JP2015227931A - 電子写真用トナー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スチレンアクリル樹脂(A)の原料モノマー(a)、複合樹脂(B)、ワックス、及び着色剤を含有するモノマー組成物を水系媒体中で重合する工程を含む方法により得られる、電子写真用トナーであって、
該複合樹脂(B)が、ポリエステル樹脂セグメント(B1)、及び炭素数10以上22以下のアルキル基を有するビニル系モノマー由来の構成単位を含有するビニル系樹脂セグメント(B2)を含む複合樹脂である、電子写真用トナーである。
【選択図】なし
Description
特許文献1は、ハイブリッド樹脂のビニル系重合体ユニットの末端に不飽和二重結合を有することで、重合性単量体により、適度に表面架橋させることでトナー中にワックスを安定分散させているが、未だ充分とは言えず、低温定着性、耐久性、及び印刷物の光沢性の更なる改善が望まれていた。
特許文献2の技術によると、コアにポリエステル樹脂、シェルに特定の組成を有するハイブリッド樹脂を用いたコアシェル構造を形成することにより、低温定着性と耐熱保管性との両立を図っているが、上記のスチレン系樹脂とワックスとの相溶性の問題は解決されておらず、低温定着性、耐久性、及び印刷物の光沢性に課題があった。
本発明は、低温定着性、耐久性、及び印刷物の光沢性に優れる電子写真用トナーを提供することを課題とする。
スチレンアクリル樹脂(A)の原料モノマー(a)、複合樹脂(B)、ワックス、及び着色剤を含有するモノマー組成物を水系媒体中で重合する工程を含む方法により得られる、電子写真用トナーであって、該複合樹脂(B)が、ポリエステル樹脂セグメント(B1)、及び炭素数10以上22以下のアルキル基を有するビニル系モノマー由来の構成単位を含有するビニル系樹脂セグメント(B2)を含む複合樹脂である、電子写真用トナー。
本発明の電子写真用トナー(以下、単に「トナー」ともいう)は、スチレンアクリル樹脂(A)の原料モノマー(a)、複合樹脂(B)、ワックス、及び着色剤を含有するモノマー組成物を水系媒体中で重合する工程を含む方法により得られる、電子写真用トナーであって、該複合樹脂(B)が、ポリエステル樹脂セグメント(B1)、及び炭素数10以上22以下のアルキル基を有するビニル系モノマー由来の構成単位を含有するビニル系樹脂セグメント(B2)を含む複合樹脂である、電子写真用トナーである。
本発明の電子写真用トナーを構成する、ポリエステル樹脂セグメント(B1)、及び炭素数10以上22以下のアルキル基を有するビニル系モノマー由来の構成単位を含有するビニル系樹脂セグメント(B2)を含む複合樹脂は、スチレンアクリル樹脂(A)ともワックスとも相溶性に優れるため、スチレンアクリル樹脂(A)とワックスとの親和性を高めると考えられる。
従って、スチレンアクリル樹脂(A)の原料モノマー(a)、ワックス及び着色剤を含有するモノマー組成物を水系媒体中で重合する際に、前記複合樹脂を存在させることで、ワックスを微分散化するとともに、スチレンアクリル樹脂とワックスとの界面接着が強まると考えられる。これにより、トナーが割れにくくなり、感光体へのフィルミング性が低減し、耐久性が向上すると考えられる。
また、ワックスが微分散されているため、低温定着性が向上すると共に、定着時に、トナー表面に均一に拡散して、画像の光沢性も向上すると考えられる。
ここで、スチレンアクリル樹脂(A)の質量は、スチレンアクリル樹脂(A)の原料モノマー(a)の合計量を意味し、重合開始剤量は含めない(以下、同じ)。複合樹脂(B)は、ポリエステル樹脂セグメント(B1)、ビニル系樹脂セグメント(B2)、及び必要により用いられる両反応性モノマーの合計量を意味する(以下、同じ)。但し、ポリエステル樹脂セグメント(B1)は、ポリエステル樹脂セグメントの原料モノマーの合計量から、縮合反応時の脱水量を除去した値を用い、また、ビニル系樹脂セグメント(B2)の質量は、ビニル系樹脂セグメントの原料モノマーの合計量と重合開始剤量との合計量を用いる。
本発明において、スチレンアクリル樹脂(A)の原料モノマー(a)としては、スチレン化合物及びアルキル(メタ)アクリレートを含む、公知のラジカル重合性単量体を用いることができる。
スチレン化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン等が挙げられ、スチレンが好ましい。
アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基の炭素数は、低温定着性、耐久性、及び印刷物の光沢性の観点から、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは3以上であり、そして、低温定着性、保存性及び発色性の観点から、好ましくは12以下、より好ましくは8以下、更に好ましくは5以下である。
また、スチレンアクリル樹脂(A)の原料モノマー(a)は、耐高温オフセット性の改善を目的として、少量の多官能性単量体を含有していてもよい。多官能性単量体としては、2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物等が挙げられる。2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート等の二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物;3個以上のビニル基を有する化合物等が挙げられる。
複合樹脂(B)は、ポリエステル樹脂セグメント(B1)及び炭素数10以上22以下のアルキル基を有するビニル系モノマー由来の構成単位を含有するビニル系樹脂セグメント(B2)を含む。
なお、この複合樹脂は、当該ポリエステル樹脂セグメント(B1)及びビニル系モノマー由来の構成セグメント(B2)と、これらポリエステル樹脂セグメント(B1)及びビニル系モノマー由来の構成単位を含有するビニル系樹脂セグメント(B2)のいずれとも反応し得る両反応性モノマーに由来する構成部分の3つの構成部分からなっていることが好ましい。また、本発明の目的を阻害しない範囲内でこれら3つの構成部分以外の構成部分を含んでいてもよいが、3つの構成部分以外の構成部分を含んでいないことが好ましい。
