JP2016102811A - パルスレーザ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】狭帯域のレーザ光を出力可能なパルスレーザ装置を提供する。
【解決手段】パルスレーザ装置1は、パルス光を出力するレーザ光源10と、レーザ光源10から出力されたパルス光の位相を変化させる位相変調器32と、レーザ光源10から出力されたパルス光を検出して検出信号を出力する光検出器31と、光検出器31から出力された検出信号に基づいてパルス光の時間軸波形に比例した位相変化を生じさせる駆動信号V2(t)を出力し、位相変調器32を駆動する位相変調器駆動電源35とを備えて構成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、レーザ光源から出力されたパルス光を、伝送用の光ファイバや増幅用の光ファイバ等に入射して出力させる使用形態のパルスレーザ装置に関する。
上記のようなパルスレーザ装置を有するレーザ装置は、半導体や液晶パネルの製造工程で用いられる露光装置や検査装置用の光源、顕微鏡や望遠鏡等のような観察装置の光源として好適に用いられる(例えば特許文献1を参照)。
このようなレーザ装置では、レーザ光源から出射されたパルス光が伝送用の光ファイバにより伝送され、あるいはファイバ増幅器における増幅用の光ファイバにより増幅される。光ファイバのコアは小径なため、高いピークパワーのパルス光を伝送あるいは増幅すると、非線形光学効果によって自己位相変調(SPM:Self Phase Modulation)が発生する(例えば特許文献2を参照)。
特開2002−50815号公報 特開2012−2965号公報
自己位相変調(SPM)は、多くの場合、光ファイバ内を伝播するレーザ光のスペクトル幅を拡げる方向に作用するため、光ファイバから出射されるレーザ光(出力光)のスペクトル幅が、光ファイバに入射するレーザ光(入射光)のスペクトル幅よりも広くなるスペクトル拡がりが発生する。特に、コア直径が数μm〜十数μm程度と小径なシングルモードファイバでは、伝播するレーザ光のパワー密度が極めて高くなるため、自己位相変調によるスペクトル拡がりが大きくなる。スペクトル幅の拡大は、単色性が高い狭帯域の光源が求められる場合に障害となる。
例えば、ピークパワーがP=10kWのパルス光を、モード径が15μm、長さがL=1mの伝送用の光ファイバに入射して伝送させる場合、光ファイバから出射するパルス光は、自己位相変調によってφ≒γPL≒7radの位相変調を受ける。ここで、γは非線形光学効果を表す量であり、γ=2πn2/λAeffで求められる。式中のn2は非線形屈折率であり、n2≒3×10-20[m2/W]、Aeffは光ファイバの導波モードの実効断面積である。
この結果、仮に、光ファイバに入射する入射光がフーリエ限界のパルス光で狭帯域のスペクトルをもっていたとしても、光ファイバ伝播後には、出射光はφ倍程度にスペクトルが拡大する。これは、狭帯域が要求される光源を実現する際の大きな障害となる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、狭帯域のパルス光を出力可能なパルスレーザ装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決する手段のひとつとして、本願発明者らは図4に示すようなパルスレーザ装置9を考案した。このパルスレーザ装置9は、パルス光を出力するレーザ光源110と、レーザ光源110から出力されたパルス光の位相を変化させる位相変調器132とを備える。レーザ光源110は、レーザ光を発生する光源111と、光源111により発生されたレーザ光の強度を変調してパルス光を出力する強度変調器112と、パルス発生器116を有し強度変調器112および位相変調器132を駆動する変調器駆動電源115とを備えて構成される。図4には、光源111の一例としてDFB半導体レーザ(DFB−LD:Distributed Feedback Laser Diode)、強度変調器112の一例として強度変調型の電気光学変調器(EOM:Electro Optic Modulator、以下EO強度変調器という)、位相変調器132の一例として位相変調型の電気光学変調器(EOM、以下EO位相変調器という)を用いた構成を例示する。
