JP2016100344A - 高周波コイル装置 - Google Patents

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聖 落合
石塚 健一
Kenichi Ishitsuka
健一 石塚
西田 浩
Hiroshi Nishida
浩 西田
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Abstract

【課題】導体パターンの線幅を細くしても、導体損失の大幅な増大を抑制した高周波コイル装置を構成する。また、導体パターンの全体の厚みを厚くすることによる自己インダクタンスおよび相互インダクタンスの低下を抑えた高周波コイル装置を構成する。
【解決手段】複数の基材層が積層された積層体10と、基材層に沿って配置される導体パターンと、基材層に形成され、導体パターンに導通する層間接続導体と、を備える。導体パターンは線状導体パターン21〜24を含み、線状導体パターンおよび層間接続導体により、複数の基材層の積層方向に巻回軸を有するコイルが構成される。線状導体パターン21〜24は、基材層に印刷された導電性ペーストパターンにより形成され、導電性ペーストパターンによるコイルのコイル開口の内方部20Mの厚みは、導電性ペーストパターンによるコイルのコイル開口の外方部20Eの厚みよりも厚い。
【選択図】図4

Description

本発明は、高周波コイルを備えるインダクタ、トランス、高周波回路等の高周波コイル装置に関する発明である。
特許文献1に、トランスを用いた給電素子が開示されている。この素子は、広帯域で低損失な給電素子であり、マルチバンド用メインアンテナへの給電素子として有用である。
上記トランス構造の素子は、複数の基材層が積層された積層体内にコイルが構成されたものである。このコイルは、基材層に沿って配置される導体パターンと、基材層に形成され、導体パターンに導通する層間接続導体とを備える。導体パターンは線状導体パターンを含み、線状導体パターンおよび層間接続導体により、複数の基材層の積層方向に巻回軸(中心軸)を有するコイルが構成される。
国際公開第2011/090080号
携帯電話端末等の電子機器の小型化に伴い、高周波コイルを備えるインダクタ、トランス、高周波回路等の高周波コイル装置の小型化の要求が強くなっている。特許文献1等に示されるように、シート積層工法によって作成される高周波コイル装置においては、小型化に伴い、コイルの導体パターンの線幅を細くする必要がある。しかし、導体パターンの線幅を細くすることにより、線幅方向の端縁での単位体積当りの電流密度が増大するので、導体損失が大きくなる。
一方、それだけでなく、導体パターンの線幅を細くすることにより、次に述べるような問題が顕著になること発明者等は見いだした。
図13(A)は、基材層15に導電性ペーストパターン21Pが印刷された時点での、導体パターンの延伸方向に対する直交面での断面図である。図13(B)は、導電性ペーストパターン21Pが印刷された基材層15を複数の基材層とともに積層した状態での断面図である。図13(A)に示すように、基材層15に導電性ペーストパターン21Pが印刷された時点では、厚さ一定の導電性ペーストパターン21Pによるパターンが形成される。その後、この導電性ペーストパターン21Pが印刷された基材層15を複数の基材層とともに積層すると、図13(B)に示すように、導電性ペーストによるパターンの厚みが薄くなり、面方向に広がる。このように、導体パターンの線幅が細くなる程、導体パターンの線幅方向のエッジが丸くなって、延伸方向に対する直交面での断面形状は楕円形に近づく。特に、線幅の端部に近い箇所程、面方向に延伸する。その結果、断面形状は楕円に近くなってしまう。すなわち、導体パターンの線幅方向の端縁にエッジが立っていない形状となる。高周波数領域では表皮効果により、導体パターンの表面に電流が集中するため、上記断面形状に起因して線幅方向の端縁部の電流密度が高まり、この部分での大きな導体損失が生じる。
図14(A)はコイルの概念図であり、図14(B)は図14(A)におけるA−A部分の断面図である。図14(A)(B)に示すように、コイルの開口内を通る磁束φの影響で、導体パターンのうち、コイル開口の内方部の電流密度は更に高くなる。この電流密度の高い部分が先細り形状であるので、導体損失は更に顕著になる。
