JP2016012684A - 半導体発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】内部量子効率IQE及び光取り出し効率LEEの両方が向上されることで半導体発光素子の発光効率が極大化され、さらに上方への出力比が向上された半導体発光素子を提供すること。
【解決手段】半導体発光素子(100)は、少なくとも光学基材(10)、第1半導体層(30)、発光半導体層(40)及び第2半導体層(50)を下から順に積層してなり、光学基材(10)の上面の一部又は全面には第1微細凹凸構造(20)が形成されており、発光半導体層(40)の上面、及び/又は、発光半導体層(40)よりも上方に位置する面の一部あるいは全面には第2微細凹凸構造(60)が形成され、第2微細凹凸構造(60)のデューティが第1微細凹凸構造(20)のデューティよりも小さい。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体発光素子に関する。
近年、発光ダイオード(LED)における発光効率を向上させるために、種々の検討がされている。このような半導体発光素子は、発光部を内部に含む高屈折率領域が低屈折率領域によって挟まれる構成を有する。このため、半導体発光素子の発光部において発光した発光光は高屈折率領域内部を導波する導波モードとなり、高屈折率領域内部に閉じ込められ、導波過程において吸収されて熱となり減衰する。このように、半導体発光素子においては、発光光を半導体発光素子の外部に取り出すことができず、発光効率は大きく減少する問題がある。
LED素子の場合、以下に説明するように、光取り出し効率LEE(Light Extraction Efficiency)と内部量子効率IQE(Internal Quantum Efficiency)、或いは、光取り出し効率LEEと電子注入効率EIE(Electron Injection Efficiency)を同時に改善することで、高効率なLED素子を製造できる。
青色LEDに代表されるGaN系半導体素子は、単結晶基板上にエピタキシャル成長によりn層、発光層、p層を積層して製造される。単結晶基板としては一般的にサファイア単結晶基板やSiC単結晶基板が用いられる。しかしながら、サファイア結晶とGaN系半導体結晶との間には格子不整合が存在するため、GaN系半導体結晶内部に転位が発生する(例えば、非特許文献1参照)。この転位密度は、1×10個/cmに達する。この転位により、LEDの内部量子効率IQE、即ち半導体の発光する効率が下がり、結果として外部量子効率(External Quantum Efficiency)が低下する。
また、GaN系半導体層の屈折率はサファイア基板よりも大きい。このため、半導体発光層内で発生した光は、サファイア基板とGaN系半導体層との界面から臨界角以上の角度では出射しない。即ち、導波モードを形成し、導波過程において熱となり減衰する。このため、光取り出し効率LEEが下がり、結果として外部量子効率EQEが下がる。また、単結晶基板として屈折率の非常に大きなSiC基板を使用した場合、SiC基板と空気層と、の界面から臨界角以上の角度での出光は生じないため、サファイア基板を使用した場合と同様に、導波モードを生成し、光取り出し効率LEEが低下する。
即ち、半導体結晶内部の転位欠陥により内部量子効率IQEが低下し、且つ導波モード形成により光取り出し効率LEEが低下するため、LEDの外部量子効率が大きく低下する。
そこで、単結晶基板上に凹凸構造を設け、半導体結晶層での光の導波方向を変えて、光取り出し効率LEEを上げる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、単結晶基板に設ける凹凸構造の大きさをナノサイズとし、凹凸構造のパターンをランダム配置とした技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。なお、単結晶基板に設けるパターンサイズがナノサイズであると、マイクロサイズのパターン基材に比べ、LEDの発光効率が向上することが報告されている(例えば、非特許文献2参照)。
加えて、更なる光取り出し効率LEEの向上の為に、特にフェイスアップ実装で、凹凸構造を有する成長基材上に半導体層を積層し、上面の光取り出し面に相当する半導体層をエッチングすることで凹凸構造を2層設ける手法も公開されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2003−318441号公報 特開2007−294972号公報 特開2013−168493号公報
IEEE photo. Tech. Lett.,20,13, 1193(2008) J. Appl. Phys.,103,014314(2008)
一般に、LEDの発光効率を示す外部量子効率EQEを決定する要因としては、上述した電子注入効率EIE、内部量子効率IQE及び光取り出し効率LEEが挙げられる。このうち、内部量子効率IQEは、(1)GaN系半導体結晶の結晶不整合に起因する転位密度に依存する。光取り出し効率LEEは、(2)単結晶基板に設けられた凹凸構造による光散乱或いは光回折により、GaN系半導体結晶層内部の導波モードを崩すことで改善される。
しかしながら、従来の技術では、半導体発光素子の発光効率は極大化されない。特許文献1に記載の技術では、(2)の効果による光取り出し効率LEEの改善はなされるが、(1)の効果による内部量子効率IQE改善の効果は少ない。これは、単結晶基板上の凹凸構造により転位欠陥が減少する理由は、凹凸構造によりGaN系半導体層の化学蒸着(CVD)の成長モードが乱され、層成長に伴う転位欠陥が衝突して消滅するためである。そのため、凹凸構造のサイズをナノオーダーのピッチとすることが、転位密度の低減に大きな効果があるため、内部量子効率IQEの改善に有効である。
また、凹凸構造のサイズがナノオーダーとなることで、真空波長を媒質の屈折率で除した光学波長の数倍程度の波長となり、光の波動性が強調される。成長基材にナノオーダーの凹凸構造を設けることによっても導波モードを崩すことで光取り出し効率LEEが向上するが、光の波動性が強調される領域では、光は指向性を有していると観察され、その指向性を好適に制御することで、光取り出し効率LEEについては更なる改善の余地が残されている。
またLEDの代表的な用途である、車のヘッドライトやプロジェクターに代表される投光器といった用途では、デバイスとした際の配光特性は、発光素子光源の配光特性に大きく依存する。上記用途ではチップの上方向に配光していることが有利である。
特許文献3では、光取り出し効率LEEの向上の為に、成長基材と半導体層上面の光取り出し面に凹凸構造を設けているが、半導体層上面の凹凸構造は欠陥をエッチングすることで形成されており、その配置は全く制御されていない。即ち、LEDの効率を高く保ったまま、上記配光特性を制御する為には好適な凹凸構造ではなかった。
本発明は上記課題を鑑みて行われたものであり、内部量子効率IQE及び光取り出し効率LEEの両方を向上させた上で、上方への出力比を向上させた半導体発光素子を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、光学基材に設けるナノパターンの微細凹凸構造と、その上方に設けられる第2微細凹凸構造が、特定の条件を満たす場合、内部量子効率IQE及び光取り出し効率LEEの両方が向上されることで半導体発光素子の発光効率が極大化され、さらに上方への出力比が向上されることを見出した。即ち、本発明は以下の通りである。
本発明の半導体発光素子は、少なくとも光学基材、第1半導体層、発光半導体層及び第2半導体層を下から順に積層してなり、前記基材の上面の一部又は全面には第1微細凹凸構造が形成されており、前記発光半導体層の上面、及び/又は、前記発光半導体層よりも上方に位置する面の一部あるいは全面には第2微細凹凸構造が形成され、前記第2微細凹凸構造のデューティが前記第1微細凹凸構造のデューティよりも小さいことを特徴とする。
この構成により第2微細凹凸構造のデューティが第1微細凹凸構造のデューティよりも小さいことで、光取り出し効率LEEが高いまま、半導体発光素子の上方向への配光制御が可能となる。
本発明の半導体発光素子においては、前記第2微細凹凸構造の側面傾斜角が前記第1微細凹凸構造の側面傾斜角よりも大きいことが好ましい。
本発明の半導体発光素子においては、前記第2微細凹凸構造の平均ピッチPav_2と、前記発光半導体層が放出した発光光の第2光学波長λ2との比(Pav_2/λ2)が1.5以上5.5以下であり、前記第2微細凹凸構造のアスペクト比が0.2以上1以下であることが好ましい。
本発明の半導体発光素子においては、前記第2光学波長λ2は、前記発光光の真空波長λ0を、上面に前記第2微細凹凸構造を有する層の屈折率n2で除したものであることが好ましい。
本発明の半導体発光素子においては、前記第1微細凹凸構造の平均ピッチPav_1と、前記発光半導体層が放出した発光光の第1光学波長λ1との比(Pav_1/λ1)が1.5以上5以下であり、前記第1微細凹凸構造のアスペクト比が0.2以上1以下であることが好ましい。
本発明の半導体発光素子においては、前記第1光学波長λ1は、前記発光光の真空波長λ0を、前記第1半導体層の屈折率n1で除したものであることが好ましい。
本発明の半導体発光素子においては、前記第1半導体層、前記発光半導体層及び前記第2半導体層が、GaN系半導体であることが好ましい。
本発明によれば、内部量子効率IQE及び光取り出し効率LEEの両方が向上されることで半導体発光素子の発光効率が極大化され、さらに上方への出力比が向上された半導体発光素子を提供することができる。
本実施の形態に係る半導体発光素子を示す断面概略図である。 本実施の形態に係る半導体発光素子の他の例を示す断面概略図である。 本実施の形態に係る半導体発光素子の他の例を示す断面概略図である。 本実施の形態に係る半導体発光素子の他の例を示す断面概略図である。 本実施の形態に係る第2微細凹凸構造の側面傾斜角の配光制御を説明するための説明図である。 第2微細凹凸構造の側面傾斜角の効果を説明するための説明図である。 本実施の形態に係る半導体発光素子の第1半導体層を第1微細凹凸構造が形成された表面側から見た上面図である。 本実施の形態に係る半導体発光素子の第1半導体層を第1微細凹凸構造が形成された表面側から見た上面図である。 本実施の形態に係る半導体発光素子の第1微細凹凸構造がドット構造の場合を示す上面図である。 図9に示したピッチPに相当する線分位置における第1微細凹凸構造を示す断面模式図である。 本実施の形態に係る半導体発光素子の第1微細凹凸構造がホール構造の場合を示す上面図である。 図11に示したピッチPに相当する線分位置における第1微細凹凸構造を示す断面模式図である。 本実施の形態に係る第1微細凹凸構造の側面傾斜角の測定方法を説明するための説明図である。
