JP2016009568A - スパークプラグ - Google Patents

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勝哉 ▲高▼岡
勝哉 ▲高▼岡
Katsuya Takaoka
和浩 黒澤
Kazuhiro Kurosawa
和浩 黒澤
邦治 田中
Kuniharu Tanaka
邦治 田中
稔貴 本田
Toshitaka Honda
稔貴 本田
啓一 黒野
Keiichi Kurono
啓一 黒野
裕則 上垣
Hironori Uegaki
裕則 上垣
治樹 吉田
Haruki Yoshida
治樹 吉田
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Abstract

【課題】軸孔内において中心電極と端子金具との間を電気的に接続する導電部材の構造等を工夫して高周波ノイズを低減する。
【解決手段】スパークプラグは、中心電極と端子金具とを電気的に接続する電気的接続部を備える。電気的接続部は、棒状金属と、棒状金属の周囲を取り囲むセラミックス相とを含む導電体を有する。セラミックス相は、Fe含有酸化物で形成された第1相と、Si,B,Pの一種以上の元素の酸化物を含有する第2相と、を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、スパークプラグに関する。
内燃機関に使用されるスパークプラグは、一般に、筒状の主体金具と、この主体金具の内孔に配置される筒状の絶縁体と、この絶縁体の先端側軸孔に配置される中心電極と、他端側軸孔に配置される端子金具と、主体金具の先端側に一端が接合され、他端が中心電極と対向して火花放電間隙を形成する接地電極とを備える。さらに、エンジンの動作に伴って発生する電波ノイズを防止することを目的として、軸孔内における中心電極と端子金具との間に抵抗体が設けられたスパークプラグも知られている。
近年では、内燃機関の高出力化に伴って、スパークプラグの放電電圧の上昇が要求されている。スパークプラグの放電電圧が上昇すると、放電時に発生する高周波ノイズが大きくなり、車両の電子制御装置に悪影響を与えることが懸念されている。このため、スパークプラグの高周波ノイズを低減させたいという要望がある。
スパークプラグの放電時の高周波ノイズを低減させるために、従来から各種の技術が提案されている。例えば、特許文献1では、点火プラグの内部を貫通する導体の周囲を取り囲むように、円筒状のフェライトで形成されたノイズ低減部材を設けた構成が提案されている。また、特許文献2では、点火プラグの内部に巻線を設けた構成が提案されている。
特開2011−159475号公報 特開平02−284374号公報
しかしながら、発明者らは、軸孔内において中心電極と端子金具との間を電気的に接続する導電部材の材質や形状について、高周波ノイズを低減するために更なる工夫の余地があることを見出した。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、軸線方向に延びる軸孔を有する絶縁体と、前記軸孔の一端側で保持される中心電極と、前記軸孔の他端側で保持される端子金具と、前記軸孔内で前記中心電極と前記端子金具とを電気的に接続する電気的接続部と、前記絶縁体を収容する主体金具と、を備えたスパークプラグが提供される。前記電気的接続部は、前記軸線の方向に延びる棒状金属と、前記棒状金属の周囲を取り囲むセラミックス相とを含む導電体を有し、前記セラミックス相は、Fe含有酸化物で形成された第1相と、Si,B,Pの一種以上の元素の酸化物を含有する第2相と、を含むことを特徴とする。
このスパークプラグによれば、棒状金属と、Fe含有酸化物で形成された第1相を含むセラミック相とによってノイズ低減効果を得ることができる。また、棒状金属は振動などにより断線を発生する可能性があるのに対して、セラミックス相によって棒状金属が固定されるので断線の可能性を低減できる。更に、Si,B,Pの一種以上の元素の酸化物を含有する第2相は、Fe含有酸化物で形成された第1相に形成され得る多数の空孔を埋めて、容量成分として機能する空孔を低減するので、ノイズ低減効果を高めることができる。
(2)上記スパークプラグにおいて、前記軸線の方向に垂直な前記導電体の断面において、前記第1相が占める面積をS1とし、前記第2相が占める面積をS2としたとき、0.5≦S1/(S1+S2)≦0.98の関係を満たすものとしてもよい。
第1相と第2相の面積比S1/(S1+S2)の値をこの範囲に収めることによって、ノイズ低減効果を更に高めることができる。
