JP2016127622A - 電力需要予測システム - Google Patents
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Abstract
【課題】建物における電力需要を、従来よりも正確に予測することのできる電力需要予測システムを提供する。
【解決手段】この電力需要予測システム10は、過去における電力消費の履歴を、最も消費電力が小さかったときにおける最低消費電力が、一定値として消費されていたとした場合の履歴である固定履歴データと、最低消費電力を超える分の消費電力の履歴である変動履歴データと、に分ける処理と、
固定履歴データに基づいて、将来の電力需要のうち最低限見込まれる値である固定需要データを作成する処理と、
変動履歴データに基づいて、将来の電力需要のうち最低電力需要を超える分の電力需要である変動需要データを作成する処理と、を実行するように構成されている。
【選択図】図2
【解決手段】この電力需要予測システム10は、過去における電力消費の履歴を、最も消費電力が小さかったときにおける最低消費電力が、一定値として消費されていたとした場合の履歴である固定履歴データと、最低消費電力を超える分の消費電力の履歴である変動履歴データと、に分ける処理と、
固定履歴データに基づいて、将来の電力需要のうち最低限見込まれる値である固定需要データを作成する処理と、
変動履歴データに基づいて、将来の電力需要のうち最低電力需要を超える分の電力需要である変動需要データを作成する処理と、を実行するように構成されている。
【選択図】図2
Description
本発明は、建物における将来の電力需要を予測する電力需要予測システムに関する。
近年、省エネルギーや地球温暖化防止等の観点から、建物における電力消費を効率的に行うためのエネルギーマネジメントシステム(例えばHEMS等)が注目されている。エネルギーマネジメントシステムでは、例えば蓄電池からの放電や燃料電池装置からの電力供給によって電力需要が効率的に賄われるよう、建物における将来の電力需要を正確に予測することが求められる。
将来の電力需要を予測するための方法としては、これまでに様々な方法が提案されている。例えば、下記特許文献1には、過去における電力使用の履歴(需要実績データ)、及び気象変化の履歴(気象実測データ)をデータベースに保存しておき、将来の気象変化を示すデータ(気象予測データ)に類似した気象変化の履歴を有する過去の期間を抽出した上で、当該期間における電力使用の履歴から将来の電力需要を予測する方法が示されている。
また、下記特許文献2には、過去における電力使用の履歴から自己回帰モデルを作成し、当該自己回帰モデルに基づいて将来の電力需要を予測する方法が示されている。
建物における電力需要は、1日の時間帯によって変化する他、曜日や季節によっても変化する。また、建物で生活する生活者の行動パターンや、エアコンの温度設定の好み等によっても変化する。このように、建物における電力需要は、様々な要因により複雑に変化するものであるから、正確に予測することは困難である。
上記特許文献1に記載の予測方法は、予測される気象変化と類似した過去のデータに基づいて電力需要を予測するものであるから、正確な予測を行うには膨大な量の履歴を保存しておくことが必要である。また、類似の度合い(類似度)を算出するために複雑かつ膨大な計算を行う必要がある。更に、類似度の高い過去のデータがデータベースに存在しなかった場合には、電力需要の予測誤差が大きくなってしまうという問題がある。
また、上記特許文献2に記載の予測方法は、自己回帰モデルに基づいて電力需要を予測する方法であるから、過去における電力消費のパターンと、将来における電力消費のパターンとが、ある程度近い(周期性を有する)ことが前提となっている。このため、特に一般家庭における電力需要のように、突発的な要因で変動する(周期的な変化から外れる)ことの多い電力需要を正確に予測することは難しいものと思われる。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、建物における電力需要を、従来よりも正確に予測することのできる電力需要予測システムを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る電力需要予測システムは、過去における電力消費の履歴を、最も消費電力が小さかったときにおける最低消費電力が、一定値として消費されていたとした場合の履歴である固定履歴と、前記最低消費電力を超える分の消費電力の履歴である変動履歴と、に分ける分離処理と、固定履歴に基づいて、将来の電力需要のうち最低限見込まれる分である固定需要を予測する固定部予測処理と、変動履歴に基づいて、将来の電力需要のうち固定需要を超える分の電力需要である変動需要を予測する変動部予測処理と、を実行するように構成されている。
