JP2016088024A - 形状保持シートの製造方法および形状保持シート - Google Patents

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Abstract

【課題】
内部の金属層の形状を維持してシート全体の仕上がり形状を安定化させる。
【解決手段】
本発明は、所定の形状に変形させて、かつその形状を保持可能な形状保持シートを製造する方法であって、ゴム状弾性体により構成される弾性体層2を形成する弾性体層形成ステップ(ステップS100)と、弾性体層2および錫含有率98質量%以上の錫層4の少なくともいずれか一方の層に接着剤層3を形成する接着剤層形成ステップ(ステップS200)と、接着剤層3を介して弾性体層2と錫層4とを大気圧より低圧にて貼る錫層貼付ステップ(ステップS300)と、接着剤層3を固化する接着剤層固化ステップ(ステップS400)と、を含む形状保持シートの製造方法、および形状保持シート1に関する。
【選択図】図2

Description

本発明は、形状を変形自在であって且つ変形状態にて形状保持可能な形状保持シートの製造方法、およびその形状保持シートに関する。
従来、シリコーンゴム等のゴム状弾性体は、製品等を保護するために、又は、危険物への接触を防止するため等の種々の用途で用いられている。危険物への接触を防止する用途としては、例えば、物体表面を衝撃や汚染等から保護するために使用される保護用シートが知られている(例えば、特許文献1参照)。この保護用シートは、軟質のゴムシート、或いは軟質の合成樹脂シートの間に軟質の金網を埋設し一体に形成したシートである。
実開平05−21044号公報
例えば、特許文献1に記載したような保護用シートにおいては、形状を変形させて、繰り返して使用すると、保護用シート内の金網が破断してしまい、使用できなくなってしまう問題がある。また、金網の破断した線材が、保護用シートの外部に露出してしまう問題がある。一般に、このような保護用シートに対しては、より長く繰り返して使用できることが要請される。また、保護用シートに限らず、種々の用途で使用可能なシートが要請される。
本発明者の一部の者は、上記課題に鑑みて、先に、所定の形状に変形させてその形状を保持可能であって、金属層と、該金属層の周囲に第1ゴム状弾性体で構成された第1弾性体層と、第1ゴム状弾性体より硬度が高い第2ゴム状弾性体で構成され第1弾性体層の周囲を覆う第2弾性体層と、を有する形状保持シートを開発した。この形状保持シートは、容易に変形でき、且つ繰り返して利用することのできる優れた形状保持シートである。しかし、製造時に金属層をより延びにくくして仕上がり形状を安定化させるという更なる改良要請も浮上した。
本発明は、上記課題に鑑みて、内部の金属層の形状を維持し、シート全体の仕上がり形状を安定化させる形状保持シートの製造方法、および該製造方法により得られる形状保持シートを提供することを目的とする。
上記目的を達成するための一実施の形態に係る形状保持シートの製造方法は、所定の形状に変形させて、かつその形状を保持可能な形状保持シートを製造する方法であって、ゴム状弾性体により構成される弾性体層を形成する弾性体層形成ステップと、弾性体層および錫含有率98質量%以上の錫層の少なくともいずれか一方の層に接着剤層を形成する接着剤層形成ステップと、接着剤層を介して弾性体層と錫層とを大気圧より低圧にて貼る錫層貼付ステップと、接着剤層を固化する接着剤層固化ステップと、を含む。
別の実施の形態に係る形状保持シートの製造方法は、さらに、弾性体層を、錫層の平面より大きな面積を持つ複数枚の弾性体層とし、接着剤層形成ステップを、複数枚の弾性体層の内側の面に接着剤層を形成するステップとし、錫層貼付ステップを、複数枚の弾性体層の間に、接着剤層を介して錫層を挟んで貼付するステップとする。
別の実施の形態に係る形状保持シートの製造方法は、また、接着剤層形成ステップを、弾性体層の表面および錫層の表面の少なくともいずれか一方の表面に接着剤を印刷するステップとする。
別の実施の形態に係る形状保持シートの製造方法は、また、接着剤層固化ステップの後に、錫層の外方向の弾性体層を切断する切断ステップを行う。
別の実施の形態に係る形状保持シートの製造方法は、また、弾性体層を、シリコーンゴムの層とすることもできる。
一実施の形態に係る形状保持シートは、上述のいずれかの製造方法によって製造される形状保持シートであって、その内部から外側に向かって、錫含有率98質量%以上の錫層、接着剤層、ゴム状弾性体により構成される弾性体層の順に積層する構造を有する。
本発明によれば、内部の金属層の形状を維持し、シート全体の仕上がり形状を安定化させることができる。
