JP2016017901A - 診断装置、及び診断方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電池の充電状態や劣化状態等を適切に診断することができる診断装置、及び診断方法を提供すること。
【解決手段】本実施形態にかかる診断方法は、電池1を透過した透過中性子N2を検出することで、電池1を診断する診断方法であって、電池1を透過した透過中性子N2のスペクトルを測定するステップと、電池1の電圧と負極材料のブラッグエッジとの相関を示す検量線を参照して、透過中性子N2のスペクトルから電池1の電圧を求めて、電池1を診断するステップと、を備えたものである。
【選択図】図9

Description

本発明は、電池の診断装置、及び診断方法に関するものである。
特許文献1には、X線、ガンマ線、又は中性子を用いた電池特性評価装置が開示されている。この電池特性評価装置では、X線、ガンマ線、又は中性子を多方向から走査して電池に照射している。そして、電池を透過したX線、ガンマ線、又は中性子を検出して、検出結果から活物質分布を求めている。
特開2004−181461号公報
特許文献1の評価装置では、X線、ガンマ線、又は中性子の透過量に基づいて、断層像を得ているため、電池の充電状態や劣化状態の情報を得ることができないという問題がある。
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、電池の充電状態や劣化状態等を適切に診断することができる診断装置、及び診断方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る診断方法は、電池を透過した中性子を検出することで、電池を診断する診断方法であって、電池を透過した中性子のスペクトルを測定するステップと、前記電池の電圧と負極材料のブラッグエッジとの相関を示す検量線を参照して、前記中性子のスペクトルから前記電池の電圧を求めて、電池を診断するステップと、を備えたものである。これにより、電池の充電状態や劣化状態等を適切に診断することができる。
上記の診断方法では、前記電池の設計データを基に、中性子輸送計算のシミュレーションを行うことで、前記電池で散乱して、前記検出器に到達する散乱中性子の量を算出し、前記検出器と前記電池との距離を変えてシミュレーションした時の前記散乱中性子の量の算出結果に基づいて、前記検出器と前記電池との間の最適距離を求め、前記電池を最適距離に応じた位置に配置して、前記中性子のスペクトルを測定するようにしてもよい。これにより、散乱中性子によるノイズの影響を軽減することができ、適切な診断を行うことができる。
上記の診断方法では、前記電池を所定の充電状態に設定して、前記中性子のスペクトルを測定することで、前記電池の充電状態の2次元分布を診断するようにしてもよい。これにより、電池の充電状態の2次元分布を適切に診断することができる。
上記の診断方法では、前記電池の充電状態を変えて、前記中性子のスペクトルを測定することで、前記電池の内部抵抗の2次元分布を診断するようにしてもよい。これにより、電池の内部抵抗の2次元分布を適切に診断することができる。
本発明の一態様に係る診断装置は、中性子を電池に向けて出射させる中性子発生装置と、複数の画素を有し、前記電池を透過した中性子を検出する検出器と、前記画素毎に前記中性子のスペクトルを測定する処理装置と、を備え、前記電池の電圧と負極材料のブラッグエッジとの相関を示す検量線を参照して、前記中性子のスペクトルから前記電池の電圧を求めて、前記電池を診断するものである。これにより、電池の充電状態や劣化状態等を適切に診断することができる。
上記の診断装置では、前記電池の設計データを基に、中性子輸送計算のシミュレーションを行うことで、前記電池で散乱される散乱中性子の量を算出し、前記検出器と前記電池との距離を変えてシミュレーションした時の前記散乱中性子の量の算出結果に基づいて、前記検出器と前記電池との間の最適距離を求め、前記電池を最適距離に応じた位置に配置して、前記中性子のスペクトルを測定するようにしてもよい。これにより、散乱中性子によるノイズの影響を軽減することができ、適切な診断を行うことができる。
