JP2016010905A - カバーシート材 - Google Patents

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Abstract

【課題】 夏場の電力消費を抑え、かつ栽培または飼育に最適な温度条件を確保することを可能とする農業及び畜産用カバーシート材に利用可能なカバーシート材を提供する。
【解決手段】 シート基材と、前記シート基材の少なくとも一方の面に設けられた光散乱層と、を備えたカバーシート材であって、前記シート基材がポリプロピレン系樹脂と、無機系充填剤又は有機系充填剤の少なくとも一方を含有する樹脂組成物で形成され、前記シート基材の空隙率が、35%以上60%以下であり、前記カバーシート材の構成で反射率が90%以上であることを特徴とするカバーシート材の構成とした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、農業及び畜産分野などで用いられるカバーシート材に関するものである。
従来から、農業及び畜産分野のあらゆる方面の温室においてポリエチレンフィルム等のカバーシート材が用いられてきた。この温室用カバーシート材の代表的な使用例としてハウス栽培がある。このハウス栽培は、カバーシート材に覆われた空間からなる簡易温室で、野菜、花卉、果樹、きのこなどを栽培することである。このハウス栽培の発達によって、促成・抑制栽培による季節はずれの農作物の出荷が可能となり、さらに園芸農業に画期的な変化がもたらされた。その変化の一例として、養液栽培や植物工場等を挙げることができる。養液栽培や植物工場は土を使わないで、肥料分を溶かした培養液を用いる栽培方法であって、これによって施設栽培による地力の低下、あるいは連作障害や病虫害の回避、栽培の省力自動化、生産の増強等が可能となる。したがって、ハウス栽培の発達によって、ハウス内の栽培環境を常に最適な条件に保つための優れたカバーシート材が必要となっている。
このようなハウス栽培に利用される従来のハウスは、カバーシート材として塩化ビニール系樹脂フィルム、ポリエチレンフィルムあるいはエチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム等が用いられ、一方カバーシート材を一定の形状に保持するための骨材として鉄骨、プラスチック等のパイプ、あるいは木材等が用いられ、パイプハウスとして知られている。もちろん、上述のカバーシート材はハウス以外にも使用されるもので、例えば地表面温度を上昇させるために、直接、地表面を覆う資材として、あるいは家畜舎内の遮光または採光用カーテン等にも用いられる。
このような農業及び畜産分野で利用されるカバーシート材として、上述のような材料が用いられる理由の一つは、太陽光線を透過することによって、カバーシート材によって覆われた空間や地表面の温度を上昇させる一方で、保温されたハウス内や地表面の熱が逃げないように、カバーシート材で覆われた空間や地表面を保温することにある。また、近年になって上述の材料以外に、保温性のみならず通気性を兼ね備えた不織布シート(ポリプロピレン繊維)からなるカバーシート材が開発されている。
例えば、上記の不織布シートによるカバーシート材として、例えば特許文献1には親水性不織布と多孔質フィルムとを積層した積層シートで、通気性と遮光性を有し、ある程度の保温性を有していることが記載されている。
不織布シートは、天然あるいは人造の繊維ステープルまたは連続フィラメントが、接着剤、溶融繊維あるいは機械的方法により、接合された布状物質を意味するものである。また、不織布シートは、その製造方法によって分類されるもので、その分類によってそれぞれ特性が異なる。
例えば、一つの製造方法は、ステープルファイバーから出発し、繊維どうしを接合物質によって接合して繊維ウェブを形成し、さらにウェブどうしを接着して、ウェブまたはマット状構造を有した不織布シートを得るもので、従来の農業及び畜産用カバーシート材に用いられた不織布シートは、このような方法によって製造される。したがって、従来の不織布シート製カバーシート材は、一般に保温性と通気性とを兼ね備えている。
また、特許文献2にあるように遮光性と防水性を有し、透湿性をもったポリウレタン樹脂に粒子が配合されてなる透湿防水膜のカバーシート材が提案されている。しかし、従来のプラスチックフィルムまたは不織布からなる農業及び畜産用の温室用のカバーシート材では、ハウス栽培のみならず養鶏、養豚、養蚕等の幅広い農業及び畜産分野における栽培または飼育環境の改善要求に十分応えるものではなかった。例えば、従来の農業及び畜産用カバーシート材は、ハウスに覆われた地面の温度を上昇させ、その上昇温度を維持するような保温目的のみに着目して、開発及び使用がなされていた。したがって、太陽光や人工光によるハウス内の温度上昇を防ぐような目的に好適な農業用カバーシート材の開発はなされていない。