図1は、本発明の実施の形態に係る形状保持シートの断面図を示す。 図2は、本発明の実施の形態に係る形状保持シートの製造方法の主な工程を列挙したフローチャートを示す。 図3は、図2の弾性体層形成ステップの詳細な工程を含むフローチャートを示す。 図4は、図2の接着剤層形成ステップの詳細な工程を含むフローチャートを示す。 図5は、図2の接着剤層固化ステップの詳細な工程を含むフローチャートおよび各工程におけるシート断面の変化をそれぞれ示す。 図6は、実施例1〜4にて製造した形状保持シートの形状保持力を評価するための手順を示す。 図7は、実施例1〜4にて製造した各形状保持シートの保持角度を測定している状況であって、(7A)は実施例1、(7B)は実施例2、(7C)は実施例3、(7D)は実施例4にてそれぞれ製造された各形状保持シートを示す。
次に、本発明に係る形状保持シートおよびその製造方法の各実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する各実施の形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また、各実施の形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。
1.形状保持シート
まず、本発明の実施の形態に係る形状保持シートについて説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る形状保持シートの断面図を示す。
本発明の実施の形態に係る形状保持シート1は、所定の形状に変形させて、かつその形状を保持可能なシートであって、その内部から外側に向かって、錫含有率98質量%以上の錫層4、接着剤層3、ゴム状弾性体により構成される弾性体層2の順に積層する構造を有する。形状保持シート1は、例えば、厚さ0.5mm以上5mm以下程度が好適である。この実施の形態では、一例として、形状保持シート1の厚さを、0.8mm以上3mm以下とし、形状保持力をより高めるには、好ましくは1mm以上2mm以下とする。
錫層4は、形状保持シート1を変形させていない状態(以下、初期状態という)においては、平板状である。この実施の形態では、錫層4として、錫の純度(錫の含有率ともいう)が99.9質量%である錫板(株式会社ニコラ製のSN−443382)を用いている。この錫板の寸法は、厚さが0.3mm、縦200mm、横200mmである。なお、錫板の寸法は、これに限られず、形状保持シート1の使用用途に応じて任意の寸法として良い。錫板の純度も、99.9質量%に限られず、好ましくは98質量%以上100質量%以下の範囲内の任意の純度である。なお、上記の錫の純度(98質量%以上100質量%以下)の場合よりも好ましくはないが、錫の純度が50質量%以上98質量%未満の錫板を用いることもできる。
接着剤層3は、形状保持シート1の内部において、好ましくは、錫層4の周囲全面を覆うように形成されている。接着剤層3の厚さは、好適には、0.01mm(=10μm)以上0.04mm(=40μm)以下とする。接着剤層3は、錫層4への接着成分を含み、柔軟性(JISK6253の測定法に従うデュロメーター タイプA硬度が、例えば、10以上40以下)を有しており、錫層4の変形に追従して変形可能である。接着剤層3は、硬化状態において、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンゴムあるいはスチレンブタジエンゴム等の熱硬化性エラストマー; ウレタン系、エステル系、スチレン系、オレフィン系、ブタジエン系あるいはフッ素系等の熱可塑性エラストマー; あるいはそれらの複合物等などから好適に構成され、シリコーンゴムにて特に好適に構成される。この実施の形態では、接着剤層3は、錫層4への接着性に優れる硬化性シリコーンゴム組成物の硬化体により構成されている。接着剤層3を形成するための接着剤としては、信越化学工業株式会社製のKE−1180−A、同社製のKE−1180−Bの混合物などを例示できる。
