JP2016016423A - 加飾部品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】中間サーフェスを簡単な処理で確実に設定でき、立体形状をなす部品素材の被加飾曲面上に歪みのない柄を正確に描くことができる加飾部品の製造方法を提供する。【解決手段】柄データ平面上にて複数の柄データ設定点を等間隔に設定し、被加飾曲面上にて複数の目安点を柄データ設定点に対応して等間隔に設定する(S111,S112)。各柄データ設定点から柄データ平面の法線ベクトルの方向に延びる投影線を各々設定する(S113)。各目安点から法線ベクトルの方向に延びる補助線を各々設定する(S114)。補助線と投影線とが交差する交点と目安点との間の距離よりも半径が大きな補助円を各目安点に設定する(S115)。補助円と投影線との交点にて補助円に接するように曲面を設定し(S116)、柄データ平面上の柄から曲面に向けて法線ベクトルを延長して曲面上に柄を投影することにより、中間サーフェスを設定する。【選択図】図6
Description
本発明は、立体形状をなす部品素材の被加飾曲面上にレーザを照射することにより、被加飾曲面に柄を描く加飾部品の製造方法に関するものである。
自動車の内装部品などでは、デザイン性や品質を高めるために樹脂成形体の表面に装飾を加えるようにした加飾部品(例えば、コンソールボックス、インストルメントパネル、アームレストなど)が実用化されている。このような加飾部品に装飾を加える加飾方法として、レーザ描画が提案されている。レーザ描画は、部品表面の被加飾領域にレーザを照射し、レーザによって与えられた熱により部品表面の状態を変化させて、絵柄を描くようにした加飾方法である。
具体的には、樹脂成形体の表面上に設定された被加飾領域に、ガルバノミラーを備えるガルバノヘッド(レーザ偏向部)を駆動させてレーザ照射をすることにより、柄を形成して装飾を加えるレーザ加飾装置が提案されている。このレーザ加飾装置では、描画可能なレーザの照射範囲が設定されている。従って、樹脂成形体の立体形状が複雑になったり樹脂成形体が大型化したりすると、レーザの照射範囲外となる領域が発生しやすくなり、樹脂成形体の表面全体にレーザが確実に到達しにくくなる。このため、例えば、レーザの照射範囲である被加飾領域を複数のレーザ照射領域に分割し、この状態で樹脂成形体あるいはガルバノヘッドを適切な位置に移動させてレーザ照射領域ごとにレーザを照射している(例えば、特許文献1参照)。
ところで、特許文献1に開示されているような従来のレーザ加飾装置を用い、図15に示される加飾部品50の表面51にレーザ描画を行う場合、平面52上の柄53を、立体的な部品表面51に投影し、画像データを作成している。なお、図15の加飾部品50では、部品サイズが大きいため、上面側と側面側とでレーザ照射領域を分割してレーザ描画が行われる。この場合、各レーザ照射領域同士の継ぎ目の部分55では、柄53の描画位置がずれてしまう。また、形状変化が大きい部品表面51にレーザ描画を行う場合、その形状変化に応じて柄53に歪みが生じ、柄53の間隔がばらつくことがある。この結果、部品表面51の意匠性が悪化するため、品質の高い加飾部品50が得られなくなる。
そこで、本願発明者は、図16に示されるように、平面52上の柄53と部品表面51(被加飾曲面)との間に中間サーフェス60を設定し、中間サーフェス60を利用して曲面形状に対応したレーザ描画を行う手法を提案している(特許文献2参照)。詳しくは、中間サーフェス60は、被加飾曲面51よりも曲りの程度が小さい曲面を想定し、かつ平面52上の柄53から曲面に向けて法線ベクトルを延長して当該曲面上に柄を投影することにより、中間サーフェス60を設定する。さらに、中間サーフェス60上の柄から被加飾曲面51に向けて法線ベクトルを延長して被加飾曲面51上に柄を投影することにより、立体描画データを作成している。この立体描画データに基づいてレーザ描画を行うことで、加飾部品50の被加飾曲面51上に歪みのない柄を描くことが可能となる。
ところで、中間サーフェス60は、被加飾曲面51の曲面形状やサイズに応じて異なるため、その曲面形状やサイズが異なる加飾部品50にレーザ描画を行う場合には、曲面形状やサイズに応じた最適な中間サーフェス60をその都度設定する必要がある。しかしながら、従来では、被加飾曲面51の形状変更に応じて試行錯誤して中間サーフェス60を設定していたため、手間がかかってしまう。特に、被加飾曲面51における曲面形状の変化が大きい場合、平面52上の柄53と被加飾曲面51との間に、複数の中間サーフェスを設定する必要があり、立体描画データを作成するために作業時間が長くなってしまう。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、中間サーフェスを簡単な処理で確実に設定し、立体形状をなす部品素材の被加飾曲面上に歪みのない柄を正確に描くことができる加飾部品の製造方法を提供することにある。
