JP2016149472A - ペロブスカイト化合物を用いた光電変換素子およびその製造方法 - Google Patents

ペロブスカイト化合物を用いた光電変換素子およびその製造方法 Download PDF

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康雄 椋木
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Abstract

【課題】耐久性、耐光性、耐高温高湿に優れる固体型光電変換素子を提供する。
【解決手段】一対の導電性電極基板5の間に一般式(1)乃至(4)に示すハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物若しくは一般式(5)に示す無機ペロブスカイト化合物から選択された化合物を、単独又は2以上混合して構成された光電変換層3を有する固体型光電変換素子である。CH3NH313(1)、R(NH3214(2)、CH3NH3SnX3(3)、R2(NH32SnX4(4)、CsM23(5)、(上式中、R、R2は炭素数2以上のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、複素環基又は芳香族複素環基であり、M、M2は、2価の金属イオンであり、Xは、F,Cl,Br,Iである。)。
【選択図】図2

Description

本願発明は光電変換層にハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物及び/又はハライド系無機ペロブスカイト化合物を用いた固体型光電変換素子に関する。
現在、太陽電池は固体型の太陽電池であるpn接合型の太陽電池が商品化され広く市場で使用されている。このpn接合型太陽電池では、シリコン結晶やアモルファスシリコン薄膜、非シリコン系の化合物半導体の多層薄膜を用いる。しかし、これらの太陽電池は、高温もしくは真空下で製造するために、プラントのコストが高く、エネルギーペイバックタイムが長いという欠点がある。このため、低温でより低コストで製造が可能な太陽電池の開発が期待されている。そのひとつは大気中で低コストの量産が可能な色素増感型太陽電池であり、色素増感型太陽電池は透明導電性基板上に形成された二酸化チタンナノ粒子を代表とする金属酸化物半導体ナノ粒子からなる多孔質半導体微粒子層に増感色素を担持させた光作用極基板(光電極)と、導電性基板上に白金又はカーボンの対極層を形成した対極基板(対向電極)とを、互いに対向させて配置し、この基板間に電解質溶液を満たし、この電解質溶液を封止した構造からなる。この色素増感型太陽電池は製造工程が簡単であり低コストで製造できるメリットはあるが、電解液として液体を使用すること、増感色素として有機色素又は有機金属化合物であるルテニウム色素を使用するため、特に過酷な環境下では十分な耐久性が得られないという問題があった(特許文献1)。
一方、電解液、増感色素を用いない有機薄膜太陽電池が一般に広く知られている。しかしながら、色素増感型太陽電池に比べて光電変換効率は低く、有機材料を用いていることから太陽電池の耐久性に懸念がある。また、これらの太陽電池モジュールのユニットの製造には多くの工程が必要であり、コストダウンのためには製造工程の簡略化が望まれている。
近年、次世代太陽電池として、ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物及びハライド系無機ペロブスカイト化合物を用いた太陽電池が活発に研究されている。
非特許文献1には、電解液の代わりにホール移動型の無機ペロブスカイト化合物CsSnI)を用いた固体型の色素増感型太陽電池について開示されている。しかしながら、光吸収材として色素増感太陽電池と同じルテニウム色素を多孔質半導体微粒子(酸化チタン)層に吸着させ、使用しているため、色素の脱着や分解に起因する太陽電池の耐久性に問題がある。
また、非特許文献2には、増感色素に代えて有機無機混成ペロブスカイト化合物を使用することが開示されている。しかしながら、色素増感太陽電池と同様に電解液を使用するため十分な耐久性が得られないという問題がある。
特許文献2には多孔質半導体微粒子層に有機無機混成ペロブスカイト化合物を吸着させ、電解液も有機系色素も使用しない固体型の光電変換素子が開示されている。これは多孔質半導体微粒子層がn型で、有機無機混成ペロブスカイト化合物がp型となる太陽電池と考えられ、低コストで製造が可能で耐久性も良い太陽電池としての可能性を持っている。しかしながら、現在のシリコン型太陽電池にかわる低コストで商業的にメリットのある太陽電池を作製するには、光電変換素子層の構成を更に簡略化する必要がある。
特許文献3には多孔質半導体微粒子層を用いず、n型として有機無機混成ペロブスカイト化合物、p型として無機ペロブスカイト化合物を接合した固体型の光電変換素子が開示されている。しかしながら、太陽電池の究極的な低コスト化を実現するには、常温製造可能な単層構成の固体型太陽電池が望まれていた。
非特許文献3、4には一対の透明電極基板間に強誘電体であるチタン酸ジルコン酸鉛に代表されるペロブスカイト酸化物を単層で用いた単層構成の太陽電池が開示されている。この太陽電池は単層構成であり好ましい形態であるが、これらの強誘電性を示すペロブスカイト酸化物は可視光領域に吸収をもたないため、光電流が低く太陽電池としての光変換効率が非常に低いという問題がある。また、太陽電池の構成は非常に単純だが、常温製造が不可能で真空化で製造する必要があるため、製造コストが高くなる問題がある。
非特許文献5には特定の結晶構造を有する有機無機混成ペロブスカイト化合物が常温で誘電性を示すことは開示されている。しかしながら、誘電性を有する有機無機混成ペロブスカイト化合物を光吸収層とする単層構成の光電変換素子については全く開示されていない。
本願発明は一対の電極基板間にハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物、又はハライド系無機ペロブスカイト化合物の単層膜を形成するだけで、太陽電池としての機能を有することを新たに見出したもので、本願発明のハライド系ペロブスカイト化合物の層が光吸収剤として機能すると共に、強誘電体として自己誘電して電荷分離が起きるため、単独層で太陽電池としての特性を示すものと考えられる。本願発明のハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物、又はハライド系無機ペロブスカイト化合物は、前記の非特許文献3、4に記載されたペロブスカイト酸化物と異なり、ハロゲンを含むペロブスカイト結晶であり、可視光領域に吸収をもつため光電流が高く、従来知られている色素増感太陽電池と同等の光変換効率を有すると考えられる。
また、本願発明のハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物、又はハライド系無機ペロブスカイト化合物は有機溶剤塗布が可能であり、常温で製造が可能であるため製造コストも低くできる。
ここで、一般的に一対の電極基板のいずれもが透明な場合には、各種の環境に対して耐久性が劣ることが多く、その改良が望まれていた。
米国特許4927721号公報 EP2693503号公報 特開2014−049596号公報
Nature 2012年,485巻,486頁 Journal of the American Chemical Society 2009年,131巻,6050頁 Journal of Materials Chemistry A 2014年,2,6027−6041頁 Journal of the American Chemical Society 2012年,12巻,2803頁 The Journal of Physical Chemistry Letters 2014年, 5巻, 3335頁
本願発明では、光電変換層にハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物及びハライド系無機ペロブスカイト化合物からなるエネルギー変換効率の高い固体型光電変換素子を用いることで、増感色素の劣化や電解液の漏洩に起因する耐久性に問題がある色素増感型太陽電池、あるいは、耐光性、耐湿性に問題のある有機薄膜太陽電池の上述した課題を解決することを見出した。本願発明は、特に高温高湿での耐久性に優れ、かつ取扱い強度に対しても優れる固体型光電変換素子を提供するものである。
本願発明は、下記記載の(態様1)乃至(態様9)で実施できる。
(態様1) 一対の導電性電極基板間に光電変換層を有する固体型光電変換素子であって、前記一対の導電性電極基板の一方が透明導電性電極基板であり、他方が不透明導電性電極基板であり、かつ前記光電変換層が下記一般式(1)乃至(4)に示すハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物又は下記一般式(5)に示す無機ペロブスカイト化合物から選択された化合物を、単独又は2以上混合して構成されたものであることを特徴とする固体型光電変換素子である。
CH3NH313 (1)
(式中、Mは、2価の金属イオンであり、Xは、F,Cl,Br,Iである。)
(NH3214 (2)