弾性体層2は、接着剤層3を介して錫層4を挟むように形成されている。形状保持シート1の側面は、好ましくは、弾性体層2によって完全に覆われておらず、接着剤層3を露出させている。弾性体層2の厚さは、例えば、0.1mm以上10mm以下、好ましくは0.5mm以上5mm以下、より好ましくは0.8mm以上2mm以下とすることができる。弾性体層2は、この実施の形態では、錫層4の平面より大きな面積を持つ2枚の弾性体層2である。ただし、弾性体層2は、錫層4の形状によっては、錫層4を覆う3枚以上の層でも良い。また、弾性体層2を錫層4の平面と同じ形状で同じ面積とすることもできる。弾性体層2は、好ましくは、柔軟性を有し、かつ接着剤層3よりも高硬度の層である。弾性体層2は、例えば、JISK6253の測定法に従うデュロメーター タイプA硬度が、40以上85以下である。弾性体層2は、硬化状態において、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンゴムあるいはスチレンブタジエンゴム等の熱硬化性エラストマー; ウレタン系、エステル系、スチレン系、オレフィン系、ブタジエン系あるいはフッ素系等の熱可塑性エラストマー; あるいはそれらの複合物等などから好適に構成され、シリコーンゴムにて特に好適に構成される。
弾性体層2を構成するゴム状弾性体材料として、ミラブル型シリコーンゴムコンパウンドを好適に用いることができるが、これに限定せず、種々の材料を用いることができる。この実施の形態では、例えば、信越化学工業株式会社製のシリコーンゴムコンパウンド(KE−941−U)を好適に用いることができる。弾性体層2の形成に必要であれば、シリコーンゴムコンパウンドに架橋材を添加しても良い。また、着色を要する場合には、さらに、顔料や染料を混合しても良い。
この実施の形態では、弾性体層2は、接着剤層3よりも高硬度なので、接着剤層3が外部に露出する場合に比して、タック性を低減してすべり性を向上することができ、指触感触を向上することができ、また、汚れの付着を防止することもできる。形状保持シート1は、外部に対して比較的高硬度の弾性体層2を露出させるとともに、内部には比較的低硬度の接着剤層3を備えているので、錫層4の変形に追随して変形容易であって、かつ形状保持特性にも優れる。
2.形状保持シートの製造方法
次に、本発明の実施の形態に係る形状保持シートの製造方法について説明する。
図2は、本発明の実施の形態に係る形状保持シートの製造方法の主な工程を列挙したフローチャートを示す。
図1に示す形状保持シート1は、ゴム状弾性体により構成される弾性体層2を形成する弾性体層形成ステップ(ステップS100)と、弾性体層2および錫含有率98質量%以上の錫層4の少なくともいずれか一方の層に接着剤層3を形成する接着剤層形成ステップ(ステップS200)と、接着剤層3を介して弾性体層2と錫層4とを大気圧より低圧にて貼る錫層貼付ステップ(ステップS300)と、接着剤層3を固化する接着剤層固化ステップ(ステップS400)と、を含む製造方法により得られる。この実施の形態に係る形状保持シートの製造方法は、必須ではないが、接着剤層固化ステップ(ステップS400)の後に、錫層4の外方向の弾性体層2を切断する切断ステップ(ステップS500)を有する。以下、各ステップについて説明する。
弾性体層形成ステップ(ステップS100)
ステップS100は、形状保持シート1の最外層の大部分を構成する弾性体層2を形成する工程である。弾性体層2は、硬化性ゴムコンパウンドとゴムの構成分子を架橋させる架橋材、さらに必要に応じて顔料とを混ぜ、加硫を行うことにより得られる。加硫の工程は、温度条件等の異なる複数の工程で構成されるのが好ましい。
接着剤層形成ステップ(ステップS200)
ステップS200は、錫層4と弾性体層2とを貼り合わせる少なくとも一方の面に、接着剤層3を形成する工程である。弾性体層2を錫層4の平面より大きな面積を持つ2枚の弾性体層とし、接着剤層形成ステップ(ステップS200)を、それら2枚の弾性体層2の内側、すなわち、錫層4と接する面に、接着剤層3を形成するステップとすることができる。ただし、接着剤層形成ステップ(ステップS200)は、上記手法に限定されない。例えば、1枚の弾性体層2を用意し、その外側から内部に向かって切り込みを入れ、その切り込みから錫層4を挿入する場合には、1枚の弾性体層2に入れた切り込みの内面に接着剤を塗布し、接着剤層3を形成しても良い。また、接着剤層3は、弾性体層2に形成される層に限られず、これに代えてあるいはこれと併用して、錫層4側に形成されても良い。接着剤は、1種類でも良いが、2種類以上を混ぜたものでも良い。接着剤層3の形成方法は、特に制約されず、如何なる方法をも採用可能である。例えば、印刷、スプレー噴霧、刷毛塗り、接着剤中への浸漬、バーコーターを用いた塗工を例示できる。特に好ましくは、接着剤層形成ステップ(ステップS200)を、弾性体層2の内側あるいは錫層4の表面に接着剤を印刷するステップとする。
錫層貼付ステップ(ステップS300)
ステップS300は、弾性体層2の内側に、接着剤層3を介して錫層4を存在させる工程である。このステップでは、比較的柔らかい錫層4を延ばさないように、過度の圧力をかけないで行うのが好ましい。
接着剤層固化ステップ(ステップS400)
