JP2016108559A - 硬化性組成物及び膜 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】成分(A)及び成分(B)を含み、かつこれらの合計量に対し、成分(A)を1〜99重量%含む硬化性組成物。
成分(A):ラジカル開裂可能な共有結合により末端重合活性基が保護されてなるポリマー
成分(B):分子内に少なくとも1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物
【選択図】なし
Description
ナノポーラス構造を形成させるため、ポリ乳酸(PLA)の末端に特定の連鎖移動剤(RAFT剤)を導入した高分子ドーマント種の存在下にスチレン/ジビニルベンゼンを加熱共重合させることにより熱硬化させ、共連続なミクロ相分離構造を形成させた後、PLAを加水分解除去してナノポーラス構造を持つモノリス型ポリマーを得ることが報告されている(非特許文献1)。また、非特許文献1には、PLA末端にRAFT部位を持たない場合はポリマーブレンドとなり、マクロ相分離構造となることが報告されている。
更に、上記非特許文献1の技術は、加熱によりリビングラジカル重合を行うものであるが、光照射によりリビングラジカル重合を行うものも提案されている(非特許文献2)。
本発明はまた、この硬化性組成物からなる硬化物及び光学フィルムと、この硬化性組成物を用いた積層体を提供することを課題とする。
更に、本発明は特定の相分離構造を有する膜を提供することを課題とする。
即ち、本発明の態様は、以下の[1]〜[23]の通りである。
成分(A):ラジカル開裂可能な共有結合により末端重合活性基が保護されてなるポリマー
成分(B):分子内に少なくとも1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物
[3] 成分(A)が活性エネルギー線照射することでラジカル開裂可能な共有結合により末端重合活性基が保護されてなるポリマーである、[1]又は[2]に記載の硬化性組成物。
[4] 成分(A)の末端重合活性基を保護する基が、ヨウ素、アルキルジチオエステル基、フェニルジチオエステル基、アルキルトリチオカルボネート基、フェニルトリチオカルボネート基、アルキルジチオカルバメート基、フェニルジチオカルバメート基、アルキルザンテート基、フェニルザンテート基、及びテルル原子からなる群のうちの少なくとも1つである、[1]〜[3]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[6] 成分(A)がリビングラジカル重合により得られるポリマーである、[1]〜[5]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[7] 成分(A)の分子量分布(Mw/Mn)が2.0以下である、[1]〜[6]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[9] 成分(A)が(メタ)アクリル酸エステル系ポリマーの少なくとも一つの末端にヨウ素原子が結合した構造を有するヨウ素末端ポリマーである、[8]に記載の硬化性組成物。
[10] 成分(A)が(メタ)アクリル酸エステル系ポリマーの少なくとも一つの末端に、アクリル酸エステル系モノマーに由来する構造単位を介してヨウ素原子が結合した構造を有するヨウ素末端ポリマーである、[9]に記載の硬化性組成物。
CH2=C(R1)−C(O)O−R2 (1)
(上記式(I)中、R1は、水素原子又はメチル基を表し、R2は炭素数1〜22のアルキル基、又はアルキレン鎖の炭素数が2〜18であるポリアルキレングリコール鎖を有する置換基を表し、該アルキル基又はポリアルキレングリコール鎖を有する置換基は、置換基としてフェニル基、ベンジル基、エポキシ基、水酸基、ジアルキルアミノ基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数1〜18のパーフルオロアルキル基、炭素数1〜18のアルキルスルファニル基、トリアルコシキシリル基、又はポリシロキサン構造を有する基を有していてもよい。)
[13] 成分(B)が、分子内に(メタ)アクリロイル基を1つ有する化合物を少なくとも含み、かつその含有量が成分(B)の合計重量に対して1〜99重量%である、[1]〜[12]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[14] [1]〜[13]のいずれかに記載の硬化性組成物を硬化させてなる硬化物。
[16] 前記硬化膜が、基材上にある前記硬化性組成物に対して活性エネルギー線を前記基材と反対側から照射して形成されたものである、[15]に記載の積層体。
[17] 前記硬化膜の内部において、スピノーダル分解により形成されるドメインの大きさが、前記基材側より前記活性エネルギー線を照射した側に向けて徐々に小さくなっている、[15]又は[16]に記載の積層体。
[18] [14]に記載の硬化物よりなる層を有する光学フィルム。
40μm−1≦[比表面積]B<[比表面積]T …(2)
