JP2016007784A - 自己流動性水硬性組成物の製造方法 - Google Patents

自己流動性水硬性組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 高い流動性による優れた作業性、表面平滑性(平坦性)、表面水平性及び速硬性等を有し、特に、表面平滑性(平坦性)に優れた自己流動性水硬性組成物の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 増粘剤及び変性シリコーンオイルを含む混和剤と、増量材と、を混合して中間組成物を製造する第一製造工程と、ポルトランドセメント、アルミナセメント、石膏、無機粉末及び細骨材からなる基材と、中間組成物と、消泡剤と、を混合して自己流動性水硬性組成物を製造する第二製造工程と、を有し、中間生成物は混和剤として消泡剤を含まない、自己流動性水硬性組成物の製造方法を提供する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、コンクリート床構造体等の構造物の施工に用いられる自己流動性水硬性組成物の製造方法に関する。
自己流動性水硬性組成物と水とを混練して得られる自己流動性モルタルには、高い流動性による優れた作業性、表面平滑性(平坦性)、表面水平性及び速硬性等が要求される。
自己流動性水硬性組成物は、大別すると石膏系とセメント系がある。速硬性を有し、製造が簡単で安価に提供できるセメント組成物として、特許文献1には、ポルトランドセメントをベースに、スラグ微粉末、アルミナセメント及び無水石膏を所定量含有し、さらに凝結調節材を所定量添加した速硬性セメント組成物が開示されている。
また、流動性に優れた自己流動性(セルフレベリング性)の組成物として、特許文献2には、アルミナセメント、ポルトランドセメント及び石膏からなる水硬性成分と、高炉スラグと、減水剤及び/又は増粘剤とを含み、高炉スラグは所定の範囲の平均粒子径のものを用いる自己流動性水硬性組成物が開示されている。
特公平2−15507号公報 特開2008−30985号公報
近年、自己流動性水硬性組成物で得られる水平で平滑な床面のさらなる高性能化が求められていることから、本発明は、高い流動性による優れた作業性、表面平滑性(平坦性)、表面水平性及び速硬性等を有し、特に、表面平滑性(平坦性)に優れた自己流動性水硬性組成物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、自己流動性水硬性組成物の表面状態について詳細に検討した結果、第一製造工程にて混和剤と増量材とを混合して消泡剤を含まない中間組成物を製造し、第二工程にて基材と中間組成物と消泡剤とを混合することにより目的とする優れた特性を有する自己流動性水硬性組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、流動化剤、増粘剤及び変性シリコーンオイルを含む混和剤と、増量材と、を混合して中間組成物を製造する第一製造工程と、ポルトランドセメント、アルミナセメント、石膏、無機粉末及び細骨材からなる基材と、中間組成物と、消泡剤と、を混合して自己流動性水硬性組成物を製造する第二製造工程と、を有し、中間生成物は混和剤として消泡剤を含まず、増量材がポルトランドセメント、アルミナセメント、石膏、高炉スラグ微粉末、石灰石微粉末及び細骨材から選ばれる1種以上であり、自己流動性水硬性組成物中の水硬性成分が、ポルトランドセメント5〜55質量%、アルミナセメント10〜60質量%及び石膏10〜60質量%からなり、無機粉末が、高炉スラグ微粉末及び石灰石微粉末から選ばれる1種以上である、自己流動性水硬性組成物の製造方法を提供する。
本発明の自己流動性水硬性組成物の製造方法によれば、得られる水硬性組成物は高い流動性による優れた作業性、表面平滑性(平坦性)、表面水平性及び速硬性等を有し、特に、優れた表面平滑性(平坦性)を得ることができる。
本発明の自己流動性水硬性組成物の製造方法の好ましい態様[(1)〜(4)]を以下に示す。本発明では、これらの態様を適宜組み合わせることが好ましい。
(1)混和剤100質量部に対して、増量材100〜500質量部であることが好ましい。これにより、各材料がより均質に混合され、均質性の優れた中間組成物を得ることができる。また、自己流動性水硬性組成物の表面平滑性(平坦性)がより向上する。
(2)細骨材が、粗粒率0.60〜1.40の範囲であり、吸水率1.6%以下であることが好ましい。これにより、自己流動性水硬性組成物の自己流動性をより一層向上することができる。
