透過率は92%であった。樹脂基材1にインラインコーティングにて厚さが100nmのポリエステルを主とする易接着層3を塗布した。
樹脂基材の一方の面側(これを上面側とする)に、ロールトゥロールにて密着層8(ニッケル)を、厚みが10nmとなるようにDCマグネトロンスパッタリング法で成膜した。この際、樹脂基材表面と対向するニッケルターゲット表面との距離は100mmであり、ターゲットに投入した電力密度は3.79kW/m2であった。また、スパッタリングガスとしてはアルゴンを用い、圧力が0.3Paとなるように流量を調整した。蒸着源のるつぼ表面と樹脂基材を保持する冷却ドラム表面の距離は400mmとし、チャンバー内の圧力は0.02Paであった。
次に密着層の図1の上面側に、ロールトゥロールにて金属層(銅)を、厚みがおおよそ1μmとなるように電子ビーム方式の低真空蒸着法で成膜した。チャンバー内を低真空状態とするために窒素ガスを2.0L/minで投入した結果、チャンバー内圧力0.15Paであった。蒸着源のるつぼ表面と樹脂基材を保持する冷却ドラム表面の距離は400mmとした。
測定、評価結果については表1に記載する。
(比較例1)
樹脂基材1として2軸延伸PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを用いた。基材の厚みは100μmであった。樹脂基材1の全光線透過率は92%であった。樹脂基材1にインラインコーティングにて厚さが100nmのポリエステルを主とする易接着層3を塗布した。
樹脂基材1として2軸延伸PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを用いた。基材の厚みは100μmであった。樹脂基材1の全光線透過率は92%であった。樹脂基材1にインラインコーティングにて厚さが100nmのポリエステルを主とする易接着層3を塗布した。
樹脂基材の一方の面側(これを上面側とする)に、ロールトゥロールにて金属層4(銅)を、厚みがおおよそ1μmとなるように電子ビーム方式の真空蒸着法で成膜した。電子銃の出力は成膜幅に対して53.5kW/mとした。蒸着源のるつぼ表面と樹脂基材を保持する冷却ドラム表面の距離は400mmとし、チャンバー内の圧力は0.02Paであった。
測定、評価結果については表1に記載する。
(比較例2)
図5を使って説明する。
樹脂基材1として2軸延伸PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを用いた。樹脂基材の厚みは100μmであった。樹脂基材1の全光線透過率は92%であった。樹脂基材1にインラインコーティングにて厚さが100nmのポリエステルを主とする易接着層3を塗布した。
図5を使って説明する。
樹脂基材1として2軸延伸PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを用いた。樹脂基材の厚みは100μmであった。樹脂基材1の全光線透過率は92%であった。樹脂基材1にインラインコーティングにて厚さが100nmのポリエステルを主とする易接着層3を塗布した。
樹脂基材の一方の面側(これを上面側とする)に、ロールトゥロールにて密着層8(ニッケル)を、厚みが10nmとなるようにDCマグネトロンスパッタリング法で成膜した。この際、樹脂基材表面と対向するニッケルターゲット表面との距離は100mmであり、ターゲットに投入した電力密度は3.79kW/m2であった。また、スパッタリングガスとしてはアルゴンを用い、圧力が0.3Paとなるように流量を調整した。
その後比較例1と同様に真空蒸着法にて金属層4を厚みがおおよそ1μmになるように成膜した。
測定、評価結果については表1に記載する。
(比較例3)
金属層の厚みを0.5μm狙いとした以外は比較例2と同様にした。測定、評価結果については表1に記載する。
金属層の厚みを0.5μm狙いとした以外は比較例2と同様にした。測定、評価結果については表1に記載する。
実施例1と比較例1との比較および実施例2〜8と比較例2〜3との比較から、金属層の全応力が−250N/m以上0以下であること、あるいは残留歪みが−3×10−3以上−1×10−4以下であることが断線率に対して大きな効果を有していることが分かる。
本発明は、セミアディティブ法と比べて安価なサブトラクティブ法で配線回路を形成する際の原料となる積層体の製造する際に好適である。特に、樹脂基材を搬送時に樹脂基材表面をロールで触れることが多いロールトゥロールプロセスに適用する場合には、樹脂基材表面の深さサブミクロンから数ミクロンの傷が発生しやすく断線を誘発する可能性が高いため、本発明の効果が顕著に現れる。
1: 樹脂基材
2: 傷
3: 易接着層
4: 金属層
5: 金属層の応力の方向
6: 傷のエッジ部
7: 裂け目
8: 密着層
21: 線部
22: スペース部
23: 電極パッド
31: 平面
32: 円弧の矢高
33: 円弧の弦長
2: 傷
3: 易接着層
4: 金属層
5: 金属層の応力の方向
6: 傷のエッジ部
7: 裂け目
8: 密着層
21: 線部
22: スペース部
23: 電極パッド
31: 平面
32: 円弧の矢高
33: 円弧の弦長
Claims (5)
- 樹脂基材の少なくとも片側に金属層を有し、該金属層の全応力が−250N/m以上0N/m以下であることを特徴とする回路用積層体。
- 樹脂基材の少なくとも片面に金属層を有し、該金属層の残留歪みが−3×10−3以上−1×10−4以下であることを特徴とする回路用積層体。
- 前記樹脂基材の少なくとも片側に易接着層を有することを特徴とする請求項1または2に記載の回路用積層体。
- 前記易接着層の厚みが10nm以上300nm以下であることを特徴とする請求項3に記載の回路用積層体。
- 前記金属層の厚みが0.05μm以上10μm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の回路用積層体。
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-
2015
- 2015-03-10 JP JP2015046688A patent/JP2015201629A/ja active Pending
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