[比表面積]T−[比表面積]B≧10μm−1 …(3)
(上記式(2)及び(3)において、[比表面積]T及び[比表面積]Bは原子間力顕微鏡(AFM)により測定され、[比表面積]Tは膜の表面から深さ0μm以上2μm以下の少なくとも一つの領域の比表面積であり、[比表面積]Bは膜の表面から深さ5μm以上50μm以下の少なくとも一つの領域の比表面積である(比表面積[μm−1]=境界線の長さ[μm]/面積[μm2])。)
[比表面積]B<[比表面積]M<[比表面積]T …(4)
(上記式(4)において、[比表面積]Mは原子間力顕微鏡(AFM)により測定される表面から深さ2μm超過5μm未満の任意の領域の比表面積である(比表面積[μm−1]=境界線の長さ[μm]/面積[μm2])。)
[21] 少なくともエチレン性不飽和二重結合を有する化合物を含有する硬化性組成物の硬化物から形成されている、[19]又は[20]に記載の膜。
[22] 前記エチレン性不飽和二重結合を有する化合物として、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含む、[21]に記載の膜。
[23] 膜の厚みが5〜1,000μmである、[19]〜[23]のいずれかに記載の膜。
なお、本明細書において「〜」という表現を用いる場合、その前後の数値又は物性値を含む表現として用いるものとする。また、本明細書において、「………に由来する構造単位」とは、ポリマーの製造原料として用いられたモノマーが、その単独重合又は共重合により得られたポリマー中で、ポリマーを構成する繰り返し単位として存在する一単位を表す。また、本明細書において、各種の官能基の炭素数は、当該官能基が置換基を有する場合、その置換基も含めた全体の炭素数を示す。また、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは「アクリル」と「メタクリル」の一方又は双方を意味するものとする。「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリレート」についても同様の意味をもつこととする。
本発明の硬化性組成物は、下記成分(A)及び成分(B)を含み、かつこれらの合計量に対し、成分(A)を1〜99重量%含むものである。
成分(A):ラジカル開裂可能な共有結合により末端重合活性基が保護されてなるポリマー
成分(B):分子内に少なくとも1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物
成分(A)は、ラジカル開裂可能な共有結合により末端重合活性基が保護されてなるポリマーであり、好ましくは、ラジカル重合性不飽和二重結合を有するモノマーを重合してなり、活性エネルギー線照射及び/又は加熱することでラジカル開裂可能な共有結合により末端重合活性基が保護されてなるポリマーである。成分(A)は、特に好ましくは、活性エネルギー線を照射することでラジカル開裂可能な共有結合により末端重合活性基が保護されてなるポリマーである。即ち、本発明に用いる成分(A)のポリマーは、末端重合活性基(通常は炭素ラジカル)に、この末端重合活性基を保護する基が共有結合したものであり、このポリマーに活性エネルギー線照射及び/又は加熱することでラジカル開裂することが可能である。
成分(A)は、これらの末端重合活性基を保護する基の1種のみを有していてもよく、2種以上を有していてもよい。
文献1:Chiefari, J.; Chong, Y. K.; Ercole, Fo; Krstina, J.; Jeffery, J.; Le, T. P. T.; Mayadunne, R. T. A.; Meijs, G. F.; Moad, C. L.;
Load, G.; Rizzardo, E.; Thang, S. H. Nacromolecules 1998, 31, 5559.
文献2:Moad, G.; rizzardo, E.; Thang, S. H. Aust. J. Chem. 2005, 58,379.
文献3:McCormick, C. L.; Lowe, A. B. Acc. Chem. Res. 2004, 37, 312.
文献4:Mayadunne, R. T. A.; Rizzardo, E.; Chiefari, J.; Chong, Y. K.;
Moad, G. Thang, S. H.; Macromolecules 1999, 32, 6977.
文献5:Destarac. M.; Charmot, D.; Franck, X.; Zard, S. Z. Macromol. Rapid.
文献6:Mayadunne, R. T. A.; Rizzardo, E; Chiefari, J.; Kristina, J.; Moad, G.; Pastma, A.; Thang, S. H. Macromolecules 2000, 33, 243.
文献7:Francis, R.; Ajayaghosh, A. Macromolecules 2000, 33, 4699.