ステップS400は、弾性体層2と錫層4との間の接着剤層3を固化する工程である。接着剤層3の固化は、好ましくは、加硫を行うことにより得られる。加硫の工程は、温度条件等の異なる複数の工程で構成されるのが好ましい。
切断ステップ(ステップS500)
ステップS500は、形状保持シート1の外周囲であって錫層4の外側の弾性体層2をカットする工程である。この工程は、形状保持シート1の全周囲をカットせず、周囲の一部をカットするものでも良い。切断手法は、特に制約なく、如何なる手法をも採用できるが、例えば、レーザーによる切断、刃物等による機械的な切断、水圧を利用した切断を例示できる。
次に、図2の製造方法の詳細について説明する。
図3は、図2の弾性体層形成ステップの詳細な工程を含むフローチャートを示す。
弾性体層形成ステップ(ステップS100)において、まず、硬化性ゴムコンパウンドと、第1架橋材と、第2架橋材と、顔料とを用意し、それぞれの計量を行う(ステップS101〜S104)。この製造方法では、2種類の架橋材を用いているが、1種類の架橋材のみ、あるいは3種類以上の架橋材を用いても良い。硬化性ゴムコンパウンドの計量ステップでは、素練りも行う。そこに、計量済みの第1架橋材を投入して、硬化性ゴムコンパウンドと混練する(ステップS105)。続いて、そこに、計量済みの第2架橋材を投入して混練する(ステップS106)。最後に、計量済みの顔料を投入して混練する(ステップS107)。次に、ステップS107により得られた混練物をPET面に塗工する(シーティング工程: ステップS108)。
次に、シーティング工程後の中間品に対して一次加硫を行い、成形する(ステップS109)。成形は、好ましくは、加圧して行うが加圧しなくても良い。一次加硫時の温度と保持時間は、ゴムの種類にも左右されるが、この実施の形態では、シリコーンゴム製の弾性体層2を形成する条件として、好ましくは、温度125℃で4分間保持する条件を選択できる。
次に、成形体の外周のバリを取り(ステップS110)、二次加硫を行う(ステップS111)。二次加硫は、好ましくは、加圧しないが加圧しても良い。二次加硫の温度と保持時間も一次加硫と同様、ゴムの種類にも左右されるが、この実施の形態では、シリコーンゴム製の弾性体層2を形成する条件として、好ましくは、温度150℃で120分間保持する条件を選択できる。二次加硫時の温度は、好ましくは、一次加硫時の温度よりも高い。かかる工程を経て、シート状の弾性体層2が完成する。
図4は、図2の接着剤層形成ステップの詳細な工程を含むフローチャートを示す。
接着剤層形成ステップ(ステップS200)において、まず、第1接着剤と、第2接着剤と、第3接着剤とを用意し、それぞれの計量を行う(ステップS201〜S203)。この製造方法では、3種類の接着剤を混合して用いているが、1種類のみの接着剤を用いても良い。さらには、2種類の接着剤あるいは4種類以上の接着剤を混合しても良い。続いて、各計量済みの接着剤を混練する(ステップS204)。こうして、錫層4と弾性体層2とを接着するための接着剤が完成する。その後、2枚の弾性体層2の各片面に、ステップS204を経て得られた接着剤を印刷する(ステップS205)。接着剤の印刷領域は、好ましくは、錫層4の平面領域より広く、弾性体層2の片面領域より狭い。しかし、接着剤の印刷領域を弾性体層2の片面領域と同一にしても良い。ステップS205では、印刷以外の別の手法にて接着剤層3を形成することもできるが、より薄くかつ厚さがより均一な接着剤層3を形成するためには、印刷という手法が好ましい。この実施の形態では、接着剤層3の厚さが約30μmとなるように印刷を行うが、かかる厚さに限定されるわけではない。
その後、図2のステップS300に移行し、接着剤層3を介して、錫層4を2枚の弾性体層2の間に挟む。
図5は、図2の接着剤層固化ステップの詳細な工程を含むフローチャートおよび各工程におけるシート断面の変化をそれぞれ示す。
ステップS300の後、2枚の弾性体層2にて錫層4を挟んだ形態のシートは、減圧ボックス内に入れられ、減圧環境下におかれる(ステップS401)。減圧ボックス内におかれたシートは、図5のステップS401の左側に図示するように、錫層4の側端面が接着剤にて覆われておらず、シートの側端面から見たときに錫層4の側端面が視認できるような状態にある。減圧環境下にシートをおく時間は、特に制約されるものではないが、この実施の形態では、20秒〜5分間、好ましくは30秒〜3分間、より好ましくは40秒〜2分間である。減圧環境は、大気圧(約101.3kPa)より低い気圧の環境下であれば、気圧の大小を問わない。