JP2016101879A - 車両の駆動装置及びその組付け方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】駆動軸上に配設されたモータを有する車両の駆動装置において、駆動軸のメンテナンスにおける作業性の向上を図る。【解決手段】差動装置10の出力部18と駆動輪36を連結する駆動軸30と、差動装置10の入力部12へ動力伝達可能なように駆動軸30上に配設されたモータ51と、を備えた車両において、径方向における駆動軸30の外側且つモータ51の内側に、駆動軸30とモータ51とを仕切る筒状の仕切部材100を配設し、仕切部材100の内径を、駆動軸30における仕切部材100の駆動輪側端部よりも差動装置側に位置する軸方向部分の最大径部31aの外径よりも大きくする。【選択図】図2

Description

本発明は、駆動軸上に配設されたモータを有する車両の駆動装置に関する。
近年、駆動源としてエンジン及びモータを備えたハイブリッド車の実用化等に伴い、車両の駆動装置として種々のものが提案され或いは実用化されている。
特許文献1には、駆動源としてエンジン及びモータを備えたフロントエンジン・フロントドライブ方式(FF式)のハイブリッド車において、前記モータが一方の駆動軸上に配設された構造が開示されている。このハイブリッド車において、モータの出力は、該モータに隣接して駆動軸上に配設されたプラネタリギヤ機構からなる減速機を介して差動装置のデフケースに伝達される。これにより、モータが駆動されると、デフケースにおいて、エンジンから変速機を介して伝達される動力と、モータから減速機を介して伝達される動力とが合流し、この合流した動力が駆動軸を介して駆動輪に伝達される。
この特許文献1に開示された駆動装置では、一般的なFF式のエンジン自動車と同様、変速機と差動装置とが一体化されてトランスアクスルを構成しており、該トランスアクスルは、予め一体化された状態でエンジンの側面に組み付けられる。また、この駆動装置において、モータは、減速機及び一方の駆動軸と一体化されることでモータユニットを構成しており、該モータユニットは、予め一体化された状態でトランスアクスルの差動装置に組み付けられる。
特開2011−031761号公報
ところで、通常、駆動軸は、自在継手を介して連結された複数のシャフト部材で構成されており、自在継手には、潤滑油を密封するとともに異物の侵入を阻止するためのジョイントブーツが取り付けられる。ジョイントブーツやシャフト部材自体などの駆動軸の構成部品が破損した場合、部品の交換等のメンテナンスのために、駆動軸全体を差動装置から取り外さなければならないことがある。
しかしながら、特許文献1に開示されたモータユニットのように、駆動軸がモータ等の周辺部品と一体化されてアセンブリ体を形成する場合、差動装置から駆動軸を取り外すためには、アセンブリ体ごと取り外した後、さらに、該アセンブリ体から駆動軸を取り外す必要がある。また、駆動軸のメンテナンス後は、駆動軸に周辺部品を組み付け直してアセンブリ体を再構築した後、該アセンブリ体を差動装置に組み付ける必要があり、煩雑なメンテナンス作業を強いられる問題がある。
また、仮に、駆動軸以外のアセンブリ体の構成部品の組付け状態を維持したまま駆動軸のみを抜き取ることが物理的に可能であったとしても、駆動軸の外周面とアセンブリ体のケースの内面との間には、モータ冷却用又は減速機潤滑用などのオイルが封入されているため、駆動軸が抜き取られるときにオイルが漏れ出し、メンテナンス後にオイルを再封入する手間とコストがかかる問題もある。
そこで、本発明は、駆動軸上に配設されたモータを有する車両の駆動装置において、駆動軸のメンテナンスにおける作業性の向上を図ることを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明に係る車両の駆動装置及びその組付け方法は、次のように構成したことを特徴とする。
まず、本願の請求項1に記載の発明は、
差動装置の出力部と駆動輪を連結する駆動軸と、前記差動装置の入力部へ動力伝達可能なように前記駆動軸上に配設されたモータと、を備えた車両の駆動装置であって、
径方向における前記駆動軸の外側且つ前記モータの内側に、前記駆動軸と前記モータとを仕切る筒状の仕切部材が配設され、