また、成分(A)は、分子量やポリマー構造を容易に目的のものに制御可能であることから、リビングラジカル重合により得られるポリマーであることが好ましく、リビングラジカル重合によれば、分子量分布(Mw/Mn)の狭い成分(A)を容易に製造することができる。
CH2=C(R1)−C(O)O−R2 (1)
(R1は、水素原子又はメチル基を表し、R2は炭素数1〜22のアルキル基、又はアルキレン鎖の炭素数が2〜18であるポリアルキレングリコール鎖を有する置換基を表し、該アルキル基又はポリアルキレングリコール鎖を有する置換基は、置換基としてフェニル基、ベンジル基、エポキシ基、水酸基、ジアルキルアミノ基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数1〜18のパーフルオロアルキル基、炭素数1〜18のアルキルスルファニル基、トリアルコシキシリル基、又はポリシロキサン構造を有する基を有していてもよい。)
なお、ポリマーの重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、後述の実施例に記載される方法で測定される。
本発明に用いるヨウ素末端ポリマー(A)は、通常、(メタ)アクリル酸エステル系ポリマー(以下、「ヨウ素末端ポリマー(A)における主幹ポリマー」と称す場合がある。)の少なくとも一方の末端に、ヨウ素原子が結合した構造を有する。ヨウ素末端ポリマー(A)は本成分(A)の好ましい態様の一例である。
本発明に用いるヨウ素末端ポリマー(A)は、好ましくは、リビングラジカル重合のポリマー末端の成長ラジカルの保護基となるヨウ素の存在下、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを重合することにより製造される。ただし、ヨウ素末端ポリマー(A)は、前述したヨウ素末端ポリマー(A)の特徴的な末端構造が得られる方法であれば、その製造方法は特に限定されない。
ヨウ素は、重合開始剤に対して0.05〜5モル当量、特に0.3〜1モル当量用いることが好ましい。ヨウ素の使用量が上記下限より多いと、未反応の重合開始剤や重合開始剤が解離して再結合した副反応物が多量に生成せず、またヨウ素の使用量が上記上限より少ないと重合速度が遅くならないため、所望の分子量の重合体を得るために重合時間が過度に長くならず好ましい。
触媒は、ヨウ素又はポリマー末端のヨウ素を引き抜いてリビングラジカル重合を進行させる機能を奏するものであり、通常、テトラブチルアンモニウムヨージド、エチルメチルイミダゾリウムヨージド等の第四級アンモニウムヨージド、トリブチルスルホニウムヨージド等のスルホニウムヨージド、ジフェニルヨードニウムヨージド等のヨードニウムヨージド、トリブチルメチルホスホニウムヨージド等のホスホニウムヨージド、テトラキス(ジメチルアミノ)エチレン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルジアミノメタン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、1,4,8,11−テトラメチル−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、エチレンジアミン等のアミン類、トリフェニルホスフィン、トリス(2−メチルフェニル)ホスフィン、トリス(3−メチルフェニル)ホスフィン、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン等のホスフィン類を用いることができる。これらの触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ヨウ素末端ポリマー(A)の重合に用いる重合開始剤としては、公知のものが使用され、特に限定されず、通常用いられている有機過酸化物やアゾ化合物を使用することができる。具体例としては、ベンゾイルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーキシド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシル−3,3−イソプロピルヒドロパーオキシド、t−ブチルヒドロパーオキシド、ジクミルヒドロパーオキシド、アセチルパーオキシド、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、イソブチルパーオキシド、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド、ラウリルパーオキシド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビス(イソブチレート)などが挙げられる。重合開始剤としては、ヨウ素と結合した後の安定性の点からアゾ化合物が好ましく、入手のし易さや解離温度の点から、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビス(イソブチレート)が好ましく使用される。これらの中でも、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)又は2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)がさらに好ましく使用される。
これらの重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
重合開始剤の量が上記下限値以上であると分子量が大きくなりすぎず、さらに重合後の未反応モノマーを少なくし易く、上記上限値以下であると分子量が小さくなりすぎず、ヨウ素が比較的少ない場合に未反応の重合開始剤や重合開始剤が解離して再結合した副反応物が多量に生成し難いことから好ましい。
