JP2015232184A - ハイパイル布帛及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】布帛の柔軟性を保持しつつ、風合いを損なわずにパイル繊維の毛抜けを防止したハイパイル布帛およびその製造方法を提供する。
【解決手段】アクリル繊維及びアクリル系繊維からなる群から選ばれる少なくとも一つの繊維を含み、地組織を構成する繊維よりも軟化点が低いパイル繊維を含むパイル布帛において、地組織の非立毛面に、ガラス転移点が−100℃から10℃の接着性樹脂が30〜300g/cm2付着しており、地組織を構成する地糸より外側の少なくとも一部のパイル繊維が接着性樹脂と共に圧着され、地組織の立毛面に立毛するパイル繊維は融着していないことを特徴とするハイパイル布帛を提供する。
【選択図】なし
【解決手段】アクリル繊維及びアクリル系繊維からなる群から選ばれる少なくとも一つの繊維を含み、地組織を構成する繊維よりも軟化点が低いパイル繊維を含むパイル布帛において、地組織の非立毛面に、ガラス転移点が−100℃から10℃の接着性樹脂が30〜300g/cm2付着しており、地組織を構成する地糸より外側の少なくとも一部のパイル繊維が接着性樹脂と共に圧着され、地組織の立毛面に立毛するパイル繊維は融着していないことを特徴とするハイパイル布帛を提供する。
【選択図】なし
Description
本発明は、立毛パイル布帛及びその製造方法に関し、特にハイパイル布帛及びその製造方法に関するものである。
従来から立毛パイル布帛は、イミテーションファー又はフェイクファー、ボア等の名称で毛皮に似せた外観の布帛として知られている。これらはパイル編物、パイル織物から作られる。編みパイルの場合は、主としてシールフライス機、スライバーニット機(丸編機)で編み立てられ、いずれもパイル繊維がカットされている。たて編機のダブルラッシェル機で編み立てる場合は、地組織をダブルで形成すると同時に地組織間に接結糸を絡ませて、接結糸の中間をカットすることにより編成される。製織法の場合は、ベルベット織機、モケット織機を使用して上下2枚の地組織とこの間に接結糸を絡ませ、上下の基布の間をナイフでカットすることにより、2枚の織物を同時に織り上げる(非特許文献1)。しかし、これらの織編物は共通して抜け毛が多いという問題がある。抜け毛が多いと、中着に付着したり、床に脱落したりして見映えが悪く、衛生的にも問題がある。
特に立毛パイル布帛のなかでもハイパイル布帛は、パイル繊維がメリヤスの地組織の地糸のループに沿って編み込まれており、地糸とパイル繊維との摩擦抵抗が小さいため、ほんの小さな力でパイル繊維の一端を引っ張るだけで容易にパイル繊維を構成する単繊維の脱落が起こりやすいという問題がある。
この改善策として、パイル繊維に低融点繊維を混合する提案(特許文献1)、地組織を構成する地糸に低融点繊維を混合する提案(特許文献2、3)等がある。しかし、これらの提案はいずれも布帛全体を上記低融点繊維の融点以上の温度にて加熱するため、地組織全体又はパイル繊維も融着してしまい、粗硬な風合いになってしまうという問題がある。
上記の問題点を解決する為に、特定の繊維を用いた立毛パイル布帛において、その特定部分のみを熱圧着することにより、立毛面の風合いを損なわずにパイル繊維の毛抜けを防止した立毛パイル布帛を供する提案(特許文献4)があるが、提案されたパイル布帛は、熱圧着された非立毛面が硬くなり、布帛にシワが生じ易くなるという点に改良の余地があった。衣料用途などでは、シワが生じた立毛パイル布帛は立毛面の見栄えが悪くなる為、その商品価値は著しく低下することがあった。
繊維学会編「第3版繊維便覧」、丸善、平成16年12月15日発行、341−342頁
本発明は、ハイパイル布帛の柔軟性を保持しつつ、風合いを損なわずにパイル繊維の毛抜けを防止したハイパイル布帛およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、ハイパイル布帛の非立毛面を特定の構成にすることで、前述の課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明の要旨は、以下のとおりである。
本発明の特徴の一つは、地組織と、前記地組織を構成する地糸に絡みかつ前記地組織の立毛面に立毛するパイル繊維を含み、前記パイル繊維はアクリル繊維及びアクリル系繊維からなる群から選ばれる少なくとも一つの繊維を含み、前記パイル繊維は前記地組織を構成する繊維よりも軟化点が低いハイパイル布帛において、前記地組織の非立毛面に、ガラス転移点が−100℃から10℃の接着性樹脂が30g/cm2から300g/cm2付着しており、前記地組織を構成する地糸に絡んだパイル繊維のうち、前記地組織を構成する地糸より外側の少なくとも一部のパイル繊維が前記接着性樹脂と共に圧着され、前記地組織の立毛面に立毛するパイル繊維は融着していないことを特徴とするハイパイル布帛である。
本発明の別の特徴の一つは、上記のハイパイル布帛を加工して得られるハイパイル製品である。
本発明の別の特徴の一つは、地組織と、前記地組織を構成する地糸に絡みかつ前記地組織の立毛面に立毛するパイル繊維を含み、前記パイル繊維はアクリル繊維及びアクリル系繊維からなる群から選ばれる少なくとも一つの繊維を含み、前記パイル繊維は前記地組織を構成する繊維よりも軟化点が低く、前記地組織の立毛面に立毛するパイル繊維は融着していないことを特徴とするハイパイル布帛の製造方法であって、前記地組織の非立毛面に、ガラス転移点が−100℃から10℃の接着性樹脂を30g/cm2から300g/cm2付着する工程と、前記地組織を構成する地糸に絡んだパイル繊維のうち、前記地組織を構成する地糸より外側の少なくとも一部のパイル繊維を前記接着性樹脂と共に圧着する工程、を有することを特徴とするハイパイル布帛の製造方法である。
本発明によれば、外観、風合いが良好で毛抜けが抑制され、かつ、非立毛面が柔らかく、シワが生じ難いハイパイル布帛及びそのハイパイル布帛を加工して得られるハイパイル製品を提供する事ができる。
本発明のハイパイル布帛は、メリヤスの地組織と、該地組織を構成する地糸に絡みつつ前記地組織の表面に立毛するパイル繊維と、を含むハイパイル布帛である。
本発明において使用する地組織は、メリヤスであり、伸縮性に優れる組織を構成することができる。メリヤスは、一般に、1本または2本以上の糸がループをつくり、そのループに引っかけて、次の新しいループをつくることを継続し、順次ループを平面状に連続して布地を形成したものである。そして、糸がループをつくりながら左右に往復して平面状の布地を形成するか、らせん状に進行して筒状の布地を形成するか等により横方向に進行していくものを横編みメリヤス、整然と配列した多数の各経(たて)糸がループをつくりながら、隣接する左右の経糸とループで連結されて布地を形成するものを経編みメリヤスという。また、横編みメリヤスには、平編み、ゴム編み、パール編みなどの編み方があり、経編みメリヤスには、デンビー編み、コード編み、アトラス編み、鎖編みなどの編み方がある。ハイパイル布帛の地組織を構成する編み方としては、商品性、生産性の観点から、横編みメリヤスが好ましい。