本構成例において、光源111はCW(Continuous Wave)で発光させる。EO強度変調器112には、レーザ光源から出力すべきパルス光のパルスパターンに対応した波形の強度変調器駆動信号V1(t)を変調器駆動電源115から与え、光源111から出力されたレーザ光の一部を切り出してパルス光を生成する。EO強度変調器112により生成されるパルス光の時間的な強度変化である時間軸波形P(t)は、EO強度変調器112の透過率と印加電圧の関係から次式で表わされる。式中のVπはEO強度変調器112の半波長電圧である。
Figure 2016102811
いま、パルスレーザ装置9から出力されたパルス光を伝送しあるいは増幅する光ファイバについて、分散などに起因する時間軸波形の歪みがないと仮定すると、光ファイバ内で生じる自己位相変調(SPM)による位相変調φSPM(t)は時間軸波形P(t)に比例し、次式で表わされる。
Figure 2016102811
従って、光ファイバ内で生じるSPMによる位相変調φSPM(t)と逆の位相変調を、EO位相変調器132により予めパルス光にかけておくことによって、光ファイバ内で生じるSPMによる位相変調φSPM(t)を相殺し、光ファイバから狭帯域のパルス光を出力させることができる。あるいは、EO位相変調器132を光ファイバの出射端近傍に設け、光ファイバ内で生じるSPMによる位相変調φSPM(t)と逆の位相変調をかけることによって、光ファイバ内で生じたSPMによる位相変調φSPM(t)を相殺し、狭帯域のパルス光を出力させることができる。なお、逆の位相変調とは、光ファイバ内で生じるSPMによる位相変調と変調量が略同一で逆位相の位相変調をいう。
EO位相変調器132によりφSPM(t)と逆の位相変調をかけるためには、EO位相変調器132を駆動する位相変調器駆動信号V2(t)は次式のようになる。
Figure 2016102811
このような構成により、伝送用あるいは増幅用の光ファイバ内で生じる自己位相変調によるスペクトル拡がりを抑制し、狭帯域のパルス光を出力させることができる。このとき、変調器駆動電源のパルス発生器116からは、V2(t)のような信号を発生させる必要があり、比較的複雑な電気回路を必要とする。また、この方法では、パルス光P(t)が外部から与えられるような場合、例えば、モードロックレーザやQスイッチレーザから与えられるような場合に、位相変調器駆動信号V2(t)を高い時間精度で入射パルスに同期させる必要があり、電気回路を含めた制御構成が一層複雑になるおそれがある。そこで、発明者らはさらに研究を進め、以下のような構成のパルスレーザを提案する。
本発明を例示する態様のパルスレーザ装置は、パルス光を出力するレーザ光源と、このレーザ光源から出力されたパルス光の位相を変化させる位相変調器と、レーザ光源から出力されたパルス光を検出して強度変化の時間軸波形である検出信号を出力する光検出器と、光検出器から出力された検出信号に基づいて前記強度変化の時間軸波形に比例した位相変化を生じさせる駆動信号を出力し、位相変調器を駆動する位相変調器駆動電源とを備えて構成される。
本発明を例示する他の態様のパルスレーザ装置は、パルス光を出力するレーザ光源と、このレーザ光源から出力されたパルス光の位相を変化させる位相変調器と、レーザ光源から出力されたパルス光を増幅するファイバ増幅器と、ファイバ増幅器により増幅されたパルス光を検出して強度変化の時間軸波形である検出信号を出力する光検出器と、光検出器から出力された検出信号に基づいて前記強度変化の時間軸波形に比例した位相変化を生じさせる駆動信号を出力し、位相変調器を駆動する位相変調器駆動電源とを備えて構成される。
