JP2016100048A - 編組線及びシールド電線 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れたシールド性能及び耐食性を有する編組線及びこれを用いたシールド電線を提供する。
【解決手段】編組線は、複数の素線10が筒状に編み込まれて構成されている。素線10は、アルミニウム線101と、第1Niめっき膜102と、第2Niめっき膜103と、Snめっき膜104とを有している。第1Niめっき膜102はアルミニウム線101の表面上に形成されている。第2Niめっき膜103は、Sを含んでおり、第1Niめっき膜102上に形成されている。Snめっき膜104は第2Niめっき膜103上に形成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、編組線及びこれを用いたシールド電線に関する。
例えば自動車や電気機器等において、電磁ノイズ対策が必要な箇所には、シールド電線が用いられている。シールド電線は、電気信号等を伝達するコア部と、コア部の外周を被覆するシールド層とを有しており、外部からコア部への電磁ノイズの侵入や、コア部から外部への電磁ノイズの放射をシールド層により抑制することができるよう構成されている。コア部は、1本または2本以上の被覆電線を有している。また、シールド層としては、例えば、金属素線を編み込んで形成した編組線が多用されている。
編組線に用いられる金属素線には、導電性や加工性の観点から、銅線の表面にSn(スズ)めっき膜が設けられたSnめっき銅線が多用されている(例えば、特許文献1)。近年ではシールド電線全体の軽量化及びコストダウンのため、Cu(銅)やCu合金に比べて軽量かつ安価であるAl(アルミニウム)やAl合金よりなるアルミニウム線を金属素線に用いることが提案されている(例えば、特許文献2)。
特開2006−164754号公報 特開2004−60007号公報
アルミニウム線を金属素線として用いる場合、アルミニウム線の表面に不導体であるAl23の皮膜が表面に不可避的に形成される。このAl23皮膜の存在により、アルミニウム線は、表皮効果の影響が顕著となる高周波領域において交流抵抗が大きくなる。それ故、アルミニウム線を金属素線として用いた編組線は、高周波領域の電磁ノイズに対するシールド性能が低下するという問題がある。
上記の問題は、例えばアルミニウム線の表面に導電性の高いSn(スズ)めっき膜を設けることにより抑制することができる。また、アルミニウム線とSnめっき膜との間にNi(ニッケル)めっき膜を設けることにより、Snめっき膜の密着性を向上させることができ、Snめっき膜をアルミニウム線の表面に直接設ける場合に比べて、Snめっき膜の剥離等を抑制できる。
ところが、上記のようにアルミニウム線の表面上にNiめっき膜及びSnめっき膜を順次積層した金属素線は、以下の問題を有する。即ち、何らかの原因によりSnめっき膜が損傷を受けた場合、Niめっき膜が金属素線の表面に露出することがある。この状態においてSnめっき膜の損傷部分から水分等が進入すると、Snめっき膜及びNiめっき膜が局部電池を形成して異種金属接触腐食が起きる。その結果、Snに比べて電気化学的に卑なNiが優先して腐食され、Niめっき膜に腐食孔が形成されるおそれがある。また、腐食が進行すると、場合によっては腐食孔がアルミニウム線の表面まで到達し、アルミニウム線が腐食されることも考えられる。
以上のように、アルミニウム線の表面上にNiめっき膜及びSnめっき膜を順次積層した金属素線は、Snめっき膜が損傷を受けた場合に耐食性が低下するおそれがある。それ故、アルミニウム線を編組線に用いるためには、従来のSnめっき銅線と同等以上のシールド性能を確保しつつ耐食性を改善する必要がある。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、優れたシールド性能及び耐食性を有する編組線及びこれを用いたシールド電線を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、複数の素線が筒状に編み込まれてなる編組線であって、
上記素線は、アルミニウム線と、
該アルミニウム線の表面上に形成された第1Niめっき膜と、
該第1Niめっき膜上に形成され、Sを含有する第2Niめっき膜と、
該第2Niめっき膜上に形成されたSnめっき膜とを有していることを特徴とする編組線にある。
本発明の他の態様は、上記の態様の編組線と、
該編組線の筒内に配置された被覆電線とを有することを特徴とするシールド電線にある。