そして上記課題を解決するための手段(手段1)としては、仮想三次元空間内の所定位置に立体形状をなす部品素材の被加飾曲面を設定し、前記被加飾曲面の上方となる位置に、曲りのない平面上にレーザ描画用の柄を付した柄データ平面を設定する柄データ平面設定ステップと、前記被加飾曲面と前記柄データ平面との間に、前記被加飾曲面よりも曲りの程度が小さい曲面を想定し、かつ前記柄データ平面上の前記柄から前記曲面に向けて法線ベクトルを延長して当該曲面上に前記柄を投影することにより、中間サーフェスを設定する中間サーフェス設定ステップと、前記中間サーフェス上の前記柄から前記被加飾曲面に向けて法線ベクトルを延長して前記被加飾曲面上に前記柄を投影することにより、立体描画データを作成する立体描画データ作成ステップとを行った後に、前記立体描画データに基づいて前記部品素材の被加飾曲面上にレーザを照射することにより、前記部品素材の被加飾曲面に柄を描く加飾部品の製造方法であって、前記中間サーフェス設定ステップは、前記柄データ平面上において複数の柄データ設定点を等間隔に設定するデータ設定ステップと、前記被加飾曲面上において複数の目安点を前記柄データ設定点に対応して等間隔に設定する目安点設定ステップと、前記複数の柄データ設定点を起点とし、そこから前記被加飾曲面側かつ前記柄データ平面の法線ベクトルの方向に延びる投影線を各々設定する投影線設定ステップと、前記被加飾曲面上の前記複数の目安点ごとに法線ベクトルを想定し、前記複数の目安点から法線ベクトルの方向に延びる補助線を各々設定する補助線設定ステップと、前記被加飾曲面上の前記複数の目安点を中心とした円であって、前記柄データ設定点に対応する前記補助線と前記投影線とが交差する交点と前記目安点との間の距離よりも半径が大きな補助円を各々設定する補助円設定ステップと、前記補助円と前記投影線との交点において前記補助円に接するように前記曲面を設定する曲面設定ステップとを含むことを特徴とする加飾部品の製造方法がある。
手段1に記載の発明によると、従来技術のように部品素材の被加飾曲面に応じた中間サーフェスを試行錯誤して設定することなく、比較的簡単な処理で被加飾曲面の形状に応じた狙い通りの中間サーフェスを確実に設定することができる。この結果、中間サーフェスを設定するための作業時間を短縮することができ、加飾部品の製造コストを低く抑えることができる。さらに、中間サーフェスを用いてレーザ描画を行うことで、立体形状をなす部品素材の被加飾曲面上に歪みのない柄を正確に描くことができる。
具体的には、複数の目安点を中心とした補助円において、柄データ設定点との距離が最も長い目安点における補助円の半径が最も大きく、かつその半径は、交点と目安点との間の距離の1.1倍以下である。また、複数の目安点を中心とした補助円において、交点と目安点との間の距離に対する半径の比率は、柄データ設定点とその柄データ設定点に対応する目安点との距離が長いものほど小さくなるよう設定される。このようにすると、被加飾曲面の形状に応じて柄データ平面から離間するほど曲率が大きくなる中間サーフェスを確実に設定することができる。
また、複数の目安点を中心とした補助円において、柄データ設定点とその柄データ設定点に対応する目安点との距離が長いものほど半径が大きくなるように設定されていてもよい。さらに、複数の目安点を中心とした補助円において、柄データ平面に対して目安点での被加飾曲面の傾斜角度が大きいものほど半径が大きくなるように設定されていてもよい。さらには、複数の目安点を中心とした補助円において、目安点が柄データ平面から離れた位置にあるものほど半径が大きくなるように設定されていてもよい。このようにしても、被加飾曲面の形状変化に応じて曲率が大きくなる中間サーフェスを確実に設定することができる。特に目安点が柄データ平面から離れた位置にあり、目安点での被加飾曲面の傾斜角度が大きくなった場合でも、その被加飾曲面に対応した中間サーフェスを確実に設定することができる。