なお、前記位相変調器による位相変調は、レーザ光源から出力されたパルス光が入射する光ファイバにおいて生じるパルス光の自己位相変調と変調量が略同一で逆位相の位相変調とすることができる。また、前記位相変調器は位相変調型の電気光学変調器であり、前記駆動信号は光検出器から出力された検出信号に比例した時間軸波形の電気信号とすることができる。
また、前記レーザ光源から出力されたパルス光が入射する光ファイバは、シングルモードファイバとすることができる。
さらに、前記レーザ光源は、レーザ光を発生する光源と、この光源により発生されたレーザ光の強度を変調する強度変調器と、出力すべきパルス光のパターンに対応した駆動信号を生成して強度変調器を駆動する強度変調器駆動電源とを備えて構成することができる。
本発明によれば、光検出器から出力された検出信号、すなわち前述したパルス光の時間的な強度変化である時間軸波形P(t)に基づき、これに比例した位相変化を生じさせる駆動信号が位相変調器駆動電源から位相変調器に供給される。そのため、SPMによる位相変調φSPM(t)を相殺し、狭帯域のパルス光を出力させることができる。
また、位相変調器駆動電源は前述したV2(t)のような比較的複雑な信号を人為的に生成する必要がないため、簡明な構成で狭帯域のパルス光を出力するパルスレーザを提供することができる。さらに、本構成においては光検出器によりパルス光を検出するため、パルス光が外部から与えられるか内部で発生するかに拘わらず、簡明な構成で狭帯域のパルス光を出力するパルスレーザを提供することができる。
本発明の適用例として示す、第1構成形態のパルスレーザ装置の概要構成図(ブロック図)である。 本発明の適用例として示す、第2構成形態のパルスレーザ装置の概要構成図(ブロック図)である。 本発明の適用例として示す、第3構成形態のパルスレーザ装置の概要構成図(ブロック図)である。 狭帯域化を実現するための、他の構成形態のパルスレーザ装置の概要構成図(ブロック図)である。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。本発明の適用例として、第1構成形態のパルスレーザ装置1の概要構成図(ブロック図)を図1に示す。パルスレーザ装置1は、パルス光を出力するレーザ光源10と、自己位相変調を補償するSPM補償部30と、パルスレーザ装置全体の作動を制御する制御部(不図示)とを備えて構成される。
パルスレーザ装置1から出力されたパルス光は、図示省略する増幅用の光ファイバまたは伝送用の光ファイバに入射される。これらの光ファイバは、シングルモードファイバ/マルチモードファイバのいずれを用いることもできるが、モード径が小さく自己位相変調の影響を受けやすいシングルモードファイバの場合に、より大きな効果を得ることができる。逆説すれば、以下に説明するパルスレーザ装置1,2,3によれば、光ファイバ内で生じる自己位相変調の影響を排除して、シングルモードファイバを用いることができる。
レーザ光源10は、CWのレーザ光を発生する光源11と、光源11により発生されたレーザ光の強度を変調する強度変調器12と、パルスレーザ装置1から出力すべきパルス光のパターンに対応した強度変調器駆動信号V1(t)を生成して強度変調器12を駆動する強度変調器駆動電源15とを備えて構成される。
図1には、光源11としてDFB半導体レーザ(DFB−LD)を用い、強度変調器12として強度変調型の電気光学変調器(EOM、EO強度変調器)を用いた構成を例示する。強度変調器駆動電源15は、パルスレーザ装置1から出力すべきパルス光のパターン(例えば、オン時間1nsec、繰り返し周波数1MHz等)に対応したパルス信号を発生するパルス発生器16、およびパルス発生器16により発生されたパルス信号をEO強度変調器12の駆動に必要な振幅レベルまで増幅して出力する増幅器(不図示)を有して構成される。