以下、本発明の一実施の形態(以下、「実施の形態」と略記する。)について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
まず、図面を参照して本実施の形態に係る半導体発光素子の構造について説明する。図1は、本実施の形態に係る半導体発光素子を示す断面概略図である。図1に示すように、半導体発光素子100において、光学基材10は、その上面に第1微細凹凸構造20を形成している。光学基材10の第1微細凹凸構造20を含む表面上に第1半導体層30、発光半導体層40及び第2半導体層50が下から順次積層されている。なお、図1において、第1微細凹凸構造20は、光学基材10の上面の一部に設けることもできる。
ここで、発光半導体層40にて発生した発光光は、上方の第2半導体層50側又は下方の光学基材10から取り出される。さらに、第1半導体層30と第2半導体層50と、は互いに異なる半導体層である。ここで、第1半導体層30は、第1微細凹凸構造20を平坦化すると好ましい。第1半導体層30が第1微細凹凸構造20を平坦化するように設けられることにより、第1半導体層30の半導体としての性能を、発光半導体層40及び第2半導体層50へ、と反映させることができるため、内部量子効率IQEが向上する。
また、第1半導体層30は、図1に示すように、非ドープ第1半導体層31とドープ第1半導体層32とから構成されてもよい。ここで、非ドープ第1半導体層31が第1微細凹凸構造20を平坦化するように設けられることにより、非ドープ第1半導体層31の半導体としての性能を、ドープ第1半導体層32、発光半導体層40及び第2半導体層50へ、と反映させることができるため、内部量子効率IQEが向上する。
さらに、非ドープ第1半導体層31は、図1に示すように、バッファー層33を含むと好ましい。半導体発光素子100においては、第1微細凹凸構造20上にバッファー層33を設け、続いて、非ドープ第1半導体層31及びドープ第1半導体層32を順次積層することにより、第1半導体層30の結晶成長の初期条件である核生成及び核成長が良好となり、第1半導体層30の半導体としての性能が向上するため、内部量子効率IQE改善程度が向上する。ここでバッファー層33は、第1微細凹凸構造20を平坦化するように配置されてもよいが、バッファー層33の成長速度は遅いため、半導体発光素子100の製造時間を短縮する観点から、バッファー層33上に設けられる非ドープ第1半導体層31により第1微細凹凸構造20を平坦化することが好ましい。非ドープ第1半導体層31が第1微細凹凸構造20を平坦化するように設けられることにより、非ドープ第1半導体層31の半導体としての性能を、ドープ第1半導体層32、発光半導体層40及び第2半導体層50へ、と反映させることができるため、内部量子効率IQEが向上する。なお、図1において、バッファー層33は第1微細凹凸構造20の表面を覆うように配置されているが、第1微細凹凸構造20の表面に部分的に設けることもできる。特に、第1微細凹凸構造20の凹部底部に優先的にバッファー層33を設けることができる。
さらに、発光半導体層40の上面に形成された第2半導体層50の上面、換言すれば、第2半導体層50の発光半導体層40と対向している面と逆の面上には第2微細凹凸構造60が形成されている。なお、第2微細凹凸構造60は、前記第2半導体層50の上面の全面あるいは一部に形成される。例えば、図1において、第2微細凹凸構造60は、アノード電極70との接触面にも設けられているが、第2微細凹凸構造60を、電極部との接触面を除く第2半導体層50の上面の一部に設けることもできる。
さらに、第2半導体層50の上面にアノード電極70を、そして第1半導体層30の上面にカソード電極80を、それぞれ設けることができる。アノード電極70及びカソード電極80の配置は、半導体発光素子により適宜最適化できるため限定されないが、一般的に、図1に例示するように設けられる。
図2は、本実施の形態に係る半導体発光素子の他の例を示す断面概略図である。第2半導体層50上に透明導電膜90を設けた場合である。第2半導体層50上に透明導電膜90を、透明導電膜90上にアノード電極70を、そして第1半導体層30上にカソード電極80を、それぞれ設けることができる。透明導電膜90、アノード電極70及びカソード電極80の配置は、半導体発光素子により適宜最適化できるため限定されないが、一般的に、図2に例示するように設けられる。なお、図2において、透明導電膜90が、第2微細凹凸構造60の全てを覆っているが、一部の第2微細凹凸構造60が覆われないように設けることもできる。
図3は、本実施の形態に係る半導体発光素子の他の例を示す断面概略図である。図3では、発光半導体層40の上面に第2微細凹凸構造60が設けられる場合である。また、図3にあるように、この第2微細凹凸構造60を第2半導体層50の上面、或いは透明導電膜90の上面まで引き継ぐこともできる。なお、図3において第2微細凹凸構造60は発光半導体層40の上面の一部に設けることもできる。また、第2微細凹凸構造60は第2半導体層50、及び透明導電膜90で覆われているが、一部が覆われず露出していてもよい。
図4は、本実施の形態に係る半導体発光素子の他の例を示す断面概略図である。図4では、透明導電膜90の上面に第2微細凹凸構造60が設けられる場合である。なお、図4において第2微細凹凸構造60は透明導電膜90の上面の全面あるいは一部に形成される。また、第2微細凹凸構造60はアノード電極70との接触面にも設けられているが、第2微細凹凸構造60は、電極部との接触面を除いた透明導電膜90の上面の一部に形成される構成にしてもよい。
図1から図4に示した半導体発光素子100は、ダブルヘテロ構造の半導体発光素子に適用した例であるが、第1半導体層30、発光半導体層40及び第2半導体層50の積層構造はこれに限定されるものではない。
本実施の形態に係る半導体発光素子100は、光学基材10の上面の全面あるいは一部に形成された第1微細凹凸構造20と、発光半導体層40の上面又は発光半導体層40よりも上方に位置する面の全面あるいは一部に形成された第2微細凹凸構造60において、第2微細凹凸構造60のデューティが、第1微細凹凸構造20のデューティよりも小さいことを特徴とする。
第2微細凹凸構造60のデューティが第1微細凹凸構造20のデューティよりも小さいことで、光取り出し効率LEEが高いまま、半導体発光素子100の上方向への配光制御が可能となる。
本実施の形態に係る半導体発光素子100において、第2微細凹凸構造60の側面傾斜角Θが第1微細凹凸構造20の側面傾斜角Θよりも大きいことが好ましい。
第2微細凹凸構造60の側面傾斜角Θが、第1微細凹凸構造20の側面傾斜角Θよりも大きいことにより、光取り出し効率LEEが高いまま、半導体発光素子100の上方向への配光制御が可能となる。図5は、本実施の形態に係る第2微細凹凸構造の側面傾斜角の配光制御を説明するための説明図である。図5の矢印は、光の挙動を示す。図5に示すように、第2微細凹凸構造60の側面傾斜角Θが、第1微細凹凸構造20の側面傾斜角Θよりも大きいことで、第1微細凹凸構造20での回折及び散乱によって半導体発光素子100内の光を鉛直方向に立ち上げることができる。加えて、第2微細凹凸構造60の側面傾斜角Θが大きいために、第1微細凹凸構造20側から入射する光のうち、鉛直方向と一定以上の角度をなす成分をさらに回折及び散乱によって角度変化させ、半導体発光素子100の上方向の輝度向上が可能となる。
本実施の形態に係る半導体発光素子100において、第1微細凹凸構造20の平均ピッチPav_1と、発光半導体層40が放出した発光光の第1光学波長λ1との比(Pav_1/λ1)が1.5以上5以下であり、第1微細凹凸構造20のアスペクト比が0.2以上1以下であることが好ましい。
光学基材10の表面上に設けられた、第1微細凹凸構造20の平均ピッチPav_1と発光半導体層40が放出した発光光の第1光学波長λ1との比(Pav_1/λ1)と、第1微細凹凸構造20のアスペクト比が所定の範囲にあることより、内部量子効率IQE、及び光取り出し効率LEEの向上が可能となる。
まず、内部量子効率IQEの向上が可能となる。具体的には、第1微細凹凸構造20の平均ピッチPav_1が十分に小さくなることにより、光学基材10上での第1半導体層30の成膜時の成長モードを乱すことが可能となり、第1半導体層30の内部に発生する転位を低減することができる。
また、平均ピッチPav_1と発光光の第1光学波長λ1との比(Pav_1/λ1)が1.5以上5以下であることで、光の波動性が強調され、出射光が指向性を有する。これにより、第2微細凹凸構造60を設けることによる出射方向の制御がより行いやすくなる。さらに、アスペクト比が所定の範囲内にあることで、光から見た第1微細凹凸構造20の体積変化が十分大きく、またその回折角度は有利に導波モードを崩すことができ、光取り出し効率LEEが改善する。
本実施の形態に係る半導体発光素子100において、第2微細凹凸構造60の平均ピッチPav_2と、発光半導体層40が放出した発光光の第2光学波長λ2との比(Pav_2/λ2)が1.5以上5.5以下であり、第2微細凹凸構造60のアスペクト比が0.2以上1以下であることが好ましい。
第2微細凹凸構造60の平均ピッチPav_2と発光光の第2光学波長λ2との比(Pav_2/λ2)と、第2微細凹凸構造60のアスペクト比が所定の範囲にあることで、更なる光取り出し効率LEEの向上に加えて、波動性が強調されるために、第1微細凹凸構造20で指向性を有する半導体発光素子100内の光を、さらに上方向へ制御することが可能となる。さらに、アスペクト比が所定の範囲内にあることで、光から見た第2微細凹凸構造60の体積変化が十分大きく、またその回折角度は有利に導波モードを崩すことができ、光取り出し効率LEEが改善する。
本実施の形態に係る半導体発光素子100において、発光光の第1光学波長λ1は、発光光の真空波長λ0を第1半導体層30の屈折率n1で除したものとすることができる。
ここで、発光光とは、半導体発光素子100の発光半導体層40が放出する光をいう。