本発明では、パイル繊維のメリヤスに対する配置としては、地組織のメリヤスを構成する各ループの全てにパイル繊維が絡むように配置しても良いし、メリヤスを構成する各ループのうち、ウェール方向及び/又はコース方向においてパイル繊維の絡んでいない部分を有するように配置しても良い。
前記地糸を構成する繊維としては、後述するパイル繊維より軟化点が高ければ、特に限定はなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂からなる合成繊維、コットン等が挙げられる。
上記パイル繊維は、アクリル繊維及びアクリル系繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種の繊維(以下、アクリル(系)繊維と略記する場合がある。)を含む事が好ましい。これにより、風合いに優れたハイパイル布帛が得られる。一般的には、熱可塑性繊維をパイル繊維として用い、当該熱可塑性繊維の融点、軟化点以上の温度でポリッシング加工を行うと、ハイパイル布帛表面のパイル繊維は焦げたり、溶融したりしてしまい良好な外観、風合いを有するハイパイル布帛が得られない。また、熱可塑性繊維のガラス転移点以下の温度でポリッシング加工を行うと、ハイパイル布帛表面のパイル繊維の捲縮が伸びないため良好な外観、風合いを有するハイパイル布帛が得られない。
パイル繊維の捲縮は融点以下の温度でも伸びる。また、アクリル(系)繊維のガラス転移点は約100℃、軟化点は約150〜230℃である事から、パイル繊維にアクリル(系)繊維を用いる場合、ガラス転移点以上、軟化点以下の温度、例えば100〜150℃でポリッシング加工を行うことができる。さらに、アクリル(系)繊維の捲縮は、他素材の繊維と比較して伸びやすい傾向にあることから、良好な外観、風合いを有するハイパイル布帛が得られる。
また、パイル繊維は特に限定されるものではなく、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレタレート等のポリエステル樹脂からなる合成繊維やその他の合成繊維も用いる事ができる。
上記パイル繊維は、地組織を構成する地糸であって当該地糸を構成する繊維よりも軟化点が低ければよく特に限定されないが、地糸を構成する繊維と上記パイル繊維の軟化点の差は、好ましくは10℃以上であり、より好ましくは20℃以上、特に好ましくは30℃以上である。10℃以上の差があると、上記地組織の非立毛面で地糸より外側に配された少なくとも一部のパイル繊維のみを熱圧着させ、上記地組織の表面に立毛するパイル繊維を熱圧着させないことがより容易となる。
上記パイル繊維は全量所定の温度で軟化する繊維であっても良く、異なる温度で軟化する繊維の混合繊維であってもよい。そして、パイル繊維が異なる温度で軟化する繊維の混合繊維である場合は、相対的に低い温度で軟化する繊維を20重量%(wt%)以上混合し、相対的に低い温度で軟化する繊維を熱圧着させることが好ましく、さらに好ましくは50重量%以上混合されている事がこのましい。
また、地糸とパイル繊維の軟化点の温度差が、上記記載の範囲以内であれば、相対的に低い温度で難化するパイル繊維も、アクリル繊維及びアクリル系繊維に限定されるものではなく、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレタレート等のポリエステル樹脂からなる合成繊維やその他の合成繊維も用いる事ができる。
本発明において、軟化点とは、融解又は分解する前の軟化温度である。例えばアクリル繊維の軟化点は190〜232℃、アクリル系繊維の軟化点は150〜220℃である(「化学大辞典」、共立出版、727〜729頁、1993年6月1日発行。以下「文献値」という。)。
本発明において、アクリル繊維とは、アクリロニトリルを85重量%以上含む組成物を重合して得られる重合体を含んでなる繊維をいう。また、アクリル系繊維とは、アクリロニトリルを35重量%以上85重量%未満と、その他の共重合可能なモノマーを15重量%より多く65重量%以下含む組成物を重合して得られる重合体を含んでなる繊維をいう。
ここで、その他の共重合可能なモノマーとは、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、臭化ビニリデン等に代表されるハロゲン化ビニル及びハロゲン化ビニリデン、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、イソプレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等に代表されるスルホン酸含有モノマー並びにこれらの金属塩類及びアミン塩類、アクリル酸及びメタクリル酸並びにそれらの低級アルキルエステル、NまたはN,N−アルキル置換したアミノアルキルエステル及びグリシジルエステル、アクリルアミド及びメタクリルアミド並びにそれらのN又はN,N−アルキル置換体、アクリル酸、メタクリル酸及びイタコン酸等に代表されるカルボキシル基含有ビニル単量体及びそれらのナトリウム、カリウム又はアンモニウム塩等のアニオン性ビニル単量体、アクリル酸及びメタクリル酸の4級化アミノアルキルエステルをはじめとするカチオン性ビニル単量体、或いはビニル基含有低級アルキルエーテル、酢酸ビニルに代表されるビニル基含有低級カルボン酸エステル、スチレン等を挙げることができる。これらのモノマーを単独又は2種以上混合して用いることができる。
この中でも、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン及びスルホン酸含有モノマーの金属塩類からなる群から選ばれる一種以上のモノマーを用いることが好ましく、塩化ビニル、塩化ビニリデン及びスチレンスルホン酸ナトリウムからなる群から選ばれる一種以上のモノマーを用いることがより好ましい。
アクリル系繊維としては、モダアクリル繊維を用いることが好ましい。モダアクリル繊維とは、アクリロニトリルを35重量%以上85重量%未満含み、塩化ビニル及び塩化ビニリデンからなる群から選ばれる1種以上のモノマーと、その他の共重合可能なモノマーを合計で15重量%より多く65重量%以下含む組成物を重合して得られる重合体を含んでなる繊維をいう。
本発明における、地糸を構成する繊維とパイル繊維との種類の組み合わせは、上記の条件を満足すれば、特に限定はないが、以下にその具体例を示す。