柄データ平面における柄データ設定点は、正方形の格子柄に対応して設定される設定点であることが好ましい。また、柄データ平面上における柄データ設定点の間隔と、被加飾曲面上における目安点の間隔とが等しいことがより好ましい。このようにすると、柄データ平面における柄データ設定点が単純なパターン図形となるため、設計しやすくデータの処理負荷が小さくなる。従って、簡単な処理で中間サーフェスを効率よく確実に設定することができる。
以上詳述したように、手段1に記載の発明によると、中間サーフェスを簡単な処理で確実に設定することができ、立体形状をなす部品素材の被加飾曲面上に歪みのない柄を正確に描くことができる。
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、加飾部品としての車両用内装部品1を示す斜視図であり、図2は、その車両用内装部品1を示す拡大断面図である。図1及び図2に示されるように、この車両用内装部品1は、立体形状をなす部品素材2と、その部品素材2の表面を被覆するように形成された塗装膜3とを有している。本実施の形態の部品素材2は、平坦な形状の主部2aとそれに連続して配置された一対の側部2b,2cとを備える略コ字状を呈するものである。塗装膜3の表面には、例えば長方形の格子柄4が描かれている。本実施形態の車両用内装部品1は、例えば自動車のドアのアームレストを構成する部品である。部品素材2は、ABS樹脂を用いて成形された樹脂成形体であり、全体的に黒色に着色されている。また、部品素材2の表面を覆う塗装膜3は、高光沢黒色(ピアノブラック)の塗料を用いて形成されている。格子柄4は、レーザ描画(具体的には、レーザアブレーション加工)によって塗装膜3上に加飾されている。なお、レーザアブレーション加工とは、レーザを固体に照射し、溶融を経ずに原子、分子、クラスターが直接蒸発して、固体表面が削り取られる現象を利用した非加熱加工のことをいう。
本実施形態の格子柄4は、レーザ照射によって描画された線幅W1が30μm以上110μm以下、深さD1が6μm以上16μm以下のレーザ加工溝M1からなる。その理由は、線幅W1及び深さD1を上記範囲内にて設定することにより、表面の反射状態が好適かつ均一なものとなる結果、反射差異の発生が抑制され、目的とする意匠が実現されやすくなるからである。なお、格子柄4を確実に描画したい場合には、レーザ加工溝M1の線幅W1を、50μm以上90μm以下、深さD1を10μm以上16μm以下に設定することが好適である。
図3には、車両用内装部品1に柄4を加飾するためのレーザ加飾装置11が示されている。本実施形態のレーザ加飾装置11は、車両用内装部品1を支持する支持台12と、支持台12を移動させて車両用内装部品1の姿勢等を変更するワーク変位ロボット13と、車両用内装部品1の部品表面にレーザL1を照射するレーザ照射装置14と、ワーク変位ロボット13及びレーザ照射装置14を制御する制御装置15とを備えている。
ワーク変位ロボット13は、ロボットアーム13aを備え、その先端に支持台12が支持されている。ワーク変位ロボット13は、ロボットアーム13aを駆動することで、支持台12を上下方向、左右方向及び回転方向に移動させ、車両用内装部品1(部品素材2)の位置や姿勢を変更する。その結果、車両用内装部品1(部品素材2)の表面に対するレーザL1の照射位置や照射角度が変更されるようになっている。
レーザ照射装置14は、所定波長のレーザL1(例えば波長が1064nmのYVO4レーザ)を発生させるレーザ発生部21と、レーザL1を偏向させるレーザ偏向部22と、レーザ発生部21及びレーザ偏向部22を制御するレーザ制御部23とを備えている。レーザ偏向部22は、レンズ24と反射ミラー25とを複合させてなる光学系であり、これらレンズ24及び反射ミラー25の位置を変更することにより、レーザL1の照射位置や焦点位置を調整するようになっている。レーザ制御部23は、レーザ発生部21及びレーザ偏向部22を制御することで、レーザL1の照射強度、レーザL1の走査速度などのレーザ照射条件を調整する。
制御装置15は、CPU31、メモリ32及び入出力ポート33等からなる周知のコンピュータにより構成されている。制御装置15は、ワーク変位ロボット13及びレーザ照射装置14に電気的に接続されており、各種の駆動信号によってワーク変位ロボット13及びレーザ照射装置14を制御する。
制御装置15のメモリ32には、部品素材2の表面に柄4を描画するためのプログラムやデータが記憶されている。具体的には、車両用内装部品1の三次元形状を示す形状データ、車両用内装部品1に描画する柄4に応じた柄データなどのデータが記憶されている。また、メモリ32には、ワーク変位ロボット13及びレーザ照射装置14を制御するためのプログラムやデータが記憶されている。