第1半導体層30が、上述のように、バッファー層33を有し、また、非ドープ第1半導体層31及びドープ第1半導体層32を順次積層したものである場合、発光光の第1光学波長λ1は、第1微細凹凸構造20を平担化するように設けられた非ドープ第1半導体層31、即ち第1半導体層30中での波長である。このように、発光光の第1光学波長λ1は、第1微細凹凸構造20の上に設けられた発光光の媒質となる層に依存して決まる。この層は「光媒質層」と呼ばれ、ここでは、第1半導体層30を、第1光媒質層とする。従って、発光光の第1光学波長λ1は、真空波長λ0及び第1光媒質層(第1半導体層30)の屈折率n1から算出可能である。
なお、発光光の真空波長λ0は、発光半導体層40が、そのバンドギャップに応じて放出する光の真空波長であり、例えば、波長計又は分光放射輝度計により求めることができる。
本実施の形態に係る半導体発光素子100において、発光光の第2光学波長λ2は、発光光の真空波長λ0を、上面に第2微細凹凸構造60を有する層の屈折率n2で除したものとすることができる。上面に第2微細凹凸構造60を有する層とは、第2微細凹凸構造60を有する第2光媒質層として定義される。
第2光媒質層は、例えば図1、或いは図2のような構成であれば第2半導体層50であり、図3のような構成であれば発光半導体層40であり、図4のような構成であれば、透明導電膜90である。
なお、一般的には、第1半導体層30と発光半導体層40、第2半導体層50は同種の元素よりなっており、そのドープ核種、濃度が異なっているが、前記ドープによる屈折率の実部への影響は小さい。また、発光半導体層40、或いは第2半導体層50は一般的に第1半導体層30よりも非常に薄く、正確な値を測定することが実質的に困難である。従って、発光半導体層40、或いは第2半導体層50に第2微細凹凸構造60が設けられている場合、光媒質層の屈折率の実部として、第1半導体層30の屈折率の実部と等しいとすることもできる。
以下、本実施の形態に係る半導体発光素子100が効果を発揮する原理について説明する。
一般に、半導体発光素子の発光効率は、内部量子効率IQEと光取り出し効率LEEによって決定される。この両者の向上のためには、ナノオーダーの凹凸構造による結晶欠陥の低減と、導波モードを崩すこと、の両立が必要となる。特に、導波モードを崩すために、従来は成長基材にマイクロオーダーの凹凸構造を設けることによって光散乱させて光取り出し効率LEEの向上を行っていたが、我々はナノオーダーの微細凹凸構造で生じる光回折、中でも回折のモード数と回折角度に注目した。これによって、成長基材10に設けられた第1微細凹凸構造20による、半導体層を成膜する際の結晶欠陥の低減と、2つの微細凹凸構造による回折によって導波モードを効果的に崩す作用が得られ、さらに前記2つの微細凹凸構造を特徴づけるパラメータの大小関係から、内部量子効率IQE、光取り出し効率LEEの向上の両立による高効率化に加えて、上方向への配光が強めることが可能となった。
まず、第1微細凹凸構造20におけるデューティの影響について述べる。後述する定義より、デューティが小さいことは、第1微細凹凸構造20の平坦部、例えば第1微細凹凸構造20が後述するドット構造の配列であれば、凹部底部の平坦面が多いことを示している。これは、結晶成長の点では、核形成が生じやすく有利であるが、光取り出しの面からは、回折に寄与しない平坦部は少ない方が好ましい。また、第2微細凹凸構造60が第1微細凹凸構造20の上部にある為、半導体発光素子100の上方からの光取り出しを多くするためには、回折効率を上げて、崩された導波モードがなるべく多く上方に向かうようにする必要がある。つまり、第1微細凹凸構造20のデューティは結晶成長を阻害しない範囲で大きいことが好ましい。
次に、第2微細凹凸構造60におけるデューティの影響について述べる。発光半導体層40にて発生した発光光は、半導体発光素子100の上方である第2半導体層50側又は光学基材10から取り出される。ここで、第2微細凹凸構造60があることで、半導体発光素子100の上方から取り出させる光成分の増加、及び配光特性の制御が可能となる。ここで、第2微細凹凸構造60では光の経路は発光半導体層40から半導体発光素子100の外部への一方向のみとなり、第2微細凹凸構造60の平坦面から取り出される成分も存在する。また、デューティが1に近い場合、平坦部が少なく凸部間距離が小さいことを意味し、第2微細凹凸構造60のある凸部に入射した光は、隣接した凸部に入射し易くなるために、チップの内部へ戻る成分が増加することで、光取り出し効率LEEの向上の程度は小さくなる。即ち、半導体発光素子100の上方から取り出せる成分の増加という観点から、平坦部を一定比率有していることが好ましい。
さらに、第2微細凹凸構造60のデューティが第1微細凹凸構造20のデューティより小さいことにより、更なる光取り出し効率LEEの向上と、半導体発光素子100の上方向の輝度向上が可能となる。これは以下の理由による。
光取り出し効率LEEの更なる向上のためには、発光光の経路を考えた際、発光半導体層40で発光した光が、直接第2微細凹凸構造60を通って素子外部へ取り出されるか、或いは素子下部へ向かい、第1微細凹凸構造20での回折、散乱によって、第2微細凹凸構造で透過しやすい角度範囲に入る経路であることが好ましい。ここで、第2微細凹凸構造60のデューティが第1微細凹凸構造20のデューティよりも小さいことで、第1微細凹凸構造20での高い回折効率によって鉛直方向の成分を増やし、且つ第2微細凹凸構造60で平坦面が一定範囲の面積比を有することにより、半導体発光素子100の上方向の輝度向上が可能となる。また、光取り出しの点から、デューティの差は、0.05以上あれば好ましく、0.1以上あればより好ましい。一方、第2微細凹凸構造の平坦面の割合が広くなりすぎ、光取り出しに寄与しにくくなることを防ぐため、デューティの差は0.4以下が好ましく、0.35以下がより好ましい。
次に、2つの微細凹凸構造の側面傾斜角Θの大小関係について述べる。
まず、第2微細凹凸構造60の側面傾斜角Θの効果について述べる。半導体発光素子100の上方向に配光するためには、鉛直方向と大きな角度をなす光が鉛直方向に回折及び散乱されることが必要になる。図6は、第2微細凹凸構造の側面傾斜角の効果を説明するための説明図である。図6の矢印は、第2微細凹凸構造60に入射した光の挙動を示す。なお、光の軌跡を矢印で図示しているが、これは第2微細凹凸構造60が幾何光学で記述できることを意味しておらず、光の波面と垂直な方向を図示しているに過ぎない。
図6Aに示すように、第2微細凹凸構造60の側面傾斜角Θが小さい場合、鉛直方向と大きな角度をなす光は、効果的に鉛直方向に回折及び散乱されない。一方、図6Bに示すように、第2微細凹凸構造60の側面傾斜角Θが大きい場合、鉛直方向と大きな角度をなす光は、効果的に鉛直方向に回折及び散乱される。特に、上面に第2微細凹凸構造60を有する下層(第2光媒質層)は、一般的に薄膜で用いられるため、図6Bのようにアスペクト比の高い形状を作ることは困難である。その為、側面傾斜角Θを大きくできる図6Cにあるような錐台、或いは図6Dに示す柱状の形状が好ましい。
次に、2つの微細凹凸構造の側面傾斜角Θの大小関係について述べる。本実施の形態に置いて、第2微細凹凸構造60の側面傾斜角Θが、第1微細凹凸構造20の側面傾斜角Θよりも大きいことが好ましい。これは、以下の理由と推定される。
光取り出しの経路を考えると、第2微細凹凸構造60が第1微細凹凸構造20の上部にある為、半導体発光素子100の上方からの光取り出しを多くするためには、第1微細凹凸構造20の回折効率を上げて、崩された導波モードがなるべく多く上方に向かうようにする必要がある。これは、図5に示すように、第2微細凹凸構造60の側面傾斜角Θが、第1微細凹凸構造20の側面傾斜角Θよりも大きいことで、第1微細凹凸構造20での回折及び散乱によって半導体発光素子100内の光を鉛直方向に立ち上げ、且つ第2微細凹凸構造60の側面傾斜角Θが大きいために、第1微細凹凸構造20側から入射する光のうち、鉛直方向と一定以上の角度をなす成分をさらに回折及び散乱によって角度変化させ、上方向の輝度向上が可能となったと推定される。なお、図5は、上面に第2微細凹凸構造60を有する下層(第2光媒質層)が第2半導体層50である、即ち第2半導体層50の上面に第2微細凹凸構造60が設けられているが、他の図にあるように、第2微細凹凸構造60が、発光半導体層40の上面、及び/又は、発光半導体層40よりも上方に位置する面の少なくとも一部あるいは全面に、第2微細凹凸構造60が形成されていればよい。即ち、第2微細凹凸構造60の側面傾斜角Θが、第1微細凹凸構造20の側面傾斜角Θよりも大きいことにより、光取り出し効率LEEが高いまま、上方向への配光制御が可能となる。
本実施の形態に係る半導体発光素子100において、第1微細凹凸構造20の平均ピッチPav_1と、発光半導体層40が放出した発光光の第1光学波長λ1との比(Pav_1/λ1)が1.5以上5以下であり、第1微細凹凸構造20のアスペクト比が0.2以上1以下であることが好ましい。
次に、第1微細凹凸構造20が上記の条件を満たすことが好ましい理由を説明する。
上述したように、第1微細凹凸構造20の平均ピッチPav_1が十分に小さくなることにより、光学基材10上での第1半導体層30の成膜時の成長モードを乱すことが可能となり、第1半導体層30の内部に発生する転位を低減することができ、内部量子効率IQEの向上が可能となる。
次に、第1微細凹凸構造20で導波モードを乱すに当たり、上記の条件が好ましい理由を説明する。
一般に、半導体発光素子の発光層で生じた発光光と凹凸構造との相互作用は、半導体発光素子中での発光光の光学波長λと微細凹凸構造が有する大きさとの関係で決まる。
従来用いられていたマイクロオーダーの凹凸構造は、半導体発光素子中の発光光の光学波長λの10倍程度の大きさであり、光と凹凸構造の相互作用は散乱的である。しかしながら、内部量子効率IQEの向上のために凹凸構造の大きさがナノオーダーとなると、半導体発光素子中の発光光の光学波長λの同程度から数倍程度の大きさとなり、光の波動性が強調され相互作用としては光回折が生じるようになる。
光回折を特徴づける要因としては、回折後の強め合う方向の数であるモード、各モードの出光角度、各モードの強度である。光回折ではその波動性ゆえに、凹凸構造での反射及び透過によって強め合う方向が複数生成される。
光回折のモード数は、平均ピッチと光学波長との比が小さいと少なく、平均ピッチと光学波長との比が大きい程多くなる。つまり、平均ピッチと光学波長の比が小さい条件下ではモード数が限定される。これは、回折光が指向性を有していると観察される。