重合反応に用いられるモノマーなどを含む反応混合物が反応温度において液体であれば、必ずしも溶媒を用いる必要はないが、この場合も必要に応じて溶媒を用いてもよい。溶媒としては、一般的なリビングラジカル重合に用いられる溶媒を使用することが可能である。例えば水、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、2−ブチルアルコール、ヘキサノール、エチレングリコール等の直鎖、分岐、2級あるいは多価のアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルシクロプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール等のエーテル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;スワジールシリーズ(丸善石油化学社製)、ソルベッソシリーズ(エクソン・ケミカル社製)等の石油系芳香族系混合溶媒;セロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類;カルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類;プロピレングリコールメチルエーテル等のプロピレングリコールアルキルエーテル類;ジプロピレングリコールメチルエーテル等のポリプロピレングリコールアルキルエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロゾルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の酢酸エステル類;ジアルキルグリコールエーテル類等を用いることができる。
これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル酸エステル系モノマーのリビングラジカル重合は、窒素等の不活性ガス雰囲気下、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、ヨウ素、開始剤、触媒及び溶媒を含む反応系内において、好ましくは50℃以上で行われ、より好ましくは60℃以上で行われる。また、好ましくは150℃以下で行われ、より好ましくは130℃以下で行われ、更に好ましくは110℃以下で行われ、特に好ましくは90℃以下で行われ、最も好ましくは80℃以下で行われる。
ここで、反応温度が上記下限以上であるとリビングラジカル重合反応が十分に進行し、上記上限以下であると所望のリビングラジカル重合ではない、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの熱による重合を抑制することができる。
反応後は後述のヨウ素末端ポリマー(A1)の製造方法における場合と同様にして精製、固液分離することによりヨウ素末端ポリマー(A)を回収することができる。
ヨウ素末端ポリマー(A)は、特に、メタクリル酸エステル系ポリマーの少なくとも一方の末端に、アクリル酸エステル系モノマーに由来する構造単位を介してヨウ素原子が結合した構造を有するもの(以下、「ヨウ素末端ポリマー(A1)」と称することがある。また、ヨウ素末端ポリマー(A1)におけるメタクリル酸エステル系ポリマーを「ヨウ素末端ポリマー(A1)における主幹ポリマー」と称することがある。)が光安定性に優れるものであるために好ましい。これは、末端の構造が、アクリル酸エステル系モノマーに由来する構造単位−ヨウ素原子であると、該構造単位のアクリル酸エステルのα位炭素原子はメタクリル酸エステルのα位炭素原子よりも立体障害が小さいためにアクリル酸エステル系モノマーに由来する構造単位−ヨウ素原子の末端構造の安定性が高いためであると推定される。
上記のリビングラジカル重合に引き続いて、反応系にアクリル酸エステル系モノマーを混合して反応させることにより、メタクリル酸エステル系ポリマーの片末端又は両末端にアクリル酸エステル系モノマーに由来する構造単位を介してヨウ素原子が結合したヨウ素末端ポリマー(A1)を得ることができる。
ここで、反応温度が上記下限以上であるとアクリル酸エステル系モノマーを十分に反応させることができ、上記上限以下であるとアクリル酸エステル系モノマーのリビングラジカル重合反応を制御することができ、メタクリル酸エステル系ポリマーの片末端又は両末端にアクリル酸エステル系モノマーに由来する構造単位を介してヨウ素原子が結合したヨウ素末端ポリマー(A1)を得ることが可能となる。
従って、上記のような、アクリル酸エステル系モノマーのリビングラジカル重合反応は進行し得ない温度を選択して反応を行うことによりヨウ素末端ポリマー(A1)を製造することができる。
成分(B)は、分子内に少なくとも1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(ただし、成分(A)に該当するものを除く。)である。
分子内に1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物は、モノマーであってもよく、オリゴマーであってもよく、モノマーとオリゴマーの混合物であってもよい。分子内に1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物のうち、モノマーとしては、単官能モノマー、多官能性モノマー、例えば多価アルコールと(メタ)アクリレートとの脱アルコール反応物などを用いることができる。オリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーなどが挙げられる。
本発明の硬化性組成物は、前記の成分(A)と成分(B)との合計量に対して、成分(A)を1〜99重量%含有する。硬化性組成物中の成分(A)の含有量が多いと所望の相分離を生起させることが可能であり、少ないと粘度が高くなり過ぎず、成膜・成型時の取り扱いが容易である。このため、本発明の硬化性組成物は、成分(A)と成分(B)との合計量に対して、成分(A)を5重量%以上含むことが好ましく、10重量%以上含むことが好ましい。また、成分(A)と成分(B)との合計量に対して、成分(A)を60重量%以下含むことが好ましく、40重量%以下含むことがより好ましい。