上記のような電力需要予測システムでは、将来の電力需要の全体を一括して予測するのではなく、固定需要と変動需要とに分けて、それぞれの予測が行われる。
固定履歴とは、最も消費電力が小さかったときにおける最低消費電力が、一定値として消費されていたとした場合の履歴のことである。つまり、固定需要は、時間経過に伴って変動することのない一定の消費電力(最低消費電力)の履歴として作成されるものである。
固定需要の予測は、過去における電力消費の履歴のうち、上記のように時間経過に伴って変動しない部分である固定履歴に基づいて行われる。固定需要は、短期的にはあまり変化しない可能性が高いと思われるため、固定履歴に基づいて容易に且つ比較的正確に予測することが可能である。例えば、固定履歴をそのまま固定需要として用いたとしても、大きな誤差は生じないものと考えられる。
変動履歴とは、最低消費電力を超える分の消費電力の履歴のことである。つまり、変動履歴は、過去における電力消費の履歴から、上記固定履歴(最低消費電力)を差し引くことによって作成されるものである。このような変動履歴は、過去における電力消費の履歴のうち、時間経過に伴って変動する部分のみを抽出したもの、ということができる。
変動需要の予測は、過去における電力消費の履歴のうち、上記のように時間経過に伴って変動する部分である変動履歴に基づいて行われる。変動需要は、気象の変化や一日の時間帯、曜日などの様々な要因によって複雑に変化する部分である。しかしながら、固定需要が含まれていないため、電力需要の全体を一括して予測する場合に比べれば、比較的正確に予測することが可能である。 このように、本発明に係る電力需要予測システムでは、電力需要を固定需要と変動需要とに分けてそれぞれ予測する。このような方法は、特許文献1に記載の予測方法のように膨大な過去の履歴から類似度の高いデータを抽出するものではないため、履歴データの中に類似度の高いデータが含まれていない場合であっても、電力需要の予測誤差が大きくなってしまうことはない。
また、特許文献1に記載の予測方法のように、過去における電力消費の履歴に周期性があること(突発的な増減が無いこと)を前提とした方法ではないため、電力需要における突発的な増減がある場合であっても、本発明によれば電力需要を予測することができる。尚、本発明においても、突発的な要因によって電力需要の予測誤差が生じてしまうことは考えられる。しかしながら、当該誤差の大部分は変動需要についてのみ生じ、固定需要の部分の方はある程度正確に予測されるのであるから、電力需要の全体における予測誤差は比較的小さなものとすることができる。
本発明によれば、建物における電力需要を、従来よりも正確に予測することのできる電力需要予測システムを提供することができる。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
図1を参照しながら、本発明の実施形態に係る電力需要予測システム10の構成について説明する。本実施形態においては、電力需要予測システム10は電力管理システムPSの一部となっている。電力管理システムPSは、建物(不図示)に補助的な電力を供給することにより、電力系統から建物に供給される電力を低減するためのシステムである。電力管理システムPSから建物に供給される電力は、例えば深夜のように、電力料金の低い時間帯において予め蓄電池(不図示)に蓄えられていた電力である。
電力需要予測システム10は、建物における今後の需要電力の変化を予測して、当該予測の結果を需要予測データとして出力するためのシステムである。需要予測データは、所定の予測期間(例えば現在から一週間先までの期間)を30分毎の小期間に分けた上で、それぞれの小期間において予測される需要電力(単位:W)を示す一群の数値からなるデータである。
電力管理システムPSは、電力需要予測システム10から出力された需要予測データに基づいて、蓄電池の充放電スケジュールを作成する。当該充放電スケジュールに沿って蓄電池からの充放電を行うことにより、電力系統からの電力供給(買電)を抑制し、電気料金を低減することができる。
尚、上記構成はあくまで一例であって、本発明の用途は上記のような態様に限定されない。例えば、電力需要予測システム10から出力された需要予測データに基づいて、建物に設置された燃料電池装置の発電スケジュールが作成されるような態様であってもよい。また、電力管理システムPSが、建物に備えられた蓄電池装置、太陽電池装置、及び燃料電池装置のそれぞれの動作を統合管理するものであってもよい。
電力管理システムPSは、電力需要予測システム10の他に、電力計測装置20を備えている。電力計測装置20は、建物内に設置された家電機器30において消費される電力を測定し、測定結果を電力需要予測システム10に送信するためのものである。家電機器30は、図1においては単一のブロックとして描かれているが、冷蔵庫やテレビ、冷暖房装置等の複数の家電機器を含むものである。