すなわち、強度変調器駆動電源15は、パルスレーザ装置1から出力すべきパルス光のパターンに対応した強度変調器駆動信号V1(t)をEO強度変調器12に出力する。これにより、光源11で発生されたCWのレーザ光は、EO強度変調器12によって一部が切り出され、時間軸波形P(t)のパルス光がレーザ光源10から出力される。
このように、光源11であるDFB半導体レーザからCWのレーザ光を出力させ、その一部をEO強度変調器12により切り出すように構成すると、DFB半導体レーザを直接パルス変調したときに発生するチャープ(周波数変調)を伴うことがなく、フーリエ限界に近い極めて狭帯域のパルス光を発生させることができる。なお、パルス光の帯域幅は多少拡がるが、光源11からオン時間が十分に長いパルス光を出力させ、EO強度変調器12によってその一部を切り出すように構成しても良い。
SPM補償部30は、レーザ光源10から出力されたパルス光を検出して時間軸波形P(t)に比例した検出信号VPD(t)を出力する光検出器31と、レーザ光源10から出力されたパルス光の位相を変化させる位相変調器32と、光検出器31から出力された検出信号に基づいて時間軸波形P(t)に比例した位相変化を生じさせる位相変調器駆動信号V2(t)を出力する位相変調器駆動電源35とを備えて構成される。強度変調器12と位相変調器32との間は接続用の光ファイバ22で接続され、この光ファイバ22にパルス光の一部(例えば数%程度)を分岐して取り出すカプラ(不図示)が設けられる。そして、カプラを介して取り出されたパルス光が光検出器31に導かれて検出される。
図1には、光検出器31としてフォトダイオード(PD)を用い、位相変調器32として位相変調型の電気光学変調器(EOM、EO位相変調器)を用いた構成を例示する。位相変調器駆動電源35には、光検出器31から出力された検出信号VPD(t)に所要の遅延を与え、必要に応じて波形を調整する調整回路36が設けられる。また、調整回路36から出力された信号をEO位相変調器32の駆動に必要な振幅レベルまで増幅する増幅器37が設けられる。
このとき、光検出器31から出力される検出信号VPD(t)は、パルス光の時間軸波形P(t)に比例し、次式で示される。
Figure 2016102811
前述したように、パルス光を伝送しあるいは増幅する光ファイバについて、分散などに起因する時間軸波形の歪みがないと仮定すると、光ファイバ内で生じるSPMによる位相変調φSPM(t)は、パルス光の時間軸波形P(t)に比例する(前述の(2)式を参照)。そして、光ファイバ内で生じるSPMによる位相変調φSPM(t)と逆の位相変調を、EO位相変調器32により予めパルス光にかけておくことによって、光ファイバ内で生じるSPMによる位相変調φSPM(t)を相殺することができる。
すなわち、光検出器31から出力される検出信号VPD(t)は、光ファイバ内でのSPMによる位相変調φSPM(t)を相殺するためにEO位相変調器32にかけるべき電気信号と相似する波形であることが分かる。光検出器31から出力された検出信号VPD(t)は、調整回路36により必要に応じて波形が調整され、EO位相変調器32の位置においてパルス光P(t)と位相変調とのタイミングを正確に合わせるため必要に応じて所要の遅延が与えられる。調整回路36により調整された検出信号は、増幅器37によりEO位相変調器32の駆動に必要な振幅レベルに増幅され、増幅された位相変調器駆動信号V2(t)がEO位相変調器32に入力される。
このとき、位相変調器駆動信号V2(t)は、光ファイバにおいて生じるパルス光の自己位相変調と逆の位相変調をEO位相変調器32において生じさせる電気信号である。ここで、パルス光の自己位相変調φSPMと変調量が同一となるV2の振幅は、およそ次式で示す程度となる。
Figure 2016102811
このような位相変調器駆動信号V2(t)を、パルス光が透過するタイミングに合わせてEO位相変調器32に入力し、位相変調をかけることにより、その後入射する光ファイバで生じるSPMによる位相変調と変調量が同一で逆位相の変調を受けたパルス光が出力される。そのため、光ファイバ内ではSPMによって生じる位相変調が相殺され、光ファイバの出射端からスペクトル幅が狭い狭帯域のパルス光が出力される。