したがって、上記コイルを例えばフィルタ等に用いた場合に、挿入損失が劣化する原因となる。
一方、導体損失の低減のため、導電性ペーストを単純に2度塗りしたり、印刷厚(エマルジョン厚)を大きくしたりすることで電極厚を大きくすると、コイル形成領域の積層方向の寸法が大きくなって、得られるインダクタンスが小さくなる。また、トランスを構成した場合には、1次コイルと2次コイルの結合係数は小さくなって、自己インダクタンスだけでなく相互インダクタンスも小さくなってしまう。その結果、コイルのQ値(=ωL/R)が悪化する。
本発明の目的は、導体パターンの線幅を細くしても、導体損失の大幅な増大を抑制した高周波コイル装置を提供すること、および、導体パターンの全体の厚みを厚くすることによる自己インダクタンスおよび相互インダクタンスの低下を抑えた高周波コイル装置を提供することにある。
(1)本発明の高周波コイル装置は、複数の基材層が積層された積層体と、前記基材層に沿って配置される導体パターンと、前記基材層に形成され、前記導体パターンに導通する層間接続導体と、を備える。前記導体パターンは線状導体パターンを含み、前記線状導体パターンおよび前記層間接続導体により、前記複数の基材層の積層方向に巻回軸(中心軸)を有するコイルが構成される。また、前記線状導体パターンは、前記基材層に印刷された導電性ペーストパターンにより形成され、前記導電性ペーストパターンによる前記コイルのコイル開口の内方部の厚みは、前記導電性ペーストパターンによる前記コイルのコイル開口の外方部の厚みよりも厚い。
上記の構成により、電流密度が高くなる傾向にある部分の導体パターンの厚みが確保され、電流集中が緩和されて、導体損失が低減される。また、導体パターンの全体の厚みを厚くする場合に比べて、基材層の積層方向でのコイル形成領域の範囲が大きくならないので、所定のインダクタンスを得るのに要する線長やターン数を少なくでき、そのことでコイルのQ値(=ωL/R)が高まる。
(2)前記線状導体パターンは、前記線状導体パターンの線幅に相当する線幅を有する第2導電性ペーストパターンと、第2導電性ペーストパターンの線幅より細い第1導電性ペーストパターンと、を備え、前記第1導電性ペーストパターンは前記基材層上の前記コイル開口の内方部に印刷され、前記第2導電性ペーストパターンは、前記基材層上および前記第1導電性ペーストパターン上に印刷されたものであることが好ましい。この構成により、導体パターンの線幅方向のエッジの丸みが少なくなり、電流密度の高い部分の導体パターンの厚みおよび体積が確保され、導体損失がより効果的に低減される。
(3)前記複数の基材層に形成される前記線状導体パターンは、前記複数の基材層の積層方向に視て重なることが好ましい。この構成により、導体パターンの層間の磁界結合が高まり、所定のインダクタンスを得るのに要する線長やターン数を少なくでき、そのことでコイルのQ値が高まる。
(4)また、本発明の高周波コイル装置は、複数の基材層が積層された積層体と、前記基材層に沿って配置される導体パターンと、前記基材層に形成され、前記導体パターンに導通する層間接続導体と、を備える。前記導体パターンは線状導体パターンを含み、それぞれ、前記線状導体パターンおよび前記層間接続導体により、前記複数の基材層の積層方向に巻回軸(中心軸)を有する、第1コイルおよび第2コイルが構成され、前記線状導体パターンは、前記基材層に印刷された導電性ペーストパターンにより形成され、前記導電性ペーストパターンによる前記コイルのコイル開口の内方部の厚みは、前記導電性ペーストパターンによる前記コイルのコイル開口の外方部の厚みよりも厚い。
上記の構成により、電流密度が高くなる傾向にある部分の導体パターンの厚みが確保され、電流集中が緩和されて、導体損失が低減される。また、導体パターンの全体の厚みを厚くする場合に比べて、基材層の積層方向でのコイル形成領域の範囲が大きくならないので、所定のインダクタンスおよび相互インダクタンスを得るのに要する線長やターン数を少なくでき、そのことで第1コイルと第2コイルのQ値が高まる。
(5)上記(4)において、例えば前記第1コイルと前記第2コイルとは磁界を介して結合し、トランスを構成する。
