JP2016013093A - 塊状ごま組成物及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ごま量が比較的少量であるにも関わらずごま本来の風味を強く感じることができ、食感や物性にも優れた塊状ごま組成物を提供すること。
【解決手段】本発明は、未破砕のごま粒13を主原料とする塊状ごま組成物11である。塊状ごま組成物11は、粘性の異なる複数種類のバインダ素材14,15により複数のごま粒13が互いに結着した塊状粒子12からなる。塊状粒子12は8メッシュオン3.5メッシュパスの粒径を有する。塊状粒子12は0.45g/cm以下の嵩比重を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、塊状ごま組成物及びその製造方法に関するものである。
ごまは、栄養価が高く風味も良いことから、古来より種々の食品に利用されている。その利用法としては、ごまを塩等で味付け処理する方法(例えばごま塩)、風味を引き出すために熱処理して炒りごまとする方法、粗砕処理してすりごまとする方法などが、従来からよく知られている。
ごまをごま粒のまま食品の調味用として利用する場合、粒が微小であることから、ごま粒が素材から零れ落ちやすい。よって、ごま粒を過剰にふりかけなければ、食品にごま感を十分に付与することが難しい。また、ごま粒のまま食品に馴染ませたとしても、その粒の小ささゆえに、喫食者の口腔内で十分な咀嚼によるごま粒の破砕が行われない。そのため、実質的にごまの風味が十分に生かしきれていないなどの問題点があった。
そこで、ごまの風味を生かす方法としては、すりごまなどの粒自体を粗砕化するものが古くから知られており、近年では、これをさらに微細化し、風味と食感をさらに改善したごま加工品が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。ただし、このようなごま加工方法は、加工時における発熱に起因して、フレッシュなごまの風味が失われやすいといった欠点がある。
この欠点を解消するために、加工時に乳化材や賦形剤などを添加することが従来提案されており、この方法によれば加工適性に優れた風味の良いごま加工品が提供できるとされている(例えば、特許文献2,3を参照)。しかしながら、上記の方法だと、ごまを破砕する工程を経る過程で、摺りたてのごまのフレッシュな風味を失うことが避けられない。
一方、各種のバインダ素材を用いて食品素材を結着させることにより、顆粒状あるいは塊状の食品とする技術が従来より存在する。このようなバインダ素材としては、澱粉類、糖類その他の賦形剤などが一般的に用いられる。また、ごまの粉砕物を結着させる場合、表面に染み出してくる油脂が問題となる。このため、グリセリン脂肪酸エステルなどの乳化剤を用いて、油脂の分離を抑制し、良好な粉末とする方法が従来提案されている。ごま粒を結着させて塊状食品とする技術としては、これらの他にも、白胡麻と黒胡麻とを一体化させてごま菓子とすることや(例えば、特許文献4を参照)、粉を用いた米菓にごまを含有させた菓子を製造することなどが知られている(例えば、特許文献5を参照)。
特開2004−159606号公報 特開2008−17784号公報 特許第4038586号公報 登録実用新案第3155592号公報 登録実用新案第3026431号公報
ところが、特許文献4,5に記載されたごま粒含有塊状食品は、あくまで菓子用のものであって、糖類による味付けや結着が施された程度、あるいは米菓の栄養価向上のために当該米菓にごま粒を練り込んだ程度の技術にすぎなかった。従って、少ないごま量でごま本来の風味を生かし、米飯をはじめとする食品(菓子類を含まない)を調味する目的において、従来のごま加工法の問題点を課題化し、解決を図るための手段として検討されたものではなかった。
なお、特許文献4,5に記載されたごま粒含有塊状食品は、そもそも糖類による甘味が強く、米飯等のような食品の調味素材としての用途には不向きであった。そればかりか、べたついた重い食感となり、食品調味素材として必ずしも好ましいテクスチャーを有するとはいいがたいものであった。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ごま量が比較的少量であるにも関わらずごま本来の風味を強く感じることができ、食感や物性にも優れた塊状ごま組成物を提供することにある。また、本発明の別の目的は、上記の優れた塊状ごま組成物を確実にかつ効率よく製造することができる方法を提供することにある。
そこで本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を重ねた結果、バインダ素材を用いて複数のごま粒を互いに結着させて特定サイズの嵩高い塊状粒子とし、これを食品調味素材とすることにより、結着していない通常のごま粒のみを食品とともに喫食する場合に比べ、ごま粒の咀嚼頻度が格段に向上し、同量のごま量であっても、ごま本来の風味を強く感じることができ、好適な食感や物性も付与されうることを新規に知見した。また、このような塊状粒子からなる塊状ごま組成物を実現するうえでは、バインダ素材の選定が非常に重要であり、単一のものを用いるのではなく、粘性の異なる複数種類のバインダ素材を用いることが、好適な食感や物性の付与のために必須である旨を新規に知見した。そして、本発明者らは上記の知見に基づいてさらに鋭意研究を進めることにより、下記の発明を完成させるに至ったのである。
上記の課題を解決するための手段[1]〜[14]を以下に列挙する。
[1]未破砕のごま粒を主原料とする組成物であって、粘性の異なる複数種類のバインダ素材により複数のごま粒が互いに結着した塊状粒子からなり、当該塊状粒子が8メッシュオン3.5メッシュパスの粒径を有し、かつ0.45g/cm以下の嵩比重を有することを特徴とする塊状ごま組成物。
