以下、本発明を実施するための形態について説明する。なお、説明は以下に示す順序とする。
1.第1の実施の形態
1−1.検査キット、および検査ストリップの構成
1−2.作用および効果
2.第2の実施の形態
3.他の実施の形態
4.検証試験
4−1.青色着色ラテックス粒子を用いた検査ストリップについて
4−2.金コロイド粒子を用いた検査ストリップについて
4−3.インフルエンザウイルスの検出に用いる検査ストリップについて
(1)第1の実施の形態
(1−1)検査キット、および検査ストリップの構成
図34との対応部分に同一符号を付して示す図1において、1は本発明による検査キットを示し、図34に示した従来の検査キット100とはケース本体101内に設置される検査ストリップ2の構成が異なっており、コンジュゲートパッドCPがカバーテープ5で覆われている点に特徴を有する。
実際上、検査ストリップ2は、従来と同様に、サンプルパッドSPと、コンジュゲートパッドCPと、メンブランMと、吸収パッドAbPとが順に配置されており、サンプルパッドSPで吸収された検体抽出液が、毛細管現象により展開方向xに沿ってコンジュゲートパッドCP、メンブランM、および吸収パッドAbPの順に展開し得るようになされている。また、検査ストリップ2は、基台103内に形成された複数の保持突起部115に囲まれた領域に嵌合されることにより基台103に対して固定され、サンプルパッドSP、コンジュゲートパッドCP、メンブランM、および吸収パッドAbPが基台103内の所定位置に位置決めされ得る。
基台103は、検査ストリップ2が固定された状態で、内壁面にある複数の嵌め込み部116に、蓋体102の内壁面の対応する突起部(図示せず)がそれぞれ嵌め込まれて蓋体102が装着され得る。これにより、基台103および蓋体102は、一体となり、ケース本体101を形成し得る。ケース本体101内に設置された検査ストリップ2は、蓋体102の検体滴下開口部105からサンプルパッドSPの一部領域が外部に露出されるとともに、蓋体102の判定開口部106からメンブランMのテストラインTL1,TL2およびコントロールラインCLが外部に露出され得る。
その一方、検査ストリップ2は、サンプルパッドSPの一部領域からコンジュゲートパッドCP全面を覆ったカバーテープ5と、当該コンジュゲートパッドCPと、吸収パッドAbPとが蓋体102に覆い隠されており、外部に非露出状態となり得る。このように、検査ストリップ2は、カバーテープ5が検体滴下開口部105と判定開口部106とが配置される領域を避けて貼付されており、カバーテープ5が蓋体102から外部に非露出状態となっていることから、当該蓋体102によって、大気中の塵埃等がカバーテープ5の周縁へ付着し難くなっており、コンジュゲートパッドCPからカバーテープ5が剥離してしまうことを防止し得るようになされている。
次に、本発明の検査キットに用いる検査ストリップ2の構成について詳細に説明する。図2Aおよび図2Bに示すように、検査ストリップ2は、展開方向xに沿ってサンプルパッドSP、コンジュゲートパッドCP、メンブランM、および吸収パッドAbPの順に支持材111上に配置されており、そのうちサンプルパッドSPの一部領域からコンジュゲートパッドCP全面に亘ってカバーテープ5で覆われた構成を有する。
なお、この実施の形態の場合、サンプルパッドSPとコンジュゲートパッドCPとの間には、コンジュゲートパッドCP上にサンプルパッドSPが積層され、コンジュゲートパッドCPの膜厚分だけサンプルパッドSPが盛り上がったサンプルパッド側積層部8aが形成されている。コンジュゲートパッドCPは、サンプルパッドSPに吸収された検体抽出液を、毛細管現象によってサンプルパッド側積層部8aで吸収し、固定化されている複数種類の標識抗体(図示せず)に、検体抽出液中の抗原が特異的に反応し得るようになされている。
カバーテープ5は、例えばプラスティックフィルムやポリエステルフィルム等の非浸透性の合成樹脂部材により形成されており、サンプルパッドSPに滴下された検体抽出液が浸透することなく、サンプルパッドSPからコンジュゲートパッドCPに当該検体抽出液を導き得る。この実施の形態の場合、カバーテープ5は、帯状に形成され、幅がサンプルパッドSPおよびコンジュゲートパッドCPの幅と同じに選定されており、当該カバーテープ5の一端から他端で覆われる領域にて、サンプルパッドSPおよびコンジュゲートパッドCPを外部に非露出状態とさせ得る。
また、この実施の形態の場合、カバーテープ5は、検査ストリップ2がケース本体101内に設置された際、蓋体102に覆われて検体滴下開口部105から外部に露出していないサンプルパッドSPの非露出領域部分に一端が配置され得るように形成されている。これにより検査ストリップ2は、検体滴下開口部105の全領域にサンプルパッドSPが露出した状態となり得ることから、検体滴下開口部105からサンプルパッドSPに検体抽出液が滴下された際、サンプルパッドSPへの検体抽出液の滴下がカバーテープ5により妨げられることなく、確実にサンプルパッドSPの表面に検体抽出液を直接滴下させ得るようになされている。
また、この実施の形態の場合、カバーテープ5は、メンブランMとコンジュゲートパッドCPとの境界に位置するコンジュゲートパッドCPの末端に、他端が配置されており、サンプルパッドSPの非露出領域からコンジュゲートパッドCPの全面を覆うとともに、メンブランMの表面を覆うことなく当該メンブランMの表面を外部に露出させ得る。これにより、検査ストリップ2では、メンブランMに設けられた検出領域としてのテストラインTL1,TL2および、動作確認領域としてのコントロールラインCLが、カバーテープ5により覆われることなく、直接外部に露出させることができる。かくして、検査ストリップ2は、テストラインTL1,TL2およびコンロトールラインCLでのライン発現の有無を使用者が確認する際、カバーテープ5によって妨げられることなく、テストラインTL1,TL2およびコンロトールラインCLでのライン発現の有無を確実に確認させ得る。
また、この実施の形態の場合、カバーテープ5は、サンプルパッドSPおよびコンジュゲートパッドCPが積層されたサンプルパッド側積層部8aの表面も覆うとともに、メンブランMおよびコンジュゲートパッドCPが積層されたメンブラン側積層部8bも覆うように形成されている。なお、カバーテープ5は、粘着部材が裏面に形成された軟質部材でなることから、サンプルパッドSPや、コンジュゲートパッドCP、サンプルパッド側積層部8a、およびメンブラン側積層部8bの表面形状に合わせて変形し得、これらサンプルパッドSP、コンジュゲートパッドCP、サンプルパッド側積層部8a、およびメンブラン側積層部8bとの間に隙間を形成することなく各表面に密着した状態で貼付し得る。また、このカバーテープ5は、透明部材により形成されていることから、サンプルパッドSPや、コンジュゲートパッドCP、サンプルパッド側積層部8a、およびメンブラン側積層部8bとの間に空気や塵埃があるか否かを外部から目視により確認し得るようになされている。
因みに、メンブランMには、展開方向xと直交する幅方向yに延びるように2本のテストラインTL1,TL2と、コントロールラインCLとが検出領域および動作確認領域として配置されており、毛細管現象によって展開方向xに展開してゆく検体抽出液がこれらテストラインTL1,TL2とコンロトールラインCLとを順次通過し得るようになされている。これにより、メンブランMでは、従来と同様に、検体抽出液内に抗原が存在しているとき、コンジュゲートパッドCPの標識抗体と、当該抗原とが特異的に反応して生成された複合体が、例えばテストラインTL1を通過する際に抗原捕捉抗体と特異的に反応して、複合体の標識抗体に有した蛍光物質によってテストラインTL1にラインが発現し得る。さらに、メンブランMでは、未反応の標識抗体がコントロールラインCLを通過する際に、当該標識抗体が標識捕捉抗体と特異的に反応してコントロールラインCLにラインが発現し得るようになされている。
ここで、検査ストリップ2は、サンプルパッドSPからサンプルパッド側積層部8aを介してコンジュゲートパッドCPの末端までの各表面を覆うようにしてカバーテープ5が貼付されていることで、サンプルパッドSPに検体抽出液が滴下された際、サンプルパッドSP上からコンジュゲートパッドCP上に沿って流れようとする検体抽出液をカバーテープ5の一端で塞き止めつつ、カバーテープ5に覆われた領域にて、展開方向xに延びるカバーテープ5に沿って、サンプルパッドSPからサンプルパッド側積層部8aを介してコンジュゲートパッドCPへと展開する最適な経路に検体抽出液を導き得る。
かくして検査ストリップ2は、標識抗体と、検体抽出液内の抗原とが特異的に反応する確率が上がり、これら標識抗体と抗原とが特異的に反応して得られる複合体を、メンブランMのテストラインTL1,TL2やコントロールラインCLに展開されるように促し、複合体をテストラインTL1,TL2やコントロールラインCLまで迅速に導き得る。
(1−2)作用および効果