上記の診断装置では、前記電池を充放電する充放電装置をさらに備え、前記充放電装置によって前記電池を所定の充電状態に設定して、前記中性子のスペクトルを測定することで、前記電池の充電状態の2次元分布を診断するようにしてもよい。これにより、電池の充電状態の2次元分布を適切に診断することができる。
上記の診断装置では、前記電池の充電状態を変えて、前記中性子のスペクトルを測定することで、前記電池の内部抵抗の2次元分布を診断するようにしてもよい。これにより、電池の内部抵抗の2次元分布を適切に診断することができる。
本発明によれば、電池の充電状態や劣化状態等を適切に診断することができる診断装置、及び診断方法を提供することができる。
本実施形態にかかる診断装置の構成を模式的に示す図である。 診断装置の検出器の画素構成を模式的に示す図である。 本実施形態に係る診断装置において、電池と検出器の適切な距離を設定するための方法を示すフローチャートである。 中性子輸送計算による散乱中性子のイメージ図である。 距離D1における、散乱中性子と透過中性子を示す図である。 距離D2における、散乱中性子と透過中性子を示す図である。 最適距離を求める処理の一例を示すフローチャートである。 中性子源における中性子の放出時間と放出数を示すグラフである。 本実施形態1に係る診断方法を示すフローチャートである。 異なる充電状態における中性子スペクトルを示す図である。 ブラッグエッジと電圧の相関を示すグラフである。 本実施形態20に係る診断方法を示すフローチャートである。 電池の内部抵抗分布が均一な場合における電位分布を示す図である。 電池の内部抵抗分布にばらつきがある場合における電位分布を示す図である。
以下、本発明に係る処理方法、処理装置の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。但し、本発明が以下の実施形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。各図において同一の符号は実質的に同じ構成を示す。
本実施形態にかかる診断装置は、リチウムイオン電池などの二次電池を診断するものである。電池の充電状態や劣化状態を診断することで、電池の高性能化を図ることができる。特に、車に搭載される大型電池では、2次元で電池内部状態を非破壊で把握することが、電池の高性能化に重要である。
従来の計測方法としては、X線回折法、中性子回折法、XAFS(X-rays Absorption Fine Structure)などがある。しかしながら、回折法では1度に狭い範囲からの1点しか計測することができない。また、XAFSでは、X線の透過量が少なく、大型の電池には適用が困難である。
そこで、本実施形態では、中性子透過法を用いて、電池を診断している。具体的には、電池を透過した中性子を2次元アレイ検出器で検出している。そして、2次元アレイ検出器の画素毎に中性子のスペクトルを測定している。さらに、電池の負極の構造変化によるブラッグエッジパターンの変化と充電状態を検量線で対応付ける方法を用いている。すなわち、既知の検量線を参照して、ブラッグエッジから、充電状態の2次元分布を推定している。こうすることで、大型の電池であっても、レントゲン撮影のように2次元で電池状態を診断することができる。
また、本実施形態では、電池と検出器との間の距離を最適化している。こうすることで、水素等の軽元素を多く含有する電池特有の散乱ノイズを低減することができる。よって、適切に電池の充電状態や劣化状態を診断することができる。
さらに、電池1の充放電状態を変えて、透過中性子のスペクトルを測定することも可能である。こうすることで、電池1の内部抵抗の2次元分布を診断することができる。
実施の形態1
本実施の形態にかかる診断装置について、図1を用いて説明する。図1は、診断装置の構成を模式的に示す図である。診断装置は、中性子発生装置11、検出器12、処理装置13、及び充放電装置15を備えている。
中性子発生装置11は、中性子N1を電池1に向けて出射させる。中性子発生装置1は、例えば、加速器、及び中性子源(ターゲット)を備えている。加速器は、電子や陽子等の荷電粒子を加速する。そして、加速した荷電粒子のパルスをタングステン、タンタル、水銀などの中性子源に照射することで、パルス状の中性子N1が発生する。中性子源で発生した中性子をコリメートすることで、入射中性子N1を得ることができる。また、中性子発生装置11は、中性子を減速するモデレータ等を備えていてもよい。もちろん、中性子を発生するものであれば、中性子発生装置11の構成は限定されるものではない。例えば、放射性同位体(RI)や原子炉からの中性子を、チョッパによってパルス状にしてもよい。中性子発生装置11は、パルス中性子の発生タイミングに応じたトリガ信号を検出器12に出力している。