[2]前記塊状粒子は3つ以上のごま粒からなり、前記ごま粒間には空隙が形成されていることを特徴とする手段1に記載の塊状ごま組成物。
[3]前記嵩比重が、0.30g/cm以上0.42g/cm以下であることを特徴とする手段1または2に記載の塊状ごま組成物。
[4]前記バインダ素材として、澱粉の未分解物または澱粉の加工物からなる高粘性バインダ素材と、澱粉の分解物からなり前記高粘性バインダ素材よりも低い粘性を呈する低粘性バインダ素材とを含むことを特徴とする手段1乃至3のいずれか1項に記載の塊状ごま組成物。
[5]前記高粘性バインダ素材は、もち米由来のアルファ化澱粉であることを特徴とする手段4に記載の塊状ごま組成物。
[6]前記低粘性バインダ素材は、DE値が4以上40以下のデキストリンであることを特徴とする手段4または5に記載の塊状ごま組成物。
[7]前記低粘性バインダ素材100質量部に対し、前記高粘性バインダ素材が5.4質量部以上34.2質量部以下の範囲で配合されていることを特徴とする手段4乃至6のいずれか1項に記載の塊状ごま組成物。
[8]前記ごま粒100質量部に対し、澱粉由来の前記バインダ素材が12.1質量部以上25.2質量部以下の範囲で配合されていることを特徴とする手段4乃至7のいずれか1項に記載の塊状ごま組成物。
[9]前記塊状ごま組成物100質量部に対し、前記ごま粒が50質量部以上配合されていることを特徴とする手段1乃至8のいずれか1項に記載の塊状ごま組成物。
[10]米飯または野菜の調味用であることを特徴とする手段1乃至9のいずれか1項に記載の塊状ごま組成物。
[11]手段1乃至10のいずれか1項に記載の塊状ごま組成物を製造する方法であって、未破砕のごま粒と、澱粉の未分解物または澱粉の加工物からなる粉末状または顆粒状の高粘性バインダ素材と、澱粉の分解物からなり前記高粘性バインダ素材よりも低い粘性を呈する粉末状または顆粒状の低粘性バインダ素材とを混合する第1工程と、前記低粘性バインダ素材をあらかじめ溶媒に溶解した液を前記第1工程で得た混合物に添加し、前記混合物を加湿する第2工程と、前記第2工程で得た混合物を乾燥させて前記ごま粒を互いに結着させる第3工程とを含むことを特徴とする塊状ごま組成物の製造方法。
[12]前記第1工程において、前記低粘性バインダ素材100質量部に対し、前記高粘性バインダ素材を11.1質量部以上100.0質量部以下の範囲で使用することを特徴とする手段11に記載の塊状ごま組成物の製造方法。
[13]前記第1工程において使用する前記高粘性バインダ素材及び前記低粘性バインダ素材は、粒径が1000μm以下の範囲に調整されたものであることを特徴とする手段11または12に記載の塊状ごま組成物の製造方法。
[14]前記第2工程において使用する溶媒は、原料全体に対して5質量%以上20質量%以下の水であることを特徴とする手段11乃至13のいずれか1項に記載の塊状ごま組成物の製造方法。
以上詳述したように、請求項1〜10に記載の発明によると、ごま量が比較的少量であるにも関わらずごま本来の風味を強く感じることができ、食感や物性にも優れた塊状ごま組成物を提供することができる。また、請求項11〜14に記載の発明によると、上記のような優れた塊状ごま組成物を確実にかつ効率よく製造することができる。
本発明を具体化した実施例の塊状ごま組成物を示す概略断面図。 上記塊状ごま組成物の拡大写真。 試験1の結果を示す表1。 試験2、4の結果を示す表2。
以下、本発明の塊状ごま組成物及びその製造方法について詳細に説明する。
本発明の塊状ごま組成物は、未破砕のごま粒を主原料とする組成物であり、より具体的には、複数の未破砕のごま粒がバインダ素材により互いに結着した塊状粒子からなる組成物である。
本発明において「ごま」とは、特に制限はなく、白ごま、黒ごま、金ごま、茶ごまあるいはこれらを任意の比率で配合したものを用いることができる。本発明の塊状ごま組成物では、ごまとして、粉砕処理を未だ経ていないごま粒が用いられるが、ごま粒における外皮は着いた状態であっても除去された状態であってもよい。また、ごま粒は、加熱処理されていない生の状態で使用してもよいが、焙煎されたもの(炒りごま)であってもよい。後者を用いた場合には、比較的少量であっても焙煎風味が付与されやすくなるという利点がある。
本発明の塊状ごま組成物では、複数のごま粒が、粘性の異なる複数種類のバインダ素材により互いに結着することで塊状粒子が形成されている。ここで「粘性の異なる複数種類のバインダ素材」の使用とは、例えば、相対的に粘性の高いバインダ素材(高粘性バインダ素材)と、相対的に粘性の低いバインダ素材(低粘性バインダ素材)とを組み合わせて使用することをいう。その理由は、このような組み合わせで使用することにより、食品の調味用のごま組成物として好適なテクスチャーが付与されやすくなるからである。また、複数のごま粒同士の結着強度も適度であるため塊状粒子に好適な物性が付与され、保存中に偏析、割れ、欠けなどが生じにくく、製造上も品質上も好ましい塊状ごま組成物が得やすくなるからである。なお、粘性の異なるバインダ素材は、2種類組み合わせて使用してもよいほか、3種類以上組み合わせて使用することも許容される。
本発明の塊状ごま組成物では、ごま本来の風味の増強を目的としていることから、単独で呈味を示しにくいバインダ素材を選択することが好ましく、そのようなものとしては例えば澱粉由来のバインダ素材などを挙げることができ、特にはあまり低分子ではない(例えば分子量が数百以上の)澱粉由来のバインダ素材などを挙げることができる。従って、澱粉由来のものであっても単糖類、二糖類、オリゴ糖類などといった低分子の物質は、甘味などの雑味をもたらす原因となるため、本発明のバインダ素材としては適さない。