すなわち、例えば、
(1)夏の高温時には栽培できない作物の栽培をすること;
(2)家畜舎において、特に夏の高温時に問題となる畜舎の衛生環境の悪化、バクテリアなどの繁殖抑制を実施すること;さらに、
(3)養蚕において、高温時の蚕の採食欲減退、病害の発生を改善すること等は、冷暖房装置等の電気製品を使用することを中心にして実施されており、そのため夏場の高電力消費による生産価格の上昇を招いていた。
そこで、夏場の電力消費を抑え、かつ栽培または飼育に最適な温度条件を確保することを可能とするような新規の農業及び畜産用カバーシート材の開発、より具体的には、遮光性、降温性、耐水性、透湿性等に優れた不織布シートからなる新規な農業及び畜産用カバーシート材の開発が求められている。
特開2009−78477号公報 特開2002−241518号公報
本発明はこのような状況においてなされたものであり、夏場の電力消費を抑え、かつ栽培または飼育に最適な温度条件を確保することを可能とする農業及び畜産用カバーシート材に利用可能なカバーシート材を提供することを目的とする。
上記目的は以下の本発明によって達成される。即ち、シート基材と、前記シート基材の少なくとも一方の面に設けられた光散乱層と、を備えたカバーシート材であって、前記シート基材がポリプロピレン系樹脂と、無機系充填剤又は有機系充填剤の少なくとも一方を含有する樹脂組成物で形成され、前記シート基材の空隙率が、35%以上60%以下であり、前記カバーシート材の構成で反射率が90%以上であることを特徴とするカバーシート材の構成とした。
また、前記シート基材は、厚みが50μm以上90μm以下であり、前記光散乱層は、0.5μm以上4μm以下の白色インキ層であることを特徴とするカバーシート材の構成とした。
また、前記シート基材と光散乱層が、少なくとも一軸方向に延伸されていることを特徴とするカバーシート材の構成とした。
前記シート基材に含有するポリプロピレン系樹脂が、エチレン−αオレフィン共重合体であることを特徴とするカバーシート材の構成とした。
また、前記白色インキ層は、白色顔料を含有することを特徴とするカバーシート材の構成とした。
本発明によれば、夏場の電力消費を抑え、かつ栽培または飼育に最適な温度条件を確保することが可能となった。
本発明のカバーシート材の一つの実施形態を示す概略断面図である。 本発明に係るカバーシート材の温室での使用方法を説明する概略図である。
次に、発明の実施の形態について、詳述する。
図1に本発明に係るカバーシート材である一つの実施形態を示す。
本発明のカバーシート材を農業及び畜産用カバーシート材として利用し、図1で示されるように、透湿防水性を持つシート基材2をベースに、その片側表面に光散乱層3を設けた構成のカバーシート材1である。
なお、下記実施形態により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
[シート基材]
本発明で使用するシート基材2は、ポリプロピレン系樹脂と、無機系充填剤および有機系充填剤のいずれか一方又は両方を含有する樹脂組成物から形成され、熱可塑性樹脂から構成される。本発明のシート基材は、微細な空隙を含有し、その空隙率が、35%以上60%以下であり、雨水は通さないが水蒸気やガスを透過する材料よりなる。
ポリプロピレン系樹脂は、耐熱性、耐水性、耐薬品性、コスト面の面から好ましく用いることができる。
かかるポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体でありアイソタクティックないしはシンジオタクティック及び種々の程度の立体規則性を示すポリプロピレン、プロピレンを主成分とし、これと、エチレン、ブテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1,4−メチルペンテン−1等のαオレフィンとの共重合体が好ましく使用される。これらの共重合体は、2元系でも3元系でも4元系でもよく、またランダム共重合体でもブロック共重合体であってもよい。
本発明においては、シート基材2の厚みは50μm以上150μm以下の範囲であると、カバーシート材として扱う柔軟性があり、かつ強度も保持されるので好ましい。またシート基材2の厚みは50μm以上90μm以下の範囲が、より好ましい。50μmより薄いと、カバーシート材としての剛性がなく、強度に欠けるので好ましくない。また150μmを超えるとカバーシート材としての重さがあるために、ハンドリング性が悪く、農業作業者が地面に敷き詰める作業に負担がかかる。汎用の塩化ビニールハウスでは通常、基材は50〜100μmであり作業効率は軽ければ軽いほど良い。
また、150μmを超えるとシート基材2の使用樹脂量が多くなるために、コスト的に高価となってしまうため好ましくない。