中性子発生装置11で発生した中性子N1は、診断対象である電池1に入射する。中性子N1の一部は、電池1を透過して、透過中性子N2となる。電池1を透過した透過中性子N2は検出器12に入射する。検出器12は、入射した中性子数に応じた検出信号を処理装置13に出力する。図2に示すように、検出器12は複数の画素12aを備えており、各画素12aにおいて、透過中性子N2が検出される。例えば、検出器12は、アレイ状に配列された複数の画素12aを備えた2次元アレイ検出器である。検出器12は、例えば、256ch(16×16)のLi−Glass検出器である。なお、図1に示すように、検出器12と電池1とは、距離Dだけ離間して配置されている。
充放電装置15は、電池1を充放電して、所望の充電状態に設定する。すなわち、電池1を所定の充電状態として、診断を行うことができる。電池1は、例えば、負極が炭素(黒鉛)であり、正極がリチウム金属酸化物であるリチウムイオン二次電池である。正極としては、例えば、Li(NiCoMn)O等の三元系材料を用いることができる。もちろん、電池1の材料については特に限定されるものではない。
処理装置13は、例えば、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置である。処理装置13は、プロセッサやメモリ等のハードウェアを有しており、メモリ等に格納されたソフトウェアプログラムにしたがって処理を実行する。
処理装置13は、検出器12からの検出信号に基づいて、スペクトル測定を行う。例えば、処理装置13は、トリガ信号と検出信号の時間差に基づいて、TOF(Time Of Flight)測定を行う。すなわち、処理装置13は、中性子発生装置11から検出器12までの中性子の飛行時間を計測する。そして、処理装置13は、距離Dと飛行時間とによって、透過中性子N2のエネルギー(波長)を測定する。これにより、中性子のスペクトル測定を行うことができる。処理装置13は、スペクトル測定を画素12a毎に行う。すなわち、検出器12の画素毎にスペクトルが測定される。これにより、透過中性子N2のスペクトルの2次元分布を1度に測定することができる。
さらに、処理装置13は、電池1の電圧とブラッグエッジとの相関を示す検量線を記憶している。これにより、特定の充電状態における電池状態を2次元的に診断することができる。ここでは、負極のブラッグエッジに着目して、診断を行っている。なお、ブラッグエッジとは、吸収断面積が急激に変化する波長である。例えば、ブラッグエッジでは、中性子が回折するため、電池1を透過する中性子が少なくなる。よって、中性子スペクトルから、ブラッグエッジを画素毎に求めることで、画素に対応する位置での電池1の電圧が推定される。電池1の電圧は充電状態を示すため、電池1の充電状態の2次元分布を診断することができる。なお、透過中性子N2のスペクトルを用いた診断手法については、後述する。
TOF法によって、透過中性子N2の波長(エネルギー)を測定している。TOF測定において、電池1内において散乱した散乱中性子が検出器12で検出されると、ノイズになってしまう。例えば、電池1の特定の位置を透過した透過中性子は、検出器12の1つの画素12aで検出される。一方、電池1内で中性子が散乱すると、散乱中性子は、ランダムな方向に散乱される。電池1内の特定位置に中性子が入射した場合に、散乱するか透過するかで検出画素が異なってしまう。すなわち、特定位置で散乱した散乱中性子は、特定位置を透過した透過中性子が検出される画素と異なる画素で検出される。換言すると、特定位置からの散乱中性子は、検出器12の様々な画素12aで検出されるため、中性子の2次元透過像がぼけてしまう。
さらに、中性子が電池1内の元素と衝突して散乱すると、検出器12に到達する角度が変わる。したがって、透過中性子N2と散乱中性子とが同じ波長であったとしても、飛行時間が変わってしまう。このため、透過中性子N2のTOF測定において、散乱中性子がノイズとなってしまう。本実施の形態では、散乱中性子の影響を軽減するために、検出器12と電池1との間の距離Dが最適化されている。すなわち、電池1内の原子で散乱した散乱中性子の影響が小さくなるように、距離Dが設定されている。