(3)水硬性成分100質量部に対して、無機粉末10〜200質量部であり、細骨材70〜300質量部であることが好ましい。これにより、より優れた流動性や硬化特性を得ることができる。
(4)水硬性成分100質量部に対して、消泡剤0.005〜3.5質量部であることが好ましい。これにより、より優れた表面平滑性(平坦性)を得ることができる。
本発明によれば、高い流動性による優れた作業性、表面平滑性(平坦性)、表面水平性及び速硬性等を有し、特に、優れた表面平滑性(平坦性)が得られる自己流動性水硬性組成物の製造方法を提供することができる。
セルフレベリング性評価に用いるSL測定器の斜視図である。 (a)SL測定器にスラリーを充填させた状態と、(b)堰板を引き上げスラリーが流動した状態を示す断面図である。
本発明の自己流動性水硬性組成物の製造方法の好適な実施形態について以下に説明する。
<製造方法>
本実施形態の自己流動性水硬性組成物の製造方法は、消泡剤を含まない中間組成物を製造する第一製造工程と、当該中間組成物と消泡剤を含む自己流動性水硬性組成物を製造する第二製造工程と、を有する製造方法である。以下、本実施形態の自己流動性水硬性組成物の製造方法における各工程を詳細に説明する。
第一製造工程では、材料として、流動化剤、増粘剤及び変性シリコーンオイルを含む混和剤と、増量材と、を混合して消泡剤を含まない中間生成物を製造する。
材料の混合には、アイリッヒミキサー、ナウターミキサー、リボンミキサー、揺動ミキサー等材料を混合することが可能な混合機を使用することができる。
混合機への材料の投入順序は特に限定されるものではなく、一度に全ての材料を混合機に投入してから混合する方法や、混合しながら順番に混合機に材料を投入する方法や、一つの材料を混合機に投入する毎に混合・停止を繰り返す方法でもかまわないが、配合量の多い粉体材料から投入する方が短時間で均質に混ざり易いので好ましい。また、液体材料が含まれる場合は、粉体材料を投入した後に添加することが好ましい。特に、全ての粉体材料を予め混合機で混合した後に液体材料を添加して混合すると、液体材料が均質に混ざり易いので好ましい。液体材料の添加方法としては、特に決まりはないが、噴霧器等を用いて小さい液滴状にして添加する方法がより均質に混ざり易いので好ましい。
得られた中間組成物は、第二製造工程にて材料として一度に全量使用しても、所定量計量して小分けして使用してもよい。
中間組成物は、材料として、流動化剤、増粘剤及び変性シリコーンオイルを含む混和剤と、増量材と、を含み、消泡剤を含まない。
流動化剤は、特に種類を限定されるものではなく、減水効果を合わせ持つ、メラミンスルホン酸のホルムアルデヒド縮合物、カゼイン、カゼインカルシウム、ポリカルボン酸系、ポリエーテル系及びポリエーテルポリカルボン酸系等の市販の流動化剤が、その種類を問わず使用でき、特にポリエーテル系及びポリエーテルポリカルボン酸系等の市販の流動化剤を用いることが少ない添加量で高い減水効果を発揮するので好ましい。
流動化剤は、使用する水硬性成分に応じて、特性を損なわない範囲で適宜添加することができ、水硬性成分100質量部に対して、
好ましくは0.01〜2.0質量部、
より好ましくは0.02〜1.0質量部、
さらに好ましくは0.05〜0.50質量部、
特に好ましくは0.08〜0.30質量部である。
流動化剤の添加量が少なすぎると好適な効果(優れた流動性と高い硬化体強度)を発現せず、また添加量が多すぎても添加量に見合った効果は期待できず、単に不経済であるだけでなく、場合によっては粘稠性も大きくなり所要の流動性を得るための混練水量が増大して強度性状が悪化する場合がある。
増粘剤は、特に種類を限定されるものではなく、セルロース系、スターチエーテルやグアーガム等の化工澱粉系、蛋白質系、ラテックス系、及び水溶性ポリマー系などの増粘剤を単独又は併用して用いることができる。入手や取扱いの容易性や表面平滑性の観点からセルロース系の増粘剤がより好ましい。
増粘剤は、B型粘度計で測定される20℃における1質量%水溶液の粘度が、
好ましくは2500〜50000mPa・sであり、
より好ましくは、5000〜40000mPa・sであり、
さらに好ましくは、7500〜35000mPa・sであり、
特に好ましくは、10000〜30000mPa・sである。
また、増粘剤は、B型粘度計で測定される20℃における2質量%水溶液の粘度が、
好ましくは5000〜60000mPa・sであり、
より好ましくは、10000〜50000mPa・sであり、
さらに好ましくは、15000〜45000mPa・sであり、
特に好ましくは、20000〜40000mPa・sである。
これにより、高い流動性による優れた作業性を有しつつ表面平滑性(平坦性)や表面水平性を得ることができる。特に、高い流動性を有しつつ、材料分離や表面の水浮きによる表面粉化や表面凹凸が発生しない、優れた表面特性を得ることができる。
