本発明の積層体は、支持体(A)の上に、プライマー層(B)と金属層(C)と金属層(D)とが順次積層された積層体であって、熱処理後に、前記金属層(D)を構成する金属が前記プライマー層(B)と前記金属層(C)との界面を越えて移動し、前記プライマー層(B)ないし前記支持体(A)の表面部分で膜厚1〜150nmの金属層(E)を形成しているものである。
前記支持体(A)は、本発明の積層体の基材となるものである。前記支持体(A)の材質としては、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS樹脂)、アクリル樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、セルロースナノファイバー、シリコン、セラミックス、ガラス、ガラス・エポキシ樹脂、ガラスポリイミド、紙フェノール、ダイヤモンドライクカーボン、アルミナ等が挙げられる。
また、本発明の積層体を導電性パターンとして用いる場合、絶縁性を有するものが好ましいことから、前記支持体(A)の材質としては、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルファイド、ガラス、ガラス・エポキシ樹脂、ガラスポリイミド、紙フェノール、セルロースナノファイバー、アルミナ、ムライト、ステアタイト、フォルステライト、ジルコニア等が好ましい。
また、前記支持体(A)としては、例えば、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維等の合成繊維;綿、麻等の天然繊維などからなる基材を用いることもできる。前記繊維には、予め加工が施されていてもよい。
前記支持体(A)としては、本発明の積層体が、折り曲げ可能な柔軟性を求められる用途に用いられる場合、柔軟でフレキシブルな支持体を用いることが好ましい。具体的には、フィルム又はシート状の支持体を用いることが好ましい。
前記フィルム又はシート状の支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム等が挙げられる。
前記支持体(A)の形状がフィルム状又はシート状の場合、フィルム状又はシート状の支持体の厚さは、通常、1〜5,000μm程度であることが好ましく、1〜300μm程度の厚さであることがより好ましい。また、本発明の積層体をフレキシブルプリント基板等の屈曲性を求められるものに用いる場合には、支持体として、1〜200μm程度の厚さのフィルム状のものを用いることが好ましい。
また、前記支持体(A)と後述するプライマー層(B)との密着性を向上できることから、前記支持体(A)の表面に、微細な凹凸の形成、その表面に付着した汚れの洗浄、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基等の官能基の導入のための表面処理等が施されていてもよい。具体的にはコロナ放電処理等のプラズマ放電処理、紫外線処理等の乾式処理、水、酸・アルカリ等の水溶液又は有機溶剤等を用いる湿式処理等が施されていてもよい。
前記プライマー層(B)は、前記支持体の表面の一部又は全部にプライマーを塗布し、前記プライマー中に含まれる水性媒体、有機溶剤等の溶媒を除去することによって形成することができる。
前記プライマーを前記支持体の表面に塗布する方法としては、例えば、グラビア方式、コーティング方式、スクリーン方式、ローラー方式、ロータリー方式、スプレー方式等の方法が挙げられる。
前記プライマー層(B)の表面は、前記金属層(C)との密着性をより一層向上することを目的として、例えば、コロナ放電処理法等のプラズマ放電処理法や、紫外線処理法等の乾式処理法、水や酸性又はアルカリ性薬液、有機溶剤等を用いた湿式処理法によって、表面処理されていることが好ましい。
前記プライマーを支持体の表面に塗布した後、その塗布層に含まれる溶媒を除去する方法としては、例えば、乾燥機を用いて乾燥させ、前記溶媒を揮発させる方法が一般的である。乾燥温度としては、前記溶媒を揮発させることが可能で、かつ支持体に悪影響を与えない範囲の温度に設定すればよい。
前記支持体(A)上への前記プライマーの塗布量は、優れた密着性と導電性を付与できることから、支持体の面積に対して0.01〜60g/m2の範囲であることが好ましく、後述する流動体中に含まれる溶媒の吸収性と製造コストを考慮すると0.01〜10g/m2の範囲がより好ましい。
前記プライマーを用いて形成するプライマー層(B)の膜厚は、本発明の積層体を用いる用途によって異なるが、前記支持体(A)と前記金属層(C)との密着性をより向上できることから、10nm〜30μmの範囲が好ましく、10nm〜1μmの範囲がより好ましく、10nm〜500nmの範囲がさらに好ましい。
前記プライマー層(B)が形成可能なプライマーとしては、各種樹脂と溶媒とを含有するものを使用することができる。
前記樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、ビニル樹脂、ウレタン−ビニル複合樹脂、エポキシ樹脂、イミド樹脂、アミド樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、フェノール等をブロック化剤として用いたブロックイソシアネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。これらの樹脂の中でも、特に、加熱により還元性化合物を生成する樹脂を用いることが、後述する金属層(E)を形成する際に高い密着性を保持するため好ましい。
前記還元性化合物としては、フェノール化合物、芳香族アミン化合物、硫黄化合物、リン酸化合物、アルデヒド化合物等が挙げられる。中でも、フェノール化合物、アルデヒド化合物が好ましい。
前記の加熱により還元性化合物を生成する樹脂をプライマーに用いた場合、プライマー層を形成する際の加熱乾燥工程でホルムアルデヒド、フェノール等の還元性化合物を生成する。前記の加熱により還元性化合物を生成する樹脂の具体例としては、N−メチロール(メタ)アクリルアミドを共重合したビニル樹脂、メラミン樹脂等の加熱によりホルムアルデヒドを生成する樹脂;フェノール樹脂、尿素ビニル樹脂、フェノールブロックポリイソシアネート、尿素―ホルムアルデヒド−メタノール縮合物、尿素−メラミン−ホルムアルデヒド−メタノール縮合物、ポリN−(アルコキシ)メチロール(メタ)アクリルアミド、ポリ(メタ)アクリルアミドのホルムアルデヒド付加物等の加熱によりフェノール化合物を生成する樹脂などが挙げられる。
前記ビニル樹脂としては、加熱により還元性化合物を生成するビニル単量体をラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合などの重合方法により重合することによって得られる。