距離Dを最適化する方法について、図3を用いて説明する。図3は、距離Dの最適化方法を示すフローチャートである。まず、診断する電池1の厚み、形状、及び元素数密度の情報に基づいて、中性子輸送計算の体系を構築する(S101)。すなわち、実際の電池1の設計データ等を用いて、元素の3次元レイアウトを構築する。そして、中性子輸送計算によって、電池1からの散乱中性子量を距離毎に計算する(S102)。すなわち、前記電池の設計データを基に、中性子輸送計算を行って、散乱中性子の量を算出する。電池1から検出器12までの距離Dを変えて、検出器12に到達する散乱中性子の量を算出する。そして、散乱中性子量がサチュレートする距離を求めて最適距離とする(S103)。なお、中性子輸送計算のシミュレーションでは、中性子発生装置11と電池1との距離を一定として、検出器12の位置のみを変えている。
中性子輸送計算により散乱中性子の量を求めると図4に示すようになる。図4では、中性子源11aから出射した中性子が電池1で散乱する場合において、散乱中性子の強度が濃淡で示されている。電池1内の元素で散乱した散乱中性子は、図4に示すように、任意の方向に散乱する。一般に、単位面積当たりの散乱中性子の量は、散乱位置からの距離の2乗に反比例する。検出器12に到達する散乱中性子の量は、距離Dの2乗に反比例する。一方、単位面積当たりの透過中性子N2の量は、中性子発生装置11から検出器12の距離の2乗に反比例する。中性子発生装置11と電池1との距離は、検出器12と電池1との距離に比べて、十分に長くなっている。例えば、中性子発生装置11と電池1との距離は数m以上であり、検出器12と電池1との距離Dは1m以下である。したがって、透過中性子N2の量は、距離Dを大きくしたとしても、あまり変化しない。
中性子輸送計算では、評価位置に検出器12を配置した場合に、検出器12に入射する散乱中性子の量を求める。そして、図4の矢印のように評価位置を離していき、散乱中性子の量を計算する。上記のように、電池1から離れ行くほど、評価位置に入射する散乱中性子の量が減少していく。図5のように、距離D1において、検出器12に到達する散乱中性子N3の量を計算する。さらに、図6のように、距離D1よりも長い距離D2として、検出器12に到達する散乱中性子N3の量を計算する。距離を所定の値ずつ変えていき、検出器12に到達する散乱中性子N3の量を計算していく。散乱中性子N3の量の算出は、中性子粒子輸送計算の体系を基に行われる。
図5のように、最適距離よりも短い距離では、電池1で散乱した散乱中性子N3の多くが検出器12に入射する。したがって、散乱中性子N3によるノイズ成分が大きくなる。処理装置13が散乱中性子によるノイズを誤検出してしまうため、スペクトル測定の精度が劣化する。一方、最適距離よりも長い距離では、検出器12に入射する散乱中性子N3の量が低下するが、検出器12に入射する透過中性子N2の量が低下する。よって、検出器12の検出結果にぼけが発生してしまう。最適距離では、散乱中性子N3によるノイズが低減して、ぼけも最小限となる。このように、本実施形態では、中性子散乱の多い水素を多く含む電池1を中性子透過法で評価するために、最適位置をシミュレーションにより予め算出しておく。
なお、散乱中性子の量は電池1のサイズや含有物によって最適位置が異なる。診断対象の電池1の構成が変わるごとに、最適位置を求めることが好ましい。設計データ毎に、中性子の粒子輸送計算を行うことで、電池1のサイズや含有物が異なっても、最適な測定距離での測定が可能となる。
このように、電池1の設計データを基に、中性子輸送計算のシミュレーションを行う。こうすることで、電池1内の元素で散乱して、検出器12に到達する散乱中性子の量を算出することができる。検出器12と電池1との距離を変えてシミュレーションした時の散乱中性子の量の算出結果に基づいて、検出器12と電池1との間の最適距離を求める。すなわち、電池1から検出器12を離していき、散乱中性子の量が飽和する評価位置を最適位置として設定する。そして、電池1を最適距離に応じた位置に配置して、中性子のスペクトルを測定する。