また、シート基材2は、強度を出すため、シート基材2を縦延伸し、しかる後、同じ樹脂層を貼り合わせて横延伸加工を行うことが好ましい。
(無機系充填剤、有機系充填剤)
本発明のカバーシート材のシート基材に用いる無機系充填剤および有機系充填剤は、延伸によりフィルムに空隙を発生させる目的で使用するもので、充填剤の種類は特に限定されない。
無機系充填剤としては、例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、焼成クレイ、タルク、酸化珪素、珪藻土、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、などが挙げられ、これらは脂肪酸等で表面処理されていてもよい。中でも、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、焼成クレイ、タルクが、安価で成形性が良く好ましい。なお、無機系充填剤の粒径が、通常0.01μm〜15μm、好ましくは0.01μm〜8μmのものが使用できる。
なお、本発明で、数値範囲を規定する際の「A〜B」は、「A以上B以下」を意味する。
有機系充填剤としては、主成分である熱可塑性樹脂とは異なる種類の樹脂を選択することが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、メラミン、ポリエチレンサルファイト、ポリイミド、ポリエチルエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイト、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、ポリメチルメタクリレート、環状オレフィンの単独重合体や環状オレフィンとエチレンとの共重合体等で、融点が120℃〜300℃、ないしはガラス転移温度が120℃〜280℃を有するものを挙げることができる。
上記の無機系充填剤または有機系充填剤の中から1種を選択して、これを単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。またその含有量は1質量%〜65質量%であることが好ましく、2質量%〜55質量%であることがより好ましい。
含有量が65質量%を超えると、縦延伸後に行う横延伸時に延伸フィルムが破断し易くなるため好ましくない。
本発明のシート基材2には、必要に応じて結露を防ぐために、非イオン性界面活性剤(例えばグリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレン・ポリオキシエチレンブロックポリマーなど)、陰イオン性界面活性剤(例えば、スルホン酸塩<Na、K、アンモニウム>、アルキルベンゼンスルホン酸塩など)あるいは両イオン性界面活性剤などから1種あるいは複数種を混合して添加することができる。
また、シート基材2には、滑剤として、流動パラフィン、合成パラフィン、マイクロクリスタリンワックスなどの脂肪族炭化水素、直鎖アルコールのステアリン酸エステル、高級脂肪酸アマイドなどの滑剤を適宜に選択して添加することができる。
(製造方法)
シート基材2の製造方法に関しては特に限定されず、公知の製造方法が用いられる。
例えば、共押し出しにより複数の押出機により溶融した樹脂をフィードブロックまたはマルチマニホールドにより一台のダイで製造できる。
(延伸)
延伸する場合には、公知の種々の方法が使用できる。例えば、縦方向一軸延伸、縦方向一軸多段延伸、横方向一軸延伸、縦横逐次二軸延伸、縦横同時二軸延伸、またはこれらの組合せ等により、一軸あるいは二軸方向に延伸される。これらは通常、熱可塑性樹脂の融点以下の温度にて延伸され、無機系充填剤または有機系充填剤と熱可塑性樹脂の界面で剥離が起こり、これが延伸により伝播し拡大することで微細な空隙が形成される。これら延伸と積層はいずれの組合せで行ってもよい。中でも、外層と内層に分け、内層基材層を縦延伸した後、内層表面層に同じ樹脂の外層を積層させてから横延伸をして積層体であるシート基材を製造させることにより、紙状の風合を出しても良い。
(空隙率)
本発明のシート基材2は、空隙率が35%以上60%以下である。ここで空隙率とは、シート基材中に占める空隙の割合を示しており、下記式1により算出できる。
Figure 2016010905
なお、上式中、ρoは、シート基材の真密度を示し、ρはシート基材の密度<JIS P 8118に準拠>を示すが、延伸前の材料が多量の空気を含有するものでない限り、真密度は延伸前の密度にほぼ等しい。
また、真密度は、定容積膨張法による乾式密度測定方法で測定して計算することで求められる。例えば、真密度は、例えば、(株)島津製作所製の乾式自動密度計「アキュピック1330」、マイクロメリテックス社製マルチボリウム密度計「アキュピック1330型」などを用いて測定することができる。
