JP2016015918A - 太陽光利用型ガラス温室 - Google Patents

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勝寿 中山
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俊彦 林
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Abstract

【課題】従来に比べて、より多くの日射を取り入れることが可能な太陽光利用型ガラス温室を提供する。
【解決手段】太陽光利用型ガラス温室であって、天井屋根の少なくとも一部には、厚さが2mm以下の化学強化処理されたガラス部材が適用されることを特徴とする太陽光利用型ガラス温室。
【選択図】図1

Description

本発明は、太陽光利用型ガラス温室に関する。
近年、各国において、中〜大規模の園芸施設として、太陽光利用型ガラス温室が注目されている。太陽光利用型ガラス温室では、天井屋根の部分にガラス部材が設置される(例えば、特許文献1)。
特開平10−139489号公報
従来の太陽光利用型ガラス温室では、天井屋根に厚いガラス部材が設置される。
これは、天井屋根に薄いガラス部材を適用すると、砂、小石、およびその他の飛散物等の衝突によって、ガラス部材が容易に破損してしまうおそれがあるためである。すなわち、天井屋根に、例えば厚さ4mm以上の厚いガラス部材を適用することにより、このような飛散物の衝突による天井屋根の破損を抑制することができる。
ただし、天井屋根に厚い(重い)ガラス部材を適用するためには、ガラス部材を支持する柱材や枠材は、相応の強度を備える必要がある。このため、従来の太陽光利用型ガラス温室では、柱材および枠材等の構造物には、比較的太い構造部材が使用されている。
しかしながら、このような太い構造部材を使用した場合、しばしば、構造部材自身により、太陽光の温室内への入射が妨げられ、温室内に十分な日射を取り入れることが難しくなるという問題が生じ得る。
本発明は、このような背景に鑑みなされたものであり、本発明では、従来に比べて、より多くの日射を取り入れることが可能な太陽光利用型ガラス温室を提供することを目的とする。
本発明では、太陽光利用型ガラス温室であって、
天井屋根の少なくとも一部には、厚さが2mm以下の化学強化処理されたガラス部材が適用されることを特徴とする太陽光利用型ガラス温室が提供される。
本発明では、従来に比べて、より多くの日射を取り入れることが可能な太陽光利用型ガラス温室を提供することができる。
本発明の一実施例による太陽光利用型ガラス温室の構成を概略的に示した図である。
(本発明の一実施例による太陽光利用型ガラス温室について)
以下、図1を参照して、本発明の一実施例による太陽光利用型ガラス温室について説明する。なお本願において、「天井屋根」は、「天井部」または「屋根」と記載する場合もある。
図1には、本発明の一実施例による太陽光利用型ガラス温室(以下、「第1のガラス温室」と称する)の構成を概略的に示す。
図1に示すように、第1のガラス温室100は、天井部120および軒下部150を有する。
天井部120は、第1の面125、第2の面127、第3の面135、および第4の面137の4つの面で構成される。
このうち、第1の面125は、第1の屋根126で構成され、第2の面127は、第2の屋根128で構成される。
図1に示した例では、第1の屋根126と第2の屋根128は、頂上線LM(天井部120の最上端を結ぶ線)から地上に降ろした垂線に対して略線対称となるように配置される。ただし、これは必須の構成ではなく、第1の屋根126と第2の屋根128は、頂上線LMから地上に降ろした垂線に対して相互に非対称な角度で配置されても良い。
第3の面135は、第1の天井壁136で構成され、第4の面137は、第2の天井壁138で構成される。第1の天井壁136と第2の天井壁138は、相互に対向しており、いずれも地面に対して略垂直に配置される。
軒下部150は、略直方体の形状を有し、4つの面で構成される。軒下部150のこれらの4つの面を、天井部120の各面125、127、135、137と対応する順番に、第5の面155、第6の面157(図1からは視認できないため、図示されていない)、第7の面165、および第8の面167と称する。