一方、光回折のモード数は、平均ピッチと光学波長との比が大きい程多くなる。この時、モード数の増加によって個々のモードが持つ強度は小さくなる。また、出光角度の分布は徐々に幅広くなる。その振る舞いは散乱的と観察される。
第1微細凹凸構造20及び第2微細凹凸構造60によって導波モードを好適に崩し、光取り出しに寄与させるためには、半導体発光素子100内部での光は指向性を有していることが好ましい。しかしながら平均ピッチと光学波長との比が小さすぎると、回折によって生じるモード数及びモードの出光角度が著しく限定され、効果的に光取り出し効率を向上させることが難しい。何故ならば、第1微細凹凸構造20を通過する光は、半導体層から光学基材へ入射する成分と、逆に光学基材の底面や側面で反射し、再び半導体層へ入射する成分とが混在するため、凹凸構造はその両方向に対して好適である必要がある。このため、モード数及びモードの出光角度が限定されていると、真に光取り出しを最大とし得る構造とすることが困難である。ゆえに、指向性を有した条件で且つ、光取り出しに寄与するモードとすることから、第1微細凹凸構造20の平均ピッチPav_1と第1光学波長λ1との比は1.5以上が好ましく、1.6以上がより好ましい。上限は、5以下が好ましい。
本実施の形態に係る半導体発光素子100において、第2微細凹凸構造60の平均ピッチPav_2と、発光半導体層40が放出した発光光の第2光学波長λ2との比(Pav_2/λ2)が1.5以上5.5以下であり、第2微細凹凸構造60のアスペクト比が0.2以上1以下であることが好ましい。
同様に、第2微細凹凸構造60の平均ピッチPav_2と第2光学波長λ2との比は上記の範囲にあることが好ましい。第1微細凹凸構造20及び第2微細凹凸構造60によって導波モードを好適に崩し、光取り出しに寄与させるためには、半導体発光素子100内部での光は指向性を有していることが好ましい。第2微細凹凸構造60では、光は半導体発光素子100内部より外部へ向かう一方向のみであり、また第2微細凹凸構造60が設けられる界面は出光面に相当する為、モード数が限定されていても、外部へ向かう光のうち半導体発光素子100の上方向へ回折する光成分の強度を向上させるような形状、高さ、側面傾斜角Θとすることで、上方向への輝度を向上させることができる。モード数の観点から、第2微細凹凸構造60の平均ピッチPav_2と、発光半導体層40が放出した発光光の第2光学波長λ2との比(Pav_2/λ2)は、1.5以上が好ましく、2以上がより好ましい。モード数が多すぎると散乱的と観察されることから、比(Pav_2/λ2)は、5.5以下が好ましい。
本実施の形態で設けられる第1微細凹凸構造20及び第2微細凹凸構造60は、複数の凸部或いは凹部から構成される。微細凹凸構造は、凸部或いは凹部を有していれば、その形状や配列は限定されず、内部量子効率IQE及び、光取り出し効率LEEを大きくすることができる。このため、例えば、複数の柵状体が配列したラインアンドスペース構造、複数のドット(凸部、突起)状構造が配列したドット構造、複数のホール(凹部)状構造が配列したホール構造等を採用できる。ドット構造やホール構造は、例えば、円錐、円柱、四角錐、四角柱、六角錐、六角柱、多角錐、多角柱、二重リング状、多重リング状等の構造が挙げられる。なお、これらの形状は底面の外径が歪んだ形状や、側面が湾曲した形状を含む。なお、ドット構造とは、複数の凸部が互いに独立して配置された構造である。即ち、各凸部は連続した凹部により隔てられる。なお、各凸部は連続した凹部により滑らかに接続されてもよい。一方、ホール構造とは、複数の凹部が互いに独立して配置された構造である。即ち、各凹部は連続した凸部により隔てられる。なお、各凹部は連続した凸部により滑らかに接続されてもよい。
第1微細凹凸構造20及び第2微細凹凸構造60の配列は、正六方配列、正四方配列、準六方配列、準四方配列等を採用できる。さらに、これらの配列を組み合わせた配列を採用することもできる。例えば、正六方配列と正四方配列が交互に並んだ配列や、正六方配列から正四方配列にむけて徐々に変化し、正四方配列から正六方配列へと徐々に戻る配列等が挙げられる。ここで準六方配列とは、正六方配列の隣接する凸部間距離(ピッチ)が±15%以下のずれを生じている配列として定義する。このずれ量は、配列内に渡り均等なずれ量でもよく、ずれ量に分布が設けられていてもよい。また、第1微細凹凸構造20及び第2微細凹凸構造60の配列がそれぞれ異なっていてもよい。
次に、第1微細凹凸構造20及び第2微細凹凸構造60で用いられるパラメータの定義を行う。以下では第1微細凹凸構造20について説明するが、特に断りのない限り第2微細凹凸構造60についても同様に定義される。また、パラメータの測定方法については、パラメータの説明後に述べる。
また、以下の説明では、第1微細凹凸構造20がドット構造の場合について説明するが、ホール構造の場合について説明においても、特段区別して説明する他は、以下の用語を同様に用いて説明することができる。
<ピッチP及び平均ピッチPav_1>
図7は、本実施の形態に係る半導体発光素子の第1半導体層を第1微細凹凸構造が形成された表面側から見た上面図である。第1微細凹凸構造20が、複数の凸部20aが凹部20bの中に配置されたドット構造である場合、ある凸部A1の中心とこの凸部A1に隣接する凸部B1−1〜凸部B1−6の中心との間の距離PA1B1−1〜距離PA1B1−6を、ピッチPと定義する。しかし、この図7に示すように、隣接する凸部によりピッチPが異なる場合は次の手順に従い、平均ピッチPav_1を決定する。(1)任意の複数の凸部A1,A2…ANを選択する。(2)凸部AM(1≦M≦N)と凸部AMに隣接する凸部(BM−1〜BM−k)と、のピッチPAMBM−1〜PAMBM−kを測定する。(3)凸部A1〜凸部ANについても、(2)と同様にピッチPを測定する。(4)ピッチPA1B1−1〜PANBN−kの相加平均値を平均ピッチPav_1として定義する。但し、Nは5以上10以下、kは4以上6以下とする。なお、ホール構造の場合、上記ドット構造にて説明した凸部20aを凹部開口部と読み替えることで、平均ピッチPav_1を定義することができる。第2微細凹凸構造60についても同様に定義される。
また、図8は、本実施の形態に係る半導体発光素子の第1半導体層を第1微細凹凸構造が形成された表面側から見た上面図である。図8に示すように、第1微細凹凸構造20がラインアンドスペース構造の場合、ある凸ラインA1の中心線と、この凸ラインA1に隣接する凸ラインB1−1及び凸ラインB1−2の中心線との間の最短距離PA1B1−1及び最短距離PA1B1−2の相加平均を、ピッチPと定義する。しかし、この図8に示すように、選択する凸ラインによりピッチPが異なる場合には、次の手順に従い、平均ピッチPav_1を決定する。(1)任意の複数の凸ラインA1,A2…ANを選択する。(2)凸ラインAM(1≦M≦N)と凸ラインAMに隣接する凸ライン(BM−1、BM−2)と、のピッチPAMBM−1、PAMBM−2を測定する。(3)凸ラインA1〜凸ラインANについても、(2)と同様にピッチPを測定する。(4)ピッチPA1B1−1〜PANBN−2の相加平均値を平均ピッチPav_1として定義する。但し、Nは5以上10以下とする。第2微細凹凸構造60についても同様に定義される。
<凸部頂部幅lcvt、凹部開口幅lcct、凸部底部幅lcvb、凹部底部幅lccb>
図9は、本実施の形態に係る半導体発光素子の第1微細凹凸構造がドット構造の場合を示す上面図である。図9は、第1微細凹凸構造20がドット構造の場合の上面図を示している。図9中に示す破線で示す線分は、ある凸部20aの中心と該凸部20aに最近接する凸部20aの中心との距離であり、上記説明したピッチPを意味する。第2微細凹凸構造60についても同様に定義される。図9中に示したピッチPに相当する線分位置における第1微細凹凸構造20の断面模式図を示したのが図10A及び図10Bである。図10は、図9に示したピッチPに相当する線分位置における第1微細凹凸構造を示す断面模式図である。
図10Aに示すように、凸部頂部幅lcvtは凸部20aの頂面の幅として定義され、凹部開口幅lcctは、ピッチPと凸部頂部幅lcvtと、の差分値(P−lcvt)として定義される。第2微細凹凸構造60についても同様に定義される。
図10Bに示すように、凸部底部幅lcvbは凸部20aの底部の幅として定義され、凹部底部幅lccbは、ピッチPと凸部底部幅lcvbと、の差分値(P−lcvb)として定義される。第2微細凹凸構造60についても同様に定義される。
図11は、本実施の形態に係る半導体発光素子の第1微細凹凸構造がホール構造の場合を示す上面図である。図11は、第1微細凹凸構造20がホール構造の場合の上面図を示している。図11中に破線で示す線分は、ある凹部20bの中心と該凹部20bに最近接する凹部20bの中心との距離であり、上記説明したピッチPを意味する。第2微細凹凸構造60についても同様に定義される。図11中に示したピッチPに相当する線分位置における第1微細凹凸構造20の断面模式図を示したのが図12A及び図12Bである。図12は、図11に示したピッチPに相当する線分位置における第1微細凹凸構造を示す断面模式図である。
図12Aに示すように、凹部開口幅lcctは凹部20bの開口幅として定義され、凸部頂部幅lcvtは、ピッチPと凹部開口幅lcctと、の差分値(P−lcct)として定義される。第2微細凹凸構造60についても同様に定義される。
図12Bに示すように、凸部底部幅lcvbは凸部20aの底部の幅として定義され、凹部底部幅lccbは、ピッチPと凸部底部幅lcvbと、の差分値(P−lcvb)として定義される。第2微細凹凸構造60についても同様に定義される。
<デューティ>
デューティは、ドット構造の場合、凸部底部幅lcvbとピッチPと、の比率(lcvb/P)で定義される。一方、ホール構造の場合、凹部底部幅lccbとピッチPの比率(lccb/P)で定義される。
まず、第1微細凹凸構造20におけるデューティの影響について述べる。前記定義より、デューティが小さいことは、凹凸構造の平坦部、即ちドット構造の配列であれば凹部底部の平坦面が多いことを示している。これは、結晶成長の点では、核形成が生じやすく有利であるが、光取り出しの面からは、回折に寄与しない平坦部は少ない方が好ましい。
