JP2016113373A - 抗菌性、抗ウイルス性を有する水溶性組成物 - Google Patents

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滋典 中西
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Abstract

【課題】本発明は、優れた抗菌・抗ウイルス効果を発現することのできる、ε—ポリリジン、ブドウ種子抽出物から成る抗菌性、抗ウイルス性を有する均一な酸性アルコール水溶液を提供する。【解決手段】ε−ポリリジン、およびブドウ種子抽出物を含有し、pHが3.40以上から5.90以下である酸性アルコール水溶液からなることを特徴とする抗菌性、抗ウイルス性を有する水溶性組成物。【選択図】 なし

Description

本発明はε−ポリリジン、ブドウ種子抽出物、およびアルコールを含有する、酸性アルコール水溶液からなる抗菌性、抗ウイルス性を有する水溶液組成物に関する。
一般に、食品の保存性を向上するために、食品に対し加熱処理を施す方法が採られている。加熱処理を施せない食品や食材に対しては、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、オゾン等で処理することにより細菌類を直接死滅させる方法、貯蔵温度、水分活性又はpH等を調整する方法、リゾチーム、プロタミン、ポリリジン、グリシン、酢酸ソーダ、クエン酸、乳酸、茶抽出物、トウガラシ抽出物、ホップ抽出物、ローズマリー抽出物、キトサン等の静菌剤又は静菌効果を有する物質を添加することにより細菌類の繁殖を抑える方法等が採られている。
ところで、食品の腐敗、変敗の原因となる細菌やカビは、食品の原料として用いている食材に元々付着している細菌類に由来することが多いが、当該食品製造に従事する者の手等の皮膚に存在している常在菌や、食品製造用の機械・器具の表面に存在する落下菌等も食品の腐敗、変敗の原因となる場合がある。
したがって、食品製造に従事する者は、食品の加工所に入る前にアルコール殺菌製剤で手指等を殺菌するのはもちろん、食品製造の機械・器具においても、その外側部分にアルコール殺菌製剤を塗布し、細菌による汚染を防止するのが一般的である。
加えて、最近は、ボツリヌス菌、O―157を代表とする病原性大腸菌、ノロウイルスなどの食中毒微生物、鳥インフルエンザウイルス、肝炎ウイルス(hepatitis virus:HV)、人免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency virus:HIV)等、病気の原因になる病原性微生物(pathogenic microbe)による脅威が強まってきている。
そして病原性微生物の殺菌、消毒方法としても、アルコール製剤を利用するのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
また、食中毒菌に用いられる次亜塩素酸や過酸化水素、オゾンなどの化学薬剤を使用する方法や、紫外線照射や放射線照射、電気化学的な処理などの物理・化学的な殺菌方法も考案されている。通常、抗菌とは原核原生生物、真核原生生物の増殖を防ぐという意味であり、抗菌の対象にウイルスは含まれておらず、ここでは、微生物およびウイルスを死滅させる意味で「殺菌」の語を用い、微生物およびウイルスの病原性を消失させる意味で「消毒(不活化)」の語を使用している。
これまで、ノロウイルス等の非エンベロープタイプのウイルスに対する抗ウイルス効果に言及したものとしては、アルコールとブドウ種子抽出物からのプロアントシアニジンを含有する抗ウイルス剤(例えば、特許文献2参照)が開示されている。
しかしながら、これらはエンベロープを有するウイルスの不活化を目的とするものであり、また、十分な不活化効果を奏するためには、70容量%〜80容量%のアルコールが必要であり、消毒対象物の材質によっては、変質等の好ましくない影響が見られることがあり、また、組成物が着色して、消毒対象物に好ましくない影響を与えるおそれがあった。
上記のように、殺菌の目的で使用されているアルコール殺菌製剤としては、水にアルコールを70容量%以上の高濃度で含有させただけの含水アルコールが広く使用されている。
