実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る非接触給電機能付き誘導加熱調理器の外観を示す斜視図である。図1において、非接触給電機能付き誘導加熱調理器1は、鋼板などの金属や樹脂で形成された箱状の筐体2の上面に、結晶化ガラスやセラミック、樹脂などの絶縁物で形成されたトッププレート3を有する。誘導加熱される鍋などの被加熱物または非接触給電される受電機器を載置するための載置エリア4a,4b,4cが、使用者により上方から視認されるように、トッププレート3上に印刷などにより画定されている。本願では、これらの載置エリアを加熱ユニットまたは給電ユニットともいい、トッププレート3上に配置された載置エリアの数をユニット数ともいう。図1の非接触給電機能付き誘導加熱調理器1は、3つの載置エリアを有するもの、すなわちユニット数が3である場合について説明するが、本実施形態では、ユニット数は3に限るものではなく、1または2、あるいは4以上であってもよい。
トッププレート3の下方(裏側)には、載置エリア4a,4b,4cに対応して後述するコイル13a,13b,13cが設けられている。非接触給電機能付き誘導加熱調理器1の上面の前方には使用者が操作するための操作部5が設けられ、操作部5はそれぞれの載置エリア4a,4b,4cの操作を行うための個別の操作部5a,5b,5cを有する。
操作部5a,5b,5cは、これらに対応するトッププレート3の下方の位置に静電センサを設けて、使用者が操作部5に触れたときの静電容量の変化を検出して、使用者の操作入力を示す電気信号を出力するものであってもよい。なお操作部5a,5b,5cは、非接触給電機能付き誘導加熱調理器1の上面に、トッププレート3を構成する結晶化ガラスなどの絶縁物と別体のものとして、同様に静電容量式センサを構成してもよい。
またトッププレート3には表示部6が設けられており、例えばトッププレート3の下方に配置された液晶ディスプレイを用いて構成してもよい。表示部6は、非接触給電機能付き誘導加熱調理器1の動作状態、および動作状態に基づく使用者に対する注意喚起などの情報を使用者に提供するものである。
さらに非接触給電機能付き誘導加熱調理器1の前方には主電源スイッチ7が設けられており、使用者が主電源スイッチ7を「入」状態に設定することで、非接触給電機能付き誘導加熱調理器1の動作が可能となる。主電源スイッチ7が「切」状態のときは、使用者が操作部5を操作しても誘導加熱および/または非接触給電などの動作を行うことができない。
図1に示す非接触給電機能付き誘導加熱調理器1は、その前方に開閉扉が設けられたグリル部8を有し、開閉扉の内側に焼き魚調理などを行うことができる。ただし、非接触給電機能付き誘導加熱調理器1は、必ずしもグリル部8を備える必要はない。
また非接触給電機能付き誘導加熱調理器1は、その前方に載置エリア4a,4b,4cに載置された被加熱物または受電機器に出力される供給電力(「給電量」または単に「火加減」ともいう。)を調整するために回転式のダイヤル操作部9a,9b,9c、およびグリル部8の火加減を調節するためのダイヤル操作部9dを設けてもよい。ただし、ダイヤル操作部9a〜9dは、任意的なものであり、設けなくてもよい。
またトッププレート3には載置エリア4a,4b,4cの外縁に沿ってリング状に発光する発光リング10a,10b,10cが設けられ、これらを発光させることにより、トッププレート3上に載置された負荷の状態を使用者に視認させることができる。発光リング10a,10b,10cは、トッププレート3の下方に配置されたコイル13a,13b,13cの外周(または外縁)に沿ってアクリル樹脂などの高導光材料で形成されたリング状の導光体で構成され、複数色に発光する発光ダイオードまたは発光色が異なる複数の発光ダイオードを導光体の入光部に配置することにより、載置された負荷の状態に基づいてさまざまな色で発光させることができる。
すなわち非接触給電機能付き誘導加熱装置では、被加熱物を誘導加熱する場合と、受電機器に非接触給電を行う場合で、コイル13に供給する電力の大きさ、および使用者による操作部5での操作が異なるので、非接触給電機能付き誘導加熱調理器1がトッププレート3上の載置された負荷を正しく認識していることを使用者に視認させることで、使用者の適正な操作を支援することができる。例えば、トッププレート3上に被加熱物が載置された場合には発光リング10a,10b,10cを赤色に発光させ、受電機器が載置された場合には青色または緑色に発光させてもよい。
このように発光リング10a,10b,10cは、被加熱物を誘導加熱するときには火を連想させる赤色など暖色系の色で発光させ、受電機器を非接触給電するときには火を連想させない赤色などの暖色系以外の色で発光させることにより、使用者に直感的に伝わりやすくすることができる。さらに発光ダイオードに赤、緑、および青の光の3原色を用いることで、あらゆる色に発光リング10a,10b,10cを発光させることができるので、載置される物の種類が多数ある場合であっても、それぞれに対応した固有の色で発光リング10a,10b,10cを発光させて、使用者の操作性を改善することができる。
さらに載置エリア4a,4b,4cの中央近辺には透光性の窓が形成され、それぞれの窓に対応して光センサ11a,11b,11cがトッププレート3の下方に設けられている。光センサ11a,11b,11cは、鍋などの被加熱物を誘導加熱するとき、被加熱物の鍋底から放射される赤外線を検知して被加熱物の鍋底温度を測定するものであるが、それ以外の機能として、透光性の窓からの外光を検知し、載置エリア4a,4b,4cに被加熱物または受電機器が載置されたときに外光が遮光されて、外光の検知レベルが低下することを利用して、載置エリア4a,4b,4cに被加熱物または受電機器が載置されているか否かを検出するように構成してもよい。
また非接触給電機能付き誘導加熱調理器1の後方には、その内部で発生した熱を排出するための排熱部12が設けられている。図1では排熱部12は非接触給電機能付き誘導加熱調理器1の上面に排熱部12を設けたが、背面、側面、または下面に設けてもよい。ただし、排熱部12を誘導加熱調理器1の前面または前方に配置した場合には、使用者に温風を受けて不快感を持つため望ましくない。
図2は、実施の形態1に係る非接触給電機能付き誘導加熱調理器1の主要な回路構成を示すブロック図である。コイル13a,13b,13cは、トッププレート3の下方の載置エリア4a,4b,4cに対応する位置に配置される。各コイル13a,13b,13cは、一般的な誘導加熱調理器に用いられるコイルと同様の構造を有してもよい。具体的には、直径0.05〜0.3mm程度の被覆銅線を複数本撚り線にした、いわゆるリッツ線を複数ターン、例えば10〜20ターン、渦巻き状に巻いて形成することができる。なお各コイル13の形状はこれに限るものではなく、コイル13に高周波電流を供給したとき、トッププレート3の上方領域に高周波磁界が形成されるものであれば任意の形状を有してもよい。例えば、リッツ線などの導線を複数回巻いてコイル13を形成するのではなく、プリント基板などで渦巻き状の銅パターンを用いてコイルを構成してもよい。
コイル13は、上記以外の形態を有していてもよく、例えば図3に示すような形態を有してもよい。図3に示すコイル13は、銅板やアルミ板などの金属板を切削及び折り曲げ加工により形成して、略1ターンのコイル部分を含む電気的な閉回路を構成する。コイル13は、載置エリア4に対向するコイル部分、すなわち加熱部101と、加熱部101と電気的に接続され、載置エリア4から離れて配置される給電部102とを有する。なおコイル部分101は、非接触給電を行うときには、受電機器を誘導加熱するものではないが、本願では便宜上、加熱部という。図3において、高周波磁界を形成するコイル13の機能を実現する部分は加熱部101であるので、加熱部101をコイル13と等価的に表現することもある。
図3に示すように、フェライトコアなどの磁性体103が、その一端部で給電部102を取り巻くように、すなわち鎖交するように設けられ、その他端部でリッツ線などの導線で形成した給電コイル104が複数ターン巻回されている。
給電コイル104は、インバータ14に接続され、高周波電流が供給される。給電コイル104は、インバータ14から高周波電流が供給されると、磁性体103を通る高周波磁束を発生させる。この高周波磁束がコイル13の給電部102で鎖交することにより、コイル13、すなわち給電部102と加熱部101からなる電気的な閉回路に高周波電流が流れる。磁性体103に給電コイル104が複数ターン巻回されるため、コイル13に流れる高周波電流はきわめて大きい。この高周波電流により生じる磁界が、載置エリア4に載置された被加熱物を誘導加熱し、または受電機器に非接触給電する。
なお、加熱部101の半径方向の磁気抵抗を小さくして、高周波電流により発生した磁界による誘導加熱または非接触給電を効率よく行うために、加熱部101の下方に別の磁性体105を配置することが好ましい。ただし、加熱部101の磁気抵抗の低減のための磁性体105は、必須のものではなく、フェライトで構成されてもよい。
またコイル13は、被加熱物を誘導加熱するための「加熱コイル」と称してもよく、受電機器に非接触給電を行うための「送電コイル」、「給電コイル」、「加熱・給電コイル」、または「1次コイル」と呼んでもよい。