一方、デューティの上限は半導体層の結晶成長から定まる。光学基材の平坦部の面積が小さすぎると、結晶成長する際の核形成が阻害され、結果として結晶品質が低下してしまう。
また、回折は凸部20aの体積によって特徴づけられる。独立した凸部20a、或いは凹部20bの配列であるドット構造、ホール構造では、デューティは凸部20aの体積に対して2乗で効く。以上を考慮すると、第1微細凹凸構造20において、ドット構造の凸部20aの配列に対しては、デューティは0.3以上が好ましく、0.5以上がより好ましい。上限は、0.91以下が好ましく、0.86以下がより好ましい。
さらに、ラインアンドスペース構造のような連続した凸部を持つ第1微細凹凸構造20では、凸部の体積はデューティに対して線形である。従って、デューティは0.3以上がより好ましく、0.5以上が最も好ましい。上限は、0.83以下が好ましく、0.74以下がより好ましい。
続いて、第2微細凹凸構造60におけるデューティの影響について述べる。既に説明した通り、発光半導体層40にて発生した発光光は、半導体発光素子100の上方である第2半導体層50側又は光学基材10から取り出される。ここで、第2微細凹凸構造60があることで、半導体発光素子100の上方から取り出させる光成分の増加、及び配向特性の制御が可能となる。ここで、第2微細凹凸構造60では光の経路は発光半導体層40から半導体発光素子100の外部への一方向のみとなり、第2微細凹凸構造60の平坦面から取り出される成分も存在する。即ち、半導体発光素子100の上方から取り出せる成分の増加という観点から、平坦部を一定比率有していることが好ましい。
独立した凸部、或いは凹部の配列であるドット構造、ホール構造では、デューティは凸部或いは凹部の体積に対して2乗で効く。以上を考慮すると、第2微細凹凸構造60において、ドット構造の凸部20aの配列に対しては、デューティは0.3以上が好ましく、0.5以上がより好ましい。上限は、0.8以下が好ましく、0.7以下がより好ましい。
さらに、ラインアンドスペース構造のような連続した凸部を持つ第2微細凹凸構造60では、凸部の体積はデューティに対して線形である。従って、デューティは0.3以上がより好ましく、0.5以上が最も好ましい。上限は、0.6以下が好ましく、0.5以下がより好ましい。
<高さH>
第1微細凹凸構造20の高さHは、第1微細凹凸構造20の凹部20b底部の平均位置と凹凸構造の凸部20a頂点の平均位置と、の最短距離として定義する。第2微細凹凸構造60についても同様に定義される。平均位置を算出する際のサンプル点数は10点以上であることが好ましい。
高さHが大きい程、平均ピッチPav_1によって定まる回折モードの群の中から、より多くのモードと入射光は相互作用する。つまり、高さHが小さい場合には、平均ピッチPav_1によって定まる回折モードの群の中から限られたモードの回折光とのみ第1微細凹凸構造20を介して入射光が作用するが、高さHが大きい場合には、平均ピッチPav_1によって定まる回折モードの群の中の、より多くの回折モードと入射光は相互作用をする。つまり、高さHが大きい程、入射光と第1微細凹凸構造20の相互作用は、振る舞いとしてはより散乱的になる。高さHが大きい程、多くのモードと相互作用するが、この中には、光取り出しに寄与しないモードも含まれている。ゆえに散乱的であればロスが生じる。よって、第1微細凹凸構造20は、過剰に高い形状である必要はない。
また、特に微細凹凸構造が第1微細凹凸構造20の場合について、凸部20aがナノメートルオーダーであることより、平坦化に要する第1半導体層30の厚みを薄くできる。ゆえに、光学基材10と半導体層の格子定数の差、或いは熱膨張係数の差に由来する半導体発光素子100の反りやクラックを抑制できる。上記の観点から、第1微細凹凸構造20の高さHは、平均ピッチPav_1の1倍以下が好ましく、0.7倍以下がより好ましい。
<アスペクト比>
アスペクト比はドット構造の場合、凸部高さHと凸部底部幅lcvbとの比、即ち(H/lcvb)である。一方、ホール構造の場合、凹部深さHと凹部底部幅lccbとの比、即ち(H/lccb)である。
第1微細凹凸構造20及び第2微細凹凸構造60について、アスペクト比が大きいことは高さHが大きい、つまり多くの回折モードが立ち、結果として光取り出しに寄与するモードが立ち易くなる。このためアスペクト比は0.2以上が好ましく、0.3以上がより好ましい。凸部が高すぎて、過剰に回折及び散乱されてしまうことを防ぐため、アスペクト比は1以下が好ましく、0.9以下がより好ましい。
<側面傾斜角Θ>
凸部20aの側面の傾斜角Θは、上記説明した第1微細凹凸構造20の形状パラメータより決定される。特に微細凹凸構造が第1微細凹凸構造20の場合において、成長基材10と半導体結晶層の材質により、凸部20a側面の傾斜角Θを、凸部20a側面に出る結晶面より選定することもできる。
なお、大小関係で比較する際の凸部20a側面傾斜角Θについて、測定方法を図13で示す。図13は、本実施の形態に係る第1微細凹凸構造の側面傾斜角の測定方法を説明するための説明図である。凸部20a側面傾斜角Θは、傾斜角が多段階で変化している場合、例えば凸部20aが半球状の場合、単純には定まらない。そこで、本明細書中で用いる凸部20a側面傾斜角Θとは、「底部径に相当する部分(lcvb)と、凸部20aの高さHの3分の1付近、高さHの3分の2付近の合計3点で測定し、その平均の値を凸部1個に対する測定値とする」ことによって定めることとする。
例えば、図13Aに示した円錐形状、或いは図13Bの円錐台であれば、一つの凸部20aについて測定した傾斜角α、β、γはほぼ等しく、1点の凸部20a側面傾斜角Θはその3つの平均となる。例えば、図13Cに示すように凸部20aが半球状の場合も、一つの凸部20aについて傾斜角α、β、γを測定し、その平均が凸部20a1点の側面傾斜角となる。例えば、図13Dに示すように、凸部20aに傾斜角が2つあるような場合でも、同様にα、β、γを測定し、その平均が凸部20a1点の側面傾斜角となる。第2微細凹凸構造60についても同様に定義される。
第1微細凹凸構造20については、光回折で取り出しに寄与する成分を大きくする点から、凸部20a側面傾斜角Θは30度以上が好ましく、35度以上がより好ましい。一方、光学基材10上に結晶成長させる際、凸部20aの裾にボイドが発生し易くなり、欠陥が生じやすくなることを防ぐため、凸部20a側面傾斜角Θは65度以下が好ましく、60度以下がより好ましい。
第2微細凹凸構造60については、半導体発光素子100の上方向の輝度を向上させるために、側面傾斜角Θは45度以上が好ましく、55度以上がより好ましい。一方、第2微細凹凸構造60上に成膜や樹脂の充填を行う際、空隙が生じやすくなることを防ぐため、側面傾斜角Θは85度以下が好ましく、80度以下がより好ましい。
次に、前記パラメータの測定方法について述べる。前記パラメータ、例えばデューティや側面傾斜角Θ、高さHは、微細凹凸構造を観察、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)で撮像することによって、前記の定義から個々の凹凸構造に対して求めることができる。本明細書中では、以下に記した局所的範囲で相加平均を取り、得られた値を微細凹凸構造が有するパラメータの値とすることとする。
(相加平均)
ある要素(変量)の分布のN個の測定値をx1、x2…、xnとした場合に、相加平均値は、次式(1)にて定義される。
Figure 2016012684
相加平均を算出する際のサンプル点数Nは、20として定義する。20としたのは、下記局所的範囲内で任意に個々の凹凸構造を選んだ際、十分な統計平均を取るためである。
ここで、観察に使用する局所的範囲とは、微細凹凸構造の平均ピッチの5倍〜50倍程度の範囲として定義する。例えば、平均ピッチPav_1が700nmであれば、3500nm〜35000nmの観察範囲の中で観察を行う。そのため、例えば7500nmの視野像を微細凹凸構造を有する領域内の、例えば中央の位置で撮像し、該撮像を使用して相加平均を求める。前記視野像の撮像には、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)を用いることができる。また、第1微細凹凸構造の撮像位置と、第2微細凹凸構造の撮像位置は、微細凹凸構造を有する面内方向で異なる位置でもよい。
また、半導体発光素子100となったものから、第1微細凹凸構造20及び第2微細凹凸構造60のパラメータを測定する場合、封止材などのパッケージ材料を除去して半導体発光素子100を取り出し、断面像を撮像し、第2微細凹凸構造60を有する面を確認した後、必要に応じて第2微細凹凸構造60を覆っている層、例えば、第2半導体層50上に透明導電膜90が設けられ、第2半導体層50の上面に第2微細凹凸構造60が設けられている場合は、透明導電膜90、を除去した後、第2微細凹凸構造60の表面像、断面像を撮像し、その後、第1半導体層30とその上の層を除去することで、第1微細凹凸構造20を有する光学基材10が得られ、同様に第1微細凹凸構造20の表面像、断面像を撮像することで、第1微細凹凸構造20及び第2微細凹凸構造60が有するパラメータの大小関係を求めることができる。
次に、半導体発光素子100を構成する各層の材質等について説明する。本実施の形態に係る半導体発光素子100は、光学基材10の上面に設けられた第1微細凹凸構造20、及び発光半導体層40の上面、及び/又は、発光半導体層40よりも上方に位置する面の一部あるいは全面(半導体発光素子100の上方の光取り出し面)に形成された第2微細凹凸構造60が前記範囲を満たす形状であることで、内部量子効率IQE及び光取り出し効率LEEの両者を向上させた半導体発光素子100となるため、この効果を発揮する限り、各半導体層の材料、状態、層数又は厚み、電極の材料、層数、配置又は厚み、発光半導体層の材料、層数、又は厚み、成長基材の材料、面方位又は厚み等は適宜選択することができ、特に限定されない。
上面に第1微細凹凸構造20を形成した光学基材10の、第1微細凹凸構造20上に第1半導体層30、発光半導体層40及び第2半導体層50が下から順次積層され、発光半導体層40の上面、及び/又は、発光半導体層40よりも上方に位置する面の一部あるいは全面に第2微細凹凸構造60が設けられ、半導体発光素子100を構成する。ここで、本実施の形態に係る半導体発光素子100は、発光半導体層40にて発生した発光光を、第2微細凹凸構造60側又は光学基材10から取り出すことを特徴とする。さらに、第1半導体層30と第2半導体層50と、は互いに異なる半導体層である。ここで、第1半導体層30は、第1微細凹凸構造20を平坦化すると好ましい。第1半導体層30が第1微細凹凸構造20を平坦化するように設けられることにより、第1半導体層30の半導体としての性能を、発光半導体層40及び第2半導体層50へ、と反映させることができるため、内部量子効率IQEが向上する。また、第1半導体層30は非ドープ第1半導体層31とドープ第1半導体層32とから構成されてもよい。