なお、上記実施例では、EO位相変調器32の位置においてパルス光P(t)と位相変調とのタイミングを合わせるため、光検出器31から出力された検出信号(電気信号)に所要の遅延を与える構成を例示した。しかしながら、パルスレーザ装置は、EO位相変調器32の位置においてパルス光P(t)と位相変調とのタイミングが合致するように構成すれば他の手段であっても良い。例えば、EO強度変調器12とEO位相変調器32との間を結ぶ接続用の光ファイバ22の長さ、またはこの光ファイバ22から分岐して光検出器31との間を結ぶ光ファイバの長さを調整し、あるいは、光の遅延回路(delay line)によって調整してパルスレーザ装置を構成しても良い。電気的な遅延回路と光学的な遅延回路とを適宜組み合わせて構成することも可能である。また、調整回路36は、増幅器37の持つ入力/出力の非線形応答を補正するように構成しても良い。
このように、以上説明したパルスレーザ装置1によれば、光ファイバ内で生じるSPMによる位相変調を相殺し、狭帯域のパルス光を出力させることができる。また、図4を参照して説明したように、EO位相変調器32を駆動する位相変調器駆動信号V2(t)として、複雑な信号を独立して発生させる必要がないため、簡明な構成で狭帯域のパルス光を出力するパルスレーザ装置を提供することができる。
次に、第2構成形態のパルスレーザ装置2について、その概要構成を例示する図2を参照して説明する。パルスレーザ装置2は、パルス光を出力するレーザ光源10と、レーザ光源10から出力されたパルス光を増幅するファイバ増幅器20と、自己位相変調を補償するSPM補償部30と、パルスレーザ装置全体の作動を制御する制御部(不図示)とを備えて構成される。
本構成形態のパルスレーザ装置2は、ファイバ増幅器20により増幅されたパルス光を光検出器31で検出し、その検出信号に基づいてファイバ増幅器20の増幅用ファイバ25で生じる自己位相変調を補償するように構成される。すなわち、本構成形態のパルスレーザ装置2は、現実に光ファイバを透過したパルス光に基づいてSPMによる位相変調を補償する点において、光ファイバを透過する前のパルス光に基づいてSPMによる位相変調を補償する第1構成形態のパルスレーザ装置1と相違する。パルス光を出力するレーザ光源10、および自己位相変調を補償するSPM補償部30の基本的な構成は、前述したパルスレーザ装置1のレーザ光源10およびSPM補償部30と同様である。そこで、図2には同様の構成部分に同一番号を付して説明を簡略化し、相違する部分を中心に説明する。
レーザ光源10は、CWのレーザ光を発生する光源11と、光源11により発生されたレーザ光の強度を変調する強度変調器12と、パルスレーザ装置1から出力すべきパルス光のパターンに対応した強度変調器駆動信号V1(t)を生成して強度変調器12を駆動する強度変調器駆動電源15とを備えて構成される。光源11としてDFB半導体レーザ(DFB−LD)、強度変調器12としてEO強度変調器(EOM)を用いた構成を例示する。強度変調器駆動電源15は、パルス発生器16および不図示の増幅器を有して構成される。本構成により、光源11で発生されたCWのレーザ光は、EO強度変調器12によって一部が切り出され、時間軸波形P(t)のパルス光がレーザ光源10から出力される。
ファイバ増幅器20は、コアにレーザ媒質がドープされた増幅用の光ファイバ(増幅用ファイバ)25と、増幅用ファイバ25を励起する不図示の励起光源と、励起光源の作動を制御する不図示の制御部とを備えて構成される。図2には、増幅用ファイバ25のコアにエルビウム(Er)がドープされたエルビウム・ドープ・ファイバ増幅器(EDFA)を用いた構成を例示する。増幅用ファイバ25は、モード径が1〜15μm程度以下のシングルモードファイバである。なお、レーザ光源10およびファイバ増幅器20は、パルスレーザ装置から出力するパルス光の波長に応じて適宜選定することができ、例えば、ファイバ増幅器20として、イッテルビウム・ドープ・ファイバ増幅器(YDFA)やツリウム・ドープ・ファイバ増幅器(TDFA)などを用いることもできる。