さらに、最適距離を求める方法の具体例について、図7を用いて説明する。図7は、最適距離を求める処理を示すフローチャートであり、図3のフローをより具体的に示すものである。
まず、電池1の厚さ、形状、及び元素数密度等の情報をインプットしたシミュレーションレイアウトを作成する(S201)。これにより、電池1の構造に応じたシミュレーションレイアウトが構築される。ここでは、電池1に含まれる元素、その元素の配置、及び元素数密度を示す設計データによって、シミュレーションレイアウトが作成される。
次に、中性子源11aの情報を入力したシミュレーションレイアウトを作成する(S202)。ここでは、発生する中性子のエネルギー分布と放出時間分布等が中性子源11aの情報として入力される。中性子発生装置11で発生する中性子に応じたシミュレーションレイアウトが構築される。このようにして、S201,及びS202によって、中性子輸送計算に基づくシミュレーションレイアウトが構築される。
中性子源11aからの中性子の放出時間の分布例を図8に示す。図8には、低エネルギーの中性子と高エネルギーの中性子の放出時間が示されている。図8において、横軸が放出時間、縦軸が放出される中性子数となっている。図8では、高エネルギー中性子のデータを実線で示し、低エネルギー中性子のデータを破線で示している。
図8に示すように、低エネルギーの中性子の放出時間のピークは、高エネルギーの中性子の放出時間のピークよりも遅くなっている。高エネルギーの中性子は、放出時間が短くなっている。低エネルギーの中性子は、高エネルギーの中性子に遅れて放出される。
次に、中性子源11aと評価位置の関係から、6.7オングストローム(0.67nm)付近となる到達時間を計算して、その到達時間を評価時間として設定する(S203)。中性子の波長によって、速度が決まるため、処理装置13が中性子源11aから評価位置までの到達時間を導出する。なお、6.7オングストロームは、負極材料である炭素のブラッグエッジである。中性子源11aから評価位置までの距離から、波長6.7オングストロームの中性子が、中性子源11aから評価位置に到達する到達時間を処理装置13が算出する。そして、処理装置13は、この到達時間を評価時間に設定する。なお、評価時間は、評価位置に応じて変化する。したがって、シミュレーションする評価位置毎に、評価時間を算出する。
そして、中性子源11aから直接評価位置に届いた透過中性子の数をSとする(S204)。すなわち、電池1内で散乱せずに透過して評価位置に到達した透過中性子の数をSとする。電池1で散乱して評価位置に届いた散乱中性子の数をnとする(S205)。
モンテカルロシミュレーションを実施して、評価位置を電池1から遠ざけながら、S、及びnの値を導出する(S206)。例えば、電池1を構成する元素に対して、波長毎の吸収断面積、散乱断面積等は既知となっている。したがって、電池1の構成、及び入射中性子のスペクトルが既知であれば、中性子の散乱確率を求めることができる。S201、及びS202で作成したシミュレーションレイアウトを基に、処理装置13がシミュレーションを実行する。このように、中性子輸送計算の体系に基づいて、評価位置毎に、透過中性子の数Sと、散乱中性子の数nを算出する。例えば、公知の中性子輸送計算のモンテカルロコードを用いて、Sとnとを算出することができる。さらに、S203で設定した評価時間近辺に、評価位置に到達する中性子を、S及びnとして導出する。こうすることで、より適切に最適位置として設定することができる。なお、シミュレーションでは、中性子発生装置11と電池1との距離を一定としている。
そして、S/n1/2=2となる評価位置を最適位置とする(S207)。このようにすることで、透過中性子を散乱中性子のノイズ成分から十分に判別して、スペクトル測定することができる。すなわち、ノイズの影響を低減することができ、適切にスペクトルを測定することができる。もちろん、S/n1/2の値は2に限らず、2以上となっていてもよい。評価位置を電池1から遠ざけていき、S/n1/2の値が所定の閾値以上となった位置を最適位置とすることができる。
次に、図9を参照して、本実施形態にかかる診断方法について説明する。図9は、本実施形態に係る診断方法を示すフローチャートである。まず、上記したように、中性子輸送計算のシミュレーションによって、電池1と検出器12との間の最適距離を導出する(S301)。これにより、中性子発生装置11に対する電池1及び検出器12の配置が決定する。