増粘剤の粘度は、当該増粘剤を1質量%含む水溶液(20℃)をB型粘度計を用いて測定することにより得ることができる。
増粘剤は、水硬性成分100質量部に対して、
好ましくは0.01〜1.00質量部であり、
より好ましくは0.05〜0.75質量部であり、
さらに好ましくは0.08〜0.50質量部であり、
特に好ましくは0.10〜0.20質量部である。
これにより、高い流動性による優れた作業性を有しつつ表面平滑性(平坦性)や表面水平性を得ることができる。特に、高い流動性を有しつつ、材料分離や表面の水浮きによる表面粉化や表面凹凸が発生しない、優れた表面特性を得ることができる。
変性シリコーンオイルは、特に種類を限定されるものではないが、ストレートシリコーンオイルの側鎖の一部を有機基で変性させたものが好ましい。有機基としては、モノアミン基、ジアミン基、アミノ基、エポキシ基、カルビノール基、メルカプト基、カルボキシル基、ハイドロジェン基等の反応性を有するものが好ましい。中でも、ハイドロジェン基で側鎖の一部を変性させた変性シリコーンオイルがより好ましい。これにより、貯蔵中の水硬性成分の水和活性の低下を抑制することができ、中でもアルミナセメントに対して優れた効果を示す。
変性シリコーンオイルは、水硬性成分100質量に対して、
好ましくは0.0005〜0.10質量部であり、
より好ましくは0.001〜0.07質量部であり、
さらに好ましくは0.005〜0.06質量部であり、
特に好ましくは0.01〜0.05質量部である。
変性シリコーンオイルが、上述の範囲にあることにより、貯蔵中の水硬性成分の水和活性の低下を抑制することができ、中でもアルミナセメントに対して優れた効果を示す。
増量材は、ポルトランドセメント、アルミナセメント、石膏、高炉スラグ微粉末、石灰石微粉末及び細骨材から選ばれる1種以上であり、混合した際に中間組成物中の各材料(混和剤)を均質に分散させるために用いられる混合助材である。したがって、品質の安定性の観点から増量材は、ポルトランドセメント、アルミナセメント、石膏、高炉スラグ微粉末、石灰石微粉末及び細骨材からなる群より、第二製造工程で用いられる基材と同様な材料を選択して用いることが好ましい。さらに、混和剤の均質性の観点から増量材は混和剤(中間組成物に含まれる全混和剤の総計)よりも多く配合することが好ましい。
増量材は、混和剤100質量部に対して、好ましくは100〜500質量部であり、より好ましくは150〜400質量部であり、更に好ましくは、180〜350質量部であり、特に好ましくは200〜300質量部である。
ポルトランドセメント、アルミナセメント、石膏、高炉スラグ微粉末、石灰石微粉末及び細骨材の詳細な説明については、後述する。
本実施形態の自己流動性水硬性組成物の製造方法における中間組成物には、上記の必須成分に加えて、本発明の特性を損なわない範囲で、凝結調整剤等を適宜添加することができる。
凝結調整剤としては、水硬性成分の水和反応を促進する凝結促進剤と水硬性成分の水和反応を遅延する凝結遅延剤があり、使用する水硬性成分の配合に応じてこれらの成分や添加量を適宜選択することができる。
凝結遅延剤としては、公知のものを用いることができる。一例として、オキシカルボン酸類等の有機酸や、グルコース、マルトース、デキストリン等の糖類、重炭酸ナトリウムやリン酸ナトリウム等を、それぞれの成分を単独で又は2種以上の成分を併用して用いることができる。
オキシカルボン酸類は、オキシカルボン酸及びこれらの塩を含む。オキシカルボン酸としては、例えば、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、グリコール酸、乳酸、ヒドロアクリル酸、α−オキシ酪酸、グリセリン酸、タルトロン酸、リンゴ酸等の脂肪族オキシ酸、サリチル酸、m−オキシ安息香酸、p−オキシ安息香酸、没食子酸、マンデル酸及びトロパ酸等の芳香族オキシ酸を挙げることができる。
オキシカルボン酸の塩としては、例えば、アルカリ金属塩(具体的にはナトリウム塩及びカリウム塩等)及びアルカリ土類金属塩(具体的にはカルシウム塩、バリウム塩及びマグネシウム塩等)を挙げることができ、ナトリウム塩がより好ましい。また、特に、酒石酸ナトリウムが、凝結遅延効果、入手容易性及び価格の面から好ましく、重炭酸ナトリウムと併用することが更に好ましい。
凝結遅延剤は、水硬性成分100質量部に対して、
好ましくは0.01〜2.0質量部、
より好ましくは0.05〜1.5質量部、
さらに好ましくは0.08〜1.2質量部、