地糸を構成する繊維として、例えばポリエチレンテレフタレート(PET、軟化点約258℃)繊維を用いる場合、パイル繊維としては、アクリル系繊維、又は、アクリル系繊維とアクリル繊維の混合繊維を用いることが好ましい。また、アクリル系繊維としては、好ましくは以下の繊維を用いることができる。
(1)塩化ビニル−アクリロニトリル系繊維(例えば、株式会社カネカ製、商品名「カネカロン」、軟化点150〜220℃、文献値)
(2)塩化ビニリデン−アクリロニトリル系繊維(軟化点150〜220℃、文献値)
地糸を構成する繊維として、例えばコットン(木綿)(軟化点なし)繊維を用いる場合、パイル繊維としては、アクリル繊維を用いることが好ましい。また、アクリル繊維としては、例えば、株式会社エクスラン製、商品名「エクスランK691」(軟化点190〜232℃、文献値)を例示できる。
(2)塩化ビニリデン−アクリロニトリル系繊維(軟化点150〜220℃、文献値)
地糸を構成する繊維として、例えばコットン(木綿)(軟化点なし)繊維を用いる場合、パイル繊維としては、アクリル繊維を用いることが好ましい。また、アクリル繊維としては、例えば、株式会社エクスラン製、商品名「エクスランK691」(軟化点190〜232℃、文献値)を例示できる。
本発明では、前記パイル繊維は、上記のように地糸を構成する繊維よりも軟化点が低く、地糸に絡んだパイル繊維のうち、地組織の非立毛面で地糸より外側の少なくとも一部のパイル繊維は熱圧着され、上記地組織の立毛面に立毛するパイル繊維は熱圧着していない。この手段としては、地糸より外側の少なくとも一部のパイル繊維を熱圧着できれば、特に限定されないが、地組織の非立毛面側、即ちハイパイル布帛の非立毛面側からパイル繊維の軟化点以上、かつ地糸を構成する繊維の軟化点未満の温度で熱圧処理することが好ましい。
本発明において、地組織の非立毛面で地糸より外側とは、ハイパイル布帛のパイル繊維が立毛している面を表面としたときの非立毛面側であって、地糸より外側のことである。また、地糸に絡むパイル繊維は、一部の繊維が地糸に食い込んでいる場合もあるが、残りの部分が地糸より外側に存在していれば、これを含む。
また本発明では、上記のように地糸より外側の少なくとも一部のパイル繊維は熱圧着されている。パイル繊維が熱圧着されている態様としては、例えば後述する熱圧処理した後、隣接するパイル繊維の1本1本がおのおの連結して塊を形成している態様や、パイル繊維のうちの地糸に対して最も外側近傍のパイル繊維の1本1本がおのおの連結するとともに、それより内側のパイル繊維を地糸との間に圧接して纏まって塊を形成している態様、パイル繊維のうちの軟化していない繊維が軟化した繊維を介して連結して纏まって塊を形成している態様などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。また、熱圧着されている態様の何れの場合も、圧着される結果、ある地糸より外側のパイル繊維の嵩高さは、圧着される前の状態に比して小さくなっているとともに、ハイパイル布帛の非立毛面は平滑な外観(パイル繊維の地組織非立毛面における毛羽立ちが顕著に低減された状態)を呈する。
また、本発明のハイパイル布帛においては、上記のように地糸より外側の少なくとも一部のパイル繊維が熱圧着されていればよいが、より優れた毛抜け防止効果を得る観点からは、地糸より外側の全てのパイル繊維が熱圧着されていることが好ましい。
本発明では、非立毛面のパイル繊維をガラス転移点の低い接着性樹脂と共に熱圧着させる事で、非立毛面が柔らかく、シワになり難い立毛パイル布帛を得る事ができる。
一般的な方法では、立毛パイル布帛を製造する際、接着性樹脂を立毛パイル布帛の非立毛面に付着させ、地糸と非立毛面に存在するパイル繊維を地糸に接着固定する事により毛抜けを防止する。その際、ガラス転移点の低い接着性樹脂を用いると非立毛面は柔らかくなる傾向にあるが、ガラス転移点の高い樹脂を用いた場合と比較して毛抜けの防止効果は小さくなる傾向にある。
本発明では、立毛パイル布帛の非立毛面に、ガラス転移点が低い接着性樹脂を付着させた後に熱圧処理を施す為、ガラス転移点が低い接着性樹脂を用いた場合でも、毛抜けの防止効果は小さくなる事はない。
熱可塑性繊維をパイル繊維に用いた立毛パイル布帛の非立毛面に、接着性樹脂を付着しないで熱可塑性繊維の融点または軟化点以上の温度で熱圧処理を施すと、非立毛面に存在する熱可塑性繊維が熱圧着され一枚のシート状になる。さらに、一般的な熱可塑性繊維のガラス転移点は常温以上(アクリル繊維及びアクリル系繊維のガラス転移は約100℃)である事から、シート状に形成されると常温では非常に硬く感じられる。
本発明では、上記の現象に対して、立毛パイル布帛の非立毛面に、ガラス転移点が常温より低い接着性樹脂を付着させた後に熱圧処理を施す。このことにより、非立毛面に存在するパイル繊維間にガラス転移点の低い接着性樹脂が入り込む事から、パイル繊維同士が直接圧着される確率が小さくなる。ガラス転移点の低い接着性樹脂は常温でも柔軟性を有する為、熱圧処理後も立毛パイル布帛の非立毛面は柔らかく感じられる。
しかし、ガラス転移点が常温より高い樹脂を接着性樹脂として使用した場合、ガラス転移点が常温より高い樹脂は常温で硬く感じられる為、熱圧処理後の立毛パイル布帛の非立毛面も硬く感じられる。
また、立毛パイル布帛の非立毛面が柔らかくなると、立毛パイル布帛にシワが生じ難くなり商品性が高くなる。
上記接着性樹脂としては、特に限定はないが、SBR系樹脂、NBR系樹脂、酢酸ビ二ル系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、及びポリウレタン系樹脂のラテックス、エマルジョン、ディスパージョン等を使用することができる。これらの接着性樹脂は一種類のみで使用しても良いし、数種類組み合わせても使用しても良い。接着性樹脂としては、好ましくはアクリル酸エステル系樹脂のラテックスを用いる事ができる。
接着性樹脂の含浸量は、立毛パイル布帛の非立毛面に存在するパイル繊維間に十分に接着性樹脂を含浸させる為に30〜300g/m2程度付着させれば良い。また、立毛パイル布帛の非立毛面に接着性樹脂を30〜300g/m2程度付着させれば、地糸にパイル繊維が固定され、熱圧処理するまでのブラシ工程やポリッシング工程等の製造工程で立毛パイル布帛の地組織が壊れにくくなる事から、良好な外観と良好な毛抜け性を有する立毛パイル布帛が得られ易くなる。接着性樹脂の付着量が30g/m2を下回ると非立毛面が硬くなり、耐シワ性も低下するので好ましくない。一方、接着性樹脂の付着量が300g/m2を上回っても硬さや耐シワ性において付着量に見合う効果が得られず、コスト的に好ましくない。
接着性樹脂の含浸量は、生産性、コストの面から40〜150 g/m2であることがさらに好ましい。