電力計測装置20は、消費電力計測部21と、消費電力送信部22とを備えている。消費電力計測部21は、建物の配電盤(不図示)に設けられた電流計及び電圧計により、配電盤を介して建物に供給された電力、すなわち家電機器30において消費された電力の大きさ(単位:W)を計測する部分である。尚、「配電盤を介して建物に供給された電力」とは、電力需要予測システム10の蓄電池から建物に供給された電力と、電力系統から建物に供給された電力とを合計したものである。
消費電力送信部22は、電力需要予測システム10との通信を行うためのインターフェースとなる部分である。消費電力送信部22は、消費電力計測部21によって測定された電力(以下、「消費電力」ともいう)を電気信号に変換して、当該電気信号を電力需要予測システム10に送信する。消費電力の測定及び電気信号の送信は、例えば30分毎に行われる。
電力需要予測システム10は、電力計測装置20によって測定された消費電力の履歴、外部の気象サーバ40から提供された気象実績データ、及び、同じく気象サーバ40から提供された気象予測データに基づいて、需要予測データを作成するように構成されたコンピュータシステムである。電力需要予測システム10は、消費電力受信部11と、気象予測受信部12と、気象実績受信部13と、需要実績記憶部14と、気象予測記憶部15と、気象実績記憶部16と、予測演算部100と、需要予測記憶部17とを備えている。
消費電力受信部11は、電力計測装置20との通信を行うためのインターフェースとなる部分である。消費電力受信部11は、電力計測装置20の消費電力計測部21から送信された電気信号(消費電力)を受信して、消費電力を示す数値に戻した後に後述の需要実績記憶部14に送信する。
気象予測受信部12は、気象サーバ40との通信を行うためのインターフェースとなる部分である。気象サーバ40は、例えば気象庁や民間の気象予測会社等が運営するサーバであって、気象実績データと、気象予測データとをインターネットを介して提供するものである。
気象実績データとは、過去における気象(例えば気温及び湿度)の変化を示すデータである。本実施形態における気象実績データは、過去1か月間の期間を30分毎の小期間に分けた上で、それぞれの小期間における気温、及び湿度を示す一群の数値からなるデータとなっている。
気象予測データとは、今後予想される気象の変化を示すデータである。本実施形態における気象予測データは、現在から一週間先までの期間を30分毎の小期間に分けた上で、それぞれの小期間において予測される気温及び湿度を示す一群の数値からなるデータである。気象予測データが予測対象とする期間(一週間)は、既に述べた需要予測データが予測対象とする期間(予測期間)に一致している。
気象予測受信部12は、気象サーバ40から気象予測データを受信して、当該気象予測データを後述の気象予測記憶部15に送信する。
気象実績受信部13は、上記の気象予測受信部12と同様に、気象サーバ40との通信を行うためのインターフェースとなる部分である。気象実績受信部13は、気象サーバ40から気象実績データを受信して、当該気象実績データを後述の気象実績記憶部16に送信する。
需要実績記憶部14は、電力需要予測システム10が備える記憶装置(例えばハードディスク)であって、消費電力受信部11から30分ごとに送信された消費電力の値を保存している。需要実績記憶部14には、現時点から1か月前までの消費電力の値が、それぞれ測定された日時を示す情報と共に保存されている。需要実績記憶部14に記憶されている1か月分の消費電力の値の全体のことを、以下では「需要実績データ」とも称する。
気象予測記憶部15は、上記需要実績記憶部14と同様に、電力需要予測システム10が備える記憶装置である。気象予測記憶部15には、気象予測受信部12から送信された気象予測データが保存されている。
気象実績記憶部16は、上記需要実績記憶部14等と同様に、電力需要予測システム10が備える記憶装置である。気象実績記憶部16には、気象実績受信部13から送信された気象実績データが保存されている。
予測演算部100は、需要実績記憶部14に保存されている需要実績データ、気象予測記憶部15に保存されている気象予測データ、及び気象実績記憶部16に保存されている気象実績データに基づいて、需要予測データを作成する部分である。予測演算部100の具体的な構成や機能については、後に説明する。
需要予測記憶部17は、上記需要実績記憶部14等と同様に、電力需要予測システム10が備える記憶装置である。需要予測記憶部17には、予測演算部100において作成された需要予測データが保存される。電力管理システムPSは、需要予測記憶部17から需要予測データを読み込んで、蓄電池の充放電スケジュールを作成する。尚、このような需要予測記憶部17を備えず、作成された需要予測データが予測演算部100から直接外部に向けて出力されるような態様であってもよい。