(式中、Rは炭素数2以上のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、複素環基又は芳香族複素環基であり、Mは、2価の金属イオンであり、Xは、F,Cl,Br,Iである。)
CH3NH3SnX3 (3)
(式中、Xは、F,Cl,Br,Iである。)
2(NH32SnX4 (4)
(式中、R2は炭素数2以上のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、複素環基又は芳香族複素環基であり、Xは、F,Cl,Br,Iである。)
CsM23 (5)
(式中、M2は、2価の金属イオンであり、Xは、F,Cl,Br,Iである。)
(態様2) 前記光電変換層は、前記一対の導電性電極基板のいずれか一方に塗膜形成されたものであって、前記塗膜は前記一般式(1)乃至(4)のハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物又は前記一般式(5)に示す無機ペロブスカイト化合物を構成し得る前駆体を含む溶液を用いて形成されたものであることを特徴とする(態様1)に記載した固体型光電変換素子である。
(態様3) 前記光電変換層は、前記一対の導電性電極基板のいずれか一方に被膜形成されたものであって、前記被膜は前記一般式(1)乃至(4)のハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物又は前記一般式(5)に示す無機ペロブスカイト化合物を前記導電性電極基板上に蒸着して形成されたものであることを特徴とする(態様1)に記載した固体型光電変換素子である。
(態様4) 前記一対の導電性電極基板の一方又は双方と前記光電変換層の間にバッファ層を形成したことを特徴とする(態様1)乃至(態様3)のいずれかに記載した固体型光電変換素子である。
(態様5) 前記不透明導電性電極基板が導電層を有する透明基板又は不透明基板であって、前記導電層が導電性有機材料からなり、かつ前記不透明導電性電極基板の波長550nmにおける光透過率が10%未満であることを特徴とする(態様1)乃至(態様4)のいずれかに記載した固体型光電変換素子である。
(態様6) 前記透明導電性電極基板が導電層を有する透明基板であって、前記導電層が導電性有機材料からなり、かつ前記透明導電性電極基板の波長550nmにおける光透過率が30%以上であることを特徴とする(態様1)乃至(態様4)のいずれかに記載した固体型光電変換素子である。
(態様7) 前記導電層を構成する導電性有機材料が、カーボン、PEDOT/PSS素材或いはその混合体からなることを特徴とする(態様1)乃至(態様6)のいずれかに記載した固体型光電変換素子である。
(態様8) 前記導電層が、カーボン、PEDOT/PSS素材或いはその混合体からなる2層以上の多層体であることを特徴とする(態様1)乃至(態様6)のいずれかに記載した固体型光電変換素子である。
(態様9) 前記不透明導電性電極基板が、金属基板であることを特徴とする(態様1)乃至(態様4)のいずれかに記載した固体型光電変換素子である。
本願発明によって、構造的にも単純で製造コストが安く、且つ光で励起した電子が自身の内部誘電効果で電荷分離する固体型光電変換素子が得られる。色素増感型太陽電池のように増感色素の劣化や電解液の漏洩に起因する耐久性に問題はない。有機薄膜太陽電池に比べて耐光性、耐湿性及び強度に優れる。
本願発明の固体型光電変換素子の構造の1例を示す模式図である。 本願発明の固体型光電変換素子の構造の1例を示す模式図である。 本願発明の固体型光電変換素子の構造の1例を示す模式図である。
以下、本願発明の固体型光電変換素子について説明する。
1.固体型光電変換素子の構造
図1乃至3は、いずれも本願発明の固体型光電変換素子の構造の1例を示す模式図であり、これらに限定されるものではない。
図1は、本願発明の固体型光電変換素子の構造の1例を示す模式図である。固体型光電変換素子は、電極基板1上に導電層2及び光電変換層3をこの順に積層した光電変換層を有する導電性電極基板4に、電極基板1上に導電層2を積層した光電変換層を有しない導電性電極基板5を貼り合わせた構造を有する。光電変換層を有する導電性電極基板4と光電変換層を有しない導電性電極基板5の何れか一方が透明導電性基板であり、他方が不透明電極基板である。
図2は、本願発明のバッファ層を設けた固体型光電変換素子の構造の1例を示す模式図である。固体型光電変換素子は、電極基板1上に導電層2、バッファ層6、光電変換層3をこの順に積層したバッファ層を形成した光電変換層を有する導電性電極基板7に、電極基板1上に導電層2を積層した光電変換層を有しない導電性電極基板5を貼り合わせた構造を有する。バッファ層を形成した光電変換層を有する導電性電極基板7と光電変換層を有しない導電性電極基板5の何れか一方が透明導電性基板であり、他方が不透明電極基板である。
図3は、本願発明のバッファ層を設けた固体型光電変換素子の構造の1例を示す模式図である。固体型光電変換素子は、電極基板1上に導電層2、光電変換層3をこの順に積層した光電変換層を有する導電性電極基板4に、電極基板1上にバッファ層6、導電層2をこの順に積層したバッファ層を形成した光電変換層を有しない導電性電極基板8を貼り合わせた構造を有する。光電変換層を有する導電性電極基板4とバッファ層を形成した光電変換層を有しない導電性電極基板8の何れか一方が透明導電性基板であり、他方が不透明電極基板である。
以下、導電性電極基板、光電変換層、バッファ層の順で説明する。
[1]導電性電極基板
(1)透明導電性電極基板
本願発明に用いる一対の導電性電極基板のいずれか一方は、透明導電性電極基板である。透明導電性電極基板は、透明基板の表面又は内部に透明導電層を形成したものである。本願発明において、「透明」とは、波長550nmにおける光透過率が30%以上のものをいう。以下、本願発明に用いる透明基板と透明導電層について説明する。
(1−1)透明基板
本願発明に用いる透明基板としてはガラス基板又は透明プラスチック基板が好ましい。透明プラスチック基板材料としては、無着色で透明性が高く、耐熱性が高く、耐薬品性及びガス遮断性に優れ、かつ低コストの材料が好適である。好適な材料としては、例えば、ポリエステル類、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)など、スチレン類、例えば、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)など、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、透明ポリイミド(PI)、シクロオレフィンコポリマー(商品名:アートン)など、脂環式ポリオレフィン(商品名:ゼオノア)など、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、フッ素化環状ポリオレフィン、ポリイミド、ポリビニルフェノール、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、セルローストリアセテートがある。なかでも、化学的安定性とコストの点で、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、脂環式ポリオレフィンが特に好ましい。なお、これらのプラスチック基板の構造やその組成においては特に限定されず、本願発明の固体型光電変換素子を構成するに値するものであれば、利用することができる。透明プラスチック基板は、透過率(550nm)が30%以上であり、好ましくは50%以上、更には70%以上で、特には80%以上が好ましい。また、ガラス基板材料としては、可視光線透過率80%を超えるものであればく、例えば、白板ガラス、ソーダガラス、硼珪酸ガラス等からなる無機質製基板がある。
プラスチック基板の耐熱性は、ガラス転移温度(Tg)が100℃以上、及び、線熱膨張係数が40ppm/℃以下の少なくともいずれかの物性を満たすことが好ましい。なお、プラスチック基板のTg及び線膨張係数は、JIS K 7121に記載のプラスチックの転移温度測定方法及びJIS K 7197に記載のプラスチックの熱機械分析による線膨張率試験方法により測定する。プラスチックフィルムのTgや線膨張係数は、添加剤などによって調整することができる。このような耐熱性に優れる熱可塑性樹脂として、例えば、ポリエチレンナフタレート(120℃)、ポリカーボネート(140℃)、脂環式ポリオレフィン、例えば日本ゼオン株製 ゼオノア1600(160℃)、ポリアリレート(210℃)、ポリエーテルスルホン(220℃)、ポリスルホン(190℃)、シクロオレフィンコポリマー:特開2001−150584号公報の化合物(162℃)、フルオレン環変性ポリカーボネート:特開2000−227603号公報の化合物(225℃)、脂環変性ポリカーボネート:特開2000−227603号公報の化合物(205℃)、アクリロイル化合物:特開2002−80616号公報の化合物(300℃以上)、ポリイミド等が挙げられる。なお、括弧内はTgを示す。これらは本願発明における基材として好適である。なかでも、特に透明性が求められる用途には、脂環式ポレオレフィンを使用することが好ましい。なお、これらのプラスチック基板の構造やその組成においては特に限定されず、本願発明の固体型光電変換素子を構成するに値するものであれば、利用することができる。
