JP2016113352A - カーボンナノチューブ複合体及びその製造方法 - Google Patents

カーボンナノチューブ複合体及びその製造方法 Download PDF

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智也 田上
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篤史 吉田
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Abstract

【課題】 CNT合成温度をより高い温度(特に600℃以上)に設定した場合であっても、アルミニウム基板の外形形状の変形が抑えられるように構成されたカーボンナノチューブ複合体を提供すること【解決手段】 アルミニウム基板2及びアルミニウム基板2の表面上に形成されたカーボンナノチューブ3を備えるカーボンナノチューブ複合体1であって、アルミニウム基板2には、その表面に開口する複数の微細孔2aが形成されている。微細孔2aが形成されたアルミニウム基板2の開口率は、10%以上であり且つ20%以下である。また、アルミニウム基板2に形成されている微細孔2aの孔径は、60μm以上であり且つ120μm以下である。【選択図】 図6

Description

本発明は、アルミニウム基板とその表面上に形成されたカーボンナノチューブとを備えるカーボンナノチューブ複合体及びその製造方法に関する。
アルミニウム基板とその表面上に形成されたカーボンナノチューブとを備えるカーボンナノチューブ複合体は、例えばリチウムイオンキャパシタ等の蓄電デバイスの電極に利用され得る。このようなカーボンナノチューブ複合体を製造する際に、CVD法を用いてアルミニウム基板表面上にカーボンナノチューブを形成することができる。特許文献1は、プラズマCVD法によってアルミニウム基板表面上にカーボンナノチューブを形成する例を開示する。
特開2009−78956号公報
(発明が解決しようとする課題)
CVD法によりカーボンナノチューブを基板表面上に形成する際には、基板が加熱される。そのときの基板表面の加熱温度(以下、この温度をCNT合成温度と言う)は、基板表面上に形成されるカーボンナノチューブの結晶性に影響を及ぼす。CNT合成温度が高いほど、カーボンナノチューブの結晶性が高く、カーボンナノチューブの内部構造中の欠陥の量は少ない。よって、CNT合成温度は高いほど好ましい。
特許文献1に記載のカーボンナノチューブ複合体によれば、カーボンナノチューブをアルミニウム基板表面上に形成する際にアルミニウム基板が600℃〜660℃に加熱される。つまり、CNT合成温度が600℃〜660℃である。600℃〜660℃といった温度領域は、CNT合成温度にしては低い温度領域に属する。そのため、アルミニウム基板表面上に形成されたカーボンナノチューブの結晶性は低く、カーボンナノチューブの内部構造中の欠陥の量が多い。
カーボンナノチューブの結晶性を高めるためにはCNT合成温度を高める必要がある。しかし、アルミニウム基板の融点は比較的低く、そのような融点の低いアルミニウム基板表面上にカーボンナノチューブを形成する際のCNT合成温度を600℃以上に設定した場合、熱膨張によってアルミニウム基板の外形形状が大きく変形し、アルミニウム基板がうねったり、或はアルミニウム基板に割れが生じる等の不具合が発生する。アルミニウム基板の外形形状の大きな変形は、アルミニウム基板表面上へのカーボンナノチューブの成長性、及び、その後の組み付け作業性に悪影響をもたらすとともに、製品としての価値を低下させる。こうした問題があることから、従来においては、アルミニウム基板表面上にカーボンナノチューブを形成する際におけるCNT合成温度をより高い温度(特に600℃以上)に設定することは困難であった。
本発明は、上記した問題を解決するためになされたものであり、CNT合成温度をより高い温度(特に600℃以上)に設定した場合であっても、アルミニウム基板の外形形状の変形が抑えられるように構成されたカーボンナノチューブ複合体及び、そのようなカーボンナノチューブ複合体の製造方法を提供することを目的とする。
(課題を解決するための手段)
本発明は、アルミニウム基板(2)及びアルミニウム基板の表面上に形成されたカーボンナノチューブ(3)を備えるカーボンナノチューブ複合体(1)であって、アルミニウム基板には、その表面に開口する複数の微細孔(2a)が形成されている、カーボンナノチューブ複合体を提供する。