複合樹脂中の、ポリエステル樹脂セグメント(B1)、ビニル系樹脂セグメント(B2)及び両反応性モノマー由来のセグメントの含有量の合計は、同様の観点から、好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上、更に好ましくは99モル%以上、より更に好ましくは100モル%である。
ポリエステル樹脂セグメント(B1)を構成するポリエステル樹脂は、一般的にトナー用として用いられる物性等を有するトナー用ポリエステル樹脂であれば特に限定されるものではなく、アルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合して得られる。
以下、ポリエステル樹脂セグメント(B1)を構成するポリエステル樹脂の代表的な態様について説明する。
前記アルコール成分としては、脂肪族ジオール、芳香族ジオール、3価以上の多価アルコール等が挙げられる。これらのアルコール成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
アルコール成分は、低温定着性、耐久性、及び印刷物の光沢性の観点から、下記式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含有することが好ましい。
前記式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物は、低温定着性、耐久性、及び印刷物の光沢性の観点から、アルコール成分中、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上、より更に好ましくは100モル%含有される。
3価以上のアルコールとしては、具体的には、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等が挙げられ、反応性及び分子量調整の観点から、グリセリンが好ましい。
ポリエステル樹脂のアルコール成分が3価以上のアルコールを含有する場合、その含有量は、同様の観点から、アルコール成分中、好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モル%以下、更に好ましくは10モル%以下である。
ポリエステル樹脂セグメント(B1)を構成するポリエステル樹脂の原料モノマーであるカルボン酸成分としては、脂肪族ジカルボン酸化合物、芳香族ジカルボン酸化合物、3価以上の多価カルボン酸化合物、並びにそれらの酸無水物及びそれらのアルキル(炭素数1以上3以下)エステル等が挙げられる。これらのカルボン酸成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
脂肪族ジカルボン酸化合物の具体例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、ドデカン二酸等の脂肪族飽和ジカルボン酸化合物;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸等の脂肪族不飽和ジカルボン酸化合物;等が挙げられる。また、脂肪族ジカルボン酸化合物の例には、ドデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸等の炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸も含まれる。これらの中でも、脂肪族飽和ジカルボン酸化合物としては、低温定着性、耐久性、及び印刷物の光沢性の観点から、コハク酸が好ましい。また、脂肪族不飽和ジカルボン酸化合物としては、同様の観点から、フマル酸が好ましい。
芳香族ジカルボン酸化合物の具体例としては、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸が挙げられる。これらの中でも、同様の観点から、テレフタル酸が好ましい。
カルボン酸成分は、脂肪族不飽和ジカルボン酸化合物を含有することが好ましく、脂肪族飽和ジカルボン酸化合物と脂肪族不飽和ジカルボン酸化合物と芳香族ジカルボン酸化合物とを併用することがより好ましい。
また、芳香族ジカルボン酸化合物の含有量は、同様の観点から、カルボン酸成分中、好ましくは40モル%以上、より好ましくは50モル%以上、更に好ましくは60モル%以上であり、そして、好ましくは95モル%以下、より好ましくは80モル%以下、更に好ましくは70モル%以下である。
脂肪族ジカルボン酸化合物と芳香族ジカルボン酸化合物とのモル比〔脂肪族ジカルボン酸化合物/芳香族ジカルボン酸化合物〕は、同様の観点から、好ましくは10/90以上、より好ましくは20/80以上、更に好ましくは30/70以上であり、そして、好ましくは60/40以下、より好ましくは50/50以下、更に好ましくは40/60以下である。
カルボン酸成分中における、脂肪族ジカルボン酸化合物及び芳香族ジカルボン酸化合物の総量は、同様の観点から、好ましくは80モル%以上、より好ましくは85モル%以上、更に好ましくは90モル%以上である。
カルボン酸化合物中、脂肪族不飽和ジカルボン酸化合物の含有量は、同様の観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。
カルボン酸化合物中、脂肪族飽和ジカルボン酸化合物の含有量は、低温定着性の観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、そして、保存安定性の観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