以上の構成において、検査ストリップ2では、サンプルパッドSPの非露出領域からサンプルパッド側積層部8aを介してコンジュゲートパッドCPの全面を覆いつつ、抗原捕捉抗体が固定化されている検出領域たるテストラインTL1,TL2およびコントロールラインCLが設けられたメンブランMを外部に露出させるカバーテープ5を設けるようにした。これにより、検査ストリップ2では、展開方向xに延びるカバーテープ5に沿ってサンプルパッドSPからサンプルパッド側積層部8aを介してコンジュゲートパッドCP内へと展開する最適な経路に検体抽出液を導き、標識抗体と、検体抽出液内の抗原とが特異的に反応する確率が上がり複合体を得られ易くなっている。
その結果、検査ストリップ2では、抗原捕捉抗体によってより多くの複合体の抗原を捕捉できるので、テストラインTL1,TL2のライン発現を従来よりも促すことができ、また、複合体が迅速に得られ易くなる分、抗原捕捉抗体が複合体の抗原を捕捉するまでの時間を短縮化でき、かくして、検体抽出液内に検体が存在するか否かを、従来よりも短時間で容易に判断し得る。
また、検査ストリップ2では、予め設定されている規定量(例えば、2滴程度(約55μL))を超えた検体抽出液が誤ってサンプルパッドSPに滴下されたとしても、カバーテープ5を設けたことで、カバーテープ5に覆われたサンプルパッドSP内からサンプルパッド側積層部8aを介してコンジュゲートパッドCP内へと展開する最適な経路に検体抽出液を導くことができる。従って、検査ストリップ2では、標識抗体と、検体抽出液内の抗原とが特異的に反応する確率が従来よりも上がり複合体を得られ易くなっていることから、抗原捕捉抗体によってより多くの複合体の抗原を捕捉できるので、テストラインTL1,TL2のライン発現を従来よりも促すことができ、また、複合体が迅速に得られ易くなる分、抗原捕捉抗体が複合体の抗原を捕捉するまでの時間を短縮化できる。
また、この検査ストリップ2では、抗原捕捉抗体が固定化されている検出領域たるテストラインTL1,TL2および、動作確認領域としてのコントロールラインCLが設けられたメンブランMにカバーテープ5が貼付されずに外部に露出されていることから、カバーテープ5に妨げられることなく、テストラインTL1,TL2およびコントロールラインCLを使用者が直接的に視認し得、テストラインTL1,TL2およびコントロールラインCLにおけるライン発現の有無を容易に判断できる。
さらに、この検査ストリップ2では、メンブランMにまでカバーテープ5を貼付せずに、メンブランMとの境界となるコンジュゲートパッドCPの末端までカバーテープ5を貼付した。これにより、検査ストリップ2では、メンブランMおよびメンブラン側積層部8b間の段差部分と、カバーテープ5との間に隙間が形成されることもなく、コンジュゲートパッドからメンブランに検体抽出液が展開する際、当該隙間による対流の発生を抑制し得、当該検体抽出液の流れのムラが発生することを防止できる。
なお、この実施の形態の場合、検査ストリップ2では、サンプルパッドSP上に滴下された検体抽出液を、カバーテープ5の厚み分、当該カバーテープ5の一端で塞き止め、検体抽出液のサンプルパッドSPへの吸収を促すこともできる。さらには、サンプルパッド側積層部8aとコンジュゲートパッドCPとの継ぎ目である凸状の段差部分もカバーテープ5で覆っていることから、サンプルパッドSP内に吸収された検体抽出液をコンジュゲートパッドCPへと確実に展開させることができ、その分、標識抗体と、検体抽出液内の抗原とが特異的に反応する確率を上げることができる。
以上の構成によれば、使用者が規定量以上の検体抽出液をサンプルパッドSPに滴下しても、カバーテープ5によりコンジュゲートパッドCP内に検体抽出液を導き、標識抗体と、検体抽出液内の抗原とが特異的に反応して複合体が得られ易くなり、その分、より多くの複合体の抗原を、メンブランMの抗原捕捉抗体で捕捉できるとともに、当該抗原捕捉抗体が複合体の抗原を捕捉するまでの時間を短縮化でき、かくして、検体抽出液内に検体が存在するか否かを、従来よりも短時間で容易に判断し得る。
(2)第2の実施の形態
上述した実施の形態においては、カバーテープとして、サンプルパッドSPの非露出領域から、コンジュゲートパッドCPのメンブランMと重なったメンブラン側積層部8bまでを覆うカバーテープ5を設けた検査ストリップ2について述べたが、本発明はこれに限らず、図2Aとの対応部分に同一符号を付して示す図3Aや、図2Bとの対応部分に同一符号を付して示す図3Bのように、サンプルパッドSPの非露出領域からメンブラン側積層部8bを超えて、さらにメンブランMの一部領域までを覆うカバーテープ15を設けた検査ストリップ12としてもよい。
この場合、図3Aおよび図3Bに示すカバーテープ15は、図2Aおよび図2Bに示したカバーテープ5とは他端の配置位置が異なるだけで、その他の構成は同じであることから、ここでは、カバーテープ15の他端に着目して以下説明する。この場合、カバーテープ15は、メンブランMとコンジュゲートパッドCPとが積層したメンブラン側積層部8bを超えるとともに、メンブランMのテストラインTL1まで到達しない領域に他端が配置されており、サンプルパッドSPの非露出領域からコンジュゲートパッドCPを介してメンブランMの一部領域までを覆うように貼付されている。このように、カバーテープ15は、メンブランの一部領域まで貼付されているものの、メンブランMのテストラインTL1,TL2およびコントロールラインCLを覆うことなく、これらテストラインTL1,TL2およびコントロールラインCLを外部に露出させるようになされている。このような構成であっても、上述した第1の実施の形態による検査ストリップ2と同様の効果を得ることができる。
すなわち、この検査ストリップ12でも、展開方向xに延びるカバーテープ15に沿ってサンプルパッドSPからサンプルパッド側積層部8aを介してコンジュゲートパッドCP内へと展開する最適な経路に検体抽出液を導き、標識抗体と、検体抽出液内の抗原とが特異的に反応する確率が上がり複合体を得られ易くなっている。
その結果、検査ストリップ12では、抗原捕捉抗体によってより多くの複合体の抗原を捕捉できるので、テストラインTL1,TL2のライン発現を従来よりも促すことができ、また、複合体が迅速に得られ易くなる分、抗原捕捉抗体が複合体の抗原を捕捉するまでの時間を短縮化でき、かくして、検体抽出液内に検体が存在するか否かを、従来よりも短時間で容易に判断し得る。
また、検査ストリップ12でも、予め設定されている規定量(例えば、2滴程度(約55μL))を超えた検体抽出液が誤ってサンプルパッドSPに滴下されたとしても、カバーテープ15を設けたことで、カバーテープ15に覆われたサンプルパッドSP内からサンプルパッド側積層部8aを介してコンジュゲートパッドCP内へと展開する最適な経路に検体抽出液を導くことができる。従って、検査ストリップ12では、標識抗体と、検体抽出液内の抗原とが特異的に反応する確率が従来よりも上がり複合体を得られ易くなっていることから、抗原捕捉抗体によってより多くの複合体の抗原を捕捉できるので、テストラインTL1,TL2のライン発現を従来よりも促すことができ、また、複合体が迅速に得られ易くなる分、抗原捕捉抗体が複合体の抗原を捕捉するまでの時間を短縮化できる。
また、この場合でも、検査ストリップ12では、メンブランMに設けられた検出領域としてのテストラインTL1,TL2および、動作確認領域としてのコントロールラインCLがカバーテープ15により覆われることなく、直接外部に露出させていることから、テストラインTL1,TL2およびコンロトールラインCLでのライン発現の有無を確認させる際、カバーテープ15によって妨げられることなく、テストラインTL1,TL2およびコンロトールラインCLでのライン発現の有無を直接的に確認させることができる。
(3)他の実施の形態
上述した実施の形態においては、サンプルパッドSPの一部領域から、メンブランMとの境界となるコンジュゲートパッドCPの末端までをカバーテープ5で覆った検査ストリップ2や、サンプルパッドSPの一部領域から、コンジュゲートパッドCPを超えてメンブランMの一部領域までをカバーテープ15で覆った検査ストリップ12について述べたが、本発明はこれに限らず、図2Aとの対応部分に同一符号を付して示す図4Aのように、サンプルパッドSPを覆わずに、メンブラン側積層部8bからコンジュゲートパッドCPの一部領域までをカバーテープ25で覆った検査ストリップ22や、図2Aとの対応部分に同一符号を付して示す図4Bのように、サンプルパッドSPの一部領域からコンジュゲートパッドCPの一部領域までをカバーテープ35で覆った検査ストリップ32を適用してもよい。
この場合、図4Aに示す検査ストリップ22は、メンブランMとコンジュゲートパッドCPとの境界からコンジュゲートパッドCPの所定領域までを覆いつつ、メンブランMおよびサンプルパッドSPの全面を外部に露出させるカバーテープ25が設けられており、このようなカバーテープ25であっても、上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
