JP2016015363A - 量子干渉装置、原子発振器 - Google Patents

量子干渉装置、原子発振器 Download PDF

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Abstract

【課題】発現効率を向上させ、EIT信号の強度、またはS/N比が低下することを低減できる量子干渉装置、原子発振器を提供する。
【解決手段】量子干渉装置10は、金属原子28を封入しているセル11と、セル11内部に放射角θを有するレーザー光20を照射する光源部15と、を備え、レーザー光20の照射方向と交わる断面のセル11の内幅が、照射方向に向かって大きくなっている。
【選択図】図2

Description

本発明は、量子干渉装置、および量子干渉装置を有する原子発振器に関する。
長期的に高精度な発振特性を有する発振器として、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)などのアルカリ金属の原子のエネルギー遷移に基づいて発振する原子発振器が知られている。
一般に、原子発振器の動作原理は、光およびマイクロ波による二重共鳴現象を利用した方式と、周波数(波長)の異なる2つの光による量子干渉効果(CPT:Coherent Population Trapping)を利用した方式とに大別されるが、量子干渉効果を利用した原子発振器は、二重共鳴現象を利用した原子発振器よりも小型化が可能であることから、近年、様々な機器への搭載が期待されている。
量子干渉効果を利用した原子発振器は、気体の状態の金属原子を封入したガスセルと、ガスセル中の金属原子に周波数の異なる2つの共鳴光を含むレーザー光を照射する光出射部と、ガスセルを透過したレーザー光を検出する光検出部と、光出射部とガスセルとの間に設けられた光学部品と、を備えている。
そして、共鳴光の周波数差が特定の値のときに、2つの共鳴光の双方がガスセル内の金属原子に吸収されることなく透過する電磁誘起透明化(EIT:Electromagnetically Induced Transparency)現象を生じ、そのEIT現象に伴って発生する急峻な信号であるEIT信号を光検出器で検出する。EIT信号は、金属原子の種類によって決まった固有値をもっているので、このEIT信号を検出することにより、安定した周波数を発振する高精度な発振器を構成することができる。
従来、上記のような原子発振器は、例えば、特許文献1に記載されているように、共鳴光としてのレーザー光を供給するレーザー光発振源とガスセルとの間の光軸上に、レーザー光の光束をガスセルの内部空間より狭い範囲で拡張可能な凸レンズや凹レンズが配置されており、レーザー光がこれらのレンズを透過するとレーザー光の光束が拡張される構成になっていた。
このような構成にすることによって、ガスセルの内部空間にある金属原子にレーザー光が満遍なく照射され、大半の金属原子と光−原子相互作用を起こすことができ、EIT信号の線幅(検出強度の半値幅)が小さくなり、EIT信号の検出強度が高くなることが開示されている。
特開2009−164331号公報
しかしながら、量子干渉装置(原子発振器)への小型化要求に対応するために、共鳴光の光源部(レーザー光発振源)とセル(ガスセル)との間に、放射角を有する光(以下、拡散光と言う)の光の幅(光束)を、光の照射方向と交わる断面のセルの内幅(内壁)に合わせて調整する凸レンズや凹レンズなどの光束調整部品を配置することが難しくなってきた。
そのため、特許文献1に記載されているように、共鳴光の照射方向において、共鳴光の光軸と平行な内壁を有する量子干渉装置のセルに、共鳴光として拡散光が照射される場合には、光軸上に共鳴光の光束を調整する部品が配置されていないことから、共鳴光は、光源部からセルに向けて出射された状態で放射角を有し、引き続き光束を拡大しながらセル内部を進行し、セル内部に封入されている金属(金属原子)を照射する。さらに、EIT信号の線幅を小さくするため、共鳴光がセルの内壁に当たらないように共鳴光が調整されている。
このような理由から、セルの光源部側では、共鳴光の光束はセルの内壁の断面積よりかなり小さなものとなっているので、セル内部に共鳴光が照射されない金属が多数存在することになり、セルに照射される共鳴光が、セル内部の金属原子の一部としか光−原子相互作用を起こすことができなくなり、発現効率が低下する。その結果、EIT信号の強度、またはS/N比が低下してしまうという課題があった。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例または形態として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係る量子干渉装置は、金属を封入しているセルと、前記セル内部に放射角を有する光を照射する光源部と、を備え、前記光の照射方向と交わる断面の前記セルの内幅が、前記照射方向に向かって大きくなっていることを特徴とする。
本適用例によれば、拡散光の照射方向と交わる断面のセルの内幅(以下、セルの内幅と言う)が、拡散光の光束に沿って大きくなっているので、セル内部に封入されている金属に満遍なく拡散光が照射される。その結果、セル内部に封入されている金属が効率よく光を吸収し、セルの内部空間を無駄にすることなく発現効率が高くなる。従って、量子干渉装置が小型化されて、光束調整部品が配置されなくても、EIT信号の強度、またはS/N比が低下することを低減できる。なお、放射角とは、拡散光の光束の最も外側に位置している光と光軸とがなす角のことを言う。
さらに、セルの内幅を拡散光の光束より若干大きい範囲で構成できるため、拡散光がセルの内壁に当たり難く、内壁近傍の金属が照射されることを低減できる。その結果、EIT信号の線幅が小さくなり、高品質かつ大きなEIT信号を得られるため、精度の高い小型化の量子干渉装置を得ることができる。