3価以上の多価カルボン酸化合物を用いる場合、その含有量は、低温定着性、耐久性、及び印刷物の光沢性の観点から、カルボン酸成分中、好ましくは0.1モル%以上、より好ましくは1モル%以上、更に好ましくは3モル%以上であり、そして、好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モル%以下、更に好ましくは10モル%以下である。
アルコール成分に対するカルボン酸成分のモル比[カルボン酸成分/アルコール成分]は、反応性及び物性調整の観点から、好ましくは0.4以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは0.7以上、より更に好ましくは0.85以上であり、そして、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.3以下、更に好ましくは1.15以下である。
ビニル系樹脂セグメント(B2)は、炭素数10以上22以下のアルキル基を有するビニル系モノマー由来の構成単位を含有する。すなわち、このビニル系樹脂セグメント(B2)の原料ビニル系モノマーは、炭素数10以上22以下のアルキル基を有するビニル系モノマーを含有する。ビニル系樹脂セグメント(B2)は疎水的な長鎖アルキル基を有するため、ワックスとの親和性が高く、ワックスは、このビニル系樹脂セグメント(B2)を含む複合樹脂中に良好に分散する。
当該観点から、この炭素数10以上22以下のアルキル基を有するビニル系モノマーのアルキル基の炭素数は、低温定着性、及び耐久性の観点から、好ましくは11以上、より好ましくは12以上、更に好ましくは13以上、より更に好ましくは15以上であり、そして、印刷物の光沢性の観点から、好ましくは22以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは19以下である。
この炭素数10以上22以下のアルキル基を有するビニル系モノマーは、好ましくは(メタ)アクリル酸ステアリル及び(メタ)アクリル酸ラウリルから選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくは(メタ)アクリル酸ステアリルである。
複合樹脂は、更に、両反応性モノマー由来の構成単位を含むことが好ましい。
複合樹脂の原料モノマーとして両反応性モノマーを用いると、当該両反応性モノマーがポリエステル樹脂セグメント(B1)とビニル系樹脂セグメント(B2)との両方と反応することにより、複合樹脂を良好に製造することができる。
すなわち、本発明の複合樹脂は、ポリエステル樹脂セグメント(B1)の原料モノマーと、ビニル系樹脂セグメント(B2)の原料モノマーと、両反応性モノマーとを重合させることにより得られるものが好ましい。これにより、複合樹脂は、両反応性モノマー由来の構成単位を介してポリエステル樹脂セグメント(B1)とビニル系樹脂セグメント(B2)とが結合し、ポリエステル樹脂セグメント(B1)とビニル系樹脂セグメント(B2)とが均一に分散したものとなり、低温定着性、耐久性、及び印刷物の光沢性が良好なものとなる。
両反応性モノマーとしては、分子内に、カルボキシ基、水酸基、エポキシ基、第1級アミノ基及び第2級アミノ基から選ばれる1種以上の官能基を有する化合物と、エチレン性不飽和結合とを有する化合物が挙げられる。これらの中でも、反応性の観点から、好ましくは水酸基及び/又はカルボキシ基を有する化合物、より好ましくはカルボキシ基とエチレン性不飽和結合とを有する化合物である。
両反応性モノマーの使用量は、低温定着性の観点から、前記ビニル系樹脂セグメント(B2)の原料であるビニル系モノマー100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは1.5質量部以上であり、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下、更に好ましくは5質量部以下、より更に好ましくは3質量部以下である。
本発明に用いられる複合樹脂の軟化点は、低温定着性、耐久性、及び印刷物の光沢性の観点から、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上、更に好ましくは100℃以上であり、そして、好ましくは130℃以下、より好ましくは120℃以下、更に好ましくは115℃以下である。
また、複合樹脂のガラス転移温度は、同様の観点から、好ましくは40℃以上、より好ましくは45℃以上、更に好ましくは50℃以上であり、そして、好ましくは70℃以下、より好ましくは65℃以下、更に好ましくは60℃以下である。
複合樹脂の酸価は、同様の観点から、好ましくは1mgKOH/g以上、より好ましくは5mgKOH/g以上、更に好ましくは10mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは40mgKOH/g以下、より好ましくは30mgKOH/g以下、更に好ましくは20mgKOH/g以下である。
なお、軟化点、ガラス転移温度、及び酸価は、原料モノマー組成、分子量、触媒量等の調整又は反応条件の選択により容易に調整することができる。
複合樹脂は、以下の(1)〜(3)のいずれかの方法により製造することが好ましい。なお、両反応性モノマーは、反応性の観点から、ビニル系樹脂セグメントの原料モノマーと共に反応系に供給されることが好ましい。また、同様の観点から、エステル化触媒、エステル化助触媒等の触媒を用いてもよく、更に重合開始剤及び重合禁止剤を用いてもよい。
(1)アルコール成分及びカルボン酸成分による縮重合反応の工程(A)の後に、ビニル系樹脂セグメントの原料モノマー(ビニル系モノマー)及び必要に応じて両反応性モノマーによる付加重合反応の工程(B)を行う方法。
なお、工程(A)において、カルボン酸成分の一部を縮重合反応に供し、次いで工程(B)を実施した後に、再度反応温度を上昇させ、カルボン酸成分の残部を重合系に添加し、工程(A)の縮重合反応及び必要に応じて両反応性モノマーとの反応をさらに進める方法がより好ましい。