なお、バインダ素材の「粘性」とは、バインダ素材を溶媒に溶解させたときに溶液が発現する粘性のことを意味する。従って、「高粘性バインダ素材」とは、水や熱水等の溶媒に溶解させたときに溶液が比較的強い粘性を発現するバインダ素材のことを指し、「低粘性バインダ素材」とは、水や熱水等の溶媒に溶解させたときに溶液が比較的弱い粘性を発現するバインダ素材のことを指す。具体例を挙げると、高粘性バインダ素材としては、例えば、濃度5w/w%の水溶液を液温20℃で測定したときの粘度が400mPa・s〜1700mPa・s程度となるものが好適である。低粘性バインダ素材としては、例えば、濃度30w/w%の水溶液を液温20℃で測定したときの粘度が4mPa・s〜160mPa・s程度となるものが好適である。この場合における粘度の測定方法としては特に限定されず従来周知の任意の手法が採用可能であるが、例えば、B型粘度計(ローターNo.3、回転数:30rpmの条件)を用いて測定する方法などが適している。
高粘性バインダ素材としては、上記粘度が1000mPa・s〜1700mPa・s程度となるものがさらに好適であり、1300mPa・s〜1700mPa・s程度となるものが特に好適である。低粘性バインダ素材としては上記粘度が4mPa・s〜100mPa・s程度となるものがさらに好適であり、4mPa・s〜20mPa・s程度となるものが特に好適である。
バインダ素材の粘性の高低を規定するにあたり、上記のように粘度を指標としてもよいが、特定の場合(即ちバインダ素材がともに澱粉由来のものである場合)には例えばDE値(dextrose equivalent)を指標とすることもできる。具体的にいうと、高粘性バインダ素材としてDE値が1未満となるものが好適であり、低粘性バインダ素材としてDE値が4以上40以下となるものが好適である。
上記のような条件を満たす高粘性バインダ素材の例としては、澱粉の未分解物からなる高粘性バインダ素材などがあり、より具体的にはアルファ化澱粉などがその条件を満たす。なお、もち米由来のアルファ化澱粉は比較的少量でも強い粘性を発揮することができるため、これを高粘性バインダ素材として用いることが特に好ましい。勿論、もち米由来のアルファ化澱粉は基本的に米から製造されたものであるため、米と香りが同じであり、ご飯と一緒に食べる用途に適用する場合に特に好ましい。従って、うるち米由来のアルファ化澱粉も同様の利点がある。アルファ化澱粉としては、米以外の様々な種類の原料を用いることができる。その具体例としては、例えば、コーン、小麦粉、馬鈴薯、タピオカ、くず、キャッサバ、さつまいもなどを原料としたアルファ化澱粉などがある。上記のアルファ化澱粉のほか、架橋澱粉や通常の澱粉の未分解物からなる高粘性バインダ素材を用いてもよい。また、上記澱粉の未分解物以外の澱粉由来の原料として、例えばDE値が1未満である低分解度のデキストリンなどが使用でき、前記高粘性バインダに要求される粘性を示すものであれば、本発明において以下のような澱粉の加工物(加工澱粉)も使用可能である。即ち、アセチル化アジピン酸架橋デンプン、アセチル化リン酸化架橋デンプン、アセチル化酸化デンプン、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、酢酸デンプン、酸化デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシプロピルリン酸架橋デンプン、リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン、リン酸化デンプン、リン酸架橋デンプンなどが例示できる。
上記高粘性バインダ素材としては、澱粉に由来するもののみに限定されず、濃度5w/w%の水溶液を液温20℃で測定したときの粘度が400mPa・s〜1700mPa・s程度となるものであれば、澱粉に由来しないものを選択することが可能である。その具体例としては各種の増粘剤などがあり、例えば、キサンタンガム、グアガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、ジェランガム、アラビアガム、モナトウガム、トラガントガム等といった増粘多糖類を挙げることができる。ここに挙げた増粘多糖類は、1種類のみ使用してもよく、あるいは2種類以上組み合わせて使用してもよい。なお、本発明における高粘性バインダ素材として、澱粉由来のものを単独で使用したり、増粘多糖類を単独して使用したりしてもよいほか、澱粉由来のものと増粘多糖類とを併用してもよい。
また、上記のような条件を満たす低粘性バインダ素材の例としては、高粘性バインダ素材よりも低い粘性を呈する澱粉の分解物などがある。その具体例としては、例えば、DE値が4以上40以下である比較的高分解度のデキストリンをはじめとする各種の澱粉分解物が使用可能である。
ここで、低粘性バインダ素材として用いようとする物質のDE値が4未満であると、高粘性バインダ素材と比較して粘性に差が出ず、所望とする好適な物性や食感が得られなくなるおそれがあるからである。逆に、当該物質のDE値が40超であると、粘性が低くなりすぎることに加え、低分子化により甘味などの呈味が強くなるため、やはり所望とする好適な物性や食感が得られなくなるおそれがあるからである。なお、低粘性バインダ素材として用いる物質のDE値は、好ましくは10以上35以下、さらに好ましくは20以上30以下である。
