JP2016149247A - 酸化物超電導線材の製造方法および酸化物超電導線材 - Google Patents

酸化物超電導線材の製造方法および酸化物超電導線材 Download PDF

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Kotaro Oki
康太郎 大木
永石 竜起
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Abstract

【課題】安定して酸化物超電導層の破壊を防止することができる酸化物超電導線材の製造技術を提供する。
【解決手段】基材上に酸化物超電導層を形成する酸化物超電導層形成工程と、酸化物超電導層の表面上に銀保護層を形成する銀保護層形成工程とを有しており、銀保護層形成工程が銀の結晶化温度以上の温度雰囲気下で銀保護層を形成する工程である酸化物超電導線材の製造方法。基材と、基材上に形成された酸化物超電導層と、酸化物超電導層上に形成された銀保護層とを備えており、銀保護層の最小の結晶粒径が2.0μm以上である酸化物超電導線材。
【選択図】なし

Description

本発明は、酸化物超電導線材の製造方法および酸化物超電導線材に関する。
液体窒素の温度で超電導性を有する高温超電導体の発見以来、ケーブル、限流器、マグネットなどの電力機器への応用を目指した高温超電導線材の開発が活発に行われている。中でも、金属基板上にYBCOなどREBCO系(RE:希土類元素)等の酸化物超電導体からなる酸化物超電導層を形成した酸化物超電導線材が注目されている。
一般的に、このような酸化物超電導線材には、過電流などにより酸化物超電導層が破壊されることを防止するために、酸化物超電導層の表面や酸化物超電導線材の外周面全体に、厚み5〜20μm程度の銅(Cu)層または銅合金層が安定化層として設けられている(例えば特許文献1参照)。
この安定化層は、通常、電気メッキにより形成されるが、このとき、酸化物超電導層を保護する保護層として銀(Ag)層が予め設けられている。このように保護層の形成に銀が使用されているのは、銀は低抵抗であり、酸化物超電導線材の特性を低下させることがなく、安定化層が形成された酸化物超電導線材において保護層を介して酸化物超電導層から安定化層へ過電流などをスムーズに逃がすことができるためである。
特開2013−218915号公報
しかしながら、従来の酸化物超電導線材においては、低コスト化や銀保護層の膜厚方向の抵抗の低減を図るために、銀保護層の厚みを薄くした場合、銅安定化層を形成しているにも拘らず、過電流などにより酸化物超電導層が破壊されて酸化物超電導の特性が低下することがあった。
そこで、本発明は、銀保護層の厚みを薄くしても過電流などによる酸化物超電導層の破壊を安定して防止することができる酸化物超電導線材の製造技術を提供することを課題とする。
本発明の一態様に係る酸化物超電導線材の製造方法は、
基材上に酸化物超電導層を形成する酸化物超電導層形成工程と、
前記酸化物超電導層の表面上に銀保護層を形成する銀保護層形成工程とを有しており、
前記銀保護層形成工程が、銀の結晶化温度以上の温度雰囲気下で前記銀保護層を形成する工程である酸化物超電導線材の製造方法である。
また、本発明の一態様に係る酸化物超電導線材は、
基材と、前記基材上に形成された酸化物超電導層と、前記酸化物超電導層上に形成された銀保護層とを備えており、
前記銀保護層の最小の結晶粒径が2.0μm以上である酸化物超電導線材である。
本発明によれば、銀保護層の厚みを薄くしても過電流などによる酸化物超電導層の破壊を安定して防止することができる酸化物超電導線材の製造技術を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る酸化物超電導線材の構成を模式的に示す横断面図である。 各実験例における酸化物超電導線材の銀保護層の表面のSEM画像である。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
(1)本発明の一態様に係る超電導線材の製造方法は、