第5の面155は、第1の軒下壁156で構成され、第6の面157は、第2の軒下壁158(図示されていない)で構成される。第1の軒下壁156と第2の軒下壁158(図示されていない)は、相互に対向しており、いずれも地面に対して略垂直に配置される。第7の面165は、第3の軒下壁166で構成され、第8の面167は、第4の軒下壁168で構成される。第3の軒下壁166と第4の軒下壁168は、相互に対向しており、いずれも地面に対して略垂直に配置される。
各面125、127、135、137、155、157、165、167は、それぞれの部分を構成したり、他の部材を支持したりする柱類180を備える。
また、第1の屋根126は、柱類180によって区画され支持されるガラス部材140を備える。例えば、図1の例では、第1の屋根126は、合計10枚のガラス部材140を有し、これらのガラス部材140は、柱類180で支持された状態で、縦横(2×5)のマトリクス状に配置されている。
また、図1からは視認できないが、第2の屋根128も、第1の屋根126と同様の構成を有する。
なお、第1および第2の屋根126、128に加えて、各壁136、138、156、158、166、168の少なくとも一つに対して、ガラス部材が配置されても良い。
ただし、第1のガラス温室100において、これは必須な構成ではない。
ここで、従来の太陽光利用型ガラス温室では、天井部の屋根のガラス部材として、比較的厚いガラス部材が使用される。これは、屋根に薄いガラス部材を適用すると、砂、小石、およびその他の飛散物等の衝突によって、ガラス部材が容易に破損してしまうおそれがあるためである。
ただし、天井屋根にそのような厚い(重い)ガラス部材を適用するためには、ガラス部材を支持する柱類に、相応の強度を提供する必要がある。このため、従来の太陽光利用型ガラス温室では、柱類のような構造物に、比較的太い構造部材が使用されている。
しかしながら、このような太い構造部材を使用した場合、しばしば、構造部材自身により、太陽光の温室内への入射が妨げられ、温室内に十分な日射を取り入れることが難しくなるという問題が生じ得る。
また、細い部材を密にすることにより、構造を支持することも可能であるが、この場合も、充分な日射量の確保が難しくなる点では同様である。
これに対して、本発明による第1のガラス温室100は、第1の屋根126および/または第2の屋根128に配置されるガラス部材140の少なくとも一部は、厚さが2mm以下の化学強化処理されたガラス部材で構成されるという特徴を有する。
このような薄いガラス部材140を使用した場合、ガラス部材140が軽量化され、前述のような問題、すなわち、ガラス部材の支持のために、太い柱類を使用しなければならないという問題を有意に軽減することができる。
従って、第1のガラス温室100では、柱類180に要求される強度が軽減され、従来に比べて太さが低減された柱類180を使用することが可能になる。また、これにより、温室100内に、より多くの太陽光を取り入れることが可能になる。
さらに、第1のガラス温室100では、ガラス部材140は、化学強化処理されている。
化学強化処理されたガラス部材は、通常の(化学強化処理されていない)ガラス部材に比べて、有意に大きな強度(耐衝撃性)を有する。このため、第1のガラス温室100では、屋根126、128に薄いガラス部材140を適用しても、小石、砂、および飛散物等の衝突によって、ガラス部材が破損してしまうという問題が有意に抑制される。
これらの効果により、第1のガラス温室100では、屋根の破損のおそれを回避したまま、従来に比べてより多くの日射を温室内に取り入れることができる。
なお、本願において、第1のガラス温室100の寸法は、特に限られないが、第1のガラス温室100は、例えば、1000m以上の床面積を有しても良い。第1のガラス温室100の床面積は、例えば、1200m〜10000mの範囲であっても良い。
(ガラス部材140の仕様について)
次に、前述のような第1のガラス温室100の屋根126、128に適用されるガラス部材140の仕様について、詳しく説明する。
(寸法)
ガラス部材140の厚さは、2mm以下であれば特に限られない。ガラス部材140の厚さは、例えば、0.5mm〜2mmの範囲であっても良い。
(組成)
ガラス部材140の組成は、特に限られない。ガラス部材140は、例えば、ソーダライムガラスで構成されても良い。