(1−2)透明導電層
本願発明の透明導電性電極基板に用いる透明導電層の素材としては、導電性金属類、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、チタン、導電性炭素や導電性高分子に代表される導電性有機材料、具体的には導電性炭素として、カーボンブラック、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、グラフェン、炭素繊維、フラーレンがあり、導電性高分子として、ポリアセチレン、PEDOTポリ3,4−エチレンジオキシチオフェン、ポリスチレンスルフォン酸との、オリゴチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビニレンがある。導電性金属酸化物、例えば、酸化スズ、酸化亜鉛、導電性複合金属酸化物、例えば、インジウム‐スズ酸化物(ITO)、インジウム−亜鉛酸化物(IZO)、Agナノワイヤ、金ナノ粒子、銀ナノ粒子などがある。高い光学的透明性を有するという点で、導電性金属酸化物、導電性複合金属酸化物が好ましく、耐熱性と化学安定性に優れるという点で、インジウム‐スズ複合酸化物(ITO)やインジウム‐亜鉛酸化物(IZO)が特に好ましい。透明導電層を構成する素材においては、その組成内容は他の素材との混合でもよく、また形態なども限定されるものではない。また透明導電性層の形成においても、その方法は限定されるものではなく、スパッタ法、蒸着法さらには分散物を塗布する方法などが選定できる。本願発明の透明導電性電極基板の光透過率(測定波長:550nm)は、30%以上が好ましく、50%以上であることがさらに好ましく、60%以上が最も好ましく、特には75%以上が好ましい。透明導電性電極基板の導電性と透明性は、透明導電層の形成方法を最適化することで、例えば、蒸着時間、分散液塗布量などを最適化することで、両立させることができる。
本願発明においては、透明導電性電極基板が低い表面抵抗値を達成するために、透明導電層に金属を用いることができる。金属メッシュ構造からなる透明導電性層を形成することにより高い透明性も達成できる。低抵抗の金属材料(例えば、銅、銀、アルミニウム、白金、金、チタン、ニッケルなど)を用いて金属メッシュ構造からなる透明導電性層を形成することが好ましい。この場合には、導電層には集電のための補助リードをパターニングなどにより配置させることができる。補助リードも透明導電層と同様に低抵抗の金属材料(例えば、銅、銀、アルミニウム、白金、金、チタン、ニッケルなど)によって形成される。補助リードを含めた表面の抵抗値は本願発明の目的に有ったものであれば特に限定されない。ここで補助リードのパターンは透明基板に蒸着、スパッタリングなどにより形成し、さらにその上に酸化スズ、ITO膜、IZO膜などからなる透明導電層を設けることも好ましい。カーボンナノチューブと直線状金属ナノワイヤとを含む透明導電層を有する透明導電膜を設けてもよい。その際にカーボンナノチューブと金属ナノワイヤは、それぞれ別の層をなしていてもよいし、混合物の層であってもよい。
透明導電性電極基板の導電性と透明性は、一般に相関性が見られており、所望とする導電性を得るために適量の導電性素材からなる導電層を付与すればよい。透明導電性電極基板の導電性は、好ましくはシート抵抗400Ω/□であり、より好ましくは200Ω/□であり、更には50Ω/□であり、特には20Ω/□であり、特には10Ω/□が好ましい。対象とする光源エネルギーが大きい場合は、小さい抵抗が好ましく、利用する光源エネルギーが小さい場合は比較的高い抵抗の導電層でも利用でき、導電層の作製の容易性とコストを勘案して、所望とする導電層を作製すればよい。
(2)不透明導電性電極基板
本願発明に用いる一対の導電性電極基板のいずれか一方は、不透明導電性電極基板である。不透明導電性電極基板は、基板の表面又は内部に導電層を形成したものであって、基板又は導電層のいずれか一方が不透明であるか、いずれも不透明であるものである。本願発明において、「不透明」とは、波長550nmにおける光透過率が10%未満のものをいう。不透明導電性電極基板としては、導電層が不透明であることが好ましい。以下、本願発明に用いる不透明導電性電極基板の不透明基板と不透明導電層について説明する。なお、透明基板と透明導電層の場合は、上述したので省略する。
(2−1)不透明基板
本願発明に用いる不透明基板としては、不透明ガラス基板、不透明プラスチック基板または不透明金属基板があげられる。これらの不透明基板材料としては、基板自体が不透明であるものの他、透明基板に基板強度や水分透過性を小さくさするための二酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン、酸化ジルコニア、カーボン、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、酸化防止剤、紫外線吸収剤などで透過率が低下し場合により不透明基板となったものが挙げられる。その際、可視光(代表的には550nm)における透過率が10%以下であり、さらに好ましくは5%以下である。また、ガラス基板材料としては、可視光線透過率10%を超えないものであればよく、例えば、白板ガラス、ソーダガラス、硼珪酸ガラス等からなる無機質製基板からなる不透明基板を挙げることが出来る。耐久性強度や水分不透過、低含水量、紫外線吸収層、反射防止あるいは他素材による腐食防止などを高めるために、不透明層を基板中に含有しているものもある。
(2−2)不透明導電層
不透明導電層の素材としては、導電性金属類(例、白金、金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、チタン)、導電性炭素や導電性高分子に代表される導電性有機材料、具体的には導電性炭素として、カーボンブラック、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、グラフェン、炭素繊維、フラーレンがあり、導電性高分子として、ポリアセチレン、PEDOT−ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン、PEDOT/PSSとポリスチレンスルフォン酸との混合体、PEDOT/PSSとトルエンスルフォン酸との混合物、オリゴチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビニレンがある。導電性金属酸化物(例、酸化スズ、酸化亜鉛)又は導電性複合金属酸化物(例、インジウム‐スズ酸化物、インジウム−亜鉛酸化物)、Agナノワイヤ、Agナノ粒子などが挙げられる。
本願発明においては、低い表面抵抗値を達成するために、導電層に金属を用いることができる。金属メッシュ構造からなる不透明導電性層を形成することにより達成できる。低抵抗の金属材料例、銅、銀、アルミニウム、白金、金、チタン、ニッケルなど)を用いて金属メッシュ構造からなる不透明導電性層を形成してもよい。この場合には、導電層には集電のための補助リードをパターニングなどにより配置させることができる。補助リードも導電層と同様に低抵抗の金属材料例、銅、銀、アルミニウム、白金、金、チタン、ニッケルなど)によって形成される。補助リードを含めた表面の抵抗値は本願発明の目的に有ったものであれば特に限定されない。
これらの素材は、組成内容は他の素材との混合でもよく、異なる素材の2層以上の層構成などの形態も限定されるものではない。また不透明導電性層の作製方法は限定されるものではなく、スパッタ法、蒸着法さらには分散物を塗布する方法などが選定できる。透明基板あるいは不透明基板上に不透明電極層を設けた導電性電極基板の光透過率(測定波長:550nm)は、10%以下が好ましく、5%以下であることがさらに好ましく、1%以下が特に好ましい。不透明導電性電極基板の導電性と不透明性は、一般に比例関係が見られており、所望とする導電性を得るために多量の導電性素材からなる不透明導電層を付与すればよい。不透明導電性電極基板の導電性は、好ましくはシート抵抗400Ω/□であり、より好ましくは200Ω/□であり、更には50Ω/□であり、特には20Ω/□であり、特には10Ω/□が好ましい。
[2]光電変換層
本願発明の光電変換層は、一対の透明導電性電極基板と不透明導電性電極基板の間に形成されるものであり、本願発明の固体型光電変換素子の電荷分離に寄与して、生じた電子および正孔を各々反対方向の電極に向かって輸送する機能を有する。本願発明の光電変換層は、ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物、又はハライド系無機ペロブスカイト化合物の単層膜を形成するものである。
(1)ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物
ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物とは、単一の分子スケール・コンポジット内に有機・無機両成分に特徴的な望ましい物理特性を組み合わせた有機無機混成の)ペロブスカイト化合物をいう。ペロブスカイトの基本的構造形態は、ABX構造であり、頂点共有BX八面体の三次元ネットワークを有する。ABX構造のB成分は、Xアニオンの八面体配位をとることができる金属カチオンである。Aカチオンは、BX八面体間の12の配位孔に位置し、一般に無機カチオンである。Aを無機カチオンから有機カチオンに置換することにより、有機無機混成ペロブスカイト化合物を形成する。