前記の加熱により還元性化合物を生成するビニル単量体としては、例えば、N−アルキロールビニル単量体が挙げられ、具体的には、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ペントキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エタノールアクリルアミド、N−プロパノールアクリルアミド等が挙げられる。
また、前記ビニル樹脂を製造する際には、前記の加熱により還元性化合物を生成するビニル単量体等とともに、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどのその他各種ビニル単量体を共重合することもできる。
前記ブロックイソシアネートを、前記プライマー層(B)を形成する樹脂として用いた場合は、イソシアネート基間で自己反応することでウレトジオン結合を形成し、又は、イソシアネート基と、他の成分が有する官能基とが結合を形成することによって、前記プライマー層(B)を形成する。前記結合は、後述する流動体を塗布する前に形成されていても、流動体を塗布する前は前記結合を形成しておらず、前記流動体を塗布した後に、加熱等することによって前記結合を形成してもよい。
前記ブロックイソシアネートとしては、イソシアネート基がブロック剤によって封鎖され形成した官能基を有するものが挙げられる。
前記ブロックイソシアネートは、前記支持体(A)と前記プライマー層(B)との間に密着性、及び前記プライマー層(B)と前記金属層(C)との間の密着性をより向上できることから、前記ブロックイソシアネート1モルあたり、前記官能基を350〜600g/molの範囲で有するものが好ましい。
前記官能基は、前記ブロックイソシアネートの1分子中に1〜10個有することが好ましく、2個〜5個有するものを用いることが、前記密着性をより向上できることから好ましい。
また、前記ブロックイソシアネートの数平均分子量は、前記密着性をより向上できることから、1,500〜5,000の範囲が好ましく、1,500〜3,000の範囲がより好ましい。
また、前記ブロックイソシアネートとしては、前記密着性をさらに向上できることから、芳香族構造を有するものが好ましい。前記芳香族構造としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
また、前記ブロックイソシアネートは、イソシアネート化合物(a−1)が有するイソシアネート基の一部又は全部と、ブロック剤とを反応させることによって製造することができる。
前記ブロックイソシアネートの原料となるイソシアネート化合物としては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、クルードジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族構造を有するポリイソシアネート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート化合物又は脂環式構造を有するポリイソシアネート化合物などが挙げられる。また、前記したポリイソシアネート化合物のそれらのビュレット体、イソシアヌレート体、アダクト体等も挙げられる。
また、前記イソシアネート化合物としては、上記で例示したポリイソシアネート化合物と、水酸基又はアミノ基を有する化合物等とを反応させて得られるものも挙げられる。
前記イソシアネート化合物としては、ブロックポリイソシアネートに前記芳香族構造を導入して前記密着性のより一層の向上を図る上で、芳香族構造を有するポリイソシアネート化合物を用いることが好ましい。芳香族構造を有するポリイソシアネート化合物の中でも、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートのイソシアヌレート体、トリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体が好ましい。
前記ブロックイソシアネートの製造に用いるブロック化剤としては、例えば、フェノール、クレゾール等のフェノール化合物;ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム等のラクタム化合物;ホルムアミドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトンオキシム、メチルエチルケトオキシム、メチルイソブチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム化合物;2−ヒドロキシピリジン、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコール、メタノール、エタノール、n−ブタノール、イソブタノール、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン、ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、アセトアニリド、酢酸アミド、コハク酸イミド、マレイン酸イミド、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、尿素、チオ尿素、エチレン尿素、ジフェニルアニリン、アニリン、カルバゾール、エチレンイミン、ポリエチレンイミン、1H−ピラゾール、3−メチルピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは70〜200℃、より好ましくは110〜180℃に加熱することによって解離し、イソシアネート基を生成可能なブロック化剤が好ましく、前記フェノール化合物、ラクタム化合物、オキシム化合物がより好ましい。特に、フェノール化合物は、ブロック化剤が加熱により脱離する際に還元性化合物となることから好ましい。
前記ブロックイソシアネートの製造方法としては、例えば、予め製造した前記イソシアネート化合物と前記ブロック化剤とを混合し反応させる方法、前記イソシアネート化合物の製造に用いる原料とともに前記ブロック化剤を混合し反応させる方法等が挙げられる。
より具体的には、前記ブロックイソシアネートは、前記ポリイソシアネート化合物と、水酸基又はアミノ基を有する化合物とを反応させることによって末端にイソシアネート基を有するイソシアネート化合物を製造し、次いで、前記イソシアネート化合物と前記ブロック化剤とを混合し反応させることによって製造することができる。
前記方法で得られたブロックイソシアネートは、プライマー層(B)を形成する樹脂組成物全量中に50〜100質量%の範囲で含まれることが好ましく、さらに70〜100質量%の範囲で含まれることがより好ましい。プライマー層(B)を形成する樹脂組成物組成物は、前記ブロックイソシアネート等の固形分を溶解又は分散しうる溶媒を含有するものであってもよい。前記溶媒としては、例えば、水性媒体又は有機溶剤を用いることができる。