充放電装置15によって電池1を充放電して、測定したい電圧となるように、電池1の電池電位を設定する(S302)。具体的には、充放電装置15が電池の充電状態を所望の値とする。負極の回折面付近を測定領域として設定する(S303)。負極が炭素(C)の場合、黒鉛結晶の(002)面由来の回折のピーク波長が6.7オングストロームである。黒鉛結晶の(002)面の面間隔は0.3354nmであるため、回折のピーク波長は、約6.7オングストロームとなる。したがって、中性子のスペクトル測定領域を6.7オングストローム付近に設定する。この波長は、炭素のブラッグエッジである。このようにすることで、スペクトル測定する波長範囲を適切に限定することができ、容易に測定することができる。
次に、電池1がない状態で、入射中性子N1を波長毎に測定する(S304)。これにより、入射中性子N1のスペクトルが測定される。電池1がない状態での中性子の測定結果をAとする。次に、電池1と検出器12が最適距離となるように、電池1を設置して、電池1を透過した透過中性子N2を波長毎に測定する(S305)。これにより、電池1を透過した透過中性子N2のスペクトルが測定される。電池1を透過した中性子の測定結果をBとする。もちろん、S304とS305とで、中性子発生装置11に対する検出器12の位置は同じとなっている。
ステップS304、及びS305では、上記の通り、処理装置13がTOF法によって、検出器12で検出した中性子のスペクトルを測定している。なお、電池1がない状態での中性子スペクトルの測定は、いずれのタイミングで行われていてもよい。例えば、S305の後に、S304が実施されていてもよい。すなわち、S304、及びS305において、検出器12と中性子発生装置11との距離が同じであれば、いずれの測定を先に行ってもよい。ステップS304、及びS305のスペクトル測定は、検出器12の画素12a毎に行われている。
次に測定結果Aを測定結果Bで割って、補正する(S306)。処理装置13は、A/Bを算出して、波長毎の透過率とする。これにより、透過率のスペクトルを求めることができる。図10は、透過率のスペクトル測定結果を示す。図10において、横軸が中性子の波長を示し、縦軸が透過率を示している。図10では、充電0%の電池1と、充電100%の電池1でのスペクトル測定結果を示している。また、図10は、負極のブラッグエッジ(6.7オングストローム)付近のスペクトルデータであり、検出器12の1つの画素12aでの測定データを示している。
図10に示すように、電池1の充電状態によって、透過率のスペクトルが変化する。ブラッグエッジでは、中性子が回折するため、透過率が低くなる。充電0%のブラッグエッジλと、充電100%のブラッグエッジλ100は異なっている。すなわち、充電状態に応じて、ブラッグエッジが異なる波長となる。これは、電池1が充電されるにつれて、負極を構成する炭素の元素間にリチウムイオンが吸蔵されていくためであると考えられる。炭素元素間にリチウムイオンが吸蔵されていくと、炭素元素の間隔が広がる。電池1の充電状態に応じて面間隔が変わり、ブラッグエッジが変化する。処理装置13は、スペクトル解析を行い、ブラッグエッジを導出する。
例えば、処理装置13は、6.7オングストローム付近の透過率のスペクトルデータに対してフィッティングを行って、透過率が極小となる波長を求める。透過率が極小となる波長が、ブラッグエッジの測定値となる。処理装置13は、検出器12の画素12a毎に、ブラッグエッジ付近の測定領域において、透過率が極小となる波長を求める。
そして、スペクトルの解析結果を、検量線と比較して、波長を電池電圧に変換する(S308)。検量線は、電池1の電圧と、ブラッグエッジとの相関を示すデータである。処理装置13のメモリには、検量線のデータが予め格納されている。例えば、検量線は、図11に示すようになる。図11において、横軸が電池1の電圧を示し、縦軸が負極材料由来のブラッグエッジを示している。電池1の電圧が高くなるほど、負極に吸蔵されるリチウムイオンの数が増える。このため、電圧が高いほど、炭素元素間の間隔が広くなり、ブラッグエッジが長くなる。