本発明の塊状ごま組成物では、ごま粒に対し少ない質量比率でバインダ素材が配合されていることが好ましい。具体的には、ごま粒100質量部に対し、澱粉由来のバインダ素材が、総量として12.1質量部以上25.2質量部以下の範囲で配合されていることが特に好ましい。その理由は、使用するごま粒の量に対してバインダ素材の総量が多すぎると、ごま粒同士の界面がバインダ素材で埋まってしまい、所望とする好適な物性や食感が実現困難となるおそれがあるからである。また、バインダ同士がダマになってしまうことや、バインダ自体が溶け残るなどの外観上の問題も起こりうるからである。逆に、使用するごま粒の量に対してバインダ素材の総量が少なすぎると、ごま粒同士の結着が不十分、不均一になり、歩留まりの低下につながるおそれがあるからである。
本発明の塊状ごま組成物の場合、ごま本来の風味の増強を目的としているため、ごま粒の占める割合が最も高いことが好ましい。具体的には、塊状ごま組成物100質量部に対し、ごま粒が50質量部以上配合されていることが好ましく、60質量部以上配合されていることがさらに好ましい。ごま粒の占める割合が上記範囲よりも低くなると、相対的にバインダ素材の割合が大きくなりすぎてしまい、所望とする物性や風味が付与されにくくなるおそれがあるからである。
また、粘性の異なる2種類のバインダ素材を組み合わせて用いる場合には、低粘性バインダ素材に対しそれよりも少ない量(例えば低粘性バインダ素材半量よりも少ない量)の高粘性バインダ素材を配合することが好ましい。具体的には、低粘性バインダ素材100質量部に対し、高粘性バインダ素材が5.4質量部以上34.2質量部以下の範囲で配合されていることが特に好ましい。その理由は、高粘性バインダ素材が5.4質量部未満である(言い換えると、低粘性バインダ素材が過剰である)場合、ごま粒同士の結着が不十分になり、加工段階、輸送段階、調味段階のいずれの段階においても塊状粒子の崩壊が起こりやすくなる結果、好適な物性が付与されなくなるおそれがあるからである。逆に、高粘性バインダ素材が34.2質量部超である(言い換えると、高粘性バインダ素材の量が過剰である)場合、ごま粒が微小であることに起因し、ごま粒自体がバインダ素材に取り込まれず、バインダ素材のみがダマとなることで、ごま粒同士が十分な結着物とならない可能性があるからである。また、バインダ素材の分散にムラが生じ、食感としても不均一な好ましくない塊状粒子が生じるおそれがあるからである。
本発明の塊状ごま組成物では、バインダ素材により複数のごま粒が互いに結着した塊状粒子が、8メッシュオン3.5メッシュパスの粒径を有するように調製される。言い換えると、塊状ごま組成物を構成する上記塊状粒子のうち、比率として半数以上のものが、8メッシュオン3.5メッシュパスの粒径を有するように調製される。例えば、塊状ごま組成物が米飯の調味用である場合、塊状粒子の粒径が上記範囲内であれば、炊かれた米粒の大きさ(飯粒の大きさ)と同程度のものとすることができる。従って、飯粒と塊状粒子との大きさ・形状のバランスがとれ、口腔内でのごま粒の咀嚼頻度が向上するからである。8メッシュオンの粒径よりも大きい粒径であると、飯粒に比較してかなり大きくなってしまい、一緒に食べたときの食感が悪化するおそれがあるからである。逆に、3.5メッシュパスの粒径よりも小さい粒径であると、ごま粒単体のときとあまり差がなくなり、飯粒に比較してかなり小さくなってしまう。そのため、飯粒と一緒に食べたときのごま粒の咀嚼頻度が向上せず、ごま本来の風味をそれほど強く感じることができないおそれがあるからである。
本発明の塊状ごま組成物では、当該塊状粒子はある程度嵩高いことが必要とされ、具体的には0.45g/cm以下の嵩比重を有したものとされている。嵩比重がこの値よりも大きいと、塊状粒子が複数のごま粒からなるものであっても、ごま粒間に形成されるべき空隙が極めて少なくなり、所望とする食感につながる嵩高さを実現できなくなるからである。ここで嵩比重は、0.3g/cm以上0.42g/cm以下であることがさらに好ましい。この範囲内であると、所望とする食感や物性が確実に付与されやすくなるからである。ちなみに、結着していない通常のごま粒一粒の嵩密度が0.5g/cm程度であるのに対し、本発明の塊状ごま組成物の嵩密度は、8メッシュオン3.5メッシュパスで0.42g/cm、5.5メッシュオン3.5メッシュパスで0.38g/cmとなる。
本発明の塊状ごま組成物は、上記のとおりある程度嵩高いことが必要とされるため、少なくとも3つ以上のごま粒からなり、ごま粒間に空隙が形成されていることが好ましい。ここで「ごま粒間に空隙が形成されている」とは、全てのごま粒子間にて一様に空隙が形成されていることまでは要求されず、一部のごま粒子間にて空隙が形成されていればよいという意味である。別の言い方をすると、全てのごま粒子同士が一様に点接触にて結着していることまでは要求されず、一部のごま粒子同士が点接触またはそれに近い態様で結着していればよいという意味である。従って、ごま粒同士の間をバインダ素材が埋めていない部分が一部存在していれば、他の部分についてバインダ素材が埋めてしまっている部分が存在していてもよいことを意味している。本発明の塊状ごま組成物は、3つ以上25以下のごま粒からなることがより好ましく、5つ以上25以下のごま粒からなることが特に好ましい。
本発明の塊状ごま組成物は、ふりかけ等のような米飯調味用、またはサラダにトッピングして使用するような野菜調味用とすることが好ましい。また、本発明の塊状ごま組成物は、麺類(ラーメン、そば、うどんなど)のトッピング用、そのまま食するおつまみ用としても利用できる。例えば、米飯調味用の塊状ごま組成物とした場合には、米飯と同程度のサイズとすることで、米飯との混ざりがよくなり、喫食時に塊状粒子の咀嚼頻度が格段に高まる。よって、ごま粒のまま使用する場合に比較して、ごま重量あたりのごま感が向上したごま風味豊かな調味米飯を得ることができる。ふりかけ製品としても、他の大きな原料と均一に混合しやすくなり、従来のごま粒に比較して、偏析の問題などが起こりにくい。さらに、ごまと組み合わせる原料の選択の幅が非常に広くなる点でも好ましい。