前記メラミン樹脂としては、例えば、メラミン1モルに対してホルムアルデヒドが1〜6モル付加したモノ又はポリメチロールメラミン;トリメトキシメチロールメラミン、トリブトキシメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチロールメラミン等の(ポリ)メチロールメラミンのエーテル化物(エーテル化度は任意);尿素−メラミン−ホルムアルデヒド−メタノール縮合物などが挙げられる。
また、上記のように加熱により還元性化合物を生成する樹脂を用いる方法の他に、樹脂に還元性化合物を添加する方法も挙げられる。この場合に、添加する還元性化合物としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、芳香族アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン酸系酸化防止剤、ビタミンC、ビタミンE、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、亜硫酸塩、次亜燐酸、次亜燐酸塩、ヒドラジン、ホルムアルデヒド、水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボラン、フェノール等が挙げられる。
本発明の積層体を導電性パターンとして用いる場合、樹脂に還元性化合物を添加する方法は、最終的に低分子量成分やイオン性化合物が残留することで電気特性が低下するため、加熱により還元性化合物を生成する樹脂を用いる方法がより好ましい。
前記プライマー層(B)としては、塗布性が良好になることから、前記プライマー中に前記樹脂を1〜70質量%含有するものが好ましく、1〜20質量%含有するものより好ましい。
また、前記プライマーに使用可能な溶媒としては、各種有機溶剤、水性媒体が挙げられる。前記有機溶剤としては、例えば、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられ、前記水性媒体としては、水、水と混和する有機溶剤、及び、これらの混合物が挙げられる。
前記の水と混和する有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチルカルビトール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のアルコール溶剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶剤;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のアルキレングリコール溶剤;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコール溶剤;N−メチル−2−ピロリドン等のラクタム溶剤などが挙げられる。
また、前記樹脂は、必要に応じて、例えば、アルコキシシリル基やシラノール基、水酸基、アミノ基等の架橋性官能基を有していてもよい。これらの架橋性官能基により形成される架橋構造は、前記流動体が塗布される前に、すでに架橋構造を形成していてもよく、また、前記流動体が塗布された後、例えば焼成工程等における加熱によって架橋構造を形成してもよい。
前記プライマーには、必要に応じて、架橋剤をはじめ、pH調整剤、皮膜形成助剤、レベリング剤、増粘剤、撥水剤、消泡剤等の公知のものを適宜添加して使用してもよい。
前記架橋剤としては、例えば、金属キレート化合物、ポリアミン化合物、アジリジン化合物、金属塩化合物、イソシアネート化合物等が挙げられ、25〜100℃程度の比較的低温で反応し架橋構造を形成する熱架橋剤;メラミン系化合物、エポキシ系化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、ブロックイソシアネート化合物等の100℃以上の比較的高温で反応し架橋構造を形成する熱架橋剤;各種光架橋剤が挙げられる。
前記架橋剤は、種類等によって異なるものの、密着性や導電性に優れ、かつ、前記耐久性に優れた導電性パターンを形成できることから、前記プライマーに含まれる樹脂の合計100質量部に対して、0.01〜60質量部の範囲で使用することが好ましく、0.1〜10質量部の範囲で使用することがより好ましく、0.1〜5質量部の範囲で使用することがさらに好ましい。
前記架橋剤を用いた場合、後述する金属層(C)を形成する前に、プライマー層(B)に架橋構造を形成しておいても、後述する金属層(C)を形成した後、例えば、焼成工程等における加熱によって、プライマー層(B)に架橋構造を形成してもよい。
前記金属層(C)は、前記プライマー層(B)上に形成されたものであり、前記金属層(C)を構成する金属としては、遷移金属又はその化合物が挙げられ、中でもイオン性の遷移金属が好ましい。このイオン性の遷移金属としては、銅、銀、金、ニッケル、パラジウム、白金、コバルト等が挙げられる。これらのイオン性の遷移金属の中でも、銅、銀、金は、電気抵抗が低く、腐食に強い導電性パターンが得られることから好ましい。また、前記金属層(C)は多孔質状のものが好ましく、この場合、その層中に空隙を有する。
また、前記金属層(D)を構成する金属としては、銅、ニッケル、クロム、コバルト、スズ等が挙げられる。これらの中でも、電気抵抗が低く、腐食に強い導電性パターンが得られることから銅が好ましい。
本発明の積層体においては、前記金属層(C)中に存在する空隙に金属層(D)を構成する金属が充填されていることが好ましく、前記支持体(A)と前記金属層(C)との界面近傍に存在する前記金属層(C)中の空隙まで、前記金属層(D)を構成する金属が充填されているものが、前記金属層(C)と前記金属層(D)との密着性がより向上するため好ましい。
本発明の積層体の製造方法としては、例えば、支持体(A)の上に、ナノサイズの金属粉及び分散剤を含有する流動体を塗布し焼成して金属層(C’)を形成した後、前記金属層(C’)中に存在する分散剤を含む有機化合物を除去して空隙を形成して多孔質状の金属層(C)とした後、電解又は無電解めっきにより前記金属層(D)を形成する方法が挙げられる。
前記金属層(C)の形成に用いるナノサイズの金属粉の形状は、金属層が多孔質状になるものであればよいが、粒子状又繊維状のものが好ましい。また、前記金属粉の大きさはナノサイズのものを用いるが、具体的には、金属粉の形状が粒子状の場合は、微細な導電性パターンを形成でき、焼成後の抵抗値をより低減できるため、平均粒子径が1〜100nmの範囲が好ましく、1〜50nmの範囲がより好ましい。なお、前記「平均粒子径」は、前記導電性物質を分散良溶媒にて希釈し、動的光散乱法により測定した体積平均値である。この測定にはマイクロトラック社製「ナノトラックUPA−150」を用いることができる。
一方、金属粉の形状が繊維状の場合は、微細な導電性パターンを形成でき、焼成後の抵抗値をより低減できるため、繊維の直径が5〜100nmの範囲が好ましく、5〜50nmの範囲がより好ましい。また、繊維の長さは、0.1〜100μmの範囲が好ましく、0.1〜30μmの範囲がより好ましい。