(3)上記スパークプラグにおいて、前記Fe含有酸化物の平均粒径が3.0μm以上25.0μm以下であるものとしてもよい。
Fe含有酸化物の平均粒径をこの範囲に収めることによって、ノイズ低減効果を更に高めることができる。
(4)上記スパークプラグにおいて、前記軸線の方向に垂直な前記導電体の断面において、前記導電体の円換算直径をD1とし、前記棒状金属の円換算直径をD2としたとき、1.5≦(D1/D2)≦21.0の関係を満たすものとしてもよい。
直径比(D1/D2)を1.5以上とすれば、Fe含有酸化物を含むセラミック相の断面積を棒状金属の断面積に比べて十分大きくできるので、ノイズ低減効果を更に高めることができる。また、直径比(D1/D2)を21.0以下とすれば、棒状金属が過度に細くならないので、振動などにより断線を発生する可能性を更に低減できる。
(5)上記スパークプラグにおいて、前記棒状金属が、Zn,Fe,Ni,Ag,Cr,Sn,Cuの一種以上の元素を含む金属又は合金で形成されているものとしてもよい。
このような材質の棒状金属を用いるようにすれば、ノイズ低減効果が経時的に低下することを抑制できる。
(6)上記スパークプラグにおいて、前記第2相は、アルカリ金属の酸化物を含み、前記セラミックス相における前記アルカリ金属の含有割合が、酸化物換算で0.5重量%以上6.5重量%以下の範囲にあるものとしてもよい。
アルカリ金属の含有割合を酸化物換算で0.5重量%以上とすることによって、セラミックス相の空孔を十分に埋めることができるので、ノイズ低減効果を更に高めることができる。また、アルカリ金属の含有割合を6.5重量%以下とすることにより、アルカリ金属が棒状金属と化学反応を起こしてノイズ減衰効果を低下させてしまう現象を抑制することができる。
(7)上記スパークプラグにおいて、前記電気的接続部は、更に、導電性材料とガラスとを含む抵抗体を有するものとしてもよい。
このスパークプラグによれば、抵抗体によるノイズ低減効果も得られるため、ノイズ低減効果を更に向上させることができる。
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能である。例えば、スパークプラグ、スパークプラグの製造方法、スパークプラグの製造装置、製造システム等の形態で実現することができる。
本発明の第1実施形態としてのスパークプラグの全体構成を示す説明図。 本発明の第2実施形態としてのスパークプラグの全体構成を示す説明図。 電気的接続部の形成方法を示すフローチャート。 工程T120における充填処理の一例を示す説明図。 各種サンプルの構成を示す図。 各種サンプルの構成を示す図。 インターセプト法による平均粒径の算出方法を示す説明図。 各種サンプルの構成及びノイズ試験と振動試験の結果を示す図。 各種サンプルの構成及びノイズ試験と振動試験の結果を示す図。
A.スパークプラグの構成
図1は、本発明の第1実施形態としてのスパークプラグ1の全体構成を示す説明図である。図1の下側(発火部側)をスパークプラグ1の先端側と呼び、上側(端子側)を後端側と呼ぶ。このスパークプラグ1は、軸線O方向に延在する軸孔2を有する絶縁体3と、軸孔2の先端側で保持される中心電極4と、軸孔2の後端側で保持される端子金具5と、軸孔2内で中心電極4と端子金具5とを電気的に接続する電気的接続部60と、絶縁体3を収容する主体金具7と、一端が主体金具7の先端面に接合されると共に他端が中心電極4と間隙を介して対向するように配置された接地電極8とを備える。
主体金具7は、略円筒形状を有しており、絶縁体3を収容して保持するように形成されている。主体金具7における先端方向の外周面にはネジ部9が形成されており、このネジ部9を利用して図示しない内燃機関のシリンダヘッドにスパークプラグ1が装着される。
絶縁体3は、主体金具7の内周部に滑石10及びパッキン11を介して保持されている。絶縁体3の軸孔2は、軸線Oの先端側で中心電極4を保持する小径部12と、電気的接続部60を収容し、小径部12の内径よりも内径が大きい中径部14とを有する。また、小径部12と中径部14との間に後端側に向かって拡径するテーパ状の第一段部13を有する。絶縁体3は、絶縁体3における先端方向の端部が主体金具7の先端面から突出した状態で、主体金具7に固定されている。絶縁体3は、機械的強度、熱的強度、電気的強度等を有する材料であることが望ましく、このような材料として、例えば、アルミナを主体とするセラミック焼結体が挙げられる。