再び図2を参照すると、各コイル13a,13b,13cは、高周波電流を出力するインバータ14a,14b,14cに接続されている。インバータ14a,14b,14cの入力端には、それぞれ力率改善回路(PFC回路)15a,15b,15cが接続されており、さらにPFC回路15の選択手段であるスイッチ16a,16b,16cが接続されている。またスイッチ16a,16b,16cの入力端は、単一の整流回路17の出力端に接続されている。整流回路17の入力端には高周波ノイズを除去するための入力フィルタ18が接続され、入力フィルタ18にはインレットプラグ19aなどを介して、外部の商用交流電源19に接続され、商用交流電源19から本発明の非接触給電機能付き誘導加熱調理器1に電力が供給される。なお、商用交流電源19は本発明の非接触給電機能付き誘導加熱調理器1を構成するものではない。
また入力フィルタ18の出力端にはグリル部8の内部に設けられたグリルヒータ37、およびグリルヒータ37の加熱制御を行うリレーおよび半導体スイッチング素子などのヒータスイッチ38が接続される。ヒータスイッチ38をオンにすると、交流電力が供給されたグリルヒータ37は、発熱し、グリル部8の内部を加熱する。
また整流回路17の出力端には制御回路20が接続され、整流回路17によって入力された50Hzまたは60Hzの交流電圧は、全波整流され、制御回路20に供給されて、制御回路20を動作させるための電源となる。制御回路20は、通常、マイクロコンピュータなどの演算装置33(図18)と、インバータ14a,14b,14cおよび力率改善回路15a,15b,15cを構成する半導体スイッチング素子を駆動するためのドライブ回路を有する。また制御回路20は、整流回路17から出力された電力を、5Vまたは3.3Vなどマイクロコンピュータ用の電源電圧に変換する電力変換器、および15Vのドライブ回路用の電源電圧に変換する電力変換器などの様々な機能を有する。
このように構成された非接触給電機能付き誘導加熱調理器1のトッププレート3上に被加熱物23および受電機器24b,24cが載置される。受電機器24b,24cは、コイル13b,13cが発生した磁界と結合して電力を受電するための受電コイル25b,25cを有する。
図4は、実施の形態1に係る非接触給電機能付き誘導加熱調理器1の例示的な回路構成を示す回路図である。図4は、ユニット数が1の場合(コイル13が単一である場合)について示すが、図2のようにユニット数が3の場合には、図4に示す整流回路17の後段の回路を3つ並列に接続する。力率改善回路15は、リアクトルLと、IGBTまたはMOSFETなどの半導体スイッチング素子Q3と、ダイオードDとからなる昇圧チョッパ回路として構成することができる。またインバータ14は、IGBTまたはMOSFETなどの半導体スイッチング素子Q1,Q2を直列接続して、その中間ノードを出力端としたハーフブリッジ回路により構成することができる。
なおインバータの入力端にはコンデンサC1が接続されるが、コンデンサC1は10μF程度の静電容量が小さなフィルムコンデンサまたはセラミックコンデンサにより構成されるため、外部電源19の50Hzまたは60Hzの低い周波数に対する平滑機能はなく、コンデンサC1により非接触機能付き誘導加熱調理器1の入力電流が大きく歪んで力率が小さくなるという問題は生じない。
半導体スイッチング素子Q1,Q2の中間ノードには、フィルムコンデンサまたはセラミックコンデンサなどの高周波特性が良いコンデンサC2が接続され、コンデンサC2とコイル13が直列に接続され、コイル13の他端はインバータ14の低圧側に接続される。
なお図4は、昇圧チョッパ回路を用いて力率改善回路15を実現するものとして図示したが、これに限るものではなく、降圧チョッパ回路を用いて実現してもよく、他の回路方式による力率改善回路15を用いて実現してもよい。すなわち力率改善回路15は、図4に示す昇圧チョッパ回路の他、様々な回路方式による力率改善回路が広く知られており、これら既知の回路方式による力率改善回路を昇圧チョッパ回路に代えて用いることができる。
またインバータ14は、ハーフブリッジ回路に限るものではなく、フルブリッジ回路または1石共振型の回路であってもよい。すなわちインバータ14は、これに入力された直流電圧(電圧の大きさが周期的に変動する直流電圧を含む)を高周波電圧に変換して出力するものであれば任意の回路を用いてもよい。なお本願では、電圧の大きさが周期的に変動する直流電圧を「脈動直流電圧」ともいう。
スイッチ16は、整流回路17から出力された周期変動する直流電圧をインバータ14に直接的に入力するか、または力率改善回路15を介してインバータ14に入力するかを選択的に切り替えることができるスイッチである。スイッチ16は、制御回路20内に設けられたドライバ回路22からの選択信号により切り替えられる。またドライバ回路22は、力率改善回路15の半導体スイッチング素子Q3とインバータ回路14の半導体スイッチング素子Q1,Q2のスイッチングを制御するための制御信号も出力する。
ドライバ回路22は、制御回路20内に設けられた負荷判別手段21に接続され、負荷判別手段21からの判別信号を受けてスイッチ16を切り替える。負荷判別手段21は、たとえば制御回路20を構成するマイクロコンピュータの動作プログラム(ソフトウェア)、または電子回路などのハードウェアで構成されるものであってもよい。例えば、操作部5は、使用者が誘導加熱を選択するボタンAと、非接触給電を選択するボタンBとを有し、ボタンAがマイクロコンピュータの入力端子Aに接続され、ボタンBがマイクロコンピュータの入力端子Bに接続されており、使用者がボタンAまたはボタンBのどちらか一方を押したとき、負荷判別手段21は、マイクロコンピュータのプログラムが入力端子Aと入力端子Bに入力される信号を比較して、ボタンAまたはボタンBが押されたことを判別して、上記判別信号を出力する。
非接触給電機能付き誘導加熱調理器1は、インレットプラグ19aを介して外部の交流電源19に接続されて、電力が供給される。
次に動作について説明する。図5(a)〜図5(e)は本発明の非接触給電機能付き誘導加熱調理器1のいくつかの構成部品の出力端における電圧波形を概略的に示すグラフである。図5(a)〜図5(e)に示す電圧波形を図4の回路図に対応させて説明する。
図5(a)は外部電源19の電圧波形であり、インレットプラグ19aおよび入力フィルタ18を介して整流回路17に入力される電圧波形である。図5(b)は整流回路17の脈動直流電圧の出力波形である。また図5(b)に示す電圧波形は、トッププレート3の載置エリア4上に載置された負荷が誘導加熱される被加熱物と負荷判別手段21が判断したときにインバータ14に入力される電圧波形でもある。負荷判別手段21は、負荷が被加熱物であると判断したとき、図4に示すように、整流回路17の出力電圧が力率改善回路15を介することなくインバータ14に直接的に入力されるようにスイッチ16を切り替える。
図5(c)は負荷判別手段21が負荷は被加熱物であると判別したときの、コイル13の両端の電圧波形である。インバータ14は、これに入力された図5(b)の脈動直流電圧を20〜100kHzの周波数でスイッチングして、高周波電圧波形を生成する。この高周波電圧波形は、コンデンサC2とコイル13の直列接続に印加されるため、コンデンサC2により直流成分が除去され、コイル13の両端には電圧波形の振幅が図5(c)の破線で示す包絡線に沿って変化する高周波交流電圧が印加される。コイル13に流れる電流波形も、コイル13の両端に加わる高周波電圧波形と同様に、その振幅が図5(c)の破線で示す包絡線に沿って変化する波形となる。このように負荷は被加熱物であると負荷判別手段21が判別した場合、外部電源19から供給された電力は、力率改善回路15のリアクトルL、ダイオードD、および半導体スイッチング素子Q3を介することなく直接的にインバータ14に入力される。したがって、力率改善回路15による損失が生じることなく、高い効率で被加熱物を誘導加熱することができる。
次に、負荷は非接触給電される受電機器であると負荷判別手段21が判別した場合について説明する。負荷判別手段21は、負荷が受電機器と判別したとき、図4とは異なり、整流回路17の出力端を力率改善回路15の入力端に接続するようにスイッチ16を切り替える。
力率改善回路15は、図5(b)に示す全波整流電圧波形が入力される。力率改善回路15は、外部電源19から入力される電流波形の歪みを低減し、力率を高く維持するように、ほぼ一定電圧の直流電圧Vdcを出力する。すなわち図5(d)は、力率改善回路15の出力電圧波形を示し、これはインバータ14に入力される電圧波形でもあり、本願では「定常直流電圧Vdc」ともいう。そしてインバータ14に入力された直流電圧は、20kHz〜100kHzの周波数でスイッチングされ、直列接続されたコンデンサC2およびコイル13に入力される。したがってコイル13の両端には図5(e)に示すように電圧波形の包絡線が一定となる高周波交流電圧が印加される。このときコイル13に高周波電流が流れて高周波磁界が発生し、トッププレート3の載置エリア4に載置された受電機器24の受電コイル25は、この高周波磁界と磁界結合して受電する。なお、受電機器が平滑コンデンサを有している場合であっても、コイル13に流れる高周波電流(およびコイル13が生成する高周波磁界)は、力率改善回路15を介して供給されているため、外部電源19から非接触給電機能付き誘導加熱調理器1に入力される電流の歪みは低減され、高い力率を得ることができる。