本発明に係るカーボンナノチューブ複合体に備えられるアルミニウム基板には、その表面に開口する複数の微細孔が形成されている。このため、アルミニウム基板が加熱されたときに、微細孔の形状が熱膨張により変形することにより、アルミニウム基板の外形形状の変形が抑えられる。つまり、熱膨張による変形が微細孔に吸収されることによって、アルミニウム基板の外形形状の変形量が少なくされる。よって、CNT合成温度(アルミニウム基板の加熱温度)をより高い温度(特に600℃以上)に設定した場合であっても、アルミニウム基板の外径形状の変形が抑えられる。
本発明において、アルミニウム基板は、純アルミニウム、または、アルミニウムが主成分であって融点が660℃程度の材質で構成されるのがよい。また、アルミニウム基板に設けられている微細孔は、アルミニウム基板の一方の表面から他方の表面を貫通するように、アルミニウム基板に形成されているとよい。
本発明において、微細孔が形成されたアルミニウム基板の開口率は、10%以上であり且つ20%以下であるのがよい。ここで、開口率とは、アルミニウム基板の表面積と微細孔の総開口面積の和に対する微細孔の総開口面積の比(百分率)である。また、アルミニウム基板に形成されている微細孔の孔径が、60μm以上であり且つ120μm以下であるとよい。このような微細孔をアルミニウム基板に形成することにより、例えば、CNT合成温度(アルミニウム基板の加熱温度)がアルミニウムの融点以上である660℃〜720℃の範囲内の温度に設定されている場合であっても、アルミニウム基板の外形形状の変形を十分に抑えることができ、且つ、結晶性が高く、十分に成長したカーボンナノチューブをアルミニウム基板の表面上に形成することができる。
また、本発明は、その表面に開口する複数の微細孔(2a)が形成されているアルミニウム基板(2)の表面上に、カーボンナノチューブを形成するための種触媒を担持する種触媒担持工程と、アルミニウム基板を600℃以上であり且つ720℃以下の温度に加熱し、熱CVD法により炭素を含む原料から炭素をアルミニウム基板の表面に生成させることにより、アルミニウム基板の表面上に担持されている種触媒からカーボンナノチューブ(3)を成長させるCVD工程と、を含む、カーボンナノチューブ複合体(1)の製造方法を提供する。この場合、アルミニウム基板の開口率が10%以上であり且つ20%以下であるのがよい。また、アルミニウム基板に形成されている微細孔の孔径が60μm以上であり且つ120μm以下であるのがよい。また、CVD工程にて、アルミニウム基板が、660℃以上であり且つ720℃以下の温度に加熱されるとよい。
本発明によれば、CVD工程にてアルミニウム基板が加熱されたときに、熱膨張によりアルミニウム基板に形成された微細孔の形状が変形することにより、アルミニウム基板の外形形状の変形が抑えられる。よって、CNT合成温度(アルミニウム基板の加熱温度)が、600℃以上であり且つ720℃以下の範囲の温度に設定された場合であっても、アルミニウム基板の外形形状の変形を十分に抑えることができる。また、CNT合成温度を600℃以上且つ720℃以下、特に660℃以上且つ720℃以下の高温度に設定することにより、結晶性の高いカーボンナノチューブをアルミニウム基板の表面上に形成することができる。
本実施形態に係るカーボンナノチューブ複合体の正面図である。 アルミニウム基板の正面図である。 図1のIII−III断面を拡大して示す模式図である。 アルミニウム箔A1,A2,A3の表面の拡大写真(SEM画像)である。 実施例に係るカーボンナノチューブ複合体X1,X2,X3及び比較例に係るカーボンナノチューブ複合体Yの外観を示す光学顕微鏡写真である。 実施例に係るカーボンナノチューブ複合体X1の表面のSEM画像である。 実施例に係るカーボンナノチューブ複合体X2の表面のSEM画像である。 実施例に係るカーボンナノチューブ複合体X3の表面のSEM画像である。 比較例に係るカーボンナノチューブ複合体Yの表面のSEM画像である。
以下、本発明の実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係るカーボンナノチューブ複合体1の正面図である。図1に示すように、本実施形態に係るカーボンナノチューブ複合体1は、薄膜状のアルミニウム基板2と、アルミニウム基板2の表面に形成されたカーボンナノチューブ3とを備える。