基材上に酸化物超電導層を形成する酸化物超電導層形成工程と、
前記酸化物超電導層の表面上に銀保護層を形成する銀保護層形成工程とを有しており、
前記銀保護層形成工程が、銀の結晶化温度以上の温度雰囲気下で前記銀保護層を形成する工程である酸化物超電導線材の製造方法である。
本発明者は、従来の酸化物超電導線材において、低コスト化や銀保護層の膜厚方向の抵抗の低減を図るために、銀保護層の厚みを薄くした場合、何故、酸化物超電導の特性が低下することがあるのか、その原因について検討を行った。
その結果、酸化物超電導層が破壊された酸化物超電導線材では、銅安定化層と酸化物超電導層との間の銀保護層に、銀保護層の形成時にはなかったピンホールが形成されていることが分かった。
そこで、本発明者は、銀保護層にどのようにしてピンホールが形成されたのか、さらに検討を行った。その結果、従来の銀保護層形成工程は室温雰囲気下で銀保護層を形成していたためアモルファス構造の銀保護層が形成されており、その後の酸素アニール工程において熱処理された際に銀保護層がアモルファス構造から結晶構造に変化して収縮することにより、ピンホールが形成されていることが分かった。
次に、本発明者は、銀保護層におけるこのようなピンホールの形成を防止する方法として、銀保護層を予め厚く形成させることを考えた。
しかし、この方法を適用した場合には、ピンホールの形成は防止できるものの、銀保護層が厚くなるため、酸化物超電導層と銅安定化層との間の界面抵抗が増加して、過電流をスムーズに銅安定化層へ逃がすことが難しくなるという問題が発生した。
そこで、本発明者は、銀保護層を厚くせずにピンホールの形成を防止する方法を検討した結果、銀保護層形成工程において、従来のようなアモルファス構造ではなく、結晶構造の銀保護層を形成させることに思い至り、本発明を完成するに至った。
即ち、銀の結晶化温度(約300℃)以上の温度雰囲気下で結晶構造の銀保護層を酸化物超電導層上に形成させておけば、酸素アニール工程において熱処理しても銀保護層が収縮することがないため、銀保護層を厚く形成させずともピンホールの形成を防止することができることが分かった。
(2)前記銀保護層形成工程には、スパッタ法を用いることが好ましい。
銀保護層の形成には物理蒸着法が好ましく用いられるが、この物理蒸着法の内でも、低コストで大面積化が可能という観点から、スパッタ法を用いることが好ましい。
(3)そして、本発明の一態様に係る酸化物超電導線材は、
基材と、前記基材上に形成された酸化物超電導層と、前記酸化物超電導層上に形成された銀保護層とを備えており、
前記銀保護層の最小の結晶粒径が2.0μm以上である酸化物超電導線材である。
本発明者は、種々の実験の結果、最小の結晶粒径が2.0μm以上となるように銀保護層が形成された酸化物超電導線材の場合、銀保護層にピンホールが形成されることが適切に防止されて、過電流などによる酸化物超電導層の破壊を安定して防止することができることを見出した。
そして、このような酸化物超電導線材は、上記した酸化物超電導線材の製造方法を適用することにより容易に得ることができる。
(4)前記銀保護層の膜厚は、1.5〜3.0μmであることが好ましい。
銀保護層の膜厚が1.5〜3.0μmであると、酸化物超電導層と銅安定化層との間の界面抵抗を十分低くすることができる。なお、膜厚は2.0μm以上であるとより好ましい。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明を実施形態に基づき、図面を参照して説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
図1は本発明の一実施形態に係る酸化物超電導線材の構成を模式的に示す横断面図である。図1に示すように、本実施形態に係る酸化物超電導線材1は、基本的には従来の酸化物超電導線材と同様に構成されており、金属基材11、酸化物超電導層12、銀保護層13および銅安定化層14を備えている。そして、このような酸化物超電導線材1は、以下の工程を経ることにより製造される。
(1)金属基材の準備