図2に示されるように、予測演算部100は、機能的な制御ブロックとして、固定電力演算部110、ベース電力算出部120、気象係数算出部130、曜日係数算出部140、気象補正演算部150、曜日補正演算部160、及び合算処理部170を備えている。これら各制御ブロックの機能については、予測演算部100で行われる具体的な処理を以下で説明する際において、それぞれ適宜説明することとする。
主に図3を参照しながら、予測演算部100で行われる具体的な処理について説明する。図3は、需要予測データを作成するために予測演算部100で行われる一連の処理を示すフローチャートである。
最初のステップS01では、需要実績記憶部14から需要実績データが取得される。既に述べたように、需要実績データは、過去1か月間における消費電力の推移(つまり需要電力の実績)を示すデータとなっている。取得された電力実績データは、固定電力演算部110、ベース電力算出部120、気象係数算出部130、及び曜日係数算出部140のそれぞれに入力される。
ステップS01に続くステップS02では、分離処理が行われる。分離処理について、図4を参照しながら説明する。図4は、需要実績データに含まれる各数値(消費電力)を棒グラフで表したものである。それぞれの棒の高さは、各小期間(30分毎に区切られた期間)において家電機器30で消費された電力の大きさを示している。尚、需要実績データは1か月分のデータであるから、含まれる数値の個数は図4の棒の個数よりも多いのであるが、説明の便宜上、図4には需要実績データに含まれる全ての数値が表されているものとして説明する。
図4に示される例では、小期間Tmにおける消費電力が、全体の中で最も小さな値(以下、当該値を「固定値FP」と表記する)となっている。つまり、過去一か月に含まれるどの小期間においても、消費電力は固定値FP以上の値となっている。
ステップS02で行われる「分離処理」とは、需要実績データを、固定履歴データと変動履歴データとに分ける処理である。固定履歴データとは、最も消費電力が小さかったときにおける最低消費電力、すなわち固定値FPが、一定値として常に消費されていたとした場合の履歴のことである。つまり、固定需要は、時間経過に伴って変動することのない一定の消費電力(最低消費電力)の履歴として作成されるものである。
変動履歴データとは、固定値FP(最低消費電力)を超える分の消費電力の履歴のことである。つまり、変動履歴データは、過去における電力消費の履歴の各値から、それぞれ固定値FPを差し引くことによって作成されるものである。変動履歴データは、過去における電力消費の履歴のうち、時間経過に伴って変動する部分のみを抽出したもの、ということができる。
以上のように、本実施形態では、固定履歴データとして、全ての数値が固定値FPとなっているデータが作成される。つまり、図4において高さが固定値FPとなっている点線DL1よりも上方側の部分を取り除いたデータが、本実施形態における固定履歴データに該当する。
変動履歴データは、需要実績データに含まれる全てのデータから、固定値FPをそれぞれ差し引くことによって作成される。つまり、図4における点線DL1よりも上方側の部分のみからなるデータが、本実施形態における変動履歴データに該当する。変動履歴データは、需要実績データのうち時間経過に伴って変動しない部分を取り除き、時間経過に伴って変動する部分のみを残すことによって得られるデータ、ということができる。
詳しくは後述するが、予測演算部100における需要予測データの作成は、将来の電力需要のうち時間経過に伴って変動しない部分(将来において、常に最低限消費されると見込まれる分)である固定需要データと、将来の電力需要のうち時間経過に伴って変動する部分である変動需要データとをそれぞれ作成した後、合算処理部170において両者を合算することによって行われる。固定需要データの作成は上記固定履歴データに基づいて行われ、変動需要データの作成は上記変動履歴データに基づいて行われる。
先ず、固定需要データの作成(固定部予測処理)について説明する。その作成のために用いられる固定履歴データの各数値は、過去1か月間において常に家電機器30で最低限消費されていた電力の値である。このような値には、例えば冷蔵庫のように常時運転している機器で消費される電力や、各機器が動作していない時においても消費されている待機電力などが含まれている。このため、その値が短期間で大きく変化する可能性は小さいと考えられる。
つまり、図4に示される固定値FPは、夏期から冬期になった場合のように長期間においては変化する可能性があるものの、1か月の期間が経過した程度ではほとんど変化しないものと考えられる。従って、今後1週間についての予測である固定需要データの各値は、過去1か月の電力需要実績に基づく固定履歴データの各値にほぼ等しくなる可能性が極めて高い。