本発明で使用されるシート基材2は、上式で算出された空隙率が35%以上であることが、病原細菌などの菌を通さないが、水蒸気やガスを透過する、農業及び畜産分野で用いられるカバーシート材としての機能を発現する上で好ましく、60%以下であることが、カバーシート材としての強度を保持する上で好ましい。空隙率が35%未満であると、透湿度が悪くなるため、カバーシート材として使用できず、60%を超えると、カバーシート材としての強度が不足する傾向にあるため好ましくない。
空隙率は、より好ましくは、40%〜58%である。
本発明のシート基材2は、その不透明度が70%〜100%(JIS Z 8722に準拠)であることが好ましい。70%未満ではシート基材のカバーシート状の外観を視認出来ないため好ましくない。シート基材2の密度は0.50g/cm3〜0.90g/cm3であることが好ましい。
本発明では特に断りのないかぎり、空隙率及び不透明度を記載しているものは、上記の測定条件にて測定したものである。
(帯電防止剤)
本発明のシート基材を形成する樹脂には、必要に応じて、帯電防止剤を練り混むか、あるいはシート基材表面に帯電防止剤を塗布することができる。これら帯電防止剤としては、例えば、アミン、イミダゾリン、アミン酸化エチレン付加体、4級アンモニウム塩等のカチオン性帯電防止剤、ホスフェート、アルキルアリルホスホン酸、アジピン酸、グルタミン酸等のアニオン性帯電防止剤、多価アルコール、多価アルコールエステル、高級アルコールエチレンオキサイド付加体、ポリエーテル、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加体、脂肪酸のグリセリンエステル、脂肪酸アミドおよびそのエチレンオキサイド付加物等の非イオン性帯電防止剤、またカチオン基とアニオン基の両方を有する例えばアルキルアミンに無水マレイン酸を作用させたグアニジン塩、ポリエチレンイミンから誘導されるスルホン酸などの両性帯電防止剤等いずれも使用できるが、好ましくはアルキルジエタノールアミン、ヒドロキシアルキルモノエタノールアミン、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルキルスルホン酸ソーダ、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、過塩素酸テトラアルキルアンモニウム塩等である。これらは熱可塑性樹脂のガラス転移点や、押し出し延伸等の加工条件により、1種を選択してこれを単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。また練り混みと塗布を同時に行っても良い。
上記シート基材では、白色インキ層を光散乱層3として利用する。シート基材は白色度が高く、厚みが90μm以上では優れた光散乱性能を示す。しかし、上記で記載したように厚みが150μm以上あると、シート巻取りの重さがあり、作業者もパイプハウスの各パイプに敷き詰める作業に負担がかかるため、シート基材は50μmから90μmで設定することが好ましい。また、シート基材単体では、反射率が50〜90%に低下し、植物に十分な光合成の機能を与えることが出来ない。このため、光散乱層がシート基材上に設けられることにより、可視光領域の反射率を100%まで向上させ、かつシート基材をキズから守るオーバーコート材としても機能する。
光散乱層は、白色インキ層で構成することができ、その白色インキ層は、以下に示す白色インキ成分から構成される。
<白色インキ成分>
(樹脂成分)
白色インキ成分の樹脂成分としては、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂など、光散乱層としての性能をもたせる樹脂であれば特に限定するものではないが、好ましくはポリウレタン系樹脂が挙げられる。該ポリウレタン系樹脂としては、例えば、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテルポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、ポリカプロラクタムポリウレタンなどのポリウレタン系樹脂、およびそれらの混合物が挙げられる。これらの中で、ポリウレタン系樹脂は、本発明のカバーシート材の光散乱層の樹脂成分(バインダー)として使用したときに、透湿性の悪影響が少なく、好適に選択される。
上記の樹脂成分において、ガラス転移温度H(℃)が、−60℃≦H≦0℃で、重量平均分子量Mwが10,000≦Mw≦80,000であるポリウレタン系樹脂から選ばれる少なくとも1種であるものが好ましく使用される。上記のガラス転移温度が、高過ぎると、白色インキ層が形成されたシート基材の破断強度やヤング率が大きくなり、それに伴って、脆性が乏しくなり引き裂き性が低下し、カバーシート材としての実用性が低下する。一方、ガラス転移温度が低過ぎると、上記の白色インキ層としての被膜の強靭性が低下する。