次に、車両用内装部品1の製造方法を図4のフローチャートに従って説明する。なお、図4の処理を開始する前に、ABS樹脂を用いて成形された部品素材2の表面に塗装膜3を塗布形成したものを準備しておく。ここでは、立体形状をなす部品素材2(主部2a及び側部2b,2c)の表面側全体が被加飾曲面となる。
図4の処理が開始されると、CPU31は、図5に示されるように、仮想三次元空間内の所定位置に部品素材2の被加飾曲面41を設定する。また、CPU31は、その被加飾曲面41の上方に、曲りのない平面上にレーザ描画用の柄4aを付した柄データ平面42を設定する(柄データ平面設定ステップとしてのステップS100)。本実施の形態では、部品素材2の主部2aの表面は平坦面であるため、被加飾曲面41においてその平坦面41a(主部)上に接するように柄データ平面42を設定する。この場合、被加飾曲面41における側部41b,41c(部品素材2の側部2b,2cに対応する部位)では、曲面41から離間した位置に柄データ平面42が設定される。なお、柄データ平面42における柄4aは、被加飾曲面41の表面積に対応する領域であってその中心位置を被加飾曲面41の中心位置に合わせた状態で設定される。
次に、CPU31は、被加飾曲面41と柄データ平面42との間に、被加飾曲面41よりも曲りの程度が小さい曲面を想定し、かつ柄データ平面42上の柄4aから曲面に向けて法線ベクトルを延長して当該曲面上に柄4aを投影することにより、中間サーフェスを設定する(中間サーフェス設定ステップとしてのステップS110)。
本実施の形態では、CPU31は、中間サーフェスを設定するために図6に示される各処理(ステップS111〜ステップS116)を実行する。詳述すると、CPU31は、図7に示されるように、柄データ平面42において複数の柄データ設定点PA1,PA2,PA3,…を等間隔に設定する(データ設定ステップとしてのステップS111)。つまり、柄データ設定点PA1,PA2,PA3,…は、長方形の格子柄に対応して設定される設定点である。
また、CPU31は、図8に示されるように、被加飾曲面41上において複数の目安点PB1,PB2,PB3,…を柄データ設定点PA1,PA2,PA3,…に対応して等間隔に設定する(目安点設定ステップとしてのステップS112)。本実施の形態では、柄データ平面42上における柄データ設定点PA1,PA2,PA3,…の間隔と、被加飾曲面41上における目安点PB1,PB2,PB3,…の間隔とが等しくなるように各目安点PB1,PB2,PB3,…を設定している。
次いで、CPU31は、図9に示されるように、複数の柄データ設定点PA1,PA2,PA3,…を起点とし、そこから被加飾曲面41側かつ柄データ平面42の法線ベクトルの方向に延びる投影線LA1,LA2,LA3,…を各々設定する(投影線設定ステップとしてのステップS113)。また、CPU31は、図10に示されるように、被加飾曲面41上の複数の目安点PB1,PB2,PB3,…ごとに法線ベクトルを想定し、複数の目安点PB1,PB2,PB3,…から法線ベクトルの方向に延びる補助線LB1,LB2,LB3,…を各々設定する(補助線設定ステップとしてのステップS114)。
さらに、CPU31は、図11に示されるように、被加飾曲面41上の複数の目安点PB1,PB2,PB3,…を中心とした円であって、柄データ設定点PA1,PA2,PA3,…に対応する補助線LB1,LB2,LB3,…と投影線LA1,LA2,LA3,…とが交差する交点PC1,PC2,PC3,…と目安点PB1,PB2,PB3,…との間の距離よりも半径が大きな補助円CA1,CA2,CA3,…を各々設定する(補助円設定ステップとしてのステップS115)。ここでは、中間サーフェスの形状が滑らかに変化するように各補助円CA1,CA2,CA3,…の大きさを調整する。
具体的には、各補助円CA1,CA2,CA3,…において、柄データ設定点PA1,PA2,PA3,…との距離が最も長い目安点PB1における補助円CA1の半径が最も大きくなり、その補助円CA1の半径は、交点PC1と目安点PB1との間の距離の1.1倍以下(本実施の形態ではほぼ1倍)である。また、各補助円CA1,CA2,CA3,…において、交点PC1,PC2,PC3,…と目安点PB1,PB2,PB3,…との間の距離に対する半径の比率は、柄データ設定点PA1,PA2,PA3,…とその柄データ設定点PA1,PA2,PA3,…に対応する目安点PB1,PB2,PB3,…との距離が長いものほど小さくなるよう設定される。具体的には、交点PC5と目安点PB5との距離が短い補助円CA5における半径の比率は3.2倍程度であり、補助円CA4における半径の比率は2.5倍程度である。また、補助円CA3における半径の比率は2.0倍程度であり、補助円CA2における半径の比率は1.5倍程度である。さらに、交点PC1と目安点PB1との距離が最も大きな補助円CA1における半径の比率は1倍程度である。