アルコール成分及びカルボン酸成分については、付加重合反応時に反応系内に存在させておき、縮重合反応に適した温度でエステル化触媒及び必要に応じて更にエステル化助触媒を添加させることにより縮重合反応を開始することもできるし、縮重合反応に適した温度条件下で反応系内に後からアルコール成分及びカルボン酸成分を添加することにより縮重合反応を開始することもできる。前者の場合は、縮重合反応に適した温度でエステル化触媒及び必要に応じて更にエステル化助触媒を添加することで分子量及び分子量分布が調節できる。
この方法では、付加重合反応に適した反応温度条件下で工程(A)と工程(B)とを行い、反応温度を上昇させ、縮重合反応に適した温度条件下で、必要に応じて、ポリエステル樹脂セグメントの3価以上の原料モノマー等を架橋剤として重合系に添加し、更に工程(A)の縮重合反応を行うことが好ましい。その際、縮重合反応に適した温度条件下では、ラジカル重合禁止剤を添加して縮重合反応だけを進めることもできる。両反応性モノマーは付加重合反応と共に縮重合反応にも関与する。
以上の中でも、方法(1)が、縮重合反応の反応温度の自由度が高いという点から好ましい。
また、方法(1)〜(3)、好ましくは方法(1)において、複合樹脂は、ワックスの存在下で、ビニル系モノマーを重合する工程を含む製造方法で得られることが好ましい。これにより、ワックスと複合樹脂との親和性を向上させ、ワックスを更に微分散し、トナーの低温定着性及び印刷物の光沢性を向上させることができる。
なお、ワックスの存在下で、ビニル系モノマーを重合する工程を含む製造方法で得られる複合樹脂とワックスとの混合物を、「ワックス含有複合樹脂」と称することがある。
上記(1)〜(3)の方法は、同一容器内で行うことが好ましい。
縮重合反応の温度は、反応性の観点から、好ましくは120℃以上、より好ましくは145℃以上、更に好ましくは150℃以上であり、そして、好ましくは250℃以下、より好ましくは245℃以下、更に好ましくは240℃以下である。
〔付加重合反応の温度〕
付加重合反応の温度は、反応性の観点から、好ましくは110℃以上、より好ましくは130℃以上、更に好ましくは150℃以上であり、そして、好ましくは220℃以下、より好ましくは190℃以下、更に好ましくは170℃以下である。
また、重合の後半に反応系を減圧することにより、反応を促進させることが好ましい。
上記縮重合反応に好適に用いられるエステル化触媒としては、チタン化合物及びSn−C結合を有していない錫(II)化合物が挙げられ、これらは1種又は2種以上を併せて使用することができる。
チタン化合物としては、Ti−O結合を有するチタン化合物が好ましく、総炭素数1〜28のアルコキシ基、アルケニルオキシ基又はアシルオキシ基を有する化合物がより好ましい。
Sn−C結合を有していない錫(II)化合物としては、Sn−O結合を有する錫(II)化合物、Sn−X(Xはハロゲン原子を示す)結合を有する錫(II)化合物等が好ましく挙げられ、Sn−O結合を有する錫(II)化合物がより好ましく、中でも、反応性、分子量調整及び樹脂の物性調整の観点から、ジ(2−エチルヘキサン酸)錫(II)が更に好ましい。
上記エステル化触媒の使用量は、反応性、分子量調整及び樹脂の物性調整の観点から、アルコール成分とカルボン酸成分との総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、更に好ましくは0.2質量部以上であり、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは2質量部以下である。
エステル化助触媒としては、ピロガロール化合物が好ましい。このピロガロール化合物は、互いに隣接する3個の水素原子が水酸基で置換されたベンゼン環を有するものであり、ピロガロール、没食子酸、没食子酸エステル、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3,4−テトラヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート等のカテキン誘導体等が挙げられ、反応性の観点から、没食子酸が好ましい。
縮重合反応におけるエステル化助触媒の使用量は、反応性の観点から、縮重合反応に供されるアルコール成分とカルボン酸成分との総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、そして、好ましくは1質量部以下、より好ましくは0.8質量部以下、更に好ましくは0.6質量部以下である。
エステル化助触媒とエステル化触媒との質量比[エステル化助触媒/エステル化触媒]は、反応性の観点から、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.01以上、更に好ましくは0.05以上であり、そして、好ましくは0.5以下、より好ましくは0.3以下、更に好ましくは0.2以下である。
重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤が好適に用いられる。このラジカル重合開始剤としては、パーオキサイド系ラジカル重合開始剤が好ましく、ジブチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルパーオキシ)トリアジンの少なくとも1種がより好ましく、ジブチルパーオキサイドが更に好ましい。
〔重合禁止剤〕
重合禁止剤としては、tert−ブチルカテコール等が挙げられる。
ワックス含有複合樹脂の製造に用いるワックスとしては、エステル系ワックス、炭化水素ワックス、シリコーンワックス、脂肪酸アミド等を用いることができる。なかでも、低温定着性及び印刷物の光沢性の観点から、炭化水素ワックス及びエステル系ワックスが好ましい。
エステル系ワックスは、エステル結合を有するワックスであり、その酸価は、低温定着性、耐久性、及び印刷物の光沢性の観点から、好ましくは1mgKOH/g以上、より好ましくは2mgKOH/g以上、更に好ましくは3mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは10mgKOH/g以下、より好ましくは8mgKOH/g以下、更に好ましくは7mgKOH/g以下である。