また、上記のポリウレタン系樹脂の重量平均分子量が、上記の上限を超えると、得られる白色インキ層の被膜強度が大きくなり、それに伴い脆性が乏しくなり引き裂き性が低下する。一方、上記の重量平均分子量が、上記の下限未満になると、得られる白色インキ層の被膜にブロッキングが発生する。
前記のポリウレタン系樹脂は、ポリイソシアネート化合物とポリマーポリオールとを溶液重合などの公知の方法で反応させ、必要に応じて、ウレタンプレポリマーに鎖伸長剤および反応停止剤を使用することによって得られるポリウレタン系樹脂である。上記のポリウレタン系樹脂は、前記の樹脂成分の特性値を満足するものであれば、いずれも使用することができる。前記の特性値は、様々な要因によって決定されるが、例えば、ポリウレタン系樹脂を構成するウレタン基量、極性基の種類およびその量などを設定することによって得られる。
上記のポリイソシアネート化合物としては、従来のポリウレタン系樹脂の製造に使用されるものであればよく、例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、2,2,4−または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネートなどの脂肪族イソシアネート;1,3−または1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート;m−またはp−フェニレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−または2、6−トリレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネートなどが挙げられる。
また、上記のポリイソシアネート化合物と反応させるポリマーポリオールとしては、飽和炭化水素系ポリエステルポリオールなどのポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテルエステルポリオールなどが挙げられる。
上記のポリエステルポリオールは、多価カルボン酸と多価アルコールからなるポリエステルポリオールやラクトン環の開環重合で得られるポリエステルポリオールが挙げられる。上記の多価カルボン酸としては、直鎖飽和炭化水素系のアジピン酸、アゼライン酸、コハク酸、セバシン酸などの脂肪族多価カルボン酸;不飽和脂肪酸系のフマル酸、マレイン酸などの不飽和脂肪族多価カルボン酸;シクロヘキシル基を有する1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族多価カルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの芳香族多価カルボン酸などが挙げられる。
上記の多価カルボン酸と反応する多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、キシリレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−または1,3−プロパンジオール、1,2−、1,3−および1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオールなどの脂肪族、脂環族などの多価アルコールおよび芳香族多価アルコールなどが挙げられる。
また、前記のポリエーテルポリオールとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシドなどのオキシラン化合物を、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、グリセリンなどの多価アルコールを重合開始剤として重合して得られるポリエーテルポリオールが挙げられる。また、ポリエーテルエステルポリオールとしては、上記のポリエーテルポリオールに前記の多価カルボン酸とを反応させて得られるポリエーテルエステルポリオールが挙げられる。
前記のポリウレタン系樹脂は、前記のポリイソシアネート化合物と上記のポリマーポリオールの他に、分子量、ガラス転移温度および前記の樹脂成分の特性値などの調整のために必要に応じて、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオールなどのアルコール類、エチレンジアミン、プロピレンジアミンなどのアミン類などの鎖伸長剤、および公知の低級アルコール系、アミン系などの鎖長停止剤などを用いて樹脂中の鎖長を調整するのが好ましい。