前記プライマー層(B)の上に前記金属層(C)を形成する際には、前記ナノサイズの金属粉を溶媒中に分散させた流動体を、前記プライマー層(B)の上に塗布する方法が好ましい。
前記流動体中の前記ナノサイズの金属粉の含有比率は、5〜90質量%の範囲が好ましく、10〜60質量%の範囲がより好ましい。
前記流動体に配合される成分としては、ナノサイズの金属粉を溶媒中に分散させるための分散剤や溶媒、また必要に応じて、後述する界面活性剤、レベリング剤、粘度調整剤、成膜助剤、消泡剤、防腐剤などの有機化合物が含まれる。
前記ナノサイズの金属粉を溶媒中に分散させるため、低分子量又は高分子量の分散剤が用いられる。前記分散剤としては、例えば、ドデカンチオール、1−オクタンチオール、トリフェニルホスフィン、ドデシルアミン、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン;ミリスチン酸、オクタン酸、ステアリン酸等の脂肪酸;コール酸、グリシルジン酸、アビンチン酸等のカルボキシル基を有する多環式炭化水素化合物などが挙げられる。これらの中でも、前記金属層(C)中の空隙サイズを大きくすることで前記金属層(C)と後述する金属層(D)との密着性を向上できることから、高分子分散剤が好ましく、この高分子分散剤としては、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン等のポリアルキレンイミン、前記ポリアルキレンイミンにポリオキシアルキレンが付加した化合物等が好ましい。
上記のように、前記分散剤に高分子分散剤を用いることで、低分子分散剤と比較して、前記金属層(C)中の分散剤を除去して形成する空隙サイズを大きくすることができ、ナノオーダーからサブミクロンオーダーの大きさの空隙を形成することができる。この空隙に後述する金属層(D)を構成する金属が充填されやすくなり、充填された金属がアンカーとなり、前記金属層(C)と後述する金属層(D)との密着性を大幅に向上することができる。
前記ナノサイズの金属粉を分散させるために必要な前記分散剤の使用量は、前記ナノサイズの金属粉100質量部に対し、0.01〜50質量部が好ましく、0.01〜10質量部がより好ましい。
また、前記金属層(C)中の分散剤を除去して空隙をより形成しやすくし、前記金属層(C)と後述する金属層(D)との密着性をより向上できることから、前記ナノサイズの金属粉100質量部に対し、0.1〜10質量部が好ましく、0.1〜5質量部がより好ましい。
前記流動体に用いる溶媒としては、水性媒体や有機溶剤を使用することができる。前記水性媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水、純水、超純水等が挙げられる。また、前記有機溶剤としては、アルコール化合物、エーテル化合物、エステル化合物、ケトン化合物等が挙げられる。
前記アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブチルアルコール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、ヘプタノール、ヘキサノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ステアリルアルコール、アリルアルコール、シクロヘキサノール、テルピネオール、ターピネオール、ジヒドロターピネオール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル等を使用することができる。
また、前記流動体には、上記の金属粉、溶媒の他に、必要に応じてエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、イソプレングリコール等を用いることができる。
前記界面活性剤としては、一般的な界面活性剤を使用することができ、例えば、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ヘキサメタリン酸塩等が挙げられる。
前記レベリング剤としては、一般的なレベリング剤を使用することができ、例えば、シリコーン系化合物、アセチレンジオール系化合物、フッ素系化合物などが挙げられる。
前記粘度調整剤としては、一般的な増粘剤を使用することができ、例えば、アルカリ性に調整することによって増粘可能なアクリル重合体や合成ゴムラテックス、分子が会合することによって増粘可能なウレタン樹脂、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、水添加ヒマシ油、アマイドワックス、酸化ポリエチレン、金属石鹸、ジベンジリデンソルビトールなどが挙げられる。
前記成膜助剤としては、一般的な成膜助剤を使用することができ、例えば、アニオン系界面活性剤(ジオクチルスルホコハク酸エステルソーダ塩など)、疎水性ノニオン系界面活性剤(ソルビタンモノオレエートなど)、ポリエーテル変性シロキサン、シリコーンオイル等が挙げられる。
前記消泡剤としては、一般的な消泡剤を使用することができ、例えばシリコーン系消泡剤や、ノニオン系界面活性剤、ポリエーテル,高級アルコール、ポリマー系界面活性剤等が挙げられる。
前記防腐剤としては、一般的な防腐剤を使用することができ、例えば、イソチアゾリン系防腐剤、トリアジン系防腐剤、イミダゾール系防腐剤、ピリジン系防腐剤、アゾール系防腐剤、ヨード系防腐剤、ピリチオン系防腐剤等が挙げられる。
前記流動体の粘度(25℃でB型粘度計を用いて測定した値)は、0.1〜500,000mPa・sの範囲が好ましく、0.5〜10,000mPa・sの範囲がより好ましい。また、前記流動体を、後述するインクジェット印刷法、凸版反転印刷等の方法によって塗布(印刷)する場合には、その粘度は5〜20mPa・sの範囲が好ましい。
前記プライマー層(B)の上に前記流動体を塗布する方法としては、例えば、インクジェット印刷法、反転印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ダイコート法、スリットコート法、ロールコート法、ディップコート法等が挙げられる。
これらの塗布方法の中でも、電子回路等の高密度化を実現する際に求められる0.01〜100μm程度の細線状でパターン化された前記金属層(C)を形成する場合には、インクジェット印刷法、反転印刷法を用いることが好ましい。
前記インクジェット印刷法としては、一般にインクジェットプリンターといわれるものを使用することができる。具体的には、コニカミノルタEB100、XY100(コニカミノルタIJ株式会社製)、ダイマティックス・マテリアルプリンターDMP−3000、ダイマティックス・マテリアルプリンターDMP−2831(富士フィルム株式会社製)等が挙げられる。