まず、金属基材11として、例えば、Ni/Cu/SUSなどのクラッドタイプで2軸配向した配向金属基板11aの上に、CeO/YSZ/Yの3層構造の中間層11bを形成させた表面が2軸配向している金属基材を準備する。
(2)酸化物超電導層形成工程
次に、準備した金属基材11の中間層11bの上に、酸化物超電導層12をエピタキシャル成長させる。酸化物超電導層12は、例えば、REBCO系酸化物超電導体(RE:YやGdなどの希土類元素)から構成されており、PLD(Pulsed Laser Deposition)法やMOD(Metal OrganicDeposition)法などにより所定の厚みまでエピタキシャル成長させることにより形成される。
(3)銀保護層形成工程
次に、酸化物超電導層12の表面上に、銀または銀をベースとする銀合金の結晶体から構成される銀保護層13を形成する。
本実施形態においては、この銀保護層形成工程が銀の結晶化温度以上の温度雰囲気下で行われる。これにより、銀保護層13が、従来のようなアモルファス構造でなく、結晶構造を有した状態で形成される。銀の結晶化温度は約300℃であるため、銀保護層形成工程の温度雰囲気は、この温度以上であれば特に限定されないが、より緻密な膜を得るという観点から350℃以上に設定することが好ましい。一方、銀が酸化物超電導層12内へ拡散すると超電導の特性を低下させるため、800℃以下に設定することが好ましい。より好ましくは、350〜500℃である。
この銀保護層13の形成には、例えば、一般的な物理蒸着法を好ましく用いることができるが、低コストで大面積化が可能という観点から、スパッタ法を用いることが好ましい。
(4)酸素アニール工程
次に、銀保護層13が形成された酸化物超電導線材に対して、従来と同様にして、酸素アニールを行う。これにより、酸化物超電導層12に酸素が導入されて酸化物超電導層12に超電導特性が与えられる。
このとき、本実施形態では、上記した銀保護層形成工程において、従来のアモルファス構造の銀保護層ではなく、結晶構造の銀保護層13が予め形成されているため、酸素アニール工程において熱処理しても銀保護層13の収縮が生じず、銀保護層13にピンホールが形成されることが適切に抑制される。
このときの銀保護層13を観察すると、最小の結晶粒径が2.0μm以上の銀の結晶が確認される。なお、超電導膜内への酸素導入の観点から、この結晶粒径は金属結晶粒径と同程度である150μm以下であることが好ましい。2.7〜100μmであるとより好ましく、3.0〜100μmであるとさらに好ましい。
(5)銅安定化層形成工程
次に、銀保護層13の外面に、従来と同様に電気メッキにより銅安定化層14を形成する。これにより、酸化物超電導線材1の製造が完了する。
本実施形態に係る酸化物超電導線材の製造方法によれば、上記したように、酸素アニール工程における銀保護層の収縮が抑制されているため、銀保護層13を薄膜化した場合でもピンホールが形成されるようなことがなく、過電流などによる酸化物超電導層12の破壊を安定して防止することができる酸化物超電導線材1を製造することができる。このときの銀保護層13の膜厚は、2.0μm以下にすることが好ましい。
[実験例]
以下、実験例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。
1.実験例1〜6
(1)実験例1〜3
SUS層(厚み100μm)上に、Cu層(厚み20μm)、Ni層(厚み2μm)が順に形成されたNi/Cu/SUSクラッド材(幅30mm×長さ1m)からなる金属基板11aの上に、Yb層(厚み100nm)、YSZ層(厚み300nm)、CeO層(厚み100nm)の順に成膜された中間層11bを有する金属基材11を用意し、この金属基材11上に、PLD法を用いて厚み3μmのYBCOの酸化物超電導層12を形成した。
次に、スパッタ法を用いて、表1に示すように、実験例1〜実験例3で温度雰囲気(成膜温度)をそれぞれ異ならせて、酸化物超電導層12の表面上に厚み2μmの銀保護層13を形成した。