前記の樹脂成分は、単独でも、あるいは数種を混合しても使用することができるが、さらに、白色インキ層の被膜が施されたシート基材の引き裂き性を向上させるために、該樹脂成分に硬化剤を添加することができる。上記の硬化剤としては、イソシアネート基を複数有する前記の脂肪族、脂環族または芳香族のポリイソシアネート化合物や、これら以外のポリイソシアネート化合物、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリフェニールメタントリイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、o−トルイジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3,5−トリイソシアネートメチルベンゼン、リジンエステルトリイソシアネートなど、およびこれらのイソシアネート化合物から誘導される二量体や三量体などの多量体、イソシアネート化合物と3,3,3−トリメチロールプロパンなどのポリオール化合物との反応によって得られるポリイソシアネートなどが挙げられる。
上記硬化剤の好ましい例としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体、3,3,3−トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとの反応生成物、3,3,3−トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートとの反応生成物が挙げられる。上記の硬化剤としては、三井武田ケミカル(株)からタケネートD−110Nの商品名で入手して本発明で使用することができる。
上記の硬化剤を使用する場合は、その使用量は、前記の樹脂成分に対して0.8〜10質量%配合することが好ましい。上記の硬化剤の配合割合が多過ぎると、得られる白色インキ層の被膜が脆くなる。
前記の樹脂成分は、単独でも使用できるが、白色インキ層を構成する白色インキ成分の結合剤(バインダー)全量中に90質量%〜100質量%を占める量で含有されているのが好ましい。上記の樹脂成分の配合割合が、上記の下限未満であると、得られる白色インキ層の被膜が形成されたシート基材の引き裂き性が低下するので好ましくない。
上記の樹脂成分の配合において、本発明の目的を妨げない範囲で、ニトロセルロース、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースダイアセテート、セルローストリアセテートなどのセルロース誘導体、アルキッド樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリビニルブチラール、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂など、前記の樹脂成分と相溶する樹脂成分を併用することができる。
本発明の白色インキ層を形成するための白色インキは、前記の樹脂成分と、白色粉末を有機溶剤、例えば、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコールなどのアルコール類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、乳酸エチル、エチレングリコールアセテートなどのエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、ジエチレングリコールメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、トルエン、キシレンなどの芳香族類、ハロゲン化炭化水素類などの溶剤、およびそれらの混合溶剤に、公知の方法で均一に分散混練して均質化して得られ、必要に応じて、可塑剤や分散剤などの添加剤を本発明の目的を妨げない範囲において添加して使用することができる。
上記の白色粉末としては、公知の白色顔料を使用することができ、例えば、アナタース型酸化チタン、ルチル型酸化チタンおよびそれらの表面をAl、Siなどの金属酸化物で処理した酸化チタンなど、および炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどの体質顔料、その他の白色顔料など本発明の目的を妨げない範囲において使用できるものが挙げられる。上記の酸化チタンは、その平均粒径が0.1μm〜0.5μmのものが好ましく使用される。上記の白色粉末の配合割合は、前記の白色インキ層の被膜中に10質量%〜50質量%含まれていることが好ましい。