中心電極4は、小径部12に収容され、第一段部13に中心電極4の後端に設けられた径大のフランジ部17が係止され、先端が絶縁体3の先端面から突出した状態で主体金具7に対して絶縁保持されている。中心電極4は、熱伝導性及び機械的強度等を有する材料で形成されることが望ましく、例えば、インコネル(商標名)等のNi基合金で形成される。中心電極4の軸心部は、Cu又はAgなどの熱伝導性に優れた金属材料により形成されてもよい。
接地電極8は、一端が主体金具7の先端面に接合され、途中で略L字に曲げられて、その先端部が中心電極4の先端部と間隙を介して対向するように形成されている。接地電極8は、中心電極4を形成する材料と同様の材料により形成される。
中心電極4と接地電極8とが対向する面には、白金合金及びイリジウム合金等により形成される貴金属チップ29,30が設けられている。各貴金属チップ29,30の間に火花放電間隙gが形成されている。なお、中心電極4及び接地電極8の一方又は両方の貴金属チップを省略してもよい。
端子金具5は、中心電極4と接地電極8との間で火花放電を行なうための電圧を外部から中心電極4に印加するための端子である。端子金具5の先端部20は凹凸状の表面を備え、この態様においては先端部20の外周面にローレット加工が施されている。先端部20の表面がローレット加工により形成された凹凸構造を有すると、端子金具5と電気的接続部60との密着性が良好になり、その結果、端子金具5と絶縁体3とが強固に固定される。端子金具5は、例えば、低炭素鋼等で形成され、その表面にNi金属層がメッキ等で形成されている。
電気的接続部60は、軸孔2内で中心電極4と端子金具5との間に配置され、中心電極4と端子金具5とを電気的に接続する。電気的接続部60は、棒状金属63Bとセラミックス相63Cとを含む導電体63を有しており、この導電体63により電波ノイズの発生を防止する。電気的接続部60は、更に、導電体63と中心電極4との間に第1シール層61を、導電体63と端子金具5との間に第2シール層62を有し、第1シール層61と第2シール層62とは、絶縁体3と中心電極4、また絶縁体3と端子金具5とを封着固定している。
第1シール層61及び第2シール層62は、ホウケイ酸ソーダガラス等のガラス粉末と、Cu、Fe等の金属粉末とを含むシール粉末を焼結して形成することができる。第1シール層61及び第2シール層62の抵抗値は、通常数100mΩ以下である。
導電体63は、後に詳述するように、導電性の金属で形成された棒状金属63Bの周囲をセラミックス相63Cで固定した焼成体である。棒状金属63Bは、導電性の金属線材で形成される。セラミックス相63Cは、各種のセラミックス材料を焼成したものであり、Fe含有酸化物で形成された第1相と、Si,B,Pの一種以上の元素の酸化物を含有する第2相と、を含んでいる。すなわち、導電体63は、棒状金属63Bを形成したのち、棒状金属63Bの周囲にセラミックス相63Cの材料を充填して焼結することによって形成される。棒状金属63Bとセラミックス相63Cとを含む導電体63を設けることによって、放電時の高周波ノイズを低減することができる。なお、棒状金属63Bの両端は、第1シール層61及び第2シール層62と直接接していることが好ましい。こうすれば、導電体63の抵抗値を過度に大きくすることを防止できる。
<好ましい棒状金属63Bの材料>
棒状金属63Bの材質としては、Zn,Fe,Ni,Ag,Cr,Sn,Cuの一種以上の元素を含む金属又は合金で形成された線材を用いることができる。特に、ステンレス鋼(SUS316,SUS405等)や、パーマロイ(Fe−Ni合金)、インコネル(Ni−Cr−Fe合金)、センダスト(Fe−Si−Al合金)などの合金線材を用いることが好ましい。これらの材質の棒状金属63Bを使用すれば、耐ノイズ特性が経時的に劣化しにくい点で好ましい。棒状金属63Bの直径は、0.1mm以上0.6mm以下とすることが好ましい。棒状金属63Bは、インダクタンス成分としてのノイズ低減効果を有しており、かつ、印刷された電極や、金属粉末、炭素粉末などと比較して経時的にノイズ低減効果が低下してゆく心配が無い。また、棒状金属63Bのみでは振動などにより断線を発生する可能性があるのに対して、セラミックス相63Cによって棒状金属63Bが固定されるので、棒状金属63Bの断線の可能性を低減できる。棒状金属63Bの直径を0.1mm以上にすれば断線を発生し難くすることができる。
<好ましいセラミックス相63Cの材料>
セラミックス相63Cの第1相を形成するFe含有酸化物としては、以下の一種以上を用いることができる。
・酸化鉄:FeO,Fe,Fe