[適用例2]上記適用例に係る量子干渉装置は、前記放射角の放射角度が1度以上90度以下の範囲内にあることを特徴とする。
本適用例によれば、放射角度が1度より小さい場合には、セル内部に封入されている金属のうち、拡散光が照射されない金属が多くなるため、セル内部の金属に拡散光を満遍なく照射させようとすると、拡散光の光軸に平行な方向において、セルが長くなってしまう。また、放射角度が90度より大きい場合には、拡散光をセルの内壁に当たらないように入射させることができなくなる。従って、放射角度が1度以上90度以下の範囲内であれば、量子干渉装置の小型化を図ることが可能になる。なお、放射角度とは、放射角の大きさのことを言う。
[適用例3]上記適用例に係る量子干渉装置は、前記セルの肉厚が、前記照射方向に向かって大きくなっていることを特徴とする。
本適用例によれば、セルの外幅が拡散光の光軸と平行になるように、セルの肉厚が、拡散光の照射方向に向かって大きくなっており、セルを他の構造物に固定しやすくすることが可能になる。従って、セルの位置決め精度が向上し、長期的に照射方向(光軸)を安定させることができるので発振周波数の長期安定度の向上が期待できる。
さらに、光源部とは反対側のセルの壁の肉厚が、光源部側のセルの壁の肉厚と比較して小さいので、光源部とは反対側のセルの壁は放熱性がよく、温度が周囲よりも低くなっている。そのため、冷却効率がよく、セル内部の金属の固化が、光源部とは反対側のセルで集中して起こるようになる。従って、セルの不特定な部位において金属の固化が発生する場合と比べて、セルの温度分布が安定して保持されるので、周波数変動を低減することができる。
[適用例4]上記適用例に係る量子干渉装置は、金属を溜める金属溜り部が、前記セルの前記光源部側の端部とは反対側の端部寄りに設けられていることを特徴とする。
本適用例によれば、上述のように、光源部とは反対側のセルの壁の温度は、周囲よりも低くなっている。そのため、セル内部の金属の固化が、光源部とは反対側の端部寄りに設けられている金属溜り部で集中して起こるようになり、固化された金属を金属溜り部に効率よく集めることができるので、セル内部に照射される拡散光を遮ることを低減できる。
つまり、金属溜り部が設けられていない場合と比べて、固化した金属の量が視覚的に容易に分かる。その結果、セル内部に気体の状態で封入されている金属が不足して濃度が低下しているといった状況が分かるので、量子干渉装置の保守・点検が必要なタイミングが把握できる。
[適用例5]上記適用例に係る量子干渉装置は、前記セル内部の内壁が、前記光の照射方向に向かって広がるテーパー形状を有していることを特徴とする。
本適用例によれば、セルの内幅をテーパー形状に広げることによって、拡散光の光束に沿うことが可能になり、セルの内壁に拡散光が当たり難く、セルの内壁近傍の金属が照射されることを低減しつつ、セル内部に封入されている金属に満遍なく光が照射される。従って、セル内部の無駄な空間が少なくなり、効率よく量子干渉装置の小型化が可能になる。
[適用例6]上記適用例に係る量子干渉装置は、前記セル内部の内壁が、前記光の照射方向に沿って段差形状を有していることを特徴とする。
本適用例によれば、拡散光の光束に沿って、セルの内壁を製作することが容易になるため、量子干渉装置の低コスト化を図ることが可能になる。
[適用例7]上記適用例に係る量子干渉装置は、前記セルに入射する前記光の幅よりも受光領域が大きい受光部を有することを特徴とする。
本適用例によれば、受光部において、光源部から出射される拡散光を取りこぼすことなく受光することができるため、光の検出精度を向上できる。
[適用例8]本適用例に係る原子発振器は、上記に記載の量子干渉装置を有することを特徴とする。
本適用例によれば、光束調整部品を配置しなくても、EIT信号の強度、またはS/N比が低下することを低減できる量子干渉装置を備えているので、小型で高精度な原子発振器を提供することができる。
第1実施形態に係る量子干渉装置の全体構成図。 第1実施形態に係る量子干渉装置の概略図。 アルカリ金属のエネルギー状態の説明図。 光源部から出射される2つの光の周波数差と受光部で検出される光の強度との関係を示すグラフ。 第2実施形態に係る量子干渉装置の概略図。 第2実施形態の変形例1に係る量子干渉装置の概略図。 第2実施形態の変形例2に係る量子干渉装置の概略図。 第1実施形態に係る量子干渉装置を有する原子発振器の全体構成図。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、各層や各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各層や各部材の尺度を実際とは異ならせしめている。
[量子干渉装置の構成]
まず、本発明の量子干渉装置10の構成について説明する。本発明の量子干渉装置10は、後述する原子発振器100の他、例えば、磁気センサー、量子メモリーなどにも適用可能である。
<第1実施形態>
図1は第1実施形態に係る量子干渉装置10の全体構成図である。また、図2は第1実施形態に係る量子干渉装置10の概略図である。
図1に示す量子干渉装置10は、周波数が異なる2つの共鳴光を入射させたときの量子干渉効果による光吸収特性を利用して、出力を制御する量子干渉装置である。
以下、本実施形態の量子干渉装置10の具体的な構成について、図1、および図2を参照しながら各部を順次説明する。なお、本発明の趣旨は、量子干渉装置10の構造にあるので、量子干渉装置10の周波数制御についての詳細な説明は省略する。
図1に示すように、量子干渉装置10は、セル11、光源部15、受光部16、制御部41、ヒーター31、温度センサー32、コイル33を備えており、さらに、セル11、受光部16、ヒーター31、温度センサー32、コイル33を収容する磁気シールド36を備えている。