減圧環境は、例えば、5kPa以上100kPa以下、好ましくは20kPa以上70kPa以下、さらに好ましくは30kPa以上50kPa以下の範囲の気圧下とする。また、減圧環境であれば、シート上に重りなどをおいて荷重を加えることができる。荷重を加える場合には、シート上の総圧力を大気圧より低くするのが好ましい。例えば、錫層4をその両側から弾性体層2にて挟んだ形態のシート(平面積: 0.2m×0.2m=0.04m2)の上に4kgの重りをおくと、シート上の総圧は、0.98kPa+重り上の気圧となる。シートを30kPaの減圧環境におくと、おもり上の気圧は30kPaになるため、シート上の総圧は、0.98kPa+30kPa=30.98kPaとなり、大気圧(約101.3kPa)より低くなる。このように、重りをシート上においた場合でも、シート上の総圧を大気圧より低くするのが好ましい。これによって、錫層4の延伸率(外側につぶれて延びる割合)を低減できる。
次に、減圧ボックスからシートを取り出して、金型内に移して一次加硫を行う(ステップS402)。一次加硫時の温度と保持時間は、接着剤の種類にも左右されるが、この実施の形態では、シリコーン系の接着剤層3を硬化させる条件として、好ましくは、温度105℃で2分間保持する条件を選択できる。一次加硫では、シート上に10kPa以上50kPa以下、好ましくは20kPa以上40kPa以下の範囲の圧力をかけるのが好ましい。一次加硫の工程は、減圧環境で行わずに、好適には、金型を型締めするためのプレス機の圧力下で行われるため、シート上の総圧は、プレス機の圧力+大気圧となる。例えば、プレス機の圧力を25kPaとすると、シート上の総圧は、25kPa+101.3kPa=126.3kPaとなる。次に、シートの二次加硫を行う(ステップS403)。二次加硫の温度と保持時間も一次加硫と同様、接着剤の種類にも左右されるが、この実施の形態では、シリコーン系の接着剤層3を形成する条件として、好ましくは、温度150℃で120分間保持する条件を選択できる。二次加硫時の温度は、好ましくは、一次加硫時の温度よりも高い。二次加硫時には、大気圧以上の圧力をかけていない。かかる工程を経て、形状保持シート1の原型が完成する。当該原型は、図5のステップS403の左側に図示するように、錫層4の側端面が接着剤にて覆われ、当該原型のシートの側端面から見たときに接着剤層3の側端面が視認できるものの、錫層4が視認できない状態にある。次に、ステップS500に移行し、原型の外周囲をカットする。図5のステップS500の左側の図から明らかなように、点線Cにて、形状保持シート1の外周囲であって錫層4の外側の所定位置から外側の弾性体層2をカットする。こうして、形状保持シート1が完成する。
3.実施の形態により得られる作用・効果
この実施の形態に係る形状保持シートの製造方法は、
所定の形状に変形させて、かつその形状を保持可能な形状保持シート1を製造する方法であって、ゴム状弾性体により構成される弾性体層2を形成する弾性体層形成ステップ(ステップS100)と、弾性体層2および錫含有率98質量%以上の錫層4の少なくともいずれか一方の層に接着剤層3を形成する接着剤層形成ステップ(ステップS200)と、接着剤層3を介して弾性体層2と錫層4とを大気圧より低圧にて貼る錫層貼付ステップ(ステップS300)と、接着剤層3を固化する接着剤層固化ステップ(ステップS400)と、を含む。かかる製法を用いると、過度な圧力をかけずに形状保持シート1を製造できるので、錫層4のような延伸しやすい金属を内部に配置していても、延伸させずにあるいは延伸しても極めて低いレベルに抑えることができ、もって、仕上がり形状の安定したシートを得ることができる。特に、錫層4のような金属層の外周囲を二重の弾性体層にて覆う形態に比べて、形状保持シート1中の金属層の位置合わせが容易になる。また、金属層の外面を弾性体層にて覆う場合にはエアーを巻き込み、シート内部に気泡が生じやすいが、金属層(錫層4)の外面に接着剤層3を存在させることにより、エアーの巻き込みも少なく、シート内部に気泡が生じにくくなる。さらに、弾性体層2を形成するための混練物中に内添材を含めないことにより、その混練物を冷凍保存する必要が無くなり、製造工程の短縮化を図ることができる。
また、この実施の形態に係る形状保持シートの製造方法は、さらに、弾性体層2を、錫層4の平面より大きな面積を持つ複数枚の弾性体層とし、接着剤層形成ステップ(ステップS200)を、複数枚の弾性体層2の内側の面に接着剤層3を形成するステップとし、錫層貼付ステップ(ステップS300)を、複数枚の弾性体層2の間に、接着剤層3を介して錫層4を挟んで貼付するステップとする。これにより、内部から外部に向かって、錫層4、接着剤層3、弾性体層2の順に積層された形状保持シート1を容易に製造できる。