本願発明のハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物は、下記一般式(1)乃至(4)のいずれかに示す化合物であり、特に、一般式(1)の化合物が好ましい。
CH3NH313 (1)
(式中、M1は、2価の金属イオンであり、Xは、F,Cl,Br,Iである。)
1(NH3214 (2)
(式中、R1は炭素数2以上のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、複素環基又は芳香族複素環基であり、M1は、2価の金属イオンであり、Xは、F,Cl,Br,Iである。)
CH3NH3SnX3 (3)
式中、Xは、F,Cl,Br,Iである。)
2(NH32SnX4 (4)
(式中、R2は炭素数2以上のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、複素環基又は芳香族複素環基であり、Xは、F,Cl,Br,Iである。)
本願発明のハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物における無機枠組みは、頂点を共有する金属ハロゲン化物八面体の層を有する。陽イオン性有機層からの正の電荷と平衡をとるため、陰イオン性金属ハロゲン化物層例えば、M13 2-,M14 2-)は一般に2価の金属である。
本願発明のハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物の陰イオン性金属ハロゲン化物層を構成する金属は、具体的には、M1例、Cu2+,Ni2+,Mn2+,Fe2+、Co2+、Pd2+、Ge2+、Sn2+、Pb2+、Eu2+)である。
本願発明のハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物の陰イオン性金属ハロゲン化物層を構成するハロゲン化物は、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、又はこれらの組合せである。このハロゲン化物は、臭化物、ヨウ化物が好ましい。
本願発明の上記一般式(2)のR1としては、炭素数2〜40の置換又は未置換のアルキル基、直鎖、分岐又は環状のアルキル鎖好ましくは炭素数2〜30であり、より好ましくは炭素数2〜20であり、炭素数2〜18がもっとも好ましい)。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、イコサニル基、ドコサニル基、トリアコンタニル基、テトラアコンタニル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
炭素数2〜40の置換又は未置換のアラルキル基としては、アリール基で置換されている低級アルキル基を意味し、アルキル部が直鎖状又は分岐鎖状で、好ましい炭素数が1〜5、より好ましくは1であり、アリール部が好ましい炭素数が6〜10、より好ましくは6〜8である。具体的には、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基等が挙げられる。
アルケニル基は、好ましくは炭素数3〜30であり、より好ましくは炭素数3〜20であり、炭素数3〜12が最も好ましい。例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−ブテニル基、オレイル基、アリル基等が挙げられる。アルキニル基としては、アセチレニル、プロパルギル基、3−ペンチニル基、2−ヘキシルニル、2−デカニルを挙げることができる。
アリール基としては、好ましくは炭素数6〜30の単環又は二環のアリール基例えばフェニル、ナフチル等が挙げられる。)であり、より好ましくは炭素数6〜20のフェニル基又は炭素数10〜24のナフチル基であり、更に好ましくは炭素数6〜12のフェニル基又は炭素数10〜16のナフチル基である。例えばフェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等が挙げられる。これらの基は更に置換基を有していてもよい。一般式1)において、複素環基としては、例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等が挙げられる。これらの基は更に置換基を有していてもよい。
芳香族複素環基としては、例えばフリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する任意の炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、フタラジニル基等が挙げられる。これらの基は更に置換基を有していてもよい。
本願発明のハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物の具体例としては、CH3NH3PbI3、CH3NH3PbBr3、CH3(CH2)nCHCH3(NH32PbI4[n=5〜8]、C6524(NH32PbBr4、CH3NH3SnI3がある。
(2)ハライド系無機ペロブスカイト化合物
本願発明のハライド系無機ペロブスカイト化合物は、下記一般式(5)に示されるものである。
CsM23 (5)
(式中、M2は、2価の金属イオンであり、Xは、F,Cl,Br,Iである。)
本願発明のハライド系無機ペロブスカイト化合物の陰イオン性金属ハロゲン化物層を構成する金属は、具体的には、M2(例、Cu2+,Ni2+,Mn2+,Fe2+、Co2+、Pd2+、Ge2+、Sn2+、Pb2+、Eu2+)である。
本願発明のハライド系無機ペロブスカイト化合物の陰イオン性金属ハロゲン化物層を構成するハロゲン化物は、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、又はこれらの組合せである。このハロゲン化物は、臭化物、ヨウ化物が好ましい。
本願発明のハライド系無機ペロブスカイト化合物の具体例としては、CsSnI3、CsSnBr3がある。
(3)ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物及びハライド系無機ペロブスカイト化合物の被膜形成
本願発明のハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物及びハライド系無機ペロブスカイト化合物は、前駆体溶液を用いた自己組織化反応により合成することができる。本願発明のハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物及びハライド系無機ペロブスカイト化合物の薄膜は、ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物又はハライド系無機ペロブスカイト化合物、あるいはこれらの混合物を有機溶剤に溶解した後、グラビア塗布法、バー塗布法、スクリーン印刷法、スプレー法、スピンコーティング法、ディップ法、ダイコート法等の塗布方法によって形成できる。また、真空蒸着法により被膜を形成できる。本願発明の光電変換層の膜厚は、1〜500nmが好ましい。
(4)ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物及びハライド系無機ペロブスカイト化合物の溶液
本願発明に用いるハライド系有機無機混成ペロブスカイトの溶液を調製するための溶剤としては、ハライド系有機無機混成ペロブスカイトを溶解できるものであれば特に限定するものではない。エステル類(例、メチルホルメート、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート、ペンチルアセテート等)、ケトン類(例、γ-ブチロラクトン、Nメチル-2-ピロリドン、アセトン、ジメチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等)、エーテル類(例、ジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、アニソール、フェネトール等)、アルコール類例、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール、メトキシプロパノール、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノール、2−フルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール等)、グリコールエーテルセロソルブ類(例、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル等)、アミド系溶剤例、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等)、ニトリル系溶剤例、アセトニトリル、イソブチロニトリル、プロピオニトリル、メトキシアセトニトリル等)、カーボート系剤(例、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等)、ハロゲン化炭化水素(例、塩化メチレン、ジクロロメタン、クロロホルム等)、炭化水素(例、n−ペンタン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ジメチルスルホキシドがある。これらは分岐構造若しくは環状構造を有していてもよい。エステル類、ケトン類、エーテル類およびアルコール類の官能基即ち、−O−、−CO−、−COO−、−OH)のいずれかを二つ以上有していてもよい。エステル類、ケトン類、エーテル類およびアルコール類の炭化水素部分における水素原子は、ハロゲン原子特に、フッ素原子)で置換されていてもよい。