接着性樹脂の含浸量は、生産性、コストの面から40〜150 g/m2であることがさらに好ましい。
接着性樹脂のガラス転移点は、常温より低ければ良く、特に−100℃〜10℃であればより好ましい。また、生産性、コストの面から、−50℃〜0℃である事がさらに好ましい。
複数の接着性樹脂を使用する場合、接着性樹脂のガラス転移点は、それぞれのガラス転移点の重量平均値が上記の温度範囲であれば本発明に好適に用いる事ができる。
例えば、ガラス転移点−50℃の接着性樹脂Aを50wt%、ガラス転移点−110℃の接着性樹脂Bを25 wt%、ガラス転移点30℃の接着性樹脂Cを25wt%が混在する接着性樹脂の場合、接着性樹脂のガラス転移点は−45℃となる(接着性樹脂のガラス転移点=〔 接着性樹脂Aのガラス転移点×接着性樹脂Aの重量%/100〕+〔 接着性樹脂Bのガラス転移点×接着性樹脂Bの重量%/100〕+〔 接着性樹脂Cのガラス転移点×接着性樹脂Cの重量%/100〕)。
接着性樹脂のガラス転移点は、試料の温度をゆっくりと上昇または下降させながら力学的物性の変化を測定する熱機械分析装置(TMA)や、試料の温度をゆっくりと上昇または下降させながら吸熱や発熱を測定する示差走査熱量測定 (DSC)で測定する事ができるが、これらの測定方法に限定されない。
以下に、図面を用いて、本発明のハイパイル布帛を説明する。
図1は、本発明のハイパイル布帛の一実施形態における、地糸と地糸に絡むパイル繊維との位置関係を説明するための模式図である。図1に示すように、ハイパイル布帛5は、メリヤスのループ6を構成する地糸1と、地糸1のループ6に絡み地組織(ハイパイル布帛5)の立毛面7で開繊され立毛パイル3を形成しているパイル繊維2で構成される。また、地組織(ハイパイル布帛5)の非立毛面8において、地糸1の外側でパイル繊維2の少なくとも一部は熱圧着されて熱圧着部4を構成し、地糸1に熱圧着されている。尚、図1は、概ね、地糸1の下側にパイル繊維2を重ねるような位置関係を模式的に示しているが、本図において地糸1の外側とは、概ね地糸1の図1における下側の部分を意味する。
上述したように、本発明のハイパイル布帛は、パイル繊維の毛抜けが防止されつつ、ハイパイルとしての風合いや柔軟性が保持されていることから、服飾用、敷物用など各種用途の生地として好適に使用することができる。具体的には、イミテーションファー又はフェイクファー、カーシート、カーペットなどが例示できるが、これらに限定されるものではない。
本発明では、立毛パイル布帛の非立毛面から上記パイル繊維の軟化点以上、かつ地糸を構成する繊維の軟化点未満の温度で熱圧処理する。これにより、上記地糸に絡んだパイル繊維のうち、上記地糸より外側の少なくとも一部のパイル繊維が熱圧着される。上記接触加熱加圧は、例えば加熱ロール又はホットプレートにより行うことができる。加熱ロール又はホットプレートを用いる場合、短時間の接触加熱加圧処理を行うことができ、地組織の非立毛面において地糸より外側の少なくとも一部のパイル繊維のみを熱圧着することができる。そして、ハイパイル布帛の立毛面のパイル繊維が溶融するほどの加熱はしないため、地組織の立毛面に立毛するパイル繊維は溶融しない。
上記地組織の非立毛面側から熱圧処理する際及び/又は熱圧処理した後、ハイパイル布帛の立毛面に立毛するパイル繊維側は冷却することが好ましい。また、上記地組織の非立毛面側から接触加熱加圧した後、上記地組織の非立毛面側から冷却することが好ましい。上記冷却手段として、ハイパイル布帛の立毛面を水温30℃以下の水を通水させた冷却ロールで冷却することが好ましい。このような冷却をすると、寸法安定性が保持でき、かつパイル繊維への熱ダメージも軽減させることができる。
第1の例の製造方法の実施形態の一例を、図を用いてさらに詳細に説明する。
図2は、編み上がったハイパイル布帛の非立毛面側から所定温度で接触加熱加圧する工程を模式的に示した製造工程図である。この方法に使用する加工装置30は、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂をコーティングした加熱ロール31と、加熱ロール31に加圧し、内部に30℃の冷却水が通水する冷却ゴムロール32と、冷却ゴムロール32に加圧し、内部に30℃の冷却水が通水する金属冷却ロール33、34と、ガイドロール35を含む。ハイパイル布帛原反38は容器36から導き出され、非立毛面38bが加熱ロールに接触し、立毛面(立毛パイル側)38aが冷却ゴムロール32に接触するように供給する。加工の終了したハイパイル布帛39は、容器37に収納される。なお、接触加熱加圧処理は、図2に示した加工装置に限定されず、図2に示した加工装置の一部の構成を変更した装置、ホットプレート、及びその他の装置を用いて行ってもよい。接触加熱加圧処理において、加熱温度は例えばパイル繊維の軟化点以上かつ地糸を構成する繊維の軟化点未満であればよく、加圧力は線圧で0.01〜100Kgf/cm2(0.98KPa〜9.8MPa)、原反の供給速度は0.1〜20m/分、ヒーター接触時間は1〜60秒間であることが好ましい。また、パイル布帛の表面のダメージを軽減するという観点から、加圧力は線圧で2.0〜50 Kgf/cm2(0.20〜4.9MPa)、ヒーター接触時間は1〜10秒間であることがより好ましい。
本発明では、熱圧処理の際、立毛パイル布帛がウェール方向に収縮する事から、熱圧処理後、ウェール方向に延伸処理しても良い。
延伸処理の方法、条件としては、ハイパイル布帛のウェール方向の両側端部(布耳部)を把持して、ウェール方向長さの延伸率(=[(延伸後のウェール方向長さ)−(延伸前のウェール方向長さ)]/(延伸前のウェール方向長さ)×100)が5〜20%程度になるようにウェール方向に引張ることが好ましく、より好ましくは7〜15%程度、さらに好ましくは8〜12%程度である。
また、延伸処理の際に加熱する場合は、90〜150℃で処理するのが好ましく、100〜130℃がより好ましく、105℃〜120℃がさらに好ましい。
このような延伸処理は、例えばテンターなどの公知の装置を用いて行うことができる。このテンターは、一般的には、所定の温度で加熱しながら、布帛の両布耳部を保持して布帛を所定の幅に拡幅して熱セットするのに用いられるが、本発明では、上記のように、加熱してもしなくても良い。また、テンターでは、布帛の布耳部を保持する方式としてクリップ式とピン式があり、何れを採用しても良いが、工程の安定性及び/又は生産性の観点から、ピン式を採用するのが好ましい。
上記延伸処理を、ハイパイル布帛を加熱しながら行う場合は、ハイパイル布帛の表面にダメージを与えないよう、最小限の低温度、低風量で行うことが好ましい。
以下実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