また、この実施の形態に係る形状保持シートの製造方法は、接着剤層形成ステップ(ステップS200)を、弾性体層2の表面および錫層4の表面の少なくともいずれか一方の表面に接着剤を印刷するステップとする。このような印刷により接着剤層3を形成することにより、錫層4と弾性体層2との位置ずれの比率を少なくすることができる。
また、この実施の形態に係る形状保持シートの製造方法は、接着剤層固化ステップ(ステップS400)の後に、錫層4の外方向の弾性体層2を切断する切断ステップ(ステップS500)を含む。錫層4はほとんど延伸せず、その位置も設計通りであるため、錫層4の外側の所定位置を正確に切断できる。
また、この実施の形態に係る形状保持シートの製造方法は、弾性体層2を、シリコーンゴムの層とする。これによって、耐熱性に優れ、錫層4の変形に追随しやすく、表面の触感の良い形状保持シート1を製造できる。
また、この実施の形態に係る形状保持シート1は、上述のいずれかの製造方法によって製造される形状保持シートであって、その内部から外側に向かって、錫含有率98質量%以上100質量%以下の錫層4、接着剤層3、ゴム状弾性体により構成される弾性体層2の順に積層する構造を有する。このような形状保持シート1は、製造前後における錫層4の延伸率が小さく(ゼロといっても良い)、変形も自在であって、その内部の錫層4に合わせて弾性体層2が追随して変形でき、さらには変形後の形状保持力にも優れる。
4.その他の実施の形態
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られず、他の様々な態様にて実施できる。
例えば、形状保持シート1の用途に応じて、弾性体層2の硬度を、接着剤層3の硬度と同一若しくはそれより低くしても良い。このようにすると、すべり防止などの効果が期待できる。また、形状保持シート1を構成する複数の弾性体層2の内の一部の弾性体層2の表面性状を、それ以外の弾性体層2の表面性状と異なるようにしても良い。例えば、2枚の弾性体層2が錫層4を挟んで両側にある場合、弾性体層2の一方の表面をシボ加工面とし、他方の表面をつやだし加工面(例えば、樹脂によるコーティング面)としても良い。例えば、シボ加工を施した表面においては、ゴミが付き難いという効果がある一方、つやだし加工を行った表面においては、この表面と接触する対象との間での滑り止めの効果がある。
また、上述の実施の形態では、錫層4を平板状の金属板としていたが、錫層4は、これに限られず、パンチング加工(打ち出し加工)を施した金属板(パンチング板)であっても良い。パンチング板としては、例えば、錫の純度が99.9質量%の板に対して、径が4mmの孔を、ピッチ7mmで複数形成したものであっても良い。なお、使用する錫製の板と、形成する孔の大きさ及び孔の割合とを調整することにより、形状保持シート1を変形させる際に必要な応力を、所望の大きさに調整することができる。
次に、本発明の実施例について説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施例に限定されるものではない。
実験1.錫層の延伸評価
<実施例1>
(1)形状保持シートの主な材料
(a)錫層の材料
錫板: 錫含有率99.9質量%、一辺200mm角×厚さ0.3mm
(b)弾性体層の材料
ゴムコンパウンド: 信越化学工業株式会社製のKE−941−U
架橋材: 信越化学工業株式会社製のC−25A及びC−25B(付加反応硬化)
顔料:有機系及び無機系カラー
(c)接着剤層の材料
接着剤: 信越化学工業株式会社製のKE−1180−A、KE−1180−BおよびX−93−3046の合計3種類
(2)形状保持シートの製造方法
ゴムコンパウンド(KE−941−U)100質量部と、架橋材(C−25B)2.0質量部とを混練し、そこに架橋材(C−25A)0.5質量部を投入して混練し、さらに顔料(X−93−942)0.5質量部を投入して混練した。次に、混練物をPET面にてシーティングを行った。次に、PETシートを剥がして、温度125℃×4分間の成形(一次加硫に相当)を行った。その後、外周のバリ取りを行い、温度150℃×120分間の条件で二次加硫を行った。
次に、接着剤(X−93−3046)0.3質量部と、接着剤(KE−1180−B)50質量部と、接着剤(KE−1180−A)50質量部とを混練した。次に、2枚の弾性体層のそれぞれの片面に、混練後の接着剤を印刷した。形成された接着剤層の厚さは、約30μmであった。