上記編組線は、アルミニウム線の表面上に、上記第1Niめっき膜、上記第2Niめっき膜及び上記Snめっき膜が順次積層された多層構造を有する上記素線より構成されている。上記素線は、導電性の高い上記Snめっき膜が表面に存在しているため、高周波帯における交流抵抗を低減することができる。それ故、上記編組線は、高周波ノイズに対するシールド性能が向上し、従来のSnめっき銅線と同等以上のシールド性能を容易に確保することができる。
また、上記第2Niめっき膜は、S(硫黄)を含有していることにより、上記第1Niめっき膜に比べて電気化学的に卑になる。それ故、上記第2Niめっき膜は、上記アルミニウム線の表面上に形成されためっき膜の中で最も腐食されやすい性質を有する。上記素線は、上記第1Niめっき膜と上記Snめっき膜との間に上記第2Niめっき膜を設けることにより、上記第2Niめっき膜を犠牲防食材として機能させることができる。
即ち、例えば上記Snめっき膜が損傷して上記第2Niめっき膜が露出した場合、異種金属接触腐食により上記第2Niめっき膜が優先して腐食される。それ故、腐食が進行すると、上記第2Niめっき膜に腐食孔が形成される。そして、腐食がさらに進行して腐食孔が上記第1Niめっき膜に到達した場合であっても、上記第1Niめっき膜よりも上記第2Niめっき膜が優先して腐食されるため、上記素線内部への腐食の進行を遅らせることができる。
このように、上記素線は、上記特定の多層構造を有することにより、上記第2Niめっき膜を犠牲防食材として機能させ、耐食性を向上させることができる。それ故、上記編組線は、優れた耐食性を有する。
以上のように、上記編組線は、優れたシールド性能及び耐食性を有する。また、上記編組線を用いた上記シールド電線は、従来と同等以上のシールド性能及び耐食性を有すると共に、従来よりも軽量化及びコストダウンを容易に行うことができる。
実施例における、シールド電線の断面図。 実施例における、編組線を構成する素線の断面図。 実施例における、腐食試験のために表面に傷を付けた素線の一部断面図。 実施例における、ノイズ測定装置の説明図。 比較例における、編組線を構成する素線の断面図。
上記編組線において、上記アルミニウム線としては、純Alまたは従来公知のAl合金よりなる線材を用いることができる。上記アルミニウム線の材質は、要求される強度特性等に応じて適宜選択することができる。
上記第1Niめっき膜は、Ni及び不可避不純物からなるめっき膜である。第1Niめっき膜は、0.1〜1.0μmの膜厚を有することが好ましい。第1Niめっき膜の膜厚が過度に薄くなると、何らかの原因により上記素線に傷が入った際に、アルミニウム線まで傷が到達しやすくなることが考えられる。一方、第1Niめっき膜の膜厚が過度に厚くなると、製造コストの増大を招く。それ故、傷に対する耐久性と製造コストとを両立させる観点から、第1Niめっき膜の膜厚を上記特定の範囲内にすることが好ましい。
上記第2Niめっき膜は、Sを含み、残部がNi及び不可避不純物からなるめっき膜である。第2Niめっき膜は、0.05〜0.5質量%のSを含んでいることが好ましい。この場合には、第2Niめっき膜が犠牲防食材として効果的に機能するため、上記編組線の耐食性をより向上させることができる。
第2Niめっき膜中のSの含有量が0.05質量%未満の場合には、Sの効果が不十分となり、第2Niめっき膜の犠牲防食効果が低下するおそれがある。そのため、素線内部への腐食の進行を遅らせる効果が不十分となるおそれがある。一方、第2Niめっき膜中のSの含有量が0.5質量%を超える場合には、第2Niめっき膜の導電性が低下するおそれがあり、ひいては上記編組線のシールド性能が低下するおそれがある。
また、第2Niめっき膜は、0.1〜1μmの膜厚を有することが好ましい。この場合には、上述した第1Niめっき膜の場合と同様に、傷に対する耐久性と製造コストとを両立させることができる。
Snめっき膜は、Sn及び不可避不純物からなるめっき膜である。Snめっき膜の厚みは特に限定されないが、通常0.1〜1μm程度である。この場合には、上記編組線は優れたシールド性能及び耐久性を有する。そのため、上記編組線は、例えば自動車用ワイヤーハーネス等の厳しい使用環境下で使用される用途においても、Snめっき膜の摩耗等を抑制し、優れたシールド性能を長期間に亘って維持することができる。