特に好ましくは0.10〜1.0質量部の範囲で用いることにより、好適な流動性が得られる可使時間(ハンドリングタイム)を確保できる。
凝結促進剤としては、公知の凝結を促進する成分を用いることができる。例えば、凝結促進効果を有するリチウム塩、硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム及び塩化カルシウムを好適に用いることができ、これらを数種組み合わせて使用することができる。
リチウム塩の一例として、炭酸リチウム、塩化リチウム、硫酸リチウム、硝酸リチウム及び水酸化リチウム等の無機リチウム塩や、シュウ酸リチウム、酢酸リチウム、酒石酸リチウム、リンゴ酸リチウム及びクエン酸リチウム等の有機酸有機リチウム塩を挙げることができる。特に炭酸リチウムは、凝結促進効果、入手容易性及び価格の面から好ましい。
凝結促進剤は、水硬性成分100質量部に対して、
好ましくは0.01〜1.0質量部、
より好ましくは0.01〜0.5質量部、
さらに好ましくは0.02〜0.4質量部、
特に好ましくは0.03〜0.3質量部の範囲で用いることによって、自己流動性水硬性組成物の可使時間を確保したのち好適な速硬性が得られることから好ましい。
第二製造工程では、材料として、ポルトランドセメント、アルミナセメント、石膏、無機粉末及び細骨材からなる基材と、中間組成物と、消泡剤と、を混合して自己流動性水硬性組成物を製造する。
材料の混合には、アイリッヒミキサー、ナウターミキサー、リボンミキサー、揺動ミキサー等材料を混合することが可能な混合機を使用することができる。
混合機への材料の投入順序は特に限定されるものではなく、一度に全ての材料を混合機に投入してから所定の時間混合する方法や、混合しながら順番に混合機に材料を投入する方法や、一つの材料を混合機に投入する毎に混合・停止を繰り返す方法でもかまわないが、最大粒子径が大きく、配合量の多い粉体材料から投入する方が短時間で均質に混ざり易いので好ましい。また、液体材料が含まれる場合は、粉体材料を投入した後に添加することが好ましい。特に、最大粒子径が大きく、配合量の多い粉体材料を投入した後に液体材料を添加すると、液体材料が均質に混ざり易いので好ましい。液体材料の添加方法としては、特に決まりはないが、噴霧器等を用いて小さい液滴状にして添加する方法がより均質に混ざり易いので好ましい。
ポルトランドセメントとしては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント及び耐硫酸塩ポルトランドセメントから選択して用いることができる。また、高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカセメント等の混合セメントをその代替として使用することもできる。速硬性の観点から、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント又は超早強ポルトランドセメントの使用が好ましい。
アルミナセメントとしては、鉱物組成の異なるものが数種知られ市販されているが、それらの主成分はモノカルシウムアルミネート(CA)であり、市販品はその種類によらず使用することができる。なかでも、4000〜6000cm/gのブレーン比表面積を有するアルミナセメントを用いることが好ましい。アルミナセメントのブレーン比表面積は、JIS R 2521:1995に準じて求められる。
石膏としては、例えば、二水石膏、半水石膏及び無水石膏が挙げられ、排煙脱硫やフッ酸製造工程等で副産される石膏、又は天然に産出される石膏のいずれも使用することができる。作業性(高流動性、長可使時間)の観点から、無水石膏の使用が好ましい。
上記のポルトランドセメント、アルミナセメント及び石膏からなる水硬性成分を用いることにより、優れた自己流動性や、適正な可使時間や、優れた速硬性や、体積変化の小さい硬化体を得ることができる。
水硬性成分は、ポルトランドセメント5〜55質量%、アルミナセメント10〜60質量%及び石膏10〜60質量%である。ポルトランドセメント、アルミナセメント及び石膏の配合割合が上記範囲であることにより、材料コストが安価で、優れた自己流動性、優れた速硬性を有し、硬化中の体積変化が少ない硬化体を得ることが容易となる。
また、水硬性成分の配合割合は、
好ましくはポルトランドセメント10〜49質量%、アルミナセメント17〜57質量%及び石膏14〜54質量%であり、
より好ましくはポルトランドセメント15〜44質量%、アルミナセメント22〜52質量%及び石膏19〜49質量%であり、
さらに好ましくはポルトランドセメント19〜39質量%、アルミナセメント27〜47質量%及び石膏24〜44質量%であり、