そこで、本実施形態では、固定履歴データに含まれる各数値のうち最後の1週間分の数値群が、(それぞれの数値に対応する日付を書き換えた上で)そのまま固定需要データとして用いられる。このように作成された固定需要データは、固定電力演算部110から合算処理部170に入力される。
続いて、変動需要データの作成について説明する。図3に示された各処理のうち、ステップS03からステップS09までの処理が、変動需要データを作成するための処理(変動部予測処理)に該当する。
ステップS03では、気象実績記憶部16から気象実績データが取得される。取得された気象実績データは、気象係数算出部130に入力される。気象係数算出部130には、気象実績データの他、需要実績記憶部14から需要実績データが入力される。
ステップS03に続くステップS04では、気象係数算出部130において気象係数が算出される。気象係数とは、気象の変化と需要電力との関係を示す係数である。例えば冬期には、気温が低下するほど冷暖房機器の消費電力(つまり需要電力)が大きくなる。また、夏期には、高温多湿となるほど冷暖房機器の消費電力が大きくなる。本実施形態における気象係数は、特定の不快度指数において、需要電力が快適時に比べて何倍になるかを示す係数である。
図5には、気象実績データに含まれる各気温(縦軸)と、需要実績データに含まれる各消費電力の対応関係をプロットしたグラフの例が示されている。図5に示されるように、冬期には気温が低下するほど冷暖房機器の消費電力が大きくなるので、気温と消費電力との間には負の相関がみられる。平均すれば、両者の関係は点線DL2で示されるような右肩下がりの直線となる。
同様の方法により、気象実績データに含まれる気温及び湿度から所謂「不快度指数」を算出し、不快度指数と消費電力との関係を求めることもできる。気象係数算出部130では、需要実績記憶部14から入力された需要実績データ、及び気象予測記憶部15から入力された気象予測データ(不快度指数)に基づいて、両者の関係から気象係数が算出される。つまり、過去における電力需要と不快度指数との関係から気象係数が算出される。
気象係数は、午前0時からの24時間を30分毎の小期間に分けた上で、それぞれの期間毎に算出される。例えば、13:00から13:30までの期間における不快度指数と消費電力との関係から、当該期間についての気象係数が算出される。このように、気象係数を小期間毎に算出するのは、不快度指数と消費電力との関係は時間帯ごとに異なると考えられるからである(例えば、深夜において不快度指数が多少変化しても、冷暖房機器の消費電力はあまり変わらない可能性が高い)。気象係数算出部130で算出された気象係数は、気象補正演算部150に入力される。
ステップS04に続くステップS05では、曜日係数算出部140において曜日係数が算出される。曜日係数とは、曜日の変化と需要電力との関係を示す係数である。例えば日曜日には、建物内に居住者が滞在する時間が長くなるため、平日に比べて消費電力が大きくなる可能性が高い。本実施形態における曜日係数は、日曜日における需要電力が平均値に比べて何倍になるかを示す係数である。
曜日係数の算出について、図6を参照しながら説明する。図6(A)は、需要実績データの一例を表で示したものである。当該表のうち最も右の欄には、各時間帯における消費電力の平均値が示されている。例えば、0時からの30分間における消費電力の一か月間の平均値は、300Wとなっている。
図6(B)は、需要実績データのうち、日曜日のデータのみを抜き出して表で示したものである。図6(A)と同様に、当該表のうち最も右の欄には、各時間帯における消費電力の平均値が示されている。例えば、0時からの30分間における消費電力の平均値(日曜のみ)は、362.5Wとなっている。
図6(C)は、消費電力の平均値が曜日によってどのように変わるかを表で示したものである。当該表の「全体の平均」欄は、図6(A)の表のうち最も右の欄と同一である。「日曜日の平均」欄は、図6(B)の表のうち最も右の欄と同一である。
図6(C)の「曜日係数」欄には、「日曜日の平均」欄の値を「全体の平均」欄の値で除して得られた数値が記載されている。つまり、各時間帯において、日曜日の消費電力が平均値(日曜日を含む全体の平均値)に比べて何倍になるかを示す値、すなわち曜日係数が記載されている。
図6(C)に示されるように、曜日係数は、午前0時からの24時間を30分毎の小期間に分けた上で、それぞれの期間毎に算出される。気象係数と同様に曜日係数を小期間毎に算出するのは、曜日の変化と消費電力との関係は時間帯ごとに異なると考えられるからである(例えば、深夜における消費電力は、日曜日と平日とではあまり変わらない可能性が高い)。曜日係数算出部140で算出された曜日係数は、曜日補正演算部160に入力される。
ステップS05に続くステップS06では、気象予測記憶部15から気象予測データが取得される。取得された気象予測データは、気象補正演算部150に入力される。