アルコール(エタノール)は手表面の油分を脱脂する作用があるため、前記含水アルコールを手指の殺菌として頻繁に使用すると手が脱脂され、遂には手が荒れてしまうという問題がある。
また、上記含水アルコールだけでは殺菌効果が不十分な場合もあり、より強力な殺菌効果を有するものが望まれている。食品用途で抗ノロウイルス効果を持つブドウ種子エキスとグリセリン脂肪酸エステルとエタノール、水を組み合わせた例はあるが(例えば、特許文献3参照)、ε―ポリリジンを組み合わせて、食品用除菌剤にまで拡大した例はない。
ブドウ種子抽出物は有用な抗ノロウイルス効果があるとして、報告があるが、ε―ポリリジンを組み合わせて、食品用除菌剤にまで拡大した例はない。(例えば、特許文献4および非特許文献5参照)。
特開2004−269410号公報 特開2008−214297号公報 特開2013−47196 特開2008−214297 Applied and Environmental Microbiology誌(vol.78(21)、7572(2012))
上記のように、殺菌の目的で使用されているアルコール殺菌製剤としては、水にアルコールを約70%の高濃度で含有させただけの含水アルコールが広く使用されているが、アルコール(エタノール)は皮膚、および手表面の油分を脱脂する作用があるため、前記含水アルコールを手指の殺菌として頻繁に使用すると手が脱脂され、遂には手が荒れてしまうという問題がある。
また、上記含水アルコールだけでは殺菌効果が不十分な場合もあり、より強力な殺菌効果を有するものが望まれている。
上記に鑑み、本発明者らは、アルコールとブドウ種子抽出物の両者を混合することで細菌及びノロウイルスに広く効果のある除菌剤を達成できると考えた。
しかしながら、両者を水溶液又は含水エタノール中で混合すると、析出物を生じ沈殿が生成して不均一系となり、析出物によるノズル詰まり等の噴霧困難性をもたらしてしまうことを確認した。
この様な場合は仮に塗布しても析出物により不均一表面となり、効力の低下、塗布表面が析出物により汚くなり、実用に供することが出来なかった。
本発明は、上述の課題を解決するものであり、細菌及びノロウイルスに広く効果のある除菌剤として、ε−ポリリジン、およびブドウ種子抽出物を含有し、pHが3.40以上から5.90以下である酸性アルコール水溶液からなることを特徴とする水溶性組成物を提供するものである。
本発明者らは、上記課題達成のため鋭意検討した結果、ε−ポリリジン、ブドウ種子抽出物、およびアルコールを含有する水溶液に対し、pHを3.40以上から5.90以下とすることで、析出物を発生させることがなく、上記酸性アルコール水溶液の均一性を維持できる点を発見し、本発明を完成させるに至った。
以上、本発明によれば、本発明の水溶液組成物は均一性が高く、細菌及びウイルスに対する抗菌・抗ウイルス性能を有する抗菌・抗ウイルス性の水溶液組成物を提供することができる。更に、人体や環境に与える影響を抑え、コストを低減することができる。
ε−ポリリジンとブドウ種子抽出物を水または含水アルコールで混合すると、沈殿を生じてしまう。噴霧しようとするとノズルを詰めてしまい噴霧困難となる。また、食品と混ぜると均一に混ぜることが困難であり、ε−ポリリジンとブドウ種子抽出物の沈殿により除菌、抗ウイルス効果の低下を招いてしまう。この沈殿は、均一化において致命的な課題である。
本発明に係る前記水溶液組成物は、pHが3.40以上から5.90以下であることが好ましく、より好ましくはpHが3.40以上からpHが5.70以下である。
また、本実施形態において、ε−ポリリジン濃度範囲は、0.02重量%以上から1.0重量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.03重量%以上から0.98重量%以下である。
また本実施形態において、ブドウ種子抽出物の濃度範囲が0.002重量%以上から0.30重量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.005重量%以上から0.25重量%以下である。