本発明の硬化性組成物は、リビングラジカル重合の反応性を向上させるために、触媒を含有することが好ましい。
触媒としては、リビングラジカル重合の反応に使用できる公知のものを用いることができ、前述のヨウ素末端ポリマー(A)の製造に用いる触媒として例示したものの1種又は2種以上を用いることができる。
本発明の硬化性組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、前述の成分(A)、成分(B)、及び触媒以外の他の成分を含有していてもよい。硬化性組成物が含有し得る他の成分としては、各成分を均一に混合するための溶媒や、帯電防止剤、可塑剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの各種の常用の添加剤などが挙げられる。
本発明の硬化性組成物の調製方法は特に限定されず、例えば、前述の成分(A)及び成分(B)と、必要に応じて更に前述の触媒などと併せて混合することにより調製することができる。
本発明の硬化性組成物の用途は特に限定されるものではないが、特に、以下に記載する硬化膜に形成のために工業的に有用である。
本発明の硬化性組成物に、活性エネルギー線照射及び/又は加熱して硬化させることにより、硬化物を得ることができる。特に、硬化性組成物を基材の上で硬化させることにより、硬化性組成物の硬化膜を基材上に形成してなる積層体(以下、「積層体」と称することがある。)とすることができる。また、硬化性組成物を基材の上でフィルム状に硬化させることで、硬化フィルムを得ることができる。また、基材として他の樹脂フィルム上に硬化性組成物を塗布し、硬化させて硬化膜を形成することで、他の樹脂フィルム上に硬化膜を積層してなるフィルム積層体が得られる。
これは、膜表面の空気界面では、空気中の酸素により重合阻害が起こるのに対して、膜の深部にゆくに従って、重合阻害がなくなるため、重合が進行し易くなり、重合の進行に伴って、スピノーダル分解による相分離で比較的大きなドメインが形成され、膜の深部から、膜表面側に向けて、酸素による重合阻害で比較的小さなドメインが形成されるようになることによるものと考えられる。
本発明の膜は、下記式(2)及び式(3)を満足する相分離構造を有する。この膜の製造方法は特に制限されないが、好ましくは、前述の本発明の硬化性組成物を使用することにより得ることができる。
40μm−1≦[比表面積]B<[比表面積]T …(2)
[比表面積]T−[比表面積]B≧10μm−1 …(3)
画像解析ソフトウェア(Oxford Instruments社製 Asylum Research MFP3D 120804)用いて以下の手順に従って比表面積を算出する。
1.測定した位相像を開く。
2.ベースラインをゼロ点補正(0次でフィッティング)し、画像を平滑化する。
操作:「Modify panel」の「Flatten」タブの「Flatten order」を「0」として「Flatten」をクリック、「Planefit」タブの「Planefit order」を「3」にし「X」をクリックする。
3.ゼロ点で0以上にマスクを設定する。
操作:「Modify panel」の「Mask」タブの「Threshold」を0にして、「inverse」のチェックを外し、「Calc Mask」をクリックする。
4.0以下のエリアを粒子として認識させる。
操作:「Analyze panel」の「Particle analysis」タブの「Set particle」をクリックし、続いて「Analysis Particles」をクリックする。
5.粒子の周囲長(本発明において、以下の「境界線の長さ」に対応する。)を面積(Area)で割る。
操作:解析終了後、「Detailed Stats」を開き、「Perimeter」の値を「Area」で割ると比表面積が算出される。
(比表面積[μm−1]=境界線の長さ[μm]/面積[μm2])
60μm−1≦[比表面積]B<[比表面積]T …(2−1)
75μm−1≦[比表面積]B<[比表面積]T …(2−2)
90μm−1≦[比表面積]B<[比表面積]T …(2−3)
[比表面積]T−[比表面積]B≧100μm−1 …(3−1)
[比表面積]T−[比表面積]B≧250μm−1 …(3−2)
[比表面積]B<[比表面積]M<[比表面積]T …(4)
上記式(4)において、[比表面積]Mは表面から深さ2μm超過5μm未満の任意の領域の比表面積であり、比表面積は原子間力顕微鏡(AFM)により測定されたものである。式(4)は膜の表面から内部にかけて相分離構造のドメインのサイズが徐々に大きくなること、すなわちドメインサイズが傾斜した構造を有していることを示すものである。
本発明の膜の製造方法は特に制限されないが、少なくともエチレン性不飽和結合を有する化合物を含有する硬化性組成物の硬化物から形成されていることが好ましい。
エチレン性不飽和結合を有する化合物におけるエチレン性不飽和結合としては、その種類は特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、スチリル基、アリル基等が挙げられる。これらの中でも(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含むことが好ましい。本発明の膜の原料として用いることができるエチレン性不飽和結合を有する化合物の一分子中でのエチレン性不飽和結合の数は特に制限されないが、通常、1〜15である。また、エチレン性不飽和結合の数が異なる原料を2種以上混合して用いてもよい。