以上のように本発明の非接触給電機能付き誘導加熱調理器1は、負荷判別手段21によって、トッププレート3上に載置された負荷が、本質的に力率改善を行う必要がない被加熱物であるか、または力率改善を行う必要がある受電機器かを判別する。そして負荷判別手段21は、力率改善を行う必要があると判別した場合、スイッチ16を切り替えて力率改善回路15を使用するように選択するので、負荷が誘導加熱される被加熱物であるか、または非接触給電される受電機器であるかによらず、入力電流波形の歪みを極力小さく抑制して、高い力率を得ることができる。
一般に、ジューサミキサなどの非接触給電される受電機器の消費電力は、鍋などの被加熱物を誘導加熱するために要する消費電力より小さい。従来の非接触給電機能付き誘導加熱調理器において、商用交流電源から誘導加熱調理器に入力される電流が歪まないように力率改善回路を備えたものは、これまで提案されていない。本発明によれば、被加熱物を誘導加熱する場合と、受電機器に非接触給電する場合とを判別する負荷判別手段21を設け、力率改善回路15の利用の要否を選択することにより、受電機器に非接触給電する場合に、力率改善回路15の使用により商用交流電源から誘導加熱調理器に入力される電流の歪みを防止して高力率を実現するとともに、被加熱物を誘導加熱する場合に、力率改善回路15による損失を回避して、高い効率で被加熱物を誘導加熱することができる。
上述のように、被加熱物を誘導加熱する場合は、平滑コンデンサを必要としないので、商用交流電源から入力された交流電圧を全波整流して、脈流直流電圧に変換してインバータに供給し、インバータで包絡線が脈流となる高周波交流電力に変換して、コイルに入力し、被加熱物を誘導加熱するのが一般的である。被加熱物を誘導加熱する場合、例えば最大3kWの電力を要し、加熱ユニットが複数ある場合には誘導加熱調理器全体でさらに大きな電力を要する(なお、日本では消防法により誘導加熱調理器全体の最大消費電力が5.8kWに制限されている)。したがって、誘導加熱のみを行う誘導加熱調理器は、本質的に力率改善を行う必要がないことに加え、大きな消費電力に対応可能な力率改善回路は、内部構造が複雑となり、占有容積が拡大する(大型となる)ため、力率改善回路を設けないことが一般的である。それにも関わらず、被加熱物の誘導加熱より比較的に小さい電力を要する受電機器の非接触給電のために力率改善回路を設けて、誘導加熱を行う場合も、非接触給電を行う場合も、常に力率改善を行うことは、いくつかの点で非効率である。
第一に、力率改善回路を構成する回路素子は、力率改善回路に入力される最大電力に対応したものを使用しなければならず、非接触給電機能付き誘導加熱調理器1の入力端に単一の力率改善回路を設けて力率改善を行う場合、力率改善回路のリアクトル、ダイオード、および半導体スイッチング素子などの回路素子は、定格能力の大きなものを使用する必要があり、回路素子が大きくなり、力率改善回路の内部構造が複雑となり、その製造コストが増大する。
第二に、被加熱物を誘導加熱する場合は、本質的に力率改善を行う必要がないにも関わらず、力率改善回路の半導体スイッチング素子を動作させるので、半導体スイッチング素子でスイッチング損失が発生し、誘導加熱装置としての電力効率が低下する。このように従来の非接触給電機能付き誘導加熱調理器において、常に動作する力率改善回路を設けると、誘導加熱装置が大型化し、コストが増大するという問題点がある一方、力率改善回路を設けないと、平滑コンデンサを有する受電機器に非接触給電を行う場合に、誘導加熱装置への入力電流が歪み、力率が低くなるといった問題点があった。
これに対して、本発明に係る非接触給電機能付き誘導加熱調理器1は、上述のように、負荷判別手段21が載置された負荷を判別し、負荷が力率改善の必要がない誘導加熱される被加熱物か、力率改善の必要がある非接触給電される受電機器かを判別して、判別結果に応じてスイッチを切り替える。また受電機器の消費電力は、一般に、被加熱物を誘導加熱するために要する消費電力より小さい。したがって、本発明に係る非接触給電機能付き誘導加熱調理器1は、受電機器に非接触給電を行う場合には、整流回路とインバータ回路の間に介在する力率改善回路15を用いて力率改善を行うが、一般的な受電機器の消費電力が比較的に小さいため、力率改善回路15の回路素子を定格能力の小さいものにすることができる。したがって本実施形態によれば、力率改善回路15を小型で安価な非接触給電機能付き誘導加熱調理器1を実現することができる。
また非接触給電機能付き誘導加熱調理器1の載置エリアに対応する加熱ユニット毎に、スイッチ16a,16b,16cおよび力率改善回路15a,15b,15cをそれぞれ設けたので、例えば特定の加熱ユニットでは力率改善を行わない被加熱物の誘導加熱を行い、別の加熱ユニットでは力率改善を行う受電機器への非接触給電を行うことができ、使用者の利便性を向上させることができる。
また、非接触給電される受電機器であっても、平滑コンデンサを有さいため、力率改善を必要としない受電機器も存在する。非接触給電される受電機器が、例えばオーブントースタおよび魚焼きロースタなど、内部にヒータを備え、ヒータを発熱させて食材を調理するような装置であった場合、電力の大部分は抵抗負荷であるヒータで消費される。このように消費電力が大きいヒータを有する装置に対して力率改善を行うことは、小型で安価な力率改善回路15を実現する点において不利である。本実施形態では、使用者が誘導加熱を選択するボタンAまたは非接触給電を選択するボタンBを操作したことを、負荷判別手段21が判別して判別信号を各加熱ユニットに供給し、選択的にスイッチを動作させるため、力率改善を行う必要のない受電機器に力率改善回路15を介して非接触給電することを回避することができる。
図6は、非接触給電機能付き誘導加熱調理器1の操作部5の一例を示す平面図である。図6に示す操作部5は、負荷が被加熱物または受電機器であるかに関わらず、使用者が力率改善の要否を選択することができる操作部5の一例を示すものである。操作部5は、「IH」、「WPT1」、「WPT2」と表示された3つの操作ボタン26a、26b、26cを有する。「IH」は「Induction Heating」の略であり、誘導加熱を意味するものである。また「WPT」は「Wireless Power Transfer」の略であり、非接触給電を示すものである。なお非接触給電は、英語では「Contactless Power Transfer」と称されることもあるが、近年では「Wireless Power Transfer」の用語が一般的に用いられ、日本語でもワイヤレス給電と呼ばれるのが一般的になりつつある。
「WPT1」は、オーブントースタなどの力率改善を必要としない受電機器に非接触給電を行うときに押下されるボタンであり、「WPT2」は、ジューサミキサなどの力率改善を必要とする受電機器に非接触給電を行うときに押すボタンである。なお、ボタンに表示される文字はこれに限るものではなく、使用される国に応じて使用者が分かりやすいように表示すればよく、他言語の文字や図柄であってもよい。
図7は、操作部5の操作によって負荷を判別する回路を示す回路図である。なお、この回路図は一例であり、これに限るものではない。操作部5に配置された操作ボタン26a、26b、26cは、押下されるとオン状態となるプッシュスイッチで構成されている。この回路は、マイクロコンピュータ24の一部で構成され、操作ボタン5が押下されたか否か、制御回路20内に配置されたマイクロコンピュータ24の入力端子21a,21b,21cに入力される信号に基づいてプログラムにより判別する。すなわちマイクロコンピュータのプログラムが負荷判別手段21である。
使用者は、力率改善の必要がない受電機器に対する非接触給電を所望する場合、「WPT1」の操作ボタン26bを押す。すると操作ボタン26bのプッシュスイッチがオン状態になり、マイクロコンピュータ24の入力端子21bの電圧は0Vになる。一方、操作ボタン26aおよび操作ボタン26bは押されていないので、プッシュスイッチはオフ状態にあり、マイクロコンピュータ24の入力端子21aと入力端子21cの電圧はともに5Vとなる。マイクロコンピュータのプログラム(負荷判別手段21)は、入力端子21a、21b、21cの電圧を検出することで、押下された操作ボタンを判別し、載置された負荷が何であるかを判別する。負荷判別手段21は、負荷が力率改善を必要としない受電機器であると判別したとき、力率改善回路15を使用しないようにスイッチ16を制御するための信号を出力端子21dから出力する。
このように負荷判別手段21は、被加熱物を誘導加熱するか(IH)、力率改善の必要がない受電機器に非接触給電するか(WPT1)、または力率改善の必要がある受電機器に非接触給電する(WPT2)ことを判別し、比較的に小さい電力を必要とする受電機器に非接触給電する場合に限定して力率改善回路15を使用するので、より小さい定格能力の回路素子で力率改善回路15を小型で安価に構成することができる。
実施の形態2.