特に好ましくはポルトランドセメント24〜34質量%、アルミナセメント32〜42質量%及び石膏29〜39質量%である。
無機粉体は、JIS A 6206「コンクリート用高炉スラグ微粉末」で規定される高炉スラグ微粉末及び石灰石微粉末から選ばれる1種以上である。ここで、石灰石微粉末は、石灰石を粉砕したものが好適に使用できるが、炭酸カルシウムを主成分とする無機質の粉末状物質であれば、廃コンクリート等を粉砕したものや、化学的に精製した炭酸カルシウム等も代用することができる。無機粉体として、高炉スラグ微粉末及び/又は石灰石微粉末を用いることで、強度発現性及び寸法安定性を高めることができる。
また、これらの無機粉体は、JIS R 5201「セメントの物理試験方法」に従い測定されるブレーン比表面積が、
好ましくは3000cm/g以上であり、
より好ましくは3000〜8000cm/gであり、
さらに好ましくは3500〜6000cm/gであり、
特に好ましくは4000〜5000cm/gである。
ブレーン比表面積が上記範囲であることにより、より優れた流動保持性、強度発現性及び寸法安定性が得られる。
細骨材は、最大粒子径が850μm以下であり、細骨材100質量%中に600μm超の粒子径を有する粗粒分を5質量%未満含むことが好ましい。このような細骨材として、珪砂、川砂、陸砂、海砂、砕砂等の砂類、スラグ細骨材、再生細骨材、アルミナクリンカー、から適宜選択して用いることができる。特に細骨材としては、珪砂、川砂、陸砂、海砂及び砕砂等の砂類、及びアルミナクリンカーから選択したものを好適に用いることができる。
細骨材の粒子径は、JIS Z 8801:2006に規定される呼び寸法の異なる数個の篩いを用いて測定することができる。また、本発明において、「600μm超の粒子径を有する粗粒分」とは、600μm篩いを用いたときの篩上残分の粒子の質量割合のことをいう。
細骨材中に600μm超の粒子径を有する粗粒分を5質量%以上含む場合、セルフレベリング材の自己流動性が低下する傾向にある。上記粗粒分の下限値は特に制限がなく、0質量%であってもよい。優れた自己流動性を得るため、細骨材中の粗粒分は、
より好ましくは0〜3質量%であり、
さらに好ましくは0〜0.5質量%であり、
特に好ましくは0〜0.15質量%である。
細骨材の粗粒率が0.60〜1.40の範囲であり、吸水率が1.6%以下であることが好ましい。これにより、より優れた自己流動性を得ることができる。
ここで、「粗粒率」とは、JIS A 1102:2006に規定される骨材の粗粒率をいう。また、「吸水率」とは、JIS A 1109:2006に規定されている骨材の吸水率(単位:%)の測定方法に準じて測定した値をいう。
細骨材の粗粒率として、
より好ましくは0.68〜1.35であり、
さらに好ましくは0.72〜1.28であり、
特に好ましくは0.74〜1.25である。
また、上記吸水率の下限値は特に制限がなく、0%であってもよい。細骨剤の吸水率は、
より好ましくは1.40%以下であり、
さらに好ましくは1.20%以下であり、
特に好ましくは1.00%以下である。
本発明に用いる無機粉体及び細骨材は、水硬性成分100質量部に対して、無機粉体10〜200質量部であり、細骨材70〜300質量部であることが好ましい。これにより、流動性(作業性)や硬化特性をより向上できる。
無機粉体は、水硬性成分100質量部に対して、
より好ましくは20〜150質量部、
さらに好ましくは30〜100質量部、
特に好ましくは40〜80質量部である。
細骨材は、水硬性成分100質量部に対して、
より好ましくは80〜250質量部、
さらに好ましくは90〜220質量部、
特に好ましくは100〜200質量部である。
無機粉体及び細骨材が上述の範囲であることにより、流動性(作業性)や硬化特性をさらに向上できる。
消泡剤は、シリコーン系、アルコール系、ポリエーテル系などの合成物質又は鉱物油系、植物由来の天然物質など、公知のものを1種あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
消泡剤の添加量は、水硬性成分100質量部に対して、
好ましくは0.005〜3.5質量部であり、
より好ましくは0.01〜2.0質量部であり、
さらに好ましくは0.03〜1.5質量部であり、
特に好ましくは0.05〜1.0質量部の範囲で用いることができる。消泡剤の添加量は、上記範囲内が、好適な消泡効果が認められるため好ましい。
また、消泡剤を第一製造工程で混合せず、第二製造工程で混合することにより、消泡剤の性能を低下させることなく本来の効果を発揮することができることから、優れた表面平滑性(平坦性)が得られる。