[3]バッファ層
バッファ層は、導電性電極基板と光電変換層との間、又は電極基板と導電層との間に形成されることにより、ショットキー障壁の形成を抑制する役割を持つものである。
バッファ層の素材としては、例えば金属、金属酸化物、無機化合物、有機化合物などであり特に限定され。具体的な素材としては、金、白金、銀、銅、鉄、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、クロム、チタン、スズ、ジルコニア、コバルト及びこれらの酸化物などが挙げられる。好ましくは、金、銀、銅、スズ、チタン、アルミニウム、白金、酸化銅、酸化チタン、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化ニオブ、酸化タングステンなどの粒子あるいは前駆体であり、その形態は特に限定されず、不定形、球形、針状、棒状などである。特に好ましくは、金微粒子、白金微粒子、酸化スズ微粒子、酸化亜鉛微粒子などである。
また、バッファ層を形成する方法としては、上記素材を透明導電層に直接スパッタする方法、Electrochim.Acta 40、643‐652(1995)に記載されているスプレーパイロリシス法、あるいは上記素材を溶媒に溶解した溶液、金属酸化物の前駆体である金属水酸化物を溶解した溶液又は有機金属化合物を、水を含む混合溶媒に溶解した金属水酸化物を含む溶液を、基板と導電層からなる導電性基板上に塗布、乾燥し、必要に応じて焼結する方法がある。バッファ層の好ましい膜厚は5〜100nmである。塗布方法としては、グラビア塗布法、バー塗布法、印刷法、スプレー法、スピンコーティング法、ディップ法、ダイコート法等が挙げられる。本願発明では、これらのバッファ層は導電性層の外側に設けることで効果を示すものであり、特に過酷な環境に置かれた場合に有効となる。
次に本願発明の効果を奏する実施態様を実施例として以下に示す。また、表1には実施態様と評価結果を示す。なお、本願発明における固体型光電変換素子の評価は、以下の<実施例1−1>に記載した評価方法に従って実施した。
<実施例1−1>
(1)ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物A〔CH3NH3PbI3〕の合成
三口フラスコ内に、メチルアミン〔CH3NH2〕溶液1gとメタノール〔CH3OH〕100mlを入れ、窒素バブリングを行いながらヨウ化水素酸〔HI〕を加えてpHを3〜4程度に調整した後、マグネッチックスターラーにより1時間撹拌した。この溶液をエバポレーターで蒸留した後、40℃で乾燥し、再精製することによりヨウ化メチルアミン〔CH3NH3I〕を合成した。次に合成したヨウ化メチルアミン〔CH3NH3I〕とヨウ化鉛〔PbI2〕をモル比1:1の割合で、ジメチルホルムアルデヒド〔(CH3)2NCHO〕に15重量%濃度となるように混合して溶解し、ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物A〔CH3NH3PbI3〕のジメチルホルムアルデヒド〔(CH3)2NCHO〕溶液を調製した。
(2)ハライド系有機無機ペロブスカイト化合物B〔C25NH3PbI4〕の合成
三口フラスコ内に、エチルアミン〔C25NH2〕溶液1gとメタノール〔CH3OH〕100mlを入れ、窒素バブリングを行いながら沃化水素酸〔HI〕を加えてpHを3〜4程度に調整した後、マグネッチックスターラーにより1時間撹拌した。この溶液をエバポレーターで蒸留した後、40℃で乾燥し、再精製することによりヨウ化エチルアミン〔C25NH3I〕を合成した。次に合成したヨウ化エチルアミン〔C25NH3I〕と沃化鉛〔PbI2〕をモル比1:1の割合で、ジメチルホルムアルデヒド〔(CH3)2NCHO〕に15重量%濃度となるように混合して溶解し、ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物B〔C25NH3PbI4〕のジメチルホルムアルデヒド〔(CH3)2NCHO〕溶液を調製した。
(3)ハライド系有機無機ペロブスカイト化合物C〔CH3NH3SnI3〕の合成
三口フラスコ内に、メチルアミン〔CH3NH2〕溶液1gとメタノール〔CH3OH〕100mlを入れ、窒素バブリングを行いながらヨウ化水素酸〔HI〕を加えてpHを3〜4程度に調整した後、マグネッチックスターラーにより1時間撹拌した。この溶液をエバポレーターで蒸留した後、40℃で乾燥し、再精製することによりヨウ化メチルアミン〔CH3NH3I〕を合成した。次に合成したヨウ化メチルアミン〔CH3NH3I〕とヨウ化錫SnI2)をモル比1:1の割合で、アセトニトリル〔CH3CN〕に10重量%濃度となるように溶解し、ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物C〔CH3NH3SnI3〕のアセトニトリル〔CH3CN〕溶液を調製した。
(4)ハライド系有機無機ペロブスカイト化合物D〔C25NH3SnI4〕の合成
三口フラスコ内に、エチルアミン〔C25NH2〕溶液1gとメタノール〔CH3OH〕100mlを入れ、窒素バブリングを行いながらヨウ化水素酸〔HI〕を加えてpHを3〜4程度に調整した後、マグネッチックスターラーにより1時間撹拌した。この溶液をエバポレーターで蒸留した後、40℃で乾燥し、再精製することによりヨウ化エチルアミン〔C25NH3I〕を合成した。次に合成したヨウ化エチルアミン〔C25NH3I〕とヨウ化錫SnI2)をモル比1:1の割合で、アセトニトリル〔CH3CN〕に10重量%濃度となるように溶解し、ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物D〔C25NH3SnI4〕のアセトニトリル〔CH3CN〕溶液を調製した。
(5)ハライド系無機ペロブスカイト化合物E〔CsSnI3〕の合成
ヨウ化セシウム〔CsI〕とヨウ化錫〔SnI2〕をモル比1:1の割合で、アセトニトリル〔CH3CN〕に10重量%濃度となるように溶解し、ハライド系無機ペロブスカイト化合物E〔CsSnI3〕のアセトニトリル〔CH3CN〕溶液を調製した。
(6)光電変換層の作製
透明ガラス電極基板〔FTO透明導電ガラス基板(シート抵抗値8Ω、透過率81%(550nm)〕の導電面側に、ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物A〔CH3NH3PbI3〕のジメチルホルムアルデヒド〔CH3)2NCHO〕溶液を0.2μmフィルター付きのシリンジで所定量滴下し、300rpmの回転数でスピンコート後、60℃の熱風循環式オーブン中で10分間加熱乾燥して、透明導電性電極基板に設けた光電変換層を作製した。
(7)不透明導電電極基板
(7−1)カーボンナノチューブ分散液の調製
20mLのガラス製容器に単層カーボンナノチューブ〔(KHケミカルズHP 純度80%)BET比表面積620m/g〕(以下、「CNT」という。)を0.02g、分散剤〔アルドリッチ社製、スチレンスルホン酸ナトリウム(50)/マレイン酸ジナトリウム(50)の共重合体モル比=1/1、平均重合度20000〕を0.04g(CNT100質量部当たり200質量部)を量りとり、溶媒として蒸留水8mlとエタノール2mlを加え、1N硝酸を用いてpHを1.6に調整した。pH調製後、氷冷下において、超音波ホモジナイザー(ブランソニック社製、B5510J−MT型)で、出力50W、120分間の条件で分散処理し、CNT分散液を調製した。なお、CNT分散液中のCNTの濃度は0.2質量%、高分子分散剤の濃度は、0.4質量%であった。得られたCNT分散液の安定性は良好であった。
(7−2)不透明導電層および不透明導電性電極基板の作製
上記CNT分散液を、紫外線照射により表面処理したポリエチレンナフタレートフィルム〔厚さ200μm、透過率83%(550nm)〕(以下、「PEN」という。)を基板として、該基板上に、スキージ法にてCNT塗布量100mg/mを付与し、室温、無風環境下で10分静置し、さらに100℃乾燥機内で5分間乾燥させた。この塗布操作を4回繰り返し、CNT400mg/m2を塗布した。最後に120℃、30分乾燥して溶剤を完全に除去し、基板上にCNTからなる不透明導電層を備える不透明導電性電極基板を得た。得られた不透明導電性電極基板のシート抵抗は6Ω/□であり、透過率(550nm)は0%であった。不透明導電層とPEN基板との接着性は良好であった。
(8)固体光電変換素子の作製
乾燥窒素ガス内にて、上記の透明導電性電極基板の電変換層のハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物A〔CH3NH3PbI3〕の被膜層形成面に対し、上記不透明導電性電極基板を強く押し付けて、本願発明の固体型光電変換素子1−1を作製した。