本発明によれば、電流密度が高くなる傾向にある部分の導体パターンの厚みが確保され、電流集中が緩和されて、導体損失が低減される。また、導体パターンの全体の厚みを厚くする場合に比べて、基材層の積層方向でのコイル形成領域の範囲が大きくならないので、所定のインダクタンスを得るのに要する線長やターン数を少なくでき、そのことで、Q値の高い高周波コイル装置が得られる。また、Q値が同等であれば、より小型の高周波コイル装置が構成できる。
図1は第1の実施形態に係るインピーダンス変換回路の外観斜視図である。 図2は、インピーダンス変換回路101の内部透視斜視図である。 図3はインピーダンス変換回路101の各基材層に形成されている導体パターンと電流経路を示す図である。 図4は、図3に示した各基材層を積層圧着して焼成することにより得られたインピーダンス変換回路101の断面図である。 図5(A)は基材層15に導電性ペーストパターン21P1,21P2が印刷された時点での、導電性ペーストパターンの延伸方向に対する直交面での断面図である。図5(B)は、導電性ペーストパターン21P1,21P2が印刷された基材層15を複数の基材層とともに積層し、それらを圧着して焼成した状態での断面図である。 図6(A)(B)は図5(A)(B)に対する比較例である。 図7(A)は、図2、図3に示したインピーダンス変換回路101の回路図であり、図7(B)はインピーダンス変換回路101の等価回路図である。 図8(A)(B)は、基材層に対する導電性ペーストの2回印刷後の、導電性ペーストパターンの延伸方向の延伸方向に対する直交面での断面図である。 図9は第2の実施形態に係るインピーダンス変換回路102の断面図である。 図10は、第2の実施形態に係る別のインピーダンス変換回路102Aの断面図である。 図11(A)は、図7(A)に示した回路を簡略化し、且つ抵抗成分を含めて表した回路図である。図11(B)は図11(A)の回路を、理想トランスを含む等価回路で表した図である。 図12は、第3の実施形態に係る高周波コイル装置の例であるインピーダンス変換回路103の分解斜視図である。 図13(A)は、基材層15に導電性ペーストパターン21Pが印刷された時点での、導体パターンの延伸方向に対する直交面での断面図である。図13(B)は、導電性ペーストパターン21Pが印刷された基材層15を複数の基材層とともに積層した状態での断面図である。 図14(A)はコイルの概念図であり、図14(B)は図14(A)におけるA−A部分の断面図である。
以降、図を参照して幾つかの具体的な例を挙げて、本発明を実施するための複数の形態を示す。各図中には同一箇所に同一符号を付す。第2の実施形態以降では第1の実施形態と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点について説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については実施形態毎には逐次言及しない。
《第1の実施形態》
第1の実施形態では、高周波コイル装置の例としてインピーダンス変換回路について示す。
図1は第1の実施形態に係るインピーダンス変換回路の外観斜視図である。インピーダンス変換回路101は、複数の絶縁体基材層が積層されて構成される積層体10を備える。この積層体10内に、導体パターンおよび層間接続導体によって構成される複数のコイルが設けられている。
図2は、インピーダンス変換回路101の内部透視斜視図である。但し、積層構造の分かりやすさを考慮して、積層方向の寸法を誇張して表している。実際の寸法は、例えば実装面は1.6×0.8mm、高さは0.6mmである。
図2に表れているように、4つのコイル導体LP1,LP2,LP3,LP4が積層体10内に形成されている。各コイル導体LP1,LP2,LP3,LP4は所定位置でビア(層間接続導体)V11,V12,V21,V22等により層間接続されている。
積層体10の外面には、外部端子である、給電端子P1、アンテナ端子P2、グランド端子P3および空き端子NCがそれぞれ形成されている。具体的には、積層体10の第1側面に給電端子P1、第1側面に対向する第2側面にアンテナ端子P2、がそれぞれ形成されている。第3側面にはグランド端子P3、第3側面に対向する第4側面には空き端子NCがそれぞれ形成されている。積層体10の下面および上面には、側面の外部端子に繋がる、給電端子P1、アンテナ端子P2、グランド端子P3および空き端子NCがそれぞれ形成されている。