本実施形態において、前記酸性アルコール水溶液のアルコール濃度範囲は20重量%以上から70重量%以下が好ましく、より好ましくは40重量%以上から69重量%以下である。
また、本実施形態において、ε−ポリリジン及びブドウ種子抽出物を溶解させる溶媒は水およびアルコールである。本発明で使用可能な、アルコールは、エチルアルコールもしくはイソプロピルアルコールが好ましい。更に、食品添加物である酸化防止剤等を添加することも可能である。
また本実施形態において、溶媒の他、pHを調整するための酸が加えられる。この酸としては、上記所望のpHに調整することができ水に可溶である限りにおいて特に限定されるわけではないが、塩酸、リン酸等の無機酸、乳酸、酢酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、フマル酸、コハク酸等の有機酸を例示することができる。
また本実施形態においては、酸以外のpHを調整するための物質として緩衝能のある塩を加えることができる。
pH緩衝能のある塩としては、例えば上記酸と金属との塩、具体的には乳酸金属塩、酢酸金属塩、酒石酸金属塩、リン酸金属塩等を例示することができる。
この場合において金属も特に限定されるわけではないが、例えばナトリウム、カリウム等を例示することができる。
以上、本実施形態によれば、均一性が高く効果の高い、細菌及びウイルスに対する抗菌・抗ウイルス性能を有する抗菌・抗ウイルス剤を提供することができる。なおこの結果、人体や環境に与える影響を抑え、コストを低減することができる。
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明の様態はこれに限定されない。尚、下記文中「部」とは「質量部」を表す。
ここで、上記実施形態に係る水溶性組成物について実際に作製、検討を行った。以下具体的に説明する。
まず、ブドウ種子抽出物(キッコーマンバイオケミファ社製)及びε−ポリリジン(JNC株式会社製)およびエタノールを、それぞれ所定量添加した溶液100gを用意し、その溶液に乳酸を加えていくことでpHを調整し、ブドウ種子抽出物とε−ポリリジンに基づく析出物が溶解したか否かについて確認した。結果を表1に示す。なお下記表中、ε−ポリリジン重量%及びブドウ抽出物の重量%は、終了pH時(溶解が確認できた又は溶解が確認できなかった最終のpH)における溶液における重量%を示している。尚、表1における、試料4のみはイソプロピルアルコールを使用し、その他試料はエチルアルコールを使用し、試料5は、pHの調整にクエン酸を使用して作成した。
Figure 2016113373
以上の結果から、ε−ポリリジン、ぶどう抽出物およびアルコール濃度により、最終液pHが3.40以上から5.90以下である本発明の水溶液組成物はすべて均一な溶液となり、比較試料に比較して良好な溶解均一性を示した。
抗菌性能を測定する為、黄色ブドウ状球菌の液(黄色ブドウ状球菌1X10個/mlを含む液を、0.25ml取り、16cmの滅菌ガーゼに吸着させる。次いで、前記滅菌ガーゼに試料および比較試料をそれぞれに1.0mlを加え、0.5時間室温に放置する。
次に、黄色ブドウ状球菌を検出するため、ぺたんチェック®25卵黄加マンニット食塩培地(栄研化学(株)製)に各試料を接触させ、33℃の温度で、24時間培養し、培地が朱色から黄色ブドウ状球菌由来の黄白色に変わったところがみられるかどうかにより菌不活化の有無を判定した。尚、実施例1と同様にして試料11からε−ポリリジンを除去した比較試料7を作成した。結果を表2に示す。
Figure 2016113373
以上の結果から、比較試料5は析出物があり、均一な抗菌性を示さず、部分的に菌の生育が確認されたが、比較試料1、2、3、6、および7はその抗菌性を確認出来なかったが、本発明の試料はいずれも均一な溶液であり、且つ、十分な抗菌性が確認された。
培養系が確立しているネコカリシウイルスをノロウイルスの代替として用い、50%培養細胞感染濃度法(以下TCID50法)によりウイルス感染抑制効果を評価した。
使用したネコカリシウイルス(以下FCV)はFCV−F9株で、供試細胞はネコ腎細胞(以下CRFK細胞)である。CRFK細胞はダルベッコ修正イーグル培地(D−MEM)に牛胎児血清(FBS)を10%加えた培地(D−MEN F10)を用いて培養し、FBSの終濃度が5%を超えるように、細胞数に応じて適宜培地の調整を行った。