SPM補償部30は、レーザ光源10から出力されたパルス光の位相を変化させる位相変調器32と、ファイバ増幅器20から出力される増幅されたパルス光(以下、増幅パルス光という)を検出して、その時間軸波形PA(t)に比例した検出信号を出力する光検出器31と、光検出器31から出力された検出信号に基づいて時間軸波形PA(t)に比例した位相変化を生じさせる位相変調器駆動信号V2(t)を出力する位相変調器駆動電源35とを備えて構成される。すなわち、位相変調器32はレーザ光源10とファイバ増幅器20との間に設けられる。
増幅用ファイバ25の出力端部近傍には、増幅パルス光の一部(例えば1%程度)を分岐して取り出すカプラ(不図示)が設けられ、このカプラを介して取り出された増幅パルス光が光検出器31に導かれて検出される。光検出器31としてフォトダイオード(PD)、位相変調器32としてEO位相変調器(EOM)を用いた構成を例示する。
位相変調器駆動電源35には、光検出器31から出力された検出信号VPD(t)に所要の遅延を与え、必要に応じて波形を調整する調整回路36が設けられるとともに、その出力信号をEO位相変調器32の駆動に必要な振幅レベルまで増幅する増幅器37が設けられる。ここで、光検出器31により検出されるパルス光は、既にEO位相変調器32を通過したパルス光である。そのため、EO位相変調器32による位相変調は、所定の繰り返し周期で入射する光パルスのうち、光検出器31で検出された光パルスを基準として1パルス〜数パルス程度後の光パルスに対して行われる。調整回路36は、EO位相変調器32の位置において、パルス光P(t)と位相変調記駆動信号V2(t)とのタイミングが合致するように、光検出器31の検出信号に所要の遅延を与える。
ここで、ファイバ増幅器20で増幅後のパルス光のパルスエネルギーが、増幅用ファイバ25の飽和エネルギー(saturation energy)に対して充分に小さい場合には、増幅用ファイバ25から出射する増幅パルス光の時間軸波形PA(t)は、増幅用ファイバ25に入射するパルス光の時間軸波形P(t)と相似した波形になる。すなわち、この場合にはPA(t)∝P(t)であり、光検出器31から出力される検出信号VPD(t)はVPD(t)∝PA(t)∝P(t)となる。従って、この場合の効果は、前述したパルスレーザ装置1と同様であり、増幅用ファイバ25内で生じるSPMによる位相変調φSPM(t)が相殺される。
一方、ファイバ増幅器20で増幅後のパルス光のパルスエネルギーが、増幅用ファイバ25の飽和エネルギーと比較して無視できない大きさになった場合、増幅用ファイバ25から出射する増幅パルス光の時間軸波形PA(t)は、増幅用ファイバ25に入射するパルス光の時間軸波形P(t)と相当程度異なったものとなる。例えば、増幅用ファイバ25に入射するパルス光の時間軸波形すなわちパルス波形P(t)が綺麗な矩形波であっても、増幅用ファイバ25から出射する増幅パルス光のパルス波形PA(t)は、先頭部で急峻に立ち上がった後になだらかに漸減するような崩れた波形になり得る。自己位相変調(SPM)の効果は、パルス光のピークパワーが高いほど大きい。すなわち、増幅用ファイバ25の出射端近傍で最も大きくなる。
そのため、このような場合には、増幅パルス光のパルス波形PA(t)が増幅前のパルス光のパルス波形P(t)と相似せず、パルス波形P(t)を基準として位相変調器駆動信号V2(t)を生成する構成ではSPMによる自己位相変調を補償しきれない。従って、増幅用ファイバ25の飽和エネルギーと同等、またはそれ以上のパルスエネルギーを持つ増幅パルス光を出力するようなパルスレーザ装置においては、増幅用ファイバ25から出力される増幅パルス光のパルス波形PA(t)に基づいて位相変調器駆動信号V2(t)を生成することが望ましい。本構成のパルスレーザ装置2においては、増幅用ファイバ25の出力端部近傍から分岐して設けられた光検出器31が増幅パルス光を検出し、増幅パルス光のパルス波形PA(t)に基づいて位相変調器駆動信号V2(t)が生成される。そして、生成された位相変調器駆動信号V2(t)によりEO位相変調器32が駆動され、パルス光にSPMによる位相変調φSPM(t)と逆の位相変調をかける。