なお、検量線は、実際の測定によって求めることができる。例えば、電池1の基準サンプルを実際に計測する。具体的には、電池1の基準サンプルを作成して、X線回折や中性子回折を行う。回折ピークの波長がブラッグエッジに対応する。基準サンプルの充電状態を変えて回折ピークを測定することで、電池1の電圧とブラッグエッジを対応付けることができる。よって、検量線を求めることができる。
あるいは、電池1の負極のみを取り出して、負極のみの状態でX線回折や中性子回折で回折ピークを求める。そして、充電状態を変えて、負極のみの状態における回折ピークを求める。これにより、負極の電位と回折ピークを対応付けることができる。さらに、負極と正極とを組み合わせた状態で、X線回折や中性子回折で回折ピークを求める。そして、負極と正極の電位を変化させながら、回折ピークを測定する。こうすることで、電池1の電圧とブラッグエッジを対応付けることができる。よって、検量線を求めることができる。
処理装置13は、検量線を参照して、ブラッグエッジの測定値から電池1の電圧を求める。すなわち、処理装置13は、透過率が極小となる波長をブラッグエッジの測定値として求め、図11に示すような検量線から、ブラッグエッジの測定値を電池1の電圧に変換する。画素毎に求められたブラッグエッジの測定値が電池1の局所的な電圧を示すことになる。
そして、処理装置13は、電池1の電圧の測定結果をマッピングして、電池状態を診断する(S309)。S307では、ブラッグエッジの測定値が検出器12の画素毎に求められている。S308において、処理装置13は、画素毎に、透過率が極小となる波長を電池1の電圧に変換している。処理装置13は、電池1の電圧を画素毎に求めて、電圧を画素の値として示した2次元マップを作成する。こうすることで、電池1の充電状態を2次元分布で表示することができる。すなわち、電池1の電圧(充電状態)の2次元分布を求めることができる。こうすることで、電池1の充電状態のばらつきや劣化を診断することができる。
各画素12aでのブラッグエッジの測定値が電池1の局所的な電圧を示すことになる。電圧が高い画素に対応する箇所ほど、より充電されており、SOC(State Of Charge)が高くなる。充放電装置15が電池を所定の充電状態として、スペクトル測定を行うと、電池1の充電状態や劣化状態等の2次元分布を診断することができる。これにより、電池1の内部状態を診断することができる。
上記したように、本実施形態では、アレイ状に画素が配列された検出器12を用いて、透過中性子を検出している。こうすることで、複数の画素での検出を同時に行うことができる。したがって、電池1を透過した透過中性子のスペクトルの2次元分布を簡便に測定することができる。また、検出器12を電池1と同程度のサイズとすることで、1度の測定で、電池1全体の診断が可能となる。また、透過中性子を検出しているため、大型の電池1の診断を容易に行うことができる。すなわち、X線回折や中性子回折のように1点ずつ測定しなくでもよいため、大型の電池1を短時間で測定することができる。
本実施の形態に係る診断方法により、電池1を診断することで、電池1の高性能化を図ることができる。例えば、電池1の診断を行い、その診断結果に基づいて、電池1の製造工程の条件出し等を行う。これにより、バラツキの少ない電池1や高性能の電池1を作製することできるようになる。
本実施形態では、充放電装置15によって電池1をある充電状態にして、スペクトル測定を行っている。こうすることで、ある特定の充電状態における電池1の内部状態を面で診断することができる。すなわち、負極の充電状態や劣化状態を2次元で診断することができる。よって、電池1の充電状態や劣化状態等を適切に診断することができる診断することができる。このように電池1を診断していくことで、電池1の高性能化に資することができる。また、非破壊で診断することができるため、診断結果に基づいて、電池1の良否判断を行ってもよい。
さらに、本実施の形態では、電池1と検出器12との距離が最適化されている。すなわち、シミュレーションによって算出された最適距離に電池1及び検出器12を設置して、スペクトル測定を行っている。こうすることで、散乱中性子によるノイズの影響を低減することができるため、高いSN比での測定が可能になる。よって、適切に電池1を診断することができる。特に、中性子の透過率は、1%以下であり、非常に小さい。このため、電池1と検出器12との距離を最適化することで、測定に対するノイズの影響を低減することができる。
実施の形態2.
