JP2016007750A - インクカートリッジおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】記録素子基板の破損を招くことなく、比較的短時間に且つ十分な強度で蓋部材が溶着されたインクカートリッジおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】蓋部材7を超音波溶着するインクタンク4において、向かい合う2つの側壁4a、4bを非対称にすることにより、超音波溶着時に側壁4aおよび4bが変形する位相を互いに異ならせ、強い応力が記録素子基板2に作用するのを抑制する。
【選択図】図7
【解決手段】蓋部材7を超音波溶着するインクタンク4において、向かい合う2つの側壁4a、4bを非対称にすることにより、超音波溶着時に側壁4aおよび4bが変形する位相を互いに異ならせ、強い応力が記録素子基板2に作用するのを抑制する。
【選択図】図7
Description
本発明は、インクカートリッジおよびその製造方法に関する。
インクを吐出する記録素子基板とこの記録素子基板にインクを供給するインクタンクが一体的に構成されたインクカートリッジは、中空のインクカートリッジ本体にインクを収容した後、開口部に蓋部材を接合することによって製造される。この際、開口部に対して上位から蓋部材を押圧しながらその押圧方向に蓋部材を振動させ、樹脂同士の接触面に発生する摩擦熱によって互いの樹脂を相溶化させ、さらに冷却することによって両者を結合させる、いわゆる振動溶着が採用されることがある。振動溶着の中でも、特に超音波溶着は、短時間、高精度、高い再現性、高い気密性、強い溶着力、という点で優れており有用されている。しかしながら、押圧方向と振動方向が一致するいわゆる縦振動を付与する構成では、振動溶着の最中にインクタンクの側壁に波動変形が生じ、蓋部材と対向する側に接着されている記録素子基板にクラックが発生してしまうおそれがある。
このため、例えば特許文献1には、図9に示すように、ブースター61の振動をホーン62を介して被工作物64へ伝達させることにより、押圧方向とは直交する方向(すなわち横方向)に対象物を超音波振動させて溶着する方法が開示されている。また、特許文献2には、図10に示すように、受け冶具13aにカートリッジ本体を設置し、上側冶具13bに蓋部材を設置した状態で、両者を押圧しながら同じ振幅で横振動させることにより、溶着ムラを回避する方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1の方法では、ブースター61からの距離(例えば65と66)に応じて、横振動にある程度の振幅差が生じてしまう。よって、大きな被工作物64に対し上記超音波溶着を施すと、振幅の異なる領域間で溶着強度にムラが生じ、十分な強度が得られない。特許文献1に開示される技術は、ヒータボードにオリフィスプレートを接着して記録素子基板を製造するように、溶着領域が10mm程度の超小型部品の組み立てる場合には有効な技術である。つまり、特許文献1の方法は、このようなオーダーの被工作物には有効であるが、本発明が課題とするような、インクカートリッジと蓋部材を溶着するような場合には、溶着強度が不十分になる懸念が生じる。
一方、特許文献2の方法は、冶具を用いた振動溶着であり、従来の縦振動の超音波溶着に比べて溶着時間やコストがかかり、十分な生産性が得られないという課題がある。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものである。よってその目的とするところは、記録素子基板の破損を招くことなく、比較的短時間に且つ十分な強度で蓋部材が溶着されたインクカートリッジおよびその製造方法を提供することである。
そのために本発明は、底面に記録素子基板が配備され、前記底面と反対側の面が開口した開口部であるインクタンクに対し、前記底面と前記開口部を接続する前記インクタンクの向かい合う2つの側壁に蓋部材を超音波溶着することによって、前記開口部を塞いで製造されるインクカートリッジであって、前記2つの側壁は、非対称であることを特徴とする。
本発明によれば、蓋部材の超音波溶着を行う際の記録素子基板の破損を抑制し、インクカートリッジ製造時の歩留まりを向上させることができる。
図1(a)および(b)は、本発明で採用可能なインクカートリッジ1の構成図である。図1(a)はインクカートリッジ1の外観斜視図であり、同図(b)はA−A´断面図である。インクカートリッジ1は、主に、中空のインクタンク4、インクタンク4に収容されインクを含有するインク吸収体3、インクを吐出する記録素子が配列された記録素子基板2、およびインクタンク4の上面開口部を覆うための蓋部材7から構成されている。インクタンク4は、インク成分の蒸発を抑えるように、ガラス繊維が含まれたバリア性の高い樹脂材料で形成されている。記録素子基板2には複数の記録素子がY方向に配列しており、個々の記録素子の吐出方向と蓋部材7がインクタンク4に押し当てられる方向は、Z方向でほぼ一致している。本実施形態では、インクタンク4の底面側から開口部側に向かう方向において接続する向かい合う2つの側壁4aおよび4bの厚みが、互いに異なる。具体的には、図の左側の側壁4aは2.3mmの厚みを有し、右側の側壁4bは1.8mmの厚みを有している。このような特徴の作用効果については後に詳しく説明する。