従って、本構成のパルスレーザ装置2によれば、増幅前後のパルス波形が必ずしも相似しない比較的大きなパルスエネルギーを持つパルス光を出力するような場合でも、増幅用ファイバ内で生じるSPMによる位相変調を相殺することができる。また、V2(t)のような比較的複雑な信号を独立して発生させる必要がないため、簡明な構成でスペクトル幅が狭い狭帯域の増幅パルス光を出力するパルスレーザ装置を提供することができる。
次に、第3構成形態のパルスレーザ装置3について、その概要構成を例示する図3を参照して説明する。パルスレーザ装置3は、パルス光を出力するレーザ光源(パルスレーザ)17と、自己位相変調を補償するSPM補償部30と、パルスレーザ装置全体の作動を制御する制御部(不図示)とを備えて構成される。
本構成形態のパルスレーザ装置3は、第1構成形態のパルスレーザ装置1の変更例であり、パルス光を出力するレーザ光源17の構成が、パルスレーザ装置1のレーザ光源10と相違する。一方、自己位相変調を補償するSPM補償部30の基本的な構成は、パルスレーザ装置1のSPM補償部30と同様である。そこで、図3には同様の構成部分に同一番号を付して説明を簡略化し、相違する部分を中心に説明する。
レーザ光源(パルスレーザ)17は、自律的にパルス光を出力する光源である。換言すれば、パルスレーザ装置3は、時間軸波形P(t)のパルス光が外部から与えられるような場合の構成例であり、例えば、レーザ光源17としてモードロックレーザやQスイッチレーザ等を用いた場合に好適な構成である。
レーザ光源17から出力された時間軸波形P(t)のパルス光は、接続用の光ファイバ23を介して位相変調器32に入射する。光ファイバ23には、レーザ光源17から出力されたパルス光の一部(例えば1〜数%程度)を分岐して取り出すカプラ(不図示)が設けられ、このカプラを介して取り出されたパルス光が光検出器31に導かれて検出される。光検出器31としてフォトダイオード(PD)、位相変調器32としてEO位相変調器(EOM)を用いた構成を例示する。
このとき、光検出器31から出力される検出信号VPD(t)は、パルス光の時間軸波形P(t)に比例し、前述した(4)式で示される。パルス光を伝送する光ファイバ、あるいは増幅する光ファイバについて、分散などに起因する時間軸波形の歪みがないと仮定すれば、光ファイバ内で生じるSPMによる位相変調φSPM(t)は、パルス光の時間軸波形P(t)に比例する(前述の(2)式を参照)。そのため、光ファイバ内で生じるSPMによる位相変調φSPM(t)と逆の位相変調を、EO位相変調器32により予めパルス光にかけておくことによって、光ファイバ内で生じるSPMによる位相変調φSPM(t)を相殺することができる。
従って、以上説明したパルスレーザ装置3によれば、光ファイバ内で生じるSPMによる位相変調を相殺し、狭帯域のパルス光を出力させることができる。また、EO位相変調器32を駆動する位相変調器駆動信号V2(t)として、複雑な信号を人為的に生成する必要がないため、簡明な構成で狭帯域のパルス光を出力するパルスレーザ装置を提供することができる。
以上説明したように、パルスレーザ装置1,2,3によれば、光検出器により検出されたパルス光を基準とし、これに比例した位相変化を生じさせる位相変調駆動信号が位相変調器に供給される。そのため、光ファイバで生じるSPMによる位相変調を相殺し、狭帯域のパルス光を出力させることができる。また、位相変調器駆動電源が複雑な信号を人為的に生成する必要がないため、簡明な構成で狭帯域のパルス光を出力するパルスレーザを提供することができる。また、パルス光が外部から与えられるか内部で発生するかに拘わらず、簡明な構成で狭帯域のパルス光を出力するパルスレーザを提供することができる。