炭化水素ワックスの具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックスが挙げられ、好ましくはパラフィンワックスである。
ワックス含有複合樹脂中における、複合樹脂とワックスとの合計含有量は、低温定着性、耐久性、及び印刷物の光沢性の観点から、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上である。
ワックス含有複合樹脂のガラス転移温度は、同様の観点から、好ましくは40℃以上、より好ましくは45℃以上、更に好ましくは50℃以上であり、そして、好ましくは65℃以下、より好ましくは60℃以下、更に好ましくは55℃以下である。
ワックス含有複合樹脂の酸価は、同様の観点から、好ましくは1mgKOH/g以上、より好ましくは5mgKOH/g以上、更に好ましくは10mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは40mgKOH/g以下、より好ましくは30mgKOH/g以下、更に好ましくは20mgKOH/g以下である。
なお、ワックス含有複合樹脂の軟化点、ガラス転移温度、及び酸価は、原料モノマー組成、分子量、触媒量等の調整又は反応条件の選択により容易に調整することができる。
本発明のトナーに含まれるワックスは、前記ワックス含有複合樹脂として含まれるものであってもよく、後のモノマー組成物を調製する際に添加されるものであってもよい。低温定着性、耐久性、及び印刷物の光沢性の観点からは、前記ワックス含有複合樹脂に含まれるワックスと、モノマー組成物を調製する際に添加されるワックスの両方を含有することが好ましい。
本発明のトナー中のワックスの合計含有量は、低温定着性及び印刷物の光沢性の観点から、スチレンアクリル樹脂(A)と複合樹脂(B)との合計100質量部に対して、好ましくは4質量部以上、より好ましくは6質量部以上、更に好ましくは7質量部以上であり、そして、低温定着性及び耐久性の観点から、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは12質量部以下、より更に好ましくは9質量部以下である。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、ジスアゾエロー等が用いることができ、本発明のトナーは、黒トナー、カラートナーのいずれであってもよい。
本発明のトナー中の着色剤の含有量は、トナーの画像濃度及び低温定着性を向上させる観点から、スチレンアクリル樹脂(A)と複合樹脂(B)の総量100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、更に好ましくは3質量部以上であり、そして、好ましくは40質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。
本発明のトナーは、スチレンアクリル樹脂(A)の原料モノマー(a)、複合樹脂(B)、ワックス、及び着色剤を含有するモノマー組成物を水系媒体中で重合する工程を含む方法により得られる。
モノマー組成物は、スチレンアクリル樹脂(A)の原料モノマー(a)、複合樹脂(B)、ワックス、及び着色剤を含有する。
モノマー組成物には、スチレンアクリル樹脂(A)と複合樹脂(B)以外の公知のトナー用結着樹脂が含まれていてもよい。即ち、本発明のトナーは、結着樹脂として、本発明の効果を損なわない範囲で、前記のスチレンアクリル樹脂(A)と複合樹脂(B)以外の公知のトナー用結着樹脂、例えば、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等の樹脂が併用されていてもよい。
前記のスチレンアクリル樹脂(A)と複合樹脂(B)の総含有量は、結着樹脂中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは100質量%である。
荷電制御剤は、特に限定されず、正帯電性荷電制御剤及び負帯電性荷電制御剤のいずれを含有していてもよい。
正帯電性荷電制御剤としては、ニグロシン染料、例えば「ニグロシンベースEX」、「オイルブラックBS」、「オイルブラックSO」、「ボントロンN−01」、「ボントロンN−04」、「ボントロンN−07」、「ボントロンN−09」、「ボントロンN−11」(以上、オリエント化学工業株式会社製)等;3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、例えば「ボントロンP−51」(オリエント化学工業株式会社製)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、「COPY CHARGE PX VP435」(クラリアント社製)等;ポリアミン樹脂、例えば「AFP−B」(オリエント化学工業株式会社製)等;イミダゾール誘導体、例えば「PLZ−2001」、「PLZ−8001」(以上、四国化成工業株式会社製)等;スチレン−アクリル系樹脂、例えば「FCA−701PT」(藤倉化成株式会社製)等が挙げられる。
次にモノマー組成物を水系媒体中で重合する工程(以下、「重合工程」ともいう)により、本発明のトナーを製造することができる。
モノマー組成物と水系媒体の撹拌には、ホモミキサー、高速撹拌機、超音波分散機等の高速分散機を用いることができ、これにより、重合性単量体を水系媒体中に均一に分散させ、容易に懸濁液を調製することができる。
モノマー組成物と水系媒体の撹拌は、窒素雰囲気下、好ましくは45℃以上、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは55℃以上であり、そして、好ましくは90℃以下、より好ましくは80℃以下、更に好ましくは70℃以下の加熱条件下で行うことが好ましい。
水系媒体は、水を好ましくは50質量部以上、より好ましくは70質量部以上、更に好ましくは90質量部以上、より更に好ましくは99質量部以上含有するものである。