さらに、第1半導体層30に続いて、発光半導体層40及び第2半導体層50を積層する。その後に、半導体発光素子100の第2半導体層50上に透明導電膜90を、透明導電膜90の上面にアノード電極70を、そして第1半導体層30上面にカソード電極80を、それぞれ設けることができる。透明導電膜90、アノード電極70及びカソード電極80の配置は、半導体発光素子により適宜最適化できるため限定されないが、図2に例示するように設けられるのが一般的である。なお、図2において、透明導電膜90が、第2微細凹凸構造60の全体を覆っているが、一部が覆われないように設けることもできる。また、図1に例示するように、透明導電膜90は設けなくともよい。
・第1半導体層30
第1半導体層30としては、半導体発光素子(LED)に適したn型半導体層として使用できるものであれば、特に制限はない。例えば、シリコン、ゲルマニウム等の元素半導体、及び、III−V族、II−VI族、VI−VI族等の化合物半導体に適宜、種々の元素をドープしたものを適用できる。
第1半導体層30と後述する第1微細凹凸構造20が形成された光学基材10とは、第1半導体層30内部の転位低減の観点から適宜組み合わせることができる。第1微細凹凸構造20の凹部20bの底部の有す平坦面と、第1半導体層30の安定成長面に対してほぼ平行な面と、が平行である場合、第1微細凹凸構造20の凹部20bの近傍における第1半導体層30の成長モードの乱れが大きくなり、第1半導体層30内の転位を効果的に第1微細凹凸構造20に応じ分散化することができるため、内部量子効率IQEが向上する。安定成長面とは、成長させる材料において成長速度の最も遅い面のことをさす。
また、第1微細凹凸構造20がナノオーダーであることより、第1半導体層30で第1微細凹凸構造20を平坦化するために必要な厚みが薄くなる。このため、発光半導体層40からの光を吸収する半導体層が薄くなることで、光取り出し効率LEEのさらなる向上が見込まれると共に、第1半導体層30並びにその上に順次積層される発光半導体層40及び第2半導体層50の反りを抑制することが可能となり、従来よりも大面積の半導体発光素子100とすることができる。このため、第1半導体層30の厚みは、5μm以下が好ましく、4μm以下がより好ましく、3.5μm以下がさらに好ましく、2.5μm以下がいっそう好ましく、1.5μm以下が最も好ましい。
・発光半導体層40
発光半導体層40としては、半導体発光素子(LED)として発光特性を有するものであれば、特に限定されない。例えば、発光半導体層40として、AsP、GaP、AlGaAs、InGaN、GaN、AlGaN、ZnSe、AlHaInP、ZnO等の半導体層を適用できる。また、発光半導体層40には、適宜、特性に応じて種々の元素をドープしてもよい。
・第2半導体層50
第2半導体層50としては、半導体発光素子(LED)に適したp型半導体層として使用できるものであれば、特に制限はない。例えば、シリコン、ゲルマニウム等の元素半導体、及び、III−V族、II−VI族、VI−VI族等の化合物半導体に適宜、種々の元素をドープしたものを適用できる。
・光学基材10
光学基材10の材質は、半導体発光素子用基板として使用できるものであれば特に制限はない。サファイア、SiC、SiN、GaN、W−Cu、シリコン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化マンガン、酸化ジルコニウム、酸化マンガン亜鉛鉄、酸化マグネシウムアルミニウム、ホウ化ジルコニウム、酸化ガリウム、酸化インジウム、酸化リチウムガリウム、酸化リチウムアルミニウム、酸化ネオジウムガリウム、酸化ランタンストロンチウムアルミニウムタンタル、酸化ストロンチウムチタン、酸化チタン、ハフニウム、タングステン、モリブデン、GaP、GaAs等の基板を用いることができる。中でも半導体層との格子マッチングの観点から、サファイア、GaN、GaP、GaAs、SiC基板、Si基板、スピネル基板等を適用することが好ましい。さらに、単体で用いてもよく、これらを用いた基板本体上に別の基板を設けたヘテロ構造の基板としてもよい。例えば、光学基材10に、C面(0001)を主面とするサファイア基板を用いることができる。
・透明導電膜90
本実施の形態に係る半導体発光素子100においては、透明導電膜90の材質は、LEDに適した透明導電膜90として使用できるものであれば、特に制限はない。例えば、Ni/Au電極等の金属薄膜や、ITO、ZnO、In、SnO、IZO、IGZO等の導電性酸化物膜等を適用できる。特に、透明性、導電性の観点からITOが好ましい。
次に、本実施の形態に係る半導体発光素子100の製造方法の各工程について説明する。
・微細凹凸構造準備工程
上記説明した第1微細凹凸構造20及び第2微細凹凸構造60を形成することができれば、その作製方法は限定されず、転写法、フォトリソグラフィ法、熱リソグラフィ法、電子線描画法、干渉露光法、ナノ粒子をマスクとしたリソグラフィ法、自己組織化構造をマスクとしたリソグラフィ法等により作製することができる。特に、第1微細凹凸構造20及び第2微細凹凸構造60の加工精度や加工速度の観点から、転写法を採用すると好ましい。
本明細書における転写法とは、表面にテクスチャーを具備したモールドの、テクスチャーを被処理体(第1微細凹凸構造20を作製する前の光学基材10又は第2微細凹凸構造60を設ける層)に転写する工程を含む方法として定義する。即ち、モールドのテクスチャーと被処理体と、を転写材を介し貼合する工程と、モールドを剥離する工程と、を少なくとも含む方法である。より具体的に、転写法は2つに分類することができる。
第1に、被処理体に転写付与された転写材を永久剤として使用する場合である。この場合、特に第1微細凹凸構造20では光学基材10本体と第1微細凹凸構造20とを構成する材料は異なることとなる。また、微細凹凸構造は永久剤として残り、半導体発光素子として使用されることを特徴とする。半導体発光素子は、数万時間と長期に渡り使用することから、転写材を永久剤として使用する場合、転写材を構成する材料は、金属元素を含むと好ましい。特に、加水分解・重縮合反応を生じる金属アルコキシドや、金属アルコキシドの縮合体を原料に含むことにより、永久剤としての性能が向上するため好ましい。
第2に、ナノインプリントリソグラフィ法が挙げられる。ナノインプリントリソグラフィ法は、モールドのテクスチャーを被処理体上に転写する工程と、エッチングにより被処理体を加工するためのマスクを設ける工程と、被処理体をエッチングする工程と、を含む方法である。例えば、転写材を1種類用いる場合、まず被処理体とモールドとを、転写材を介し貼合する。続いて、熱や光(UV)により転写材を硬化させ、モールドを剥離する。転写材から構成される凹凸構造に対して酸素アッシングに代表されるエッチングを行い、被処理体を部分的に露出させる。その後、転写材をマスクとして、エッチングにより被処理体を加工する。この際の加工方法としては、ドライエッチングとウェットエッチングを採用できる。凹凸構造の高さを高くしたい場合はドライエッチングが有用である。また、例えば転写材を2種類用いる場合、まず被処理体上に第1転写材により第1転写材層を成膜する。続いて、第1転写材層とモールドとを、第2転写材を介して貼合する。その後、熱や光(UV)により転写材を硬化させ、モールドを剥離する。第2転写材層から構成される凹凸構造に対して酸素アッシングに代表されるエッチングを行い、第1転写材層を部分的に露出させる。続いて、第2転写材層をマスクとして、第1転写材層をドライエッチングによりエッチングする。その後、エッチング後、残された第1転写材層及び第2転写材層をマスクとして、エッチングにより被処理体を加工する。この際の加工方法としては、ドライエッチングとウェットエッチングを採用できる。微細凹凸構造の高さを高くしたい場合はドライエッチングが有用である。
以上説明したように、転写法を採用することで、モールドのテクスチャーを被処理体に反映させることができるため、良好な第1微細凹凸構造20を具備する光学基材10或いは第2微細凹凸構造60を具備する半導体発光素子100を得ることができる。
ナノインプリントモールドの材質は特に限定されず、非フレキシブルなガラス、石英、サファイア、ニッケルや、フレキシブルな樹脂を使用することができる。中でも、フレキシブルなモールドを使用することで、モールドのテクスチャーの転写精度が向上し、且つ、形成される微細凹凸構造の精度が向上するため、好ましい。
・半導体層及び透明導電膜積層工程
光学基材10の第1微細凹凸構造20上に、第1半導体層30、発光半導体層40、第2半導体層50及び透明導電膜90を順次成膜する。各半導体層の形成方法は、特に限定されないが、周知の有機金属気相成長法(MOCVD法)、分子線結晶成長法(MBE法)、ハライド系気相成長法(HVPE法)、スパッタ法、イオンプレーティング法、電子シャワー法等によって形成することができる。
第1微細凹凸構造20がナノオーダーの構造であるために、第1半導体層30で平坦化するために有する膜厚を薄くすることができる。これは、従来手法よりも製造時間及びコストが低減されることを意味している。LED製造においては、半導体結晶層成膜工程である(MO)CVD工程が律速であり、スループットを低下させ、且つ材料コストを押し上げている。半導体結晶量を低減できることは、(MO)CVD工程のスループット性を向上させると共に、使用材料を低減させることを意味するため、製造上重要な要件となる。
・第2微細凹凸構造60形成工程
第2微細凹凸構造60は、第2微細凹凸構造60を設ける面によって形成工程が異なる。図1或いは図2にあるように、第2微細凹凸構造60が第2半導体層50の上面に設けられる場合、第2半導体層50まで成膜した後、例えば上記の転写法によって第2半導体層50の上面に第2微細凹凸構造60を設けることができる。或いは、図3にあるように発光半導体層40の上面に第2微細凹凸構造60を設ける場合、発光半導体層40まで成膜した後、例えば上記の転写法によって発光半導体層40の上面に第2微細凹凸構造60を形成することができる。図4にあるように、第2微細凹凸構造60を透明導電膜層90の上面に設ける場合、透明導電膜層90まで成膜した後に、例えば上記の転写法によって第2微細凹凸構造60を透明導電膜層90の上面に設けることができる。