次に、2枚の弾性体層の両接着剤層の間にて錫板を挟み貼り合わせた。錫板を2枚の弾性体層ではさんだシート(約210〜230mm角の平面を有するシート)を減圧ボックス中に1分間入れた。減圧ボックス内のシートの上には4kgの金属製の板をのせて0.98kPaの荷重をかけた状態とし、減圧ボックス内の気圧を36kPaとした。この結果、シートには、36.98kPaの圧力が続かかった状態に保持した。続いて、減圧ボックスからシートを取り出し、金型内に移し、温度105℃×2分間の条件で一次加硫を行った。一次加硫は、ホットプレス機を用いて加圧・加温条件の下で行われた。同プレス機の圧力は、24.5kPa(シート上に100kgの荷重をかけたときの圧力)とした。続いて、温度150℃×120分間の条件で二次加硫を行った。二次加硫の後、シートの外周をカットして揃え、形状保持シートを完成した。この形状保持シートは、片面約1.1mm厚さの弾性体層にて厚さ0.3mmの錫板を挟んだ構造を持ち、総厚2.5mmのシートであった。
<比較例1>
(1)形状保持シートの主な材料
(a)錫層の材料
錫板: 実施例1と同一
(b)内側弾性体層の材料
ゴムコンパウンド: 信越化学工業株式会社製のKE−931−U
架橋材: 信越化学工業株式会社製のC−25A及びC−25B(付加反応硬化)
内添材: 信越化学工業株式会社製のKBM−403
(c)外側弾性体層の材料
実施例1と同一材料
(2)形状保持シートの製造方法
ゴムコンパウンド(KE−941−U)100質量部と、架橋材(C−25B)2.0質量部とを混練し、そこに架橋材(C−25A)0.5質量部を投入して混練し、さらに顔料(X−93−942)0.5質量部を投入して混練した。次に、混練物をPET面にてシーティングを行い、外側弾性体層の形成準備を完了した。
次に、ゴムコンパウンド(KE−931−U)100質量部と、架橋材(C−25A:0.5質量部、C−25B:2.0質量部)と、内添材(KBM−403)1.0質量部とを混練し、PET面にてシーティングを行った。その後、所定の大きさにカットして10℃以下の冷蔵庫内にて12時間以上静置した。こうして、内側弾性体層の形成準備を完了した。
次に、冷蔵庫からPETシート付きの内側弾性体層を取り出し、2枚の内側弾性体層の間に錫板を挟み、加圧処理を行った。次に、温度125℃×30分間の一次加硫を行った。
次に、PETシートを剥がして、温度150℃×30分間の二次加硫を行った。こうして、錫板を2枚の内側弾性体層で挟んだ形態のシートを完成した。
次に、外側弾性体層となる2枚のシートのシリコーンゴム面同士の間に、錫板を2枚の内側弾性体層で挟んだ形態のシートを挟み込み、挟み込む方向に加圧を行った。次に、PETシートを剥がしたシートを金型内にセットし、圧力20.6MPa、温度125℃×4分間の条件にて一次加硫を行った。次に、金型を開いて、加圧済みのシートの外周のバリ取りを行ってから、温度150℃×120分間の二次加硫を行った。こうして、比較例1の形状保持シートを完成した。この形状保持シートは、2重の弾性体層にて厚さ約0.3mmの錫板を挟んだ構造を持つ。
<評価方法>
実施例1および比較例1にてそれぞれ製造した形状保持シートについて、製造前の錫板が形状保持シート完成後にどの程度延びたかを評価した。形状保持シート内の錫板の寸法は、錫板の外側にある1または2枚の弾性体層を剥がしてから計測した。計測箇所は、錫板の一辺の長さ方向(X方向)に沿って等間隔に3箇所の長さ、それと直角の一辺の長さ方向(Y方向)に沿って等間隔に3箇所の長さとした。3箇所の長さを平均し、平均値を評価に供した。
<結果>
表1は、実施例1および比較例1にて製造した各形状保持シートのX方向およびY方向の延伸率を示す。
表1の結果から明らかなように、比較例1の工程で製造した形状保持シートは、X方向およびY方向にてそれぞれ2.9%および2.5%の延伸率にて延びてしまったが、実施例1の工程で製造した形状保持シートは、シート製造前と変わらず、全く延びていなかった。
実験2.形状保持力の評価
<実施例1>
実験1の実施例1と同条件で製造した。
<実施例2>
(1)形状保持シートの主な材料
錫層の材料、弾性体層の材料および接着剤層の材料は、実施例1と同一とした。
(2)形状保持シートの製造方法
弾性体層の製造にあたり、シーティングの厚さをより薄くする以外、実施例1と同一条件で製造した。かかる製造工程にて得られた形状保持シートは、片面約0.65mm厚さの弾性体層にて厚さ0.3mmの錫板を挟んだ構造を持ち、総厚1.7mmのシートであった。
<実施例3>
(1)形状保持シートの主な材料
錫層の材料として、錫含有率98質量%+アンチモン2質量%、一辺200mm角×厚さ0.2mmの錫板を用いた。錫板以外の材料は、実施例1と同一とした。
(2)形状保持シートの製造方法