実際上、このカバーテープ25は、メンブランMとコンジュゲートパッドCPとが積層されたメンブラン側積層部8bと、コンジュゲートパッドCPの約3分の2の領域とに亘って貼付されており、コンジュゲートパッドCPとサンプルパッドSPとが積層されたサンプルパッド側積層部8aを覆うことなく外部に露出させ得るようになされている。
一方、図4Bに示す検査ストリップ32は、サンプルパッドSPの一部領域からサンプルパッド側積層部8aを超えてコンジュゲートパッドCPの一部領域までを覆いつつ、メンブラン側積層部8bと、メンブランMの全面とを外部に露出させるカバーテープ35が設けられており、このようなカバーテープ35であっても、上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
実際上、このカバーテープ35は、サンプルパッドSPのうち、蓋体102(図1)に覆われるサンプルパッドSPの非露出領域から、サンプルパッド側積層部8aを超えて、コンジュゲートパッドCPの約3分の2の領域に亘って貼付されており、メンブラン側積層部8bを覆うことなく外部に露出させ得るようになされている。
なお、その他の実施の形態としては、コンジュゲートパッドCPの一部領域からメンブラン側積層部8bを超えてメンブランMの一部領域までを覆い、サンプルパッド側積層部8aと、メンブランMのテストラインTL1およびコントロールラインCLとを覆うことなく外部に露出させるカバーテープを適用してもよい。
因みに、図2Aおよび図3Aに示す検査ストリップ2,12では、検出領域として、2本のテストラインTL1,TL2とを設けたが、これに限らず、1本や3本以上のテストラインTL1を設けるようにしてもよい。また、図4Aおよび図4Bに示す検査ストリップ22,32では、検出領域として、1本のテストラインTL1を設けたが、これに限らず、2本以上のテストラインを設けるようにしてもよい。
また、上述した実施の形態においては、検体として抗原を適用し、蛍光物質を有した標識物質として標識抗体を適用し、捕捉物質として抗原捕捉抗体および標識捕捉抗体を適用して、抗原抗体反応を利用したイムノクロマト法用検査ストリップについて述べたが、本発明はこれに限らず、その他種々の検体、標識物質、捕捉物質を適用して、例えば相補的核酸間反応や、リガンド・レセプター間反応を利用したクロマト法用の検査ストリップであっても良い。さらに、サンプルパッドからコンジュゲートパッドおよびメンブランに検体抽出液が順に展開できれば、例えば吸収パッドを有しない検査ストリップであってもよい。
さらに、上述した実施の形態においては、カバー部材として、検査ストリップ2,12に貼付される軟質な粘着テープでなるカバーテープ5,15を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば、検査ストリップ2,12に貼付される硬質な板状部材でなるカバー部材を適用してよい。
また、上述した実施の形態においては、カバー部材として、検査ストリップ2,12に貼付したカバーテープ5,15を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば、ケース本体側にカバー部材を設け、検査ストリップのコンジュゲートパッドから、メンブランのテストラインTL1までの間で、少なくともコンジュゲートパッドをケース本体のカバー部材によって覆うようにしてもよい。
この場合、検査キットには、検査ストリップが設置された基台に蓋体を固定した際、蓋体の裏面において、覆いたいコンジュゲートパッド等の領域(図2のカバーテープ5や、図3のカバーテープ15で覆われている領域)と対向する領域部分にカバー部材が予め設けられた構成となり得る。このような検査キットでも、展開方向xに延びるカバー部材に沿ってサンプルパッドSPからコンジュゲートパッドCP内へと展開する最適な経路に検体抽出液を導くことができ、上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、上述した実施の形態においては、標識物質としては着色ラテックス粒子や、金属ゾル(金コロイド等)、蛍光ラテックス粒子、磁気ビーズ、酵素(アルカリホスファターゼ等)を適用してもよい。なお、標識物質として、例えば着色ラテックス粒子や金コロイドを用いた場合には、テストラインTL1,TL2でのライン発現の有無を使用者が目視により確認し得、一方、標識物質として蛍光ラテックス粒子を用いた場合には、テストラインTL1,TL2でのライン発現の有無を蛍光リーダ等により確認し得る。
さらに、他の実施の形態としては、例えばインフルエンザウイルスの検出に用いる検査ストリップであってもよい。このようなインフルエンザウイルス用の検査ストリップは、上述した検査ストリップ2,12,22,32,42,52と基本的構成が同一であるものの、コンジュゲートパットCPに保持される標識物質と、メンブランMの検出領域に固定化される捕捉物質とが、検出対象とするインフルエンザウイルスに応じて適宜変更された構成となり得る。
実際上、インフルエンザウイルス用の検査ストリップには、インフルエンザウイルスと特異的に反応して複合体を生成する標識物質(インフルエンザウイルス用標識物質)が、湿潤状態で遊離可能に保持されたコンジュゲートパッドCPと、毛細管現象によって展開された複合体と特異的に反応する捕捉物質(インフルエンザウイルス用捕捉物質)が固定化されている検出領域を有したメンブランMとが設けられ得る。
例えば、A型インフルエンザウイルスおよびB型インフルエンザウイルスの両方を検出可能な検査ストリップでは、A型インフルエンザウイルスと特異的に反応して複合体を生成するインフルエンザウイルスA型着色ラテックス標識抗体と、B型インフルエンザウイルスと特異的に反応して複合体を生成するインフルエンザウイルスB型着色ラテックス標識抗体とがコンジュゲートパッドCPに湿潤状態で遊離可能に保持されている。なお、コンジュゲートパッドCPには、検出するインフルエンザウイルスの数に応じて色が異なる標識物質が保持されており、この場合、例えばインフルエンザウイルスA型着色ラテックス標識抗体が青色であり、インフルエンザウイルスB型着色ラテックス標識抗体が赤色に着色されている。
インフルエンザウイルス用の検査ストリップには、検出領域としてのテストラインTL1,TL2がメンブランMに設けられており、例えば一のテストラインTL1にA型インフルエンザウイルス抗体(例えば、マウス由来抗インフルエンザウイルスA型lgGモノクローナル抗体)が含まれ、他のテストラインTL2にB型インフルエンザウイルス抗体(例えば、抗インフルエンザウイルスB型IgGモノクローナル抗体)が含まれている。なお、メンブランMには、抗原捕捉抗体(例えば、ヤギ由来抗マウスIgGポリクローナル抗体)が固定化されたコントロールラインCLが、テストラインTL1,TL2よりも下流位置に設けられ得る。
このようなインフルエンザウイルス用の検査ストリップでも、コンジュゲートパッドCPから、メンブランMの検出領域(テストラインTL1,TL2)までの間に、少なくともコンジュゲートパッドCPを覆うようなカバーテープを設けるようにしたことにより、上述と同様に、抗原捕捉抗体によってより多くの複合体の抗原を捕捉できるので、テストラインTL1,TL2のライン発現を従来よりも促すことができ、また、複合体が迅速に得られ易くなる分、抗原捕捉抗体が複合体の抗原を捕捉するまでの時間を短縮化でき、かくして、検体抽出液内にインフルエンザウイルスが存在するか否かを、従来よりも短時間で容易に判断し得る。
(4)検証試験
(4−1)青色着色ラテックス粒子を用いた検査ストリップについて
次に、カバーテープを設けない従来の検査ストリップと、カバーテープの貼付範囲が異なる、図4A、図4B、図4Cおよび図4Dに示す4種類の検査ストリップと、コンジュゲートパッドCPだけでなくメンブランMの全面にまでカバーテープを貼付した検査ストリップとを用意し、テストラインTL1に発現するラインのライン強度と、テストラインTL1およびコントロールラインCLにラインが発現するまでの検出時間とを調べた。なお、この検証試験に用いる検査ストリップは、カバーテープの構成が異なるのみで、支持材111や、サンプルパッド、コンジュゲートパッド、メンブラン(ここではニトロセルロースメンブランを使用)、吸収パッドの各大きさや材質は同じとした。
先ず始めに、アデノ用の検査ストリップがケース本体内に設置された検査キット(アデノプレートとも呼ぶ)を用いて検証試験を行った。なお、アデノ用の検査ストリップは下記のようにして作製した。先ず始めに、ニトロセルロースメンブラン(HF90 メンブラン,メルクミリポア社製)を用意した後、マウス由来抗アデノウイルスIgGモノクローナル抗体をPBSに溶解し、1.0mg/mlの濃度で1.0μl/cmの割合で、陽圧噴霧装置 Biojetxyz3060(日本バイオドット社)によって、当該メンブランの端部から見て展開方向の上流側にライン状に塗布することで、テストラインTL1を作製した。また、これとは別に、ヤギ由来抗マウスIgGポリクロ一ナル抗体をPBSに溶解し、1.0mg/mlの濃度で1.0μl/mlの割合で、陽圧噴霧装置 Biojetxyz3060(日本バイオドット社)によって、当該メンブランの端部から見て展開方向のテストラインTL1下流側にライン状に塗布することで、コントロールラインCLを作製した。