上記編組線を用いてなる上記シールド電線は、動作用電力等の比較的大きい電流を伝達する電力線として構成されていても良く、制御信号等の比較的小さい電流を伝達する信号線として構成されていても良い。また、上記シールド電線は、1本の上記被覆電線を有する単芯シールド電線として構成されていても良く、2本以上の上記被覆電線を有する多芯シールド電線として構成されていても良い。
上記被覆電線は、導体と、導体の周囲を被覆する絶縁材とを有している。被覆電線に用いられる導体としては、例えば、銅線、銅合金線、Snめっき銅線、アルミニウム線及びアルミニウム合金線等の、優れた電気伝導性を有する金属線を用いることができる。また、上記導体は、1本の金属線から構成されていても良く、多数の金属線が撚り合わされた撚線から構成されていても良い。
また、上記被覆電線に用いられる絶縁材としては、電線用の絶縁材として従来公知の材料を用いることができる。絶縁性や製造性等の観点からは、上記絶縁材として、架橋ポリエチレン系樹脂や架橋ポリ塩化ビニル樹脂が用いられることが多い。
(実施例)
上記編組線及びこれを用いたシールド電線の実施例について、図を用いて説明する。図1に示すように、シールド電線2は、複数の素線10が筒状に編み込まれてなる編組線1と、編組線1の筒内に挿入された被覆電線21とを有している。
編組線1を構成する素線10は、図2に示すように、アルミニウム線101と、第1Niめっき膜102と、第2Niめっき膜103と、Snめっき膜104とを有している。第1Niめっき膜102はアルミニウム線101の表面上に形成されている。第2Niめっき膜103は、Sを含んでおり、第1Niめっき膜102上に形成されている。Snめっき膜104は第2Niめっき膜103上に形成されている。以下、詳説する。
図1に示すように、本例の編組線1は、3本の素線10を互いに並べてなる素線束11を単位として形成されており、24組の素線束11を有している。図には示さないが、各々の素線束11は、被覆電線21の外周22をらせん状に巻き回されながら編み込まれている。本例においては、素線束11の撚りピッチ、すなわち素線束11が被覆電線21の外周22をらせん状に一回転したときに被覆電線21の長手方向に進む距離は20mmである。
編組線1を構成する素線10は、図2に示すように、アルミニウム線101の表面上に第1Niめっき膜102、第2Niめっき膜103及びSnめっき膜104が順次積層された3層構造を有している。
アルミニウム線101の直径は0.23mmである。第1Niめっき膜102は、Ni及び不可避不純物より構成されており、1μmの膜厚を有している。第2Niめっき膜103は、0.5質量%のSを含み、残部がNi及び不可避不純物からなる化学成分を有している。第2Niめっき膜103の膜厚は1μmである。Snめっき膜104は、Sn及び不可避不純物より構成されており、1μmの膜厚を有している。なお、図には示さないが、Snめっき膜104の表面には、Snの自然酸化膜が存在している。
図1に示すように、編組線1の筒内に挿入された被覆電線21は、導体211と、導体211の周囲に被覆された絶縁材212とを有している。なお、本例の導体211は断面積3mm2の銅撚線である。
本例においては、上述のように構成したシールド電線2を用い、以下の方法により耐食性の評価を行った。
<腐食試験>
まず、シールド電線2の外周面20(図1参照)にナイフを当接させ、周方向に沿ってナイフを1周させた。これにより、図3に示すように、素線10の表面に、少なくとも第2Niめっき膜103に到達し、かつ、アルミニウム線101に到達しない程度の深さを有する傷105をつけた。次いで、シールド電線2を10%の塩水に72時間浸漬した。72時間経過後、シールド電線2を塩水から取り出して洗浄及び乾燥を行った。乾燥後、傷を付けた部分を目視観察した。
以上の方法により腐食試験を行った結果、傷を付けた部分及びその近傍は、腐食試験前に比べて変色等の外観の変化が見られないことを確認した。
<シールド性能評価>
長さ1000mmのシールド電線2を準備し、上記の手順に従って腐食試験を実施した。シールド電線2を乾燥させた後、吸収クランプ法によりシールド性能を測定した。吸収クランプ法に用いた測定装置3は、図4に示すように、スペクトラムアナライザ31、トラッキングジェネレータ32、一対のシールドボックス33(33a、33b)、吸収クランプ34及び終端抵抗35を有している。各シールドボックス33はアースに接続されている。吸収クランプ34は、一対のシールドボックス33の間に配置されている。終端抵抗35は、一対のシールドボックス33のうち一方のシールドボックス33a内に設けられており、一方のシールドボックス33aを介して接地されている。スペクトラムアナライザ31は吸収クランプ34と接続されており、吸収クランプ34が受信した信号を測定することができるように構成されている。なお、本例の吸収クランプ34は共立電子工業株式会社製「KT−10」であり、スペクトラムアナライザ31はAgilent社製「E4402B」である。