図3はインピーダンス変換回路101の各基材層に形成されている導体パターンと電流経路を示す図である。基材層15に第1コイル導体LP1、基材層14に第2コイル導体LP2、基材層13に第3コイル導体LP3、基材層12に第4コイル導体LP4、がそれぞれ形成されている。これら基材層11〜15は誘電体(絶縁体)または磁性体の層である。例えば誘電体セラミックスのグリーンシートを使用し、それらを積層圧着して焼成することにより積層体10を構成してもよいし、樹脂シートを圧着して積層体10を構成してもよい。また、磁性体セラミックスのグリーンシートを使用し、それらを積層圧着して焼成することにより積層体10を構成してもよいし、磁性体フィラーを分散させた樹脂シートを圧着して積層体10を構成してもよい。さらには、磁芯となるべき層のみを磁性体とし、その他の層を誘電体としてもよい。
第1コイル導体LP1および第2コイル導体LP2は第1コイル素子L1を構成する。第1コイル導体LP1は導体パターンL1A,L1B1で構成されている。導体パターンL1Aの端部は給電端子P1に導通している。第2コイル導体LP2は導体パターンL1C,L1B2で構成されている。第1コイル導体LP1および第2コイル導体LP2は、この両者で一部切欠のループ状になるように、ビアV11,V12を介して部分的に並列接続されるとともに全体が直列接続されている。
第3コイル導体LP3および第4コイル導体LP4は第2コイル素子L2を構成する。第3コイル導体LP3は導体パターンL2B2,L2Cで構成されている。導体パターンL2Cの端部はアンテナ端子P2に導通している。第4コイル導体LP4は導体パターンL2A,L2B1で構成されている。導体パターンL2Aの端部はグランド端子P3に導通している。第3コイル導体LP3および第4コイル導体LP4は、この両者で一部切欠のループ状になるように、ビアV22,V23を介して部分的に並列接続されるとともに全体が直列接続されている。
図4は、図3に示した各基材層を積層圧着して焼成することにより得られたインピーダンス変換回路101の断面図である。この断面位置は、図3におけるA−A部分に相当する。図4における線状導体パターン21,22,23,24は図3に示すコイル導体LP1,LP2,LP3,LP4にそれぞれ対応する。これら線状導体パターン21,22,23,24は、コイル内方部(コイル開口の内側寄り)20Mの平均的な厚みは、コイル外方(コイル開口の外側寄り)20Eの平均的な厚みよりも厚い。この例では、線状導体パターンの線幅の中央よりコイル開口の内側を内方部、外側を外方部として表している。
線状導体パターン21,22,23,24は膜厚の厚い厚部20Hと膜厚の薄い薄部20Lとを備える。厚部20Hはコイル内方部20M寄りにあり、薄部20Lはコイル外方部20E寄りにある。
このように、線状導体パターン21〜24の厚みは、コイル外方より内方が厚い傾向にある。例えば、厚部20Hの平均的厚みは10μm、薄部20Lの平均的厚みは3μmである。なお、線状導体パターンの厚部20Hと薄部20Lとの境界は明確でない場合ある(恣意的である)が、通常は線状導体パターンの線幅の中央より内方に厚部20Hがある。
図5(A)は基材層15に導電性ペーストパターン21P1,21P2が印刷された時点での、導電性ペーストパターンの延伸方向に対する直交面での断面図である。図5(B)は、導電性ペーストパターン21P1,21P2が印刷された基材層15を複数の基材層とともに積層し、それらを圧着して焼成した状態での断面図である。
先ず、基材層15に、第1導電性ペーストパターン21P1を印刷する。その後、線状導体パターン21の線幅20Wに相当する線幅の第2導電性ペーストパターン21P2を印刷する。第1導電性ペーストパターン21P1の線幅20WP1は第2導電性ペーストパターン21P2の線幅20WP2より細い。
第1導電性ペーストパターン21P1は基材層15上のコイル開口の内方部に印刷し、第2導電性ペーストパターン21P2は、基材層15上および第1導電性ペーストパターン21P1上に印刷する。
この構成により、図5(B)に表れるように、線状導体パターン21のコイル内方部20MのエッジEの丸みが少なくなる。このように、電流密度の高いコイル内方部20Mの導体パターンの厚みおよび体積が確保され、導体損失がより効果的に低減される。