第二製造工程では、最大粒子径が大きく、配合量が多い細骨材を混合機に投入し、次に第一製造工程で得られた中間組成物の全量又は所定量を投入し、一定時間混合し、その後、残りの各材料(基材)を投入して混合する方法が特に好ましい。また、残りの各材料の投入順序について特に限定されるものではない。
本実施形態の製造方法により得られる自己流動性水硬性組成物は、高い流動性による優れた作業性、表面平滑性(平坦性)、表面水平性及び速硬性等を有し、特に、表面平滑性(平坦性)に優れた表面特性を有することから、学校、マンション、コンビニエンスストア、病院等の床下地に用いることができる。
本実施形態の製造方法により得られる自己流動性水硬性組成物を、所定量の水と混合・攪拌することによって、自己流動性水硬性モルタルを製造することができる。水の添加量を調整することにより、自己流動性水硬性モルタルの流動性、材料分離性及び硬化特性を調整することができる。
自己流動性水硬性モルタルは、水(W)と自己流動性水硬性組成物(S)との質量比(W/S)が、
好ましくは0.21〜0.29、
より好ましくは0.22〜0.28、
さらに好ましくは0.23〜0.27、
特に好ましくは0.24〜0.26の範囲になるように配合して混練することができる。
自己流動性水硬性モルタルの流動性の観点から、フロー値は、
好ましくは190mm〜260mmであり、
より好ましくは200mm〜250mmであり、
さらに好ましくは210〜240mmであり、
特に好ましくは215〜235mmである。
フロー値が上記範囲にあると、流動性が好適となり、優れた作業性や水平性に優れた硬化体表面を得やすい傾向にある。
また、上記自己流動性水硬性モルタルのセルフレベリング性は、図1に示すSL測定器を用いて評価することができる。
図1は、自己流動性水硬性モルタルのセルフレベリング性評価に用いるSL測定器の模式的に示す斜視図であり、SL測定器10は、合成樹脂製で、内寸法が幅30mm×高さ30mm×長さ750mmの樋状であり、一方の端のみが開口端となっている。そして、SL測定器10は、閉口端側に自己流動性水硬性モルタルを充填するための充填部11と、充填部11に隣接し、充填される自己流動性水硬性モルタルを堰き止めておくための、合成樹脂製の堰板12とを備えており、充填部11は、内寸法が幅30mm×高さ30mm×長さ150mmの容量を有している。
図2は、上述のSL測定器を用いた、自己流動性水硬性モルタルのセルフレベリング性の評価方法を模式的に示す断面図である。まず、図2の(a)に示すように、混練直後の自己流動性水硬性モルタルを、充填部11を満たすように流し込む。次いで、堰板12が引き上げられることにより、図2の(b)に示すように、流し込まれた自己流動性水硬性モルタルは、SL測定器10の開口端側へ向けて流れ出す。ここで、充填部11に自己流動性水硬性モルタルを満たした直後に堰板12を引き上げた場合は、L0と表し、堰板12を20分後及び30分後に引き上げた場合を、それぞれL20及びL30と表す。
流れ出した自己流動性水硬性モルタルが、標点13から200mmの距離を流れるのに要する時間をSL流動時間(秒)とし、標点13から自己流動性水硬性モルタルの流れが停止した終点14までの距離をSL値(mm)とする。このSL流動時間及びSL値を測定することで、自己流動性水硬性モルタルのセルフレベリング性を評価することができる。
自己流動性水硬性モルタルを充填部11に流し込んだ直後に、堰板12を引き上げて、自己流動性水硬性モルタルが200mmの距離を流れる流動時間(L0)は温度20℃の環境下で、
好ましくは3〜35秒であり、
より好ましくは6〜30秒であり、
さらに好ましくは8〜27秒であり、
特に好ましくは10〜25秒である。
自己流動性水硬性モルタルのSL値(L0)は温度20℃の環境下で、
好ましくは400〜600mmであり、
より好ましくは420〜580mmであり、
さらに好ましくは440〜560mmであり、
特に好ましくは450〜550mmである。
自己流動性水硬性モルタルのSL値(L30)は温度20℃の環境下で、
好ましくは300〜550mmであり、
より好ましくは350〜530mmであり、
さらに好ましくは380〜510mmであり、
特に好ましくは400〜500mmである。
自己流動性水硬性モルタルは、施工場所の温度や湿度の条件にもよるが、打設終了後1〜2.5時間の間に硬化を開始(水引:自己流動性水硬性モルタルの表面水が消失)し、硬化の進行に伴って自己流動性水硬性モルタル硬化体の表面硬度が上昇し、硬化体表面の含水量が低下する傾向にある。
自己流動性水硬性モルタルを打設し、表面を鏝仕上げして形成した3時間後の硬化体の表面のショア硬度は温度20℃の環境下で、
好ましくは1以上であり、