さらに詳細に説明すると、図2に示すように、量子干渉装置10は、気体の状態の金属原子28が封入されているセル11と、金属原子28に放射角θを有する光(拡散光)としてのレーザー光20(共鳴光)を供給する光源である光源部15と、光源部15から出射されるレーザー光20の光軸21上に、セル11を透過した出射光22を検出する受光部16と、を備えている。なお、放射角θとは、レーザー光20の光束の最も外側に位置している光と光軸21とがなす角のことを言う。
つまり、光源部15から出射されるレーザー光20は、セル11の入射窓17からセル11の内部空間19に入射し、セル11の内部空間19を円錐台、または円錐を形成するように放射状に拡散しながら透過し、セル11の出射窓18から出射して、最終的に受光部16で、出射光22として強度を検出される。
(セル)
セル11は、一対の、側面が開口している開口部を有する胴体12と、その一方の開口部を封鎖する入射窓17と、他方の開口部を封鎖する出射窓18と、から構成されており、金属原子28が封入されている内部空間19を形成している。また、セル11は、光源部15と受光部16とを直線で結んだ光軸21に垂直な面における、入射窓17の中心部と出射窓18の中心部とを結ぶ仮想線が、光軸21上に重なるように配置されている。
金属原子28は、セル11の内部空間19に封入されており、内部空間19の温度と真空度から決定される飽和蒸気圧に従い、気体の状態で一定の濃度で存在している。本実施形態では、金属原子28として量子吸収体であるセシウム(Cs)が封入されており、さらに、必要に応じてアルゴン、ネオンなどの希ガス、窒素などの不活性ガスが緩衝ガスとして封入されていてもよい。
胴体12は、光軸21方向に延出している中空の円錐台形状をした筐体であり、セル11の内壁14が、レーザー光20の光束より若干大きい内幅を保ちながら、レーザー光20の照射方向に向かってレーザー光20の光束に沿うように、テーパー形状に大きくなっている。つまり、レーザー光20の照射方向に向かって、セル11の内壁14と光軸21とのなす角(以下、傾斜角ηと言う)が、レーザー光20の放射角θと略同じ大きさになっている。なお、内幅とはレーザー光20の照射方向と交わる断面のセル11の内壁14の幅(大きさ)のことを言う。
一方、セル11の外壁13は、レーザー光20の照射方向に向かって、内壁14と平行になるように、言い換えれば、セル11の胴体12の外壁13と内壁14とで挟まれた肉厚(以下、肉厚と言う)が同じになるように作られている。
胴体12を構成する材料としては、一定の剛性があり、量子干渉装置10の動作温度において変形・溶解・腐食などしない材料であればよい。すなわち、ガラス材料、水晶、金属材料、樹脂材料、シリコン材料などが挙げられるが、加工性や入射窓17および出射窓18との接合性を考慮すると、ガラス材料、シリコン材料を用いるのが好ましい。
中でも、シリコン材料を用いることがより好ましい。なぜなら、セル11の幅や高さが10mm以下となるような小さいセル11を形成する場合であっても、エッチングなどの微細加工技術を用いて、高精度な胴体12を容易に形成するとともに、セル11の小型化を図ることができるからである。
次に、入射窓17は、光源部15から出射されてセル11の内部空間19へ入射するレーザー光20が透過するものであり、出射窓18は、セル11の内部空間19から出射し、出射光22となるレーザー光20が透過するものであり、それぞれ板状をなしている。従って、入射窓17および出射窓18を構成する材料としては、レーザー光20に対する透過性を有していれば、特に限定されない。そのため、例えば、シリコン材料、ガラス材料、水晶などが挙げられるが、熱膨張などを考慮すると、胴体12と同一の材料を用いることが好ましい。
特に、入射窓17、出射窓18をガラス材料で構成する場合、シリコン材料で構成されている胴体12と、入射窓17、出射窓18とを陽極接合法により簡単に気密的に接合することができる。なお、入射窓17、出射窓18の厚さやレーザー光20の強度によっては、入射窓17、出射窓18をシリコン材料で構成することもできる。
ここで、エッチングなどの微細加工技術を用いて金属原子28が封入されているセル11の製造方法の一例を説明する。まずシリコン材料を含むシリコン基板をエッチングして、テーパー形状に貫通孔を開けて胴体12を形成する。次に、胴体12の一方の開口部を封鎖するように、入射窓17としてのガラス材料を含むガラス基板を接合し、胴体12の内部に形成された内部空間19に金属原子28を入れる。
次に、同様に、胴体12の他方の開口部を封鎖するように、出射窓18としての別のガラス基板を接合することによって、セル11の内部空間19が気密空間となる。この場合の胴体12と入射窓17および出射窓18との接合方法としては、先述した陽極接合法の他に、接着剤による接合方法、直接接合法などを用いることができる。そして、セル11の外形寸法に合わせて、接合されたものをダイシング装置などを用いて切断することにより金属原子28が封入されたセル11が完成する。
また、金属原子28の封入は、以下のように行ってもよい。胴体12の一部に金属原子28を導入するための導入孔(図示せず)を形成し、導入孔に通気管(図示せず)を接続し、真空ポンプ(図示せず)により、一定の真空度に減圧する。そして、金属原子28を気化させた状態で、通気管からセル11の内部空間19に注入し、その後、導入孔を封じることにより行う。
あるいは、金属原子28が気体で存在する雰囲気内で、胴体12、入射窓17、出射窓18の接合を行ってもよいし、両端が開口しているガラス管に金属原子28を入れて、両端を加熱して溶かすことによって封入してもよい。このような場合には、室温、および量子干渉装置10の作動時のセル11の温度において金属原子28が析出しないように、金属原子28の飽和蒸気圧を考慮して、金属原子28の封入時の真空度、および温度を適切に調整する必要がある。
なお、セル11の胴体12の形状は、中空の円錐台形状であるとして述べてきたが、拡散光であるレーザー光20がセル11の内壁14に当たらないように、レーザー光20の照射方向に向かってレーザー光20の光束に沿うようにテーパー形状に大きくなっている構成であればよい。