図2は、アルミニウム基板2の正面図である。図2に示すように、このアルミニウム基板2は、正面から見て長方形状の薄膜部材であり、その厚さは約30μmである。アルミニウム基板2は、純アルミニウム、又は主成分がアルミニウムであってその融点が660℃前後であるアルミニウム合金により構成される。なお、アルミニウム基板2としては、厚さが10μm〜100μm、特に、厚さが10μm〜60μmのアルミニウム箔であるのが好ましい。
また、アルミニウム基板2には多数の微細孔2aが形成されている。微細孔2aは、アルミニウム基板2の表面に開口するように形成されている。微細孔2aは、アルミニウム基板2の一方の表面からその反対側の他方の表面を貫通するように、すなわち厚み方向に貫通するように、アルミニウム基板2に形成されている。微細孔2aは、アルミニウム基板2の表面の全領域に亘り、均一に形成されている。微細孔2aの開口形状は略円形であり、孔径(孔の直径)は約100μmである。また、アルミニウム基板2の開口率(アルミニウム基板2の表面積と微細孔2aの総開口面積の和に対する微細孔2aの総開口面積の百分率)は、本実施形態では20%である。
図3は、図1のIII−III断面を拡大して示す模式図である。図3に示すように、アルミニウム基板2には、その一方の表面から他方の表面を貫通する断面略円形の微細孔2aが形成されている。また、アルミニウム基板2の両表面には、カーボンナノチューブを形成するための種触媒からなる触媒層4が設けられている。触媒層4の厚さは約50nmである。触媒層4を構成する種触媒として、例えばFeTiが用いられる。この触媒層4から、配向性のあるカーボンナノチューブ3が形成されている。つまり、カーボンナノチューブ3が、触媒層4を介してアルミニウム基板2の表面から形成されている。このような構成のカーボンナノチューブ複合体1は、例えば、リチウムイオンキャパシタの電極に用いることができる。
次に、上記構成のカーボンナノチューブ複合体1の製造方法について説明する。まず、図2に示すような形状のアルミニウム基板2を用意する。次いで、カーボンナノチューブを形成させるための種触媒が含有されている触媒混合液を用意する。そして、ディップコーター(ディップコーティング装置)を用いて、アルミニウム基板2を触媒混合液に浸漬し、その後、アルミニウム基板2を一定の速度で触媒混合液から引き上げる。これにより、アルミニウム基板2の表面に種触媒が担持される(種触媒担持工程)。担持された種触媒により、触媒層4が構成される。
次に、種触媒担持工程を実施した後のアルミニウム基板2を、CVD装置のチャンバー内の所定位置にセットし、熱CVD法によりアルミニウム基板2の表面に炭素を生成する。この場合において、まずチャンバー内の雰囲気ガスを不活性ガスに置換し、その後、チャンバー内の雰囲気を加熱してアルミニウム基板2の表面を600℃程度に昇温させる。昇温完了後、アセチレン等の炭素を含む原料ガスをチャンバー内に供給するとともに、アルミニウム基板2の表面温度を720℃まで昇温させる。これにより、CNT合成温度が720℃に設定される。
チャンバー内に供給された原料ガスは、チャンバー内で熱分解する。原料ガスの熱分解反応により炭素が生成され、生成された炭素によりアルミニウム基板2の表面上に炭素被膜が形成される(CVD工程)。この場合、アルミニウム基板2の表面に生成した炭素は、アルミニウム基板2の表面に担持された種触媒内に固溶する。種触媒内に固溶した炭素の濃度が所定濃度以上にまで上昇すると、種触媒からカーボンナノチューブが析出する。析出したカーボンナノチューブが種触媒から成長することにより、アルミニウム基板2の表面上に配向性のカーボンナノチューブが形成される。このように、触媒担持工程及びCVD工程を経て、カーボンナノチューブ複合体1が製造される。
上記CVD工程においては、アルミニウム基板2が720℃に加熱される。ここで、表面に微細孔が形成されていないアルミニウム基板を720℃まで加熱した場合、熱膨張によって、アルミニウム基板の外形形状が三次元的に大きく変形する。例えば、アルミニウム基板が反り返ったり、波打ったり(うねりを生じたり)、或いはアルミニウム基板に割れが発生する。このようにアルミニウム基板の外形形状が変形した場合、その変形部分にカーボンナノチューブが形成されない可能性がある。また、外形形状が変形したアルミニウム基板を備えるカーボンナノチューブ複合体をその後の組み付け工程にて他の部品と組み合わされる際に、うまく組み合わせることができない。さらにはカーボンナノチューブ複合体としての製品価値が損なわれる。