図6(A)(B)は図5(A)(B)に対する比較例である。この比較例も本発明に含まれる。比較例の場合、先ず、基材層15に、線状導体パターン21の線幅20Wに相当する線幅の第2導電性ペーストパターンを印刷する。その後、第1導電性ペーストパターン21P1を印刷する。第1導電性ペーストパターン21P1の線幅20WP1は第2導電性ペーストパターン21P2の線幅20WP2より細い。
導電性ペーストパターンは線幅が大きい程滲みが大きいので、図6(A)に示したように、第2導電性ペーストパターン21P2の印刷(一度目の印刷)で、第2導電性ペーストパターン21P2は線幅方向に比較的大きく滲む。一方、第1導電性ペーストパターン21P1の印刷(二度目の印刷)では、第1導電性ペーストパターン21P1は線幅が小さいため、第1導電性ペーストパターン21P1の滲みは少ない。したがって、図6(B)に表れるように、線状導体パターン21のコイル内方部20MのエッジEに丸みが生じる(断面形状が先細りの形状になる)。そのため、コイル内方部20Mの電流密度の低減効果は少ない。但し、線状導体パターン21のコイル内方部20Mの厚みがコイル外方部20Eより厚いので、電流集中は緩和される。すなわち、導体損失の低減効果はある。
図3において、第1コイル導体LP1および第2コイル導体LP2には、給電端子P1→導体パターンL1A→導体パターン(L1B1+L1B2)→導体パターンL1C→アンテナ端子P2の経路で電流が流れる。また、第3コイル導体LP3および第4コイル導体LP4には、アンテナ端子P2→導体パターンL2C→導体パターン(L2B2+L2B1)→導体パターンL2A→グランド端子P3の経路で電流が流れる。
図7(A)は、図2、図3に示したインピーダンス変換回路101の回路図であり、図7(B)はインピーダンス変換回路101の等価回路図である。インピーダンス変換回路101の給電端子P1に給電回路30が接続され、アンテナ端子P2にアンテナ40が接続される。グランド端子P3はグランドに接続される。
インピーダンス変換回路101は、給電端子P1に接続された第1コイル素子L1と、第1コイル素子L1に結合する第2コイル素子L2とを備えている。より具体的には、第1コイル素子L1の第1端は給電端子P1に、第2端はアンテナ端子P2にそれぞれ接続されていて、第2コイル素子L2の第1端はアンテナ端子P2に、第2端はグランド端子P3にそれぞれ接続されている。
このインピーダンス変換回路101は第1コイル素子L1と第2コイル素子L2とを相互インダクタンスを介して密結合したトランス型回路を含む。つまり、第1コイル素子L1と第2コイル素子L2とが磁界を介して結合してなる高周波トランス装置である。このトランス型回路は、図7(B)に示すように、三つのインダクタンス素子Z1,Z2,Z3によるT型回路に等価変換できる。すなわち、このT型回路は、給電回路30に接続される給電端子P1、アンテナ端子P2、グランド端子P3、給電端子P1と分岐点Aとの間に接続されたインダクタンス素子Z1、アンテナ端子P2と分岐点Aとの間に接続されたインダクタンス素子Z2、およびグランド端子P3と分岐点Aとの間に接続された第3インダクタンス素子Z3で構成される。
《第2の実施形態》
第2の実施形態では、コイル内方部とコイル外方部での線状導体パターンの厚みの大小関係が一通りでない例を示す。
図8(A)(B)は、基材層に対する導電性ペーストの2回印刷後の、導電性ペーストパターンの延伸方向の延伸方向に対する直交面での断面図である。図9は第2の実施形態に係るインピーダンス変換回路102の断面図である。
図8(A)は、第1の実施形態で示したと同様に、コイル外方部に第1導電性ペーストパターン21P1を印刷した例である。図8(B)は、コイル内方部に第1導電性ペーストパターン22P1を印刷し、その後、線状導体パターン22の線幅20Wに相当する線幅の第2導電性ペーストパターン22P2を印刷した例である。
図9において、線状導体パターン23,24は、図8(A)に示した導電性ペーストパターンにより形成されたものであり、線状導体パターン21,22は、図8(B)に示した導電性ペーストパターンにより形成されたものである。
このように、コイル内方部が厚い線状導体パターン21,22とコイル外方部が厚い線状導体パターン23,24の両方を含むことにより、基材層の積層による応力が緩和され、積層体10の上下面の平坦性が高まる。