次に本発明の塊状ごま組成物の製造方法について説明する。この製造方法では、まず、第1工程として、未破砕のごま粒と、澱粉の未分解物または澱粉の加工物からなる粉末状または顆粒状の高粘性バインダ素材と、澱粉の分解物からなり高粘性バインダ素材よりも低い粘性を呈する粉末状または顆粒状の低粘性バインダ素材とを混合することを行う。続く第2工程では、低粘性バインダ素材をあらかじめ溶媒に溶解した液を第1工程で得た混合物に添加し、混合物を加湿することを行う。続く第3工程では、第2工程で得た混合物を乾燥させてごま粒を互いに結着させることを行う。第3工程の後、ごま粒結着物はグラニュレータなどを用いて粗砕し、篩にて分級することにより、所定粒径範囲の塊状ごま組成物を得ることができる。
ここで本発明の製造方法では、バインダ素材をひとつの工程で添加してごま粒を結着させるのではなく、第1工程及び第2工程の二段階に分けて添加することを特徴としている。その理由は、第1工程においてごま粒に対し粉末状または顆粒状のバインダ素材をコーティングし、第2工程において少量の溶媒でさらに低粘性バインダ素材を拡散させることにより、トータルとして少量の溶媒でごま粒に対してバインダ素材を均一に付着させることができるからである。これにより、フリーズドライ等の乾燥工程のエネルギー負荷が軽減されるとともに、所望とする物性や食感が確実に付与され、しかも歩留まりの高いごま含有塊状組成物が得られるからである。また、限られた生産容量の中で可能な限り多くのごまを仕込むことができ、仕込んだごま量に対して可能な限り多くの所望サイズの塊状粒子を得やすくなるからである。
これに対し、第1工程を採用せず第2工程のみ採用してごま粒とバインダ素材とを混合する方法を行ってもよいが、第1工程及び第2工程の両方を採用した本発明の製造方法に比べて、ごまの仕込量の観点でデメリットがある。即ち、このような方法では、全てのバインダ素材を水等の溶媒に溶解する必要があるため、本発明の製造方法に比較して使用する溶媒の量が多くなり、その容量の影響でごまの仕込量が下がってしまうからである。また、実機の攪拌動力に限界がある中で、高粘性バインダ素材を溶媒に溶解して使用する場合、溶液の粘度が上昇することから、このような粘度の高い溶液とごま粒とを混合するにあたり動力が不足し、十分に均一化することができないからである。
第1工程において使用する高粘性バインダ素材及び低粘性バインダ素材は、一般的なごま粒の大きさ(例えば2mm〜3mm程度)よりも小さく調整されていることがよく、具体的には粒径が1000μm以下の範囲に調整されていることが好ましい。その理由は、粒径が小さいごま粒に対してバインダ素材をできるだけ均一に分散させるためである。なお、第1工程で使用するバインダ素材の粒径は600μm以下の範囲に調整されていることがさらに好ましい。
第1工程においては、低粘性バインダ素材と高粘性バインダ素材との質量比率を適切に設定することがよく、低粘性バインダ素材に対しそれよりも少ない量(例えば低粘性バインダ素材半量よりも少ない量)の高粘性バインダ素材を配合することが好ましい。具体的には、低粘性バインダ素材100質量部に対し、高粘性バインダ素材を11.1質量部以上100.0質量部以下の範囲で使用することが好ましく、その理由としてはすでに述べたとおりである。
第2工程において溶媒に溶解されるバインダ素材としては、低粘性バインダ素材を選択することが望ましい。仮に高粘性バインダ素材を選択した場合には、溶媒に対する分散性が悪いため必要量を溶解させることが難しく、また、必要量を溶解できたとしてもごま粒と均一に混合することが難しいからである。ちなみに、第2工程においていずれのバインダ素材も溶解させず水等の溶媒だけを使用すると、塊状ごま組成物の最終品質としての強度が確保できず、好ましくない。
第2工程において使用する溶媒は、原料全体に対して5質量%以上20質量%以下の水であることが好ましい。その理由は、使用する水が5質量%未満であると、低粘性バインダ素材を十分に溶解することができないからである。また、使用する水が20質量%超であると、低粘性バインダ素材を十分に溶解することができるものの、溶媒の量が多くなり、その容量の影響でごまの仕込量が下がってしまうおそれがあるからである。
以下、本実施形態の塊状ごま組成物及びその製造方法をより具体化した実施例を示す。
<試験1>
試験1では、高粘性バインダ素材と低粘性バインダ素材との好適な比率を検討するための試験を下記の手順で行った。ここでは、図1に示すような塊状ごま組成物11を作製した。この塊状ごま組成物11においては、複数のごま粒13の表面が高粘度バインダ素材14及び低粘度バインダ素材15でコーティングされている。高粘度バインダ素材14及び低粘度バインダ素材15に関しては、第2工程を経て渾然一体となっている可能性があるが、図視の便宜上、粒状物として描いてある。そして、その高粘度バインダ素材14及び低粘度バインダ素材15を介して複数のごま粒13同士が結着し、複数のごま粒13間に空隙16を有した状態の塊状粒子12が形成されている。ちなみに、図2は本発明の塊状ごま組成物11の拡大写真である。
ここではまず、図3の表1に示す原料配合比率に従い、各種の塊状ごま組成物サンプルを作製した。具体的にいうと、第1工程として、未破砕のごま粒と、もち米粉(粘度1700mPa・s、DE値1未満のもち米由来のアルファ化澱粉+ヒドロキシプロピル澱粉:混合比率8:2の高粘性バインダ素材)と、粉末状のデキストリン(粘度5.8mPa・s、DE値25の低粘性バインダ素材)とを乾燥状態で所定量ずつ混合した。続く第2工程では、低粘性バインダ素材である上記の粉末状のデキストリンを水に溶解したデキストリン水溶液を用意し、このデキストリン水溶液を第1工程で得た混合物に添加し、混合物の加湿を行った。続く第3工程では、第2工程で得た混合物をトレイに充填した後、フリーズドライにより乾燥させてごま粒を互いに結着させた。この後、ごま粒結着物をグラニュレータで粗砕し、篩にて分級することにより、8メッシュオン3.5メッシュパスの粒径を有する塊状ごま組成物を得た。