本実施形態に係るアルミニウム基板2には、その表面に開口した多数の微細孔2aが形成されている。このような多数の微細孔2aが形成されたアルミニウム基板2を720℃まで加熱した場合、アルミニウム基板2の全体の形状、すなわち外形形状はさほど変形せず、代わりに微細孔2aの形状が変形する。つまり、熱膨張による変形が微細孔2aに吸収されることによって、アルミニウム基板2の外形形状の変形量が少なくされる。
このように、本実施形態によれば、アルミニウム基板2を720℃まで加熱した場合においてもその外形形状の変形を抑えることができる。よって、CNT合成温度を720℃に設定した場合であっても、アルミニウム基板2の外形形状の変形を抑えつつ、その表面上にカーボンナノチューブを形成することができる。CNT合成温度は、形成されるカーボンナノチューブの結晶性に影響を及ぼす。CNT合成温度が高いほど、形成されるカーボンナノチューブの結晶性が高い。本実施形態によれば、従来のCNT合成温度よりも高いCNT合成温度(720℃)でアルミニウム基板表面上にカーボンナノチューブを形成することができるので、より結晶性の高い、すなわち欠陥の少ないカーボンナノチューブを得ることができる。
ちなみに、アルミニウム基板2の融点は約660℃である。上記のCNT合成温度(720℃)は、アルミニウム基板2の融点よりも高い温度である。従って、CVD工程時にアルミニウム基板2が720℃まで加熱された場合、アルミニウム基板が溶融状態にされていると考えられる。本実施形態では、アルミニウム基板2が溶融状態でありながら、その外形形状を維持しているものと考えられる。そして、CVD工程の実施後にアルミニウム基板が冷却されることによって、外形形状が維持されたままアルミニウム基板が凝固されるものと考えられる。
(実施例)
まず、アルミニウム基板として、表面に多数の断面略円形の微細孔が形成された3枚のアルミニウム箔(A1,A2,A3)を用意した。各アルミニウム箔の寸法は、縦190mm、横140mmであり、厚みは30μmである。アルミニウム箔A1に形成された微細孔の孔径は120μmであり、アルミニウム箔A1の開口率は10%である。アルミニウム箔A2に形成された微細孔の孔径は60μm、アルミニウム箔A2の開口率は20%である。アルミニウム箔A3に形成された微細孔の孔径は160μm、アルミニウム箔A3の開口率は30%である。図4は、各アルミニウム箔A1,A2,A3の表面の拡大写真(SEM画像)であり、図4(a)がアルミニウム箔A1を、図4(b)がアルミニウム箔A2を、図4(c)がアルミニウム箔A3を、それぞれ示す。
次いで、カーボンナノチューブを形成させるための種触媒であるFeTi触媒粒子(平均粒径:5nm)がヘキサンに分散されてなる種触媒混合液(吸光度:1.30Abs)を用意した。そして、ディップコーターを用いて、各アルミニウム箔A1,A2,A3を種触媒混合液に浸漬させ、その後、一定速度で各アルミニウム箔A1,A2,A3を種触媒混合液から引き上げた(種触媒担持工程)。これにより、各アルミニウム箔A1,A2,A3の表面にFeTi種触媒からなる厚さ50nmの触媒層が形成された。すなわち、各アルミニウム箔A1,A2,A3の表面に種触媒が担持された。
次いで種触媒が担持された各アルミニウム箔A1,A2,A3をCVD装置のチャンバー内の所定位置にセットし、熱CVD法により炭素を各アルミニウム箔A1,A2,A3の表面に生成させた。この場合において、まず、チャンバー内の圧力を10Paまで減圧させ、その後、チャンバー内にキャリヤガスとしての窒素ガス(流量:5SLM)を導入してチャンバー内の圧力を90kPaまで昇圧した。そして、チャンバー内の雰囲気を加熱して、各アルミニウム箔A1,A2,A3の表面温度が600℃となるように各アルミニウム箔A1,A2,A3を昇温(1次昇温)させた。このときの昇温時間は10分であった。昇温完了後、炭素源を構成する原料ガスとしてのアセチレンガスを、流量1.5SLMで窒素ガスとともにチャンバー内に供給するとともに、各アルミニウム箔A1,A2,A3の表面温度が720℃まで上昇するように各アルミニウム箔A1,A2,A3をさらに昇温させた。これによりCNT合成温度が720℃に設定された。なお、アセチレンガスの供給時間は35分であった。