また、試験用の維持培養は、D−MEM基礎培地にFBSを1%加えた培地(D−MEM F1)を用いて行った。
ウイルス感染抑制効果は、実施例1と同様にして作成した試料もしくは比較試料と供試ウイルス液を1対1の等量で5分間作用させる条件にて評価した。
又、比較試料8は、実施例1と同様にして、試料8からブドウ種子抽出物を除去して作成した。なお、供試ウイルス液としては、FCV−F9株をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)により、logTCID50/mlとして6.0となるように調製した懸濁液を用いた。
感染価を求めるために、供試ウイルスと試料の作用液をD−MEM F1で10倍に段階希釈していき、96穴マイクロプレートの各穴に、D−MEM F1で培養したCRFK細胞を5×10cfu/穴となるように播種し、各希釈段階の前記作用液をそれぞれ4ウェルずつ接種して、36℃、5%COのCO2インキュベーターで5〜7日間培養し、細胞変性効果(CPE)を顕微鏡下で観察して、TCID50/mlの値をリード−メンチ(Reed−Muench)法により算出した。
対照として、試料液の代わりにPBSを用いる以外は同様に操作して感染価を求めた。対照の感染価の対数値(logTCID50/ml)から試料液と作用させたウイルスの感染価の対数値(logTCID50/ml)を差し引いた値(ΔlogTCID50/ml)を求め、この減少値が3を超えた場合に、十分な感染抑制効果があると判断した。TCID50法によるウイルス感染抑制効果についての評価結果を表3に示した。
Figure 2016113373
以上の結果から、本発明の各組成物においては、5分間の作用でも3.0以上のΔlogTCI
本発明は、抗菌・抗ウイルス剤として産業上の利用可能性がある。D50/ml値が得られており、良好なウイルス感染抑制効果が認められた。
まず、ブドウ種子抽出物(キッコーマンバイオケミファ社製)及びε−ポリリジン(JNC株式会社製)およびエタノールを、それぞれ所定量添加した溶液100gを用意し、その溶液に乳酸を加えていくことでpHを調整し、ブドウ種子抽出物とε−ポリリジンに基づく析出物が溶解したか否かについて確認した。結果を表1に示す。なお下記表中、ε−ポリリジン重量%及びブドウ抽出物の重量%は、終了pH時(溶解が確認できた又は溶解が確認できなかった最終のpH)における溶液における重量%を示している。尚、表1における、試料4のみはイソプロピルアルコールを使用し、その他試料はエチルアルコールを使用し、試料5は、pHの調整にクエン酸を使用して作成した。
Figure 2016113373
次に、黄色ブドウ状球菌を検出するため、ぺたんチェック®25卵黄加マンニット食塩培地(栄研化学(株)製)に各試料を接触させ、33℃の温度で、24時間培養し、培地が朱色から黄色ブドウ状球菌由来の黄白色に変わったところがみられるかどうかにより菌不活化の有無を判定した。尚、実施例1と同様にして試料11からε−ポリリジンを除去した比較試料7を作成した。結果を表2に示す。
Figure 2016113373

Claims (4)

  1. ε−ポリリジン、およびブドウ種子抽出物を含有し、pHが3.40以上から5.90以下である酸性アルコール水溶液からなることを特徴とする抗菌性、抗ウイルス性を有する水溶性組成物。
  2. 前記ε−ポリリジン濃度範囲が0.02重量%以上から1.0重量%以下であることを特徴とする請求項1記載の水溶性組成物。
  3. 前記ブドウ種子抽出物の濃度範囲が0.002重量%以上から0.30重量%以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の水溶性組成物。
  4. 前記酸性アルコール水溶液のアルコール濃度範囲が20重量%以上から70重量%以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の水溶性組成物。
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