実施例1と同一条件で製造した。かかる製造工程にて得られた形状保持シートは、片面約1.1mm厚さの弾性体層にて厚さ0.2mmの錫板を挟んだ構造を持ち、総厚2.4mmのシートであった。
<実施例4>
(1)形状保持シートの主な材料
錫層の材料、弾性体層の材料および接着剤層の材料は、実施例3と同一とした。
(2)形状保持シートの製造方法
弾性体層の製造にあたり、シーティングの厚さをより薄くする以外、実施例3と同一条件で製造した。かかる製造工程にて得られた形状保持シートは、片面約0.6mm厚さの弾性体層にて厚さ0.2mmの錫板を挟んだ構造を持ち、総厚1.4mmのシートであった。
表2は、実施例1〜4の各条件で製造された形状保持シートの各部位の厚さおよび材質を示す。
<評価方法>
図6は、実施例1〜4にて製造した形状保持シートの形状保持力を評価するための手順を示す。
図6の(6A)に示すように、錫板の圧延方向を合わせて形状保持シートの角より100mmの位置を決める。次に、図6の(6B)に示すように、角より100mmの位置からシートの中央に向かって三角形に折り曲げる。なお、(6B)では、理解しやすさを優先して、折り曲げた部分に分銅をのせてその様子を保持させている。次に、図6の(6C)に示すように、折り曲げた角部の上に500gの分銅をのせて、5分間保持する。次に、図6の(6D)に示すように、5分間保持後に分銅を取り除き、自然放置30秒経過後の折り曲げた部分の保持角度を測定する。角度が小さいほど、形状保持力が高く、優れていることを意味する。
<結果>
表3は、実施例1〜4にて製造した各形状保持シートの形状保持力の評価結果を示す。また、図7は、実施例1〜4にて製造した各形状保持シートの保持角度を測定している状況であって、(7A)は実施例1、(7B)は実施例2、(7C)は実施例3、(7D)は実施例4にてそれぞれ製造された各形状保持シートを示す。
表3中の判定は、以下の基準による。
判定1: 0度以上45度未満(最も好ましい)
判定2: 45度以上90度未満(好ましい)
判定3: 90度以上(形状保持性に劣る)
表3および図7に示すように、実施例1〜4の各条件で製造された全ての形状保持シートの評価結果は、判定1または2となり、形状保持力に優れていることがわかった。特に、実施例2および4では、判定1という最も好ましい評価結果が得られた。
本発明に係る形状保持シートは、例えば、トレー、箱、包装材などに利用することができる。
1 形状保持シート
2 弾性体層
3 接着剤層
4 錫層

Claims (6)

  1. 所定の形状に変形させて、かつその形状を保持可能な形状保持シートを製造する方法であって、
    ゴム状弾性体により構成される弾性体層を形成する弾性体層形成ステップと、
    前記弾性体層および錫含有率98質量%以上の錫層の少なくともいずれか一方の層に接着剤層を形成する接着剤層形成ステップと、
    前記接着剤層を介して前記弾性体層と前記錫層とを大気圧より低圧にて貼る錫層貼付ステップと、
    前記接着剤層を固化する接着剤層固化ステップと、
    を含む形状保持シートの製造方法。
  2. 前記弾性体層は、前記錫層の平面より大きな面積を持つ複数枚の弾性体層であって、
    前記接着剤層形成ステップは、複数枚の前記弾性体層の内側の面に前記接着剤層を形成するステップであり、
    前記錫層貼付ステップは、複数枚の前記弾性体層の間に、前記接着剤層を介して前記錫層を挟んで貼付するステップである、請求項1に記載の形状保持シートの製造方法。
  3. 前記接着剤層形成ステップは、前記弾性体層の表面および前記錫層の表面の少なくともいずれか一方の表面に接着剤を印刷するステップである、請求項1または請求項2に記載の形状保持シートの製造方法。
  4. 前記接着剤層固化ステップの後に、前記錫層の外方向の前記弾性体層を切断する切断ステップを行う、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の形状保持シートの製造方法。
  5. 前記弾性体層はシリコーンゴムの層である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の形状保持シートの製造方法。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の形状保持シートの製造方法によって製造される形状保持シートであって、
    その内部から外側に向かって、錫含有率98質量%以上の錫層、接着剤層、ゴム状弾性体により構成される弾性体層の順に積層する構造を有する形状保持シート。
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