この試験では、ごま粒100重量部に対し、第1工程において、粉体として混合するバインダ素材の総量を8重量部となるように固定して、それぞれの原料の使用量を変更し、実施例1A〜1Eの5種のサンプルを作製した。実施例1Aでは、第1工程にてごま粒74.8gと、もち米粉0.60gと、デキストリン5.4gとを混合し、第2工程にて水13.5gにデキストリン5.8gを溶解させたデキストリン水溶液と前記混合物とを混ぜ合わせた。実施例1Bでは、第1工程にてごま粒79.9gと、もち米粉1.60gと、デキストリン4.8gとを混合し、第2工程にて水9.6gにデキストリン4.1gを溶解させたデキストリン水溶液と前記混合物とを混ぜ合わせた。実施例1Cでは、第1工程にてごま粒74.8gと、もち米粉1.50gと、デキストリン4.5gとを混合し、第2工程にて水13.5gにデキストリン5.8gを溶解させたデキストリン水溶液と前記混合物とを混ぜ合わせた。実施例1Dでは、第1工程にてごま粒70.3gと、もち米粉1.4gと、デキストリン4.2gとを混合し、第2工程にて水16.9gにデキストリン7.2gを溶解させたデキストリン水溶液と前記混合物とを混ぜ合わせた。実施例1Eでは、第1工程にてごま粒74.8gと、もち米粉3.0gと、デキストリン3.0gとを混合し、第2工程にて水13.5gにデキストリン5.8gを溶解させたデキストリン水溶液と前記混合物とを混ぜ合わせた。
一方、これらに対して、バインダ粉末混合処理である第1工程も、バインダ水溶液混合処理である第2工程も行わないごま粒そのもの(炒りごま:従来品)を比較例1とした。また、第1工程にてごま粒74.8gと、もち米粉0.00gと、デキストリン6.0gとを混合し、第2工程にて水13.5gにデキストリン5.8gを溶解させたデキストリン水溶液と前記混合物とを混ぜ合わせて、塊状ごま組成物を作製したものを比較例2とした。なお、図3の表1には、「第1工程分の低粘性バインダ素材の使用量」、「第1工程分の高粘性バインダ素材の使用量」、「第2工程分の低粘性バインダ素材の使用量」、「第1工程分のバインダ素材/ごま粒」、「工程全体でのバインダ素材/ごま粒」、「高粘性バインダ素材/ごま粒」、「高粘性バインダ素材/第1工程分の低粘性バインダ素材」、「高粘性バインダ素材/低粘性バインダ素材の総使用量」を記す。
この試験1では、各試験区の塊状ごま組成物の「収率」、「ごま感」、「強度」について評価し、これら3項目の評価結果に基づいて「総合評価」を行った。「収率」については、製造時に使用したごま粒重量及びバインダ素材重量の総量に対し、3.5メッシュパス、8メッシュオンの篩条件にて回収された塊状ごま組成物の重量との比率(%)とした。「ごま感」については、炒りごまを粒のまま使用した場合のごま感を対象として、各試験区のごまを同重量(ごま粒として2g程度)を試食した場合のごま感の増強度とした。ここでは、「×:ごま感増強効果が認められない。」、「△:ごま感増強効果がやや認められる。」、「○:ごま感増強効果が認められる。」、「◎:優れたごま感増強効果が認められる。」の4段階評価とした。「強度」については、咀嚼時のテクスチャーとして、「×:悪い」、「△:やや好ましい」、「○:好ましい」、「◎:非常に好ましい」の4段階評価とした。そして、「総合評価」については、「×:悪い」、「△:やや良い」、「○:良い」、「◎:非常に良い」の4段階評価とした。その結果を図3の表1に示す。
表1に示すように、従来品である比較例1では、何ら処理を行わないことから、当然ながらごま感の増強効果は認められなかった。第1工程及び第2工程を行うものの低粘性バインダ素材のみを使用した比較例2では、収率が72.5%、ごま感が「×」、強度が「×」となった。このサンプルでは、高粘性バインダ素材を用いていないことから塊状粒子の安定性が非常に悪く、また、塊状ごま組成物自体の食感が悪く、十分なごま感の増強効果、ならびにテクスチャーの好ましさ(強度)が得られなかった。よって、総合評価は「×」であった。
これに対して、実施例1A〜1Eでは、いずれも収率が68.5%以上となり、特に申し分がなかったが、なかでも実施例1C、1Dの収率が高かった。ごま感については、いずれも「〇」以上の評価となり、なかでも実施例1B、1C、1Dにて「◎」という高評価が得られた。強度については、いずれも「○」以上の評価となり、なかでも1C、1D、1Eにて「◎」という高評価が得られた。よって、総合評価については、実施例1A、1B、1Eにて「○」、実施例1C、1Dにて「◎」という結果となった。
以上の結果から、「高粘性バインダ素材/第1工程分の低粘性バインダ素材」、つまり第1工程で使用する低粘度バインダ素材に対する高粘性バインダ素材の質量比率を0.111〜1.00程度の範囲内に調整することが、高収率でかつごま感が増強された塊状ごま組成物の製造にとって有効であることが確認された。また、「高粘性バインダ素材/低粘性バインダ素材の総使用量」、つまり第1工程分と第2工程分とを足した低粘性バインダ素材の総使用量に対する高粘性バインダ素材の質量比率を0.054〜0.342程度の範囲内に調整するとすることが、高収率でかつごま感が増強された塊状ごま組成物の製造にとって有効であることも確認された。併せて、第2工程における水の使用量を原料全体100gに対して9.6g〜16.9gの範囲内に調整することが、製造上好ましいことが確認された。
<試験2>