図8は、本発明の実施の形態2の非接触給電機能付き誘導加熱調理器1の主要な回路構成を示すブロック図である。実施の形態1では、力率改善回路15を使用するか否かを選択するスイッチを用いたが、実施の形態2に係る非接触給電機能付き誘導加熱調理器1は、スイッチを用いず、力率改善回路15を構成する半導体スイッチング素子を動作させるか否により、力率改善回路15を使用するか否かを選択するものである。実施の形態2の他の詳細な構成は、実施の形態1のものと同様であるので、重複する説明を省略する。
図8に示す実施の形態2の非接触給電機能付き誘導加熱調理器1において、図2の実施の形態1と比較すれば明らかなように、スイッチ16a,16b,16cが存在せず、整流回路17の出力端が、各載置エリアに対応する力率改善回路15a,15b,15cに直接的に接続される。制御回路20は、負荷判別手段21からの判別信号に基づいて、力率改善回路15a,15b,15c(力率改善回路を構成する半導体スイッチング素子Q3)の動作/非動作を制御する。
図9は、実施の形態2に係る非接触給電機能付き誘導加熱調理器1の例示的な回路構成を示す回路図であり、力率改善回路15に昇圧チョッパを用いたものである。また図10は、力率改善回路15に降圧チョッパを用いた場合の回路図である。なお、力率改善回路15は、図9の昇圧チョッパ型、図10の降圧チョッパ型に限らず、昇降圧チョッパ型などの他の形態を有するものであってもよい。すなわち、実施の形態2に係る非接触給電機能付き誘導加熱調理器1は、力率改善回路15を構成する半導体スイッチング素子Q3をスイッチング動作させる(オンおよびオフ状態を交互に繰り返し切り替える)ことにより力率改善を行い、半導体スイッチング素子をスイッチング動作させない(オンまたはオフ状態のまま)ことで力率改善を行わないものであれば、任意の形態の力率改善回路を有する。なお図9および図10は、図4と同様、単一の加熱ユニットを有する非接触給電機能付き誘導加熱調理器1の回路構成を示すものである。
まず図9に示すように力率改善回路15が昇圧チョッパで構成される場合の非接触給電機能付き誘導加熱調理器1の動作について説明する。載置エリア4に誘導加熱される被加熱物または力率改善の必要が無い非接触給電される受電機器が載置され、負荷判別手段21が負荷は力率改善を行う必要がないと判別したとき、ドライバ回路22は、その判別結果に基づき、力率改善回路15を構成する半導体スイッチング素子Q3が常にオフ状態となるような判別信号を出力する。この判別信号は、例えば、半導体スイッチング素子がIGBTである場合にはゲート−エミッタ間が0Vとなるような電圧であり、MOSFETの場合にはゲート−ソース間が0Vとなるような電圧である。半導体スイッチング素子Q3がオフ状態にあるとき、整流回路17から出力された図5(b)に示す全波整流電圧は、力率改善回路15のリアクトルLとダイオードDをそのままの波形でインバータ14に入力される。すなわちインバータ14の入力電圧波形は図5(b)のような脈動直流電圧波形になる。これにより実施の形態1と同様、コイル13の両端の電圧およびコイル13に流れる電流は図5(c)のような波形を有する。
一方、載置エリア4に力率改善が必要な非接触給電される受電機器が載置され、負荷判別手段21が力率改善を行う必要があると判別したとき、ドライバ回路22は、その判別結果に基づき、力率改善回路15を構成する半導体スイッチング素子Q3がオンおよびオフ状態を交互に繰り返しスイッチングするような判別信号を出力する。この判別信号は、例えば、半導体スイッチング素子がIGBTの場合にはゲート−エミッタ間が15Vのときオン状態で、0Vのときオフ状態となるような電圧波形を有し、MOSFETの場合にはゲート−ソース間が15Vのときオン状態で、0Vのときオフ状態となるような電圧波形を有する。このとき、力率改善回路15は、図5(b)に示すような全波整流電圧波形が入力されるが、図5(d)に示すような一定電圧の定常直流電圧波形を出力する。この定常直流電圧がインバータ14に入力されると、実施の形態1と同様、コイル13の両端の電圧およびコイル13に流れる電流は、図5(e)のような波形を有する。
このように本実施の形態2に係る非接触給電機能付き誘導加熱調理器1は、スイッチ16を用いずに、昇圧チョッパで構成される力率改善回路15を構成する半導体スイッチング素子Q3のスイッチング動作を制御することにより、力率改善を行うか否かを選択することができる。力率改善を行わない場合、オフ状態に維持された半導体スイッチング素子Q3には電流が流れないので、力率改善回路15を構成する半導体スイッチング素子Q3は、定格電流が比較的に小さく、小型で安価な半導体スイッチング素子を使用できるというメリットがある。
次に、図10に示すように力率改善回路15が降圧チョッパで構成される場合の非接触給電機能付き誘導加熱調理器1の動作について説明する。詳細後述するが、降圧チョッパを用いて力率改善回路15を構成した場合、力率改善を行わないときに半導体スイッチング素子Q3がオン状態で維持される点が、昇圧チョッパを用い場合と異なる。降圧チョッパで構成された力率改善回路15でも、半導体スイッチング素子Q3を同様にスイッチング動作させる。
誘導加熱される被加熱物または力率改善の必要が無い非接触給電される受電機器が載置エリア4に載置され、負荷は力率改善を行う必要がない負荷であると負荷判別手段21が判別したとき、ドライバ回路22は、その判別結果に基づき、力率改善回路15を構成する半導体スイッチング素子Q3が常にオン状態となるような判別信号を出力する。半導体スイッチング素子Q3がオン状態にあるとき、整流回路17から出力された図5(b)に示す全波整流電圧は、力率改善回路15のリアクトルLとダイオードDをそのままの波形でインバータ14に入力される。すなわちインバータ14の入力電圧波形は図5(b)のような脈動直流電圧波形になる。
このとき整流回路17から出力された電流は、半導体スイッチング素子Q3とリアクトルLを通って流れるが、ダイオードDには流れない。力率改善を行わないときの電流は、加熱コイルに流れる電流に対応する大きな電流であるので、半導体スイッチング素子Q3の定格電流は、この大電流に対応したものでなければならない。すなわち、半導体スイッチング素子Q3は、昇圧チョッパで用いられるものよりも大型で高価なものを使用する必要がある。ただし、降圧チョッパに用いられるダイオードDには、力率改善を行うときの小さな電流しか流れないので、ダイオードDは定格電流が小さなものを使用することができ、小型で安価なものを使用することができるといったメリットがある。また力率改善を行わない場合、半導体スイッチング素子Q3はスイッチングさせないことから、負荷の大きさに関わらず、半導体スイッチング素子Q3のスイッチング損失を無くすことができるので、効率よく誘導加熱し、または力率改善の必要がない非接触給電を行うことができるといったメリットがある。スイッチング損失に関するメリットは昇圧チョッパの場合も同じである。
実施の形態3.