次に、酸素アニール工程(酸素100%雰囲気、200〜500℃、24時間)を行うことにより、酸化物超電導層12に酸素を導入した。その後、電気メッキ法を用いて銀保護層13の外周に厚み20μmの銅安定化層14を形成した。
(2)実験例4
銀保護層13の形成における温度雰囲気を常温(20℃)に設定したこと以外は、実験例1と同じ条件で酸化物超電導線材を作製した。
(3)実験例5
銀保護層13の膜厚を10μmとしたこと以外は、実験例4と同じ条件で酸化物超電導線材を作製した。
(4)実験例6
銀保護層13の形成中の温度雰囲気を200℃に設定したこと以外は、実験例1〜3と同じ条件で酸化物超電導線材を作製した。
2.評価方法
(1)銀保護層の観察
酸素アニール工程前の銀保護層の構造について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した。図2に各実験例における酸化物超電導線材の銀保護層の表面のSEM画像を示す。
(2)結晶粒径
酸素アニール工程および銅安定化層形成工程を経て作製した酸化物超電導線材1の銀保護層の結晶粒径をSEMによって測定した。
(3)ピンホールの形成数
作製した酸化物超電導線材1の銀保護層をSEMによって観察して、100μm当たりのピンホールの形成数を測定した。
(4)界面抵抗の測定
作製した酸化物超電導線材1の銀保護層13の厚み方向の電気抵抗(酸化物超電導層12と銅安定化層14との間の界面抵抗)を、4端子法を用いて測定した。
3.評価結果
上記した評価の結果をまとめて表1に示す。
表1より、銀保護層を形成する際の温度を銀の結晶化温度(300℃)以上の温度に設定した実験例1〜3では、銀保護層13の膜厚を2.0μmと薄膜化しているにも拘らず、ピンホール欠陥の形成が適切に防止されていることが確認された。そして、銀保護層13が薄膜化されているため、酸化物超電導層と銅安定化層との間の界面抵抗を十分に小さくできることが確認された。
また、図2に示すように、実験例1〜実験例3において形成された銀保護層の表面をSEMで観察した結果、銀保護層を形成する際の温度を銀の結晶化温度以上に設定した場合、酸素アニール工程後の銀保護層に結晶粒径2.0μm以上の結晶構造が形成されることが確認された。
一方、実験例4、5のように、銀保護層を形成する際の温度を常温(20℃)に設定した場合には、図2に示すように、アモルファス構造の銀が集合してしまい、実験例5のように膜厚を大きくしないと、ピンホール欠陥の発生を抑制することができないことが確認された。
また、常温より高温ではあるが、銀結晶化温度より低い温度(200℃)で銀保護層の形成を行った実施例6の場合、図2に示すように、アモルファス構造と結晶構造とが混在した銀保護層が形成され、2.0μm以下の結晶粒径の箇所ではピンホールが発生していることが確認された。
本発明は、レア・アース系などの酸化物超電導層を備える酸化物超電導線材において、銀保護層の機能を向上させることにより、過電流に対する耐性により優れている安定した品質の酸化物超電導線材を提供することを可能にすることができる。
1 酸化物超電導線材
11 金属基材
11a 配向金属基板
11b 中間層
12 酸化物超電導層
13 銀保護層
14 銅安定化層

Claims (4)

  1. 基材上に酸化物超電導層を形成する酸化物超電導層形成工程と、
    前記酸化物超電導層の表面上に銀保護層を形成する銀保護層形成工程とを有しており、
    前記銀保護層形成工程が、銀の結晶化温度以上の温度雰囲気下で前記銀保護層を形成する工程である酸化物超電導線材の製造方法。
  2. 前記銀保護層形成工程に、スパッタ法を用いる請求項1に記載の酸化物超電導線材の製造方法。
  3. 基材と、前記基材上に形成された酸化物超電導層と、前記酸化物超電導層上に形成された銀保護層とを備えており、
    前記銀保護層の最小の結晶粒径が2.0μm以上である酸化物超電導線材。
  4. 前記銀保護層の膜厚が1.5〜3.0μmである請求項3に記載の酸化物超電導線材。
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