<測定方法および評価基準>
(実験例1)毛抜け量測定
ハイパイル布帛の表面をゴム製の刷毛(商品名"プレスケールマット"5mm(粒の直径)、縦4cm、横10.5cm、富士フィルム社製)を使用し、600g荷重(14.3kg/cm2)の一定荷重をかけながら、ストローク幅20cm、毛並の順方向に10回、逆方向に10回こすり、粘着テープで抜け毛を回収し、その重量を1m2あたりに換算して毛抜け量とした。
(実験例1)毛抜け量測定
ハイパイル布帛の表面をゴム製の刷毛(商品名"プレスケールマット"5mm(粒の直径)、縦4cm、横10.5cm、富士フィルム社製)を使用し、600g荷重(14.3kg/cm2)の一定荷重をかけながら、ストローク幅20cm、毛並の順方向に10回、逆方向に10回こすり、粘着テープで抜け毛を回収し、その重量を1m2あたりに換算して毛抜け量とした。
(実験例2)毛抜け評価
毛抜け量に基いて、以下のように4段階のランクで毛抜け評価を行った。
A:0.3g/m2以下(非常に良好なレベル)
B:0.3g/m2を超え0.6g/m2以下(良好なレベル)
C:0.6g/m2を超え1.0g/m2以下(やや不良レベル)
D:1.0g/m2を超える(不良レベル)
毛抜け量に基いて、以下のように4段階のランクで毛抜け評価を行った。
A:0.3g/m2以下(非常に良好なレベル)
B:0.3g/m2を超え0.6g/m2以下(良好なレベル)
C:0.6g/m2を超え1.0g/m2以下(やや不良レベル)
D:1.0g/m2を超える(不良レベル)
(実験例3)ハイパイル布帛の非立毛面の硬さ測定
硬度測定器(Teclock社製、GS-754G、ASTM D 2240準拠)の本体に更に200gの重りを付加した測定器を用いて、ハイパイル布帛(150mm×150mm)の非立毛面5箇所を測定し、その算術平均値をハイパイル布帛の非立毛面の硬さの測定値とした。値が大きいほどハイパイルの非立毛面は硬くなる傾向にある。
硬度測定器(Teclock社製、GS-754G、ASTM D 2240準拠)の本体に更に200gの重りを付加した測定器を用いて、ハイパイル布帛(150mm×150mm)の非立毛面5箇所を測定し、その算術平均値をハイパイル布帛の非立毛面の硬さの測定値とした。値が大きいほどハイパイルの非立毛面は硬くなる傾向にある。
さらに、ハイパイル布帛の非立毛面の硬さと、ハイパイル布帛の非立毛面のシワになりやすさには相関があり、非立毛面が柔らかいほどシワになりにくい。
(実験例4)ハイパイル布帛非立毛面の耐シワ性(硬さ)評価 下記のように4段階のランクでハイパイル布帛の非立毛面の硬さを評価した。
A:ハイパイル布帛の非立毛面の硬さ測定値が25以下
一般的なハイパイル布帛の非立毛面の硬さと同程度でありシワが生じない。ドレープ性の必要な衣料用途などでも、問題なく使用可能である。
B:ハイパイル布帛の非立毛面の硬さ測定値が25を超え30以下
一般的なハイパイル布帛の非立毛面の硬さよりやや硬いがシワが生じ難い。ドレープ性の必要な衣料用途などでも問題なく使用可能。
C:ハイパイル布帛の非立毛面の硬さ測定値が30を超え40以下
一般的なハイパイル布帛の非立毛面の硬さより硬くシワが生じ易い。ドレープ性の必要な衣料用途などでは使用困難。
D:ハイパイル布帛の非立毛面の硬さ測定値が40を超える
一般的なハイパイル布帛の非立毛面の硬さより非常に硬くシワが生じる。ドレープ性の必要な衣料用途などでは使用不可能。
A:ハイパイル布帛の非立毛面の硬さ測定値が25以下
一般的なハイパイル布帛の非立毛面の硬さと同程度でありシワが生じない。ドレープ性の必要な衣料用途などでも、問題なく使用可能である。
B:ハイパイル布帛の非立毛面の硬さ測定値が25を超え30以下
一般的なハイパイル布帛の非立毛面の硬さよりやや硬いがシワが生じ難い。ドレープ性の必要な衣料用途などでも問題なく使用可能。
C:ハイパイル布帛の非立毛面の硬さ測定値が30を超え40以下
一般的なハイパイル布帛の非立毛面の硬さより硬くシワが生じ易い。ドレープ性の必要な衣料用途などでは使用困難。
D:ハイパイル布帛の非立毛面の硬さ測定値が40を超える
一般的なハイパイル布帛の非立毛面の硬さより非常に硬くシワが生じる。ドレープ性の必要な衣料用途などでは使用不可能。
(実験例5)外観と風合いの評価
下記のように4段階のランクでハイパイル布帛立毛面の外観と風合いを評価した。
A:地組織の表面に立毛するパイル繊維には融着はなく、熱処理をしないパイル布帛と同等レベル
B:ランクAに比べるとやや劣るが地組織の表面に立毛するパイル繊維には融着はなく、実用的には問題ないレベル
C:やや粗硬であり、実用的に問題あり(不合格)
D:極めて粗硬であり、実用化できない(不合格)
下記のように4段階のランクでハイパイル布帛立毛面の外観と風合いを評価した。
A:地組織の表面に立毛するパイル繊維には融着はなく、熱処理をしないパイル布帛と同等レベル
B:ランクAに比べるとやや劣るが地組織の表面に立毛するパイル繊維には融着はなく、実用的には問題ないレベル
C:やや粗硬であり、実用的に問題あり(不合格)
D:極めて粗硬であり、実用化できない(不合格)
(実験例6)接着性樹脂のガラス転移点の測定方法
液状の接着性樹脂を110℃で乾燥、固化させ、残った固形分 5mgをアルミニウム製 Crimping Cover 5φ(セイコーインスツル株式会社製)にセットし、セイコーインスツル株式会社製 DSC6100 を用いて、昇温速度 20℃/minの測定条件でDSC分析により求めた。
液状の接着性樹脂を110℃で乾燥、固化させ、残った固形分 5mgをアルミニウム製 Crimping Cover 5φ(セイコーインスツル株式会社製)にセットし、セイコーインスツル株式会社製 DSC6100 を用いて、昇温速度 20℃/minの測定条件でDSC分析により求めた。
<製造例で使用した繊維>
1.パイル繊維
(1)商品名"カネカロンRCL"(以下、RCLと記す。株式会社カネカ製):アクリル系繊維(塩化ビニル−アクリロニトリル系繊維)、軟化点180〜190℃、繊度3.3dtex
(2)商品名"カネカロンAH"(以下、AHと記す。株式会社カネカ製):アクリル系繊維(塩化ビニル−アクリロニトリル系繊維)、軟化点180〜190℃、繊度3.3dtex
2.地組織構成繊維(地糸)
(3)ポリエステル繊維糸
トータル繊度334dtexのマルチフィラメント(50本のポリエステル単繊維からなる繊度167dtexのフィラメントを2本引き揃えた繊維糸)を使用した。軟化点は258℃である。
1.パイル繊維
(1)商品名"カネカロンRCL"(以下、RCLと記す。株式会社カネカ製):アクリル系繊維(塩化ビニル−アクリロニトリル系繊維)、軟化点180〜190℃、繊度3.3dtex