試験2では、試験1にて明らかとなった高粘性バインダ素材と低粘性バインダ素材との好適な比率を維持しつつ、他の条件の好適範囲を検討するための試験を行った。具体的には、「第1工程分のバインダ素材/ごま粒」、「工程全体でのバインダ素材/ごま粒」、「高粘性バインダ素材/ごま粒」という3つの条件を検討対象とした。
ここではまず、図4の表2に示す原料配合比率に従い、実施例2A〜2Eの塊状ごま組成物サンプルを5種作製した。作製手順は基本的に試験1の手法に準じるものとした。実施例2Aでは、第1工程にてごま粒76.8gと、もち米粉0.9gと、デキストリン2.6gとを混合し、第2工程にて水13.8gにデキストリン5.9gを溶解させたデキストリン水溶液と前記混合物とを混ぜ合わせた。実施例2Bでは、第1工程にてごま粒75.3gと、もち米粉1.3gと、デキストリン4.0gとを混合し、第2工程にて水13.6gにデキストリン5.8gを溶解させたデキストリン水溶液と前記混合物とを混ぜ合わせた。実施例2Cでは、第1工程にてごま粒74.3gと、もち米粉1.7gと、デキストリン5.0gとを混合し、第2工程にて水13.4gにデキストリン5.7gを溶解させたデキストリン水溶液と前記混合物とを混ぜ合わせた。実施例2Dでは、第1工程にてごま粒71.9gと、もち米粉2.4gと、デキストリン7.2gとを混合し、第2工程にて水13.0gにデキストリン5.5gを溶解させたデキストリン水溶液と前記混合物とを混ぜ合わせた。実施例2Eでは、第1工程にてごま粒69.9gと、もち米粉3.1gと、デキストリン9.2gとを混合し、第2工程にて水12.5gにデキストリン5.3gを溶解させたデキストリン水溶液と前記混合物とを混ぜ合わせた。
各試験区の塊状ごま組成物につき、試験1のときと同様の手法で行った「収率」、「ごま感」、「強度」及び「総合評価」の結果を図4の表2に示す。収率については、80.6%の実施例2Bが最もよい結果となり、これに次いで79.2%の実施例2C、75.0%の実施例2A、64.0%の実施例2Dとなった。実施例2Eは収率が最も低いとはいうものの、50%を維持していた。ごま感については、実施例2Eを除く全てのものにて、いずれも「〇」以上の評価となり、なかでも実施例2B、2Cにて「◎」という高評価が得られた。強度については、ごま感と同様、実施例2Eを除く全てのものにて、いずれも「〇」以上の評価となり、なかでも実施例2B、2Cにて「◎」という高評価が得られた。よって、総合評価については、実施例2Eにて「△」、実施例2A、2Dにて「○」、実施例2B、2Cにて「◎」という結果となった。
以上の結果から、「第1工程分のバインダ素材/ごま粒」、つまりごま粒に対する第1工程で使用するバインダ素材の質量は、ごま粒100gに対して4.4g〜17.6g程度の範囲内に調整することが、高収率やごま感増強にとって有効であることが確認された。また、「工程全体でのバインダ素材/ごま粒」の質量比率をごま粒100gに対して12.1g〜25.2g程度の範囲内に調整することや、「高粘性バインダ素材/ごま粒」の質量比率をごま粒100gに対して1.1g〜4.4g程度の範囲内に調整することが、同様に高収率やごま感増強にとって有効であることも確認された。そして、実施例2Eのサンプルのように、あまりに高粘性バインダ素材の量が多いと、製造中にバインダ素材によるダマが生じて、ごま粒を含まない塊状粒子が生じやすくなることが明らかとなった。また、十分にバインダ素材が分散せず、ごま粒が粒状のまま残りやすいという弊害が生じることも明らかとなった。
<試験3>
試験3では、第1工程を採用せず第2工程のみを採用し、下記の原料配合比率に従い、比較例3の塊状ごま組成物サンプルを作製した。作製手順としては、第1工程を行わないことを除き、基本的に試験1の実施例1Cの手法に準じるものとした。つまり実施例1Cにおけるごま、もち米粉、デキストリンの使用比率を保持したまま、第2工程にてこれらバインダ素材を溶解するための最低限の水容量を予備検討し、比較例3の水及びその他の原料使用比率を設定した。即ち、第2工程としてもち米粉1.3gと粉末のデキストリン8.8gとを水25.7gに溶解してなるバインダ水溶液を用意し、これにごま粒64.2gを添加して混ぜ合わせた後、第3工程以降の工程を実施して、塊状ごま組成物サンプルを得た。
評価の結果、比較例3についても実施例1Cと同様、品質のよい塊状ごま組成物が得られることがわかった。ただし、この製造方法によると、必要量のバインダ素材を溶解するための水の量が第1工程を行うときの倍程度になる。それゆえ、乾燥工程のエネルギー負荷が大きくて時間及びコストがかかるばかりでなく、限られた生産容量の中で仕込むことが可能なごま粒の量も制約を受けることになるため、生産効率の観点で不利であることがわかった。
<試験4>
試験4では、第1工程及び第2工程を採用して、図4の表2に示す原料配合比率に従い、実施例3の塊状ごま組成物サンプルを作製した。作製手順としては、基本的に試験1の実施例1Cの手法に準じるものとしたが、第1工程において使用する高粘性バインダ素材を澱粉由来でないものに変更した。具体的にいうと、実施例3では、第1工程にてごま粒74.8gと、高粘性バインダ素材としてのキサンタンガム1.5gと、デキストリン4.5gとを混合し、第2工程にて水13.5gにデキストリン5.8gを溶解させたデキストリン水溶液と前記混合物とを混ぜ合わせた。この後、第3工程以降の工程を実施して、塊状ごま組成物サンプルを得た。
実施例3の塊状ごま組成物につき、試験1のときと同様の手法で行った「収率」、「ごま感」、「強度」及び「総合評価」の結果を図4の表2に示す。その結果、収率が50%未満、ごま感が「△」、強度が「△」の評価となり、それゆえ総合評価が「△」となった。このように、キサンタンガムを使用した実施例3では、もち米粉を使用した場合に比べて収率及びごま感に劣るものとなるが、塊状ごま組成物を十分作製可能であることが確認された。また、ごま感が劣るのは、複数のごま粒同士の結着強度が若干足りず、塊状粒子としての安定性が悪いことによるものと考えられた。