抗体を塗布したメンブランは40℃の乾燥機に入れ一晩、十分乾燥させた後、1%BSA(牛血清アルブミン)、0.1%スキムミルクおよび界面活性剤を含む溶液に30分間浸すことによりタンパク未吸着領域のブロッキングを行った後、オーブンにて一晩乾燥させてメンブランMを作製した。
次いで、青色着色ラテックス粒子標識抗体懸濁液を下記のようにして作製した。先ず始めに、試験管中で青色着色ラテックス粒子のカルボキシル基を同量の水溶性カルボジイミド(1-Ethyl-3-(3-dimethylaminopropyl)carbodiimide,hydrochloride、和光純薬)により活性化した。活性化した青色着色ラテックス粒子1gにつき抗アデノウイルスモノクロ一ナル抗体(1.Omg/ml)を62.5mgの割合で添加し、よく混合した後、4℃で一晩スターラーにて攪拌を行うことにより反応させた。反応終了後、20,000Gで10分間遠心分離し、その後、上清を除去した青色着色ラテックス粒子標識抗体に、0.1%BSAを含む緩衝液で標識物のプロッキングを行い、終了後に20,000Gで10分間遠心分離し、上清を除去した。その後、1%BSAを含む5%ショ糖水を所定量添加してピペットにて再懸濁し、青色着色ラテックス粒子標識抗体懸濁液を得た。
得られた青色着色ラテックス粒子標識抗体懸濁液に、1%BSAを含む4%ショ糖水を所定量添加してピペットにて再懸濁した青色着色ラテックス粒子標識抗体懸濁液を用意し、網の上に並べた長さ8mmのコンジュゲートパッド(グラスファイバー、メルクミリポア社製)に1cmあたり約45μLの割合で、この青色着色ラテックス粒子標識抗体懸濁液を塗布し、均一に広げ、オーブンにて乾燥させて、コンジュゲートパッドCPを作製した。
次いで、支持材111となるバッキングシート(Adhesives Research,Inc)に対して、作製したメンブランMを貼り合わせた後、同じく作製したコンジュゲートパッドCPをメンブランMと数ミリ重なり合うように貼り合わした。さらに、展開方向の上流側には、サンプルパッドSPとして、コンジュゲートパッドCPに数ミリ重なるようにしてグラスファイバー(メルクミリポア社製)を貼り合わせた。そして、メンブランMの下流側には、過剰な試薬を受け止めるための吸収パッドAbP(サンプル吸収パッド、メルクミリポア社製)がメンブランMと数ミリ重なるように配置して、カバーテープ貼付前の検査ストリップを作製した。
各検査ストリップに貼付するカバーテープは、ポリエステルフィルム(型番PET25(A) PL シン 8LK、日本バイオドット社製)を用い、所定の長さにせん断し、図4A、図4B、図4Cおよび図4Dに示す各位置に貼付した。
この場合、展開方向xに延びる長手方向の寸法が13mmのサンプルパッドSPと、同じく展開方向xに延びる長手方向の寸法が8mmのコンジュゲートパッドCPとを用い、図5に示すように、サンプルパッドSPとコンジュゲートパッドCPとが積層されたサンプルパッド側積層部8aの長さx2を1mmとし、メンブランMとコンジュゲートパッドCPとが積層されたメンブラン側積層部8bの長さx4を2mmとした。
また、図4Aに示す検査ストリップ22(以下、単に5mm第1カバーテープとも呼ぶ)は、展開方向xに延びる長手方向の寸法が5mmのカバーテープ25を用いており、メンブランMとコンジュゲートパッドCPとの境界から、コンジュゲートパッドCPの表面に向けてカバーテープ25を貼付した。具体的には、図5に示すように、コンジュゲートパッドCPの一端からサンプルパッドCPの一端までの距離x3を2mmとして当該距離x3の領域のコンジュゲートパッドCPを外部に露出させた。
図4Bに示す検査ストリップ32(以下、単に5mm第2カバーテープとも呼ぶ)は、展開方向xに延びる長手方向の寸法が同じく5mmのカバーテープ35を用いているものの、サンプルパッドSPの一部領域からコンジュゲートパッドCPの表面に向けて貼付した。具体的には、図5に示すように、サンプルパッド側積層部8aにあるコンジュゲートパッドCPの一端から、サンプルパッドSP上のカバーテープ35の一端までの距離x1を1mmとし、カバーテープ35で覆われるコンジュゲートパッドCPの長さを3mmとした。
図4Cに示す検査ストリップ42(以下、単に9mmカバーテープとも呼ぶ)は、展開方向xに延びる長手方向の寸法が9mmのカバーテープ5を用いており、サンプルパッドSPの一部領域からコンジュゲートパッドCPの全面をカバーテープ5で覆うようにした。具体的には、図5に示すように、サンプルパッド側積層部8aにあるコンジュゲートパッドCPの一端から、サンプルパッドSP上のカバーテープ35の一端までの距離x1を1mmとし、コンジュゲートパッドCPの全面をカバーテープ5で覆うようにした。
図4Dに示す検査ストリップ52(以下、単に12mmカバーテープとも呼ぶ)は、展開方向xに延びる長手方向の寸法が12mmのカバーテープ15を用いており、サンプルパッドSPの一部領域からコンジュゲートパッドCPを介してメンブランMの一部領域までをカバーテープ15で覆うようにした。具体的には、図5に示すように、サンプルパッド側積層部8aにあるコンジュゲートパッドCPの一端から、サンプルパッドSP上のカバーテープ15の一端までの距離x1を1mmとし、コンジュゲートパッドの他端からカバーテープの他端までの距離x5を3mmとした。
また、比較例として、図5に示すように、サンプルパッド側積層部8aにあるコンジュゲートパッドCPの一端から、サンプルパッドSP上のカバーテープ117の一端までの距離x1を1mmとし、コンジュゲートパッドCPおよびメンブランMの全面を覆うようなカバーテープ117を貼付した検査ストリップ(以下、単に全面カバーテープとも呼ぶ)を用意した。
次いで、アデノウイルスのイムノクロマト検査装置を用いてカバーテープ5,15,25,35,117の有効性を検討した。検体は、所定の濃度に調製した抗原90μL(アデノウイルスCF試薬「生研」、デンカ生研)を用いた。各検査ストリップをそれぞれ10本ずつ用意して、それぞれケース本体内に設置してゆき複数の検査キットを用意した。次いで、検査キットの検体滴下開口部が上側に位置するように、机上の平らな面に各検査キットを水平に置いた後、陽性検体を規定量ピペットにて、各検査キットの検体滴下開口部に滴下してゆき、各検査ストリップの反応時間(ラインの検出時間)や、反応状態を観察した。
具体的には、各検査キットの判定開口部に、コントロールラインおよびテストラインが出現した時間を検出時間として測定し、各検査ストリップにおける溶液の流れ方について観察を行った。また、陽性検体の滴下から5分後、各検査キットを破壊してケース本体内の検体を除去することで、検査ストリップでの反応を停止させ、テストラインに出現したラインのライン強度をイムノクロマトリーダー(浜松ホトニクス社製)で測定した。
その結果、比較例であるカバーテープなしの検査ストリップでは、図6に示すような結果が得られた。このカバーテープなしの検査ストリップでは、ライン強度の10本の平均値が35.3mAbsとなり、テストラインにおけるライン(表中、Tラインと表記)発現の検出時間の10本の平均値が38.7secとなり、コントロールラインにおけるライン(表中、Cラインと表記)発現の検出時間の10本の平均値が36.4secとなった。さらに、カバーテープなしの検査ストリップでの溶液の流れ方やラインの綺麗さを目視で確認したところ、特に気になる状態変化は見られなかった。
また、他の比較例である全面カバーテープの検査ストリップでは、図7に示すような結果が得られた。図7から、全面カバーテープの検査ストリップでは、カバーテープなしの場合に比べて、ライン強度が低下してしまい、またCラインの検出時間も長くなってしまった。更には、全面カバーテープの検査ストリップでは、溶液の流れ方やラインの綺麗さを目視で確認したところ、煙のような筋状の流れが生じて流れ方にムラが確認された。また、メンブランからの溶液の抜けも悪く、陽性検体の滴下から5分経過後でもメンブラン上に青色着色ラテックス粒子の色が残ってメンブランでのラインが非常に見難い状態となっていた。
一方、本発明の5mm第1カバーテープの検査ストリップ22では、図8に示すような結果が得られた。図8から、5mm第1カバーテープの検査ストリップ22では、比較例となるカバーテープなしの検査ストリップや、同じく比較例となる全面カバーテープの検査ストリップに比べて、10本のライン強度の平均値が48.8mAbsとなり、比較例よりもライン強度が上昇してラインが見やすくなることが確認できた。また、Tラインの検出時間も比較例よりも短くなり、短時間でラインの発現有無が判断できることが確認できた。さらに、この5mm第1カバーテープの検査ストリップ22では、溶液の流れ方やラインの綺麗さを目視で確認したところ、溶液の流れ方もムラがなく均等に流れ、またラインも明確に発現しており、特に気になる状態変化は見られなかった。