・スピネルフェライト:(Ni,Zn)Fe,NiFe,(Mn,Zn)Fe,CuFe,NiFe
・六方晶フェライト:BaFe1219,SrFe1219,BaMgFe1222,BaNiFe1222,BaCoFe1222
・ガーネットフェライト:YFe12
セラミックス相63の第1相が複数種類のFe含有酸化物をふくむ場合には、第1相は個々のFe含有酸化物の結晶相を含むものとなる。本明細書において、「第1相」を「Fe含有酸化物相」と呼ぶことも可能である。
セラミックス相63Cの第1相が、強磁性を有するFe含有酸化物を含有すれば、導電体63のインダクタンス成分としてのノイズ低減効果を更に高めることができる。セラミックス相63Cは、更に、Si(シリコン),B(ホウ素),P(リン)の一種以上の元素の酸化物を含有する第2相を含むことが好ましい。この第2相の典型的な例は、アルカリ金属の酸化物と、Si,B,Pの一種以上の元素の酸化物とを含有するアルカリ含有相であり、ホウケイ酸ソーダガラス等のガラスで形成された形態を取り得る。なお、第2相を形成するための粉末材料としては、アルカリ金属(特にLi,Na,K,Rbの一種以上)の酸化物及びSi,B,Pの一種以上の酸化物の他に、アルカリ土類金属(特にMg,Ca,Sr,Baの一種以上)の酸化物や、Al,Agの酸化物等を利用することができる。より具体的に言えば、第2相の粉末材料としては、SiO,B,P,LiO,NaO,KO,RbO,MgO,CaO,SrO,BaO,Al,AgO等の酸化物を利用することができる。或いは、ホウ砂などのガラス材料や、LiCO,NaCO,KCO,RbCO,MgCO,CaCO,SrCO,BaCO等の炭酸塩を利用してもよい。この第2相は、セラミックス相63Cの第1相に形成され得る多数の空孔を埋めて緻密化させる空孔充填材としての機能を有するので、ノイズの低減効果を高くすることができる。なお、セラミックス相63Cにおけるアルカリ金属の含有割合は、酸化物換算で0.5重量%以上6.5重量%以下の範囲にあることが好ましい。アルカリ金属の含有割合を酸化物換算で0.5重量%以上とすれば、セラミックス相63Cの緻密化の効果を高めることができ、スパークプラグ1の振動試験によって棒状金属63Bの断線が発生してしまう可能性を低減できる。また、アルカリ金属の含有割合を6.5重量%以下とすれば、アルカリ金属が棒状金属63Bと化学反応を起こしてノイズ減衰効果を低下させてしまう現象を抑制することができる。
図2は、本発明の第2実施形態としてのスパークプラグ1aの全体構成を示す説明図である。図1に示した第1実施形態のスパークプラグ1との違いは、第2実施形態のスパークプラグ1aの電気的接続部60aが、第1シール層61と第2シール層62と導電体63の他に、抵抗体64を有している点だけであり、他の構成は第1実施形態と同じである。
抵抗体64は、例えば、ホウケイ酸ソーダガラス等のガラス粉末、ZrO2等のセラミック粉末、カーボンブラック等の非金属導電性粉末、及び/又は、Zn,Sb,Sn,Ag,Ni等の金属粉末等を含有する抵抗体組成物を焼結して形成された抵抗材により形成することができる。導電体63に加えて抵抗体64も設けるようにすれば、抵抗体64によるノイズ低減効果も得られるため、ノイズ低減効果を更に向上させることができる。
なお、図1及び図2において、電気的接続部60の第1シール層61と第2シール層62の一方又は両方を省略してもよい。但し、これらのシール層61,62は、導電体63(及び抵抗体64)とその両端にある端子金具5及び中心電極4との間の熱膨張係数差を緩和できるので、より強固な接続状態を得ることができる。なお、端子金具5と中心電極4との間の抵抗値は、ノイズ低減効果の観点から、例えば3.0kΩ以上20.0kΩ以下の範囲とすることが好ましい。
B.電気的接続部の形成方法
図3は、スパークプラグ1の電気的接続部60の形成方法を示すフローチャートである。工程T110では、金属線材を用いて棒状金属63Bを形成する。工程T120では、金型を用いて、棒状金属63Bの周囲にセラミックス相63Cの粉末材料を充填する。
図4は、工程T120における充填処理の一例を示す説明図である。まず、導電体63に適した円柱形状のキャビティを有する金型300を準備し、金型300にセラミックス相63Cの粉末材料を充填する(図4(A))。セラミックス相63Cの粉末材料は、Fe含有酸化物で形成された第1相の粉末材料と、Si,B,Pの一種以上の元素の酸化物を含有する第2相の粉末材料とを予め秤量・混合したものである。この粉末材料の上に棒状金属63Bを載置したのち(図4(B))、更にセラミックス相63Cの粉末材料を追加して棒状金属63Bの周囲が粉末材料で隠れる程度まで充填する(図4(C))。その後、金型300を用いて、30〜120MPaの圧力で円柱状に成形する。工程T130では、この成形体を、850〜1350℃の範囲で焼成することによって、導電体63を形成する。なお、導電体63の両端に棒状金属63Bが露出していない場合には、導電体63の両端を研磨して棒状金属63Bを露出させることが好ましい。