また、反転印刷法としては、凸版反転印刷法、凹版反転印刷法が知られており、例えば、各種ブランケットの表面に前記流動体を塗布し、非画線部が突出した版と接触させ、前記非画線部に対応する流動体を前記版の表面に選択的に転写させることによって、前記ブランケット等の表面に前記パターンを形成し、次いで、前記パターンを、前記支持体層(A)の上(表面)に転写させる方法が挙げられる。
前記金属層(C)を形成するために、金属粉を含有する流動体を塗布した後に行う焼成工程は、前記流動体中に含まれる金属粉同士を密着し接合することで導電性を有する金属層(C)を形成するために行う。前記焼成は、80〜300℃の温度範囲で、2〜200分程度行うことが好ましい。前記焼成は大気中で行っても良いが、金属粉のすべてが酸化することを防止するため、焼成工程の一部又は全部を還元雰囲気下で行ってもよい。この焼成工程を経ることで、前記金属層(C)の形成に用いる粒子状又は繊維状の金属粉同士が密着し接合することで、前記金属層(C)は多孔質状のものとなる。
また、前記焼成工程は、例えば、オーブン、熱風式乾燥炉、赤外線乾燥炉、レーザー照射、マイクロウェーブ、光照射(フラッシュ照射装置)等を用いて行うことができる。
上記の焼成工程により得られた金属層(C’)の厚さは、後述する金属層(D)との密着性を考慮すると、10〜3,000nmの範囲が好ましく、10〜1,000nmの範囲がより好ましい。
上記の焼成工程後、前記金属層(C’)中に存在する分散剤を含む有機化合物を除去し空隙を形成することで、多孔質状の前記金属層(C)とすることができる。この有機化合物を除去する方法としては、前記金属層(C’)に対し、プラズマ放電処理法、電磁波照射処理法、レーザー照射処理法、水や有機溶剤で分散剤を含む有機化合物を再分散して溶解する溶解処理法等の処理を施す方法がある。これらの処理方法は、単独又は2つ以上を組合せて用いることができ、2つ以上を組み合わせることで、より効率よく前記有機化合物が除去できるため好ましい。なお、ここでいう有機化合物とは、前記流動体に配合される成分であり、分散剤、溶媒、界面活性剤、レベリング剤、粘度調整剤、成膜助剤、消泡剤、防腐剤等の有機化合物をいう。
前記プラズマ放電処理法としては、例えば、コロナ放電処理法等の常圧プラズマ放電処理法、真空又は減圧下で行うグロー放電処理法及びアーク放電処理法等の真空プラズマ放電処理法などが挙げられる。
前記常圧プラズマ放電処理法としては、酸素濃度が0.1〜25容量%程度の雰囲気下でプラズマ放電処理する方法が挙げられるが、前記金属層(C)と金属層(D)との密着性を向上するとともに、多孔質状の金属層(C)が有する空隙に金属層(D)を構成する金属が充填されやすくするため、酸素濃度は10〜22容量%の範囲が好ましく、約21容量%(空気雰囲気下)がより好ましい。
また、前記常圧プラズマ放電処理法は、前記酸素とともに不活性ガスを含む環境下で行うことが、前記金属層(C)の表面に過剰な凹凸を付与することなく、前記金属層(C)と金属層(D)との密着性をより向上できるため好ましい。なお、前記不活性ガスとしては、アルゴン、窒素等が挙げられる。
前記常圧プラズマ放電処理法によって処理する際に用いることのできる装置としては、例えば、積水化学工業株式会社製の常圧プラズマ処理装置「AP−T01」等が挙げられる。
前記常圧プラズマ放電処理法によって処理する際には、空気等のガスの流量としては、5〜50リットル/分の範囲が好ましい。また、出力としては、50〜500Wの範囲が好ましい。さらに、処理時間としては、1〜500秒の範囲が好ましい。
前記常圧プラズマ放電処理法の中でも、コロナ放電処理法を用いることが好ましい。コロナ放電処理法で用いることのできる装置としては、例えば、春日電機株式会社製のコロナ表面改質評価装置「TEC−4AX」等が挙げられる。
コロナ放電処理法によって処理する際には、出力として、5〜300Wの範囲が好ましい。また、処理時間は、0.5〜600秒の範囲が好ましい。
上記のプラズマ放電処理法は、前記金属層(C’)中に存在する前記有機化合物を深部まで除去することができ、前記支持体(A)と前記金属層(C)との界面近傍に存在する前記金属層(C)中に存在する前記有機化合物まで除去可能であることから好ましい。上記のプラズマ放電処理法を用いることで、後述する金属層(D)を形成する際に、多孔質状の金属層(C)が有する空隙に金属層(D)を構成する金属が充填されやすく、前記支持体(A)と前記金属層(C)との界面近傍に存在する前記金属層(C)中の空隙まで金属層(D)を構成する金属を充填することがより容易となる。このことにより、前記金属層(C)のより深い部分まで金属層(D)を構成する金属が入り込み、より大きなアンカー効果を発揮することから、前記金属層(C)と後述する金属層(D)との密着性を大幅に向上することができる。
前記電磁波照射処理法は、電磁波を前記金属層(C’)に照射することで、前記金属層(C’)を高温で加熱し、有機化合物を分解して除去することができる。この電磁波照射処理は、電磁波吸収共鳴を利用して選択的に分散剤を除去することもできる。事前に、前記金属層(C’)中に存在する前記有機化合物と共鳴する電磁波の波長を設定しておき、前記金属層(C)に設定された波長の電磁波を照射する。これにより、前記有機化合物への吸収が大きくなるため(共鳴)、電磁波の強度を調整することで、分散剤のみを除去することができる。
前記レーザー照射処理法は、前記金属層(C’)にレーザーを照射することにより、金属層(C’)中の前記有機化合物を分解して除去することができる。このレーザー照射処理法には、レーザースクライブ処理が可能なレーザーを用いることができる。レーザースクライブ処理が可能なレーザーとしては、YAGレーザー、CO2レーザー、エキシマレーザー等が挙げられるが、特にYAGレーザーが好ましい。基本波長1.06μmの他に非線形光学素子を併用して得られる第二高調波の0.53μmの光も所望に応じて利用することができる。YAGレーザーは、高いピークパワーと高い周波数を得るため、パルスレーザーを使用することが好ましい。
具体的な前記金属層(C’)へのレーザー照射の方法としては、前記金属層(C’)を搬送しながら、レーザー光源から出力されたレーザービームをレンズによって集光して、前記金属層(C’)の表面に照射する。この際に、ポリゴンミラーを利用してレーザービームを移動して、搬送中の前記金属層(C’)の表面をレーザービームで走査するようにする。これにより、前記金属層(C’)を高温で加熱することができる。レーザー照射処理は、レーザー光の出力が0.1〜100kW、パルス発信の周波数(発振周波数)が数kHzから数十kHz、1つのパルスの継続時間(パルス幅)が90〜100nsecであることが好ましい。
前記溶解処理法は、前記金属層(C’)中に存在する前記有機化合物を再分散して水や有機溶媒に溶解させることで除去する方法である。前記有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒;ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒;テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、エクアミド(出光興産製有機溶剤)などが挙げられる。