より好ましくは10以上であり、
さらに好ましくは20以上であり、
特に好ましくは30以上である。
なお、ショア硬度の上限値に特に制限はないが、ショア硬度計の測定限界値である100程度である。自己流動性水硬性モルタル硬化体の表面のショア硬度が上記範囲にあると、自己流動性水硬性モルタル施工(打設・鏝仕上げ)が終了した後、速やかに硬化が進行することによってコンクリート床構造体を短期間に形成しやすくなる。
自己流動性水硬性モルタルが硬化した表面には、水平性や平滑性(平坦性)が要求される。特に、硬化体表面の上に、張り物や塗り床を施工する場合に接着性の低下の要因となる気泡跡や表面凹凸(表面に微細な凹凸が形成される)が発せしないことが必要である。硬化体表面を目視または指で触れて、凹凸を指に感じないことが好ましい。
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。
以下に、実施例を挙げて本発明の内容を具体的に説明する。なお、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
[使用材料]
実施例及び比較例で使用した材料を以下に記す。
(1)消泡剤
消泡剤A(ポリエーテル系界面活性剤、サンノプコ社製)
消泡剤B(ポリエーテル系界面活性剤、鉱油、ADEKA社製)
<中間組成物>
(1)増量材
ポルトランドセメント[PC](早強ポルトランドセメント、宇部三菱セメント社製、ブレーン比表面積4500cm/g)
(2)流動化剤
ポリカルボン酸系流動化剤(花王社製)
(3)増粘剤
セルロース系増粘剤(松本油脂社製、粘度18380mPa・s)
増粘剤の粘度は、B型粘度計(東京計器社製デジタル粘度計:DVL−B)を用い、増粘剤を1質量%含む水溶液(20℃)について、ローターNo.4、ローター回転数12rpmの条件で測定した。
(4)変性シリコーンオイル(信越化学社製、ハイドロジェン基で側鎖の一部を変性させた変性シリコーンオイル)
(5)凝結調整剤
遅延剤A:酒石酸ナトリウム
遅延剤B:重炭酸ナトリウム
促進剤A:炭酸リチウム
促進剤B:硫酸アルミニウム
<基材>
(1)水硬性成分
ポルトランドセメント[PC](早強ポルトランドセメント、宇部三菱セメント社製、ブレーン比表面積4500cm/g)
アルミナセメント[AC](フォンジュ、ケルネオス社製、ブレーン比表面積3100cm/g)
石膏[GG](天然無水石膏、ブレーン比表面積3880cm/g)
(2)無機粉末
高炉スラグ微粉末(千葉リバーメント社製、ブレーン比表面積4400cm/g)
(3)細骨材
珪砂(600μm超の粒子径を有する粗粒分=0.12質量%、粗粒率=1.20%、吸水率=0.79%)
第一製造工程として、中間組成物を得るための配合を表1とし、自己流動性水硬性組成物中の水硬性成分100質量部に対する配合割合とした。
Figure 2016007784
表1より、遅延剤は遅延剤A及び遅延剤Bを適宜併用し、促進剤は促進剤A及び促進剤Bを適宜併用した。また、表1の増量材(ポルトランドセメント)は水硬性成分100質量部の一部を用いた。さらに、中間組成物1〜3には、消泡剤を配合しなかった。
表1の各配合における粉体材料をそれぞれの配合割合で予め混合し、その後液体材料を加えて各々混合し、中間組成物1〜7を得て、20℃恒温室内で1週間保管した。
第二製造工程として、自己流動性水硬性組成物を得るための配合は表2とし、水硬性成分100質量部に対する配合割合とした。ここで、表2の水硬性成分であるPC、AC及びGGの合計質量部及び表1の増量材の質量部を合算すると100質量部となる。
Figure 2016007784
表2の各配合を各々混合し、自己流動性水硬性組成物を得た。
[自己流動性水硬性モルタルの調製]
上記自己流動性水硬性組成物から1.5kg採取し、水375gを加えてケミスタラーを用いて3分間混練して自己流動性水硬性モルタルを得た。自己流動性水硬性モルタルの調製は、温度20℃の恒温室内で行った。
[フロー値]
JASS・15M−103「社団法人日本建築学会:セルフレベリング材の品質基準」に準拠してフロー値を測定した。測定は、温度20℃の恒温室内で行なった。測定結果を表3に示す。
[セルフレベリング(SL)値]
図1に示すSL測定器10の、充填部11に混練直後の自己流動性水硬性モルタルを、流し込んだ直後に堰板12を引き上げ、図2に示すように、充填部11から流れ出した自己流動性水硬性モルタルの流れが停止した後に、標点(堰板の設置部)13から自己流動性水硬性モルタルの流れが停止した終点14までの距離を、SL値(mm)として測定した。また、自己流動性水硬性モルタルが標点13から200mmの距離を流れるのに要するSL流動時間(秒/200mm)を測定した。測定結果を表3に示す。