なお、ガラス部材140は、酸化物基準の質量百分率表示で、SiOを50〜75%、Alを2.5〜19%、MgOを2〜15%、CaOを0〜10%、SrOを0〜3%、BaOを0〜1%、NaOを4〜18%、KOを0〜8%、ZrOを0〜5%を含有することが好ましい(以下、このような組成を有するガラスを、「特殊ソーダライムガラス」と称する)。
例えば、ガラス部材140は、酸化物基準の質量百分率表示で、SiOを50〜65%、Alを4〜19%、MgOを2〜10%、CaOを0.05〜3%、SrOを0〜3%、BaOを0〜1%、NaOを10〜18%、KOを0〜7%、ZrOを0〜3%を含有するガラスで構成されても良い。
あるいは、ガラス部材140は、酸化物基準の質量百分率表示で、SiOを65〜72%、Alを3.4〜8.6%、MgOを3.3〜6%、CaOを6.5〜9%、SrOを0〜3%、BaOを0〜1%、NaOを13〜16%、KOを0〜1%、ZrOを0〜3%、TiOを0〜0.2%、Feを0.01〜0.15%、SOを0.02〜0.4%含有し、値(NaO+KO)/Alが1.8〜5であるガラスで構成されても良い。
以下、そのような「特殊ソーダライムガラス」で構成されたガラス部材140を使用することにより得られる効果について説明する。
一般に、太陽光利用型ガラス温室は、農場のような屋外に配置されるため、各種気候変動の影響を受けることになる。すなわち、太陽光利用型ガラス温室は、年間を通して、風雨状態を含む様々な天候に晒される。
その結果、太陽光利用型ガラス温室を長期間使用した場合、屋根に適用されるガラス部材に、「ヤケ」と呼ばれる現象が生じる場合がある。
ここで、「ヤケ」とは、ガラスの表面において、水分による濡れと乾燥が繰り返される結果、ガラスの表面が白濁する現象を意味する。より具体的には、ガラスに吸着した水分中に、ガラス側からアルカリ金属成分が溶出すると、水がアルカリ性に変化する。このアルカリ性の水が、その後空気中の酸性ガスと反応すると、炭酸塩系の生成物が生じ、ガラスの表面が白濁する。
ガラス部材にこのような「ヤケ」が生じた場合、「ヤケ」の発生箇所では、透明性が損なわれるため、屋根を介して、太陽光を温室内に十分に入射させることができなくなってしまうという問題が生じる。太陽光利用型の温室で栽培される作物には、僅かな入射量の減少が収量に影響するものもあり、そのような場合は大きな問題となる。
しかしながら、前述のような組成を有する「特殊ソーダライムガラス」で構成されたガラス部材140は、「ヤケ」が生じ難いという特徴を有する。
従って、「特殊ソーダライムガラス」で構成されたガラス部材140を第1のガラス温室100に適用した場合、「ヤケ」の発生が有意に抑制される。その結果、第1のガラス温室100内に、長期にわたって、多くの入射光を取り入れ続けることができるという効果が得られる。
(化学強化処理について)
前述のように、ガラス部材140は、化学強化処理されているという特徴を有する。
ここで、「化学強化処理(法)」とは、ガラス基板をアルカリ金属を含む溶融塩中に浸漬させ、ガラス基板の最表面に存在する原子径の小さなアルカリ金属(イオン)を、溶融塩中に存在する原子径の大きなアルカリ金属(イオン)と置換する技術の総称を言う。「化学強化処理(法)」では、処理されたガラス基板の表面には、元の原子よりも原子径の大きなアルカリ金属(イオン)が配置される。このため、ガラス基板の表面に圧縮応力層を形成することができ、これによりガラス基板の強度が向上する。
例えば、ガラス基板がナトリウム(Na)を含む場合、化学強化処理の際、このナトリウムは、溶融塩(例えば硝酸塩)中で、例えばカリウム(K)と置換される。あるいは、例えば、ガラス基板がリチウム(Li)を含む場合、化学強化処理の際、このリチウムは、溶融塩(例えば硝酸塩)中で、例えばナトリウム(Na)および/またはカリウム(K)と置換されても良い。
ガラス基板に対して、このような化学強化処理を行うことにより、ガラス基板の表面に圧縮応力層が形成され、これにより、ガラス基板の強度を高めることができる。
(その他)
この他、ガラス部材140には、各種機能を付与しても良い。
例えば、ガラス部材140には、反射防止機能を付与しても良い。そのような反射防止性機能は、例えば、ガラスの表面に、屈折率の異なる透明誘電体の積層膜を配置することにより、構成することができる。