(2)商品名"カネカロンAH"(以下、AHと記す。株式会社カネカ製):アクリル系繊維(塩化ビニル−アクリロニトリル系繊維)、軟化点180〜190℃、繊度3.3dtex
2.地組織構成繊維(地糸)
(3)ポリエステル繊維糸
トータル繊度334dtexのマルチフィラメント(50本のポリエステル単繊維からなる繊度167dtexのフィラメントを2本引き揃えた繊維糸)を使用した。軟化点は258℃である。
(実施例1)
フェイクファーを作製するためのスライバーニット機(丸編機)を使用して、地糸として上記のポリエステル繊維糸を使い、RCL100重量部からなるパイル繊維スライバー(10〜14g/m)を供給し、パイル布帛を編み立てた。地組織のウェールのループ数は16〜17個/インチ、コースのループ数は22〜33個/インチとし、その他は下記表1に示した条件とした。次に、パイル布帛の立毛面のパイル繊維をポリッシング及びシャーリングにより整えた。具体的には、先ずは120℃でポリッシングを2回とシャーリングを2回行った。
フェイクファーを作製するためのスライバーニット機(丸編機)を使用して、地糸として上記のポリエステル繊維糸を使い、RCL100重量部からなるパイル繊維スライバー(10〜14g/m)を供給し、パイル布帛を編み立てた。地組織のウェールのループ数は16〜17個/インチ、コースのループ数は22〜33個/インチとし、その他は下記表1に示した条件とした。次に、パイル布帛の立毛面のパイル繊維をポリッシング及びシャーリングにより整えた。具体的には、先ずは120℃でポリッシングを2回とシャーリングを2回行った。
上記パイル布帛の非立毛面にアクリル酸エステルを主成分とする "マーポゾールM1-K"、(松本油脂製薬株式会社製、乳化共重合ラテックス、Tg-14℃)を接着性樹脂として使用し、水でラテックス濃度が12wt%の水溶液(乳化物)になるよう希釈したものを樹脂固形分濃度で40g/m2含浸付着させた。その後、ピンテンター乾燥機を用いて、乾燥機内温度125℃、3分間で、巾を160cmに延伸しながら乾燥させ、巾を160cmに保持したまま80℃以下に冷却した後、パイル布帛立毛面のパイル繊維を3回ブラッシングした。
得られたハイパイル布帛(巾160cm)の非立毛面を図2に示した加熱延伸装置を用いて加熱ロールの温度を215℃、加熱ロールとハイパイル布帛の接触時間を3秒、加熱ロールと冷却ゴムロールのニップ圧を50Kgf/cm2(4.9MPa)の条件で接触加熱加圧処理を行なった。その際、ハイパイル布帛の生地幅は135cmに収縮した。その後、ピンテンター乾燥機を用いて、乾燥機内温度125℃、3分間で、巾を160cmに延伸しながら乾燥させ、巾を160cmに保持したまま80℃以下に冷却した。
得られたハイパイル布帛を、パイル布帛の立毛面のパイル繊維をポリッシング、ブラッシング及びシャーリングにより整えた。具体的には、先ずはブラシングを2回行ない、続いて155℃、150℃、145℃、130℃及び120℃でそれぞれ1回ずつポリッシングを行い、その後シャーリングを2回行い、最後に100℃でポリッシングを2回行った。最終的に、目付700g/m2、立毛部のパイル繊維の長さ20mmのハイパイル布帛を得た。
(実施例2)
接着性樹脂の付着量を樹脂固形分濃度で75 g/m2含浸付着させた以外は、実施例1に示す方法でハイパイル布帛を作製した。
接着性樹脂の付着量を樹脂固形分濃度で75 g/m2含浸付着させた以外は、実施例1に示す方法でハイパイル布帛を作製した。
(実施例3)
接着性樹脂の付着量を樹脂固形分濃度で165g/m2含浸付着させた以外は、実施例1に示す方法でハイパイル布帛を作製した。
接着性樹脂の付着量を樹脂固形分濃度で165g/m2含浸付着させた以外は、実施例1に示す方法でハイパイル布帛を作製した。
(実施例4)
接着性樹脂の付着量を樹脂固形分濃度で250g/m2含浸付着させた以外は、実施例1に示す方法でハイパイル布帛を作製した。
接着性樹脂の付着量を樹脂固形分濃度で250g/m2含浸付着させた以外は、実施例1に示す方法でハイパイル布帛を作製した。
(実施例5)
RCL100重量部からなるパイル繊維スライバー(10〜14g/m)を使用する代わりにAH100重量部からなるパイル繊維スライバー(10〜14g/m)を供給し、パイル布帛を編み立てた以外は、実施例2に示す方法でハイパイル布帛を作製した。
RCL100重量部からなるパイル繊維スライバー(10〜14g/m)を使用する代わりにAH100重量部からなるパイル繊維スライバー(10〜14g/m)を供給し、パイル布帛を編み立てた以外は、実施例2に示す方法でハイパイル布帛を作製した。
(実施例6)
RCL100重量部からなるパイル繊維スライバー(10〜14g/m)を使用する代わりにAH100重量部からなるパイル繊維スライバー(10〜14g/m)を供給し、パイル布帛を編み立てた以外は、実施例3に示す方法でハイパイル布帛を作製した。
RCL100重量部からなるパイル繊維スライバー(10〜14g/m)を使用する代わりにAH100重量部からなるパイル繊維スライバー(10〜14g/m)を供給し、パイル布帛を編み立てた以外は、実施例3に示す方法でハイパイル布帛を作製した。
(実施例7)
接着性樹脂として、マーポゾールM1-Kの代わりにアクリル酸エステルを主成分とする "マーポゾールF700"(松本油脂製薬株式会社製、乳化共重合ラテックス、Tg-43℃)を用いた以外は、実施例2に示す方法でハイパイル布帛を作製した。
接着性樹脂として、マーポゾールM1-Kの代わりにアクリル酸エステルを主成分とする "マーポゾールF700"(松本油脂製薬株式会社製、乳化共重合ラテックス、Tg-43℃)を用いた以外は、実施例2に示す方法でハイパイル布帛を作製した。
(実施例8)
接着性樹脂として、マーポゾールM1-Kの代わりに マーポゾールF700を用いた以外は、実施例3に示す方法でハイパイル布帛を作製した。
接着性樹脂として、マーポゾールM1-Kの代わりに マーポゾールF700を用いた以外は、実施例3に示す方法でハイパイル布帛を作製した。
(実施例9)
接着性樹脂として、マーポゾールM1-Kの代わりに マーポゾールF700を用いた以外は、実施例4に示す方法でハイパイル布帛を作製した。
接着性樹脂として、マーポゾールM1-Kの代わりに マーポゾールF700を用いた以外は、実施例4に示す方法でハイパイル布帛を作製した。
(実施例10)
RCL100重量部からなるパイル繊維スライバー(10〜14g/m)を使用する代わりにAH100重量部からなるパイル繊維スライバー(10〜14g/m)を供給し、パイル布帛を編み立てた以外は、実施例7に示す方法でハイパイル布帛を作製した。
RCL100重量部からなるパイル繊維スライバー(10〜14g/m)を使用する代わりにAH100重量部からなるパイル繊維スライバー(10〜14g/m)を供給し、パイル布帛を編み立てた以外は、実施例7に示す方法でハイパイル布帛を作製した。