また、本発明の5mm第2カバーテープの検査ストリップ32では、図9に示すような結果が得られた。図9から、5mm第2カバーテープの検査ストリップ32では、比較例となるカバーテープなしの検査ストリップや、同じく比較例となる全面カバーテープの検査ストリップに比べて、10本のライン強度の平均値が47.4mAbsとなり、比較例よりもライン強度が上昇してラインが見やすくなることが確認できた。また、TラインやCラインの検出時間も比較例よりも短くなり、短時間でラインの発現有無が判断できることが確認できた。さらに、この5mm第2カバーテープの検査ストリップ32では、溶液の流れ方やラインの綺麗さを目視で確認したところ、溶液の流れ方もムラがなく均等に流れ、またラインも明確に発現しており、特に気になる状態変化は見られなかった。
また、本発明の9mmカバーテープの検査ストリップ42では、図10に示すような結果が得られた。図10から、9mmカバーテープの検査ストリップ42でも、比較例となるカバーテープなしの検査ストリップや、同じく比較例となる全面カバーテープの検査ストリップに比べて、10本のライン強度の平均値が47.6mAbsとなり、比較例よりもライン強度が上昇してラインが見やすくなることが確認できた。また、TラインやCラインの検出時間も比較例よりも短くなり、短時間でラインの発現有無が判断できることが確認できた。さらに、この9mmカバーテープの検査ストリップ42では、溶液の流れ方やラインの綺麗さを目視で確認したところ、溶液の流れ方もムラがなく均等に流れ、またラインも明確に発現しており、特に気になる状態変化は見られなかった。
さらに、本発明の12mmカバーテープの検査ストリップ52では、図11に示すような結果が得られた。図11から、12mmカバーテープの検査ストリップ52でも、比較例となるカバーテープなしの検査ストリップや、同じく比較例となる全面カバーテープの検査ストリップに比べて、10本のライン強度の平均値が48.6mAbsとなり、比較例よりもライン強度が上昇してラインが見やすくなることが確認できた。また、TラインやCラインの検出時間も比較例よりも短くなり、短時間でラインの発現有無が判断できることが確認できた。但し、この12mmカバーテープの検査ストリップ52では、溶液の流れ方やラインの綺麗さを目視で確認したところ、溶液の流れ方にムラがあり、ラインの発現状態にも濃淡のムラがあるものもあった。更にはメンブランの溶液の抜けが悪いものもあり、陽性検体の滴下から5分経過後でもメンブラン上に青色着色ラテックス粒子の色が残ってメンブランでのラインが非常に見難いものもあった。
このことから、ライン強度を上昇させ検出時間を短縮化させるだけでなく、さらに検査ストリップでの溶液の流れ方やラインの綺麗さを維持することをも考慮すると、12mmカバーテープを用いるよりも、5mm第1カバーテープや、5mm第2カバーテープ、9mmカバーテープを用いることが望ましいことが確認できた。
次に、サンプルパッドに滴下する検体量を、40μL、80μL、120μLおよび160μLに変えてゆき、上述と同様に、検査ストリップの反応時間(検出時間)や、反応状態を観察した。先ず始めに、この検証試験では、比較例としてカバーテープなしの検査ストリップと、全面カバーテープの検査ストリップとを用いた。
また、この検証試験では、本発明の検査キットに用いる検査ストリップとしては、5mm第1カバーテープを用いた検査ストリップ(図4A)と、5mm第2カバーテープを用いた検査ストリップ(図4B)と、9mmカバーテープを用いた検査ストリップ(図4C)とを用いた。
そして、各検査ストリップをそれぞれケース本体内に設置してゆき複数の検査キットを用意した。次に、検査ストリップに滴下する陽性検体(アデノウイルスCF試薬「生研」、デンカ生研)の検体量を40μL、80μL、120μLおよび160μLと変えてゆき、これら異なる検体量毎にそれぞれ10本ずつ検査ストリップでのラインの検出時間や、反応状態を観察した。
具体的には、上述した検体量の陽性検体をピペットにて、各検査キットの検体滴下開口部に滴下してゆき、各検査キットの判定開口部に、コントロールラインおよびテストラインが出現した時間を検出時間として測定し、各検査ストリップにおける溶液の流れ方について観察を行った。また、陽性検体の滴下から5分後、各検査キットを破壊してケース本体内の検体を除去することで、検査ストリップでの反応を停止させ、テストラインに出現したラインのライン強度をイムノクロマトリーダー(浜松ホトニクス社製)で測定した。
図12は、検体量を40μL、80μL、120μLおよび160μLとしたときの検査ストリップ毎に測定したライン強度の平均値をまとめたグラフである。なお、図12も含め以下、比較例となるカバーテープなしの検査ストリップを「テープなし」とも呼び、同じく比較例となる全面カバーテープの検査ストリップを「全面テープ」とも呼び、5mm第1カバーテープを用いた実施例の検査ストリップを「5mm第1テープ」とも呼び、5mm第2カバーテープを用いた実施例の検査ストリップを「5mm第2テープ」とも呼び、9mmカバーテープを用いた実施例の検査ストリップを「9mmテープ」とも呼ぶ。
図12から、カバーテープなしの比較例となる検査ストリップでは、検体量が40μLのときに41mAbsあったテストラインのライン強度が、液量の増加に伴って反応性が弱くなり、検体量が120μLのときには、40μLの時に比べて約1/3までライン強度が低下した。このことから、カバーテープなしの従来の検査ストリップでは、検体量が規定量以上になると、テストラインのライン強度が低下してしまい、使用者が正確な判断を行い難くなることが確認できた。
一方、5mm第1テープ、5mm第2テープおよび9mmテープでは、検体量の増加に伴うライン強度の低下を抑制する効果が認められた。また、このようなライン強度の低下抑制効果は、9mmテープが最も大きく、次に5mm第1テープが大きいことが分かった。これに対して、比較例となる全面テープでは、余分な検体が全て流れた後も、メンブレンMから検体が抜けきらず、検体添加量増加に伴うライン強度の低下を抑制する効果は見られなかった。
また、検体量を変えていったときの検査ストリップでのテストラインの検出時間については図13に示すような結果が得られた。図13は、検体量を40μL、80μL、120μLおよび160μLとしたときの検査ストリップ毎にテストライン(Tライン)でラインが発現した検出時間の平均値をまとめたグラフである。図13から、比較例となるテープなしでは、検体量の増加とともにテストラインでのライン検出時間の遅延が認められた。
一方、5mm第1テープ、5mm第2テープおよび9mmテープでは、通常の規定量以上となる120μL以上添加した際、比較例のテープなしに比べてテストラインでのラインの検出時間が短くなっており、ラインの検出時間の遅延防止作用があることが認められた。これに対して、比較例となる全面カバーでは、テープなしと比較して遅延防止効果は確認できなかった。このことから、規定量以上の検体抽出液が添加された際に、テストラインでのラインの検出時間の短縮化は、コンジュゲートパッドやメンブランの全面にカバーテープを貼付するだけでは実現できず、5mm第1テープ、5mm第2テープおよび9mmテープのようにコンジュゲートパッド部分を含め、ある特定範囲にカバーテープを貼付する必要があることが確認できた。また、特に9mmテープのときに、ラインの検出時間を最も短縮化できることが分かった。
以上より、臨床現場にてヒューマンエラーによって検査キットに規定量以上の検体抽出液が滴下されてしまった際には、抗原量が少なく極めて弱い検体であった場合、テープなしの従来の検査ストリップや、カバーテープを全面に貼付した検査ストリップだと本来は陽性なのに、陰性と判断してしまう可能性がある。これに対して、5mm第1テープ、5mm第2テープおよび9mmテープのようにコンジュゲートパッド部分を含め、ある特定範囲にカバーテープを貼付した実施例の検査ストリップでは、仮に規定量以上の検体抽出液が滴下されてしまっても、テストラインでのライン強度が従来よりも明確に発現することから、従来よりも偽陰性の判断を回避できる。
次に、12mmカバーテープを用いた検査ストリップ(図4D)についても、サンプルパッドに滴下する検体量を、40μL、80μL、120μLおよび160μLに変えてゆき、上述と同様に、検査ストリップでのラインの検出時間や、反応状態を観察した。ここでは、12mmカバーテープを用いた検査ストリップでのラインの検出時間や、反応状態を検証するため、比較例となるカバーテープなしの検査ストリップと、9mmカバーテープを用いた実施例の検査ストリップ(図4C)とについても、再度検証試験を行った。
なお、この検証試験でも上記と同様に、40μL、80μL、120μLおよび160μLの各検体量の陽性検体(アデノウイルスCF試薬「生研」、デンカ生研)をピペットにて、各検査キットの検体滴下開口部に滴下してゆき、各検査キットの判定開口部に、コントロールラインおよびテストラインが出現した検出時間を測定し、各検査ストリップにおける溶液の流れ方について観察を行った。また、陽性検体の滴下から5分後、各検査キットを破壊してケース本体内の検体を除去することで、検査ストリップでの反応を停止させ、テストラインに出現したラインのライン強度をイムノクロマトリーダー(浜松ホトニクス社製)で測定した。