次に、実施の形態2に係る診断方法について、図12を用いて説明する。図12は、実施の形態2に係る診断方法を示すフローチャートである。本実施形態では、電池1の充電状態を変えて、中性子のスペクトルを測定している。こうすることで、電池1の内部抵抗の2次元分布を診断することができる。なお、本実施の形態にかかる診断装置は実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。診断方法の基本的な手順についても、実施の形態1と共通であるため、適宜説明を省略する。例えば、S401、S403〜S408までのステップは、それぞれS301、S303〜S308と同様であるため、詳細な説明を省略する。
まず、実施の形態1のS301と同様に、電池1と検出器12の間の最適距離を導出する(S401)。次に、充放電装置15によって、電池1の充電と放電を繰り返す(S402)。そして、実施の形態1のS303〜S308と同様に、測定、及び補正等を実施する(S403〜S408)。このように、本実施の形態では、充放電装置15が電池1を連続して充放電しながら、スペクトル測定を行っている。こうすることで、充電状態を変えて、電池1の電圧を導出することができる。
次に、充放電装置15から入力された入力電流量と、電池1の電極面積から、予測される面積当りの電位を推定する(S409)。例えば、充放電装置15から入力される電流をモニタする。そして、充放電装置15からの入力電流量に基づいて、電池1の電位を推定する。そして、変換した電圧値と推定した電位から、場所ごとの電極の内部抵抗の値を推定して、劣化を診断する(S410)。
図13、図14を用いて、内部抵抗の診断について説明する。図13は、内部抵抗が均一な電池1を示し、図14は、内部抵抗が不均一な電池1を示している。図13、図14では、電位、及び内部抵抗の高低を濃淡で示している。
図13に示すように、内部抵抗が均一な電池1では、充放電を繰り返し行っても、電位が均一になる。一方、内部抵抗に差がある電池1では、図14に示すように充放電の際に内部抵抗値に応じて、電位にばらつきが生じる。すなわち、内部抵抗が高い箇所では、充電速度が遅くなるため、充電中の電位が低くなる。一方、内部抵抗が低い箇所では、充電速度が速くなるため、充電中の電位が高くなる。このように、あるタイミングでの電圧と電位から、電池1の内部抵抗の2次元分布を測定することができる。
このように、本実施の形態では、充電状態を変えて、中性子のスペクトルを測定している。こうすることで、電池1の内部抵抗の2次元分布を診断することができる。これにより、内部抵抗のばらつきを低減することができ、より高性能の電池1を作製することが可能になる。なお、1つの電池1に対して、実施の形態1、2の診断を実施してもよい。
負極の材料は炭素(黒鉛)に限られるものでなく、結晶構造を有し、充電状態の変化に応じて結晶面間隔が変化するものであればよい。
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
1 電池
11 中性子発生装置
12 検出器
13 処理装置
15 充放電装置

Claims (8)

  1. 電池を透過した中性子を検出することで、電池を診断する診断方法であって、
    電池を透過した中性子のスペクトルを測定するステップと、
    前記電池の電圧と負極材料のブラッグエッジとの相関を示す検量線を参照して、前記中性子のスペクトルから前記電池の電圧を求めて、電池を診断するステップと、を備えた電池の診断方法。
  2. 前記電池の設計データを基に、中性子輸送計算のシミュレーションを行うことで、前記電池で散乱して、前記検出器に到達する散乱中性子の量を算出し、
    前記検出器と前記電池との距離を変えてシミュレーションした時の前記散乱中性子の量の算出結果に基づいて、前記検出器と前記電池との間の最適距離を求め、
    前記電池を最適距離に応じた位置に配置して、前記中性子のスペクトルを測定する請求項1に記載の診断方法。
  3. 前記電池を所定の充電状態に設定して、前記中性子のスペクトルを測定することで、前記電池の充電状態の2次元分布を診断する請求項1、又は2に記載の診断方法。
  4. 前記電池の充電状態を変えて、前記中性子のスペクトルを測定することで、前記電池の内部抵抗の2次元分布を診断する請求項1〜3のいずれか1項に記載の診断方法。
  5. 中性子を電池に向けて出射させる中性子発生装置と、
    複数の画素を有し、前記電池を透過した中性子を検出する検出器と、
    前記画素毎に前記中性子のスペクトルを測定する処理装置と、を備え、
    前記電池の電圧と負極材料のブラッグエッジとの相関を示す検量線を参照して、前記中性子のスペクトルから前記電池の電圧を求めて、前記電池を診断する電池の診断装置。
  6. 前記電池の設計データを基に、中性子輸送計算のシミュレーションを行うことで、前記電池で散乱される散乱中性子の量を算出し、
    前記検出器と前記電池との距離を変えてシミュレーションした時の前記散乱中性子の量の算出結果に基づいて、前記検出器と前記電池との間の最適距離を求め、
    前記電池を最適距離に応じた位置に配置して、前記中性子のスペクトルを測定する請求項5に記載の診断装置。
  7. 前記電池を充放電する充放電装置をさらに備え、
    前記充放電装置によって前記電池を所定の充電状態に設定して、前記中性子のスペクトルを測定することで、前記電池の充電状態の2次元分布を診断する請求項5、又は6に記載の診断装置。
  8. 前記電池の充電状態を変えて、前記中性子のスペクトルを測定することで、前記電池の内部抵抗の2次元分布を診断する請求項5〜7のいずれか1項に記載の診断装置。
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