前記仕切部材の内径は、前記駆動軸における前記仕切部材の駆動輪側端部よりも差動装置側に位置する軸方向部分の最大径部の外径よりも大きいことを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明に係る車両の駆動装置は、前記請求項1に記載の発明において、
前記駆動軸上にオイルポンプが配設され、
前記仕切部材の外面は、前記オイルポンプから吐出されたオイルを前記モータへ案内するガイド部とされていることを特徴とする。
さらに、請求項3に記載の発明に係る車両の駆動装置は、前記請求項1又は請求項2に記載の発明において、
前記モータを収容するケースと、
前記モータの出力を減速して前記差動装置の入力部に伝達するように前記駆動軸上に配設されたプラネタリギヤ機構と、を備え、
前記仕切部材の一端側は、前記プラネタリギヤ機構の出力要素に固定され、
前記仕切部材の他端側は、シール部材を介して前記ケースに回転可能に支持されていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明に係る車両の駆動装置の組付け方法は、
差動装置の出力部と駆動輪を連結する駆動軸と、前記差動装置の入力部へ動力伝達可能なように前記駆動軸上に配設されたモータとを備えた車両の駆動装置の組付け方法であって、
前記モータと、該モータの径方向内側に挿通された筒状の仕切部材とをアセンブリして、該モータと仕切部材を有するモータユニットを構築し、
前記モータユニットが前記差動装置に組み付けられた状態で、前記駆動軸の一端側を、反差動装置側から前記仕切部材の内側に挿入して前記差動装置の出力部に組み付けることを特徴とする。
まず、請求項1に記載の発明によれば、筒状の仕切部材の車載状態を維持しながら、該仕切部材の内側に配設された駆動軸を抜き出すときに、駆動軸の外周面が仕切部材の内周面に干渉することを回避できる。そのため、駆動軸を構成するジョイントブーツ等が破損した場合に、モータと仕切部材の車載状態を維持したまま、駆動軸のみを取り外してメンテナンスを行うことができる。また、駆動軸のメンテナンス後は、車載状態に維持された仕切部材の内側に駆動軸の一端側を挿入して差動装置の出力部に組み付けることで、車体への駆動軸の組付けを簡単かつ迅速に完了することができる。
さらに、このように駆動軸を着脱するとき、車載状態に維持された仕切部材によって、該仕切部材の外側に封入されたモータ冷却用等のオイルの漏れが防止されるため、オイルを再封入する手間やコストがかかることを回避できる。したがって、本発明によれば、駆動軸のメンテナンス作業の簡素化及び迅速化を図ることができる。
また、請求項2に記載の発明によれば、オイルポンプから吐出されたオイルを仕切部材の外面に沿ってモータへ案内することができる。さらに、径方向において駆動軸の外側に配置された仕切部材の更に外側にオイルが保持されるため、仕切部材が設けられない従来構造のように駆動軸の外周面に接触するようにオイルが封入される場合に比べて、駆動軸の外周面に沿った部分に余分なオイルが滞留することを回避できる。そのため、駆動装置内に封入されるオイル量を低減でき、これにより、駆動装置の軽量化、ひいては燃費の改善を図ることができる。
さらに、請求項3に記載の発明によれば、仕切部材の一端側は、モータよりも低速で回転するプラネタリギヤ機構の出力要素に固定されるため、仕切部材とこれを支持するケースとの間の相対回転速度を低減でき、これにより、仕切部材の他端側とケースとの間に介装されたシール部材にかかる負荷が軽減され、該シール部材のシール性向上を図ることができる。
また、一般に、相対回転する部材間に取り付けられるシール部材は、相対回転を許容する機能を発揮するために、相対回転しない部材間に取り付けられるものに比べて大きな設置スペースを必要とする。仮に仕切部材の一端側とプラネタリギヤ機構の出力要素との間に、相対回転を許容するシール部材を介装する場合には、シール部材の設置スペースを確保するために、出力要素及びその周辺部品を例えば径方向外側等にずらして配置する必要があり、レイアウトの自由度が低下するとともに、装置の大型化を招く。これに対して、本発明によれば、相対回転を許容するシール部材は、仕切部材と出力要素との間ではなく、仕切部材とケースとの間に介装されるため、ケースの形状を変更するだけでシール部材の設置スペースを容易に確保することができる。