図11は、実施の形態3に係る非接触給電機能付き誘導加熱調理器1の主要な回路構成を示すブロック図である。実施の形態1および2に係る非接触給電機能付き誘導加熱調理器1は、個々の加熱ユニットに対応する力率改善回路15を設けて、負荷判別手段21の判別結果に応じて、力率改善回路15を使用するか否かを制御したが、本実施の形態3に係る非接触給電機能付き誘導加熱調理器1は、単一の力率改善回路15を備え、負荷判別手段21の判別結果に応じて、力率改善回路15を使用するか否かを制御するものである。実施の形態3の他の詳細な構成は、実施の形態1および2のものと同様であるので、重複する説明を省略する。
図11に示すように、非接触給電機能付き誘導加熱調理器1は、整流回路17の後段に単一の力率改善回路15と、力率改善回路15を使用するか否かを選択する単一のスイッチ16が設けられている。なお力率改善回路15を使用するか否かの選択は、図11に示すスイッチ16を用いて行うか、または実施の形態2で説明したように力率改善回路15を構成する半導体スイッチング素子のオン/オフ制御により行ってもよい。また図11に示す非接触給電機能付き誘導加熱調理器1は3つの加熱ユニットを有するが、ユニット数は3に限るものではなく、4以上であっても2以下であってもよい。
各載置エリア4a,4b,4cに対応するコイル13a,13b,13cに高周波電流を供給するためのインバータ14a,14b,14cが、力率改善回路15およびスイッチ16の後段に接続されている。各インバータ14a,14b,14cの入力端は同一電位のノードに接続されているので、同一の電圧が入力される。スイッチ16等により力率改善回路15を利用することが選択されると、図5(d)のような一定電圧の直流電圧波形(定常直流電圧)が各インバータ14a,14b,14cに入力され、スイッチ16等により力率改善回路15を利用しないことを選択すると、図5(b)に示すような全波整流された脈流直流電圧が各インバータ14a,14b,14cに入力される。図11に示すように、スイッチ16が力率改善回路15に接続されることを選択したとき、各インバータ14a,14b,14cには一定電圧の直流電圧が入力される。そして図11に示すように載置エリア4aには負荷が載置されず、載置エリア4bおよび4cに受電機器24b,24cが載置された場合、インバータ14aはスイッチング動作を行わないため、コイル13aには高周波電流が流れないが、インバータ14bおよびインバータ14cはスイッチング動作を行い、コイル13bおよびコイル13cには20kHz〜100kHzの高周波電流が流れ、高周波磁界が発生し、受電機器24b,24cが有する受電コイル25b,25cで受電して非接触給電が行われる。
図12は、本発明の実施の形態3に係る非接触給電機能付き誘導加熱調理器1の操作部5および表示部6の一例を示す平面図である。操作部5には各載置エリア4a,4b,4cに対応した操作部5a,5b,5c以外に、誘導加熱を行うためのボタンと非接触給電を行うためのボタンが設けられている。図12では「IH」と記されたボタンが誘導加熱を行うためのボタンであり、「WPT」と記されたボタンが非接触給電を行うためのボタンである。
使用者が主電源スイッチ7を「入」にすると、非接触給電機能付き誘導加熱調理器1を誘導加熱または非接触給電のために使用するか、使用者に選択させるためのメッセージが表示部6に表示される。このとき操作部5は、「IH」ボタンと「WPT」ボタンのみが操作可能であり、操作部5a,5b,5cは操作を受け付けないように構成されている。例えば、表示部6に「IHボタン、または、WPTボタンを押してください」と表示され、使用者が操作部5a,5b,5cのいずれかのボタンを誤って押したときには、「操作は無効です」などのメッセージが表示される。そして使用者が「IH」ボタンあるいは「WPT」ボタンを押すと、制御回路20内に設けられた負荷判別手段21が、負荷が誘導加熱を行う被加熱物か、非接触給電を行う受電機器かを判別し、その判別結果に基づいてスイッチ16を切り替え、力率改善回路15を使用するか否かを選択する。上述のとおり、本願の「誘導加熱を行う被加熱物」には、オーブントースタなどの負荷が力率改善を必要としない「非接触給電を行う受電機器」を含むことがある。
また使用者は「WPT」ボタンを選択したが、実際に載置エリア4に載置されている負荷は受電機器ではなく、誘導加熱される被加熱物である場合も想定される。このとき、負荷判別手段21は、「WPT」ボタンが押されたので、負荷は力率改善を行う受電機器であると判別して、力率改善回路15を使用するようにスイッチ16を切り替える。すなわち、本実施の形態でいう負荷判別手段21が判別する負荷とは、実際に載置エリア4に載置されている負荷が力率改善を必要とするか否かに関わりなく、使用者がその負荷に対して要求した誘導加熱(「IH」ボタン)または非接触給電(「WPT」ボタン)に依存し、力率改善の要否に関して実際の負荷とは異なる場合がある。
より具体的には、載置エリア4に誘導加熱される被加熱物が載置され、力率改善を必要としない場合であっても、使用者が非接触給電を行うための「WPT」ボタンを押した場合には、使用者が要求する負荷は、力率改善を必要とする非接触給電される負荷であり、負荷判別手段21は使用者の要求に応じて負荷を判別する。ただし、載置エリア4に被加熱物が載置されている場合、非接触給電を行うことができないので、非接触給電機能付き誘導加熱調理器1は、別の手段により、実際に載置されている負荷が、被加熱物か受電機器かを判別して、使用者が選択したボタンは誤りであると表示部6に表示してもよい。また自動的に負荷を判別した結果を、負荷判別手段21に伝達し、負荷判別手段21が使用者の操作によらず、力率改善回路15を使用するか否かを選択してもよい。負荷を自動的に判別する方法については他の実施の形態で説明する。
図11に示すように、載置エリア4aには何も載置されておらず、載置エリア4b,4cに受電機器24b,24cが載置されている場合の非接触給電機能付き誘導加熱調理器1の操作について説明する。まず使用者が図12の操作部5の「WPT」ボタンを押すと、負荷判別手段21が力率改善回路15を使用すると判別し、スイッチ16が力率改善回路15を使用するように切り替わる。すると操作部5b,5cが操作可能になる。そして使用者が操作部5bの「START」と表示されたボタンを押すと、受電機器24bへの非接触給電が開始され、操作部5cの「START」と表示されたボタンを押すと、受電機器24cへの非接触給電が開始される。そして使用者は操作部5b,5cの「+」と表示されたボタンを押すことにより非接触給電する電力を増加し、「−」と表示されたボタンを押すことにより非接触給電する電力を減少させることができる。このときスイッチ16が力率改善回路15を使用するように切り替わっているため、力率改善回路15からは図5(d)のような一定電圧の直流電圧が出力され、インバータ14b,14cに入力される。したがって受電機器24b、24cが平滑コンデンサを有する場合であっても、外部電源19から入力される電流は歪まず高力率が得られる。