図4(E)は、こうして作成された導電体63の断面を示している。この断面は、軸線O(図1)に垂直な断面である。導電体63は直径D1を有し、棒状金属63Bは直径D2を有している。これらの直径D1,D2は、いずれも円換算直径である。例えば、導電体63の直径D1は、導電体63の断面積を求め、その断面積に等しい円の直径を算出し、その結果を直径D1とする。棒状金属63Bの直径D2も同様である。
工程T140では、絶縁体3の軸孔2内に中心電極4を挿入する。工程T150では、第1シール層23を形成するシール粉末材料と、導電体63と、第2シール層24を形成するシール粉末材料と、をこの順に絶縁体3の軸孔2の後端側から充填し、プレスピンを軸孔2内に挿入して圧縮する。なお、図2のように、電気的接続部60aが抵抗体64を含む場合には、抵抗体64を形成するための粉末材料を工程T150において充填する。工程T160では、絶縁体3の軸孔2内に端子金具5を挿入し、端子金具5によって軸孔2内に充填された材料を先端側に向かって押圧しながら、絶縁体3全体を加熱炉内に配置して700〜950℃の所定温度に加熱し、焼成する。この結果、第1シール層61と第2シール層62が焼結し、これらの間に導電体63が封着固定される。
工程T150の後は、中心電極4及び端子金具5等が固定された絶縁体3が、接地電極8が接合された主体金具7に組み付けられる。そして、最後に、接地電極8の先端部を中心電極4側に折り曲げることによって、スパークプラグ1の製造が完了する。
図5A,5Bは、本発明の実施例としてのスパークプラグのサンプルP01〜P33と、比較例としてのスパークプラグのサンプルP41〜P47の導電体63を示す図である。これらのサンプルはいずれも図3の工程に従って作成した。図5A,5Bにおいて、セラミックス相63Cに関しては、第1相を構成するFe含有酸化物の組成、占有面積率S1、及び、平均粒径と、第2結晶相の構成元素(Si,B,P等)、占有面積率S2、及び、アルカリ金属含有量と、第1相と第2相の面積比S1/(S1+S2)とが示されている。第1相の平均粒径は、後述するインターセプト法を用いて算出した。
サンプルP01〜P47(サンプルP42,P43を除く)において、第1相を構成するFe含有酸化物は、以下のものから選択した。
・酸化鉄:FeO,Fe,Fe
・スピネルフェライト:(Ni,Zn)Fe,CuFe,NiFe,(Mn,Zn)Fe
・六方晶フェライト:BaFe1219,SrFe1219,BaMgFe1222,BaCoFe1222
・ガーネットフェライト:YFe12
セラミックス相63Cの第2相としては、図5A,5Bに示す各種の元素を含む酸化物を使用した。すなわち、第2相は、Si,B,Pの一種以上を含む酸化物であり、この他に,Li,Na,K,Mg,Ca,Sr,Al,Ag等の他の元素の酸化物を含み得る相である。なお、第2相の複数の金属酸化物相互の含有割合は記載していないが、発明者の実験によれば、これらの含有割合は後述するノイズ試験や振動試験にはあまり影響を与えない。この理由は、第2相は、第1相に形成され得る多数の空孔を埋めて緻密化させるものなので、第2相を構成する個々の金属酸化物の含有割合はそれほど重要では無いと考えられるからである。
サンプルP01〜P20では、第2相にアルカリ金属を含んでいない。一方、サンプルP21〜P33では、第2相はアルカリ金属(Li,Na,K,Rbの一種以上)とSi,B,Pの一種以上とを含むアルカリ含有相である。これらのサンプルP21〜P33のセラミックス相63Cにおけるアルカリ金属含有量の値は、セラミックス相63Cを粉砕した試料を用いたICP発光分光分析を10回行って得られた含有量の平均値を用いた。
図5A,5Bには、棒状金属63Bに関しては、その直径D2(図4(E))と、材質とが示されている。また、導電体63の直径D1と、径比率D1/D2と、抵抗体64の有無も示されている。抵抗体64の欄の「○」は、抵抗体64(図2)を含んでいることを示しており、「×」は抵抗体64を含んでいないことを示している。