<結論>
以上の結果を総合すると、本発明の上記実施例の塊状ごま組成物によると、ごま量が比較的少量であるにも関わらずごま本来の風味を強く感じることができ、食感や物性にも優れた塊状ごま組成物を提供することができる。また、本発明の製造方法によると、上記のような優れた塊状ごま組成物を確実にかつ効率よく製造することができる。なお、本発明は上記実施形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて適宜変更してもよい。
次に、前述した実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1)未破砕のごま粒を主原料とする組成物であって、粘性の異なる複数種類の澱粉由来のバインダ素材により複数のごま粒が互いに結着した塊状粒子からなり、当該塊状粒子が8メッシュオン3.5メッシュパスの粒径を有し、かつ0.45g/cm以下の嵩比重を有することを特徴とする塊状ごま組成物。
(2)手段1乃至14のいずれか1項において、前記塊状ごま組成物は、3つ以上25以下のごま粒からなり、前記ごま粒間に空隙が形成されていること。
(3)手段1乃至14のいずれか1項において、前記塊状ごま組成物は、5つ以上25以下のごま粒からなり、前記ごま粒間に空隙が形成されていること。
(4)手段11乃至14のいずれか1項において、前記第3工程の後、乾燥した前記混合物を粗砕し、さらに篩で分級すること。
11…塊状ごま組成物
12…塊状粒子
13…ごま粒
14…(高粘度)バインダ素材
15…(低粘度)バインダ素材
16…空隙

Claims (14)

  1. 未破砕のごま粒を主原料とする組成物であって、
    粘性の異なる複数種類のバインダ素材により複数のごま粒が互いに結着した塊状粒子からなり、当該塊状粒子が8メッシュオン3.5メッシュパスの粒径を有し、かつ0.45g/cm以下の嵩比重を有する
    ことを特徴とする塊状ごま組成物。
  2. 前記塊状粒子は3つ以上のごま粒からなり、前記ごま粒間には空隙が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の塊状ごま組成物。
  3. 前記嵩比重が、0.30g/cm以上0.42g/cm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の塊状ごま組成物。
  4. 前記バインダ素材として、
    澱粉の未分解物または澱粉の加工物からなる高粘性バインダ素材と、
    澱粉の分解物からなり前記高粘性バインダ素材よりも低い粘性を呈する低粘性バインダ素材と
    を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の塊状ごま組成物。
  5. 前記高粘性バインダ素材は、もち米由来のアルファ化澱粉であることを特徴とする請求項4に記載の塊状ごま組成物。
  6. 前記低粘性バインダ素材は、DE値が4以上40以下のデキストリンであることを特徴とする請求項4または5に記載の塊状ごま組成物。
  7. 前記低粘性バインダ素材100質量部に対し、前記高粘性バインダ素材が5.4質量部以上34.2質量部以下の範囲で配合されていることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の塊状ごま組成物。
  8. 前記ごま粒100質量部に対し、澱粉由来の前記バインダ素材が12.1質量部以上25.2質量部以下の範囲で配合されていることを特徴とする請求項4乃至7のいずれか1項に記載の塊状ごま組成物。
  9. 前記塊状ごま組成物100質量部に対し、前記ごま粒が50質量部以上配合されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の塊状ごま組成物。
  10. 米飯または野菜の調味用であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の塊状ごま組成物。
  11. 請求項1乃至10のいずれか1項に記載の塊状ごま組成物を製造する方法であって、
    未破砕のごま粒と、澱粉の未分解物または澱粉の加工物からなる粉末状または顆粒状の高粘性バインダ素材と、澱粉の分解物からなり前記高粘性バインダ素材よりも低い粘性を呈する粉末状または顆粒状の低粘性バインダ素材とを混合する第1工程と、
    前記低粘性バインダ素材をあらかじめ溶媒に溶解した液を前記第1工程で得た混合物に添加し、前記混合物を加湿する第2工程と、
    前記第2工程で得た混合物を乾燥させて前記ごま粒を互いに結着させる第3工程と
    を含むことを特徴とする塊状ごま組成物の製造方法。
  12. 前記第1工程において、前記低粘性バインダ素材100質量部に対し、前記高粘性バインダ素材を11.1質量部以上100.0質量部以下の範囲で使用することを特徴とする請求項11に記載の塊状ごま組成物の製造方法。
  13. 前記第1工程において使用する前記高粘性バインダ素材及び前記低粘性バインダ素材は、粒径が1000μm以下の範囲に調整されたものであることを特徴とする請求項11または12に記載の塊状ごま組成物の製造方法。
  14. 前記第2工程において使用する溶媒は、原料全体に対して5質量%以上20質量%以下の水であることを特徴とする請求項11乃至13のいずれか1項に記載の塊状ごま組成物の製造方法。
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