シールド電線2の取り付けは、以下の手順で行った。まず、吸収クランプ34の内側にシールド電線2を通過させ、両端をシールドボックス33内に固定した。次いで、編組線1の両端を各シールドボックス33に接続し、シールドボックス33を介して編組線1を接地した。次に、一方のシールドボックス33a内に挿入されたシールド電線2の導体211を終端抵抗35に接続し、終端抵抗35を介して接地した。その後、他方のシールドボックス33b内に挿入されたシールド電線2の導体211をトラッキングジェネレータ32に接続した。
図3に示すようにシールド電線2を測定装置3に取り付けた後、トラッキングジェネレータ32から発生させた10MHzの高周波信号を導体211に入力した。そして、シールド電線2の外部に漏洩した高周波信号を吸収クランプ34に受信させ、スペクトラムアナライザ31により漏洩した高周波信号の大きさを測定した。その後、入力した高周波信号の大きさに対する漏洩した高周波信号の比を算出し、これを誘導ノイズ量(dB)とした。
本例においては、腐食試験を行ったシールド電線2を3本準備し、それぞれについてシールド性能評価を行った。その結果、誘導ノイズ量はいずれも56dBであった。上記の誘導ノイズ量は、従来のSnめっき銅線と同等の値である。以上の結果から、本例の編組線1が優れたシールド性能を有していることが理解できる。
(比較例)
本例は、第2Niめっき膜103を有さない素線40を用いたシールド電線の例である。本例の編組線に用いた素線40は、図5に示すように、アルミニウム線401の表面上に、Ni及び不可避不純物からなるNiめっき膜402と、Snめっき膜403とを順次積層した2層構造を有している。図には示さないが、本例のシールド電線は、実施例の素線10に替えて上記の素線40を用いた以外は実施例1と同様の構成を有している。なお、図5において用いた符号のうち、実施例において用いた符号と同一のものは、特に説明の無い限り実施例と同様の構成要素等を示す。
本例のシールド電線を用いて実施例と同一の方法により腐食試験を行ったところ、傷を付けた部分及びその近傍が、腐食試験前に比べて変色したことを確認した。
また、本例のシールド電線を用いて実施例と同一の方法によりシールド性能評価を行った。その結果、シールド電線の誘導ノイズ量は、最大で50dBであり、最小で56dBであった。
実施例及び比較例の結果から、アルミニウム線101上に第1Niめっき膜102、第2Niめっき膜103及びSnめっき膜104が順次積層された3層構造を有する素線10よりなる編組線1は、Snめっき膜104に傷が入った場合であっても、腐食試験による変色やシールド性能の低下が起こりにくく、優れた耐食性を有していることが理解できる。
1 編組線
10 素線
101 アルミニウム線
102 第1Niめっき膜
103 第2Niめっき膜
104 Snめっき膜

Claims (5)

  1. 複数の素線が筒状に編み込まれてなる編組線であって、
    上記素線は、アルミニウム線と、
    該アルミニウム線の表面上に形成された第1Niめっき膜と、
    該第1Niめっき膜上に形成され、Sを含有する第2Niめっき膜と、
    該第2Niめっき膜上に形成されたSnめっき膜とを有していることを特徴とする編組線。
  2. 上記第2Niめっき膜は、0.05〜0.5質量%のSを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の編組線。
  3. 上記第2Niめっき膜は、0.1〜1.0μmの膜厚を有することを特徴とする請求項1または2に記載の編組線。
  4. 上記第1Niめっき膜は、0.1〜1.0μmの膜厚を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の編組線。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の編組線と、
    該編組線の筒内に挿入された被覆電線とを有することを特徴とするシールド電線。
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