レーザー光20の拡散光の照射方向と交わる断面が円形であるため、金属原子28の発現効率を考慮すると、セル11の胴体12の形状は円錐台形状が最適であるが、円錐台形状に限定されず、例えば、断面が矩形の四角錐台形状、断面が六角形の六角錐台形状など、断面が多角形の多角錐台形状でもよいし、断面が楕円の楕円錐台形状でもよい。
また、本実施形態の量子干渉装置10は、レーザー光20の放射角度が1度以上90度以下の範囲になるように構成されていることが好ましい。なぜなら、放射角度が1度より小さい場合には、セル11の内部空間19に封入されている金属原子28のうち、レーザー光20が照射されない金属原子28が多くなる。従って、セル11の内部空間19の金属原子28にレーザー光20を満遍なく照射させようとすると、レーザー光20の光軸21に平行な方向において、セル11が長くなってしまい、放射角度が90度より大きい場合には、レーザー光20をセル11の内壁14に当たらないように入射させることができなくなるからである。
上記の理由から、放射角度が1度以上90度以下の範囲であれば、量子干渉装置10を小型化することができるが、特に、量子干渉装置10としてレーザー光20の光軸21に平行な方向、および光軸21に垂直な面内方向の小型化を図る場合には、放射角度は10度以上30度以下で構成されていることが好ましい。放射角度が上記数値範囲内に設定されていれば、小型化が可能になる。
以上のことから、セル11の内部空間19に封入されている金属原子28はセル11の内部空間19に均一に分布しているので、レーザー光20が金属原子28に照射される際に、セル11の内壁14がレーザー光20の照射方向に向かって、レーザー光20の放射角θに沿って放射状に広がっている胴体12を有するセル11の方が、レーザー光20の光軸21に平行な胴体を有するセルと比較して、より多く照射可能となる。
つまり、レーザー光20の放射角θに沿って放射状に広がっている胴体12を有するセル11で量子干渉装置10を構成することによって、セル11の内部空間19に封入されている金属原子28に満遍なくレーザー光20が照射される。従って、量子干渉装置10の小型化が進んで、光軸21上に凸レンズや凹レンズといった拡散光の光束を調整するレンズが配置されなくても、EIT信号の強度、またはS/N比が低下することを低減できる。
(光源部)
次に、光源部15は、2つの発振周波数(ω1,ω2)をもつレーザー光20、つまりカップリング光とプローブ光とを同時に同一の方向に出射できるように構成されており、それぞれの周波数ごとに独立して変化させることができる。これにより、ひとつのセル11の内部空間19に封入されている金属原子28に周波数の異なる2つのレーザー光20を同時に照射し、レーザー光20の周波数を制御して、EIT信号を伴う光吸収を金属原子28に行わせることができる。
光源部15は、共鳴光を出射できるものであればよく、例えば、垂直共振器面発光レーザー(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)、端面発光レーザー(Edge Emitting Laser)などの半導体レーザーを用いることができる。また、光源部15は、温度調節素子(発熱抵抗体、ペルチェ素子など)(図示せず)により、所定温度に温度調節される。
(受光部)
次に、受光部16は、レーザー光20の可変周波数領域において、セル11の内部空間19を透過して出射される出射光22の強度を検出する光検出感度を有する周波数特性を持っていればよく、例えば、太陽電池、フォトダイオードなどの光検出器(受光素子)を用いることができる。
出射光22は、レーザー光20の照射方向に進行しながら放射状に広がるので、受光部16の受光領域は、セル11内部に入射するレーザー光20の光の幅(光束)よりも大きくなっている。さらに、受光部16は、出射光22を漏らすことなく捉えられる距離範囲内にセル11に近づけて配置されている。
(ヒーター)
ヒーター31は、量子干渉装置10を動作させる際に、セル11内部の金属原子28を所望濃度の気体の状態にして、EIT現象が発生する適正温度に加熱している。ヒーター31は、通電により発熱するものであり、例えば、セル11の外表面上に設けられている発熱抵抗体で構成されている。このような発熱抵抗体は、例えば、プラズマCVD、熱CVDのような化学蒸着法(CVD)、真空蒸着などの乾式メッキ法、ゾル・ゲル法などを用いて形成される。
この発熱抵抗体は、セル11の入射窓17または出射窓18に設けられる場合には、共鳴光に対する透過性を有する材料、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、In33、SnO2、Sb含有SnO2、Al含有ZnOなどの酸化物の透明電極材料で構成される。
ヒーター31は、セル11を加熱することができるものであれば、特に限定されず、セル11に対して非接触であってもよい。また、ヒーター31に代えて、または、ヒーター31と併用して、ペルチェ素子を用いてセル11を加熱してもよい。このようなヒーター31は、配線(図示せず)を介して、後述する制御部41の温度制御部43に電気的に接続されて通電制御される。
(温度センサー)
温度センサー32は、ヒーター31またはセル11の温度を検出するものである。そして、この温度センサー32の検出結果に基づいて、ヒーター31の発熱量が制御される。この制御によって、セル11内部の金属原子28を所望の温度に維持することができる。
温度センサー32の設置位置は、例えば、ヒーター31上であってもよいし、セル11の外表面上であってもよい。温度センサー32としては、サーミスタ、熱電対などの公知の各種温度センサーを用いることができる。温度センサー32は、配線(図示せず)を介して、後述する制御部41の温度制御部43に電気的に接続されて通電制御される。
(コイル)