棒状金属63Bの材質としては、Mo,W,Ti,Al,Zn,Ag,Fe,Ni,Cr,Sn,Cu等の単体金属や、パーマロイ(Fe−Ni合金),センダスト(Fe−Si−Al合金),インコネル600及びインコネル601(Ni−Cr−Fe合金),SUS316,SUS405等の合金を用いた。なお、単体金属の純度はそれほど高くなくてもよく、典型的には95%以上の純度の金属線材を使用できる。
棒状金属63Bの直径D2と導電体63の直径D1(図4(E))の値は、図3の工程T160の後にスパークプラグを切断して測定した。
図5Bに示す比較例のサンプルP41〜P44のうち、サンプルP41は、第1相はFe含有酸化物(Fe)であるが、第2相がSi,B,Pをいずれも含んでいない。サンプルP42は、第1相に相当する酸化物を含んでおらず、第2相に相当する酸化物のみを含んでいる。サンプルP43は、セラミックス相63Cを含んでおらず、棒状金属Bのみで導電体63が構成されている。サンプルP44は、第1相はFe含有酸化物(Ni−Znフェライト)であるが、第2相に相当する酸化物を含んでおらず、また、棒状金属63Bもない。サンプルP45〜P47は、第1相はFe含有酸化物(フェライト)であるが、第2相がSi,B,Pをいずれも含んでいない。
第1相と第2相の占有面積率S1,S2は以下のようにして求めた。まず、図3の工程T110〜T130に従って作成された導電体63を鏡面研磨し、軸線Oに平行な断面にて電子プローブ・マイクロアナライザー(EPMA)により200μm×200μmの反射電子像を10視野で撮影した。また、EPMA分析においてFe(鉄)及びO(酸素)が検出される部分を第1相とみなし、Fe(鉄)が未検出の部分(空孔を除く)を第2相とみなして、画像解析を行い、それぞれの占有面積率S1,S2を算出した。
図6は、インターセプト法による平均粒径の算出方法を示す説明図である。まず、EPMA分析で利用したものと同じ研磨面に関して、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて200μm×200μmの画像を10視野で撮影した。図6(A)は、SEM画像で観察される結晶粒子の様子を示す模式図である。SEM画像は、画像解析ソフト(Soft Imaging System GmbH社製のAnalysis Five)を用いて2値化した。2値化の閾値は、以下のように設定した。
(1)SEM画像のうちの二次電子像及び反射電子像を確認し、反射電子像における濃色の境界(結晶粒界に相当する)にラインを引き、結晶粒界の位置を明確にした。
(2)反射電子像の画像を改善するため、結晶粒界のエッジを保ちながら反射電子像の画像を滑らかにした。
(3)反射電子像の画像から、横軸に明るさ、縦軸に頻度をとったグラフを作成した。得られるグラフは二山状のグラフになるため、二つの山の中間点の明るさを2値化の閾値に設定した。
SEM画像における第1相と第2相の区別は、EPMA分析により行った。そして、第1相の結晶粒子のみなし粒径Da(i)を、下記のインターセプト法により求めた。
インターセプト法では、まず、SEM画像の2つの対角線DG1,DG2(図5(A))の少なくとも一方と交差する第1相の結晶粒子を選択した。そして、選択された個々の結晶粒子CG(図5(B))について、その最大径Dmaxを求めてこれを長径D1とした。最大径Dmaxは、その結晶粒子CGの外径をあらゆる方向で測定したときの最大値である。そして、この長径D1の中点を通り長径D1と直交する直線上における結晶粒子CGの外径を短径D2とした。また、長径D1と短径D2の平均値(D1+D2)/2を、結晶粒子CGのみなし粒径Da(i)とした。ここで、「(i)」は、i番目の結晶粒子CGの値であることを意味している。平均粒径Daveは、対角線DG1,DG2の少なくとも一方と交差するn個の結晶粒子CGのみなし粒径Da(i)の平均値である。インターセプト法で得られる平均粒径Daveの値は、SEM画像によって多少の差が発生するため、10枚のSEM画像における平均値を使用した。