[空気量]
JIS A 1171:2000「ポリマーセメントモルタルの試験方法」6.4空気量試験に準拠して測定した。測定には、丸東製のモルタルエアメータを用いた。測定結果を表3に示す。
[水引時間]
調製した自己流動性水硬性スラリーを、内寸法が幅130×長さ190×高さ17mmの合成樹脂製容器に厚さ15mmになるように流し込んだ後、凝結開始に伴い、硬化体の表面水が消失(光の反射が失われ曇った状態)した時間を水引時間として測定した。測定結果を表3に示す。
[表面硬度]
自己流動性水硬性スラリー打設後からの所定の経過時間の後に、硬化した表面の硬度(ショア硬度)をスプリング式硬度計タイプD型((株)上島製作所製)を用いて、任意の4カ所の表面硬度を測定し、そのスプリング式硬度計タイプD型のゲージの読み取り値の平均値をその時間の表面硬度とした。本実施例及び比較例においては、3時間及び24時間後のショア硬度を測定した。測定結果を表3に示す。
[表面状態]
表面状態は、外寸が幅450×長さ450×高さ30mmのコンクリート板の外周に堰を設け、得られた自己流動性水硬性モルタルを、厚さ15mmになるように流し込み、24時間後、目視又は指で触れて表面の気泡跡、及び凹凸を評価した。ここで、「気泡跡」とは、表面に存在する、直径が0.1〜0.5mm程度の穴であり、「凹凸」とは、表面を指で触診(なぞる)した場合に感じる抵抗性(ザラザラ感)である。気泡跡の評価は、穴がない場合を「○」とし、穴がある場合は、その直径の大きさと個数とした。平滑性の評価は、触診して指先に抵抗性を感じない場合を「○」とし、指先に抵抗性を感じる場合を「×」とした。測定は、温度20℃、湿度65%の環境下で行った。評価結果を表3に示す。
Figure 2016007784
表3の実施例1〜3に示すように、本発明の自己流動性水硬性組成物を用いて調整した自己流動性水硬性スラリーは優れたフロー値及びSL値(流動性)を示し、水引時間も2時間以内であり、表面硬度も3時間で10以上であった。また、表面状態も気泡跡や凹凸が無く優れた表面平滑性(平坦性)が得られた。
一方、第一工程で消泡剤を配合した表3の比較例1〜3は、表面に気泡跡が発生し、比較例4は、L30のSL値が低下した。
本発明の実施例1〜3より、第一製造工程にて消泡剤を除く混和剤と増量材とを混合して中間組成物とし、第二製造工程にて消泡剤を配合することにより、高い流動性による優れた作業性、表面平滑性(平坦性)、表面水平性及び速硬性等を有し、特に、優れた表面平滑性(平坦性)が得られる自己流動性水硬性組成物が得られることが確認された。
10…SL測定器、11…充填部、12…堰板、13…標点、14…終点。

Claims (5)

  1. 流動化剤、増粘剤及び変性シリコーンオイルを含む混和剤と、増量材と、を混合して中間組成物を製造する第一製造工程と、
    ポルトランドセメント、アルミナセメント、石膏、無機粉末及び細骨材からなる基材と、前記中間組成物と、消泡剤と、を混合して自己流動性水硬性組成物を製造する第二製造工程と、を有し、
    前記中間組成物は混和剤として消泡剤を含まず、
    前記増量材が、ポルトランドセメント、アルミナセメント、石膏、高炉スラグ微粉末、石灰石微粉末及び細骨材から選ばれる1種以上であり、
    前記自己流動性水硬性組成物中の水硬性成分が、ポルトランドセメント5〜55質量%、アルミナセメント10〜60質量%及び石膏10〜60質量%からなり、
    前記無機粉末が、高炉スラグ微粉末及び石灰石微粉末から選ばれる1種以上である、
    自己流動性水硬性組成物の製造方法。
  2. 前記混和剤100質量部に対して、増量材100〜500質量部である、
    請求項1に記載の自己流動性水硬性組成物の製造方法。
  3. 前記細骨材が、粗粒率0.60〜1.40の範囲であり、吸水率1.6%以下である、請求項1又は請求項2に記載の自己流動性水硬性組成物の製造方法。
  4. 前記水硬性成分100質量部に対して、前記無機粉末10〜200質量部であり、前記細骨材70〜300質量部である、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の自己流動性水硬性組成物の製造方法。
  5. 前記水硬性成分100質量部に対して、前記消泡剤0.005〜3.5質量部である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の自己流動性水硬性組成物の製造方法。
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