図14は、検体量を40μL、80μL、120μLおよび160μLとしたときの検査ストリップ毎に測定したテストラインのライン強度の平均値をまとめたグラフである。なお、図14も含め以下、12mmカバーテープを用いた実施例の検査ストリップを「12mmテープ」とも呼ぶ。なお、図14に示す「テープなし」および「9mmテープ」の結果は、図12に示す結果と異なっているが、これは検証試験を行ったときの湿度や温度等の周囲環境の条件の違いによるものである。
図14から、カバーテープなしの比較例となる検査ストリップでは、検体量が40μLのときに35mAbsあったテストラインでのライン強度が、液量の増加に伴って反応性が弱くなり、検体量が120μLのときには、40μLの時に比べて約1/3までライン強度が低下しており、この点、図12の結果と同じであった。一方、12mmテープも、9mmテープと同様に、検体量の増加に伴うライン強度の低下を抑制する効果が認められた。
また、検体量を変えていったときの検査ストリップでのテストラインの検出時間については図15に示すような結果が得られた。図15は、検体量を40μL、80μL、120μLおよび160μLとしたときの検査ストリップ毎にテストラインでライン(Tライン)が発現した検出時間の平均値をまとめたグラフである。図15から、比較例となるテープなしでは、検体量の増加とともにテストラインでのライン検出時間の遅延が認められたが、12mmテープでは、9mmテープと同様に、通常の規定量以上となる120μL以上添加した際、比較例のテープなしに比べてテストラインでのラインの検出時間が短くなっており、ラインの検出時間の遅延防止作用があることが認められた。以上より、12mmテープを用いた検査ストリップでも、仮に規定量以上の検体抽出液が滴下されてしまった際、テストラインでのライン強度が従来よりも明確に発現することから、従来よりも偽陰性の判断を回避できる。
(4−2)金コロイド粒子を用いた検査ストリップについて
次に、カバーテープ貼付によるテストラインでのラインの検出時間の短縮効果や、ラインの検出時間の遅延防止効果が、A群β溶連菌(ストレップA )を検体として用いたときや、金属ゾルを標識物質として用いたときでも得られるか否かについて確認する検証試験を行った。なお、この検証試験に用いた検査ストリップは、上述した検証試験とは金コロイド粒子を標識物質として用いた点が異なるのみで、上述した検証試験と同様に、カバーテープなしの検査ストリップと、図5に示した構成の5mm第1カバーテープの検査ストリップ22と、5mm第2カバーテープの検査ストリップ32と、9mmカバーテープの検査ストリップ42と、12mmカバーテープの検査ストリップ52とを用いた。
この場合、ストレップA用の検査ストリップがケース本体内に設置された検査キット(ストレップAプレートとも呼ぶ)を用いて検証試験を行った。なお、ストレップA用の検査ストリップは下記のようにして作製した。ここでは陽性検体として、8×105個/mLの濃度に調製したA群β溶連菌を用いた。先ず始めに、このA群β溶連菌の抗原を検出するためのカバーテープ貼付前の検査ストリップを、以下の手順に従って作製した。この場合、ニトロセルロースメンブラン(HF90 メンブラン,メルクミリポア社製)を用意した後、ウサギ由来抗A群β溶連菌糖鎖抗原F(ab‘)2化抗体を1.0mg/mlの濃度で1.0μl/cmの割合で、陽圧噴霧装置 Biojetxyz3060(日本バイオドット社)によって、当該メンブランの端部から見て展開方向の上流側にライン状に塗布することで、テストラインTL1を作製した。また、これとは別に、ヤギ由来抗マウスIgGポリクローナル抗体をPBSに溶解し、1.0mg/mlの濃度で1.0μl/ml の割合で、陽圧噴霧装置 Biojetxyz3060(日本バイオドット社)によって、当該メンブランの端部から見て展開方向のテストラインTL1下流側にライン状に塗布することで、コントロールラインCLを作製した。
抗体を塗布したメンブランは40℃の乾燥機に入れ一晩、十分乾燥させた後、1%BSA(牛血清アルブミン)と界面活性剤とを含むPBS溶液に30分間浸すことによりタンパク未吸着領域のブロッキングを行った後、オーブンにて一晩乾燥させてメンブランMを作製した。
次いで、試験管中で金コロイド溶液30容量に対してウサギ由来抗A群β溶連菌糖鎖抗原IgG抗体(1.0mg/mg)を1容量の割合で添加し、よく混合した後、4℃で一晩スターラーにて攪拌を行うことによりに反応させた。反応終了後、20,000Gで10分間遠心分離し、その後、上清を除去した金コロイド標識抗体に、1%BSAを含む4%ショ糖水を所定量添加してピペットにて再懸濁し、金コロイド標識抗体懸濁液を得た。
そして、網の上に並べた長さ8mmのコンジュゲートパッド(グラスファイバー、メルクミリポア社製)に1cmあたり約45μLの割合で、この金コロイド標識抗体懸濁液を塗布し、均一に広げ、オーブンにて乾燥させて、コンジュゲートパッドCPを作製した。
次いで、支持材111となるバッキングシート(Adhesives Research,Inc)に対して、作製したメンブランMを貼り合わせた後、同じく作製したコンジュゲートパッドCPをメンブランMと数ミリ重なり合うように貼り合わした。さらに、展開方向の上流側には、サンプルパッドSPとして、コンジュゲートパッドCPに数ミリ重なるようにしてグラスファイバー(メルクミリポア社製)を貼り合わせた。そして、メンブランMの下流側には、過剰な試薬を受け止めるための吸収パッドAbP(サンプル吸収パッド、メルクミリポア社製)がメンブランMと数ミリ重なるように配置して、カバーテープ貼付前の検査ストリップを作製した。
なお、この検証試験でも、上述した検証試験と同様に、各検査ストリップに貼付するカバーテープとして、ポリエステルフィルム(型番PET25(A) PL シン 8LK、日本バイオドット社製)を用い、所定の長さにせん断し、図4A、図4B、図4Cおよび図4Dに示す各位置に貼付した。各検査ストリップをそれぞれ10本ずつ用意して、それぞれケース本体内に設置してゆき複数の検査キットを用意した。次いで、検査キットの検体滴下開口部が上側に位置するように、机上の平らな面に各検査キットを水平に置いた後、陽性検体を規定量ピペットにて、各検査キットの検体滴下開口部に滴下してゆき、各検査ストリップの反応時間(ラインの検出時間)や、反応状態を観察した。
具体的には、各検査キットの判定開口部に、コントロールラインおよびテストラインが出現した時間を検出時間として測定し、各検査ストリップにおける溶液の流れ方について観察を行った。また、陽性検体の滴下から5分後、各検査キットを破壊してケース本体内の検体を除去することで、検査ストリップでの反応を停止させ、テストラインに出現したラインのライン強度をイムノクロマトリーダー(浜松ホトニクス社製)で測定した。
その結果、比較例であるカバーテープなしの検査ストリップでは、図16に示すような結果が得られた。このカバーテープなしの検査ストリップでは、ライン強度の10本の平均値が92.3mAbsとなり、テストラインにおけるライン(表中、Tラインと表記)発現の検出時間の10本の平均値が47.1secとなり、コントロールラインにおけるライン(表中、Cラインと表記)発現の検出時間の10本の平均値が38.4secとなった。さらに、カバーテープなしの検査ストリップでの溶液の流れ方やラインの綺麗さを目視で確認したところ、特に気になる状態変化は見られなかった。
また、他の比較例である全面カバーテープの検査ストリップでは、図17に示すような結果が得られた。図17から、全面カバーテープの検査ストリップでは、カバーテープなしの場合に比べて、ライン強度が低下してしまい、またCラインの検出時間も僅かであるが長くなってしまった。更には、全面カバーテープの検査ストリップでは、溶液の流れ方やラインの綺麗さを目視で確認したところ、煙のような筋状の流れが生じて流れ方にムラが確認された。また、メンブランからの溶液の抜けも悪く、陽性検体の滴下から5分経過後でもメンブラン上に金コロイド粒子の色が残ってメンブランでのラインが非常に見難い状態となっていた。
一方、本発明の5mm第1カバーテープの検査ストリップ22では、図18に示すような結果が得られた。図18から、5mm第1カバーテープの検査ストリップ22では、比較例となるカバーテープなしの検査ストリップや、同じく比較例となる全面カバーテープの検査ストリップに比べて、10本のライン強度の平均値が119.1mAbsとなり、比較例よりもライン強度が上昇してラインが見やすくなることが確認できた。また、Tラインの検出時間も比較例よりも短くなり、短時間でラインの発現有無が判断できることが確認できた。さらに、この5mm第1カバーテープの検査ストリップ22では、溶液の流れ方やラインの綺麗さを目視で確認したところ、溶液の流れ方もムラがなく均等に流れ、またラインも明確に発現しており、特に気になる状態変化は見られなかった。