すなわち、本発明の硬化性組成物を酸素存在下で光重合架橋をすると、成分(A)のヨウ素末端が光重合開始点となり、その開始点から成分(B)のリビングラジカル重合が進行する。この際成分(A)の末端から成分(B)の重合が進行するにつれて、成分(A)と成分(B)の重合部分が相分離するが、通常の2種類のポリマーを混合した場合のスピノーダル分解と異なり、共連続相分離状態となるためにドメインサイズが小さくなるものと考えられる。更に膜表面近傍には酸素が存在するため、その重合禁止効果によって膜表面は内部に比べて重合の進行が遅くなり、成分(A)と成分(B)の重合体がなす相分離構造は表面付近ではより均一に近くなるものと考えられる。
(1)ポリマーの末端構造の同定
MALDI(Matrix Assisted Laser Desorption Ionization:マトリックス支援レーザー脱離イオン化法)−TOF(Time Of Flight:飛行時間型)法(Bruker社製「Autoflex III」を使用)、励起レーザー強度:出力60%)でポリマーの分子量を測定し、下記式に適合する分子量が確認されるか否かで末端構造を同定した。
MIN+(MM1×N1+MM2×N2+・・・)+MA+MI+MH 又は
MIN+(MM1×N1+MM2×N2+・・・)+MA+MI+MNa
上記式中、各記号は、それぞれ、以下の意味を表す。
MIN:開始剤解離後の分子量(=開始剤の分子量の1/2)
MM1、MM2・・・:主幹ポリマーを構成するモノマーの分子量(M1、M2・
・・は異なるモノマーを表す。)
N:自然数
MA:末端側のアクリル酸エステルの分子量
MI:ヨウ素原子の原子量(=126.90)
MH:水素原子の原子量(=1.01)
MNa:ナトリウム原子の原子量(=22.99)
154.21+100.12×N+142.20+126.90+1.01 又は
154.21+100.12×N+142.20+126.90+22.99
○:上記式に適合する分子量が確認され、所望の末端構造が存在する。
×:上記式に適合する分子量が確認されず、所望の末端構造は存在しない。
GPC測定法により以下の条件にて、得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を測定した。
機器:島津製作所製「RID−10A/CBM−20A/DGU−20A3,
LC−20AD/DPD−M20A/CTO−20A」
カラム:東ソー社製「TSKgel superHM−N」
検出器:示差屈折率検出器(RI検出器/内蔵)
溶媒:クロロホルム、 温度:40℃、 流速:0.3mL/分、
注入量:20μL
濃度:0.1重量%、 較正試料:単分散ポリスチレン、 較正法:ポリスチレン
撹拌機、還流冷却管、及び温度計を取り付けた反応器に、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製「V−70」)2.8重量部、ヨウ素1.5重量部、及びアニソール120重量部を仕込み、溶液が均一になるまで攪拌した。系内を遮光し窒素置換後、65℃まで昇温し、0.5時間攪拌した。続いてメチルメタクリレート(MMA)120重量部、及びテトラブチルアンモニウムヨージド(Bu4NI)4.4重量部を添加し、70℃で2時間攪拌した。さらにn−ブチルアクリレート(BA)120重量部を添加し、70℃で3時間攪拌した。その後、室温まで冷却後、遮光下において、メタノールへの沈殿精製により白色粉末としてヨウ素末端ポリマー(PMMA−BA−I)を得た。
得られたポリマーの末端構造と分子量を上記(1)、(2)の通り評価した。その結果を表−1に示す。
撹拌機、還流冷却管、及び温度計を取り付けた反応器に、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製「V−70」)2.8重量部、ヨウ素1.5重量部、及びアニソール120重量部を仕込み、溶液が均一になるまで攪拌した。系内を遮光し窒素置換後、65℃まで昇温し、0.5時間攪拌した。続いてメチルメタクリレート(MMA)120重量部、及びテトラブチルアンモニウムヨージド(Bu4NI)4.4重量部を添加し、70℃で2時間攪拌した。その後、室温まで冷却後、遮光下において、メタノールへの沈殿精製により、白色粉末としてポリマー(PMMA)を得た。
得られたポリマーの末端構造と分子量を上記(1)、(2)の通り評価した。その結果を表−1に示す。
ヨウ素76.14mg(3.00×10−1mmol)と2,2'−アゾビス(4−メ
トキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製「V−70」)277.5mg(9.00×10−1mmol)をエタノール1mLに溶解させて、窒素ガスで15分間バブリング後、60℃で2時間加熱することで低分子開始剤(CP−I)溶液を調製した。
ヨウ素末端ポリマー(PMMA−BA−I)300mg(6.00×10−2mmol)と、触媒(トリフェニルホスフィン:PPh3)15.7mg(6.00×10−2mmol)とを、ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA)560mgと1,4−ビス(アクリロイルオキシ)ブタン(DA)140mgの混合溶液(DMAEA/DA=4/1)に溶解させて、硬化性組成物を調製した。この硬化性組成物をPET基板にバーコート成膜し、成膜面をスライドガラスにより被覆した。このスライドガラス側から、Hgランプ(USHIO社製,「SP−9」)(365nm,1.0mW/cm2、iバンドパスフィルター(ウシオ電機社製 SP9用365nmバンドパスフィルタ)、熱線カットフィルター(ウシオ電機社製 SP9用熱線カットフィルタ3))により4時間UV照射することにより、リビングラジカル共重合させて光硬化膜(膜厚10μm)を形成させた。
得られた硬化膜付PET基板について、以下の方法で透明性の評価を行い、結果を表−2に示した。表−2には、硬化性組成物中のヨウ素末端ポリマー(PMMA−BA−I)、DMAEA、DA、PPh3の配合割合と積算光量を示す。
赤い背景に8ポイントの黄色の文字が100%のサイズで印刷された紙の上に、硬化膜付PET基板を載せ、目視で透明性を観察し、以下の通り評価した。
○:硬化膜は透明である。
△:硬化膜がわずかに白くかすんでいる。