ステップS06に続くステップS07では、ベース電力値BPが算出される。ベース電力値BPとは、変動需要データに含まれる各数値の平均値である(図4参照)。尚、図4においては理解を容易にするために、ベース電力値BPに固定値FPを加えた値を示す縦軸の位置に、符号BPを付した点線が描かれている。ベース電力値BPは、ベース電力算出部120において算出され、気象補正演算部150に入力される。
ステップS07に続くステップS08では、気象補正が行われる。気象補正とは、将来予測される気象の変化に基づいて、将来の電力需要の変化を予測する処理である。本実施形態における気象補正は、気象予測データに含まれる気温及び湿度から、30分毎のそれぞれの小期間における不快度指数を算出し、それぞれの不快度指数に対応する気象係数に、ベース電力値BPを掛けることによって行われる。このような気象補正は気象補正演算部150において行われる。
気象補正により得られるデータは、現在から一週間先までの予測期間を30分毎の小期間に分けた上で、それぞれの小期間において不快度指数のみに基づき予測される需要電力(変動分)を示す一群の数値からなるデータである。つまり、不快度指数のみに基づいて作成された(曜日の変化は考慮されていない)変動需要データといえるものである。
気象補正によって得られた上記データ(以下、「曜日補正前データ」とも称する)は、気象補正演算部150から曜日補正演算部160に入力される。曜日補正演算部160には、曜日補正前データの他、曜日係数算出部140から曜日係数が入力されている。
ステップS08に続くステップS09では、曜日補正が行われる。曜日補正とは、将来における曜日の変化に基づいて、将来の電力需要の変化を予測する処理である。本実施形態における曜日補正は、曜日補正前データに含まれるそれぞれの値(需要電力の変動分)に対し、それぞれの時刻及び曜日に対応する曜日係数を掛けることによって行われる。このような曜日補正は曜日補正演算部160において行われる。
曜日補正により得られるデータは、現在から一週間先までの予測期間を30分毎の小期間に分けた上で、それぞれの小期間において予測される需要電力(単位:W)を示す一群の数値からなるデータである。つまり、変動需要データである。
曜日補正によって得られた変動需要データは、曜日補正演算部160から合算処理部170に入力される。既に述べたように、合算処理部170には、固定電力演算部110から固定需要データが入力されている。
合算処理部170では、固定需要データに含まれる各値(固定値FP)に対し、変動需要データに含まれる各値(需要電力の変動分)をそれぞれ加えることにより、需要予測データが作成される。作成された需要予測データは、合算処理部170から需要予測記憶部17に送信され、需要予測記憶部17に記憶される。
以上のように、本実施形態に係る電力需要予測システム10では、将来の電力需要の全体を一括して予測することによって需要予測データが作成されるのではなく、時間経過に伴って変動しない部分である固定需要データと、時間経過に伴って変動する部分である変動需要データと、に分けてそれぞれ作成される。
固定需要データの作成は、過去における電力消費の履歴のうち、時間経過に伴って変動しない部分である固定履歴データに基づいて行われる。固定需要データとして設定されるべき値は、短期的にはあまり変化しない可能性が高いと思われるため、本実施形態のように固定履歴データをそのまま固定需要データとして用いたとしても、大きな誤差は生じないものと考えられる。
変動需要データの作成は、過去における電力消費の履歴のうち、時間経過に伴って変動する部分である変動履歴データに基づいて行われる。変動需要データは、気象の変化や一日の時間帯、曜日などの様々な要因によって複雑に変化する部分である。しかしながら、本実施形態のように固定需要データと分けて作成することとすれば、比較的正確に作成することが可能である。
尚、以上のような予測方法であっても、突発的な要因(例えば、急な来客等)によって、電力需要の予測誤差が生じてしまうことは考えられる。しかしながら、当該誤差の大部分は変動需要についてのみ生じ、固定需要の部分の方はある程度正確に予測されるのであるから、電力需要の全体における予測誤差は比較的小さなものとなる。
このように、本発明に係る電力需要予測システム10では、需要予測データを固定需要データと変動需要データとに分けてそれぞれ作成することにより、複雑な電力需要を従来よりも正確に予測することが可能となっている。
変動需要データの作成は、過去における気象変化の履歴(気象実績データ)と変動需要データとの関係(気象係数)と、将来の気象変化を示す気象予測データと、に基づいて行われる。また、曜日の変化と変動需要データとの関係(曜日係数)とに基づいても行われる。このような方法により、種々の要因を考慮してより正確に需要予測データを作成することが可能となっている。