また、本実施の形態では、柄データ設定点PA1,PA2,PA3,…とその柄データ設定点PA1,PA2,PA3,…に対応する目安点PB1,PB2,PB3,…との距離が長いものほど半径が大きくなるように各補助円CA1,CA2,CA3,…が設定されている。つまり、目安点PB1,PB2,PB3,…が柄データ平面42から離れた位置にあるものほど半径が大きくなるように各補助円CA1,CA2,CA3,…が設定される。さらに、柄データ平面42に対して目安点PB1,PB2,PB3,…での被加飾曲面41の傾斜角度が大きいものほど半径が大きくなるように各補助円CA1,CA2,CA3,…が設定されている。
その後、CPU31は、図12に示されるように、設定した各補助円CA1,CA2,CA3,…と投影線LA1,LA2,LA3,…との交点PD1,PD2,PD3,…において補助円CA1,CA2,CA3に接するように曲面44を設定する(曲面設定ステップとしてのステップS116)。
図13に示されるように、CPU31は、柄データ平面42上の柄4aから曲面44に向けて法線ベクトルV1を延長して当該曲面44上に柄4aを投影することにより、中間サーフェス45を設定する。中間サーフェス45は、被加飾曲面41と柄データ平面42との略中間位置に配置され、被加飾曲面41全体に覆いかぶさるような面として設定される。
さらに、CPU31は、中間サーフェス45上の柄4aから被加飾曲面41に向けて法線ベクトルV2を延長して被加飾曲面41上に柄4aを投影することにより、立体描画データを作成する(立体描画データ作成ステップとしてのステップS120)。なお、図13において、説明の便宜上、柄4aの間隔はステップS111で設定した設定点PA1,PA2,PA3,…の間隔とほぼ等しくしているが、実際の柄4aは、設定点PA1,PA2,PA3,…の間隔よりも狭く設定されている。また、被加飾曲面41において平坦な主部41aには、柄データ平面42上の柄4aが投影されることで立体描画データが作成される。つまり、主部41aにおいては柄データ平面42上の柄4aと立体描画データが一致する。
次に、CPU31は、レーザ照射範囲を考慮して立体描画データを複数の照射領域に分割する(立体描画データ分割ステップ)。具体的には、CPU31は、被加飾曲面41に関する形状データに基づいて被加飾曲面41の大きさを求め、その被加飾曲面41とレーザ照射範囲とを比較する(ステップS130)。なお、レーザ照射範囲とは、上述した線幅W1が50μm以上90μm以下、深さD1が10μm以上16μm以下のレーザ加工溝M1を形成可能な照射範囲であって、水平方向の幅及び長さに加えて、垂直方向の高さの範囲を含む。
そして、CPU31は、被加飾曲面41のほうが大きいと判断したときには、立体描画データを複数の照射領域に分割する分割処理を行う(ステップS140)。ここでは、水平方向の幅及び長さの照射範囲よりも被加飾曲面41の幅及び長さが大きい場合に、被加飾曲面41の立体描画データを分割する。さらに、被加飾曲面41において幅又は長さに対する高さの形状変化が所定値よりも大きくなった場合に、被加飾曲面41の立体描画データを分割する。本実施の形態における部品素材2の場合、幅に対する高さの形状変化が所定値よりも大きいため、被加飾曲面41の主部41aと左右の側部41b,41cとの3つの照射領域に立体描画データを分割する。さらに、CPU31は、部品素材2のレーザ照射時の姿勢を複数の照射領域ごとに決定する(ステップS150)。
その後、CPU31は、その姿勢のデータに基づいてワーク変位ロボット13を制御し、ロボットアーム13aを駆動することで照射領域に応じて部品素材2の姿勢を変更する。またこのとき、CPU31は、分割した立体描画データに基づいてレーザ照射装置14を制御し、レーザ偏向部22の位置及び角度を適宜変更してレーザ発生部21からレーザL1を出力させる(レーザ描画工程としてのステップS160)。この結果、部品素材2の被加飾曲面41上にレーザL1が照射されて被加飾曲面41に柄4が描画される。