さらに、請求項4に記載の発明によれば、モータと該モータの径方向内側に挿通された筒状の仕切部材とがアセンブリされることでモータユニットが予め構築され、該モータユニットが差動装置に組み付けられた状態で、駆動軸の一端部が、仕切部材の内側に挿入されることで差動装置の出力部に組み付けられる。このような方法で駆動軸が組み付けられた車両では、該駆動軸を構成するジョイントブーツ等が破損した場合に、モータと仕切部材とを有するモータユニットの車載状態を維持したまま、駆動軸のみを取り外してメンテナンスを行うことができる。また、駆動軸のメンテナンス後は、車載状態に維持された仕切部材の内側に駆動軸の一端側を挿入して差動装置の出力部に組み付けることで、車体への駆動軸の組付けを簡単かつ迅速に完了することができる。
本発明の実施形態に係る車両の駆動装置を示す全体図である。 図1に示す駆動装置の一部を示す断面図である。 図1に示す駆動装置の要部を示す図2の拡大図である。 モータユニット及び駆動軸の着脱手順を説明するための分解図である。
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
[全体構成]
図1に示すように、本実施形態に係る車両の駆動装置1は、FF式のハイブリッド車に搭載されるものであり、車両走行用の駆動源として、例えばエンジンルームに搭載されたエンジン2と、例えば右側の駆動輪36に連結されたドライブシャフト30上に配設されたモータ51とを備えている。ただし、モータ51は、左側の駆動輪46に連結されたドライブシャフト40上に配設されてもよい。
エンジン2は横置き式であり、エンジン2の車幅方向の例えば左側にはトランスアクスル3が並設されている。トランスアクスル3は、例えばトルクコンバータ5を介してエンジン2の出力軸に連結された変速機6と、該変速機6の出力を左右のドライブシャフト30,40に伝達する差動装置10とを備えている。
変速機6は例えば有段式の自動変速機であるが、手動変速機または無段変速機であってもよい。変速機6の出力ギヤ7は、差動装置10のデフケース12に固定されたデフリングギヤ14に噛合されており、これにより、エンジン2の出力は変速機6を介して差動装置10のデフケース12に伝達される。変速機6の変速機構及び差動装置10は、トランスアクスルケース4に収容されている。
差動装置10及びこれに連結された左右のドライブシャフト30,40は、エンジン2よりも車両後方側に配設されている。差動装置10は、車幅方向の中央よりも左側にオフセットして配置されており、右側のドライブシャフト30は左側のドライブシャフト40よりも長尺とされている。
各ドライブシャフト30,40は、差動装置10に連結されたデフ側シャフト部材31,41と、自在継手34,44を介してデフ側シャフト部材31,41に連結された中間シャフト部材32,42と、一端側において自在継手35,45を介して中間シャフト部材32,42に連結されるとともに他端側において駆動輪36,46に連結された駆動輪側シャフト部材33,43とを備えている。
差動装置10において、デフケース12を貫通するピニオンシャフト15上には、互いに対向する一対のピニオンギヤ16,17が回転可能に設けられ、これらのピニオンギヤ16,17に跨がって左右のサイドギヤ18,19が噛合されている。デフケース12には、左右のシャフト挿通部12a,12bがサイドギヤ18,19に対応して設けられている。各シャフト挿通部12a,12bには、ドライブシャフト30,40のデフ側シャフト部材31,41が挿通され、デフ側シャフト部材31,41の先端は、サイドギヤ18,19にスプライン嵌合されている。これにより、変速機6から差動装置10のデフケース12に伝達された動力は、走行状況に応じた回転差となるように左右のドライブシャフト30,40に伝達される。
右側のデフ側シャフト部材31,41上には、差動装置10側から順に、減速機60及びモータ51が配設されている。これらのモータ51及び減速機60は、ユニットケース110に収容された状態でユニット化されており、モータユニット50を構成している。該モータユニット50は、エンジン2の後方且つ差動装置10の右側に生じるスペースを利用して配設されている。
[モータユニットの構造]
図2に示すように、ユニットケース110は、相互に結合された複数のケース部材111,112,113,114で構成されている。ユニットケース110の車幅方向外側の端部を構成するケース部材113は、ブラケット124を介してエンジン2のシリンダブロックに取り付けられている。