また、本発明の5mm第2カバーテープの検査ストリップ32では、図19に示すような結果が得られた。図19から、5mm第2カバーテープの検査ストリップ32では、比較例となるカバーテープなしの検査ストリップや、同じく比較例となる全面カバーテープの検査ストリップに比べて、10本のライン強度の平均値が123.5mAbsとなり、比較例よりもライン強度が上昇してラインが見やすくなることが確認できた。また、TラインやCラインの検出時間も比較例よりも短くなり、短時間でラインの発現有無が判断できることが確認できた。さらに、この5mm第2カバーテープの検査ストリップ32では、溶液の流れ方やラインの綺麗さを目視で確認したところ、溶液の流れ方もムラがなく均等に流れ、またラインも明確に発現しており、特に気になる状態変化は見られなかった。
また、本発明の9mmカバーテープの検査ストリップ42では、図20に示すような結果が得られた。図20から、9mmカバーテープの検査ストリップ42でも、比較例となるカバーテープなしの検査ストリップや、同じく比較例となる全面カバーテープの検査ストリップに比べて、10本のライン強度の平均値が122.2mAbsとなり、比較例よりもライン強度が上昇してラインが見やすくなることが確認できた。また、TラインやCラインの検出時間も比較例よりも短くなり、短時間でラインの発現有無が判断できることが確認できた。さらに、この9mmカバーテープの検査ストリップ42では、溶液の流れ方やラインの綺麗さを目視で確認したところ、溶液の流れ方もムラがなく均等に流れ、またラインも明確に発現しており、特に気になる状態変化は見られなかった。
さらに、本発明の12mmカバーテープの検査ストリップ52では、図21に示すような結果が得られた。図21から、12mmカバーテープの検査ストリップ52でも、比較例となるカバーテープなしの検査ストリップや、同じく比較例となる全面カバーテープの検査ストリップに比べて、10本のライン強度の平均値が147.6mAbsとなり、比較例よりもライン強度が上昇してラインが見やすくなることが確認できた。また、TラインやCラインの検出時間も比較例よりも短くなり、短時間でラインの発現有無が判断できることが確認できた。但し、この12mmカバーテープの検査ストリップ52では、溶液の流れ方やラインの綺麗さを目視で確認したところ、溶液の流れ方にムラがあり、ラインの発現状態にも濃淡のムラがあるものもあった。更にはメンブランの溶液の抜けが悪いものもあり、陽性検体の滴下から5分経過後でもメンブラン上に金コロイド粒子の色が残ってメンブランでのラインが非常に見難いものもあった。
このことから、ライン強度を上昇させ検出時間を短縮化させるだけでなく、さらに検査ストリップでの溶液の流れ方やラインの綺麗さを維持することをも考慮すると、12mmカバーテープを用いるよりも、5mm第1カバーテープや、5mm第2カバーテープ、9mmカバーテープを用いることが望ましいことが確認できた。
(4−3)インフルエンザウイルスの検出に用いる検査ストリップについて
次に、A型インフルエンザウイルスと、B型インフルエンザウイルスとを陽性検体として使用し、カバーテープの有効性について検証試験を行った。この検証試験では、カバーテープを設けない従来の検査ストリップ(カバーテープなし)と、カバーテープの貼付範囲が異なる、図4A、図4B、図4Cおよび図4Dに示す4種類の検査ストリップと、コンジュゲートパッドCPだけでなくメンブランMの全面にまでカバーテープを貼付した検査ストリップ(全面カバーテープ貼付)とを用意し、テストラインTL1,TL2に発現するラインのライン強度と、テストラインTL1,TL2およびコントロールラインCLにラインが発現するまでの検出時間とを調べた。なお、この検証試験に用いる、これら複数種類の検査ストリップは、カバーテープの構成が異なるのみで、支持材111や、サンプルパッド、コンジュゲートパッド、メンブラン(ここではニトロセルロースメンブランを使用)、吸収パッドの各大きさや材質は同じとした。
この検証試験で用いたインフルエンザウイルス用の検査ストリップは下記のようにして作製した。先ず始めに、ニトロセルロースメンブラン(HF90メンブラン,メルクミリポア社製)を用意した後、マウス由来抗インフルエンザウイルスA型IgGモノクローナル抗体を1.0mg/mlの濃度にした液体を、1.0μl/cmの割合にて陽圧噴霧装置Biojet xyz3060(日本バイオドット社)によって、メンブランの端部から見て展開方向の上流側所定位置にライン状に塗布してA型テストラインTL1を作製した。
また、抗インフルエンザウイルスB型IgGモノクローナル抗体を1.0mg/mlの濃度にした液体を、1.0μl/cmの割合にて陽圧噴霧装置Biojet xyz3060(日本バイオドット社)によって、メンブランの端部から見てA型テストラインTL1よりも展開方向下流側にライン状に塗布してB型テストラインTL2を作製した。さらに、ヤギ由来抗マウスIgGポリクローナル抗体をPBSに溶解し、1.0mg/mlの濃度とした溶液を、1.0μl/mlの割合にて陽圧噴霧装置Biojet xyz3060(日本バイオドット社)によって、A型テストラインTL1およびB型テストラインTL2から見て展開方向下流側に、ライン状に塗布してコントロールライン(リファレンスラインとも呼ぶ)CLを作製した。
そして、各抗体を塗布したメンブランを40℃の乾燥機に入れ一晩、十分乾燥させた後、1%BSA(牛血清アルブミン)と界面活性剤とを含むPBS溶液に当該メンブランを30分間浸し、タンパク質未吸着領域のブロッキングを行った後、オーブンにて一晩乾燥させて、検証試験に用いるメンブランMを作製した。
次いで、青色着色ラテックス粒子標識抗体懸濁液と、赤色着色ラテックス粒子標識抗体懸濁液とを下記のようにして作製した。先ず始めに、試験管中で、4%着色ラテックス粒子(青色着色ラテックス粒子または赤色着色ラテックス粒子)を含む緩衝液(50mM MES pH6.0)と、0.1g/mLの水溶性カルボジイミド(1-Ethyl-3-(3-dimethylaminopropyl)carbodiimide,hydrochloride、和光純薬)溶液とを混合して40分間攪拌して反応させた後、遠心分離し、過剰な水溶性カルボジイミドを除去した、青色着色ラテックス粒子と赤色着色ラテックス粒子とを得た。なお、ここでは、活性化させた青色着色ラテックス粒子をA型インフルエンザウイルス用とし、活性化させた赤色着色ラテックス粒子をB型インフルエンザウイルス用とした。
そして、活性化させた青色着色ラテックス粒子にマウス由来抗インフルエンザウイルスA型IgGモノクローナル抗体(1.0mg/mL)を重量比20:1の割合にて添加して、一晩室温で撹拌し、青色着色ラテックス粒子とマウス由来抗インフルエンザウイルスA型IgGモノクローナル抗体とを結合させた後、1%BSAを含むリン酸緩衝液pH7.5を加え、一晩反応させることにより未反応の活性基をブロッキングした。これにより得られた青色着色ラテックス粒子溶液を、20,000Gで10分間遠心分離し、インフルエンザA型着色ラテックス粒子標識抗体を得た。
一方、活性化させた赤色着色ラテックス粒子にはマウス由来抗インフルエンザウイルスB型IgGモノクローナル抗体(1.0mg/mL)を重量比20:1の割合にて添加して、一晩室温で撹拌し、赤色着色ラテックス粒子とマウス由来抗インフルエンザウイルスB型IgGモノクローナル抗体とを結合させた後、1%BSAを含むリン酸緩衝液pH7.5を加え、一晩反応させることにより未反応の活性基をブロッキングした。これにより得られた赤色着色ラテックス粒子溶液を、20,000Gで10分間遠心分離し、インフルエンザB型着色ラテックス粒子標識抗体を得た。
そして、これらインフルエンザA型着色ラテックス粒子標識抗体およびインフルエンザB型着色ラテックス粒子標識抗体を混合し、1%BSAを含む4%ショ糖水を所定量添加してピペットにて再懸濁した着色ラテックス粒子標識抗体懸濁液を作製した後、網の上に並べた8mm幅のコンジュゲートパッド(グラスファイバー、メルクミリポア社製)に、1cmあたり約45μLの割合で着色ラテックス粒子標識抗体懸濁液を塗布し、均一に広げ、オーブンにて一晩乾燥させ、コンジュゲートパッドCPを作製した。
次いで、支持材111となるバッキングシート(Adhesives Research, Inc)に、作製したメンブランMを張り合わせた後に、同じく作製したコンジュゲートパッドCPをメンブランMに数ミリ重なり合うように張り合わした。さらに、展開方向の上流部には、サンプルパッドSPとして、コンジュゲートパッドCPに数ミリ重なるようにしてグラスファイバー(メルクミリポア社製)を張り合わせた。そして、メンブランMの下流側には、過剰な試薬を受け止めるための吸収パッドAbP(サンプル吸収パッド、メルクミリポア社製)をメンブランMと数ミリ重なるように配置して、カバーテープ貼付前の検査ストリップを作製した。