一方、ステップS130において、CPU31は、被加飾曲面41よりもレーザ照射範囲のほうが大きいと判断したときには、ステップS140の分割処理を行わずにステップS150に移行して、部品素材2のレーザ照射時の姿勢を決定する。その後、CPU31は、その姿勢のデータと立体描画データとに基づいて、部品素材2に対してレーザ描画工程(ステップS160)を行う。そして、CPU31は、ステップS160のレーザ描画工程を行った後、図4の処理を終了する。
上記のようなレーザ描画工程を行うことにより、図1示されるように、部品素材2の側部2b,2cにおいて柄伸び(図14参照)のない格子柄4を正確に描画することができ、意匠性に優れた車両用内装部品1が製造される。なお、図14は、中間サーフェス45を用いずにレーザ描画を行った場合の格子柄4を比較例として示すものであり、平坦な主部2aに比べて側部2b,2cの格子柄4が伸びた状態で描画されている。
従って、本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)本実施の形態では、従来技術のように部品素材2の被加飾曲面41に応じた中間サーフェス45を試行錯誤して設定することなく、図6に示されるような比較的簡単な処理(ステップS111〜S116)で被加飾曲面41の形状に応じた狙い通りの中間サーフェス45を確実に設定することができる。この結果、中間サーフェス45を設定するための作業時間を短縮することができ、車両用内装部品1の製造コストを低く抑えることができる。さらに、中間サーフェス45を用いてレーザ描画を行うことで、立体形状をなす部品素材2の被加飾曲面41上に歪みのない柄4を正確に描くことができる。
(2)本実施の形態では、複数の補助円CA1,CA2,CA3,…において、柄データ設定点PA1,PA2,PA3,…との距離が最も長い目安点PB1における補助円CA1の半径が最も大きく、かつ補助円CA1の半径は、交点PC1と目安点PB1との間の距離の1.1倍以下としている。また、交点PC1,PC2,PC3,…と目安点PB1,PB2,PB3,…との間の距離に対する半径の比率は、柄データ設定点PA1,PA2,PA3,…とその柄データ設定点PA1,PA2,PA3,…に対応する目安点PB1,PB2,PB3,…との距離が長いものほど小さくなるよう設定される。このようにすると、被加飾曲面41の形状変化に応じて、柄データ平面42から離間するほど曲率が大きくなるような中間サーフェス45を確実に設定することができる。
(3)本実施の形態において、柄データ平面42における柄データ設定点PA1,PA2,PA3,…は、長方形の格子柄に対応して設定される設定点である。また、柄データ平面42上における柄データ設定点PA1,PA2,PA3,…の間隔と、被加飾曲面41上における目安点PB1,PB2,PB3,…の間隔とが等しくなっている。このようにすると、簡単な処理で中間サーフェス45を効率よく確実に設定することができる。なお、長方形の格子柄を例えば正方形の格子柄とすれば、処理がより簡単になり、中間サーフェス45の設定をさらに効率的に行うことが可能となる。
なお、本発明の実施の形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施の形態では、被加飾曲面41の主部41aに接するように柄データ平面42を設定していたが、これに限定されるものではない。被加飾曲面41の主部41aの上方に離間する位置に、柄データ平面42を設定してもよい。このようにしても、図6の処理を行うことにより、被加飾曲面41と柄データ平面42との間に、中間サーフェス45を設定することができる。
・上記実施の形態の車両用内装部品1において、被加飾曲面41に描画される柄が格子柄4であったがこれに限定されるものではなく、カーボン調の絵柄などの複雑な絵柄を描画するよう構成してもよい。なお、被加飾曲面41の形状が上記実施の形態と同じ形状の部品素材2に、カーボン調の絵柄を描画する場合、図6の各処理で求めた曲面44のデータを利用して中間サーフェス45を設定する。そして、その中間サーフェス45を用いてレーザ描画を行うことにより、部品素材2の被加飾曲面41上に歪みのないカーボン調の絵柄を正確に描くことができる。また、被加飾曲面の形状が上記実施の形態と異なる部品素材に、カーボン調の絵柄を描画する場合でも、図6の処理を行うことで、被加飾曲面の形状に対応した中間サーフェスを容易に設定することができる。つまり、等間隔に設定された柄データ設定点PA1,PA2,PA3,…や目安点PB1,PB2,PB3,…に基づいて、被加飾曲面の形状に応じた曲面を設定し、その曲面にカーボン調の絵柄を投影することで中間サーフェスを容易に設定する。そして、その中間サーフェスを用いてレーザ描画を行うことにより、部品素材の被加飾曲面上に歪みのないカーボン調の絵柄を正確に描くことができる。