水系媒体は水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。水と混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ(登録商標)類(メチルセルソルブ等)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)等が挙げられる。
水系媒体量は、トナー粒子の粒径制御の観点から、モノマー組成物量の好ましくは2.5質量倍以上、より好ましくは2.8質量倍以上、更に好ましくは3.0質量倍以上であり、そして、好ましくは6質量倍以下、より好ましくは5質量倍以下、更に好ましくは4質量倍以下である。
原料モノマー(a)の重合は、懸濁液中のモノマー組成物の粒子が粒子状態を維持し、かつ粒子の浮遊や沈降が生じることがないよう、撹拌しながら行うことが好ましい。
前記重合は、例えば、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系重合開始剤、ベンゾイルペルオキシド等の過酸化物系重合開始剤の存在下で行うことが好ましい。
重合開始剤は、モノマー組成物を調製する際に他の添加剤とともに混合してもよく、水系媒体中に懸濁させる直前にモノマー組成物中に混合してもよい。また、造粒中や造粒完了後、すなわち重合反応を開始する直前に、必要に応じて重合性単量体や他の溶媒に溶解した状態で加えることもできる。
前記重合は、分散安定剤の存在下で行うことが好ましく、分散安定剤は、予め水系媒体に添加しておくことが好ましい。
分散安定剤としては、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、一般的な界面活性剤等が挙げられる。分散安定剤の量は、原料モノマー(a)100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましい。なお、一般的な界面活性剤の具体例としては、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤等が挙げられる。
重合温度は、重合速度の観点から、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは60℃以上であり、そして、重合速度、水蒸散防止の観点から、好ましくは95℃以下、より好ましくは90℃以下、更に好ましくは85℃以下である。
〔重合時間〕
重合時間は、重合反応を終了する観点から、好ましくは2時間以上、より好ましくは4時間以上、更に好ましくは6時間以上であり、そして、好ましくは20時間以下、より好ましくは15時間以下、更に好ましくは10時間以下である。
重合後、常法により、残存モノマーを除去し、撹拌を続けながら室温まで冷却し、洗浄、乾燥することで、トナー粒子が得られる。
本発明のトナーには、転写性を向上させるために、外添剤を用いることが好ましく、外添剤としては、無機微粒子を用いることが好ましい。無機微粒子の例は、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化亜鉛が挙げられ、これらの中でもシリカが好ましい。
シリカは、トナーの転写性の観点から、疎水化処理された疎水性シリカが好ましい。
シリカ粒子の表面を疎水化するための疎水化処理剤としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、ジメチルジクロロシラン(DMDS)、シリコーンオイル、オクチルトリエトキシシラン(OTES)、メチルトリエトキシシラン等が挙げられ、これらの中ではヘキサメチルジシラザンが好ましい。
外添剤の平均粒子径は、トナーの帯電性や流動性、転写性の観点から、好ましくは10nm以上、より好ましくは13nm以上、更に好ましくは15nm以上であり、そして、好ましくは250nm以下、より好ましくは200nm以下、更に好ましくは90nm以下である。
外添剤の含有量は、外添剤で処理する前のトナー粒子100質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは1質量部以上であり、そして、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下、更に好ましくは2.5質量部以下である。
なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。また、トナーを外添剤で処理している場合には、外添剤で処理する前のトナー粒子(以下、「トナー母粒子」ともいう)の体積中位粒径をトナーの体積中位粒径とする。
体積中位粒径は、水系媒体中のモノマー組成物の濃度、重合温度、重合時間、撹拌速度等によって、調整することができる。
なお、CV値は、下記式で表される値である。下記式における体積平均粒径とは、体積基準で測定された粒径にその粒径値を持つ粒子の割合を掛け、それにより得られた値を粒子数で除して得られる粒径であり、実施例に記載の方法で求められる。
CV値(%)=[粒径分布の標準偏差(nm)/体積平均粒径(nm)]×100
樹脂の酸価は、JIS K 0070の方法に基づき測定した。ただし、測定溶媒のみJIS K 0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更した。
(1)軟化点
フローテスター「CFT−500D」(株式会社島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出した。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とした。
示差走査熱量計「Q−100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した。次に昇温速度10℃/分で150℃まで昇温しながら測定した。吸熱の最大ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とした。