供給されたアセチレンガスはチャンバー内で熱分解し、これにより、加熱されている各アルミニウム箔A1,A2,A3の表面に炭素が生成される(CVD工程)。各アルミニウム箔A1,A2,A3の表面には種触媒が担持されているため、各アルミニウム箔A1,A2,A3の表面に生成された炭素は種触媒に固溶する。そして、種触媒に固溶した炭素の濃度が所定濃度以上にまで上昇すると、種触媒からカーボンナノチューブが析出し、析出したカーボンナノチューブが種触媒から成長する。こうして、各アルミニウム箔A1,A2,A3の表面にカーボンナノチューブが形成された。
上記の種触媒担持工程及びCVD工程を経て、アルミニウム箔A1の表面にカーボンナノチューブが形成された実施例1に係るカーボンナノチューブ複合体X1、アルミニウム箔A2の表面にカーボンナノチューブが形成された実施例2に係るカーボンナノチューブ複合体X2、及び、アルミニウム箔A3の表面にカーボンナノチューブが形成された実施例3に係るカーボンナノチューブ複合体X3を製造した。
(比較例)
実施例と同じ寸法、厚みであり、微細孔が形成されていないアルミニウム箔Bを用意し、実施例と同様に、種触媒担持工程、CVD工程を実施した。これにより、微細孔が形成されていないアルミニウム箔Bの表面にカーボンナノチューブが形成された比較例に係るカーボンナノチューブ複合体Yを製造した。
(アルミニウム箔の外形形状の変化)
図5は、各実施例に係るカーボンナノチューブ複合体X1,X2,X3及び比較例に係るカーボンナノチューブ複合体Yの外観を示す光学顕微鏡写真である。図5(a)がカーボンナノチューブ複合体X1を、図5(b)がカーボンナノチューブ複合体X2を、図5(c)がカーボンナノチューブ複合体X3を、図5(d)がカーボンナノチューブ複合体Yを、それぞれ示す。図5(a)乃至図5(c)からわかるように、カーボンナノチューブ複合体X1,X2,X3のアルミニウム箔A1,A2,A3には、うねり及び割れが発生しておらず、外観形状は良好である。つまり、アルミニウム箔A1,A2,A3の外形形状は、CVD工程の実施後においてもさほど変形していない。これに対し、カーボンナノチューブ複合体Yのアルミニウム箔Bの外形形状は、図5(d)からわかるように、三次元的に変形している。具体的には、カーボンナノチューブ複合体Yのアルミニウム箔Bはうねっており、且つ、割れが発生している。以上のことから、微細孔が形成されたアルミニウム箔を用いてカーボンナノチューブ複合体を製造することにより、CNT合成温度を720℃に設定した場合であっても、アルミニウム箔(アルミニウム基板)の外形形状の変形が抑えられていることがわかる。
(カーボンナノチューブの成長状態)
図6は、カーボンナノチューブ複合体X1の表面のSEM画像(図6(a)の倍率は50倍、図6(b)の倍率は500倍、図6(c)の倍率は1000倍)である。図6(特に図6(b)及び図6(c))に示すように、アルミニウム箔A1の表面上に、配向性のカーボンナノチューブが形成されていることがわかる。また、図6(c)に示すように、カーボンナノチューブの長さは、約50μmに達しており、十分にカーボンナノチューブがアルミニウム箔A1の表面上で成長していることがわかる。
図7は、カーボンナノチューブ複合体X2の表面のSEM画像(図7(a)の倍率は50倍、図7(b)の倍率は500倍、図7(c)の倍率は1800倍)である。図7(特に図7(b)及び図7(c))に示すように、アルミニウム箔A2の表面に、配向性のカーボンナノチューブが形成されていることがわかる。また、図7(c)に示すように、カーボンナノチューブの長さは、約30μmであり、十分にカーボンナノチューブがアルミニウム箔A2の表面上で成長していることがわかる。
図8は、カーボンナノチューブ複合体X3の表面のSEM画像(図8(a)の倍率は50倍、図8(b)及び図8(c)の倍率は500倍)である。図8(特に図8(c))に示すように、アルミニウム箔A3に形成された微細孔の周縁から盛り上がるように、カーボンナノチューブが形成されているものと思われる。ただし、カーボンナノチューブが十分に配向しているとは言えず、且つ、その長さも短い。
図9は、カーボンナノチューブ複合体Yの表面のSEM画像(図9(a)の倍率は50倍、図9(b)の倍率は500倍、図9(c)の倍率は2000倍)である。図9に示すように、アルミニウム箔Bの外形形状の変形が小さい部分には、カーボンナノチューブが形成されているが、ほとんどのカーボンナノチューブが無秩序な方向に延びており、配向性は無いものと思われる。
(カーボンナノチューブの結晶性)