×:硬化膜が白くかすんでいる。
得られた膜付PET基板を1mm×1cmのサイズに切り出し、電子顕微鏡用平板包埋板(堂阪イーエム株式会社)に入れ、更に包埋樹脂(東亜合成社製 可視光硬化性包埋樹脂「アロニックスLCR D−800」)を半分まで入れ、10秒間紫外線照射(ランプ:USHIO社製、「SP−9 SPOT CURE」)した。硬化により流動性が低くなった前述の包埋樹脂中に切り出した硬化膜付PET基板を中心に配置させ、更に包埋樹脂を加えて、包埋樹脂が完全に硬化するまで紫外線照射した。サンプルを含有する包埋樹脂を常温切削ウルトラミクロトーム(ライカ社製、「EM UC7」)にて平滑な断面を切り出し、断面を操作プローブ顕微鏡(Oxford Instruments社製「MFP−3D」)を用いて、原子間力顕微鏡(AFM)観察(タッピングモード)を行った。
プローブとしてOLYMPUS社製「OMCL−AC160TS−R3Target」を用いて、 ピエゾ素子に加える電圧信号で自由振幅の際の振幅値(Amplitude)を1V、測定時のプローブの振幅値(Set Point)を800mVを初期値として測定を開始した。ふたつのパラメーターを変えて、すべての測定点において位相が90度以下となるように設定した(斥力モードで測定した)。振幅の変化を0にするように調節する速さ(Gain、エラーへの応答速度)を発振する手前まで上げた。
設定値
Scan Size:1μm
Scan Rate:1.0Hz
Scan Point, Scan Line(解像度):256
Scan Angle:90度
また、比表面積は前述の方法により解析して求めた。
実施例1において、DMAEA/DA比を表−2に示す割合に変更すると共に、UV出力を0.6mW/cm2としたこと以外は同様にして硬化膜付PET基板を製造し、同様に透明性の評価を行って、結果を表−2に示した。
実施例2において、DAの代りに、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)を用いた他は、実施例2と同様にして硬化膜付PET基板を製造し、同様に透明性の評価を行って、結果を表−2に示した。
ポリマー(PMMA)300mg(6.00×10−2mmol)、低分子開始剤(CP−I)7.59mg(6.00×10−2mmol)、PPh315.7mg(6.00×10−2mmol)をDMAEA560mgとDA140mgの混合溶液に溶解させて硬化性組成物を調製した。この硬化性組成物を用いて実施例1と同様に硬化膜付PET基板を製造し、同様に透明性の評価を行った結果を表−2に示した。
表−2より、本発明の硬化性組成物によれば、硬化膜中の比表面積が大きく(ドメインサイズが小さく)、透明性に優れた硬化膜を形成することができることが分かる。
硬化時に塗膜にスライドガラスを被覆しなかったこと、並びに膜厚、紫外線照射の照度及び時間のそれぞれを表−3の条件に変更したこと以外は実施例1−1と同様にして硬化膜を形成した。次の方法により硬化膜内部の比表面積を測定した。得られた結果を表−3に示す。
実施例1−1〜1−5及び比較例1−1と同様の方法により比表面積解析用のサンプルを作製した。また、前述の方法により比表面積を解析して求めた。比表面積の測定箇所は次の通りである。
[比表面積]B:最表面から(20±1)μmの深さ
[比表面積]M:最表面から(10±1)μmの深さ
[比表面積]T:最表面から(1±1)μmの深さ
プローブとしてOLYMPUS社製「OMCL−AC160TS−R3Target」を用いて、ピエゾ素子に加える電圧信号で自由振幅の際の振幅値(Amplitude)を1V、測定時のプローブの振幅値(Set Point)を800mVを初期値として測定を開始した。ふたつのパラメーターを変えて、すべての測定点において位相が90度以下となるように設定した(斥力モードでの測定した)。振幅の変化を0にするように調節する速さ(Gain、エラーへの応答速度)を発振する手前まで上げた。
設定値
Scan Size:1μm
Scan Rate:1.0Hz
Scan Point, Scan Line(解像度):256
Scan Angle:90度
更に、AFM観察時の膜の深部(PET基板側)、中間部、膜の表面側のAFM写真を図1(a),(b),(c),(d)に示す。
硬化時に塗膜にスライドガラスを被覆したことと、紫外線の照度、時間を変更したこと以外は実施例2−3と同様に実施した。また、比表面積の測定は実施例2−1に記載した方法と同様にして測定した。測定した位置(膜表面からの深さ)とその比表面積の結果を表−3に示す。
成分(A)のヨウ素末端ポリマーの代わりに、末端に活性エネルギー線によってラジカルを発生する部位を持たないポリマー(PMMA)を用い、低分子の重合開始剤(BASF社製「Irgacure(登録商標) 184」(Irg 184))を用いたことと、膜厚を変更したこと以外は実施例2−2と同様に実施した。また、比表面積の測定は実施例2−1に記載した方法と同様にして測定した。測定した位置(膜表面からの深さ)とその比表面積の結果を表−3に示す。
まず、実施例2−1について、図1(a),(b),(c),(d)においては色の薄い部分はAFMのプローブが接触した際に振幅の位相が遅くなる(軟らかい)ことを示し、また、色が濃い部分はAFMのプローブが接触した際に振幅の位相が早くなる(硬い)ことを示し、それぞれがスピノーダル分解により形成された相分離ドメインを表している。膜内部にわたって重合誘起型かつブロックコポリマー由来のミクロ相分離構造が形成され、特に膜厚方向にドメインサイズの異なる傾斜構造が観察された。このドメインサイズは、硬化膜のPET基板側((d)側)ほど大きく、膜表面側((a)側)ほど小さくなっていることが確認された。これは膜表面の空気界面では酸素により重合阻害されるのに対し、膜の深部では重合の進行にともないスピノーダル分解によるミクロ相分離により明瞭なドメインが形成されるためであると考えられる。
Claims (23)