・電極形成工程
上述の通り成膜したウェハに対して、アノード電極70及びカソード電極80を形成する。これらの電極の形成は、公知の方法によって行われる。例えば、フォトレジストを成膜し、フォトリソグラフィを行って半導体発光素子100をパターニングする。レジストで覆われていない部分を、塩素系ドライエッチングで第1半導体層30までエッチングした後、レジストを除去する。再度、フォトレジストを成膜し、フォトリソグラフィを行って電極パッド形成部位をパターニングする。次に、真空蒸着法やスパッタなどの公知の方法で電極パッド材料の金属(Cr、Ti、Au等)を全面に成膜する。その後、レジストとレジスト上に成膜された電極パッド材料をリフトオフ法により除去して、アノード電極70とカソード電極80が形成される。
アノード電極70及びカソード電極80の材料は、当該電極が接合する半導体層に対して低抵抗にコンタクトをとることができる材料であればよい。アノード電極70及びカソード電極80はパッド部のみからなる構造であってもよいが、パッド部に連続する格子状、放射状等の配線状パターンの配線電極を設け、素子面方向の電流拡散性を向上させるようにしてもよい。
・裁断工程
レーザースクライプやレーザーダイサ等を用いて、発光素子単位に分断する個変化処理を行う。
以下、本発明の効果を確認するために行った実施例について説明する。以下の説明において使用する記号は、以下の意味を示す。
・DACHP…フッ素含有ウレタン(メタ)アクリレート(OPTOOL(登録商標) DAC HP(ダイキン工業社製))
・M350…トリメチロールプロパン(EO変性)トリアクリレート(東亞合成社製 M350)
・I.184…1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製 Irgacure(登録商標) 184)
・I.369…2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(BASF社製 Irgacure(登録商標) 369)
・TTB…チタニウム(IV)テトラブトキシドモノマー(和光純薬工業社製)
・SH710…フェニル変性シリコーン(東レ・ダウコーニング社製)
・3APTMS…3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン社製 KBM5103)
・DIBK…ジイソブチルケトン
・MEK…メチルエチルケトン
・MIBK…メチルイソブチルケトン
・PGME…1−メトキシ−2−プロパノール
・SR833…トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(SARTOMER社製 SR833)
・SR368…トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート(SARTOMER社製 SR368)
表面に第1微細凹凸構造を具備する光学基材を作製し、光学基材上に第1半導体層、発光半導体層及び第2半導体層を下から順次積層し、第2半導体層上に第2微細凹凸構造を形成した後、半導体発光素子(LED)を作製し、LEDの効率を比較した。この時、第1微細凹凸構造及び第2微細凹凸構造の形状を変化させた。
以下の検討においては、表面に微細凹凸構造を具備する半導体発光素子を作製するために、まず(1)円筒状マスターモールドを作製し、(2)円筒状マスターモールドに対して光転写法を適用して、リール状樹脂モールドを作製した。(3)その後、リール状樹脂モールドを光学基材のナノ加工用部材(ナノ加工用フィルム)へと加工した。続いて、(4)ナノ加工用フィルムを使用し、光学基材上にマスクを形成し、得られたマスクを介してドライエッチングを行うことで、表面に第1微細凹凸構造を具備した光学基材を作製した。(5)光学基材上に各半導体層を積層した。(6)ナノ加工用フィルムを使用し、第2半導体層上にマスクを形成し、得られたマスクを介してドライエッチングを行うことで、表面に第2微細凹凸構造を具備した積層半導体層を作製した。(7)その後透明導電膜を蒸着し、最後に、電極を取り付けて性能を評価した。
(1)円筒状マスターモールドの作製
半導体レーザーを用いた直接描画リソグラフィ法により円筒状石英ガラスの表面に、テクスチャーを形成した。まず円筒状石英ガラス表面上に、スパッタリング法によりレジスト層を成膜した。スパッタリング法を用いて、ターゲット(レジスト層)として、φ3インチのCuO(8atm%Si含有)を用いて、RF100Wの電力で実施し、膜厚20nmのレジスト層を成膜した。その後、一度円筒状石英ガラスの全面を露光した。続いて、円筒状石英ガラスを回転させながら、波長405nm半導体レーザーを用い露光を行った。次に、露光後のレジスト層を現像した。レジスト層の現像は、0.03wt%のグリシン水溶液を用いて、240秒間処理とした。次に、現像したレジスト層をマスクとし、ドライエッチングによるエッチング層(石英ガラス)のエッチングを行った。ドライエッチングは、エッチングガスとしてSFを用い、処理ガス圧1Pa、処理電力300W、処理時間5分の条件で実施した。最後に、表面にテクスチャーが付与された円筒状石英ガラスから、レジスト層残渣のみを、pH1の塩酸を用い剥離した。剥離時間は6分間とした。
得られた円筒状石英ガラスのテクスチャーに対し、フッ素系離型剤であるデュラサーフ(以下、登録商標)HD−1101Z(ダイキン化学工業社製)を塗布し、60℃で1時間加熱後、室温で24時間静置し固定化した。その後、デュラサーフHD−ZV(ダイキン化学工業社製)で3回洗浄し、円筒状マスターモールドを得た。
(2)リール状樹脂モールドの作製
作製した円筒状マスターモールドを鋳型とし、光ナノインプリント法を適用し、連続的にリール状樹脂モールドG1を作製した。続いて、リール状樹脂モールドG1をテンプレートとして、光ナノインプリント法により、連続的にリール状樹脂モールドG2を得た。
PETフィルムA−4100(東洋紡社製:幅300mm、厚さ100μm)の易接着面にマイクログラビアコーティング(廉井精機社製)により、塗布膜厚5μmになるように以下に示す材料1を塗布した。次いで、円筒状マスターモールドに対し、材料1が塗布されたPETフィルムをニップロール(0.1MPa)で押し付け、大気下、温度25℃、湿度60%で、ランプ中心下での積算露光量が1500mJ/cmとなるように、フュージョンUVシステムズ・ジャパン株式会社製UV露光装置(Hバルブ)を用いて紫外線を照射し、連続的に光硬化を実施し、表面にテクスチャーが転写されたリール状樹脂モールドG1(長さ200m、幅300mm)を得た。
材料1…kDACHP:M350:I.184:I.369=17.5g:100g:5.5g:2.0g
次に、リール状樹脂モールドG1をテンプレートとして見立て、光ナノインプリント法を適用し連続的に、リール状樹脂モールドG2を作製した。
PETフィルムA−4100(東洋紡社製:幅300mm、厚さ100μm)の易接着面にマイクログラビアコーティング(廉井精機社製)により、材料1を塗布膜厚3μmになるように塗布した。次いで、リール状樹脂モールドG1のテクスチャー面に対し、材料1が塗布されたPETフィルムをニップロール(0.1MPa)で押し付け、大気下、温度25℃、湿度60%で、ランプ中心下での積算露光量が1200mJ/cmとなるように、フュージョンUVシステムズ・ジャパン株式会社製UV露光装置(Hバルブ)を用いて紫外線を照射し、連続的に光硬化を実施し、表面にテクスチャーが転写されたリール状樹脂モールドG2(長さ200m、幅300mm)を複数得た。
(3)ナノ加工用フィルムの作製
リール状樹脂モールドG2のテクスチャー面に対して、下記材料2の希釈液を塗工した。続いて、材料2をテクスチャー内部に内包するリール状樹脂モールドG2のテクスチャー面上に、下記材料3の希釈液を塗工し、ナノ加工用フィルムを得た。
材料2…TTB:3APTMS:SH710:I.184:I.369=65.2g:34.8g:5.0g:1.9g:0.7g
材料3…Bindingpolymer:SR833:SR368:I.184:I.369=77.1g:11.5g:11.5g:1.47g:0.53g
Bindingpolymer…ベンジルメタクリレート80質量%、メタクリル酸20質量%の2元共重合体のメチルエチルケトン溶液(固形分50%、重量平均分子量56000、酸当量430、分散度2.7)
(2)リール状樹脂モールドの作製と同様の装置を使用し、PGMEにて希釈した材料2を、リール状樹脂モールドG2のテクスチャー面上に直接塗工した。ここで、希釈濃度は、単位面積当たりの塗工原料(PGMEにて希釈した材料2)中に含まれる固形分量が、単位面積当たりのテクスチャーの体積よりも20%以上小さくなるように設定した。塗工後、80℃の送風乾燥炉内を5分間かけて通過させ、材料2をテクスチャー内部に内包するリール状樹脂モールドG2を巻き取り回収した。
続いて、材料2をテクスチャー内部に内包するリール状樹脂モールドG2を巻き出すと共に、(2)リール状樹脂モールドの作製と同様の装置を使用し、PGME及びMEKにて希釈した材料3を、テクスチャー面上に直接塗工した。ここで、希釈濃度は、テクスチャー内部に配置された材料2と塗工された材料3の界面と、材料3の表面と、の距離が400nm〜800nmになるように設定した。塗工後、80℃の送風乾燥炉内を5分間かけて通過させ、材料3の表面にポリプロピレンから成るカバーフィルムを合わせ、巻き取り回収した。
(4)光学基材のナノ加工
作製したナノ加工用フィルムを使用し、光学基材の加工を試みた。光学基材としてはc面サファイア基板を使用した。
サファイア基板に対しUV−O処理を5分間行い、表面のパーティクルを除去すると共に、親水化した。続いて、ナノ加工用フィルムの材料3表面を、サファイア基材に対して貼合した。この時、サファイア基板を80℃に加温した状態で貼合した。続いて、高圧水銀灯光源を使用し、積算光量が1200mJ/cmになるように、リール状樹脂モールドG2越しに光照射した。その後、リール状樹脂モールドG2を剥離した。