図2は、記録素子基板2の拡大構成図である。記録素子基板2は、ヒータが配置されたシリコン基板21に、吐出口が形成されたオリフィスプレート23が接着されることによって構成される。シリコン基板21には、Y方向に延在するインク供給口21Aが溝状に形成されており、その両側に、複数のヒータ22が所定のピッチでY方向に配列している。インクタンク4から供給されたインクは、インク供給口21Aを介して個々のヒータに導かれる。オリフィスプレート23には、個々のヒータに対応する位置に吐出口23Aが形成されている。シリコン基板21のY方向の両側には、個々のヒータを印加する記録信号を受信するための電極部24が配備されている。このような構成のもと、記録信号に従ってヒータに電圧パルスが印加されると、ヒータの発熱に伴いインク中に膜沸騰が生じ、その発泡エネルギによって吐出口23Aからインクが滴として吐出される。
図3は、インクタンク4にインク吸収体3を挿入する様子を示す図である。インク吸収体3は、Z方向に延びる繊維質を有する複数の吸収層をX方向に積層して構成され、圧縮された状態でインクタンク4の開口部からZ方向に挿入される。インク吸収体3の挿入後、インク吸収体3には所定量のインクが充填され、その後、蓋部材7の超音波溶着が行われることにより、インクタンク4は閉塞される。
図4は、蓋部材7の構成図である。蓋部材7はインクタンク4の開口部と略同一の寸法を有し、その外周部には開口部と接合するためのZ方向に突出した溶着リブ9が配備されている。本実施形態において、溶着リブ9は0.8mmの幅、Z方向には0.7mmの長さを有するものとする。中央部には蓋部材7を溶着した後のインクタンク4の内部を大気と連通するための大気連通口8が設けられ、その周辺にはインク吸収体3をZ方向に押えるための圧接リブ12が配備されている。
図5(a)〜(d)は、インクカートリッジ1の製造工程を説明するための断面図である。図5(a)は、インクタンク4にインク吸収体3を挿入し、インクを充填した状態を示している。図5(b)は、図5(a)の後、記録素子基板2と反対側の位置にある開口部に蓋部材7を搭載した状態を示している。蓋部材7の溶着リブ9は、インクタンク4の周囲上端11に接触するように位置合わせされる。
上記位置合わせが完了すると、図5(c)に示すように、蓋部材7の上面に超音波ホーン10が移動され、蓋部材7はインクタンク4に向けてZ方向に押圧される。本実施形態では、溶着リブ9と周囲上端11との間に200N程度の圧力がかかる程度に超音波ホーンが押圧するようになっている。
200N程度の圧力が周囲上端11にほぼ均等にかけられていることが確認されると、その圧力を維持した状態で超音波ホーンは20HHz程度の周波数で縦振動する(図5(d))。この縦振動により、溶着リブ9と周囲上端11の接触面には摩擦熱が生じ、溶着リブ9と周囲上端11のガラス材を含んだ樹脂成分は相溶化する。両者が十分に相溶化した後、上記縦振動を停止し冷却すると、溶着リブ9と周囲上端11は固定され、蓋部材7とインクタンク4とが結合されたインクカートリッジが完成する。
図6(a)〜(c)は、図5(d)のような縦振動を行っている最中に発生する、インクタンク4壁面の変形状態を示した図である。また、図7(a)〜(c)は、同じ条件で縦振動を発生させた場合の、従来のインクタンク、すなわち向かい合う2つの側壁の厚みが等しいインクタンクを用いた場合の壁面の変形を示した図である。
縦振動を壁面端部に付与すると、壁面はこれに応じて波打つように変形(横振動)する。この際、等しい振幅および周波数の縦振動を同等の材質で同等の形状(厚み)の側壁つまり対称な側壁に付加すると、これら側壁は図7(a)および(b)のように、同等の位相で変形し、インクタンク4の底面へと伝わる。その結果、接着剤6を介して底面に配備された記録素子基板2には、図7(c)のように両側から引っ張られたり両側から押し込められたりするような応力が繰り返し作用する。結果、数ミクロン単位で形成された構造物内にクラックが発生しやすくなり、記録素子基板が破損する可能性が高くなる。
一方、本実施形態のように向かい合う2つの側壁の厚みが異なる場合、等しい振幅および周波数の縦振動を付加しても、これら側壁は図6(a)および(b)のように、異なる位相で変形する。そのため、両側から引っ張られたり両側から押し込められたりするような応力が記録素子基板に繰り返し作用しづらくなる(図6(c))。結果、図7(c)に比べてクラックが発生するリスクを低く抑えることが可能となる。すなわち、本実施形態によれば、インクタンク4の向かい合う2つの側壁4aおよび4bの厚みを異ならせることにより、蓋部材の超音波溶着を行う際の記録素子基板の破損を抑制し、インクカートリッジ製造時の歩留まりを向上させることができる。