コイル33は、通電することにより、セル11の内部空間19にレーザー光20の光軸21に平行な方向の磁場を発生させてゼーマン分裂が起こる。その結果、内部空間19に存在する金属原子28の縮退している異なるエネルギー準位間のギャップを拡げて分解能を向上させ、EIT信号の線幅を小さくすることができる。なお、コイル33から発生する磁場は、直流磁場または交流磁場のいずれかの磁場であってもよいし、直流磁場と交流磁場とを重畳させた磁場であってもよい。
コイル33の設置位置は、例えば、ソレノイド型を構成するようにセル11の胴体12の外壁13に沿って巻き付けられていてもよいし、ヘルムホルツ型を構成するように一対のコイルをセル11を介して対向させてもよい。コイル33は、配線(図示せず)を介して、後述する制御部41の磁場制御部44に電気的に接続されている。これにより、コイル33に通電を行うことができる。
(磁気シールド)
磁気シールド36は、外形形状がブロック状をなす筐体で構成されており、上述のように、内部にセル11、受光部16、ヒーター31、温度センサー32、コイル33を収容している。磁気シールド36は磁気シールド性を有し、セル11内部の金属原子28を外部磁界から遮蔽している。これにより、磁気シールド36内部において、コイル33から発生する磁場を安定させられるので、量子干渉装置10の出力の安定性向上を図ることができる。
磁気シールド36の構成材料としては、磁気シールド性を有する材料であれば特に限定されず、例えば、Fe、各種鉄系合金(ケイ素鉄、パーマロイ、アモルファス、センダスト、コバール)などの軟磁性材料が挙げられる。中でも、磁気シールド性が優れるという観点から、コバール、パーマロイなどのFe‐Ni系合金を用いることができる。
さらに、磁気シールド36からは、複数のリード(図示せず)が突出しており、これらは配線を介して受光部16、ヒーター31、温度センサー32およびコイル33に電気的に接続されている。また、各リードは、コネクターなどで配線基板と電気的に接続されている。このコネクターとしては、例えば、フレキシブル基板やソケット状をなすものを用いることができる。
(制御部)
制御部41は、光源部15の2つのレーザー光20の周波数を制御する共鳴光制御部42と、セル11の内部空間19に封入されている金属原子28の温度を制御する温度制御部43と、セル11に印加する磁場を制御する磁場制御部44と、を備えている。制御部41は、以下に説明するように、ヒーター31、コイル33および光源部15をそれぞれ制御しており、本実施形態では、IC(Integrated Circuit)チップで構成されている。
共鳴光制御部42は、受光部16の検出結果に基づいて、2つのレーザー光20の周波数差(ω1− ω2)が金属原子28の固有の周波数(特定の値)ω0となるように、光源部15から出射される2つのレーザー光20の周波数(ω1,ω2)を制御する。共鳴光制御部42の具体的な構成に関しては後述する。
温度制御部43は、温度センサー32の検出結果に基づいて、ヒーター31への通電を制御することによって、セル11を所望の温度範囲内に維持することができる。
また、磁場制御部44は、コイル33から発生する磁場が一定となるように、コイル33への通電を制御する。
以上のことから、第1実施形態によれば、レーザー光20の照射方向に向かって、セル11の内壁14がレーザー光20の放射角θに沿って放射状に大きくなっていることによって、言い換えれば、光軸21方向におけるセル11の内壁14の傾斜角ηを、レーザー光20の放射角θと略同じにすることによって、セル11の内部空間19に封入されている金属原子28に満遍なくレーザー光20が照射される。
このような理由により、量子干渉装置10の小型化が進んで、光軸21上に凸レンズや凹レンズといった光束を調整するレンズが配置されなくても、セル11の内部空間19に封入されている金属原子28が効率よく光を吸収し、セル11の内部空間19を無駄にすることなく、発現効率を向上させて、EIT信号の強度、またはS/N比が低下することを低減できる。
さらに、セル11の内壁14の内幅がレーザー光20の光束より若干大きい範囲で構成されていることから、内壁14にレーザー光20が当たり難く、内壁14近傍の金属原子28が照射されることを低減できる。その結果、EIT信号の線幅が小さくなり、高品質かつ大きなEIT信号を得られるため、精度の高い小型化の量子干渉装置10を得ることができる。
[量子干渉装置の原理]
次に、量子干渉装置10の原理を説明する。
図3はアルカリ金属のエネルギー状態の説明図であり、図4は光源部15から出射される2つの光の周波数差と受光部16で検出される光の強度との関係を示すグラフである。
上述のように、量子干渉装置10では、レーザー光20が光源部15からセル11に向けて出射され、セル11を透過した出射光22を受光部16が検出する。セル11の内部空間19には、金属原子28が気体の状態で均一に封入されており、この金属原子28は、図3に示すように、3準位系のエネルギー準位を有し、エネルギー準位の異なる2つの基底状態(基底状態α,β)と、1つの共鳴状態と、の3つの状態をとり得る。なお、基底状態αは、基底状態βよりも低いエネルギー状態である。
光源部15から出射されるレーザー光20は、周波数の異なる2つの共鳴光1,2を含んでおり、この2つの共鳴光1,2を上述のような気体の状態の金属原子28に照射すると、共鳴光1の周波数ω1と共鳴光2の周波数ω2との差(ω1−ω2)に応じて、共鳴光1,2の金属原子28における光吸収率(光透過率)が変化する。
そして、共鳴光1の周波数ω1と共鳴光2の周波数ω2との差(ω1−ω2)が基底状態αと基底状態βとのエネルギー差に相当する周波数に一致したとき、基底状態α,βから共鳴状態への共鳴がそれぞれ停止する。このとき、共鳴光1,2は、いずれも、金属原子28に吸収されずに透過する。このような現象を電磁誘起透明化現象(EIT:Electromagnetically Induced Transparency)と呼ぶ。