また、前記有機化合物を再分散し、溶解するため、酸やアルカリを用いることが好ましく、アルカリを用いることがより好ましい。酸としては、例えば、硫酸、硝酸、塩酸、リン酸、シュウ酸、酢酸、蟻酸、プロピオン酸、コハク酸、グルタル酸、酒石酸、アジピン酸等が挙げられる。これらの中でも硫酸、硝酸、塩酸等の強酸を使用することが好ましい。さらに、後述する金属層(D)を、硫酸銅を用いた電解銅めっき工程で形成する場合、後工程に不純物を持ち込まないためにも硫酸を用いることが好ましい。
前記アルカリとしては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、アンモニア、トリエチルアミン、ピリジン、モルホリン等の有機アミン;モノエタノールアミン等のアルカノールアミンなどが挙げられる。なかでも、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどの強アルカリを用いることが好ましい。
また、前記有機化合物を再分散し、溶解するため、界面活性剤を用いることもできる。前記界面活性剤には、一般的な界面活性剤を用いることができ、例えば、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩等が挙げられる。これら界面活性剤は、水へ溶解することでアルカリ性を示すため、前記有機化合物を除去しやすいことからより好ましい。
次に、上記のようにして、前記支持体(A)の上に、前記金属層(C’)中の前記有機化合物を除去することにより空隙を有する多孔質状の金属層(C)を形成した後、前記金属層(C)上に金属層(D)を形成することで、本発明の積層体を得ることができる。
本発明の積層体を構成する金属層(D)は、例えば、前記積層体を導電性パターン等に使用する場合に、長期間にわたり断線等を生じることなく、良好な通電性を維持可能な信頼性の高い配線パターンを形成することを目的として設けられる層である。
前記金属層(D)は、前記金属層(C)の上に形成される層であるが、その形成方法としては、めっき処理によって形成する方法が好ましい。このめっき処理としては、例えば、電解めっき法、無電解めっき法等の湿式めっき法、スパッタリング法、真空蒸着法等の乾式めっき法などが挙げられる。また、これらのめっき法を2つ以上組み合わせて、前記金属層(D)を形成しても構わない。
上記のめっき処理の中でも、多孔質状の金属層(C)が有する空隙に金属層(D)を構成する金属が充填されやすく、前記金属層(C)と前記金属層(D)との密着性がより向上し、また、導電性に優れた導電性パターンが得られることから、電解めっき法、無電解めっき法等の湿式めっき法が好ましく、電解めっき法がより好ましい。
上記の無電解めっき法は、例えば、前記金属層(C)を構成する金属に、無電解めっき液を接触させることで、無電解めっき液中に含まれる銅等の金属を析出させ金属皮膜からなる無電解めっき層(皮膜)を形成する方法である。
前記無電解めっき液としては、例えば、銅、ニッケル、クロム、コバルト、スズ等の金属と、還元剤と、水性媒体、有機溶剤等の溶媒とを含有するものが挙げられる。
前記還元剤としては、例えば、ジメチルアミノボラン、次亜燐酸、次亜燐酸ナトリウム、ジメチルアミンボラン、ヒドラジン、ホルムアルデヒド、水素化ホウ素ナトリウム、フェノール等が挙げられる。
また、前記無電解めっき液としては、必要に応じて、酢酸、蟻酸等のモノカルボン酸;マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フマール酸等のジカルボン酸化合物;リンゴ酸、乳酸、グリコール酸、グルコン酸、クエン酸等のヒドロキシカルボン酸化合物;グリシン、アラニン、イミノジ酢酸、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸等のアミノ酸化合物;イミノジ酢酸、ニトリロトリ酢酸、エチレンジアミンジ酢酸、エチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸等のアミノポリカルボン酸化合物などの有機酸、又はこれらの有機酸の可溶性塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のアミン化合物等の錯化剤を含有するものを使用することができる。
前記無電解めっき液は、20〜98℃の範囲で使用することが好ましい。
前記電解めっき法は、例えば、前記金属層(C)を構成する金属、又は、前記無電解処理によって形成された無電解めっき層(皮膜)の表面に、電解めっき液を接触した状態で通電することにより、前記電解めっき液中に含まれる銅等の金属を、カソードに設置した前記金属層(C)を構成する導電性物質又は前記無電解処理によって形成された無電解めっき層(皮膜)の表面に析出させ、電解めっき層(金属皮膜)を形成する方法である。
前記電解めっき液としては、例えば、銅、ニッケル、クロム、コバルト、スズ等の金属の硫化物と、硫酸と、水性媒体とを含有するもの等が挙げられる。具体的には、硫酸銅と硫酸と水性媒体とを含有するものが挙げられる。
前記電解めっき液は、20〜98℃の範囲で使用することが好ましい。
上記電解めっき処理法では、毒性の高い物質を用いることなく、作業性がよいため、電解めっき法を用いた銅からなる金属層(D)を形成することが好ましい。
また、前記乾式めっき処理工程としては、スパッタリング法、真空蒸着法等を用いることができる。前記スパッタリング法は、真空中で不活性ガス(主にアルゴン)を導入し、金属層(D)を形成材料に対してマイナスイオンを印加してグロー放電を発生させ、次いで、前記不活性ガス原子をイオン化し、高速で前記金属層(D)の形成材料の表面にガスイオンを激しく叩きつけ、金属層(D)の形成材料を構成する原子及び分子を弾き出し勢いよく前記金属層(C)の表面に付着させることにより金属層(D)を形成する方法である。
スパッタリング法による前記金属層(D)の形成材料としては、例えば、クロム、銅、チタン、銀、白金、金、ニッケル−クロム合金、ステンレス、銅−亜鉛合金、インジウムチンオキサイド(ITO)、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化ニオブ、酸化亜鉛等が挙げられる。
前記スパッタリング法によりめっき処理する際には、例えば、マグネトロンスパッタ装置等を使用することができる。
前記金属層(D)の厚さは、1〜50μmの範囲が好ましい。前記金属層(D)の厚さは、前記金属層(D)の形成する際のめっき処理工程における処理時間、電流密度、めっき用添加剤の使用量等を制御することによって調整することができる。