なお、上記では、インクタンク4の向かい合う2つの側壁4aおよび4bの厚みを異ならせる形態を例に説明したが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。本発明の効果は、向かい合う2つの側壁4aおよび4bが非対称な関係にあれば、得ることができる。
図8は、本発明に採用可能なインクタンクの別形状を示す図である。インクタンク5のX方向に向かい合う2つの側壁5aおよび5bのうち、側壁5aの厚みが2段階に変化している。このような形態であっても、同じ縦振動を側壁5aおよび5bに付加した場合、これら2つの側壁は異なる位相で変形する。つまり、記録素子基板2に対し、両側から引っ張られたり両側から押し込められたりするような応力が繰り返し作用することは無い。結果、クラックが発生するリスクを低く抑えることができ、インクカートリッジ製造時の歩留まりを向上させることが可能となる。
1 インクカートリッジ
2 記録素子基板
4 インクタンク
4a、4b 側壁
7 蓋部材
2 記録素子基板
4 インクタンク
4a、4b 側壁
7 蓋部材
Claims (5)
- 底面に記録素子基板が配備され、前記底面と反対側の面が開口した開口部であるインクタンクに対し、前記底面と前記開口部を接続する前記インクタンクの向かい合う2つの側壁に蓋部材を超音波溶着することによって、前記開口部を塞いで製造されるインクカートリッジであって、
前記2つの側壁は、非対称であることを特徴とするインクカートリッジ。 - 前記超音波溶着は、前記蓋部材を前記2つの側壁に押圧した状態で、該押圧の方向に超音波の縦振動を付与することによってなされる請求項1に記載のインクカートリッジ。
- 前記2つの側壁は、厚みが異なる請求項1または2に記載のインクカートリッジ。
- 前記2つの側壁のうちの一方は、前記底面側から前記開口部側に向かう方向において、厚みが変化している請求項1または2に記載のインクカートリッジ。
- インクカートリッジの製造方法であって、
底面に記録素子基板が配備され、前記底面と反対側の面が開口した開口部であるインクタンクに対し、前記底面と前記開口部を接続する複数の側壁に蓋部材を所定の圧力で押し当て、前記開口部を塞ぐ工程と、
前記所定の圧力を維持した状態で、前記蓋部材に前記底面に向かう方向に所定の周波数で縦振動を付与することにより、前記蓋部材と前記開口部の接触面に摩擦熱を発生させて前記インクタンクに前記蓋部材を溶着する工程と、
を有し、
前記複数の側壁のうち、向かい合う2つの側壁は非対称であることを特徴とするインクカートリッジの製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2014129200A JP2016007750A (ja) | 2014-06-24 | 2014-06-24 | インクカートリッジおよびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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| JP2014129200A JP2016007750A (ja) | 2014-06-24 | 2014-06-24 | インクカートリッジおよびその製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2016007750A true JP2016007750A (ja) | 2016-01-18 |
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ID=55225680
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| JP2014129200A Pending JP2016007750A (ja) | 2014-06-24 | 2014-06-24 | インクカートリッジおよびその製造方法 |
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| JP (1) | JP2016007750A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2018096374A (ja) * | 2016-12-08 | 2018-06-21 | 船井電機株式会社 | 流体分注装置 |
-
2014
- 2014-06-24 JP JP2014129200A patent/JP2016007750A/ja active Pending
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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| JP2018096374A (ja) * | 2016-12-08 | 2018-06-21 | 船井電機株式会社 | 流体分注装置 |
| JP7027854B2 (ja) | 2016-12-08 | 2022-03-02 | 船井電機株式会社 | 流体分注装置 |
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