図7A,7Bは、図5A,5Bに示したサンプルP01〜P33,P41〜P47について、放電耐久試験前後のノイズ試験の結果を示している。図7A,7Bの右半分には、実施例のサンプルP01〜P33と比較例のサンプルP41〜S47について、放電耐久試験前後のノイズ試験の結果と、振動試験の結果とを示している。放電耐久試験は、スパークプラグ1を、環境温度250℃の下で放電電圧25kVで100時間放電させることによって実施した。ノイズ試験は、JASO D−002−2(日本自動車技術会伝送規格D−002−2)の「自動車−電波雑音特性−第2部 防止器の測定方法 電流法」に従って行った。また、高周波ノイズの測定対象としては、30MHz,50MHz,100MHz,300MHzの4種類の周波数のノイズを対象とした。振動試験では、JIS−B8031の「7.4耐衝撃性テスト」に従って行い、スパークプラグ1を固定して20Hzの振動を1時間与えた後に、端子金具5と中心電極4との間の抵抗値を測定した。振動試験後の抵抗値が50kΩ以上の場合には不合格とした。図7A,7Bの振動試験の欄の「NG率」は、20個のサンプルについて不合格となった割合を示している。なお、振動試験前の端子金具5と中心電極4との間の抵抗値は、いずれも1kΩ以上25kΩ以下の範囲内にあった。
図7A,7Bに示す試験結果から、以下のことが理解できる。
(1)実施例のサンプルP01〜P33の導電体63は、棒状金属63Bと、棒状金属63Bの周囲を取り囲むセラミックス相63Cとを含む。また、セラミックス相63Cは、Fe含有酸化物で形成された第1相と、Si,B,Pの一種以上の元素の酸化物を含有する第2相と、を含む。これらのサンプルP01〜P33では、放電耐久性試験前のノイズが30MHzで高々75dBであって過度に大きくなく、十分なノイズ低減効果が得られている。また、放電耐久試験後においても、ノイズはそれほど増加しておらず、十分なノイズ低減効果を維持することができる。
(2)比較例のサンプルP41〜S47のうち、サンプルP41,P45〜P47は、セラミックス相63Cの第2相がSi,B,Pの3種類の元素をいずれも含んでいない。サンプルP42,P43は、セラミックス相63CがFe含有酸化物を含んでいない。サンプルP44は、セラミックス相63CがSi,B,Pの3種類の元素をいずれも含んでいない。これらのサンプルP31〜P47では、放電耐久試験前のノイズが30MHzで88dB以上と大きく、ノイズ低減効果が不十分である。また、サンプルP43は、振動試験後の抵抗値の不合格率が89%であり、耐振動性の点でも劣っている。耐振動性が低いいの理由は、サンプルP43がセラミックス相63Cを有していないので、振動によって棒状金属63Bが破損してしまうからであると推定される。
(3)実施例のサンプルP10〜P33は、セラミックス相63Cの第1相と第2相の面積比S1/(S1+S2)が0.5≦S1/(S1+S2)≦0.98の関係を満たしており、これを満たさないサンプルP01〜P09よりも、ノイズ低減効果が更に高い点で好ましい。すなわち、第1相と第2相の面積比S1/(S1+S2)の値をこの範囲に収めることによって、ノイズ低減効果を更に高めることができる。この面積比S1/(S1+S2)の値が過度に小さいと、Fe含有酸化物によるノイズ低減効果が十分に得られない可能性がある。一方、面積比S1/(S1+S2)の値が過度に大きいと、第1相に多くの空孔が形成されてしまい、ノイズ低減効果が減殺されてしまうと推定される。図7A,7Bの実験結果から考えると、面積比S1/(S1+S2)の値を0.5≦S1/(S1+S2)≦0.98の範囲とすれば、この範囲外である場合に比べてノイズ低減効果を更に高めることができる。なお、面積比S1/(S1+S2)の値は、0.79≦S1/(S1+S2)≦0.88の範囲とすることが更に好ましい。
(4)実施例のサンプルP13〜P33は、Fe含有酸化物の平均粒径が3.0μm以上25.0μm以下であり、平均粒径がこの範囲外であるサンプルP01〜P12よりも、ノイズ低減効果が更に高い点で好ましい。なお、Fe含有酸化物の平均粒径は、4.9μm以上15.5μm以下とすることが更に好ましく、12.2μm以上15.5μm以下とすることが最も好ましい。
(5)実施例のサンプルP16〜P33は、導電体63の直径D1と棒状金属Bの直径D2との比D1/D2が、1.5≦(D1/D2)≦21.0の関係を満たしており、径比率D1/D2がこの範囲外であるサンプルP01〜P15よりもノイズ低減効果が大きく、また、耐振動性が高い点で好ましい。特に、耐振動性の観点からは、径比率D1/D2が5.3≦(D1/D2)≦17.8の範囲にあることが更に好ましい。
(6)実施例のサンプルP19〜P33は、棒状金属63BがZn,Fe,Ni,Ag,Cr,Sn,Cuの一種以上の元素を含む金属又は合金で形成されており、これ以外の金属材料を用いているサンプルP01〜P18よりもノイズ低減効果が経時的に低下し難いで好ましい。