(9)固体型光電変換素子の変換効率の評価
表1に示すように得られた変換効率は、優れた変換効率であり、また強制的な耐久テスト後でも本願発明の固体型光電変換素子は良好な光電変換能を有することがわかる。
(10)固体型光電変換素子の初期の変換効率の評価
光源として、150Wキセノンランプ光源装置にAM1.5Gフィルターを装着した擬似太陽光源(PEC−L11型、ペクセル・テクノロジーズ(株)製)を用いた。光量は、1sun約10万lux AM1.5G、100mWcm−2JIS C 8912のクラスAに調整した。実施態様に従って作製した固体型光電変換素子をソースメータ(2400型ソースメータ、Keithley社製)に接続した。電流電圧特性は、1sunの光照射下、バイアス電圧を、0Vから1.1Vまで、0.01V単位で変化させながら出力電流を測定した。同様にバイアス電圧を、逆方向に1.1Vから0Vまでステップさせる測定も行い、順方向と逆方向の測定の平均値を光電流データとして、変換効率を求めた。測定面積は、0.2376mm2であった。
(11)固体型光電変換素子の耐久性テスト後の変換効率の評価
実施態様に従って作製した光電変換素子(10mm四角)の光電変換層を有する一方の電極と他方の導電電極基板の端部を、封止剤で封止し、2枚のバリアフィルム(水蒸気透過度:0.02g/m/日、40℃、90%RH)を真空下で貼り合わせて、小型セルを作製した。該小型セルを、40℃、相対湿度90%の恒温恒湿室に保管して240時間後の変換効率を上記の(A)に従って測定し、耐久性テストとした。
表1に示すように、固体型光電変換素子1−1の初期変換効率は2.1%であり、強制的な耐久テスト後の変換効率は1.7%であった。本願発明の固体型光電変換素子は良好な光電変換能を有することがわかる。
<実施例1−2>
ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物A〔CH3NH3PbI3〕のジメチルホルムアルデヒド〔CH3)2NCHO〕溶液の代わりに、ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物B〔C25NH3PbI4〕のジメチルホルムアルデヒド〔CH3)2NCHO〕溶液を用いたほかは、<実施例1−1>と同様にして固体型光電変換素子1−2を作製し、<実施例1−1>と同様にその評価を行った。表1に示すように、固体型光電変換素子1−2の初期変換効率は1.7%であり、強制的な耐久テスト後の変換効率は1.5%であった。本願発明の固体型光電変換素子1−2は良好な光電変換能を有することがわかる。
<実施例1−3>
ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物A〔CH3NH3PbI3〕のジメチルホルムアルデヒド〔CH3)2NCHO〕溶液の代わりに、ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物C〔CH3NH3SnI3〕のアセトニトリル〔CH3CN〕溶液を用いたほかは、<実施例1−1>と同様にして固体型光電変換素子1−3を作製し、<実施例1−1>と同様にその評価を行った。表1に示すように、固体型光電変換素子1−3の初期変換効率は1.5%であり、強制的な耐久テスト後の変換効率は1.2%であった。本願発明の固体型光電変換素子1−3は良好な光電変換能を有することがわかる。
<実施例1−4>
ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物A〔CH3NH3PbI3〕のジメチルホルムアルデヒド〔CH3)2NCHO〕溶液の代わりに、ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物D〔C25NH3SnI4〕のアセトニトリル〔CH3CN〕溶液を用いたほかは、<実施例1−1>と同様にして固体型光電変換素子1−4を作製し、<実施例1−1>と同様にその評価を行った。表1に示すように、固体型光電変換素子1−4の初期変換効率は1.6%であり、強制的な耐久テスト後の変換効率は1.4%であった。本願発明の固体型光電変換素子1−4は良好な光電変換能を有することがわかる。
<実施例1−5>
ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物A〔CH3NH3PbI3〕のジメチルホルムアルデヒド〔CH3)2NCHO〕溶液の代わりに、ハライド系無機ペロブスカイト化合物E〔CsSnI3〕のアセトニトリル〔CH3CN〕溶液を用いたほかは、<実施例1−1>と同様にして固体型光電変換素子1−5を作製し、<実施例1−1>と同様にその評価を行った。表1に示すように、固体型光電変換素子1−5の初期変換効率は1.6%であり、強制的な耐久テスト後の変換効率は1.4%であった。本願発明の固体型光電変換素子1−5は良好な光電変換能を有することがわかる。
<実施例1−6>
ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物A〔CH3NH3PbI3〕のジメチルホルムアルデヒド〔CH3)2NCHO〕溶液の代わりに、ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物A〔CH3NH3PbBr3〕のジメチルホルムアルデヒド〔CH3)2NCHO〕溶液とハライド系無機ペロブスカイト化合物E〔CsSnI3〕のアセトニトリル〔CH3CN〕溶液を1:1の割合で混合した溶液を用いたほかは、<実施例1−1>と同様にして固体型光電変換素子1−6を作製し、<実施例1−1>と同様にその評価を行った。表1に示すように、固体型光電変換素子1−6の初期変換効率は2.1%であり、強制的な耐久テスト後の変換効率は1.9%であった。本願発明の固体型光電変換素子1−6は良好な光電変換能を有し、ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物Aとハライド系無機ペロブスカイト化合物Eを混合して光電変換層を作製しても良好な光電変換効率が得られることがわかる。
<実施例1−7>
ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物A〔CH3NH3PbI3〕のジメチルホルムアルデヒド〔CH3)2NCHO〕溶液の塗布に代わりに、ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物A〔CH3NH3PbBr3〕の被膜形成を共蒸着法により行ったほかは、<実施例1−1>と同様にして固体型光電変換素子1−7を作製し、<実施例1−1>と同様にその評価を行った。表1に示すように、固体型光電変換素子1−7の初期変換効率は2.0%であり、強制的な耐久テスト後の変換効率は1.8%であった。本願発明の固体型光電変換素子は良好な光電変換能を有することがわかる。
<実施例2−1>
(1)光電変換層を有する透明導電性電極基板の作製
透明プラスチック電極基板〔ITO透明導電性PEN(シート抵抗13Ω、PEN基板200μm、透過率81%(550nm)〕の導電面側に、ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物A〔CH3NH3PbI3〕のジメチルホルムアルデヒド〔CH3)2NCHO〕溶液を0.2μmフィルター付きのシリンジで所定量滴下し、300rpmの回転数でスピンコート後、60度の熱風循環式オーブン中で10分間加熱乾燥して、光電変換層を有する透明導電性電極基板の作製を行った。
(2)不透明導電膜からなる不透明導電性電極基板の作製
PEDOT/PSS分散液(理学株式会社製、R−iCP500)を、紫外線照射により表面処理したPENを基板として、該基板上に、スキージ塗布方法にてPEDOT/PSSを固形分塗布量100mg/mを付与し、室温、無風環境下で10分静置し、さらに100℃乾燥機内で5分間乾燥させた。この塗布を3回繰り返し、PEDOT/PSSを固形分塗布量300mg/m2を塗布した。更に120℃にて30分乾燥し溶剤を完全に除去し、PEN基板上にPEDOT/PSS導電層を備えた不透明導電電極基板を得た。このPEDOT/PSSからなる不透明導電性電極基板のシート抵抗は7Ω/□であり、透過率は2%であった。PEDOT/PSS導電層とPEN基材の接着性は良好であった。
(3)固体型光電変換素子の作製
乾燥窒素ガス内にて、PEN基板の上に光電変換層であるハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物A〔CH3NH3PbI3〕の被膜層形成面に対し、前述のPEDOT/PSS導電層を備えた不透明導電性電極基板を押し付けて、本願発明の固体型光電変換素子2−1を作製し、<実施例1−1>と同様にその評価を行った。表1に示すように、固体型光電変換素子2−1の初期変換効率は2.0%であり、強制的な耐久テスト後の変換効率は1.8%であった。本願発明の固体型光電変換素子2−1は良好な光電変換能を有することがわかる。
<実施例3−1>
(1)光電変換層付き透明導電性電極基板の作製