図10は、第2の実施形態に係る別のインピーダンス変換回路102Aの断面図である。図10において、線状導体パターン22,24は、図8(A)に示した導電性ペーストパターンにより形成されたものであり、線状導体パターン21,23は、図8(B)に示した導電性ペーストパターンにより形成されたものである。
このように、コイル内方部が厚い線状導体パターン21,23とコイル外方部が厚い線状導体パターン22,24とを交互に積層することにより、線状導体パターンの層間距離tが一定となる。そのため、線状導体パターンの層間距離を全体的に狭くしやすくなり、そのことで、コイル間の結合係数が高められる。また、基材層の積層による応力がより緩和され、積層体10の上下面の平坦性がより高まる。
図9に示した例でも、図10に示した例でも、コイル内方部が厚い線状導体パターンを有するコイルは、導体損を低減するという目的に反するが、2つのコイルのうち、導体損をより低減させるべきコイルがある場合には、そのコイルについて導体損が低減できるパターン(線状導体パターンのコイル開口の外方部が厚くなるパターン)とし、それ以外のコイルについては、線状導体パターンのコイル開口の内方部が厚くなるパターンとすればよい。
ここで、第1の実施形態で図7に示した回路構成のインピーダンス変換回路を例にして、優先的に導体損を低減するコイルについて例示する。
図11(A)は、図7(A)に示した回路を簡略化し、且つ抵抗成分を含めて表した回路図である。図11(B)は図11(A)の回路を、理想トランスを含む等価回路で表した図である。ここで、第1コイル素子L1と第2コイル素子L2との結合係数をk、その結合による相互インダクタンスをM、第1コイル素子L1のQ値をQ1、第2コイル素子L2のQ値をQ2で表すと、図11(B)に示す各回路定数の値は次のとおりである。
M=k√(L1・L2)
Rs=(R1・L2+R2・L1)/(L1+L2+2M)
=ωL1・L2{(1/Q1)+(1/Q2)}/(L1+L2+2M)
Rp=R1+R2
=ωL1/Q1+ωL2/Q2
すなわち、Rsについては、第1コイル素子L1と第2コイル素子L2のどちらのQ値を改善しても一定の割合で効く。一方、Rpについては、第1コイル素子L1と第2コイル素子L2のうち、インダクタンスの大きな方のQ値を改善した方がRpが小さくなり、挿入損失の改善効果が大きい。
したがって、第1の実施形態で図3に示した構造の各コイル導体の配置で、第2コイル素子L2のインダクタンス値が第1コイル素子L1のインダクタンス値より大きい場合には、図9に示した構造を採れば、積層体10の平坦性が高く、且つ挿入損失が改善されたインピーダンス変換回路が得られる。
《第3の実施形態》
第3の実施形態では、特徴的な構造の積層体を備える高周波コイル装置について示す。
図12は、第3の実施形態に係る高周波コイル装置の例であるインピーダンス変換回路103の分解斜視図である。
インピーダンス変換回路103は、第1の実施形態で図2、図3に示したインピーダンス変換回路101と同様に、基材層11〜16を備える。基材層に形成されている導体パターンは図示を省略している。本実施形態では基材層11の下面にのみ外部端子を形成している。本実施形態のインピーダンス変換回路103では、更に、基材層11と基材層12との間に磁性体の基材層17、基材層15と基材層16との間に磁性体の基材層18をそれぞれ備えている。また、基材層17と基材層18との間に複数の磁性材によるビアVが形成されている。複数のコイル導体は、磁性体の基材層17,18と磁性材によるビアとで囲まれている。
この構造により、第1コイル素子L1と第2コイル素子L2が発生する磁束を閉じ込めることができる。しかも、例えば積層体の側面に磁性材でコーティングする構造に比べて、インピーダンス変換回路103の側面に面する外部のグランド導体と磁性体部材との距離を隔てられるので、外部のグランド導体に生じる渦電流をより低減できる。また、第1コイル素子L1および第2コイル素子L2に近いところで、特性に寄与する磁束が閉じ込められるため、磁束の広がりが少なく、高いインダクタンスが得られる。また、第1コイル素子L1と第2コイル素子L2との結合係数が高まる。さらに、このインピーダンス変換回路103をプリント配線板に実装した状態で、プリント配線板に形成されているグランド導体に発生する渦電流を低減でき、そのことによってもインダクタンス値および結合係数を改善できる。