また、該ケース部材113の車幅方向外側端部には、デフ側シャフト部材31の半周分を覆うような半割れ状に形成された支持部118が設けられている。該支持部118には、デフ側シャフト部材31の残りの半周分を覆うような半割れ状に形成されたブラケット120が対向配置されており、ボルト122によって支持部118とブラケット120が結合されている(図4参照)。これにより、デフ側シャフト部材31の駆動輪36側の端部は、支持部118とブラケット120とで形成された筒状部の内周面に軸受108を介して支持されている。
軸受108の差動装置10側に隣接する位置には、デフ側シャフト部材31とケース部材113との間にこれらの相対回転を許容するように介装されたオイルシール106が配設されている。
また、モータユニット50は、減速機60及びモータ51とデフ側シャフト部材31とを仕切るように軸方向に延びる筒状の仕切部材100を備えている。デフ側シャフト部材31は仕切部材100を貫通しており、仕切部材100の内周面とデフ側シャフト部材31の外周面との間には隙間S1(図3参照)が設けられている。
仕切部材100は、全長に亘って略一定の内径及び外径を有する。仕切部材100の差動装置10側の端部は、Oリング102を介して後述するスリーブ68の内周面に圧入されている。これにより、仕切部材100は、スリーブ68と一体回転するようになっている。仕切部材100の駆動輪36側の端部は、仕切部材100とケース部材113との間の相対回転を許容するオイルシール104を介してケース部材113に回転可能に支持されている。
モータ51は、ケース部材112に固定されたステータ52と、ステータ52の内側に回転自在に設けられたロータ53と、ロータ53と一体回転するようにロータ53の内側に固定された出力軸54とを備えている。
ステータ52は、磁性体からなるステータコアにコイルが巻回されて構成されている。ロータ53は、筒状の磁性体で構成されており、ステータ52に電力が供給されたときに生じる磁力により回転する。ステータ52及びロータ53は、2つのケース部材112,113で形成されたモータ収容空間S2に収容されている。
出力軸54は、仕切部材100の外側に隙間を空けて配置されており、ロータ53よりも差動装置10側において軸受55を介してケース部材112に支持され、ロータ53よりも駆動輪36側において軸受56を介してケース部材113に支持されている。
減速機60は、軸受55を挟んでモータ51に軸方向に隣接して配置されており、デフ側シャフト部材31上に配設された第1プラネタリギヤ機構60a及び第2プラネタリギヤ機構60bを備えている。第1プラネタリギヤ機構60a及び第2プラネタリギヤ機構60bは、モータ51側からこの順で軸方向に並べて配置されており、2つのケース部材111,112で形成された減速機収容空間S3に収容されている。
第1プラネタリギヤ機構60aは、入力要素としての第1サンギヤ61a、反力要素としての第1リングギヤ62a、及び、出力要素としての第1キャリヤ63aを備えている。同様に、第2プラネタリギヤ機構60bは、入力要素としての第2サンギヤ61b、反力要素としての第2リングギヤ62b、及び、出力要素としての第2キャリヤ63bを備えている。
第1リングギヤ62aと第2リングギヤ62bは、共通のリングギヤ部材62からなる一体部材である。リングギヤ部材62は、ケース部材111の内周面にスプライン嵌合されている。これにより、第1、第2リングギヤ62a,62bは、回転不能にユニットケース110に固定されている。
第1サンギヤ61a及び第2サンギヤ61bは、仕切部材100の外側に隙間を空けて配置されている。第1サンギヤ61aは、モータ51の出力軸54と一体に設けられており、これにより、モータ51の出力が第1サンギヤ61aに入力される。第1リングギヤ62aは固定されているため、第1サンギヤ61aに入力された回転は、第1プラネタリギヤ機構60aによって減速されて第1キャリヤ63aから出力される。
第2サンギヤ61bは、第1キャリヤ63aと一体に設けられており、これにより、第1プラネタリギヤ機構60aで減速されたモータ51の出力が第2サンギヤ61bに入力される。第2リングギヤ62bは固定されているため、第2サンギヤ61bに入力された回転は、第2プラネタリギヤ機構60bによって減速されて第2キャリヤ63bから出力される。