上記の方法により得られた本発明の積層体は、導電性パターンとして使用することが可能である。本発明の積層体を導電性パターンに使用する場合、形成しようとする所望のパターン形状に対応した位置に、前記金属層(C)を形成するため、前記金属粉を含有する流動体を塗布して焼成することによって、所望のパターンを有する導電性パターンを製造することができる。
また、前記導電性パターンは、例えば、サブトラクティブ法、セミアディティブ法等のフォトリソ−エッチング法、又は金属層(C)の印刷パターン上にめっきする方法によって製造することができる。
前記サブトラクティブ法は、予め製造した本発明の積層体を構成する前記金属層(D)の上に、所望のパターン形状に対応した形状のエッチングレジスト層を形成し、その後の現像処理によって、前記レジストの除去された部分の前記金属層(D)及び金属層(C)を薬液で溶解し除去することによって、所望のパターンを形成する方法である。前記薬液としては、塩化銅、塩化鉄等を含有する薬液を使用することができる。
前記セミアディティブ法は、前記支持体(A)の上に前記金属層(C’)を形成し、必要に応じてプラズマ放電処理等により前記金属層(C’)中に存在する分散剤を含む有機化合物を除去した後、得られた前記金属層(C)の表面に、所望のパターンに対応した形状のめっきレジスト層を形成し、次いで、電解めっき法、無電解めっき法によって金属層(D)を形成した後、前記めっきレジスト層とそれに接触した前記金属層(C)とを薬液等に溶解し除去することによって、所望のパターンを形成する方法である。
また、前記金属層(C)の印刷パターン上にめっきする方法は、前記支持体(A)に、インクジェット法、反転印刷法等で前記金属層(C)のパターンを印刷し、必要に応じてプラズマ放電処理等により前記金属層(C’)中に存在する分散剤を含む有機化合物を除去した後、得られた前記金属層(C)の表面に、電解めっき法、無電解めっき法によって前記金属層(D)を形成することによって、所望のパターンを形成する方法である。
また、前記積層体は、製造後、熱処理を加えることで、各層間の高い密着性を維持することができる。具体的には、支持体(A)の上に、プライマー層(B)と金属層(C)と金属層(D)とが順次積層された積層体に対し、熱処理条件として100〜350℃で10秒〜1000時間処理することで、前記金属層(D)を構成する金属が前記プライマー層(B)と前記金属層(C)との界面を越えて移動し、前記プライマー層(B)ないし前記支持体(A)の表面部分で膜厚1〜150nmの金属層(E)を形成させることにより、これが実現する。
さらに、前記熱処理条件は、120〜250℃で1分〜200時間が好ましく、150〜200℃で30分〜200時間がより好ましい。
また、例えば、前記金属層(D)を構成する金属が銅で、前記プライマー層(B)にホルムアルデヒド、フェノール等の還元性化合物を含有する場合、前記金属層(E)が0価の銅になり、各層間の密着性がより高いものとなる。一方、前記プライマー層(B)を設けない場合は、前記金属層(E)が酸化銅となり、密着性が低下する。
前記金属層(E)の膜厚は、1〜150nmの範囲が好ましく、1〜100nmの範囲がより好ましい。
上記のように、前記金属層(E)は、価数が0価の銅であることが高い密着性を保持できることから好ましい。価数が2価の酸化銅では、密着性が低下する。理由は不明であるが、酸化銅の場合は金属層(E)が脆くなるためと考えられる。
前記熱処理に用いる装置としては、例えば、対流型オーブン、電気炉、ホットプレート、半田を溶解した半田浴、恒温恒湿機、高度加速寿命試験装置等が挙げられる。
上記の方法で得られた導電性パターンは、各層間の密着性、特に150℃以上の高温に長時間さらされても、前記支持体(A)と前記金属層(D)との間の密着性が極めて高いため、層間剥離を抑制でき、良好な通電性を維持可能な優れた耐久性を有していることから、電子回路、集積回路等に使用される回路形成用基板の形成、有機太陽電池、電子端末、有機EL、有機トランジスタ、フレキシブルプリント基板、RFID等を構成する周辺配線の形成、プラズマディスプレイの電磁波シールドの配線等に使用することができる。特に、高い耐久性の求められる用途には好適に使用することができ、例えば、フレキシブルプリント基板(FPC)、テープ自動ボンディング(TAB)、チップオンフィルム(COF)、プリント配線板(PWB)等の一般に銅張積層板(CCL:Copper Clad Laminate)といわれる用途に使用することが可能である。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。
[樹脂組成物(R−1)の調製]
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、単量体混合物滴下用滴下漏斗及び重合触媒滴下用滴下漏斗を備えた反応容器に、酢酸エチル180質量部を入れ、窒素を吹き込みながら80℃まで昇温した。80℃まで昇温した反応容器内に、攪拌下、メタクリル酸メチル83質量部、アクリル酸n−ブチル10質量部及びN−メチロールアクリルアミド7質量部を含有するビニル単量体混合物と、アゾイソブチロニトリル1質量部及び酢酸エチル20質量部を含有する重合開始剤溶液を、各々別の滴下漏斗から反応容器内温度を80±1℃に保ちながら240分間かけて滴下し重合した。滴下終了後、同温度にて120分間攪拌した後、前記反応容器内の温度を30℃に冷却し、次いで、不揮発分が10質量%になるように酢酸エチルを加え、200メッシュ金網で濾過することによって、樹脂組成物(R−1)を得た。
[樹脂組成物(R−2)の調製]
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、単量体混合物滴下用滴下漏斗及び重合触媒滴下用滴下漏斗を備えた反応容器に、酢酸エチル180質量部を入れ、窒素を吹き込みながら80℃まで昇温した。80℃まで昇温した反応容器内に、攪拌下、メタクリル酸メチル90質量部、アクリル酸n−ブチル10質量部を含有するビニル単量体混合物と、アゾイソブチロニトリル1質量部及び酢酸エチル20質量部を含有する重合開始剤溶液を、各々別の滴下漏斗から反応容器内温度を80±1℃に保ちながら240分間かけて滴下し重合した。滴下終了後、同温度にて120分間攪拌した後、前記反応容器内の温度を30℃に冷却した。次いで、4−ターシャリーブチルカテコール(酸化防止剤、濃度:100質量%)を10質量部添加して攪拌した。次いで、不揮発分が10質量%になるように酢酸エチルを加え、200メッシュ金網で濾過することによって、樹脂組成物(R−2)を得た。