(実施例11)
RCL100重量部からなるパイル繊維スライバー(10〜14g/m)を使用する代わりにAH100重量部からなるパイル繊維スライバー(10〜14g/m)を供給し、パイル布帛を編み立てた以外は、実施例8に示す方法でハイパイル布帛を作製した。
RCL100重量部からなるパイル繊維スライバー(10〜14g/m)を使用する代わりにAH100重量部からなるパイル繊維スライバー(10〜14g/m)を供給し、パイル布帛を編み立てた以外は、実施例8に示す方法でハイパイル布帛を作製した。
(実施例12)
接着性樹脂として、マーポゾールM1-Kの代わりに、 マーポゾールM1-Kを固形分濃度で80wt%とアクリル酸エステルを主成分とする "TEB-3K"(松本油脂製薬株式会社製、乳化共重合ラテックス、Tg14℃)を固形分濃度で20wt%の2種類を混合して用いた以外は、実施例2に示す方法でハイパイル布帛を作製した。
接着性樹脂として、マーポゾールM1-Kの代わりに、 マーポゾールM1-Kを固形分濃度で80wt%とアクリル酸エステルを主成分とする "TEB-3K"(松本油脂製薬株式会社製、乳化共重合ラテックス、Tg14℃)を固形分濃度で20wt%の2種類を混合して用いた以外は、実施例2に示す方法でハイパイル布帛を作製した。
(実施例13)
接着性樹脂として、マーポゾールM1-Kの代わりに、マーポゾールM1-Kを固形分濃度で80wt%とTEB-3Kを固形分濃度で20wt%の2種類を混合して用いた以外は、実施例3に示す方法でハイパイル布帛を作製した。
接着性樹脂として、マーポゾールM1-Kの代わりに、マーポゾールM1-Kを固形分濃度で80wt%とTEB-3Kを固形分濃度で20wt%の2種類を混合して用いた以外は、実施例3に示す方法でハイパイル布帛を作製した。
(実施例14)
接着性樹脂として、マーポゾールM1-Kの代わりに、マーポゾールM1-Kを固形分濃度で80wt%とTEB-3Kを固形分濃度で20wt%の2種類を混合して用いた以外は、実施例4に示す方法でハイパイル布帛を作製した。
接着性樹脂として、マーポゾールM1-Kの代わりに、マーポゾールM1-Kを固形分濃度で80wt%とTEB-3Kを固形分濃度で20wt%の2種類を混合して用いた以外は、実施例4に示す方法でハイパイル布帛を作製した。
(実施例15)
RCL100重量部からなるパイル繊維スライバー(10〜14g/m)を使用する代わりにAH100重量部からなるパイル繊維スライバー(10〜14g/m)を供給し、パイル布帛を編み立てた以外は、実施例12に示す方法でハイパイル布帛を作製した。
RCL100重量部からなるパイル繊維スライバー(10〜14g/m)を使用する代わりにAH100重量部からなるパイル繊維スライバー(10〜14g/m)を供給し、パイル布帛を編み立てた以外は、実施例12に示す方法でハイパイル布帛を作製した。
(実施例16)
RCL100重量部からなるパイル繊維スライバー(10〜14g/m)を使用する代わりにAH100重量部からなるパイル繊維スライバー(10〜14g/m)を供給し、パイル布帛を編み立てた以外は、実施例13に示す方法でハイパイル布帛を作製した。
RCL100重量部からなるパイル繊維スライバー(10〜14g/m)を使用する代わりにAH100重量部からなるパイル繊維スライバー(10〜14g/m)を供給し、パイル布帛を編み立てた以外は、実施例13に示す方法でハイパイル布帛を作製した。
(実施例17)
接着性樹脂として、マーポゾールM1-Kを固形分濃度で80wt%とTEB-3Kを固形分濃度で20wt%の2種類を混合して用いる代わりに、マーポゾールM1-Kを固形分濃度で50wt%とTEB-3Kを固形分濃度で50wt%の2種類を混合して用いた以外は、実施例15に示す方法でハイパイル布帛を作製した。
接着性樹脂として、マーポゾールM1-Kを固形分濃度で80wt%とTEB-3Kを固形分濃度で20wt%の2種類を混合して用いる代わりに、マーポゾールM1-Kを固形分濃度で50wt%とTEB-3Kを固形分濃度で50wt%の2種類を混合して用いた以外は、実施例15に示す方法でハイパイル布帛を作製した。
(比較例1)
接着性樹脂の付着量を樹脂固形分濃度で25g/m2含浸付着させた以外は、実施例1に示す方法でハイパイル布帛を作製した。
接着性樹脂の付着量を樹脂固形分濃度で25g/m2含浸付着させた以外は、実施例1に示す方法でハイパイル布帛を作製した。
(比較例2)
接着性樹脂の付着量を樹脂固形分濃度で25g/m2含浸付着させた以外は、実施例7に示す方法でハイパイル布帛を作製した。
接着性樹脂の付着量を樹脂固形分濃度で25g/m2含浸付着させた以外は、実施例7に示す方法でハイパイル布帛を作製した。
(比較例3)
接着性樹脂の付着量を樹脂固形分濃度で25g/m2含浸付着させた以外は、実施例12に示す方法でハイパイル布帛を作製した。
接着性樹脂の付着量を樹脂固形分濃度で25g/m2含浸付着させた以外は、実施例12に示す方法でハイパイル布帛を作製した。
(比較例4)
接着性樹脂として、マーポゾールM1-Kを用いる代わりにTEB-3Kを用いた以外は、比較例1に示す方法でハイパイル布帛を作製した。
接着性樹脂として、マーポゾールM1-Kを用いる代わりにTEB-3Kを用いた以外は、比較例1に示す方法でハイパイル布帛を作製した。
(比較例5)
接着性樹脂として、マーポゾールM1-Kを用いる代わりにTEB-3Kを用いた以外は、実施例2に示す方法でハイパイル布帛を作製した。
接着性樹脂として、マーポゾールM1-Kを用いる代わりにTEB-3Kを用いた以外は、実施例2に示す方法でハイパイル布帛を作製した。
(比較例6)
接着性樹脂として、マーポゾールM1-Kを用いる代わりにTEB-3Kを用いた以外は、実施例3に示す方法でハイパイル布帛を作製した。
接着性樹脂として、マーポゾールM1-Kを用いる代わりにTEB-3Kを用いた以外は、実施例3に示す方法でハイパイル布帛を作製した。
(比較例7)
接着性樹脂として、マーポゾールM1-Kを用いる代わりにTEB-3Kを用いた以外は、実施例4に示す方法でハイパイル布帛を作製した。
接着性樹脂として、マーポゾールM1-Kを用いる代わりにTEB-3Kを用いた以外は、実施例4に示す方法でハイパイル布帛を作製した。
(比較例8)
接着性樹脂として、マーポゾールM1-Kを用いる代わりにTEB-3Kを用いた以外は、実施例5に示す方法でハイパイル布帛を作製した。
接着性樹脂として、マーポゾールM1-Kを用いる代わりにTEB-3Kを用いた以外は、実施例5に示す方法でハイパイル布帛を作製した。
(比較例9)
接着性樹脂として、マーポゾールM1-Kを用いる代わりにTEB-3Kを用いた以外は、実施例6に示す方法でハイパイル布帛を作製した。