なお、反射防止機能を有するガラスは、従来から知られている(例えば、国際公開第WO2012/086806号、および日本国特許第4883383号公報等参照)ため、ここでは、これ以上説明しない。
(実験)
前述のガラス基板の「ヤケ」に対する耐性を評価するため、以下の方法で、2種類の組成のガラス基板を用いて、高温高湿試験を実施した。
(ガラス基板の準備)
まず、組成の異なる2種類のガラス基板(以下、それぞれ、「第1のガラス基板」および「第2のガラス基板」と称する)を準備した。両ガラス基板の寸法は、縦40mm×横40mm×厚さ1.1mmとした。
第1のガラス基板および第2のガラス基板の組成を以下の表1に示す。第2のガラス基板は、前述の「特殊ソーダライムガラス」に相当する。
Figure 2016015918
次に、第1のガラス基板に対して、化学強化処理を実施した。化学強化処理は、第1のガラス基板の全体を、450℃のKNO溶融塩に6時間浸漬した後、ガラス基板を室温付近まで冷却することにより実施した。
第2のガラス基板に対しても、同様の化学強化処理を実施した。
(試験方法)
相対湿度RH=99%、温度120℃の雰囲気中で、第1および第2のガラス基板(化学強化処理あり/なし)を20時間保持した。
試験後に各ガラス基板を回収し、それぞれのガラス基板を、超純水20mLを含むチャック付きポリ袋中に入れた。その後、室温で、周波数100kHzの超音波処理を実施した。
次に、得られた各液体中に含まれる溶出成分を、ICP発光分析法およびICP質量分析法により分析した。また、各液体中に含まれるアルカリ成分の量を評価した。
(結果)
以下の表2には、各ガラス基板に対して得られた、溶出成分の分析結果をまとめて示す。
Figure 2016015918
表2には、各ガラス基板における試験結果として、各種溶出元素の量の他、溶液中のアルカリ成分の総量も同時に示した。
表2に示すように、第1のガラス基板の場合、化学強化処理の有無に関わらず、溶液中のアルカリ成分の総量は、100nmol/cmを超えることがわかる。
これに対して、第2のガラス基板では、化学強化処理を実施していない場合であっても、溶液中のアルカリ成分の総量は、7.1nmol/cmであり、溶出量が少ないことがわかる。特に、化学強化処理を実施した第2のガラス基板の場合、溶液中のアルカリ成分の総量は、4.4nmol/cmであり、アルカリ成分の溶出量は、第1のガラス基板に比べて、大きく抑制されていることがわかる。
この結果から、太陽光利用型ガラス温室に第2のガラス基板を適用した場合、前述のようなヤケの問題が有意に抑制されることがわかった。
本発明は、例えば、園芸栽培および温水プール等に適用可能な太陽光利用型ガラス温室等に利用することができる。
100 第1のガラス温室
120 天井部
125 第1の面
126 第1の屋根
127 第2の面
128 第2の屋根
135 第3の面
136 第1の天井壁
137 第4の面
138 第2の天井壁
140 ガラス部材
150 軒下部
155 第5の面
156 第1の軒下壁
157 第6の面
158 第2の軒下壁
165 第7の面
166 第3の軒下壁
167 第8の面
168 第4の軒下壁
180 柱類

Claims (5)

  1. 太陽光利用型ガラス温室であって、
    天井屋根の少なくとも一部には、厚さが2mm以下の化学強化処理されたガラス部材が適用されることを特徴とする太陽光利用型ガラス温室。
  2. 前記ガラス部材は、ソーダライムガラスで構成される、請求項1に記載の太陽光利用型ガラス温室。
  3. 前記ガラス部材は、酸化物基準の質量百分率表示で、50〜75%のSiO、2.5〜19%のAl、2〜15%のMgO、0〜10%のCaO、0〜3%のSrO、0〜1%のBaO、4〜18%のNaO、0〜8%のKO、および0〜5%のZrOを有する、請求項2に記載の太陽光利用型ガラス温室。
  4. 当該太陽光利用型ガラス温室は、床面積が1000m以上である、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の太陽光利用型ガラス温室。
  5. 前記ガラス部材は、反射防止機能を有する、請求項1乃至4のいずれか一つに記載の太陽光利用型ガラス温室。
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