また、実装面(基材層11の下面)に近い層に磁性体の基材層17を配置することにより、実装用の端子等に発生する渦電流が抑制される。そのことで特性劣化を抑制できる。
なお、以上に示した各実施形態では各コイル導体がほぼ矩形のループ状になる例を示したが、コイル導体のループ形状はこれに限らない。例えば円形、楕円形、角に丸みをもつ四角形、角を落とした四角形などであってもよい。矩形であれば、限られたスペースでコイル開口を稼ぐことができる。円形、楕円形、角に丸みをもつ四角形であれば、角部における損失を低減できる。
最後に、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではない。当業者にとって変形および変更が適宜可能である。例えば、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換または組み合わせが可能である。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
E…エッジ
L1…第1コイル素子
L2…第2コイル素子
L1A,L1B1,L1B2,L1C…導体パターン
L2A,L2B1,L2B2,L2C…導体パターン
LP1…第1コイル導体
LP2…第2コイル導体
LP3…第3コイル導体
LP4…第4コイル導体
P1…給電端子
P2…アンテナ端子
P3…グランド端子
V,V11,V12,V22,V23…ビア
Z1,Z2,Z3…インダクタンス素子
10…積層体
11〜18…基材層
20E…コイル開口の外方部
20M…コイル開口の内方部
20H…厚部
20L…薄部
21,22,23,24…線状導体パターン
21P…導電性ペーストパターン
21P1,22P1…第1導電性ペーストパターン
21P2,22P2…第2導電性ペーストパターン
21〜24…線状導体パターン
30…給電回路
40…アンテナ
101,102,102A,103…インピーダンス変換回路

Claims (5)

  1. 複数の基材層が積層された積層体と、
    前記基材層に沿って配置される導体パターンと、
    前記基材層に形成され、前記導体パターンに導通する層間接続導体と、
    を備え、
    前記導体パターンは線状導体パターンを含み、
    前記線状導体パターンおよび前記層間接続導体により、前記複数の基材層の積層方向に巻回軸を有するコイルが構成され、
    前記線状導体パターンは、前記基材層に印刷された導電性ペーストパターンにより形成され、前記導電性ペーストパターンによる前記コイルのコイル開口の内方部の厚みは、前記導電性ペーストパターンによる前記コイルのコイル開口の外方部の厚みよりも厚い、
    ことを特徴とする高周波コイル装置。
  2. 前記線状導体パターンは、前記線状導体パターンの線幅に相当する線幅を有する第2導電性ペーストパターンと、第2導電性ペーストパターンの線幅より細い第1導電性ペーストパターンと、を備え、
    前記第1導電性ペーストパターンは前記基材層上の前記コイル開口の内方部に印刷され、前記第2導電性ペーストパターンは、前記基材層上および前記第1導電性ペーストパターン上に印刷されたものである、請求項1に記載の高周波コイル装置。
  3. 前記複数の基材層に形成される前記線状導体パターンは、前記複数の基材層の積層方向に視て重なる、請求項1または2に記載の高周波コイル装置。
  4. 複数の基材層が積層された積層体と、
    前記基材層に沿って配置される導体パターンと、
    前記基材層に形成され、前記導体パターンに導通する層間接続導体と、
    を備え、
    前記導体パターンは線状導体パターンを含み、
    それぞれ、前記線状導体パターンおよび前記層間接続導体により、前記複数の基材層の積層方向に巻回軸を有する、第1コイルおよび第2コイルが構成され、
    前記線状導体パターンは、前記基材層に印刷された導電性ペーストパターンにより形成され、前記導電性ペーストパターンによる前記コイルのコイル開口の内方部の厚みは、前記導電性ペーストパターンによる前記コイルのコイル開口の外方部の厚みよりも厚い、
    ことを特徴とする高周波コイル装置。
  5. 前記第1コイルと前記第2コイルとは磁界を介して結合し、トランスを構成する、請求項4に記載の高周波コイル装置。
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