例えば、光源部15が共鳴光1の周波数ω1を固定し、共鳴光2の周波数ω2を変化させていくと、共鳴光1の周波数ω1と共鳴光2の周波数ω2との差(ω1−ω2)が基底状態αと基底状態βとのエネルギー差に相当する周波数に一致したとき、受光部16の検出強度は、図4に示すように、急峻に上昇する。
このような急峻な信号をEIT信号として検出する。EIT信号は、金属原子28の種類によって決まった固有値をもっているので、このEIT信号を用いることにより、例えば、高精度な発振器や磁気センサーを構成することができる。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係る量子干渉装置10aを図5に沿って説明する。
図5は、第2実施形態に係る量子干渉装置10aの概略図である。第2実施形態に係る量子干渉装置10aは、上記第1実施形態の量子干渉装置10と比較して、セル11の胴体12の形状が異なるものである。上記第1実施形態との共通部分については、同一符号を付して説明を省略し、上記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
(セル)
図5に示すように、第2実施形態に係る量子干渉装置10aも、第1実施形態と同様に、セル11aと、光源部15と、受光部16と、を備えており、セル11a内部に金属原子28が封入されている内部空間19を形成している。
第2実施形態に係る量子干渉装置10aのセル11aの胴体12aの内壁14aは、第1実施形態と同様に、レーザー光20の照射方向において、レーザー光20の放射角θと略同じ傾斜角ηを有してテーパー形状に広がっている。一方、セル11aの胴体12aの外壁13aは光軸21に平行になっているので、セル11aの外形は円筒形状になっている。つまり、セル11aは、光源部15側の胴体12aの肉厚が、光源部15側とは反対側(以下、受光部16側と言う)の胴体12aの肉厚より厚くなっている。
なお、内壁14aは、拡散光であるレーザー光20がセル11aの内壁14aに当たらない構成であれば円錐台形状に限定されず、例えば、断面が矩形の四角錐形状、断面が六角形の六角錐形状など、断面が多角形の多角錐形状でもよいし、断面が楕円の楕円錐形状でもよい。一方、外壁13aも、図5で示した円筒形状に限定されず、多角柱形状、楕円形状、またはそれらを組み合わせたものでもよく、内壁14aに関係なく自由に選択可能である。
以上のことから、第2実施形態に係る量子干渉装置10aによれば、第1実施形態での効果に加えて以下の効果を得ることができる。
レーザー光20の照射方向において、セル11aの胴体12aの外壁13aを光軸21と平行に延出することによって、セル11aの胴体12aを他の構造物にしっかりと固定しやすくなる。その結果、セル11aの位置決め精度が向上し、長期的にレーザー光20の照射方向、または光軸21を安定させることができる。
さらに、受光部16側のセル11aの肉厚が、光源部15側のセルの肉厚と比較して小さいので放熱性がよく、温度が周囲よりも低くなっている。そのため、冷却効率がよく、セル11a内部の気体の状態の金属原子28の固化が、セル11aの受光部16側に集中して起こるようになる。従って、セル11aの不特定な部位に金属原子28の固化が発生する場合と比べて、セル11aの温度分布が安定して保持される。従って、周波数の安定度の向上が期待でき、長期信頼性の向上にも貢献できる。
<変形例1>
図6を用いて、第2実施形態の変形例1に係る量子干渉装置10bについて説明する。図6は、第2実施形態の変形例1に係る量子干渉装置10bの概略図である。なお、変形例1に係る量子干渉装置10bは、上記第2実施形態の量子干渉装置10aとは、セル11aの胴体12aの内壁14aの形状が異なるものである。上記第1実施形態、または第2実施形態との共通部分については、同一符号を付して説明を省略し、上記第2実施形態と異なる部分を中心に説明する。
(セル)
図6に示すように、変形例1に係る量子干渉装置10bも、第2実施形態と同様に、セル11bの胴体12bの内壁14bがレーザー光20の照射方向に沿って大きくなっており、胴体12bの外壁13bは光軸21に平行に延出している。つまり、胴体12bの内壁14bはレーザー光20の放射角θに沿って広がっており、外壁13bは光軸21に平行になっている。
変形例1に係る量子干渉装置10bは、第2実施形態と異なり、セル11bの内壁14bがレーザー光20の照射方向に沿って段差形状を有している。図6では、入射窓17から出射窓18まで、4段階で徐々に広がっている図を示しているが、2段階、3段階でもよいし、5段階以上で広がっていてもよい。また、テーパー形状と組み合わせながら広がっていてもよい。
このような構成にすることによって、セル11bの内壁14bを製作することが容易になるため、セル11bの低コスト化を図ることが可能になる。従って、量子干渉装置10bを製作する時間が短縮されることによって、コスト削減に貢献できる。なお、第2実施形態の変形例1の特徴であるセル11bの内壁14bがレーザー光20の照射方向に沿って段差形状を有していることは、第1実施形態にも適用することが可能である。
<変形例2>
図7を用いて、第2実施形態の変形例2に係る量子干渉装置10cについて説明する。図7は、第2実施形態の変形例2に係る量子干渉装置10cの概略図である。なお、変形例2に係る量子干渉装置10cは、上記第2実施形態の量子干渉装置10aとは、セル11aの胴体12aの形状が異なるものである。上記第1実施形態、または第2実施形態との共通部分については、同一符号を付して説明を省略し、上記第2実施形態と異なる部分を中心に説明する。
(セル)
図7に示すように、変形例2に係る量子干渉装置10cも、第2実施形態と同様に、セル11cの胴体12cの内壁14cがレーザー光20の照射方向に向かってレーザー光20の放射角θと略同じ傾斜角ηを有してテーパー形状に広がっており、一方、セル11cの胴体12cの外壁13cは光軸21に平行になっているので、セル11cの外形は円筒形状になっている。つまり、セル11cは、光源部15側の胴体12cの肉厚が、受光部16側の胴体12cの肉厚より厚くなっている。