得られた積層体(材料2/材料3/基材からなる積層体)の材料2面側より酸素ガスを使用したエッチングを行い、材料2をマスクとして見立て材料3をナノ加工し、サファイア基材表面を部分的に露出させた。酸素エッチングとしては、処理ガス圧1Pa、処理電力300Wの条件にて行った。続いて、材料2面側からBClガスを使用した反応性イオンエッチングを行い、サファイア基材をナノ加工した。BClを使用したエッチングは、ICP:150W、BIAS:50W、処理ガス圧0.2Paにて実施し、反応性イオンエッチング装置(RIE−101iPH、サムコ株式会社製)を使用した。
最後に、硫酸及び過酸化水素水を2:1の重量比にて混合した溶液にて洗浄し、第1微細凹凸構造を表面に具備するサファイア基材を得た。なお、サファイア基材上に作製される第1微細凹凸構造の形状は、主に、ナノ加工用フィルムの材料2の充填率と材料3の膜厚、円筒状マスターモールドに作製したテクスチャーの形状、リール状樹脂モールドを製造する際のニップ圧条件、ドライエッチングの処理条件により適宜制御した。
(5)積層半導体層の作製
得られたサファイア基材上に、バッファー層としてAlxGa1−xN(0≦x≦1)の低温成長バッファー層を100Å成膜した。次に、非ドープ第1半導体層として、アンドープのGaNを成膜し、ドープ第1半導体層として、SiドープのGaNを成膜した。続いて歪吸収層を設け、その後発光半導体層として、多重量子井戸の活性層(井戸層、障壁層=アンドープのInGaN、SiドープのGaN)をそれぞれの膜厚を(60Å、250Å)として井戸層が6層、障壁層が7層となるように交互に積層した。発光半導体層上に、第2半導体層として、エレクトロブロッキング層を含むようにMgドープのAlGaN、アンドープのGaN、MgドープのGaNを積層し、積層半導体層を得た。
(6)第2微細凹凸構造の形成
第2半導体層まで積層した積層半導体層に、作製したナノ加工用フィルムを使用し、第2微細凹凸構造の形成を試みた。即ち、第2半導体層に第2微細凹凸構造を形成した。
ナノ加工用フィルムの材料3表面を、積層半導体層の第2半導体層に対して貼合した。この時、積層半導体層を80℃に加温した状態で貼合した。続いて、高圧水銀灯光源を使用し、積算光量が1200mJ/cmになるように、リール状樹脂モールドG2越しに光照射した。その後、リール状樹脂モールドG2を剥離した。
得られた積層体(材料2/材料3/積層半導体層)の材料2面側より酸素ガスを使用したエッチングを行い、材料2をマスクとして見立て材料3をナノ加工し、積層半導体層を部分的に露出させた。酸素エッチングとしては、処理ガス圧1Pa、処理電力300Wの条件にて行った。続いて、材料2面側からClガスとBClガスを混合した反応性イオンエッチングを行い、積層半導体層をナノ加工した。前記ガスを使用したエッチングは、ICP:50〜150W、BIAS:50〜100W、処理ガス圧0.1〜0.2Paにて実施し、反応性イオンエッチング装置(RIE−101iPH、サムコ株式会社製)を使用した。ガスの比率は流量比でCl/(Cl+BCl)の比を0〜0.5とした。
ドライエッチング後に酸素エッチングを行い、積層半導体層に残留していたマスク及びエッチング堆積物を除去した。酸素エッチングは、処理ガス圧1Pa、処理電力300Wの条件にて行った。なお、積層半導体層に作製される第2微細凹凸構造の形状は、主に、ナノ加工用フィルムの材料2の充填率と材料3の膜厚、及び反応性イオンエッチングの条件を適宜変えることにより制御した。
その後、透明導電膜としてITOを成膜し、電極形成工程、裁断工程を経て得られた半導体発光素子について、p電極パッドとn電極パッドの間に20mAの電流を流し発光出力を測定した。なお、発光出力比は第1微細凹凸構造及び第2微細凹凸構造を具備しない半導体発光素子の発光出力を1とした。
実施例においては、内部量子効率IQEを向上させるために、ドット状の凸部を有する第1微細凹凸構造を具備するサファイア基板を用いた。ゆえに、走査型電子顕微鏡で、第1微細凹凸構造及び第2微細凹凸構造を観察すると、複数の凸部を有していた。また、発光光の真空波長λ0は450nm、第1半導体層の屈折率n1は2.45であった。第2半導体層の屈折率n2は、第1半導体層の屈折率n1と等しいとした。また、第2微細凹凸構造も同様にドット状の凸部を有していた。
内部量子効率IQEはPL強度より決定した。内部量子効率IQEは、(単位時間に発光半導体層より発せられるフォトンの数/単位時間に半導体発光素子に注入される電子の数)により定義される。本実施例においては、上記内部量子効率IQEを評価する指標として、(300Kにて測定したPL強度/10Kにて測定したPL強度)を採用した。
出射指向性は、半導体発光素子の発光特性を、20mAにおける3次元の発光状況を配光分光装置(IMS5000−LED、朝日分光社製)で、極角5度刻みで0度から90度、方位角10度刻みで360度測定し、放射照度が半導体発光素子の上方向の半分となる極角(以下放射照度基準角δと呼ぶ)を調べた。上方向の放射照度は、放射照度を測定し、極角15度以内の点で得られた値の平均値とした。放射照度基準角δが小さい程、上方向に配光していることを表している。
(実施例1から実施例11)
光学基材に設ける第1微細凹凸構造をほぼ同じものとし、第2微細凹凸構造の、デユーティd、側面傾斜角Θ、第2微細凹凸構造の平均ピッチPav_2と、発光半導体層が放出した発光光の第2光学波長λ2との比(Pav_2/λ2)、及びアスペクト比Aを変化させた。第1微細凹凸構造は略円錐形状であり、第2微細凹凸構造は略円錐台形状であった。
(比較例1から比較例5)
デューティdについて、第2微細凹凸構造の方が第1微細凹凸構造よりも大きくした以外は、実施例1から実施例11と同様の条件として、内部量子効率IQE、発光出力比、出射指向性を検討した。結果を表1に示す。
Figure 2016012684
実施例1から実施例11は、第2微細凹凸構造のデューティが第1微細凹凸構造のデューティより小さいことで、光取り出し効率が向上し、半導体発光素子の上方向への配光が強まっていることが確認できた。
(実施例12から実施例24)
光学基材に設ける第1微細凹凸構造及び第2微細凹凸構造の平均ピッチPav_1及びPav_2を変化させ、内部量子効率IQE、発光出力比、出射指向性を検討した。第1微細凹凸構造は略円錐形状であり、第2微細凹凸構造は略円錐台形状であった。
(比較例6から比較例12)
デューティdについて、第2微細凹凸構造の方が第1微細凹凸構造よりも大きくした以外は、実施例12から実施例24と同様に平均ピッチPav_1及びPav_2を変化させ、内部量子効率IQE、発光出力比、出射指向性を検討した。結果を表2に示す。
Figure 2016012684
平均ピッチPav_1及びPav_2の大小関係に寄らず、デューティdの大小関係によって、光取り出し効率の向上及び半導体発光素子の上方向への配光が強まっていることが確認できた。
(実施例25から実施例27)
実施例1から実施例24と同様に第1微細凹凸構造は略円錐形状のままとし、第2微細凹凸構造の形状を略円錐台形状から略円錐形状に代えた。
(比較例13から比較例15)
第2微細凹凸構造の側面傾斜角Θを第1微細凹凸構造の側面傾斜角Θよりも小さくした以外は、実施例25から実施例27と同様にして、内部量子効率IQE、発光出力比、出射指向性を検討した。結果を表3に示す。
Figure 2016012684
実施例25から実施例27は、側面傾斜角Θについて、第2微細凹凸構造の方が第1微細凹凸構造よりも大きいために、半導体発光素子の上方向への配光が強まっていることが確認できた。比較例13から比較例15では、第2微細凹凸構造の側面傾斜角Θが第1微細凹凸構造の側面傾斜角Θよりも小さいため、光取り出しへの寄与が小さく、また上方向への配光が強められていないと推定される。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、図面に図示されている大きさや形状等については、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。
本発明は、例えば、発光ダイオード(LED)等の半導体発光素子に好適に適用することが可能である。
10 光学基材
20 第1微細凹凸構造
30 第1半導体層
40 発光半導体層
50 第2半導体層
60 第2微細凹凸構造
70 アノード電極
80 カソード電極
90 透明導電膜
100 半導体発光素子

Claims (7)

  1. 少なくとも光学基材、第1半導体層、発光半導体層及び第2半導体層を下から順に積層してなり、
    前記光学基材の上面の一部又は全面には第1微細凹凸構造が形成されており、
    前記発光半導体層の上面、及び/又は、前記発光半導体層よりも上方に位置する面の一部あるいは全面には第2微細凹凸構造が形成され、
    前記第2微細凹凸構造のデューティが前記第1微細凹凸構造のデューティよりも小さいことを特徴とする半導体発光素子。
  2. 前記第2微細凹凸構造の側面傾斜角が前記第1微細凹凸構造の側面傾斜角よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子。
  3. 前記第2微細凹凸構造の平均ピッチPav_2と、前記発光半導体層が放出した発光光の第2光学波長λ2との比(Pav_2/λ2)が1.5以上5.5以下であり、前記第2微細凹凸構造のアスペクト比が0.2以上1以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体発光素子。
  4. 前記第2光学波長λ2は、前記発光光の真空波長λ0を、上面に前記第2微細凹凸構造を有する層の屈折率n2で除したものであることを特徴とする請求項3に記載の半導体発光素子。
  5. 前記第1微細凹凸構造の平均ピッチPav_1と、前記発光半導体層が放出した発光光の第1光学波長λ1との比(Pav_1/λ1)が1.5以上5以下であり、前記第1微細凹凸構造のアスペクト比が0.2以上1以下であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の半導体発光素子。
  6. 前記第1光学波長λ1は、前記発光光の真空波長λ0を、前記第1半導体層の屈折率n1で除したものであることを特徴とする請求項5に記載の半導体発光素子。
  7. 前記第1半導体層、前記発光半導体層及び前記第2半導体層が、GaN系半導体であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の半導体発光素子。
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