(7)実施例のサンプルP21〜P33は、セラミックス相63Cの第2相がアルカリ金属の酸化物を含んでおり、セラミックス相63Cがアルカリ金属を含んでいないサンプルP01〜P20に比べてノイズが小さい点、及び、耐振動性がより優れている点で好ましい。また、サンプルP21〜P33において、セラミックス相63Cにおけるアルカリ金属の含有割合は、酸化物換算で0.5重量%以上6.5重量%以下の範囲にある。アルカリ金属元素とSi,B,P等の元素とを含む第2相は、第1相(Fe含有酸化物)の空孔を埋めるガラス成分として機能するものと考えられる。セラミックス相63Cに形成され得る空孔がガラス成分等によって充填されることにより、セラミックス相63Cが緻密化されるので、振動試験においてセラミックス相63Cが棒状金属63Bをより強固に支持することができると推定される。セラミックス相63Cにおけるアルカリ金属の含有割合としては、酸化物換算で1.8重量%以上6.0重量%以下の範囲とすることが更に好ましい。
(8)実施例のサンプルP31〜P33は、電気的接続部60が、更に、導電性材料とガラスとを含む抵抗体64(図2)を有しており、抵抗体64を有していないサンプルP01〜P30よりもノイズが小さい点、及び、耐振動性がより優れている点で好ましい。
C.変形例
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
・変形例1:
スパークプラグとしては、図1,図2に示したもの以外の種々の構成を有するスパークプラグを本発明に適用することが可能である。
1,1a…スパークプラグ
2…軸孔
3…絶縁体
4…中心電極
5…端子金具
7…主体金具
8…接地電極
9…ネジ部
10…滑石
11…パッキン
12…小径部
13…第一段部
14…中径部
17…フランジ部
20…先端部
23…第1シール層
24…第2シール層
29…貴金属チップ
60…電気的接続部
60a…電気的接続部
61…第1シール層
62…第2シール層
63…導電体
63B…棒状金属
63C…セラミックス相
64…抵抗体
300…金型
O…軸線

Claims (7)

  1. 軸線の方向に延びる軸孔を有する絶縁体と、前記軸孔の一端側で保持される中心電極と、前記軸孔の他端側で保持される端子金具と、前記軸孔内で前記中心電極と前記端子金具とを電気的に接続する電気的接続部と、前記絶縁体を収容する主体金具と、を備えたスパークプラグにおいて、
    前記電気的接続部は、前記軸線の方向に延びる棒状金属と、前記棒状金属の周囲を取り囲むセラミックス相とを含む導電体を有し、
    前記セラミックス相は、Fe含有酸化物で形成された第1相と、Si,B,Pの一種以上の元素の酸化物を含有する第2相と、を含む、ことを特徴とするスパークプラグ。
  2. 請求項1に記載のスパークプラグであって、
    前記軸線の方向に垂直な前記導電体の断面において、前記第1相が占める面積をS1とし、前記第2相が占める面積をS2としたとき、0.5≦S1/(S1+S2)≦0.98の関係を満たす、ことを特徴とするスパークプラグ。
  3. 請求項1又は2に記載のスパークプラグであって、
    前記Fe含有酸化物の平均粒径が3.0μm以上25.0μm以下である、ことを特徴とするスパークプラグ。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のスパークプラグであって、
    前記軸線の方向に垂直な前記導電体の断面において、前記導電体の円換算直径をD1とし、前記棒状金属の円換算直径をD2としたとき、1.5≦(D1/D2)≦21.0の関係を満たす、ことを特徴とするスパークプラグ。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のスパークプラグであって、
    前記棒状金属が、Zn,Fe,Ni,Ag,Cr,Sn,Cuの一種以上の元素を含む金属又は合金で形成されている、ことを特徴とするスパークプラグ。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のスパークプラグであって、
    前記第2相は、アルカリ金属の酸化物を含み、
    前記セラミックス相における前記アルカリ金属の含有割合が、酸化物換算で0.5重量%以上6.5重量%以下の範囲にある、ことを特徴とするスパークプラグ。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のスパークプラグであって、
    前記電気的接続部は、更に、導電性材料とガラスとを含む抵抗体を有する、ことを特徴とするスパークプラグ。
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