[樹脂組成物(R−3)の調製]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された反応容器中で、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートのイソシアヌレート体50質量部、1,4−ブチレングリコール8質量部をメチルエチルケトン中で反応させることによってポリイソシアネート化合物を調製した後、前記反応容器にブロック剤として2−sec−ブチルフェノール42質量部を供給し反応させた。その後、不揮発分が10.0質量%になるようにメチルエチルケトンを添加した後、200メッシュ濾布で濾過することによって、樹脂組成物(R−3)を得た。
[流動体(1)の調製]
エチレングリコール45質量部と、イオン交換水55質量部との混合溶媒に、分散剤としてポリエチレンイミンにポリオキシエチレンが付加した化合物を用いて平均粒径30nmの銀粒子を分散させることによって、ナノサイズの金属粉及び分散剤を含有する流動体を調製した。上記で得られた流動体に、イオン交換水及び界面活性剤を用いて、その粘度を10mPa・sに調整することによって、インクジェット印刷用の導電性インクである流動体(1)を調製した。
[実施例1]
ポリイミドフィルム(東レ・デュポン株式会社製「Kapton200H」、厚さ50μm)からなる支持体の表面に、上記で調製した樹脂組成物(R−1)を、スピンコーターを用いて、その乾燥後の厚さが0.1μmとなるように塗布した。次いで、熱風乾燥機を用いて120℃で5分間乾燥することによって、ポリイミドフィルムの表面にプライマー層を形成した。
次に、前記プライマー層の表面に、上記で得られた流動体(2)をインクジェットプリンター(コニカミノルタIJ株式会社製インクジェット試験機EB100、評価用プリンタヘッドKM512L、吐出量42pL)を用い、縦10cm、横5cmの面積に全面塗布した。次いで、250℃で30分間焼成することによって、前記金属層(C)に相当する銀層(厚さ約1μm)形成した。
次に、上記で得られた前記金属層(C)に相当する銀層をアルカリ性脱脂剤(奥野製薬工業(株)製「エースクリーン70」、50g/L)に浸漬し脱脂した。次いで、カソード側に設定し、含リン銅をアノード側に設定し、硫酸銅を含有する電解めっき液を用いて電流密度2A/dm2で15分間電解めっきを行うことによって、前記銀層の表面に、厚さ8μmの銅めっき層を積層した。前記電解めっき液としては、硫酸銅70g/リットル、硫酸200g/リットル、塩素イオン50mg/リットル、添加剤(奥野製薬工業(株)製「トップルチナSF−M」)5ml/リットルを使用した。
以上の方法によって、支持体(A)、プライマー層(B)、金属層(C)、金属層(D)の順に各層が積層された積層体(P1)を得た。次に、積層体(P1)を150℃に設定した対流型オーブンで0時間(熱処理無し)、50時間、100時間、200時間の熱処理を行って各々の熱処理条件の積層体を得た。次いで後述する方法でピール強度測定による密着性評価を行った。200時間の熱処理で得られた積層体について、電界放出形透過電子顕微鏡(日本電子株式会社製「JEM−2200FS」)を用いて断面を観察し、金属層(E)の膜厚と組成を分析した。その結果、金属層(D)を構成する銅が、前記プライマー層(B)と金属層(C)との界面を越えて移動し、膜厚100nmで金属層(E)を形成していることを確認した。また、その金属層(E)は0価の銅であることを確認した。
なお、実施例1で得られた積層体(1)の走査型透過電子顕微鏡で観察した断面写真を図1に示す。図1中、「Ag」と記載した明るい部分は銀層であり、金属層(C)に相当し、写真左下部分の「Cu」と記載した部分は銅層であり、金属層(D)に相当する。また、前記銀層の右上部分の「Cu」と記載した部分は金属層(D)を構成する銅が移動した銅層であり、金属層(E)に相当する。なお、プライマー層(B)は写真には写っていないが、前記金属層(C)に相当する銀層と前記金属層(E)に相当する銅層との界面に存在するものと考えられる。
[実施例2]
前記樹脂組成物(R−1)の代わりに樹脂組成物(R−2)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法によって、0時間(熱処理無し)、50時間、100時間、200時間の熱処理を行って各々の熱処理条件の積層体を得た。次いで後述する方法でピール強度測定による密着性評価を行った。200時間の熱処理で得られた積層体について、電界放出形透過電子顕微鏡(日本電子株式会社製「JEM−2200FS」)を用いて断面を観察し、金属層(E)の膜厚と組成を分析した。その結果、金属層(D)を構成する銅が、前記プライマー層(B)と金属層(C)との界面を越えて移動し、膜厚150nmで金属層(E)を形成していることを確認した。また、その金属層(E)は0価の銅であることを確認した。
[実施例3]
前記樹脂組成物(R−1)の代わりに樹脂組成物(R−3)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法によって、0時間(熱処理無し)、50時間、100時間、200時間の熱処理を行って各々の熱処理条件の積層体を得た。次いで後述する方法でピール強度測定による密着性評価を行った。200時間の熱処理で得られた積層体について、電界放出形透過電子顕微鏡(日本電子株式会社製「JEM−2200FS」)を用いて断面を観察し、金属層(E)の膜厚と組成を分析した。その結果、金属層(D)を構成する銅が、前記プライマー層(B)と金属層(C)との界面を越えて移動し、膜厚60nmで金属層(E)を形成していることを確認した。また、その金属層(E)は0価の銅であることを確認した。
[比較例1]
前記樹脂組成物(R−1)を使用せず、プライマー層(B)を形成しないこと以外は実施例1と同様の方法によって、0時間(熱処理無し)、50時間、100時間、200時間の熱処理を行って各々の熱処理条件の積層体を得た。次いで後述する方法でピール強度測定による密着性評価を行った。200時間の熱処理で得られた積層体について、電界放出形透過電子顕微鏡(日本電子株式会社製「JEM−2200FS」)を用いて断面を観察し、金属層(E)の膜厚と組成を分析した。その結果、金属層(D)を構成する銅が、前記プライマー層(B)と金属層(C)との界面を越えて移動し、膜厚200nmで金属層(E)を形成していることを確認した。また、その金属層(E)は酸化銅(II)であることを確認した。
<ピール強度測定による密着性評価>
IPC−TM−650、NUMBER2.4.9に準拠した方法により、ピール強度を測定した。測定に用いるリード幅は1mm、そのピールの角度は90°とした。なお、ピール強度は、前記めっき層の厚さが厚くなるほど高い値を示す傾向にあるが、本発明でのピール強度の測定は、現在汎用されているめっき層8μmにおける測定値を基準として実施した。
上記で得られた評価結果をまとめたものを表1に示す。
本発明の積層体である実施例1〜3で得られた積層体(1)〜(3)は、金属層(E)が膜厚150nm以内であり、0価の銅であることから、高いピール強度を有しているものと考えられる。一方、比較例1では、金属層(E)が200nmであり、酸化銅(II)であることから低いピール強度になったものと考えられる。