トナー母粒子の体積中位粒径は以下の通り測定した。
・測定機:「コールターマルチサイザー(登録商標)III」(ベックマンコールター社製)
・アパチャー径:50μm
・解析ソフト:「マルチサイザーIIIバージョン3.51」(ベックマンコールター社製)
・電解液:「アイソトン(登録商標)II」(ベックマンコールター社製)
・分散液:ポリオキシエチレンラウリルエーテル「エマルゲン(登録商標)109P」(花王株式会社製、HLB:13.6)を前記電解液に溶解させ、濃度5質量%の分散液を得た。
・分散条件:前記分散液5mLに試料10mg(固形分換算)を添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mLを添加し、更に、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を作製した。
・測定条件:前記試料分散液を前記電解液100mLに加えることにより、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度に調整した後、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)及び体積平均粒径を求めた。
また、CV値(%)は下記の式に従って算出した。
CV値(%)=(粒径分布の標準偏差/体積平均粒径)×100
複写機「AR−505」(シャープ株式会社製)の定着機を装置外での定着が可能なように改良した装置にトナーを実装し、未定着の状態で印刷物を得た(印字面積:2cm×12cm、付着量:0.5mg/cm2)。その後、総定着圧が40kgfになるように調整した定着機(定着速度300mm/sec)を用い、定着ロールの温度を80℃から240℃へと5℃ずつ順次上昇させながら、各温度で未定着状態の印刷物の定着試験を行った。得られた印刷物の画像部分にセロハン粘着テープ「ユニセフセロハン」(三菱鉛筆株式会社製、幅:18mm、JIS Z1522)を貼り付け、30℃に設定した定着ローラーに通過させた後、テープを剥がした。テープを貼る前と剥がした後の光学反射密度を反射濃度計「RD−915」(グレタグマクベス社製)を用いて測定し、両者の比率(剥離後/貼付前×100)が最初に90%を越える定着ローラーの温度を最低定着温度とした。最低定着温度が低いほど、低温定着性に優れる。なお、定着紙には、「CopyBond SF-70NA」(シャープ株式会社製、75g/m2)を使用した。
非磁性一成分現像方式プリンター「OKI Microline 18」(株式会社沖データ製)にトナーを実装し、温度30℃、湿度80%の条件下にて、黒化率5.5%の斜めストライプのパターンの耐刷を行った。途中、500枚ごとにベタ画像を印字し、画像上のスジを確認した。画像上にスジが目視にて観察された時点までの印字枚数を耐刷枚数とした。耐刷枚数が大きいものほど、耐久性に優れる。
複写機「AR-505」(商品名、シャープ株式会社製)にトナーを実装し、未定着で画像出しを行った(印字面積:2cm×12cm、付着量:0.5mg/cm2)。前記複写機の定着機にて、160℃、400mm/secの条件で印字媒体に未定着画像を定着させた。なお、印字媒体にJ紙(商品名、富士ゼロックス株式会社製)を用いた。該画像の下に厚紙を敷き、光沢度計(株式会社堀場製作所製、商品名:「IG-330」)を用いて入射角度60°の光射条件にて印刷物の光沢度を測定した。得られた値が高いほど光沢度に優れる。
製造例1、3〜11
(複合樹脂A、C〜Kの製造)
表1及び2に示すコハク酸及びフマル酸以外のポリエステル樹脂セグメントの原料モノマー、エステル化触媒及びエステル化助触媒を、温度計、ステンレス製撹拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した5リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、235℃まで2時間かけて昇温を行った。その後235℃にて反応率が95%以上に到達したのを確認し、160℃まで冷却し、パラフィンワックス「HNP−9」(日本精蝋株式会社製、融点:75℃)を1855g加えた。その後、160℃に保温した状態で、表1及び2に示すビニル系樹脂セグメントの原料モノマー、両反応性モノマー及び重合開始剤の混合溶液を1時間かけて滴下した。その後、30分間160℃に保持したのち、200℃まで昇温し、更に8kPaの減圧下で1時間反応させた後、180℃まで冷却した。その後、4−t−ブチルカテコール、コハク酸及びフマル酸を加え、2時間かけて210℃まで昇温した。その後、210℃にて1時間反応後、40kPaにて表1及び2に記載の軟化点に達するまで反応を行って、複合樹脂A、C〜Kとワックスとの混合物を各々得た。物性を表1及び2に示す。なお、反応率とは、生成反応水量(mol)/理論生成水量(mol)×100の値をいう。
(複合樹脂Bの製造)
パラフィンワックス「HNP−9」を加えなかった点以外は、製造例1と同様に反応を行って、複合樹脂Bを得た。物性を表1に示す。
実施例1
60℃に加温したイオン交換水900gに、リン酸三カルシウム3g(松尾薬品産業株式会社製)を添加し、TK式ホモミキサー(プライミクス株式会社製)を用いて、10,000r/minにて撹拌し、水系媒体を調製した。
一方、ガラスビーカーに、モノマーとしてスチレン170g、n−ブチルアクリレート30g、複合樹脂A 50g(複合樹脂Aとワックスとの混合物として60g)、着色剤としてピグメントブルー15:3 10g、荷電制御剤としてサリチル酸アルミニウム(オリエント化学株式会社製、商品名:ボントロンE88)2g、ワックス(離型剤)としてHNP−9(日本精蝋株式会社製パラフィンワックス、融点75℃)10gを投入し、混合した。60℃に加温し、着色剤以外の固体成分を均一に溶解させた。その後、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業株式会社製、商品名:V−65)8gを滴下して、十分混合することによってモノマー組成物を調製した。