透明プラスチック電極基板〔ITO透明導電性PEN(シート抵抗13Ω、PEN基板200μm、透過率81%(550nm)〕の導電面側に、ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物A〔CH3NH3PbI3〕のジメチルホルムアルデヒド〔CH3)2NCHO〕溶液を0.2μmフィルター付きのシリンジで所定量滴下し、300rpmの回転数でスピンコート後、60度の熱風循環式オーブン中で10分間加熱乾燥して、光電変換層付き透明導電性電極基板を作製した。
(2)バッファ層付き不透明導電性電極基板の作製
<実施例1−1>の(7)に記載したCNTからなる不透明導電層を備える不透明導電性電極基板の上に、金ナノ粒子〔和光純薬製、金ナノ粒子水分散物、10mM濃度〕を、バーコーター塗布法で塗布し、4.3mg/m2の金ナノ粒子層を付与した。金ナノ粒子層をバッファ層として、金ナノ粒子層からなるバッファ層付き不透明導電性電極基板〔シート抵抗は15Ω、透過率0%(550nm)〕を作製した。
(3)固体光電変換素子の作製
乾燥窒素ガス内にて、上記ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物A〔CH3NH3PbI3〕からなる光電変換層付き透明導電性電極基板の光電変換層形成面に対し、上記金ナノ粒子層からなるバッファ層付き不透明導電性電極基板を押し付けて、本願発明の固体型光電変換素子3−1を作製し、<実施例1−1>と同様に評価を行った。表1に示すように、固体型光電変換素子3−1の初期変換効率は2.1%であり、強制的な耐久テスト後の変換効率は2.0%であった。本願発明の固体型光電変換素子は良好な光電変換能を有することがわかる。
<実施例3−2>
金ナノ粒子層の代わりに、酸化チタンナノ粒子(アナターゼ型酸化チタン、多木化学株式会社製、タイノックスM-5)からなる酸化チタンナノ粒子層を塗布量(6.3mg/m2)でバーコーター塗布して酸化チタンナノ粒子層からなるバッファ層付き不透明導電性電極基板〔シート抵抗は10Ω、透過率0%(550nm)〕を製作する以外は、<実施例3−1>と同様にして本願発明の固体型光電変換素子3−2を作製し、<実施例1−1>と同様にその評価を行った。表1に示すように固体型光電変換素子3−2の初期変換効率は2.0%であり、強制的な耐久テスト後の変換効率は1.9%であった。本願発明のバッファ層付き固体型光電変換素子3−2は良好な光電変換能を有することがわかる。
<実施例3−3>
金ナノ粒子層の代わりに、酸化チタンナノ粒子(ブルッカイト型酸化チタン昭和電工株式会社製、NTB-1)からなる酸化チタンナノ粒子層を塗布量(6.3mg/m2)でバーコーター塗布して酸化チタンナノ粒子層からなるバッファ層付き不透明導電性電極基板〔シート抵抗は11Ω、透過率0%(550nm)〕を製作する以外は、<実施例3−1>と同様にして本願発明の固体型光電変換素子3−3を作製し、<実施例1−1>と同様にその評価を行った。表1に示すように、固体型光電変換素子3−3の初期変換効率は2.0%であり、強制的な耐久テスト後の変換効率は1.9%であった。本願発明のバッファ層付き固体型光電変換素子3−3は良好な光電変換能を有することがわかる。
<実施例3−4>
金ナノ粒子層の代わりに、酸化スズナノ粒子(アルカリ型酸化チスズ、多木化学株式会社製、セラメールS-8)からなる酸化スズナノ粒子層を塗布量(12.6mg/m2)でバーコーター塗布して酸化スズナノ粒子層からなるバッファ層付き不透明導電性電極基板〔シート抵抗は25Ω、透過率0%(550nm)〕を製作する以外は、<実施例3−1>と同様にして本願発明の固体型光電変換素子3−4を作製し、<実施例1−1>と同様にその評価を行った。表1に示すように、固体型光電変換素子3−4の初期変換効率は2.1%であり、強制的な耐久テスト後の変換効率は2.0%であった。本願発明のバッファ層付き固体型光電変換素子3−4は良好な光電変換能を有することがわかる。
<実施例4−1>
(1)光電変換層を有するバッファ付不透明導電性電極基板
(1-1)カーボンナノチューブ分散液の調製
20mLのガラス製容器に単層カーボンナノチューブ〔(KHケミカルズHP 純度80%)BET比表面積620m/g〕(以下、「CNT」という。)0.02g、分散剤〔アルドリッチ社製、スチレンスルホン酸ナトリウム(50)/マレイン酸ジナトリウム(50)の共重合体モル比=1/1、平均重合度20000〕0.04g(CNT100質量部当たり200質量部)を量りとり、溶媒として蒸留水8mlとエタノール2mlを加え、1N硝酸を用いてpHを1.6に調整した。pH調製後、氷冷下において、超音波ホモジナイザー(ブランソニック社製、B5510J−MT型)で、出力50W、120分間の条件で分散処理し、CNT分散液を調製した。なお、分散液中のCNTの濃度は0.2質量%、高分子分散剤の濃度は、0.4質量%であった。得られたCNT分散液の安定性は良好であった。
(1-2)バッファ層付き不透明導電性電極基板の作製
上記CNT分散液を、紫外線照射により表面処理したポリエチレンナフタレートフィルム〔厚さ200μm、透過率83%(550nm)〕(以下、「PEN」という。)を基板として、該基板上に、スキージ方にてCNT塗布量100mg/mを付与し、室温、無風環境下で10分静置し、さらに100℃乾燥機内で5分間乾燥させた。この塗布操作を4回繰り返し、CNT400mg/m2を塗布した。最後に100℃、30分乾燥して溶剤を完全に除去し、基板上にCNTからなる不透明導電層を備える不透明導電性電極基板〔シート抵抗は6Ω、透過率0%(550nm)〕を得た。不透明導電層とPEN基板との接着性は良好であった。
更に、上記CNTからなる不透明導電層を備える不透明導電性電極基板のCNTからなる不透明導電層側に、酸化チタンナノ粒子(ブルッカイト型酸化チタン昭和電工株式会社製、NTB-1)からなる酸化チタンナノ粒子層を塗布量(6.3mg/m2)でバーコーター塗布して酸化チタンナノ粒子層からなるバッファ層付き不透明導電性電極基板〔シート抵抗は7Ω、透過率0%(550nm)〕を製作した。
(2)光電変換層を有するバッファ層付不透明導電性電極の作製
上記酸化チタンナノ粒子層からなるバッファ層付き不透明導電性電極基板のバッファ層の上に、ハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物A〔CH3NH3PbI3〕のジメチルホルムアルデヒド〔CH3)2NCHO〕溶液を0.2μmフィルター付きのシリンジで所定量滴下し、300rpmの回転数でスピンコート後、60度の熱風循環式オーブン中で10分間加熱乾燥して、光電変換層を有するバッファ付不透明導電性電極基板を作製した。
(3)固体光電変換素子の作製
乾燥窒素ガス内にて、上記光電変換層を有するバッファ層付き不透明導電性電極基板の光電変換層面に対し、PEN基板にITOを蒸着した透明導電電極基板〔厚さ200μm、シート抵抗13Ω、透過率79%(550nm)〕を押し付けて、本願発明の固体型光電変換素子4−1を作製し、<実施例1−1>と同様にその評価を行った。表1に示すように、固体型光電変換素子4−1の初期変換効率は1.8%であり、強制的な耐久テスト後の変換効率は1.8%であった。本願発明の固体型光電変換素子は良好な光電変換能を有することがわかる。
<実施例5−1>
透明導電性電極基板を透明導電性ガラス基板〔FTOガラス基板、シート抵抗値8Ω、透過率81%(550nm)〕に変更する以外は、実施例<3−2>と同様にして、本願発明の固体型光電変換素子5−1を作製し、<実施例1−1>と同様にその評価を行った。表1に示すように、固体型光電変換素子5−1の初期変換効率は2.0%であり、強制的な耐久テスト後の変換効率は1.8%であった。本願発明の固体型光電変換素子は良好な光電変換能を有することがわかる。
<実施例5−2>
表面を低圧紫外線照射処理して親水化した透明導電性電極基板〔ITOPEN基板、シート抵抗13Ω、厚さ200μm、透過率79%(550nm)〕の光電変換層側に、酸化チタンナノ粒子〔アナターゼ型酸化チタン、多木化学株式会社製、タイノックスM-5〕からなる酸化チタンナノ粒子層を塗布量(15mg/m2)でバーコーター(#10)塗布したCNT導電層と酸化チタンからなるバッファ層付き透明導電性電極基板〔シート抵抗は1050Ω、透過率75%(550nm)〕に変更する以外は、実施例<3−2>と同様にして、本願発明の固体型光電変換素子5−2を作製し、<実施例1−1>と同様にその評価を行った。表1に示すように、固体型光電変換素子5−2の初期変換効率は2.5%であり、強制的な耐久テスト後の変換効率は2.4%であった。得られた変換効率は、従来知られている強誘電性を有する酸化物を用いた太陽電池と同等の変換効率以上であり、また強制的な耐久テスト後でも本願発明の固体型光電変換素子は良好な光電変換能を有することがわかる。
<比較例6−1>
光電変換層を有しないバッファ層付き不透明導電性側電極基板を、透明導電性電極基板〔ITOPEN基板、シート抵抗13Ω、厚さ200μm、透過率79%(550nm)〕以外は、実施例<3−2>と同様にして、比較用の固体型光電変換素子6−1を作製し、<実施例1−1>と同様にその評価を行った。表1に示すように、固体型光電変換素子6−1の初期変換効率は2.1%であり、強制的な耐久テスト後の変換効率は1.2%であった。両電極基板が透明基板から形成されている比較用光電変換素子6−1の変換効率は、初期の変換効率は高いものの、強制的な耐久テスト後では大幅な変換効率の低下が見られており、本願発明の固体型光電変換素子に比べて、大幅に劣ることがわかる。