第2キャリヤ63bの内周端部には、差動装置10側へ軸方向に延びるスリーブ68が設けられている。スリーブ68は、第2キャリヤ63bと一体に設けられるか又は一体回転するように第2キャリヤ63bに連結されており、これにより、スリ−ブ68は減速機60の出力要素として機能する。
したがって、スリーブ68は、モータ51よりも低速で回転し、これにより、上記のようにスリーブ68に固定された仕切部材100の回転もモータ51に比べて低速となる。そのため、仕切部材100の駆動輪36側の端部を支持するケース部材113と、仕切部材100との間の相対回転速度を低減でき、これにより、仕切部材100とケース部材113との間に介装されたオイルシール104にかかる負荷が軽減され、該オイルシール104のシール性向上を図ることができる。
また、仮に、仕切部材100の差動装置10側の端部とスリーブ68との間に、これらの相対回転を許容するオイルシールを介装する場合には、該オイルシールの設置スペースを確保するために、スリーブ68を径方向外側にずらすとともに、オイルポンプ70等の周辺部品を例えば径方向外側又は軸方向差動装置10側等にずらして配置する必要があるため、スリーブ68及びその周辺部品のレイアウトの自由度が低下するとともに、径方向又は軸方向に関してモータユニット50の大型化を招くことになる。
これに対して、本実施形態では、相対回転を許容するオイルシール104は、仕切部材100とスリーブ68との間ではなく、仕切部材100とケース部材113との間に介装されるため、該ケース部材113の形状を変更するだけでオイルシール104の設置スペースを容易に確保することができ、これにより、モータユニット50の大型化が回避される。
スリーブ68の先端は、ユニットケース110の外側へ突出するようにケース部材114の先端よりも差動装置10側へ延びている。スリーブ68の先端の外周面は、差動装置10のデフケース12における右側のシャフト挿通部12aの内周面にスプライン嵌合している。これにより、スリーブ68はデフケース12と一体回転する。したがって、モータ51が駆動されると、該モータ51の動力は減速機60を介してデフケース12に伝達されるようになっている。これにより、デフケース12においてエンジン2の動力とモータ51の動力が合流し、この合流した動力がドライブシャフト30,40を介して駆動輪36,46に伝達される。
また、モータ51の出力は、第1プラネタリギヤ機構60aによって減速されるとともに、この減速された出力は、第2プラネタリギヤ機構60bによって更に減速されて、差動装置10のデフケース12に伝達される。このような2段階の減速によって、モータ51からデフケース12に伝達されるトルクが十分に増大されるため、モータ51の小型化を図ることができ、これにより、モータユニット50の小型化が図られ、該モータユニット50の車載性が向上する。
ただし、減速機60は、1つ又は3つ以上のプラネタリギヤ機構で構成されるようにしてもよい。また、本発明は、減速機60を省略することを妨げるものでない。
ユニットケース110内には、2つのケース部材112,113で形成されたオイル貯留部80が設けられており、該オイル貯留部80には、モータ51を冷却するとともに減速機60や軸受55,56等を潤滑するためのオイルが貯留されている。オイル貯留部80は、軸方向においてモータ収容空間S2とオーバラップするように配設されている。
また、ユニットケース110内において、減速機60の差動装置10側にはギヤ式のオイルポンプ70が配設されている。該オイルポンプ70が作動すると、オイル貯留部80内に貯留されたオイルは、該オイル貯留部80内に配設されたストレーナ82と、ケース部材111,112に形成された油路83,84とを通って、オイルポンプ70に吸い込まれる。また、オイルポンプ70から吐出されたオイルは、仕切部材100の外周に沿って形成された油路88を通って、減速機収容空間S3及びモータ収容空間S2に導かれ、これにより、減速機60等が潤滑されるとともに、モータ51が冷却される。
減速機収容空間S3において減速機60の潤滑に用いられたオイルは、例えば、ケース部材112に形成された油路94,95を通ってモータ収容空間S2へ導かれ、モータ収容空間S2においてモータ51の冷却に用いられたオイルは、例えば、ケース部材113に形成された油路97を通ってオイル貯留部80に戻される。