本発明の白色インキ層の被膜は、上記のシート基材の表面に、公知の印刷法などの塗布方法で塗布して形成する。該塗布方法としては、例えば、グラビアコーター、リバースロールコーター、スプレイコーター、ナイフコーター、ワイヤバーコーター、エアナイフコーター、ドクターブレードコーター、ディッピングコーター、ダイコーターなど、好ましくはグラビア印刷機を使用した印刷法にて、0.2〜0.7g/m2(乾燥厚み)にベタ印刷し、乾燥して白色インキ層を形成する。上記の白色インキ層の乾燥条件は、上記のシート基材および樹脂成分などの結合剤が劣化しない範囲であれば特に限定されないが、好ましくは70℃〜80℃で乾燥する。上記の白色インキ層の被膜の厚みは、反射率を向上させ、かつ透湿度に影響が出ない0.5〜4μmであり、好ましくは1〜2.5μmである。
上記に説明したシート基材と光散乱層とは、両者が少なくとも一軸方向に延伸されていることが好ましい。すなわち、シート基材と光散乱層とを共押し出しにより、少なくとも一軸方向に延伸して製造することが好ましい。これにより、シート基材と光散乱層とが一体として均一なカバーシート材が得られる。
上記には光散乱層の一つの実施形態として、白色インキ層を挙げて説明しているが、その白色インキ層に限らずに、光散乱層として、光反射性、透湿性、通気性などの機能を有していれば、白色インキ層ではない他の層も使用することができる。
本発明のカバーシート材は、空隙率が35%以上60%以下であるシート基材と、そのシート基材表面に光散乱層を設けた構成であるため、その光散乱層により光を乱反射することで、反射性に優れ、結果として高い遮光効果を示し、さらに優れた通気性及び透湿性を有したものとなる。本発明のカバーシート材は、従来のカバーシート材における保温性と通気性を有しているだけではなく、カーボン粒子を含有させて遮光性をもたせる従来のカバーシート材とは異なり、反射性に優れた光散乱層を設けて遮光性をもたせた。したがって、本発明のカバーシート材に覆われた空間または地面の気温または地温が上昇しすぎることなく、栽培または飼育に最適な温度条件を確保することが可能となった。また、上記のカバーシート材に覆われた空間または地面の気温または地温が上昇することを抑えることができ、その温度上昇を抑えるための冷却等の空調設備の電力消費を抑制することができる。
本発明のカバーシート材は、シート基材に光散乱層を設けた構成において、反射率が90%以上であり、反射性に優れ、結果として高い遮光効果を有する。その反射率が90%未満であると、十分な反射性が得られず、遮光性も低下し、上記のカバーシート材に覆われた空間または地面の気温または地温が上昇してしまう。
なお、本発明で反射率を記載しているものは、特に断りのないかぎり、JIS Z 8722に準拠して、可視領域 450〜750nmでの反射率(全反射率)で測定したものである。
(温室のカバーシート材としての使用方法)
本発明のカバーシート材は、野菜、花卉、果樹、きのこなどを栽培する温室用カバーシート材の用途、あるいは養豚、養鶏などの畜産分野の飼育空間を覆うカバーシート材の用途など、栽培または飼育に最適な温度条件を確保するために利用できるシート材であれば、限定されるものではない。
以下、本発明のカバーシート材の一例である温室用カバーシート材としての使用方法について、説明するが、この使用方法に限定されるものではない。
カバーシート材1は、一般に使用されている紙用切断機でもって適当な大きさのシート状(例えば2m×2mの四角形)に切断し、得られた複数のシートを図2に示すようにして、温室4のパイプに接着テープでもって張り付けて幌状カバーシート材1を形成する。図2のA(屋根部のみ被覆)は、温室(パイプハウス)4の側面が、カバーシート材1で覆われていない状態、すなわち側面採光部が形成されている状態を示している。また図2のB(屋根および側面部を被覆)は温室4の屋根部及び側面がカバーシート材1で覆われている状態、すなわち側面採光部が形成されていない状態(つまり、温室全体が遮光されている状態)を示している。
(実施例1)
(シート基材の製造)
シート基材を構成する樹脂組成物として、プロピレン単独重合体(日本ポリケム(株)製、商品名ノバテックPP、MA−8、融点164℃)を65.5質量%、高密度ポリエチレン(日本ポリケム(株)製、商品名ノバテックHD、HJ580、融点134℃、密度0.960g/cm3)6.5質量%、および、平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム粉末28質量%よりなる樹脂組成物を、押出機を用いて無延伸シートを得た。次いで、この無延伸シートを縦方向に4倍延伸して、一軸延伸シートを得た。
一方、下記の積層体を構成する表面層用樹脂組成物として、上記同様の材料にて、プロピレン単独重合体51.5質量%、高密度ポリエチレン3.5質量%、平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム粉末42質量%、平均粒径0.8μmの酸化チタン粉末3質量%よりなる組成物を別の押出機を用いて溶融混練し、上記で得られた一軸延伸シート基材の表面の両側にダイより押し出し、積層して、層構成が、表面層/基材層/表面層からなる積層体を得た。