<比較例6−2>
(1)透明導電層を備える透明導電性電極基板の作製
(1−1)カーボンナノチューブ分散液の調製
20mLのガラス製容器に単層カーボンナノチューブ〔(KHケミカルズHP 純度80%)BET比表面積620m/g〕(以下、「CNT」という。)0.02g、分散剤〔アルドリッチ社製、スチレンスルホン酸ナトリウム(50)/マレイン酸ジナトリウム(50)の共重合体モル比=1/1、平均重合度20000〕0.04g(CNT100質量部当たり200質量部)を量りとり、溶媒として蒸留水8mlとエタノール2mlを加え、1N硝酸を用いてpHを1.6に調整した。pH調製後、氷冷下において、超音波ホモジナイザー(ブランソニック社製、B5510J−MT型)で、出力50W、120分間の条件で分散処理し、CNT分散液を調製した。なお、分散液中のCNTの濃度は0.2質量%、高分子分散剤の濃度は、0.4質量%であった。得られたCNT分散液の安定性は良好であった。
(1−2)透明導電性電極基板の作製
上記CNT分散液を、紫外線照射により表面処理したポリエチレンナフタレートフィルム〔厚さ200μm、透過率83%(550nm)〕(以下、「PEN」という。)を基板として、該基板上に、スキージ方にてCNT塗布量40mg/mを付与し、室温、無風環境下で10分静置し、さらに100℃乾燥機内で5分間乾燥させた。さらに120℃、30分乾燥して溶剤を完全に除去し、光電変換層を有しない透明導電性電極基板〔シート抵抗は250Ω、透過率71%(550nm)〕を得た。透明導電層とPEN基板との接着性は良好であった。
(2)固体光電変換素子の作製
光電変換層を有しない不透明導電性電極基板を、上記光電変換層を有しない透明導電性電極基板に変更する以外は、実施例<3−1>と同様にして比較用の固体型光電変換素子6−2を作製し、<実施例1−1>と同様にその評価を行った。表1に示すように固体型光電変換素子6−2の初期変換効率は0.7%であり、強制的な耐久テスト後の変換効率は0.6%であった。得られた変換効率は、初期の変換効率は低く、また強制的な耐久テスト後でも比較用の固体型光電変換素子は劣る光電変換能を有することがわかる。
<比較例6−3>
(1)透明導電性電極基板の作製
PEDOT/PSS分散液(理学株式会社製、R−iCP500)を、紫外線照射により表面処理したPENを基板として、該基板上に、スキージ塗布方法にてPEDOT/PSSを固形分塗布量300mg/mを付与し、室温、無風環境下で10分静置し、さらに100℃乾燥機内で5分間乾燥させた。更に120℃にて30分乾燥し溶剤を完全に除去し、PEN基板上にPEDOT/PSS導電層を備えた透明導電電極基板〔シート抵抗は250Ω/□、透過率は78%(550nm)〕を得た。PEDOT/PSS導電層とPEN基材の接着性は良好であった。
(3)固体型光電変換素子の作製
光電変換層を有しない不透明導電性電極基板を、上記の方法で作製した光電変換層を有しない透明導電性電極基板に変更する以外は、<実施例3−1>と同様にして比較用の固体型光電変換素子6−3を作製し、<実施例1−1>と同様にその評価を行った。表1に示すように、固体型光電変換素子6−3の初期変換効率は0.4%であり、強制的な耐久テスト後の変換効率は0.3%であった。得られた変換効率は、初期の変換効率は低く、また強制的な耐久テスト後でも比較要の固体型光電変換素子は劣る光電変換能を有することがわかる。
<比較例6−4>
光電変換層を有する側の透明導電性電極基板を、FTO透明導電性ガラス基板〔シート抵抗値8Ω、透過率81%(550nm)〕からなる透明導電性電極基板に変更する以外は、<比較例6−2>と同様にして比較用の固体型光電変換素子6−4を作製し、<実施例1−1>と同様にその評価を行った。表1に示すように、固体型光電変換素子6−4の初期変換効率は0.7%であり、強制的な耐久テスト後の変換効率は0.6%であった。得られた変換効率は、初期の変換効率は低く、また強制的な耐久テスト後でも比較要の固体型光電変換素子は劣る光電変換能を有することがわかる。
<比較例6−5>
光電変換層を有する透明導電性電極基板を、実施例4−1で作製した不透明導電性電極基板に変更する以外は、実施例1−1と同様にして比較用の固体型光電変換素子6−5を作製し、<実施例1−1>と同様にその評価を行った。表1に示すように、固体型光電変換素子6−5の初期変換効率は0%であり、強制的な耐久テスト後の変換効率は0%であった。初期の変換効率は得られず発電特性の全く得られないものであった。
本願発明の固体型光電変換素子は、耐久性、耐光性、耐湿性に優れる太陽電池を提供できる。
1 電極基板
2 導電層
3 光電変換層
4 光電変換層を有する導電性電極基板
5 光電変換層を有しない導電性電極基板
6 バッファ層
7 バッファ層を形成した光電変換層を有する導電性電極基板
8 バッファ層を形成した光電変換層を有しない導電性電極基板
9 バイアス印加手段

Claims (9)

  1. 一対の導電性電極基板間に光電変換層を有する固体型光電変換素子であって、前記一対の導電性電極基板の一方が透明導電性電極基板であり、他方が不透明導電性電極基板であり、かつ前記光電変換層が下記一般式(1)乃至(4)に示すハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物又は下記一般式(5)に示す無機ペロブスカイト化合物から選択された化合物を、単独又は2以上混合して構成されたものであることを特徴とする固体型光電変換素子。
    CH3NH313 (1)
    (式中、Mは、2価の金属イオンであり、Xは、F,Cl,Br,Iである。)
    (NH3214 (2)
    (式中、Rは炭素数2以上のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、複素環基又は芳香族複素環基であり、Mは、2価の金属イオンであり、Xは、F,Cl,Br,Iである。)
    CH3NH3SnX3 (3)
    (式中、Xは、F,Cl,Br,Iである。)
    2(NH32SnX4 (4)
    (式中、R2は炭素数2以上のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、複素環基又は芳香族複素環基であり、Xは、F,Cl,Br,Iである。)
    CsM23 (5)
    (式中、M2は、2価の金属イオンであり、Xは、F,Cl,Br,Iである。)
  2. 前記光電変換層は、前記一対の導電性電極基板のいずれか一方に塗膜形成されたものであって、前記塗膜は前記一般式(1)乃至(4)のハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物又は前記一般式(5)に示す無機ペロブスカイト化合物を構成し得る前駆体を含む溶液を用いて形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載した固体型光電変換素子。
  3. 前記光電変換層は、前記一対の導電性電極基板のいずれか一方に被膜形成されたものであって、前記被膜は前記一般式(1)乃至(4)のハライド系有機無機混成ペロブスカイト化合物又は前記一般式(5)に示す無機ペロブスカイト化合物を前記導電性電極基板上に蒸着して形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載した固体型光電変換素子。
  4. 前記一対の導電性電極基板の一方又は双方と前記光電変換層の間にバッファ層を形成したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載した固体型光電変換素子。
  5. 前記不透明導電性電極基板が導電層を有する透明基板又は不透明基板であって、前記導電層が導電性有機材料からなり、かつ前記不透明導電性電極基板の波長550nmにおける光透過率が10%未満であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載した固体型光電変換素子。
  6. 前記透明導電性電極基板が導電層を有する透明基板であって、前記導電層が導電性有機材料からなり、かつ前記透明導電性電極基板の波長550nmにおける光透過率が30%以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載した固体型光電変換素子。
  7. 前記導電層を構成する導電性有機材料が、カーボン、PEDOT/PSS素材或いはその混合体からなることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載した固体型光電変換素子。
  8. 前記導電層が、カーボン、PEDOT/PSS素材或いはその混合体からなる2層以上の多層体であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載した固体型光電変換素子。
  9. 前記不透明導電性電極基板が、金属基板であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載した固体型光電変換素子。
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