上記で得られた水系媒体にモノマー組成物を投入し、60℃、N2ガスフロー下において、TK式ホモミキサー(プライミクス株式会社製)で15分撹拌して懸濁物を得た。該懸濁物をセパラブルフラスコに移し、70℃、150r/minで撹拌しながら8時間重合した。次いで80℃に昇温し、減圧下で残存モノマーを留去した。その後、撹拌を続けながら20℃まで冷却し、洗浄、乾燥を経てトナー母粒子を得た。
上記トナー母粒子100質量部に対して、疎水性シリカ「NAX−50」(日本アエロジル株式会社製、個数平均粒子径40nm)1.0質量部、疎水性シリカ「R972」(日本アエロジル株式会社製、個数平均粒子径16nm)0.6質量部、酸化チタン「JMT−150IB」(テイカ株式会社製、個数平均粒子径15nm)0.5質量部を、ST及びA0撹拌羽根を装着した10Lヘンシェルミキサー(日本コークス工業株式会社製)に投入し、3,000r/minにて2分間撹拌して、トナーを得た。トナーの評価結果を表3に示す。
実施例1において、樹脂の種類及び仕込量、並びにワックスの仕込量を表3及び4に示すとおりに変えた以外は、実施例1と同様に製造しトナーを得た。トナーの評価結果を表3及び4に示す。
[スチレンアクリル樹脂の合成]
60℃に加温したイオン交換水900gに、リン酸三カルシウム3g(松尾薬品産業株式会社製)を添加し、TK式ホモミキサー(プライミクス株式会社製)を用いて、10,000r/minにて撹拌し、水系媒体を調製した。
一方、ガラスビーカーに、モノマーとしてスチレン170g、n−ブチルアクリレート30gを投入し、混合した後、60℃に加温して均一に溶解させた。その後、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業株式会社製、商品名:V−65)8質量部を滴下し、十分混合することによってモノマー組成物を調製した。
上記で得られた水系媒体にモノマー組成物を投入し、60℃、N2ガスフロー下において、TK式ホモミキサー(プライミクス株式会社製)で15分撹拌して懸濁物を得た。上記懸濁物をセパラブルフラスコに移し、70℃、150r/minで撹拌しながら8時間重合した。次いで80℃に昇温し、減圧下で残存モノマーを留去した。その後、撹拌を続けながら20℃まで冷却し、洗浄、乾燥を経てスチレンアクリル樹脂を得た。
上記で得たスチレンアクリル樹脂と、複合樹脂Aとワックスとの混合物を、スチレンアクリル樹脂と複合樹脂Aの質量比が表4に示す質量比となるように合計122質量部、着色剤としてピグメントブルー15:3 10g、荷電制御剤としてサリチル酸アルミニウム(オリエント化学株式会社製、商品名:ボントロンE88)2g、ワックスとしてHNP−9(日本精蝋株式会社製パラフィンワックス、融点75℃)10gを混合し、ヘンシェルミキサーで十分混合した後、同方向回転二軸押出し機を用い、ロール回転速度200r/min、ロール内の加熱温度80℃で溶融混練した。得られた溶融混練物を冷却、粗粉砕した後、ジェットミルにて粉砕し、分級、上記と同様に外添工程を経てトナーを得た。トナーの評価結果を表4に示す。
Claims (8)
- スチレンアクリル樹脂(A)の原料モノマー(a)、複合樹脂(B)、ワックス、及び着色剤を含有するモノマー組成物を水系媒体中で重合する工程を含む方法により得られる、電子写真用トナーであって、
該複合樹脂(B)が、ポリエステル樹脂セグメント(B1)、及び炭素数10以上22以下のアルキル基を有するビニル系モノマー由来の構成単位を含有するビニル系樹脂セグメント(B2)を含む複合樹脂である、電子写真用トナー。 - 前記複合樹脂(B)中のポリエステル樹脂セグメント(B1)とビニル系樹脂セグメント(B2)の質量比[(B1)/(B2)]が、40/60以上95/5以下である、請求項1に記載の電子写真用トナー。
- 前記スチレンアクリル樹脂(A)と複合樹脂(B)との質量比[(A)/(B)]が、40/60以上95/5以下である、請求項1又は2に記載の電子写真用トナー。
- 前記ビニル系樹脂セグメント(B2)が、炭素数10以上22以下のアルキル基を有するビニル系モノマー由来の構成単位を、5質量%以上60質量%以下含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真用トナー。
- 前記複合樹脂(B)が、前記ワックスの存在下で、前記ビニル系モノマーを重合する工程を含む製造方法により得られる樹脂である、請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真用トナー。
- 前記複合樹脂(B)のポリエステル樹脂セグメント(B1)が、アルコール成分とカルボン酸成分とを含む原料モノマーを重縮合して得られるポリエステル樹脂セグメントであって、該カルボン酸成分が脂肪族不飽和ジカルボン酸化合物を含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真用トナー。
- 前記複合樹脂(B)が、ポリエステル樹脂セグメント(B1)の原料モノマーと、ビニル系樹脂セグメント(B2)の原料モノマーと、ポリエステル樹脂セグメント(B1)の原料モノマー及びビニル系樹脂セグメント(B2)の原料モノマーのいずれとも反応し得る両反応性モノマーとを重合させて得られる樹脂であり、該両反応性モノマーの量が、ビニル系樹脂セグメント(B2)の原料モノマー100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下である、請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真用トナー。
- 前記ワックスの含有量が、スチレンアクリル樹脂(A)と複合樹脂(B)との合計100質量部に対して、4質量部以上20質量部以下である、請求項1〜7のいずれかに記載の電子写真用トナー。
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