図3に示すように、オイルポンプ70は、インナギヤ72の外歯とアウタギヤ74の内歯が周方向の一部において噛み合う内接式のギヤポンプである。インナギヤ72は、例えばスプライン嵌合又は圧入によってスリーブ68の外周面に固定されており、スリーブ68と共に回転するようになっている。アウタギヤ74は、2つのケース部材111,114で形成された周溝に収容されることで径方向及び軸方向に位置決めされており、インナギヤ72の回転に伴って回転する。
オイルポンプ70を挟んで、軸方向のモータ51側には、ケース部材111に形成された吸込みポート85が配設され、軸方向の差動装置10側には、ケース部材114に形成された吐出ポート86が配設されている。なお、ケース部材111には、吸込みポート85に連通する逃がし弁78が設けられており、吸込みポート85の油圧が過剰に上昇すると、逃がし弁78が開放することで、吸込みポート85から減速機収容空間S3へオイルが逃がされるようになっている。
吸込みポート85は、前記油路84(図2参照)に連通しており、スリーブ68の回転によってオイルポンプ70が駆動されると、オイル貯留部80から該油路84を通って供給されたオイルは、吸込みポート85からインナギヤ72とアウタギヤ74との間に吸い込まれて、吐出ポート86から吐出される。
吐出ポート86から吐出されたオイルは、前記スリーブ68に設けられた油穴87を通って、仕切部材100の外面に沿って形成された前記油路88に導かれる。該油路88は、前記油穴87との連通部から、仕切部材100の駆動輪36側の端部に設けられた前記オイルシール104にかけて、仕切部材100の外面に沿って軸方向に延びるように形成されている。該油路88に導かれたオイルは、仕切部材100の外面によって案内されながら駆動輪36側に向かって軸方向に流れる。
このように油路88を流れるオイルは、第1キャリヤ63aと第2サンギヤ61bとの連結部に設けられた油穴90や、第1サンギヤ61aとモータ51の出力軸54との連結部に設けられた油穴91等を通って減速機収容空間S3に供給されたり、出力軸54に設けられた油穴92,93等を通ってモータ収容空間S2に供給されたりする。このように、油路88を構成する仕切部材100の外面は、オイルポンプ70から吐出されたオイルをモータ51及び減速機60へ案内するガイド部として機能する。
仕切部材100の外面に沿った上記の油路88は、差動装置10側においてはOリング102でシールされており、駆動輪36側においてはオイルシール104でシールされている。したがって、ユニットケース110内のオイルは、仕切部材100によって径方向内側から封止されている。また、その他の部分についても、オイルシール115等によってシールされているため、モータユニット50は、ユニットケース110内に油密状態でオイルが封入されるように構成されている。
以上で説明したモータユニット50の特徴の一つは、上記のようにドライブシャフト30とモータ51との間を仕切る仕切部材100を備えている点にある。
この仕切部材100が設けられていることにより、ユニットケース110内に封入されるオイルは、仕切部材100よりも径方向外側に保持されることになり、仕切部材100の内部、すなわちドライブシャフト30の外周面に沿った部分にオイルが入り込むことがない。
したがって、仕切部材が設けられない従来構造のようにドライブシャフトの外周面に接触するようにオイルが封入される場合に比べて、ドライブシャフト30の外周面に沿った部分に余分なオイルが滞留することを回避できる。そのため、ユニットケース110内に封入されるオイル量を低減でき、これにより、モータユニット50の軽量化、ひいては燃費の改善を図ることができる。
また、モータユニット50に仕切部材100が設けられていることにより、モータユニット50と、該モータユニット50が配設される右側のドライブシャフト30は、以下の手順で車体への組み付け、及び、車体からの取り外しが行われることになる。
[モータユニット及びドライブシャフトの着脱手順]
図4に示すように、モータユニット50及びドライブシャフト30を車体に組み付ける場合、モータ51、減速機60及び仕切部材100等の各種構成部品をアセンブリすることで、上述したモータユニット50を予め構築しておく。