接着性樹脂として、マーポゾールM1-Kを用いる代わりにTEB-3Kを用いた以外は、実施例6に示す方法でハイパイル布帛を作製した。
<評価>
上記の実施例1〜17、比較例1〜9で得られたハイパイル布帛を上記の実験例1〜5の方法で、毛抜け量及び非立毛面の硬さを測定し、毛抜け、非立毛面の耐シワ性(硬さ)、を評価し、さらに、立毛面の外観と風合いを評価した。その結果を表1に示す。
上記の実施例1〜17、比較例1〜9で得られたハイパイル布帛を上記の実験例1〜5の方法で、毛抜け量及び非立毛面の硬さを測定し、毛抜け、非立毛面の耐シワ性(硬さ)、を評価し、さらに、立毛面の外観と風合いを評価した。その結果を表1に示す。
1 地糸
2 パイル繊維
3 立毛パイル
4 熱圧着部
5 ハイパイル布帛
6 ループ
7 立毛面
8 非立毛面
30 加工装置
31 加熱ロール
32 冷却ゴムロール
33、34 金属冷却ロール
35 ガイドロール
36、37 容器
38 原反
38a 立毛面
38b 非立毛面
39 ハイパイル布帛
2 パイル繊維
3 立毛パイル
4 熱圧着部
5 ハイパイル布帛
6 ループ
7 立毛面
8 非立毛面
30 加工装置
31 加熱ロール
32 冷却ゴムロール
33、34 金属冷却ロール
35 ガイドロール
36、37 容器
38 原反
38a 立毛面
38b 非立毛面
39 ハイパイル布帛
Claims (19)
- 地組織と、前記地組織を構成する地糸に絡みかつ前記地組織の立毛面に立毛するパイル繊維を含み、前記パイル繊維はアクリル繊維及びアクリル系繊維からなる群から選ばれる少なくとも一つの繊維を含み、前記パイル繊維は前記地組織を構成する繊維よりも軟化点が低いハイパイル布帛において、
前記地組織の非立毛面に、ガラス転移点が−100℃から10℃の接着性樹脂が30g/cm2から300g/cm2付着しており、前記地組織を構成する地糸に絡んだパイル繊維のうち、前記地組織を構成する地糸より外側の少なくとも一部のパイル繊維が前記接着性樹脂と共に圧着され、前記地組織の立毛面に立毛するパイル繊維は融着していないことを特徴とするハイパイル布帛。 - 前記接着性樹脂のガラス転移点が−50℃から0℃であることを特徴とする請求項1に記載のハイパイル布帛。
- 前記接着性樹脂の付着量が40 g/cm2から150g/cm2であることを特徴とする請求項1又は2に記載のハイパイル布帛。
- 前記接着性樹脂がSBR系樹脂、NBR系樹脂、酢酸ビ二ル系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、及びポリウレタン系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一つの樹脂のラテックス、エマルジョン、又はディスパージョンであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のハイパイル布帛。
- 前記接着性樹脂がアクリル酸エステル系樹脂のラテックスであることを特徴とする請求項4に記載のハイパイル布帛。
- 前記接着性樹脂が複数の接着性樹脂からなることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のハイパイル布帛。
- 前記接着性樹脂が1種類の接着性樹脂であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のハイパイル布帛。
- 前記パイル繊維がアクリロニトリルを35wt%以上含む組成物を重合して得られる重合体を紡糸して得られる繊維であることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載のハイパイル布帛。
- 前記地組織を構成する地糸がポリエステル樹脂を含んでなる樹脂組成物を紡糸して得られる合成繊維及び/又はセルロース系繊維であることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載のハイパイル布帛。
- 請求項1〜9に記載のハイパイル布帛を加工して得られるハイパイル製品。
- 地組織と、前記地組織を構成する地糸に絡みかつ前記地組織の立毛面に立毛するパイル繊維を含み、前記パイル繊維はアクリル繊維及びアクリル系繊維からなる群から選ばれる少なくとも一つの繊維を含み、前記パイル繊維は前記地組織を構成する繊維よりも軟化点が低く、前記地組織の立毛面に立毛するパイル繊維は融着していないことを特徴とするハイパイル布帛の製造方法であって、
前記地組織の非立毛面に、ガラス転移点が−100℃から10℃の接着性樹脂を30g/cm2から300g/cm2付着する工程と、
前記地組織を構成する地糸に絡んだパイル繊維のうち、前記地組織を構成する地糸より外側の少なくとも一部のパイル繊維を前記接着性樹脂と共に圧着する工程、
を有することを特徴とするハイパイル布帛の製造方法。 - 前記接着性樹脂としてガラス転移点が−50℃から0℃の接着性樹脂を用いることを特徴とする請求項11に記載のハイパイル布帛の製造方法。
- 前記接着性樹脂の付着量を40 g/cm2から150g/cm2とすることを特徴とする請求項11又は12に記載のハイパイル布帛の製造方法。
- 前記接着性樹脂としてSBR系樹脂、NBR系樹脂、酢酸ビ二ル系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、及びポリウレタン系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一つの樹脂のラテックス、エマルジョン、又はディスパージョンを用いることを特徴とする請求項11〜13の何れか1項に記載のハイパイル布帛の製造方法。
- 前記接着性樹脂としてがアクリル酸エステル系樹脂のラテックスを用いることを特徴とする請求項14に記載のハイパイル布帛の製造方法。
- 前記接着性樹脂として複数の接着性樹脂を使用することを特徴とする請求項11〜15の何れか1項に記載のハイパイル布帛の製造方法。
- 前記接着性樹脂として1種類の接着性樹脂を使用することを特徴とする請求項11〜16の何れか1項に記載のハイパイル布帛の製造方法。
- 前記パイル繊維としてアクリロニトリルを35wt%以上含む組成物を重合して得られる重合体を紡糸して得られる繊維を用いることを特徴とする請求項11〜17の何れか1項に記載のハイパイル布帛の製造方法。
- 前記地組織を構成する地糸としてポリエステル樹脂を含んでなる樹脂組成物を紡糸して得られる合成繊維及び/又はセルロース系繊維を用いることを特徴とする請求項11〜18の何れか1項に記載のハイパイル布帛の製造方法。
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