さらに、変形例2に係る量子干渉装置10cは、第2実施形態と異なり、セル11c内部の受光部16側の端部の、重力がはたらく方向における下部に、金属原子28を溜める金属溜り部29が設けられている。上述のように、受光部16側は胴体12の肉厚が小さいことから、光源部15側と比べて放熱性がよく、温度が周囲よりも低くなっている。
セル11c内部の金属原子28は、その全てが気体の状態で存在するのではなく、一部が余剰分として、セル11cの温度の低い部分に析出(結露)することにより液体となる。そのため、セル11c内部の気体の状態の金属原子28の固化が金属溜り部29で集中して起こるようになり、金属原子28を金属溜り部29に効率よく集めることができる。
つまり、金属溜り部29が設けられていない場合と比べて、固化した金属原子28の量を視覚的に容易に分かる。その結果、セル11c内部に気体の状態で封入されている金属の濃度が低下しているといった状況が分かるので、量子干渉装置10cの保守・点検が必要なタイミングが把握できる。
さらに、長い年月が経つとセシウム(Cs)がセル11cに吸収されて、セル11c内部のセシウム(Cs)濃度が徐々に低下してしまうことがあるが、変形例2に係る量子干渉装置10cによれば、セル11c内部の一部に金属溜り部29が設けられているので、この金属溜り部29に液体または固体としてセシウム(Cs)を追加補充しておくことによって、セシウム(Cs)の濃度が低下することを低減できる。従って、量子干渉装置10cの保守・点検をせずに、長期に亘る使用が可能となる。
[原子発振器]
図8は、第1実施形態に係る量子干渉装置10を有する原子発振器100の全体構成図である。図2、および図8に沿って、量子干渉装置10を有する原子発振器100の全体構成について具体的に説明する。
図8に示すように、原子発振器100は、中心周波数制御手段110、半導体レーザー120、原子セル130、磁場発生手段140、光検出器150、増幅器160、検波手段170、変調手段180、発振器190、検波手段200、発振器210、変調手段220、発振器230、周波数変換手段240、検波手段250、発振器260、変調手段270、発振器280、変調手段290を含んで構成されている。
なお、図8の半導体レーザー120、原子セル130、磁場発生手段140、光検出器150は、それぞれ図1、または図2の光源部15、セル11、コイル33、受光部16に対応する。また、中心周波数制御手段110、増幅器160、検波手段170、変調手段180、発振器190、検波手段200、発振器210、変調手段220、発振器230、周波数変換手段240、検波手段250、発振器260、変調手段270、発振器280、変調手段290で構成される回路は、図1の共鳴光制御部42に対応する。
図2を用いて先述したように、半導体レーザー120(光源部15)は、原子セル130(セル11)に封入されている金属原子28が効率よくEIT現象を起こすように周波数の異なる2つのレーザー光20を出射し、金属原子28に照射する。
例えば、中心周波数制御手段110として、半導体レーザー120に駆動電流を供給するレーザー・ダイオード・ドライバーを用いた場合、その駆動電流に変調手段290が出力する交流電流を重畳することにより、半導体レーザー120が出射するレーザー光20に変調をかけることができる。そして、変調成分に相当する光が金属原子28に対する共鳴光1、または共鳴光2になるように変調手段290の出力がフィードバック制御される。
光検出器150は、原子セル130を透過した光を検出し、検出した光の量に応じた強度の信号を出力する。光検出器150の出力信号は増幅器160で増幅され、検波手段170、検波手段200および検波手段250に入力される。
検波手段170は、発振器190の発振信号によって増幅器160の出力信号を同期検波する。変調手段180は、発振器190の発振信号によって検波手段170の出力信号を変調する。発振器190は、例えば、数十Hz〜数百Hz程度の低い周波数で発振させればよい。
そして、中心周波数制御手段110は、変調手段180の出力信号に応じて、半導体レーザー120が出射するレーザー光20の中心周波数を制御する。半導体レーザー120、原子セル130、光検出器150、増幅器160、検波手段170、変調手段180、および中心周波数制御手段110を通るフィードバックループにより中心周波数が安定する。
次に、検波手段200は、発振器230の発振信号によって増幅器160の出力信号を同期検波する。発振器210は、検波手段200の出力信号の大きさに応じて、発振周波数が変化する発振器であり、例えば、電圧制御水晶発振器(VCXO:Voltage Controlled Crystal Oscillator)により実現することができる。ここで、発振器210は、例えば、10MHz程度で発振し、この発振信号が原子発振器100の出力信号となる。
変調手段220は、発振器230の発振信号によって発振器210の出力信号を変調する。発振器230は、例えば、数十Hz〜数百Hz程度の低い周波数で発振させればよい。
周波数変換手段240は、変調手段220の出力信号を、原子セル130に封入された磁気量子数m=0の金属原子28の2つの基底準位のエネルギー差に相当する周波数差の1/2(セシウム原子の場合は9.1926GHz/2=4.5963GHz)に等しい周波数の信号に変換する。周波数変換手段240は、例えば、PLL(Phase Locked Loop)回路により実現することができる。
なお、周波数変換手段240は、変調手段220の出力信号を、原子セル130に封入された磁気量子数m=0の金属原子28の2つの基底準位のエネルギー差に相当する周波数差(セシウム原子の場合は9.1926GHz)に等しい周波数の信号に変換するようにしてもよい。