なお、以上では、レーザ光源10,17から出力されたパルス光に、送信用または増幅用の光ファイバ内で生じるSPMによる位相変調と逆の位相変調を、これらの光ファイバに入射する以前に、EO位相変調器32により予めかけておく構成を主体として説明した。しかし、EO位相変調器32を送信用の光ファイバまたは増幅用の光ファイバの出射端部近傍に設け、これらの光ファイバで生じたSPMによる位相変調を事後的に相殺するように構成しても良い。また、1つの位相変調器では変調量が不足する場合には、2つ以上の位相変調器を直列に接続することにより、十分な位相変調量を確保する事が可能である。
1 第1構成形態のパルスレーザ装置
2 第2構成形態のパルスレーザ装置
3 第3構成形態のパルスレーザ装置
9 他の構成形態のパルスレーザ装置
10 レーザ光源
11 光源
12 強度変調器(EO強度変調器)
15 強度変調器駆動電源
16 パルス発生器
17 レーザ光源
20 ファイバ増幅器
22 接続用の光ファイバ
23 接続用の光ファイバ
25 増幅用の光ファイバ
30 SPM補償部
31 光検出器
32 位相変調器(EO位相変調器)
35 位相変調器駆動電源
P(t) パルス光の時間軸波形
A(t) 増幅パルス光の時間軸波形
1(t) 強度変調器駆動信号
2(t) 位相変調器駆動信号
PD(t) 検出信号

Claims (6)

  1. パルス光を出力するレーザ光源と、
    前記レーザ光源から出力されたパルス光の位相を変化させる位相変調器と、
    前記レーザ光源から出力されたパルス光を検出して強度変化の時間軸波形である検出信号を出力する光検出器と、
    前記光検出器から出力された前記検出信号に基づいて、前記強度変化の時間軸波形に比例した位相変化を生じさせる駆動信号を出力し、前記位相変調器を駆動する位相変調器駆動電源と
    を備えたことを特徴とするパルスレーザ装置。
  2. パルス光を出力するレーザ光源と、
    前記レーザ光源から出力されたパルス光の位相を変化させる位相変調器と、
    前記レーザ光源から出力されたパルス光を増幅するファイバ増幅器と、
    前記ファイバ増幅器により増幅されたパルス光を検出して強度変化の時間軸波形である検出信号を出力する光検出器と、
    前記光検出器から出力された前記検出信号に基づいて、前記強度変化の時間軸波形に比例した位相変化を生じさせる駆動信号を出力し、前記位相変調器を駆動する位相変調器駆動電源と
    を備えたことを特徴とするパルスレーザ装置。
  3. 前記位相変調器による位相変調は、前記レーザ光源から出力されたパルス光が入射する光ファイバにおいて生じるパルス光の自己位相変調と変調量が略同一で逆位相の位相変調であることを特徴とする請求項1または2に記載のパルスレーザ装置。
  4. 前記位相変調器は位相変調型の電気光学変調器であり、前記駆動信号は前記光検出器から出力された前記検出信号に比例した時間軸波形の電気信号であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のパルスレーザ装置。
  5. 前記レーザ光源から出力されたパルス光が入射する光ファイバは、シングルモードファイバであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のパルスレーザ装置。
  6. 前記レーザ光源は、レーザ光を発生する光源と、前記光源により発生されたレーザ光の強度を変調する強度変調器と、出力すべきパルス光のパターンに対応した駆動信号を生成して前記強度変調器を駆動する強度変調器駆動電源とを備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のパルスレーザ装置。
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