・上記各実施の形態では、ワーク変位ロボット13によって部品素材2の姿勢を変更して各照射領域のレーザ描画を行うものであったが、レーザ照射装置14側を移動させて各照射領域のレーザ描画を行ってもよい。具体的には、レーザ照射装置14におけるレーザ偏向部22をロボットアーム13aの先端に支持固定する。そして、ロボットアーム13aの駆動によって、レーザ偏向部22の位置及び角度を適宜変更することにより、部品素材2の表面に対するレーザL1の照射位置や照射角度を変更する。このように構成しても、部品素材2の被加飾曲面41において、複数の照射領域に分割してレーザ描画を行うことができ、柄4を確実に描画することができる。
・上記実施の形態の柄4は、黒色の塗装膜3に描画されていたが、描画する絵柄の種類に応じて他の有色の塗装膜の表面に描画されるものであってもよい。また、塗装によって形成される塗装膜3以外に、めっきによって形成される皮膜や蒸着によって形成される皮膜に絵柄を形成してもよい。さらに、樹脂成形体2の表面を被覆する塗装膜3を省略し、樹脂成形体2の表面に柄4を直接描画してもよい。
・上記実施の形態は、車両用内装部品1であるドアのアームレストに具体化するものであったが、これ以外に、コンソールボックス、インストルメントパネルなどの加飾部品に具体化してもよい。勿論、車両用内装部品1以外に、家具や家電などの化粧パネルなどの加飾部品に本発明を具体化してもよい。
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1)手段1において、前記複数の目安点を中心とした補助円において、前記目安点が前記柄データ平面から離れた位置にあるものほど半径が大きくなるように設定されることを特徴とする加飾部品の製造方法。
(2)手段1において、前記柄データ平面上における前記柄データ設定点の間隔と、前記被加飾曲面上における前記目安点の間隔とが等しいことを特徴とする加飾部品の製造方法。
(3)手段1において、レーザ照射範囲を考慮して前記立体描画データを複数の照射領域に分割する立体描画データ分割ステップをさらに備えることを特徴とする加飾部品の製造方法。
(4)手段1において、前記加飾部品は、車両用内装部品であることを特徴とする加飾部品の製造方法。
1…加飾部品としての車両用内装部品
2…部品素材
4a…レーザ描画用の柄
41…被加飾曲面
42…柄データ平面
44…曲面
45…中間サーフェス
CA1〜CA3…補助円
L1…レーザ
LA1〜LA3…投影線
LB1〜LB3…補助線
PA1〜PA3…柄データ設定点
PB1〜PB3…目安点
PC1〜PC3…補助線と投影線との交点
PD1〜PD3…補助円と投影線との交点
2…部品素材
4a…レーザ描画用の柄
41…被加飾曲面
42…柄データ平面
44…曲面
45…中間サーフェス
CA1〜CA3…補助円
L1…レーザ
LA1〜LA3…投影線
LB1〜LB3…補助線
PA1〜PA3…柄データ設定点
PB1〜PB3…目安点
PC1〜PC3…補助線と投影線との交点
PD1〜PD3…補助円と投影線との交点
Claims (6)
- 仮想三次元空間内の所定位置に立体形状をなす部品素材の被加飾曲面を設定し、前記被加飾曲面の上方となる位置に、曲りのない平面上にレーザ描画用の柄を付した柄データ平面を設定する柄データ平面設定ステップと、
前記被加飾曲面と前記柄データ平面との間に、前記被加飾曲面よりも曲りの程度が小さい曲面を想定し、かつ前記柄データ平面上の前記柄から前記曲面に向けて法線ベクトルを延長して当該曲面上に前記柄を投影することにより、中間サーフェスを設定する中間サーフェス設定ステップと、
前記中間サーフェス上の前記柄から前記被加飾曲面に向けて法線ベクトルを延長して前記被加飾曲面上に前記柄を投影することにより、立体描画データを作成する立体描画データ作成ステップと
を行った後に、前記立体描画データに基づいて前記部品素材の被加飾曲面上にレーザを照射することにより、前記部品素材の被加飾曲面に柄を描く加飾部品の製造方法であって、
前記中間サーフェス設定ステップは、
前記柄データ平面上において複数の柄データ設定点を等間隔に設定するデータ設定ステップと、