また、負荷を誘導加熱する場合も、スイッチ16が力率改善回路15を使用しないように切り替わり、同様に操作部5b、5cなどによって操作することができる。誘導加熱する場合には力率改善を行わないが、力率改善の必要がないので外部電源19から入力される電流は歪まず高力率が得られる。
載置エリア4aには何も載置されていないとき、使用者が操作部5aを操作しても、インバータ14aからコイル13aには高周波電流が供給されないようにすることが望ましい。載置エリア4aに負荷が載置されているか否かを、非接触給電機能付き誘導加熱調理器1が検出する方法がいくつか提案されている。例えば非接触給電機能のない一般的な誘導加熱調理器が行っているように、インバータ14aからコイル13aに微小な電力を供給し、このときのコイル13aの電圧と電流からインピーダンスを計測して、インピーダンスの変化によって負荷が載置されているか否かを検出してもよい。また実施の形態1で説明したように光センサ11aを用いて負荷が載置されているか否かを検出してもよい。このような方法で載置エリア4aに何も載置されていないことを検出すると、操作部5aが押されてもインバータ14aのスイッチング動作を行わないように制御回路20に搭載されたマイクロコンピュータなどで制御すればよい。
択一的に、操作部5aの「START」ボタンが押されたら、インバータ14aを少しの時間動作させて、コイル13aに高周波電流を流し、そのときのコイル13aの電圧と電流からインピーダンスを計測して、何も載置されていないことを判断した場合、インバータ14aの動作を止めるようにしてもよい。このとき表示部6に載置エリア4aには何も載置されていないので、コイル13aへの高周波電流の供給を停止したことを意味するメッセージを表示すると、使用者が使いやすくなるので望ましい。
以上のように本発明の実施の形態3に係る非接触給電機能付き誘導加熱調理器1は、単一の力率改善回路15を備え、非接触給電のために力率改善を行うときは全ての加熱ユニットまたは給電ユニットに対応するインバータ14a,14b,14cに力率改善回路15から出力される電圧を供給するので、異なる口を利用して誘導加熱と非接触給電の両方を同時に行うことはできない。しかし、力率改善を行う必要がある受電機器が必要とする電力は小さく、例えば3つの給電ユニット全てを利用して非接触給電を行う場合であっても、力率改善回路15から出力される電力は小さいので、力率改善回路15を小型で低コストに実現することができる。
他方、整流回路の後段に力率改善回路15を設けて、力率改善回路15を使用の要否の選択を行わない場合、常に力率改善回路15が動作することになる。この場合、例えば3つの加熱ユニット全てを誘導加熱で使用するとき、力率改善回路15は、非常に大きな電力(日本では消防法により、最大5.8kWの電力)に対応するように構成しなければならない。しかし、3つの給電ユニット全てを非接触給電のために利用するときには、力率改善回路15がそのような大きな電力に対応する必要がない。すなわち、本発明の実施の形態3に係る非接触給電機能付き誘導加熱調理器1は、単一の力率改善回路15を備えものであることから、力率改善回路15は、誘導加熱に必要な最大電力に対応可能な定格能力の大きな半導体スイッチング素子などの回路素子を必要とし、寸法が大きくなり、高価なものとなる。
実施の形態4.
図13は本発明の実施の形態4の非接触給電機能付き誘導加熱調理器1の主要な回路構成を示すブロック図である。本実施の形態4の非接触給電機能付き誘導加熱調理器1は、トッププレート上の複数の載置エリア(ユニット)のうち、少なくとも1つのユニットを誘導加熱専用の加熱ユニットとして、他のユニットを誘導加熱および非接触給電に対応した加熱・給電ユニットとして構成されている。実施の形態4の他の詳細な構成は、実施の形態1〜3のものと同様であるので、重複する説明を省略する。
図13に示す非接触給電機能付き誘導加熱調理器1は、載置エリア4a,4bが誘導加熱専用の加熱ユニットとして構成され、載置エリア4cが誘導加熱と非接触給電の両方に対応した加熱・給電ユニットとして構成されている。この場合、載置エリア4a,4bに対しては力率改善を行う必要がないので、インバータ14a,14bの入力端は整流回路17の出力端に直接接続される。一方、載置エリア4cに対しては、誘導加熱または力率改善を必要とする非接触給電を行うために、スイッチ16の一方の端部が整流回路17に接続され、その他方の端部が力率改善回路15またはインバータ14cに選択可能に接続されている。なお、スイッチ16の代わりに、実施の形態2と同様に、力率改善回路15を構成する半導体スイッチング素子のオン/オフ制御により、力率改善を行うか否か選択してもよい。
図14は、本発明の実施の形態4に係る非接触給電機能付き誘導加熱調理器1の操作部5および表示部6の一例を示す平面図である。操作部5の中で、載置エリア4cに対応する操作部5cにのみ「IH」ボタンおよび「WPT」ボタンが設けられている。使用者が「WPT」ボタンを押すと、負荷判別手段21は力率改善が必要と判断し、スイッチ16が力率改善回路15に接続されるように切り替わる。使用者が「IH」ボタンを押すと、負荷判別手段21は力率改善が不要であると判断し、スイッチ16が力率改善回路15から切り離され、インバータ14cに接続されるように切り替わる。そしてそれぞれの場合の動作は上記実施の形態に示したものと同様である。
次にトッププレート上の複数の載置エリアのうち、少なくとも1つの載置エリアが誘導加熱専用で、他の複数の載置エリアが誘導加熱と非接触給電の両方に対応している場合について説明する。図15および図16は、3つの載置エリアのうち1つの載置エリア4aが誘導加熱専用の加熱ユニットであり、他の2つの載置エリア4b,4cが誘導加熱および非接触給電の両方に対応した加熱・給電ユニットとして構成された非接触給電機能付き誘導加熱調理器1の概略的な構成図である。
図15に示す非接触給電機能付き誘導加熱調理器1は、各載置エリア4b,4cに対応する個別の力率改善回路15b,15cを備え、各力率改善回路15b,15cの使用の要否は、スイッチ16b,16cにより選択することができる。すなわち図15の非接触給電機能付き誘導加熱調理器1は、誘導加熱専用の載置エリア4aに対応する力率改善回路15aを備えない点を除き、実施の形態1,2に示した非接触給電機能付き誘導加熱調理器1と同様の構成を有する。したがって、載置エリア4b,4cについては実施の形態1,2で説明したものと同様に動作させることができ、同様の効果を奏する。
図16に示す非接触給電機能付き誘導加熱調理器1は、載置エリア4b,4cに共通の力率改善回路15およびスイッチ16を備えており、力率改善回路15の使用の要否がスイッチ16により選択される。すなわち図16に示す非接触給電機能付き誘導加熱調理器1は、誘導加熱専用の載置エリア4aを除くと、実施の形態3に示した非接触給電機能付き誘導加熱調理器1(図11)と同様の構成を有する。したがって、載置エリア4bと4cについては実施の形態3に記したのと同様に動作させることができ、同様の効果を奏する。
実施の形態5.