- 下記成分(A)及び成分(B)を含み、かつ成分(A)及び成分(B)の合計含有量に対し、成分(A)を1〜99重量%含む硬化性組成物。
成分(A):ラジカル開裂可能な共有結合により末端重合活性基が保護されてなるポリマー
成分(B):分子内に少なくとも1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物 - 成分(A)が、ラジカル重合性不飽和二重結合を有するモノマーを重合してなるポリマーである、請求項1に記載の硬化性組成物。
- 成分(A)が活性エネルギー線照射することでラジカル開裂可能な共有結合により末端重合活性基が保護されてなるポリマーである、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
- 成分(A)の末端重合活性基を保護する基が、ヨウ素原子、アルキルジチオエステル基、フェニルジチオエステル基、アルキルトリチオカルボネート基、フェニルトリチオカルボネート基、アルキルジチオカルバメート基、フェニルジチオカルバメート基、アルキルザンテート基、フェニルザンテート基、及びテルル原子からなる群のうちの少なくとも1つである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
- 成分(A)の末端重合活性基を保護する基がヨウ素原子である、請求項4に記載の硬化性組成物。
- 成分(A)がリビングラジカル重合により得られるポリマーである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
- 成分(A)の分子量分布(Mw/Mn)が2.0以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
- 成分(A)が少なくとも一つの末端にヨウ素原子が結合した構造を有するヨウ素末端ポリマーである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
- 成分(A)が(メタ)アクリル酸エステル系ポリマーの少なくとも一つの末端にヨウ素原子が結合した構造を有するヨウ素末端ポリマーである、請求項8に記載の硬化性組成物。
- 成分(A)が(メタ)アクリル酸エステル系ポリマーの少なくとも一つの末端に、アクリル酸エステル系モノマーに由来する構造単位を介してヨウ素原子が結合した構造を有するヨウ素末端ポリマーである、請求項9に記載の硬化性組成物。
- 前記(メタ)アクリル酸エステル系ポリマーが、下記式(1)で表される化合物に由来する構造単位をポリマー中に1〜99重量%含む、請求項9又は10に記載の硬化性組成物。
CH2=C(R1)−C(O)O−R2 (1)
(上記式(I)中、R1は、水素原子又はメチル基を表し、R2は炭素数1〜22のアルキル基、又はアルキレン鎖の炭素数が2〜18であるポリアルキレングリコール鎖を有する置換基を表し、該アルキル基又はポリアルキレングリコール鎖を有する置換基は、置換基としてフェニル基、ベンジル基、エポキシ基、水酸基、ジアルキルアミノ基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数1〜18のパーフルオロアルキル基、炭素数1〜18のアルキルスルファニル基、トリアルコシキシリル基、又はポリシロキサン構造を有する基を有していてもよい。) - 成分(A)の数平均分子量が800〜150,000である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
- 成分(B)が、分子内に(メタ)アクリロイル基を1つ有する化合物を少なくとも含み、かつその含有量が成分(B)の合計重量に対して1〜99重量%である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
- 請求項1〜13のいずれか1項に記載の硬化性組成物を硬化させてなる硬化物。
- 基材と硬化膜とを有する積層体であり、該硬化膜が請求項1〜13のいずれか1項に記載の硬化性組成物を該基材上で硬化してなるものである積層体。
- 前記硬化膜が、基材上にある前記硬化性組成物に対して活性エネルギー線を前記基材とは反対側から照射して形成されたものである、請求項15に記載の積層体。
- 前記硬化膜の内部において、スピノーダル分解により形成されるドメインの大きさが、前記基材側より前記活性エネルギー線を照射した側に向けて徐々に小さくなっている、請求項15又は16に記載の積層体。
- 請求項14に記載の硬化物よりなる層を有する光学フィルム。
- 下記式(2)及び式(3)を満足する相分離構造を有する膜。
40μm−1≦[比表面積]B<[比表面積]T …(2)
[比表面積]T−[比表面積]B≧10μm−1 …(3)
(上記式(2)及び(3)中、[比表面積]T及び[比表面積]Bは原子間力顕微鏡(AFM)により測定され、[比表面積]Tは膜の表面から深さ0μm以上2μm以下の少なくとも一つの領域の比表面積であり、[比表面積]Bは膜の表面から深さ5μm以上50μm以下の少なくとも一つの領域の比表面積である(比表面積[μm−1]=境界線の長さ[μm]/面積[μm2])。) - 更に下記式(4)を満たす、請求項19に記載の膜。
[比表面積]B<[比表面積]M<[比表面積]T …(4)
(上記式(4)において、[比表面積]Mは原子間力顕微鏡(AFM)により測定される表面から深さ2μm超過5μm未満の任意の領域の比表面積である。) - 少なくともエチレン性不飽和二重結合を有する化合物を含有する硬化性組成物の硬化物から形成されている、請求項19又は20に記載の膜。
- 前記エチレン性不飽和二重結合を有する化合物として、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含有する、請求項21に記載の膜。
- 膜の厚みが5〜1,000μmである、請求項19〜23のいずれか1項に記載の膜。
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