また、この場合、デフ側シャフト部材31、中間シャフト部材32及び駆動輪側シャフト部材33を、2つの自在継手34,35を介して連結させることで、ドライブシャフト30を予め構築しておく。
車体への組付けの際は、車載状態のトランスアクスル3に対して、モータユニット50、ドライブシャフト30の順で個別に組み付ける。
具体的には、先ず、予めアセンブリされたモータユニット50のスリーブ68の先端を、トランスアクスル3のデフケース12の例えば右側のシャフト挿通部12aに差し込んで、これらをスプライン嵌合させるとともに、ユニットケース110をエンジン2のシリンダブロック等に固定することで、モータユニット50が車体に組み付けられる。
続いて、このように差動装置10にモータユニット50が組み付けられた状態で、ドライブシャフト30のデフ側シャフト部材31を、反差動装置10側からモータユニット50の仕切部材100の内側に挿通させて、デフ側シャフト部材31の先端部を、モータユニット50のスリーブ68の先端よりも反駆動輪側に突出させる。
このとき、仕切部材100の内側に通される部分におけるデフ側シャフト部材31の最大径部は、デフ側シャフト部材31の先端近傍に設けられた拡径部31aであるが、この拡径部31aは、仕切部材100の内径よりも小さい。したがって、上記のようにデフ側シャフト部材31を仕切部材100の内側に挿通させることができる。また、モータユニット50において、仕切部材100よりも径方向内側に配置された部品は存在しないため、上記のようにデフ側シャフト部材31を仕切部材100の内側に挿通させるときに、モータユニット50の構成部品にデフ側シャフト部材31が干渉することを防止できる。
続いて、スリーブ68よりも反駆動輪側に突出したデフ側シャフト部材31の先端部を、差動装置10のサイドギヤ18の内側に差し込んで、これらをスプライン嵌合させる。これにより、ドライブシャフト30が差動装置10に組み付けられる。
続いて、デフ側シャフト部材31の駆動輪36側の端部を、その外周に予め装着された軸受108の外側から、いずれも半割れ状のモータユニット50の支持部118とブラケット120で挟み込み、これらをボルト122で締結する。これにより、デフ側シャフト部材31の駆動輪36側の端部が、軸受108を介して支持部118及びブラケット120に回転可能に支持される。
なお、ドライブシャフト30の駆動輪36側は、サスペンション部材(図示せず)を介して車体に組み付けられ、駆動輪側シャフト部材33の先端には駆動輪36が取り付けられる。
逆に、車体からモータユニット50及びドライブシャフト30を取り外す場合、ドライブシャフト30、モータユニット50の順で取り外すことになる。
車体からドライブシャフト30を取り外す場合、先ず、上記のブラケット120や駆動輪36及びサスペンション部材を取り外すことで、ドライブシャフト30は、差動装置10のみに連結された状態となり、モータユニット50への取付状態は解除される。
モータユニット50及びドライブシャフト30の車載状態において、仕切部材100の内径は、ドライブシャフト30における仕切部材100の駆動輪36側端部よりも差動装置10側に位置する軸方向部分において最大の外径を有する拡径部31aの外径よりも大きい。
そのため、モータユニット50の車載状態を維持しながら、差動装置10からドライブシャフト30を取り外して、仕切部材100の内側からデフ側シャフト部材31を抜き出すとき、デフ側シャフト部材31の外周面が仕切部材100の内周面に干渉することを回避できる。
したがって、例えばジョイントブーツ34a,35aの破損等によりドライブシャフト30のメンテナンスが必要になった場合、モータユニット50の車載状態を維持したまま、ドライブシャフト30のみを取り外してメンテナンスを行うことができる。また、ドライブシャフト30のメンテナンス後は、モータユニット50の車載状態を維持したまま、上記のようにドライブシャフト30を仕切部材100の内側に挿通させて差動装置10に組み付けることで、車体へのドライブシャフト30の組付けを簡単かつ迅速に完了することができる。
本実施形態では、このような方法によりドライブシャフト30の着脱が行われるため、従来のようにモータとドライブシャフトがアセンブリされていることにより、ドライブシャフトをモータと共に車体から着脱しなければならない場合に比べて、ドライブシャフトのメンテナンス時において作業性を効果的に向上させることができる。