次いで、この積層体を横方向に7倍延伸し、耳部をスリットして、表面層(15μm)/基材層(40μm)/表面層(15μm)の総厚が70μmの微細な空隙を含有するシート基材2を得た。この条件では、シート基材全体の空隙率は55%、不透明度93%であった。
下記の成分を均一に混練分散して、光散乱層の形成用である白色インキを調製した。
(光散乱層の組成)
・ポリウレタン系樹脂[荒川化学工業(株)製 ユリアーノ2466]) 40.0部
・硝化綿 2.0部
・酸化チタン 39.0部
・硬化剤(三井武田ケミカル(株)製、タケネートD−110N) 4.0部
・溶剤(イソプロピルアルコール 5.0部、メチルエチルケトン 6.0部、酢酸エチル 4.0部)
この白色インキを、グラビア印刷機にて、乾燥温度80℃で3μm(乾燥厚み)にベタ印刷し、乾燥して光散乱層を形成して、実施例1のカバーシート材を作製した。
(実施例2)
実施例1と同じ樹脂構成で総厚が50μmのシート基材(表面層(10μm)/基材層(30μm)/表面層(10μm))を製造し、実施例1と同様にグラビア印刷機にて2μm(乾燥厚み)の光散乱層を形成して、実施例2のカバーシート材を作製した。
(実施例3)
実施例1と同じ樹脂構成で総厚が90μmのシート基材(表面層(20μm)/基材層(50μm)/表面層(20μm))を製造し、同様にグラビア印刷機にて2μm(乾燥厚み)の光散乱層を形成して、実施例3のカバーシート材を作製した。
(比較例)
実施例1と同じ樹脂構成で総厚が70μmのシート基材(表面層(15μm)/基材層(40μm)/表面層(15μm))を製造したが、光散乱層の形成はしなかった。これにより、比較例のカバーシート材を作製した。
(可視光のカバーシート材の反射率の測定)
島津製作所 UV−3600 紫外・可視・近赤外分光光度計で、積分球付属装置 ISR−3100 を用いて、入射角8度で可視領域 450〜750nmでの反射率(全反射率)を測定した。
反射率を評価する判定は、以下の基準にて行なった。
◎:可視領域全体で反射率が100%である。
○:可視領域で最低反射率が90%以上である。
△:可視領域で最低反射率が90%を下回るものがある。
その結果を表1にまとめた。
これにより、光散乱層の付与により、可視光反射率を向上させることが出来たことがわかる。また、実施例に示す本発明のカバーシート材は、空隙率が35%以上60%以下であるシート基材と、そのシート基材表面に光散乱層を設けた構成で、反射率が90%以上であるため、その光散乱層により光を乱反射することで、反射性に優れ、結果として高い遮光効果を示す。それにより、実施例のカバーシート材に覆われた空間または地面の気温または地温の上昇を抑えることができ、栽培または飼育に最適な温度条件を確保することが可能である。そして、その温度上昇を抑える空調設備の電力消費を抑制することができる。
それに対し、比較例のカバーシート材は反射率が90%より低く、反射性が低く、結果として遮光効果に劣り、夏場の電力消費を抑え、かつ栽培または飼育に最適な温度条件を確保することは不可能であることを示すものである。
Figure 2016010905
1 カバーシート材
2 シート基材
3 光散乱層
4 温室

Claims (5)

  1. シート基材と、前記シート基材の少なくとも一方の面に設けられた光散乱層と、を備えたカバーシート材であって、
    前記シート基材がポリプロピレン系樹脂と、無機系充填剤又は有機系充填剤の少なくとも一方を含有する樹脂組成物で形成され、
    前記シート基材の空隙率が、35%以上60%以下であり、
    前記カバーシート材の構成で反射率が90%以上であることを特徴とするカバーシート材。
  2. 前記シート基材は、厚みが50μm以上90μm以下であり、前記光散乱層は、0.5μm以上4μm以下の白色インキ層であることを特徴とする請求項1に記載するカバーシート材。
  3. 前記シート基材と光散乱層が、少なくとも一軸方向に延伸されていることを特徴とする請求項1又は2に記載するカバーシート材。
  4. 前記シート基材に含有するポリプロピレン系樹脂が、エチレン−αオレフィン共重合体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載するカバーシート材。
  5. 前記白色インキ層が、白色顔料とポリウレタン系樹脂を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載するカバーシート材。
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