ところで、電力需要の予測における気象変化の影響、又は曜日変化の影響は、家電機器30の種類によって異なっている。例えば、気温が変化すると冷暖房機器の消費電力は大きく変動する一方で、テレビの消費電力はほとんど変化しない可能性が高い。
このため、建物の配電盤が、冷暖房機器の消費電力と冷暖房機器以外の消費電力を分けて測定できるようなものであれば、変動需要データを作成するに当たり、冷暖房機器についての変動需要データ(以下、「第1変動需要データ」という)と、冷暖房機器以外についての変動需要データ(以下、「第2変動需要データ」という)とを個別に算出することとすればよい。
冷暖房機器の消費電力は気象の変化の影響を大きく受けるので、第1変動需要データが作成される場合において作成される気象係数は、第2変動需要データが作成される場合において作成される気象係数に比べて、より大きく重みづけられた係数とすればよい。曜日係数の作成についても同様である。
本実施形態において説明した固定需要データの作成方法、及び変動需要データの作成方法は、あくまで一例である。より正確な予測を行うために、他のパラメータを考慮した方法で作成されてもよい。例えば、曜日係数に加えて、建物の居住者の生活パターン(勤務スケジュール等)を考慮した追加の係数が用いられてもよい。また、予測期間の長さ(本実施形態では1週間)や、気象実績データの対象期間の長さ(本実施形態では1か月)は、適宜変更してもよい。
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
PS:電力管理システム
10:電力需要予測システム
100:予測演算部
150:気象補正演算部
160:曜日補正演算部
170:合算処理部
20:電力計測装置
30:家電機器
40:気象サーバ
10:電力需要予測システム
100:予測演算部
150:気象補正演算部
160:曜日補正演算部
170:合算処理部
20:電力計測装置
30:家電機器
40:気象サーバ
Claims (3)
- 建物における将来の電力需要を予測する電力需要予測システム(10)であって、
過去における電力消費の履歴を、最も消費電力が小さかったときにおける最低消費電力が、一定値として消費されていたとした場合の履歴である固定履歴と、前記最低消費電力を超える分の消費電力の履歴である変動履歴と、に分ける分離処理と、
前記固定履歴に基づいて、将来の電力需要のうち最低限見込まれる分である固定需要を予測する固定部予測処理と、
前記変動履歴に基づいて、将来の電力需要のうち前記固定需要を超える分の電力需要である変動需要を予測する変動部予測処理と、を実行するように構成されていることを特徴とする電力需要予測システム。 - 前記変動部予測処理は、
過去における気象変化の履歴と前記変動履歴との関係と、将来の気象変化を示す気象予測データと、に基づいて、前記変動需要を予測する処理であることを特徴とする、請求項1に記載の電力需要予測システム。 - 前記変動部予測処理は、
曜日の変化と前記変動履歴との関係とに基づいて、前記変動需要を予測する処理であることを特徴とする、請求項1に記載の電力需要予測システム。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2014264225A JP2016127622A (ja) | 2014-12-26 | 2014-12-26 | 電力需要予測システム |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2014264225A JP2016127622A (ja) | 2014-12-26 | 2014-12-26 | 電力需要予測システム |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2016127622A true JP2016127622A (ja) | 2016-07-11 |
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ID=56359964
Family Applications (1)
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|---|---|---|---|
| JP2014264225A Pending JP2016127622A (ja) | 2014-12-26 | 2014-12-26 | 電力需要予測システム |
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-
2014
- 2014-12-26 JP JP2014264225A patent/JP2016127622A/ja active Pending
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