また、上述のように、モータユニット50は、ユニットケース110内のオイルが仕切部材100によって径方向内側から封止されていること等によって、油密状態に維持されるように構成されているため、上記のようにモータユニット50を車載状態に維持したまま、該モータユニット50のオイル漏れが生じることなく、ドライブシャフト30を取り外すことができる。そのため、ドライブシャフト30のメンテナンス後に、ユニットケース110内にオイルを再封入する手間やコストがかかることを回避できる。この点においても、ドライブシャフト30のメンテナンス作業の簡素化及び迅速化を図ることができる。
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
例えば、上述の実施形態では、仕切部材100が全長に亘って一定の内径を有する筒状部材で構成される例を説明したが、本発明において、仕切部材の内径はその軸方向位置によって異なっていてもよく、車体から駆動軸を着脱するときに、筒状の仕切部材の内部を駆動軸が挿通可能である限り、仕切部材の具体的な形状は適宜変更可能である。
以上のように、本発明によれば、駆動軸上に配設されたモータを有する車両の駆動装置において、駆動軸のメンテナンスにおける作業性の向上を図ることが可能となるから、この種の駆動装置及びこれを搭載した車両の製造産業分野において好適に利用される可能性がある。
1 駆動装置
2 エンジン
3 トランスアクスル
4 トランスアクスルケース
5 トルクコンバータ
6 変速機
10 差動装置
12 デフケース(差動装置の入力部)
18 サイドギヤ(差動装置の出力部)
30,40 ドライブシャフト(駆動軸)
31,41 デフ側シャフト部材
31a デフ側シャフト部材の大径部
32,42 中間シャフト部材
33,43 駆動輪側シャフト部材
50 モータユニット
51 モータ
52 ステータ
53 ロータ
54 出力軸
60 減速機
60a 第1プラネタリギヤ機構
60b 第2プラネタリギヤ機構
61a 第1サンギヤ
61b 第2サンギヤ
62 リングギヤ部材
62a 第1リングギヤ
62b 第2リングギヤ
63a 第1キャリヤ
63b 第2キャリヤ
68 スリーブ(出力要素)
70 オイルポンプ
100 仕切部材
102 Oリング
104 オイルシール(シール部材)
110 ユニットケース

Claims (4)

  1. 差動装置の出力部と駆動輪を連結する駆動軸と、前記差動装置の入力部へ動力伝達可能なように前記駆動軸上に配設されたモータと、を備えた車両の駆動装置であって、
    径方向における前記駆動軸の外側且つ前記モータの内側に、前記駆動軸と前記モータとを仕切る筒状の仕切部材が配設され、
    前記仕切部材の内径は、前記駆動軸における前記仕切部材の駆動輪側端部よりも差動装置側に位置する軸方向部分の最大径部の外径よりも大きいことを特徴とする車両の駆動装置。
  2. 前記駆動軸上にオイルポンプが配設され、
    前記仕切部材の外面は、前記オイルポンプから吐出されたオイルを前記モータへ案内するガイド部とされていることを特徴とする請求項1に記載の車両の駆動装置。
  3. 前記モータを収容するケースと、
    前記モータの出力を減速して前記差動装置の入力部に伝達するように前記駆動軸上に配設されたプラネタリギヤ機構と、を備え、
    前記仕切部材の一端側は、前記プラネタリギヤ機構の出力要素に固定され、
    前記仕切部材の他端側は、シール部材を介して前記ケースに回転可能に支持されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両の駆動装置。
  4. 差動装置の出力部と駆動輪を連結する駆動軸と、前記差動装置の入力部へ動力伝達可能なように前記駆動軸上に配設されたモータとを備えた車両の駆動装置の組付け方法であって、
    前記モータと、該モータの径方向内側に挿通された筒状の仕切部材とをアセンブリして、該モータと仕切部材を有するモータユニットを構築し、
    前記モータユニットが前記差動装置に組み付けられた状態で、前記駆動軸の一端側を、反差動装置側から前記仕切部材の内側に挿入して前記差動装置の出力部に組み付けることを特徴とする車両の駆動装置の組付け方法。
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