上記実施の形態1〜4に係る負荷判別手段21は、使用者が操作部5を操作して負荷の種類を選択した結果を負荷判別手段21に入力し、その結果に基づいて、負荷の種類を判別し、その判別結果により力率改善回路15を使用するか否か制御したが、本実施の形態では、他の方法により負荷判別手段21が負荷の種類を判別する場合について説明する。したがって、実施の形態1〜4に示した非接触給電機能付き誘導加熱調理器1の負荷判別手段21への入力方法に代えて、本実施の形態の負荷判別手段21への入力方法を用いることができる。
図17は、本発明に係る非接触給電機能付き誘導加熱調理器1により非接触給電される受電機器の受電回路を示す回路図である。一般的な非接触給電の受電回路は、図17(a)、図17(b)、および図17(c)に示すように構成される。図17(a)に示す受電回路は、共振コンデンサを用いないものである。図17(b)に示す受電回路は、受電コイル25と並列に接続された共振コンデンサ29を有し、図17(c)に示す受電回路は、受電コイル25と直列に接続された共振コンデンサ29を有する。このように受電回路に共振コンデンサを用いた非接触給電は、磁界共鳴方式または磁界共振方式と呼ばれ、電磁誘導方式と区別されることがある。区別される場合には、図17(a)の方式を電磁誘導方式と呼ぶことが多い。しかし上述のように、これらは原理的には電磁誘導の法則に基づくものであるから、本願では区別せず、すべて磁界結合型の非接触給電として扱う。
受電機器24の受電回路は、ダイオードブリッジなどからなる整流回路27を備えており、受電コイル25で受電した高周波交流電力を整流して負荷回路28に入力する。なお整流回路27はダイオードブリッジからなる全波整流回路に限らず、半波整流回路または倍電圧整流回路を用いてもよい。負荷回路28は、受電装置24において主として電力を消費するものであり、例えばモータとその周辺回路、またはディスプレイモニタとその周辺回路であってもよい。また受電機器24が平滑コンデンサを備える場合には、負荷回路28内に平滑コンデンサが備えられている。
図18は、本発明の実施の形態5に係る負荷判別機能付き誘導加熱調理器1および受電機器の例示的な回路構成を示す回路図である。図18に示す回路は、図4、図9、および図10に示す回路と同様のものであるが、負荷判別に関係する部分を抽出し、その他の部分を簡略化して図示したものである。図18に示すインバータ入力電源30は、全波整流された脈流直流電圧、または力率改善回路15より一定電圧にされた定常直流電圧である。すなわちインバータ入力電源30は、図4、図9、および図10におけるインバータ14の入力端より前段の回路を簡略化して図示したものである。インバータ14の出力端とコイル13の間には、コイル電圧Vを検出するコイル電圧検出部31と、コイル電流Iを検出するコイル電流検出部32が設けられている。コイル電圧検出部31は抵抗分圧回路または降圧トランスなどで構成され、コイル電流検出部32はシャント抵抗やカレントトランスなどで構成される。
トッププレート3上には図17で示したような受電機器または誘導加熱される被加熱物が載置される。コイル電圧検出部31で検出したコイル電圧Vの値と、コイル電流検出部32で検出したコイル電流Iの値は制御回路20内に設けられたマイクロコンピュータなどの演算装置33に入力され、演算装置33はコイル電圧Vの値とコイル電流Iの値から、コイル13の両端から見たインピーダンスまたは抵抗成分を演算する。コイル13の両端から見たインピーダンスまたは抵抗成分とは、コイル13そのもののインピーダンスまたは抵抗成分を指すのではなく、コイル13に対応した位置に受電機器や被加熱物を載置したときの影響を含むインピーダンスまたは抵抗成分という意味である。
またインピーダンスは、実部(R)と虚部(jX)で表され、抵抗成分とはインピーダンスの実部(R)のことである。また演算装置33は、インバータ14の出力電圧の周波数をスイープさせるようにドライバ回路22に指令を出し、この指令に基づいてドライバ回路22は、インバータ14の出力電圧の周波数が例えば20kHzから40kHzまで1kHz刻みで変化するようにスイープ(周波数掃引)させる。そして演算装置33はインバータ14の出力電圧の周波数がスイープされる際のコイル13の両端におけるインピーダンスまたは抵抗成分を測定して、その周波数特性を得る。そして演算装置33はこの周波数特性から、演算装置33内に記録されたプログラムからなる負荷判別手段21により負荷の種類を判別し、力率改善回路15の使用の要否を選択する。さらに負荷判別手段21の判別結果は、載置エリア4に何も載置されていないこと、および/または載置されるべきでない異物(スプーンなど)が載置されているか否かを判別する。
図19は、異なる種類の負荷を載置エリアに載置したときに得られるコイル両端の抵抗成分の周波数特性を図示したグラフである。図19は、横軸は周波数f、縦軸はコイル13の両端の(見かけ上の)抵抗成分Rの大きさを示す。図19は、異なる周波数特性を表す4本の曲線を示す。長破線Aは、負荷が誘導加熱される被加熱物の場合に得られる抵抗成分Rの周波数特性を示し、周波数fが高くなるほど抵抗成分Rの大きさが大きくなるという特徴を示す。短破線Bは、負荷が図17(a)に示すように共振コンデンサを有しない受電機器である場合に得られる抵抗成分Rの周波数特性を示し、抵抗成分Rの大きさが周波数fによらず一定であるか、または周波数fとともに小さくなるという特徴を示す。
また実線Cは、負荷が図17(b)および図17(c)に示すように共振コンデンサを有する受電機器である場合に得られる抵抗成分Rの周波数特性を示し、抵抗成分Rの大きさが受電コイル25のインダクタンスおよび共振コンデンサの静電容量で定まる共振周波数で極大値となることを示す。受電機器は、一般に、抵抗成分Rが極大値となる共振周波数を有する高周波電流で最も高い効率で非接触給電することができる。したがって、インバータ14は、抵抗成分Rが極大値となる共振周波数とほぼ一致するような周波数を有する高周波電流を供給するように制御される。
一点鎖線Dは、誘導加熱される被加熱物または非接触給電される受電機器が載置エリア4上に載置されていない場合に得られる抵抗成分Rの周波数特性を示し、コイル13の両端の抵抗成分Rは比較的に小さいという特徴を示す。一点鎖線Dで示すような抵抗成分Rの周波数特性が得られた場合、制御回路20は、載置エリア4上に載置されていない、すなわち無負荷であると判断して、インバータ14の駆動を停止する。
このようにコイル13の両端の抵抗成分Rの周波数特性を周波数掃引で計測することにより、載置エリア4に載置された負荷の種類を判別することができる。なお、ここでは抵抗成分Rの周波数特性による判別方法について記したが、抵抗成分Rの周波数特性に限らず、リアクタンス成分(インピーダンスの虚部)の周波数特性またはコイル電圧とコイル電流の位相差の周波数特性によって負荷の種類を判別してもよい。
負荷判別手段21による負荷判別方法に関する上記説明において、抵抗成分Rの周波数特性を測定する際にインバータ14に入力されるインバータ入力電源30については特に言及しなかった。インバータ入力電源30は、全波整流された脈流直流電圧、または力率改善回路15により一定電圧にされた定常直流電圧を有し得る。当然に、インバータ入力電源30からの電圧が、脈流直流電圧または定常直流電圧であっても、上記負荷判別方法により、コイル13の両端のインピーダンスまたは抵抗成分などの周波数特性を測定することが可能である。ただし、インバータ14は、入力電源30から安定した電圧が入力されると、安定した高周波電流を出力でき、抵抗成分Rの周波数特性の測定精度を向上させることができる。インバータ入力電源30は、選択的に使用することができる力率改善回路15を備えているから、周波数特性を測定する際には力率改善回路15の使用を選択し、一定電圧の定常直流電圧をインバータ14に入力することが好ましい。なお、周波数特性の測定に際し、インバータ14は小さな高周波電流を出力するように制御されるので、負荷が小さな電力を必要とする受電機器であっても、力率改善回路15は適正に力率改善して、周波数特性を測定することができる。
次に、本発明に係る非接触給電機能付き誘導加熱調理器1の一連の動作について、以下例示的に説明する。ここで説明する非接触給電機能付き誘導加熱調理器1は、図1および図2(実施の形態1)に示すように構成され、各載置エリア4a,4b,4cにそれぞれに対応した力率改善回路15a,15b,15cを備えたものとする。
まず使用者は、非接触給電機能付き誘導加熱調理器1を使用するために主電源スイッチ7を「入」に設定する。すると非接触給電機能付き誘導加熱調理器1は起動し、スイッチ16a,16b,16cは、力率改善回路15a,15b,15cの使用を選択するように切り替わり、演算装置33は、上述のように、インバータ14a,14b,14cから出力される高周波電流の周波数をスイープ(周波数掃引)させて、各コイル13a,13b,13cの(見かけ上の)インピーダンスまたは抵抗成分Rの周波数特性を測定する。
負荷判別手段21は、例えば、載置エリア4aに載置された負荷が誘導加熱される被加熱物であり、載置エリア4b,4cに載置された負荷が非接触給電される受電機器であると判別する。このとき演算装置33は、載置エリア4aの発光リング10aを赤色に発光させ、載置エリア4b,4cの発光リング10b,10cを緑色に発光させることにより、載置された負荷が正しく判別されたことを使用者に視覚的に伝える。操作部5が静電センサおよび液晶ディスプレイにより構成される場合、操作部5aの表示内容が誘導加熱に適したものに切り替えられ、操作部5b,5cの表示内容が非接触給電に適したものに切り替えられる。
また演算装置33の負荷判別手段21は、力率改善回路15aの不使用を選択するようにスイッチ16aを切り替えるとともに、力率改善回路15b,15cの使用を選択するようにスイッチ16b,16cを保持する。
使用者は、操作部5aを用いて被加熱物に対する誘導加熱を操作し、操作部5b,5cを用いて受電機器への非接触給電を操作する。このとき受電機器が平滑コンデンサを備えるものであっても、受電機器は力率改善回路15b、15cを介して非接触給電されているので、非接触給電機能付き誘導加熱調理器1の入力電流は歪むことなく、高い力率が得ることができる。
また、使用者が主電源スイッチ7を「入」に設定した時には、載置エリア4a,4b,4cのうちの全てまたはいくつかに負荷が載置されておらず、その後に、使用者が負荷を載置する場合がある。この場合、主電源スイッチ7が「入」に設定された時に、負荷判別手段21は、上記方法によりコイル13a,13b,13cの(見かけ上の)インピーダンスまたは抵抗成分Rなどの周波数特性を測定して、負荷が存在しない(無負荷)を検知する。そして演算装置33は、無負荷を検知した載置エリア4a,4b,4cに対応する操作部5a,5b,5cをスタンバイ状態に維持して、使用者が操作部5に触れる(操作部5を用いて操作する)まで待機する。このとき演算装置33は、無負荷を検知した載置エリア4a,4b,4cに対応する発光リング10a,10b,10cを発光させない。
使用者が載置エリア4a,4b,4cのいずれかに負荷を載置すると、光センサ11a,11b,11cは、これに入射される外光が遮光されて、何らかの負荷(被加熱物または受電機器)が載置されたことを検知する。演算装置33の負荷判別手段21は、負荷が載置されたと検知した載置エリア4に関し、上述の方法により負荷を判別して発光リング11を発光させるとともに、操作部5の表示内容を切り替える。また光センサ11を用いて、載置エリア4に負荷が載置されたことを検知する代わりに、使用者が負荷を載置した載置エリア4に対応する操作部5a,5b,5cに触れたときに、その載置エリア4に載置された負荷に対して上記負荷判別方法を行い、載置された負荷を判別してもよい。
実施の形態6.