カーボンナノチューブの結晶性は、ラマン分光法のラマンスペクトル(横軸:波長、縦軸:散乱光の強度)において、波長1580cm−1付近の散乱光のピーク値であるG(グラファイト)−bandと、波長1350cm−1付近の散乱光のピーク値であるD(欠陥)−bandとの比であるI/I比率に基づいて、評価できる。I/I比率が大きいほど結晶性が高いと判断できる。
カーボンナノチューブの結晶性とCNT合成温度との関係を調べるために、上記実施例で示した触媒担持工程及びCVD工程を経て、カーボンナノチューブ複合体としてのサンプルNo.1、サンプルNo.2、及びサンプルNo.3を作製した。各サンプルの作製に用いられるアルミニウム基板は、いずれも、上記実施例で用いたアルミニウム箔A2である。また、サンプルNo.1を作製する際に実施されるCVD工程における1次昇温温度は500℃、CNT合成温度は550℃である。サンプルNo.2を作製する際に実施されるCVD工程における1次昇温温度は600℃、CNT合成温度は650℃である。サンプルNo.3を作製する際に実施されるCVD工程における1次昇温温度は600℃、CNT合成温度は720℃である。
作製した各サンプルのアルミニウム箔の表面に形成されているカーボンナノチューブのI(G−band)、I(D−bamd)を、日本分光株式会社製ラマン分光計(型式:NRS−3300)を用いて測定した。また、測定したI及びIから、I/I比率を算出した。
表1に、各サンプルの実験条件(使用したアルミニウム箔、1次昇温温度、CNT合成温度)と、ラマン分光計による測定結果(I,I)と、算出されたI/I比率を示す。表1に示すように、CNT合成温度が高いほど結晶性が高いことがわかる。また、サンプル2及びサンプル3によれば、アルミニウム箔の表面に、I/I比率が1.0以上である結晶性の高いカーボンナノチューブが形成されていることがわかる。さらに、サンプル3によれば、アルミニウム箔の表面に、I/I比率が1.07以上である結晶性のより高いカーボンナノチューブが形成されていることがわかる。
以上の結果から、アルミニウム箔に微細孔が形成されている場合、CNT合成温度が720℃であってもアルミニウム箔の外形形状の変形が抑えられることがわかる。また、アルミニウム箔に形成されている微細孔の孔径が60μm以上且つ120μm以下であり、アルミニウム箔の開口率が10%以上且つ20%以下である場合、CNT合成温度が720℃であってもアルミニウム箔の外形形状の変形が抑えられ、且つ、結晶性が高く、十分に成長した配向性のカーボンナノチューブをアルミニウム箔の表面上に形成できることがわかる。
1…カーボンナノチューブ複合体、2…アルミニウム基板、2a… 微細孔、3…カーボンナノチューブ、4…触媒層

Claims (6)

  1. アルミニウム基板及び前記アルミニウム基板の表面上に形成されたカーボンナノチューブを備えるカーボンナノチューブ複合体であって、
    前記アルミニウム基板には、その前記表面に開口する複数の微細孔が形成されている、カーボンナノチューブ複合体。
  2. 請求項1に記載のカーボンナノチューブ複合体において、
    前記アルミニウム基板の開口率が10%以上であり且つ20%以下である、カーボンナノチューブ複合体。
  3. 請求項1又は2に記載のカーボンナノチューブ複合体において、
    前記微細孔の孔径が、60μm以上であり且つ120μm以下である、カーボンナノチューブ複合体。
  4. その表面に開口する複数の微細孔が形成されているアルミニウム基板の前記表面上に、カーボンナノチューブを形成するための種触媒を担持する種触媒担持工程と、
    前記アルミニウム基板を600℃以上であり且つ720℃以下の温度に加熱し、熱CVD法により炭素を含む原料から炭素を前記アルミニウム基板の表面に生成させることにより、前記アルミニウム基板の前記表面上に担持されている前記種触媒からカーボンナノチューブを成長させるCVD工程と、
    を含む、カーボンナノチューブ複合体の製造方法。
  5. 請求項4に記載のカーボンナノチューブ複合体の製造方法において、
    前記アルミニウム基板の開口率が10%以上であり且つ20%以下である、カーボンナノチューブ複合体の製造方法。
  6. 請求項4又は5に記載のカーボンナノチューブ複合体の製造方法において、
    前記微細孔の開口径が60μm以上であり且つ120μm以下である、カーボンナノチューブ複合体の製造方法。
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