次に、検波手段250は、発振器280の発振信号によって増幅器160の出力信号を同期検波する。発振器260は、検波手段250の出力信号の大きさに応じて、発振周波数が変化する発振器であり、例えば、電圧制御水晶発振器(VCXO)により実現することができる。ここで、発振器260は、原子セル130に封入された金属原子28の励起準位のドップラー拡がりの幅に相当する周波数に対して十分小さい周波数Δω(例えば、1MHz〜10MHz程度)で発振する。
変調手段270は、発振器280の発振信号によって発振器260の出力信号を変調する。発振器280は、例えば、数十Hz〜数百Hz程度の低い周波数で発振させればよい。
変調手段290は、変調手段270の出力信号によって周波数変換手段240の出力信号を変調する(周波数変換手段240の出力信号によって変調手段270の出力信号を変調させてもよい)。変調手段290は、周波数混合器(ミキサー)、周波数変調(FM:Frequency Modulation)回路、振幅変調(AM:Amplitude Modulation)回路などにより実現することができる。そして、半導体レーザー120が出射するレーザー光20は、変調手段290の出力に基づいて変調がかけられ、共鳴光1と共鳴光2とが生成される。
このような構成の原子発振器100において、半導体レーザー120が出射する、共鳴光1と共鳴光2との周波数差が、原子セル130に封入されている金属原子28の2つの基底準位のエネルギー差に相当する周波数と正確に一致しなければ、金属原子28がEIT現象を起こさないため、共鳴光1と共鳴光2との周波数に応じて、光検出器150の検出量は極めて敏感に変化する。
そのため、半導体レーザー120、原子セル130、光検出器150、増幅器160、検波手段200、発振器210、変調手段220、周波数変換手段240、および変調手段290を通るフィードバックループにより、周波数変換手段240の出力信号の周波数が、磁気量子数m=0の金属原子28の2つの基底準位のエネルギー差に相当する周波数差の1/2に等しい周波数と正確に一致するようにフィードバック制御がかかる。
従って、このフィードバックループ内に存在する発振器210も極めて安定した発振周波数で発振することになり、原子発振器100の出力信号の周波数精度を高くすることができる。
また、原子セル130にかかる磁場の強度は、地磁場の影響や温度変化の影響を受けて変化するが、本実施形態によれば、地磁場の影響や温度変化の影響も加味してフィードバック制御がかかる。従って、外乱の影響をキャンセルしてより高精度な原子発振器100を提供することができる。
以上のことから、原子発振器100が本実施形態の量子干渉装置10を有することにより、セル11の容積を増やさずにEIT発現効率を大幅に向上させることができる。その結果、EIT信号のピークがより高く急峻になり、極めて安定した周波数安定度で発振を維持することができる原子発振器100を実現することができる。
また、本実施形態の原子発振器100によれば、原子発振器100の小型化が進んで、共鳴光の光軸21上に凸レンズや凹レンズといった光束を調整するレンズが配置されなくても、セル11(原子セル130)の内部空間19に封入されている金属原子28が効率よく光を吸収し、セル11の内部空間19を無駄にすることなく、発現効率を向上させて、EIT信号の強度、またはS/N比が低下することを低減できる。従って、コストダウンや小型化に有利である。
1,2…共鳴光、10…量子干渉装置、11…セル、12…胴体、13…外壁、14…内壁、15…光源部、16…受光部、17…入射窓、18…出射窓、19…内部空間、20…レーザー光、21…光軸、22…出射光、28…金属原子、29…金属溜り部、31…ヒーター、32…温度センサー、33…コイル、36…磁気シールド、41…制御部、42…共鳴光制御部、43…温度制御部、44…磁場制御部、100…原子発振器、110…中心周波数制御手段、120…半導体レーザー、130…原子セル、140…磁場発生手段、150…光検出器、160…増幅器、170…検波手段、180…変調手段、190…発振器、200…検波手段、210…発振器、220…変調手段、230…発振器、240…周波数変換手段、250…検波手段、260…発振器、270…変調手段、280…発振器、290…変調手段、θ…放射角、η…傾斜角。

Claims (8)

  1. 金属を封入しているセルと、
    前記セル内部に放射角を有する光を照射する光源部と、を備え、
    前記光の照射方向と交わる断面の前記セルの内幅が、前記照射方向に向かって大きくなっていることを特徴とする量子干渉装置。
  2. 前記放射角が1度以上90度以下の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載の量子干渉装置。
  3. 前記セルの肉厚が、前記照射方向に向かって大きくなっていることを特徴とする請求項1または2に記載の量子干渉装置。
  4. 金属を溜める金属溜り部が、前記セルの前記光源部側の端部とは反対側の端部寄りに設けられていることを特徴とする請求項3に記載の量子干渉装置。
  5. 前記セル内部の内壁が、前記光の照射方向に向かって広がるテーパー形状を有していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の量子干渉装置。
  6. 前記セル内部の内壁が、前記光の照射方向に沿って段差形状を有していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の量子干渉装置。
  7. 前記セルに入射する光の幅よりも受光領域が大きい受光部を有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の量子干渉装置。
  8. 請求項1ないし7のいずれか一項に記載の量子干渉装置を有することを特徴とする原子発振器。
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