各検査ストリップに貼付するカバーテープとしてはポリエステルフィルム(型番PET25(A) PL シン 8LK、日本バイオドット社製)を用い、所定の長さにせん断し、図4A、図4B、図4Cおよび図4Dに示す各位置に貼付した。なお、図4A、図4B、図4Cおよび図4Dでは、1つのテストラインTL1だけが図示されているが、この検証試験では、テストラインTL1とコントロールラインCLとの間に、テストラインTL1と並走するようにして他のテストラインTL2(図示せず)も形成している。
因みに、この検証試験で使用した各検査ストリップの構成は、上述した「(4−1)青色着色ラテックス粒子を用いた検査ストリップについて」で説明した図4Aに示す検査ストリップ22(5mm第1カバーテープ)や、図4Bに示す検査ストリップ32(5mm第2カバーテープ)、図4Cに示す検査ストリップ42(9mmカバーテープ)、図4Dに示す検査ストリップ52(12mmカバーテープ)、比較例となるカバーテープなしの検査ストリップ、コンジュゲートパッドCPおよびメンブランMの全面を覆うようなカバーテープ117を貼付した検査ストリップ(全面カバーテープ)の各構成と同じであるため、ここではその説明は省略する。
5mm第1カバーテープ、5mm第2カバーテープ、9mmカバーテープ、12mmカバーテープ、カバーテープ無し、および全面カバーテープの各検査ストリップをそれぞれ10本ずつ用意し、それぞれケース本体内に設置してゆき、異なる種類毎にそれぞれ10つの検査キットを用意した。次いで、検査キットの検体滴下開口部が上側に位置するように机上の平らな面に各検査キットを水平に置いた後、陽性検体を規定量(90μl)ピペットにて、各検査キットの検体滴下開口部に滴下してゆき、各検査ストリップの反応時間 (ラインの検出時間)や、反応状態を観察した。なお、陽性検体として、A型インフルエンザ抗原275U/mLとB型インフルエンザ抗原53U/mLの2種類を用意し、陽性検体毎に検証試験を行った。
具体的には、各検査キットの判定開口部に、コントロールラインCLおよびテストラインTL1,TL2にラインが出現した時間を検出時間として測定し、各検査ストリップにおける溶液の流れ方について観察を行った。また、陽性検体の滴下から5分後、各検査キットを破壊してケース本体内の検体を除去することで、検査ストリップでの反応を停止させ、テストラインTL1,TL2に出現したラインのライン強度をイムノクロマトリーダー(浜松ホトニクス社製)で測定した。
その結果、比較例であるカバーテープなしの検査ストリップでは、図22および図23に示すような結果が得られた。図22は、A型インフルエンザウイルスが検出可能なテストラインTL1での結果を示し、図23は、B型インフルエンザウイルスが検出可能なテストラインTL2での結果を示す。図22に示すようにA型インフルエンザウイルスを検出するテストラインTL1のライン強度の10本の平均値は64.9mAbsであり、図23に示すようにB型インフルエンザウイルスを検出するテストラインTL2のライン強度の10本の平均値は66.6mAbsであった。また、図22および図23に示すように、テストラインTL1,TL2における各ライン発現の検出時間の10本の平均値は、それぞれ34.0sec、33.7secとなった。検査ストリップでの溶液(陽性検体)の流れ方や、テストラインTL1,TL2に出現した各ラインの綺麗さを目視で確認したところ、特に気になる状態変化は見られなかった。
他の比較例である全面カバーテープの検査ストリップでは、図24および図25に示すような結果が得られた。図24は、A型インフルエンザウイルスが検出可能なテストラインTL1での結果を示し、図25は、B型インフルエンザウイルスが検出可能なテストラインTL2での結果を示す。図24および図25に示すように、他の比較例である全面カバーテープの検査ストリップでは、カバーテープなしの検査ストリップに比べて、ライン強度が低下した。全面カバーテープの検査ストリップについて、検査ストリップでの溶液の流れ方や、テストラインTL1,TL2に出願した各ラインの綺麗さを目視で確認したところ、煙のような筋状の流れが生じており、流れ方にムラがあることが確認された。また、テストラインTL1,TL2のいずれにおいても、メンブランMからの溶液の抜けも悪く、陽性検体の滴下から5分経過後でもメンブランM上にそれぞれの着色ラテックス粒子の色が残ってメンブランMでのラインが非常に見難い状態となった。
一方、実施例となる5mm第1カバーテープの検査ストリップでは、図26および図27に示すような結果が得られた。図26は、A型インフルエンザウイルスが検出可能なテストラインTL1での結果を示し、図27は、B型インフルエンザウイルスが検出可能なテストラインTL2での結果を示す。図26および図27に示すように、5mm第1カバーテープの検査ストリップでは、テストラインTL1,TL2の10本のライン強度の平均値がそれぞれ88.4mAbs、78.8mAbsとなり、カバーテープなしの検査ストリップや、全面カバーテープの検査ストリップ(以下、これらをまとめて単に比較例と呼ぶ)よりもライン強度が上昇し、テストラインTL1,TL2でのラインが見易くなることが確認できた。
また、5mm第1カバーテープの検査ストリップでは、テストラインTL1,TL2やコントロールラインCLでのラインの検出時間が比較例よりも短くなり、短時間でラインの発現の有無が判断できることが確認できた。さらに、5mm第1カバーテープの検査ストリップでは、検査ストリップでの溶液の流れ方や、テストラインTL1,TL2に出現したラインの綺麗さを目視で確認したところ、溶液の流れ方もムラがなく均等に流れ、また、ラインも明確に発現しており、特に気になる状態変化は見られなかった。
他の実施例となる5mm第2カバーテープの検査ストリップでは、図28および図29に示すような結果が得られた。図24は、A型インフルエンザウイルスが検出可能なテストラインTL1での結果を示し、図25は、B型インフルエンザウイルスが検出可能なテストラインTL2での結果を示す。図28および図29に示すように、5mm第2カバーテープの検査ストリップでは、テストラインTL1,TL2の10本のライン強度の平均値がそれぞれ84.2mAbs、77.5mAbsとなり、比較例よりもライン強度が上昇してテストラインTL1,TL2でのラインが見易くなることが確認できた。
また、5mm第2カバーテープの検査ストリップでは、テストラインTL1,TL2やコントロールラインCLでのラインの検出時間も比較例よりも短くなり、短時間でラインの発現の有無が判断できることが確認できた。さらに、5mm第2カバーテープの検査ストリップでは、検査ストリップでの溶液の流れ方や、テストラインTL1,TL2で出現したラインの綺麗さを目視で確認したところ、溶液の流れ方もムラがなく均等に流れ、また、ラインも明確に発現しており、特に気になる状態変化は見られなかった。
実施例である9mmカバーテープの検査ストリップでは、図30および図31に示すような結果が得られた。図30は、A型インフルエンザウイルスが検出可能なテストラインTL1での結果を示し、図31は、B型インフルエンザウイルスが検出可能なテストラインTL2での結果を示す。図30および図31に示すように、9mmカバーテープの検査ストリップでは、テストラインTL1,TL2の10本のライン強度の平均値がそれぞれ98.9mAbs、91.8mAbsとなり、比較例よりもライン強度が上昇してラインが見易くなることが確認できた。
また、9mmカバーテープの検査ストリップでは、テストラインTL1,TL2やコントロールラインCLでのラインの検出時間も比較例よりも短くなり、短時間でラインの発現の有無が判断できることが確認できた。さらに、9mmカバーテープの検査ストリップでは、検査ストリップでの溶液の流れ方や、テストラインTL1,TL2で出現したラインの綺麗さを目視で確認したところ、溶液の流れ方もムラがなく均等に流れ、また、ラインも明確に発現しており、特に気になる状態変化は見られなかった。
実施例となる12mmカバーテープの検査ストリップでは、図32および図33に示すような結果が得られた。図32は、A型インフルエンザウイルスが検出可能なテストラインTL1での結果を示し、図33は、B型インフルエンザウイルスが検出可能なテストラインTL2での結果を示す。図32および図33に示すように、12mmカバーテープの検査ストリップでは、テストラインTL1,TL2の10本のライン強度の平均値がそれぞれ74.1mAbs、71.5mAbsとなり、比較例よりもライン強度が上昇してラインが見易くなることが確認できた。しかしながら、12mmカバーテープの検査ストリップでは、検査ストリップでの溶液の流れ方や、テストラインTL1,TL2で出現したラインの綺麗さを目視で確認したところ、溶液の流れ方にムラがあり、ラインの発現状態にも濃淡のムラが確認された。
このことから、インフルエンザウイルス用の検査ストリップでも、ライン強度を上昇させ検出時間を短縮化させるだけでなく、さらに検査ストリップでの溶液の流れ方やラインの綺麗さを維持することをも考慮すると、12mmカバーテープを用いるよりも、5mm第1カバーテープや、5mm第2カバーテープ、9mmカバーテープを用いることが望ましいことが確認できた。