実施の形態1〜4に係る負荷判別手段21は、使用者が操作部5を操作して負荷の種類を選択した結果に基づいて負荷の種類を判別するものであったが、本実施の形態では、受電機器に取れつけられたRFタグに入力された情報に基づいて負荷の種類を判別するものである。実施の形態6のその他の詳細な構成は、実施の形態1〜4のものと同様であるので、重複する説明を省略する。
上述のように、実施の形態6に係る負荷判別手段21は、RFタグなどの無線通信技術を利用して、負荷の種類を判別する方法について説明する。ここでは安価に実現できる無線通信としてRFタグ(またはRFIDタグ、Radio Frequency Identifier)を用いた場合について説明するが、利用可能な無線通信方法はこれに限るものではなく、例えば、Wi-FiやBluetooth(登録商標)など家庭内での無線通信として広く普及しているものを利用してもよい。なおRFタグは、電子タグ、ICタグ、無線タグ、RFIDタグ等、さまざまな用語で表現されているが、本願では、JIS(日本工業規格)で定められている「RFタグ」の用語を統一して用いる。
図20は、RFタグを用いて負荷を判別する非接触給電機能付き誘導加熱調理器1の主要部を示す斜視図である。非接触給電機能付き誘導加熱調理器1のコイル13は、リッツ線を渦巻き状に巻いて形成されており、コイル13の中心付近に無線アンテナ34が設けられている。図19に示すコイル13は、これに限定するものではないが、被加熱物を均一に誘導加熱するために、リッツ線を半径方向に分割した2つのリング(内側リングおよび外側リング)として巻回して構成されたものである。無線アンテナ34は、無線送受信器(リーダ/ライタ)35に接続されており、無線送受信器35は無線アンテナ34に電力を供給し、また無線アンテナ34が受信した情報を処理する。無線送受信器35は制御回路20に接続されており、無線送受信器35が受信した信号(情報)は負荷判別手段21に送られ、負荷判別手段21が負荷の種類を判別する。負荷判別手段21の判別結果に基づいて、力率回線回路15の使用の要否を選択する手法は、上記実施の形態1〜5に記載したものと同様である。
他方、受電機器24は、受電コイル25の中心付近にRFタグ36を備えている。RFタグにはICチップ(図示せず)が埋め込まれており、ICチップ内に受電機器に関する情報(受電機器の種類(ジューサミキサ等)、最大定格電力、共振周波数等)が記録されている。
受電機器24が載置エリア4に載置されると、非接触給電機能付き誘導加熱調理器1の無線送受信器35が無線アンテナ34に電力を供給する。無線アンテナ34はコイル状に形成されており、電力が供給されると、高周波磁界あるいはマイクロ波を、受電機器24のRFタグ36に向けて照射する。RFタグ36は高周波磁界あるいはマイクロ波を受けて起電力を発生し、RFタグ36のICチップ内に記録された情報を読み出し、無線アンテナ34に向けて情報を送信する。この情報を無線アンテナ34が受信し、無線送受信器35で処理され、その結果を負荷判別手段21に送る。これにより負荷判別手段21は負荷の種類を判別し、力率改善回路15を使用するか否かを選択する。その後の動作は上記実施の形態と同様である。
一般に、誘導加熱される鍋やフライパンなどの被加熱物はRFタグ36を備えていないから、無線送受信器35が何の情報も受信しなかったときには、負荷判別手段21は載置された負荷を被加熱物であると判別し、力率改善回路15を使用する必要はないと判断することができる。また力率回線回路15を使用する必要がない受電機器は、これを示す情報をRFタグ36内のICチップに予め記録しておくことにより、無線送受信器35は、その負荷が力率回線回路15の使用を必要としないことを検知し、負荷判別手段21は、その情報を受けて力率改善回路15の不使用を判別する。
また受電機器24は、無線アンテナ34および無線送受信器35を介して、受電コイル25の両端から測定した抵抗成分Rが極大値となる共振周波数に関する情報を演算装置33に出力することが好ましい。このとき演算装置33は、対応する発光リング10を青色または緑色に発光させるとともに、その共振周波数とほぼ一致するような周波数を有する高周波電流を供給するようにインバータ14を制御することが好ましい。この場合、実施の形態5で説明したように、インバータ14から出力される高周波電流の周波数をスイープさせることにより周波数特性を決定する必要はなく、負荷判別手段21はRFタグ36から共振周波数の情報を収集して、非接触給電機能付き誘導加熱調理器1はより簡便な構成で最も高い効率で受電機器24に非接触給電することができる。
さらに受電機器24は、平滑コンデンサを備えず、力率改善を必要としないもの(例えば、炊飯器または湯沸かしポット等)であってもよい。受電機器24は、内部の温度を測定する少なくとも1つの温度センサ(図示せず)およびRFタグ36を有してもよい。例えば炊飯器は、おいしいご飯の炊き方として、古来「始めちょろちょろ中ぱっぱ」と表現されるように、水に浸けた米を中火で10分程度沸騰させた後、弱火で15程度炊き上げることが好ましいが、受電機器24に適したご飯の炊き方に関する情報をRFタグ36内のICチップに記憶させ、演算装置33は、記憶された炊飯情報および温度センサから得た温度情報に基づいてインバータ14を制御してもよい。他の受電機器24の具体例として、煎茶用の湯沸かしポットは、水を一旦沸騰させた後、85℃前後で保温した湯を用いると、香りよく、うまみのある煎茶を淹れることができるが、煎茶等のお茶の種類に適した茶の淹れ方に関する情報をRFタグ36内のICチップに記憶させ、演算装置33は、記憶された煎茶情報および温度センサから得た温度情報に基づいてインバータ14を制御してもよい。ご飯の量およびお茶の種類等は、使用者が選択できるように操作部5を構成してもよい。さらに、炊飯が完了した時点、または適温に達した時点で、受電機器24は、RFタグ36および無線送受信器35を介して、演算装置33に通信して、その旨を表示部6で表示して(または図示しないスピーカ等の聴覚的装置で音声通知して)、使用者に伝えることが好ましい。
以上説明したように、本発明に係る非接触給電機能付き誘導加熱調理器1で非接触給電可能な受電機器24は、力率改善の必要性の有無にかかわらず、任意の電化製品を載置エリア4に載置することにより動作させることができる。また受電機器24は、(メモリを含む)RFタグ36を用いることにより、共振周波数を有する高周波磁場により、最も高い効率で受電することができる。