前記被加飾曲面上において複数の目安点を前記柄データ設定点に対応して等間隔に設定する目安点設定ステップと、
前記複数の柄データ設定点を起点とし、そこから前記被加飾曲面側かつ前記柄データ平面の法線ベクトルの方向に延びる投影線を各々設定する投影線設定ステップと、
前記被加飾曲面上の前記複数の目安点ごとに法線ベクトルを想定し、前記複数の目安点から法線ベクトルの方向に延びる補助線を各々設定する補助線設定ステップと、
前記被加飾曲面上の前記複数の目安点を中心とした円であって、前記柄データ設定点に対応する前記補助線と前記投影線とが交差する交点と前記目安点との間の距離よりも半径が大きな補助円を各々設定する補助円設定ステップと、
前記補助円と前記投影線との交点において前記補助円に接するように前記曲面を設定する曲面設定ステップと
を含むことを特徴とする加飾部品の製造方法。 - 前記複数の目安点を中心とした前記補助円において、前記柄データ設定点との距離が最も長い前記目安点における前記補助円の半径が最も大きく、かつその半径は、前記交点と前記目安点との間の距離の1.1倍以下であることを特徴とする請求項1に記載の加飾部品の製造方法。
- 前記複数の目安点を中心とした前記補助円において、前記交点と前記目安点との間の距離に対する半径の比率は、前記柄データ設定点とその柄データ設定点に対応する前記目安点との距離が長いものほど小さくなるよう設定されることを特徴とする請求項1または2に記載の加飾部品の製造方法。
- 前記複数の目安点を中心とした前記補助円において、前記柄データ設定点とその柄データ設定点に対応する前記目安点との距離が長いものほど半径が大きくなるように設定されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の加飾部品の製造方法。
- 前記複数の目安点を中心とした前記補助円において、前記柄データ平面に対して前記目安点での前記被加飾曲面の傾斜角度が大きいものほど半径が大きくなるように設定されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の加飾部品の製造方法。
- 前記柄データ設定点は、正方形の格子柄に対応して設定される設定点であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の加飾部品の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2014140225A JP2016016423A (ja) | 2014-07-08 | 2014-07-08 | 加飾部品の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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| JP2014140225A JP2016016423A (ja) | 2014-07-08 | 2014-07-08 | 加飾部品の製造方法 |
Publications (1)
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|---|---|
| JP2016016423A true JP2016016423A (ja) | 2016-02-01 |
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ID=55232084
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| JP2014140225A Pending JP2016016423A (ja) | 2014-07-08 | 2014-07-08 | 加飾部品の製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2016016423A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN105855697A (zh) * | 2016-04-10 | 2016-08-17 | 北京工业大学 | 一种激光三维精细曲面铣削的方法 |
-
2014
- 2014-07-08 JP JP2014140225A patent/JP2016016423A/ja active Pending
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